(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材上に導電性金属組成物から適用されて140〜<200℃の範囲の物体温度の乾燥条件下で乾燥された導電性金属化部分を形成する際の使用に適した前記導電性金属組成物であって、40〜300nmの範囲の平均粒度および3〜1:1のアスペクト比を有する銀粒子50〜94重量%と、10000〜150000の重量平均モル質量を有する熱可塑性ポリエステル樹脂1〜4重量%と、前記熱可塑性ポリエステル樹脂のための稀釈剤4〜49重量%とを含み、前記熱可塑性ポリエステル樹脂が直鎖ポリエステル樹脂であり、前記組成物が基材上に6〜10μΩ・cmの体積抵抗率を有する導電性金属化部分を形成する能力を有する、導電性金属組成物。
【発明を実施するための形態】
【0004】
説明および請求の範囲において用語「平均粒度」が使用される。それは、レーザー光の散乱によって定量された平均一次粒子粒度(平均粒径、d50)を意味するものとする。レーザー光の散乱の測定は粒度分析装置、例えば、Microtrac S3500装置を使用して行なうことができる。
【0005】
説明および請求の範囲において用語「アスペクト比」は、本発明の導電性金属組成物に含有された銀粒子の形状に関して使用される。それは銀粒子の最大寸法の最小寸法に対する比を意味し、それは、電子顕微鏡法によって定量され、統計学的に有意味な数の単一銀粒子の寸法を測定することによって電子顕微鏡画像を評価することによって定量される。
【0006】
本発明の導電性金属組成物に関して、基材上にそれから適用されて140〜<200℃の範囲の低い物体温度のゆるい乾燥条件下で乾燥された導電性金属化部分の低い抵抗率および良い接着性の点から改良された導電性金属組成物を本願の出願人は見出した。前記低い抵抗率は例えば、たった6〜10μΩ・cmの範囲であり得る。
【0007】
説明および請求の範囲において用語「物体温度」が使用される。それは、基材上に本発明の導電性金属組成物から適用された導電性金属化部分の乾燥中に達した基材ピーク温度を意味する。
【0008】
本発明の導電性金属組成物は、全導電性金属組成物に基づいて銀粒子50〜94重量%、または実施形態において60〜90重量%を含有する。銀粒子はコートされなくてもよく、または界面活性剤で少なくとも部分的にコートされてもよい。界面活性剤は、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、カプリン酸、ミリスチン酸およびリノール酸およびそれらの塩、例えば、アンモニウム、ナトリウムまたはカリウム塩から選択されてもよいが、それらに限定されない。
【0009】
銀粒子は、40〜450nm、または実施形態において80〜450nmの範囲の平均粒度を有する。銀粒子の平均粒度が450nmを超える場合、基材上に導電性金属組成物から適用されて140〜<200℃の範囲の低い物体温度のゆるい乾燥条件下で乾燥された導電性金属化部分の所望の低い抵抗率を達成することができない。
【0010】
銀粒子は、3〜1:1、または実施形態において2〜1:1の範囲のアスペクト比を示す。前記アスペクト比は、銀粒子が、例えば、針状銀粒子(銀針状体)または銀フレーク(銀プレートリット)のような不規則な銀粒子とは対照的に真の球状または本質的に球状の形状を有することを示す。電子顕微鏡下で見た時に単一銀粒子はボール状またはほぼボール状の形状を有し、すなわち、それらは完全に丸いかまたはほぼ丸く、楕円形であってもよく、またはそれらは卵形の形状を有してもよい。銀粒子の表面は均一であってもよく、それは滑らかな曲率半径を有してもよい。
【0011】
40〜450nmの範囲の平均粒度を有し3〜1:1の範囲のアスペクト比を有する銀粒子が市販されている。このような市販の銀粒子の例は、Ferroからの製品7000−24および7000−35である。
【0012】
本発明の導電性金属組成物は、バインダーとして熱可塑性ポリエステル樹脂1〜4重量%または実施形態において2〜3.5重量%を含有する。1〜4重量%は、全導電性金属組成物に基づいてポリエステル樹脂固形物を意味する。
【0013】
