特許第6329097号(P6329097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6329097
(24)【登録日】2018年4月27日
(45)【発行日】2018年5月23日
(54)【発明の名称】コート粒子製造装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/08 20060101AFI20180514BHJP
   H05H 1/30 20060101ALI20180514BHJP
   H05H 1/32 20060101ALI20180514BHJP
   H05H 1/42 20060101ALI20180514BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20180514BHJP
   C01B 33/02 20060101ALI20180514BHJP
【FI】
   B01J19/08 K
   H05H1/30
   H05H1/32
   H05H1/42
   B01J2/00 B
   C01B33/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-63857(P2015-63857)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-182552(P2016-182552A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2017年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】曽根 宏隆
(72)【発明者】
【氏名】合田 信弘
(72)【発明者】
【氏名】杉山 佑介
(72)【発明者】
【氏名】牧 剛志
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隆行
(72)【発明者】
【氏名】田中 学
(72)【発明者】
【氏名】岡元 大輔
(72)【発明者】
【氏名】影山 拓也
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−246203(JP,A)
【文献】 特開2007−138287(JP,A)
【文献】 特開2011−168412(JP,A)
【文献】 特開2016−131935(JP,A)
【文献】 特開平07−053272(JP,A)
【文献】 特表平06−502686(JP,A)
【文献】 特開2009−248082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/00 − 19/32
H05H 1/00 − 1/54
C01B 33/00 − 33/193
B01J 2/00 − 2/30
C04B 35/628
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ発生領域と前記プラズマ発生領域に連絡する冷却領域とを有する反応室と、前記プラズマ発生領域にプラズマ炎を発生させるプラズマ発生要素と、前記プラズマ発生領域に粒子源を供給する粒子源供給要素と、前記冷却領域から前記プラズマ発生領域に向けてガス状のコート源を供給するコート源供給要素と、を有し、
前記コート源供給要素は、前記冷却領域から前記プラズマ発生領域に向けて延び前記プラズマ発生領域に向けて開口する供給管を有する、コート粒子製造装置。
【請求項2】
前記供給管の開口は、前記プラズマ発生要素が発生させる前記プラズマ炎の尾炎部よりも前記冷却領域側にある、請求項に記載のコート粒子製造装置。
【請求項3】
前記コート源は、炭化水素ガスおよび/またはその誘導体ガスである、請求項1又は請求項2に記載のコート粒子製造装置。
【請求項4】
外界から前記反応室への大気の流入を妨げる遮断要素を備える、請求項1〜請求項の何れか一項に記載のコート粒子製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子と、当該粒子をコートするコート層とを有するコート粒子を製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ炎を用いて粒子を製造する技術が知られている。例えば、プラズマ発生要素により発生したプラズマ炎に、粒子の原料つまり粒子源を曝すことで、種々の粒子を得ることができるとされている。このような技術の一例として、特許文献1に紹介されているように、粒子状の粒子源をプラズマ炎により溶融させて球状の粒子を得る技術を挙げることができる。或いは、特許文献2に紹介されているように、粒子源を2種以上の材料で構成して化合物および/または複合材料からなる粒子を形成する技術を挙げることができる。