熱可塑性ポリエステル樹脂の、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC、固定相としてジビニルベンゼン架橋ポリスチレン、液相としてテトラヒドロフラン、ポリスチレン標準)によって定量された重量平均モル質量が10000〜150000または実施形態において15000〜60000である。重量平均モル質量が10000未満である場合、本発明の導電性金属組成物から適用されて乾燥された導電性金属化部分の接着性は弱くなる。それが150000を超える場合、本発明に適用されて乾燥された導電性金属組成物の電導率が悪くなる場合がある。
【0014】
熱可塑性ポリエステル樹脂は、ヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基のような官能基を含有しなくてもよく、または有してもよい。したがって、そのヒドロキシル価は、例えば、0〜12mgのKOH/gの範囲であってもよく、そのカルボキシル価は、例えば、0〜5mgのKOH/gの範囲であってもよい。
【0015】
実施形態において、熱可塑性ポリエステル樹脂は直鎖ポリエステル樹脂である。
【0016】
熱可塑性ポリエステル樹脂の製造は当業者に公知である。熱可塑性ポリエステル樹脂は特に、1つ以上のポリカルボン酸を含む1つ以上のカルボキシル成分を1つ以上のポリオールを含む1つ以上のヒドロキシル成分と反応させることによって製造されてもよい。1つ以上のポリカルボン酸の他にカルボキシル成分はまた、モノカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸を含んでもよい。ポリカルボン酸の代わりにそれらの無水物もまた使用することができる。
【0017】
熱可塑性ポリエステル樹脂の製造のために適したポリカルボン酸の例には、トリメリット酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、1,3−および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、またはそれらの組合せなどがある。
【0018】
熱可塑性ポリエステル樹脂の製造のために適したモノカルボン酸の例には、安息香酸、ブチル安息香酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、ヤシ脂肪酸、デカン酸、ドデカンラクタム、テトラデカン酸、ステアリン酸、パルミチン酸またはそれらの組合せなどがある。
【0019】
熱可塑性ポリエステル樹脂の製造のために適したヒドロキシカルボン酸の例には、12−ヒドロキシステアリン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、ジメチロールプロピオン酸またはそれらの組合せなどがある。
【0020】
1つ以上のポリオールの他にヒドロキシル成分はまた、モノアルコールを含んでもよい。
【0021】
熱可塑性ポリエステル樹脂の製造のために適したポリオールの例には、ビスフェノールA、エチレングリコール、異性プロパン−およびブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、異性シクロヘキサンジオール、異性シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールのようなポリオールなどが含まれるが、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールまたはそれらの組合せのような2個超のヒドロキシル基を有するポリオールもまた含まれる。
【0022】
熱可塑性ポリエステル樹脂の製造に適したモノアルコールの例には、ヘキサノール、ドデカノール、シクロヘキサノールまたはそれらの組合せなどがある。
【0023】
当業者は、ヒドロキシルおよび/またはカルボキシル含有量および重量平均モル質量に関して上記の特性を有する熱可塑性ポリエステル樹脂が得られるように、熱可塑性ポリエステル樹脂の製造のために1つ以上のヒドロキシル成分と1つ以上のヒドロキシル成分との性質および比率を選択する。
【0024】
熱可塑性ポリエステル樹脂は、1つ以上のカルボキシル成分と1つ以上のヒドロキシル成分との重縮合によって調製されてもよい。重縮合は当業者に公知の従来の方法によって、例えば、従来のエステル化触媒存在下で例えば120℃〜200℃の高温において、例えば、溶融体中で行なわれてもよい。任意選択により、例えばキシレンなどの共留剤も使用してよい。1つ以上のカルボキシル成分と1つ以上のヒドロキシル成分とを一緒に反応させて、多段階または一段階合成方法で熱可塑性ポリエステル樹脂を形成してもよい。1つ以上のカルボキシル成分と1つ以上のヒドロキシル成分とを同時に充填して一緒に加熱して、任意選択により、互いに溶融および重縮合して熱可塑性ポリエステル樹脂を形成してもよい。
【0025】
10000〜150000の範囲の重量平均モル質量を有する熱可塑性ポリエステル樹脂が市販されている。このような市販の熱可塑性ポリエステル樹脂の例は、Bostik製の製品Vitel(登録商標)2200BおよびEvonik製の製品Dynapol(登録商標)L 952である。
【0026】
本発明の導電性金属組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂のための稀釈剤4〜49重量%、または実施形態において7〜38重量%、または、別の実施形態において、8〜12重量%含有する。稀釈剤は、熱可塑性ポリエステル樹脂を溶解すると共に140〜<200℃の範囲の低い物体温度においてゆるい乾燥条件下で乾燥される間に本発明の導電性金属組成物から適用された金属化部分から蒸発することができる単一の有機溶剤または2つ以上の有機溶剤の混合物の形態をとる。適した有機溶剤の例には、n−ブタノールのようなアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびヘキシレングリコールのようなジオール、ブトキシエタノール、プロポキシプロパノールおよびブチルジグリコールのようなエーテルアルコール、エチレングリコールジ−C1−C6−アルキルエーテル、プロピレングリコールジ−C1−C6−アルキルエーテル、ジエチレングリコールジ−C1−C6−アルキルエーテル、ジプロピレングリコールジ−C1−C6−アルキルエーテルおよびテトラヒドロフランのようなエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソアミルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、2,4−ペンタンジオンおよびメトキシヘキサノンのようなケトン、エチルエトキシプロピオネート、メチルグリコールアセテート、エチルグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、メトキシブチルアセテート、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、ペンチルアセテート異性体、ヘキシルアセテート(actetate)、へプチルアセテート、エチルヘキシルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、ペンチルプロピオネート、ブチルブチラート、ジエチルマロネート、ジメチルアジペート、ジメチルグルタラート、ジメチルスクシネート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジブチルフタレートおよびジブチルセバケートのようなエステルまたはエーテルエステル、アルファ-またはベータ-テルピネオールのようなテルペン、ケロシンのような炭化水素、またはそれらの任意の組み合わせなどが含まれる。
【0027】
本発明の導電性金属組成物は少なくとも1つの添加剤を含有してもしなくてもよい。したがって、少なくとも1つの添加剤の比率は、全導電性金属組成物に基づいて、例えば、0〜<1重量%の範囲である。本発明の導電性金属組成物に含有されてもよい添加剤の例には、脱泡剤、均染剤およびレオロジー制御剤などがある。
【0028】
実施形態において、本発明の金属組成物は、40〜450nmの範囲の平均粒度および3〜1:1のアスペクト比を有する銀粒子50〜94重量%と、10000〜150000の重量平均モル質量を有する熱可塑性ポリエステル樹脂1〜4重量%と、熱可塑性ポリエステル樹脂のための稀釈剤4〜49重量%と、少なくとも1つの添加剤0〜<1重量%とからなり、そこで重量%の合計が100重量%になる。
【0029】
本発明の導電性金属組成物は粘性組成物であり、それは銀粒子を熱可塑性ポリエステル樹脂、稀釈剤および任意選択の1つ以上の添加剤と機械的に混合することによって調製されてもよい。実施形態において、それは、銀粒子を稀釈剤中の熱可塑性ポリエステル樹脂の溶液と機械的に混合することによって調製されてもよい。実施形態において、製造法の動力混合、従来のロール練りに等しい分散技術を使用してもよく、ロール練りまたは他の混合技術を使用することもできる。可能な1つ以上の添加剤を混合プロセスの様々な段階において、例えば、混合プロセスの前および/または間に添加してもよい。