【0003】
このように、プラズマ炎を用いて粒子を製造する技術としては従来から様々なものが知られているが、近年では、多様な粒子製造技術の開発が求められており、プラズマ炎を用いた粒子製造技術についても更なる発展が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−246203号公報
【特許文献2】特開2011−168412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、プラズマを用い粒子を製造するための新規な製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者等は、鋭意研究の結果、特別な製造装置を用いて、上記した粒子源をプラズマ炎に供給するとともに、プラズマ炎を通過した粒子源にガス状のコート源を供給して、粒子源を原料とする粒子にコート源を原料とするコート層が形成された粒子を得るに至った。
【0007】
より詳しくは、上記課題を解決する本発明のコート粒子製造装置は、
プラズマ発生領域と前記プラズマ発生領域に連絡する冷却領域とを有する反応室と、前記プラズマ発生領域にプラズマ炎を発生させるプラズマ発生要素と、前記プラズマ発生領域に粒子源を供給する粒子源供給要素と、前記冷却領域から前記プラズマ発生領域に向けてガス状のコート源を供給するコート源供給要素と、を有する装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコート粒子製造装置によると、粒子の表面の少なくとも一部がコート層で覆われたコート粒子を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例のコート粒子製造装置を模式的に表す説明図である。
図2】実施例のコート粒子製造装置で製造したコート粒子のEDX分析結果である。
図3】実施例のコート粒子製造装置で製造したコート粒子のEDX分析結果である。
図4】実施例のコート粒子製造装置で製造したコート粒子のEDX分析結果である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、必要に応じて、本発明のコート粒子製造装置を単に「本発明の装置」と略する場合がある。また、本発明のコート粒子製造装置で得られたコート粒子を、単に「本発明のコート粒子」と略する場合がある。さらに、後述する実施例のコート粒子製造装置を単に「実施例の装置」と略する場合がある。
【0011】
本発明の装置によると、上記したように、粒子源を原料とする粒子と、コート源を原料とし当該粒子の少なくとも一部を覆うコート層と、を有するコート粒子を製造し得る。
本発明の装置においては、粒子源供給要素が供給する粒子源をプラズマ炎に通過させることで、少なくとも一部がプラズマ処理されてなる粒子を得ることができる。そして、粒子源供給要素とは別に設けたコート源供給要素が供給するコート源を当該粒子に接触させることで、粒子の表面の少なくとも一部にコート層を形成することができる。コート層は粒子上に形成されれば良く、コート層と粒子とが完全に異なる組成であっても良いが、コート層の一部と粒子の一部とが同じ組成であっても良い。つまり、コート層の一部と粒子の一部とが界面で反応していても良い。
【0012】
以下、具体例を挙げつつ本発明のコート粒子製造装置を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施形態中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
【0013】
(実施例)
実施例のコート粒子製造装置を模式的に表す説明図を図1に示す。
図1に示すように、実施例のコート粒子製造装置は、プラズマ発生要素1と、粒子源供給要素3と、チャンバ5と、コート源供給要素7と、遮断壁8と、を有する。
【0014】
プラズマ発生要素1は、プラズマ炎を発生させるための装置であり、実施例においては高周波誘導熱プラズマ装置を用いた。高周波誘導熱プラズマ装置は、プラズマ発生部10と制御部20とを有する。実施例の製造装置におけるプラズマ発生部10は、高周波電源11、誘導コイル12、冷却要素13、および、ガス供給要素14を有する。制御部20については後述する。高周波電源11は誘導コイル12に電気的に接続され、誘導コイル12は略筒状をなすプラズマトーチ50の外周部に巻回されている。プラズマトーチ50は、後述する反応室52の一部を構成する。
【0015】
実施例におけるガス供給要素14は第1供給経路15、第2供給経路16および第3供給経路17からなる3つの経路でプラズマトーチ50にガスを供給する。ガス供給要素14がプラズマトーチ50に供給するガスは、上記したプラズマ発生要素1によってプラズマ化され易いガスである。以下、必要に応じて、当該「プラズマ化され易いガス」を「プラズマガス」と呼ぶ。実施例においてはプラズマガスとしてArおよびHeを用いた。
【0016】
プラズマ発生要素1は、プラズマ炎を発生させ得るものであれば良く、当該プラズマ発生要素1が生じるプラズマ炎は、所謂熱プラズマであっても良いし、低温プラズマであっても良い。本発明の装置で製造しようとする粒子が粒子径の小さいものである場合、特に平均粒子径500nm以下のナノ粒子を製造する場合には、プラズマ発生要素1として熱プラズマを生じ得るものを用いるのが好ましい。熱プラズマを発生させる方法としては、実施例で用いた高周波誘導加熱に限らず、直流アーク放電やマイクロ波等を用いても良い。
【0017】
第1供給経路15にはArガスが流通する。第1供給経路15は第1経路15aおよび第1経路15bとを有する。第1経路15aは、Arガス用のガス容器40と、制御部20と、に連絡する。第1経路15bは、制御部20と、プラズマトーチ50と、に連絡する。制御部20は、第1経路15aと第1経路15bとの間に介在する図略の電磁弁と、当該電磁弁を開閉制御可能な図略の演算要素と、を有する。したがって制御部20は、第1供給経路15を通じてプラズマトーチ50にArガスを供給するとともに、当該Arガスの流量を自在に調整可能である。第1供給経路15はプラズマトーチ50における径方向の略中心部分にArガスを供給する。
【0018】
第2供給経路16にはArガスとHeガスとの混合ガスが流通する。Heガスはプラズマガスとして機能する。ArガスとHeガスとの混合ガスをプラズマガスとして用いることで、Arガスのみをプラズマガスとして用いる場合に比べてプラズマ炎の温度を高めることができる。HeガスとArガスとの比率にもよるが、実施例の装置を用いる場合には、Arガスのみをプラズマガスとして用いる場合のプラズマ炎の温度は10000℃程度であり、ArガスとHeガスとの混合ガスをプラズマガスとして用いる場合のプラズマ炎の温度は15000℃程度である。Arに混合するプラズマガスとしては、混合ガスの総熱量を高め得るものを使用でき、例えばHe以外にもHやNを例示できる。
さらに、He等の熱伝導率の高いプラズマガスを用いることで、装置の冷却効率を向上させることができ、その結果プラズマの出力を大きくでき、ひいてはプラズマ炎の温度を高め得る利点もある。さらには、熱伝導率の高いプラズマガスを用いれば、粒子源の加熱効率を向上させ得る利点もある。
【0019】
第2供給経路16は第2経路16a、第2経路16b、および、第2経路16cで構成されている。
第2経路16aはArガス用のガス容器40と制御部20とに連絡する。第2経路16aは、第1供給経路15の第1経路15aと共通である。第2経路16bは、Heガス用のガス容器41と、制御部20と、に連絡する。第2経路16cは、制御部20とプラズマトーチ50とに連絡する。
【0020】
制御部20は、第2供給経路16を通じてプラズマトーチ50にArガスとHeガスとの混合ガスを供給するとともに、図略の電磁弁および演算要素により当該混合ガスの流量を自在に調整可能である。第2供給経路16は第1供給経路15よりも径方向外側の位置においてプラズマトーチ50に混合ガスを供給する。
【0021】
第3供給経路17にはArガスが流通する。第3供給経路17は粒子源供給要素3に接続され、粒子源供給要素3はプラズマトーチ50に接続されている。粒子供給要素3は、収容槽30と、収容槽30とプラズマトーチ50とに連絡する粒子源供給経路30aとを有する。実施例において、粒子源としては平均粒子径3〜5μm程度のSi粉末を用いた。このSi粉末は粒子源供給要素3の収容槽30に収容される。
【0022】
第3供給経路17に流通するガスはArであり、第3供給経路17は、第3経路17a、第3経路17b、および、上記の粒子供給要素3の一部からなる粒子源供給経路30aを有する。第3経路17aは、Arガス用のガス容器40と制御部20とに連絡する。第3経路17aは、第2経路16aおよび第1経路15aと共通である。第3経路17bは、制御部20と収容槽30とに連絡する。収容槽30に供給されたArガスは、粒子源つまりSi粉末とともに、粒子源供給経路30aを通ってプラズマトーチ50に供給される。つまり粒子源はArガスによって搬送され、プラズマトーチ50に供給される。制御部20は第3供給経路17を通じて収容槽30の内部にArガスを供給するとともに、図略の電磁弁および演算要素によって当該Arガスの流量、および、当該Arガスによって運搬されプラズマトーチ50に供給される粒子源の量を調整可能である。