【0030】
本発明の導電性金属組成物を基材上の導電性金属化部分の製造において使用してもよい。実施形態において、導電性金属化部分は導電性トラックとして作用し得る。別の実施形態においてそれはコレクタ電極として作用し得る。
【0031】
したがって、本発明はまた、このような製造プロセスおよび前記製造プロセスによって製造された導電性金属化部分を設けられた基材に関する。前記製造プロセスは、
(1)基材を提供する工程と、
(2)本発明の導電性金属組成物を基材上に適用する工程と、
(3)適用された導電性金属組成物を乾燥させて導電性金属化部分を基材上に形成する工程を包含する。
【0032】
本発明の方法の工程(1)において基材が提供される。基材は、1つまたは2つ以上の材料からなってもよい。本明細書において使用される用語「材料」はこの文脈において、基材がそれからなる塊状材料または塊状材料のうちの1つ以上を主に指す。しかしながら、基材が2つ以上の材料からなる場合、用語「材料」は、層として存在している材料を除外すると誤解されるべきでない。むしろ、2つ以上の材料からなる基材には、一切の薄い層を有さない2つ以上の塊状材料からなる基材ならびに1つまたは2つ以上の薄い層を提供された1つまたは2つ以上の塊状材料からなる基材などが含まれる。前記層の例には、誘電体(電気絶縁)層および活性層などがある。
【0033】
誘電体層の例には、二酸化シリコン、ジルコニアベースの材料、アルミナ、窒化シリコン、窒化アルミニウムおよび酸化ハフニウムのような無機誘電体材料の層、および有機誘電体材料、例えばPTFEのようなフッ素化ポリマー、ポリエステルおよびポリイミドの層などがある。
【0034】
用語「活性層」が説明および請求の範囲において使用される。それは光活性層、発光層、半導電層および非金属導電層などの群から選択される層を意味するものとする。実施形態において、それは、光活性層、発光層、半導電層および非金属導電層からなる群から選択される層を意味するものとする。
【0035】
本開示のために、本明細書において使用される用語「光活性」は、輻射エネルギー(例えば、光)を電気エネルギーに変換する特性を指すものとする。
【0036】
光活性層の例には、二セレン化銅インジウムガリウム、テルル化カドミウム、硫化カドミウム、硫化銅亜鉛スズ、非晶質シリコン、有機光活性化合物または色素増感光活性組成物のような材料をベースとするかまたは含有する層などがある。
【0037】
発光層の例には、ポリ(p−フェニレンビニレン)、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウムまたはポリフルオレン(誘導体)のような材料をベースとするかまたは含有する層などがある。
【0038】
半導電層の例には、二セレン化銅インジウムガリウム、テルル化カドミウム、硫化カドミウム、硫化銅亜鉛スズ、非晶質シリコンまたは有機半導性化合物のような材料をベースとするかまたは含有する層などがある。
【0039】
非金属導電層の例には、ポリアニリン、PEDOT:PSS(ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホネート)、ポリチオフェンまたはポリジアセチレンのような有機導電材料をベースとするかまたは含有する層、またはインジウムスズ酸化物(ITO)、アルミニウムドープト酸化亜鉛、フッ素ドープト酸化スズ、グラフェンまたはカーボンナノチューブのような透明な導電材料をベースとするかまたは含有する層などがある。
【0040】
実施形態において、基材は温度感受性基材である。これは、基材がそれからなる材料または材料のうちの1つ以上が温度感受性であることを意味する。不確かさを避けるために、これには、基材が前述の層の少なくとも1つを備え、そこで層または1つの層、複数または全ての層が温度感受性である場合を含める。
【0041】
「耐熱性」とは対照的に用語「温度感受性」は、基材、基材材料(=基材がそれらからなる塊状材料または塊状材料のうちの1つ)または基材の層および熱に暴露される時のその性質に関して説明および請求の範囲において使用される。それ故、「温度感受性」は、≧400℃の高い物体温度に耐えないかまたは、換言すれば、≧400℃の高い物体温度において望ましくない化学的および/または物理的変化を受ける基材、基材材料または基材の層に関して使用される。このような望ましくない変化の現象の例には、劣化、分解、化学変換、酸化、相転移、溶融、構造の変化、歪みおよびそれらの組み合わせなどがある。ガラスバインダーを含有する金属ペーストから適用される金属化部分の製造において典型的に使用されるように例えば従来の焼成プロセスの間に≧400℃の物体温度が生じる。