【0023】
実施例においては粒子源としてSi粉末つまり粉末状をなす単一または略単一の物質を用いたが、粒子源はこれに限らず種々のものを使用可能である。例えば、粒子源はガス状であっても良いし、液体状であっても良い。或いは、粒子源を2種以上の物質で構成しても良い。この場合、異なる2種の粒子源はプラズマ炎を通過することで反応し化合物となっても良いし、プラズマ炎を通過する前に反応して化合物となっても良いし、互いに反応せずに単一物質の混合物のままであっても良い。つまり、粒子源は、プラズマ炎により何らか処理がなされ得るものであれば良い。
【0024】
粒子源として固体のものを用いる場合には、プラズマ炎に略均一に曝されるように、粉末状にするのが好ましい。粉末状の粒子源としては、具体的には、平均粒子径10mm以下のものが好ましく、1mm以下のものがより好ましく、100μm以下のものが更に好ましい。取り扱い性を考慮すると、粉末状の粒子源は、平均粒子径100nm以上のものが好ましく、500nm以上のものがより好ましく、1μm以上のものが更に好ましい。なお、ここでいう平均粒子径とは、一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置で測定した場合のD50を指す。
【0025】
何れの場合にも、粒子源はプラズマ炎を通過した後に粒子を形成すれば良く、更に言えば、粒子源はプラズマ炎を通過した後に、後述するコート層によってコートされる核のようなものを構成するのが良い。実施例では粒子源をプラズマガスであるArガスによって搬送したが、粒子源を搬送するガスは他の供給経路に流通するプラズマガスとは異なるプラズマガスであっても良く、例えば、上記したArガスやHeガスよりもプラズマ化し難いものを用いても良い。
【0026】
粒子源がガス状である場合、プラズマガスつまりArガスやHeガスと同様に、粒子源ガスの供給量を制御部20で直接制御しても良い。この場合、粒子源供給要素3に収容槽30を設けなくても良い。そしてこの場合には、粒子源供給経路30aは粒子源ガス用のガス容器(図略)と制御部20とに連絡するとともに、制御部20とプラズマトーチ50とに連絡すれば良い。なお、この場合にも、必要に応じて粒子源ガスとプラズマガスとの混合ガスをプラズマトーチ50に供給しても良い。粒子源ガスと混合するガスは、上記と同様に、他の供給経路に流通するプラズマガスと同じものであっても良いし、異なっても良い。
【0027】
冷却要素13はプラズマ発生要素1を冷却する。冷却要素13は、第1供給経路15〜第3供給経路17とプラズマトーチ50との接続部分付近を冷却する第1冷却経路13aと、プラズマトーチ50を冷却する第2冷却経路13bと、を有する。第1冷却経路13aおよび第2冷却経路13bにはクーラントが流通する。実施例の装置においてはクーラントとして水を用いている。クーラントの流通方向は、図1中白抜き矢印で示す方向である。
【0028】
チャンバ5は、上記したプラズマトーチ50と主室51とを有する。主室51はプラズマトーチ50よりも大型の有底筒状をなし、プラズマトーチ50は主室51の上方に配置され、プラズマトーチ50の内部と主室51の内部とは連通している。
【0029】
主室51の内部には、さらに、筒状をなす遮断壁8が配設されている。遮断壁8の内部には、供給管70が収容されている。遮断壁8は主室51の中心部に配置され、上下方向に延び、主室51の内部を径方向に二つに区画している。主室51のなかで遮断壁8の内側に位置する領域を内部領域55と呼び、遮断壁8の外側に位置する領域を外部領域56と呼ぶ。
プラズマトーチ50の内部54、および、これに連続する内部領域55の上部分は、プラズマ炎6が発生するプラズマ発生領域Xを構成する。内部領域55の下部分はプラズマ発生領域Xに連絡する冷却領域Yを構成する。したがって、実施例の装置においては、プラズマトーチ50および遮断壁8によって、プラズマ発生領域Xおよび冷却領域Yを有する反応室52が区画形成されている。
【0030】
反応室52はコート源供給要素7に連絡している。コート源供給要素7は筒状をなす供給管70と、供給管70に連絡するコート源供給部71とを有する。コート源供給部71は、第4経路71aと第4経路71bとを有する。第4経路71aは、ガス状のコート源を収容するガス容器42と、制御部20と、に連絡する。第4経路71bは、制御部20と供給管70とに連絡する。
【0031】