【0042】
したがって、用語「耐熱性」は≧400℃の物体温度に耐える基材、基材材料または基材の層に対して本明細書において使用される。
【0043】
基材材料の例の第1の群は有機ポリマーを包含する。有機ポリマーは典型的に温度感受性である。適した有機ポリマー材料の例には、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)およびポリイミドなどがある。
【0044】
基材材料の例の第2の群は有機ポリマー以外の材料、特に、無機非金属材料および金属を包含する。無機非金属材料および金属は典型的に耐熱性である。無機非金属材料の例には、単結晶シリコン、多結晶シリコン、炭化シリコンのような無機半導体、およびガラス、石英、ジルコニアベースの材料、アルミナ、窒化シリコンおよび窒化アルミニウムのような無機誘電体材料などがある。金属の例にはアルミニウム、銅および鋼などがある。
【0045】
基材は様々な形態をとってもよく、それらの例には、フィルムの形態、箔の形態、シートの形態、パネルの形態およびウエハーの形態などがある。
【0046】
本発明の方法の工程(2)において導電性金属組成物が基材上に適用される。基材が前述の層の少なくとも1つを設けられる場合、導電性金属組成物がこのような層上に適用されてもよい。導電性金属組成物は例えば、0.1〜100μmの乾燥フィルム厚さに適用されてもよい。導電性金属組成物の適用方法は、印刷、例えば、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、ノズル/押出印刷、エーロゾルジェット印刷であってもよく、またはそれはペンによる書き込みであってもよい。多様な適用方法によって導電性金属組成物を適用して、基材の全表面または1つの部分だけまたは複数の部分を被覆することができる。例えば、導電性金属組成物をパターンで適用することが可能であり、そこでパターンは、点または例えば10または20μmしかない乾燥線幅を有する細い線のような微細構造を含めてもよい。
【0047】
本発明の方法の工程(3)において、適用された導電性金属組成物を乾燥させて導電性金属化部分を基材上に形成する。この乾燥工程の主要な目標は、有機溶剤の除去である。しかしながら、乾燥工程はまた、金属化母材の高密度化を促進してもよい。乾燥は例えば、1〜60分間にわたって100〜240℃、または実施形態において130〜200℃、または、別の実施形態において、140〜<200℃の範囲の物体温度において行なわれてもよい。当業者は、工程(1)において提供された金属組成物および基材のポリエステル樹脂成分の熱安定性を考慮する物体温度を選択する。
【0048】
乾燥を例えばベルト式、回転式または固定乾燥機、または箱形炉を使用して行なうことができる。熱は対流によっておよび/またはIR(赤外線)放射線を利用して適用されてもよい。乾燥はエアブローイングによって補助されてもよい。
【0049】
代わりに、乾燥は全体的にみて基材の温度よりも高い金属化部分の局部温度をもたらす方法を使用して行なわれてもよく、すなわちこのような場合、基材の物体温度は、乾燥中に、室温しかなくてもよい。このような乾燥方法の例には、フォトニック加熱(高強度の光の吸収による加熱)、マイクロ波加熱および誘導加熱などがある。
【0050】
本発明の方法の工程(3)の終結後に得られた金属化基材が電子デバイスに相当する場合がある。しかしながら、それは電子デバイスの製造において一部分だけまたは中間物を形成することも可能である。前記電子デバイスの例には、RFID(高周波識別)デバイス、光電池デバイス、特に太陽電池、発光デバイス、例えば、ディスプレイ、LED(発光ダイオード)、OLED(有機発光ダイオード)、スマートパッケージングデバイス、およびタッチスクリーンデバイスなどがある。金属化基材が前記一部分だけまたは中間物を形成する場合、それはさらに加工される。前記さらなる加工の一例は、金属化基材を封入してそれを環境的な影響から保護することであってもよい。前記さらなる加工の別の例は、乾燥された金属化部分に前述の誘電体または活性層の1つ以上を提供することであってもよく、そこで活性層の場合、金属化部分と活性層との間に直接または間接の電気的接触が形成される。前記さらなる加工のさらに別の例は、後でシード金属化部分として作用する金属化部分の電気めっきまたは光誘起電気めっきである。
【実施例】
【0051】
実施例1〜11(導電性金属組成物の製造および試験、一般的な手順)
90℃まで加熱することによって熱可塑性ポリエステル樹脂をInvista製の二塩基性エステル溶媒DBE−3(ジメチルアジペート89重量%とジメチルグルタラート10重量%とを含有する混合物)9.8pbm(質量部)中に溶解して、粘性液体媒体を形成した。この媒体に銀粉末を添加し、得られた材料をジャイレートリーミキサーを使用して混合した。ポリエステル樹脂、銀粉末およびDBE−3の混合物が合計100pbmにならなかった場合、DBE−3を添加して残りを補った。次に、三本ロール練り機を使用して混合物をロール練りして、(Hegmanゲージを使用して定量された)十分に分散されたペーストを得た。このペーストを幅720μmのスクリーン開口を通して清浄なフロートガラス基材上に線としてスクリーン印刷し、その後、1時間190℃に予め設定された静的炉(static oven)内で乾燥させた。
【0052】
乾燥された印刷物の電気抵抗を4線プローブを使用して測定し、それから印刷物の抵抗率を計算した(μΩ・cm単位)。
【0053】
接着性をScotch(登録商標)600セロファンテープを使用して検査した。印刷された線にテープを適用し、印刷方向に180°において引っ張った。接着性の良好さをテープによって除去された材料の量によって測定した(除去されない=可、除去または部分的な除去=不可)
【0054】
鉛筆硬度をISO 15184によって試験した。
【0055】
表1は、製造された組成物の組成および試験結果を記載する。
【0056】
【表1】
本発明は以下の実施の態様を含むものである。
1.40〜450nmの範囲の平均粒度および3〜1:1のアスペクト比を有する銀粒子50〜94重量%と、10000〜150000の重量平均モル質量を有する熱可塑性ポリエステル樹脂1〜4重量%と、前記熱可塑性ポリエステル樹脂のための稀釈剤4〜49重量%とを含む導電性金属組成物。
2.前記銀粒子が前記組成物の60〜90重量%である、前記1に記載の導電性金属組成物。
3.前記熱可塑性ポリエステル樹脂が前記組成物の2〜3.5重量%である、前記1に記載の導電性金属組成物。
4.前記稀釈剤が前記組成物の7〜38重量%である、前記請求項1に記載の導電性金属組成物。
5.1つ以上の添加剤を含む、前記1に記載の導電性金属組成物。
6.40〜450nmの範囲の平均粒度および3〜1:1のアスペクト比を有する銀粒子50〜94重量%と、10000〜150000の重量平均モル質量を有する熱可塑性ポリエステル樹脂1〜4重量%と、前記熱可塑性ポリエステル樹脂のための稀釈剤4〜49重量%と、少なくとも1つの添加剤0〜<1重量%とからなる前記1に記載の導電性金属組成物であって、前記重量%の合計が100重量%になる、導電性金属組成物。
7.前記熱可塑性ポリエステル樹脂が直鎖ポリエステル樹脂である、前記1に記載の導電性金属組成物。
8.導電性金属化部分を基材上に製造するための方法であって、
(1)基材を提供する工程と、
(2)前記1に記載の導電性金属組成物を前記基材上に適用する工程と、
(3)前記適用された導電性金属組成物を乾燥させて導電性金属化部分を前記基材上に形成する工程とを含む、方法。
9.前記基材が1つ以上の材料を含む、前記8に記載の方法。
10.前記基材が2つ以上の材料を含み、前記材料のうちの1つ以上が、誘電体層および活性層からなる群から選択される、前記9に記載の方法。
11.前記活性層が、光活性層、発光層、半導電層および非金属導電層からなる群から選択される、前記10に記載の方法。
12.前記2つ以上の材料のうちの1つまたは1つ以上が有機ポリマー、無機非金属材料および金属からなる群から選択される塊状材料である、前記9に記載の方法。
13.前記導電性金属組成物が印刷またはペンによる書き込みによって適用される、前記8に記載の方法。
14.前記乾燥が、100〜240℃の範囲の物体温度において1〜60分間にわたって行なわれる、前記8に記載の方法。
15.前記乾燥がフォトニック加熱、マイクロ波加熱または誘導加熱によって行なわれる、前記8に記載の方法。