反応室52における冷却領域Yを区画する底壁52wには、反応室52の内外を連通する開口52oが設けられている。供給管70はこの開口52oに挿通され、冷却領域Yからプラズマ発生領域Xに向けて延びるとともに、プラズマ発生領域Xに向けて開口する。より具体的には、供給管70の開口70oはプラズマトーチ50の開口50oに対面し、プラズマトーチ50の開口50oよりも冷却領域Y側にある。実施例の装置において、供給管70の開口70oとプラズマトーチ50の開口50oとの距離は200mmであった。実施例におけるコート源ガスは、CHガスとArガスとの混合ガスであり、このコート源ガスは第4経路71bおよび供給管70に流通する。具体的にはCHガスの流量は1L/分であり、Arガスの流量は9L/分であった。
【0032】
遮断壁8には連通口80aが設けられ、主室51の周壁にはこの連通口80aに対向する位置に連通口80bが設けられている。連通口80aには筒状の排気管81の一端部が固着されている。つまり、排気管81の一端部は連通口80aを通じて反応室52に開口している。排気管81の他端部は、連通口80bに挿通されて外界に延びている。排気管81の他端部には排気フィルタ82が取り付けられている。したがって、反応室52と外界とは、排気管81および排気フィルタ82を通じて連絡する。なお、排気フィルタ82のさらに先側には図略の吸引ポンプが取り付けられ、吸引ポンプは反応室52内のガスを外界に向けて吸引している。供給管70と主室51との継ぎ目73a、遮断壁8と主室51との継ぎ目73b、遮断壁8における連通口80aの周縁部と排気管81との継ぎ目73d、および、主室51における連通口80bの周縁部と排気管81との継ぎ目73fは、気密に封止されている。したがって、遮断壁8の内側つまり反応室52から外界への大気の流出は許可されているものの、外界から反応室52への大気の流入は抑止されている。言い換えると、外界から反応室52への大気の流入は、遮断壁8によって妨げられている。つまり、遮断壁8は本発明の装置における遮断要素に相当する。
【0033】
遮断壁8には反応室冷却経路78が一体化されている。反応室冷却経路78は、内部に流通するクーラントによって遮断壁8および反応室52を冷却する。上記した冷却要素13と同様に、反応室冷却経路78に流通するクーラントは水である。
【0034】
以下、実施例の装置の動作を説明する。
誘導コイル12が高周波電源11からの給電を受けると、誘導コイル12の近傍にある導電体が誘導加熱される。実施例においては、誘導コイル12はプラズマトーチ50に巻回されているため、導電体であるプラズマトーチ50が発熱し、プラズマトーチ50の内部54もまた加熱される。プラズマトーチ50の内部54には第1供給経路15〜第3供給経路17によりプラズマガスが供給されているため、プラズマトーチ50の内部54においては、プラズマガスがプラズマ化されて、プラズマ炎6が生じる。
【0035】
プラズマトーチ50の内部54には、粒子源供給経路30aを介して粒子源が供給される。この粒子源は、第3供給経路17に流通するプラズマガスとともにプラズマトーチ50に供給され、プラズマ炎6に曝される。プラズマ炎6の温度は15000℃程度であり、Siの沸点よりも高温であるため、プラズマ炎6に曝された粒子源の少なくとも一部は溶融および/または気化して、液状および/またはガス状になると推測される。実施例においては平均粒子径3〜5μm程度の比較的小径のSi粉末を用いているため、粒子源の大部分はガス状になると推測される。
【0036】
なお、実施例においては、高周波電源11の出力は電力33kW、周波数4MHzであった。第1供給経路15には、Arガスを流量5L/分で流通させた。第2供給経路16には、ArガスとHeガスとの混合ガスを、Arガスの流量55L/分、かつ、Heガスの流量5L/分で流通させた。第3供給経路17には、Arガスを流量3L/分で流通させた。これらのプラズマガスは、上記の各流量でプラズマトーチ50に供給された。実施例の装置において、反応室52内の圧力は101.3kPaであった。さらに、粒子源つまりSi粉末のプラズマトーチ50への供給量は600mg/分であった。
【0037】
ところで、上述したように遮断壁8は水冷されているため、反応室52の内部の温度は、プラズマトーチ50の内部54から遮断壁8の内部つまり内部領域55に向けて急変する。換言すると、反応室52の内部の温度は、プラズマ発生領域Xから冷却領域Yに向けて急変する。さらに換言すると、反応室52の内部においては、プラズマ発生領域Xから冷却領域Yに向けて非常に大きな温度勾配が生じる。このため、液状およびガス状の粒子源は急冷されて相変化し、同時に多数の微粒子が生成すると考えられる。ここで、温度勾配が小さいと、生成した粒子に他の粒子が結着することで、粒子が大きく成長すると考えられる。したがって、この温度勾配が大きければ大きい程、小径の粒子を得ることができるといえる。
【0038】
反応室52の内部には、冷却領域Yからプラズマ発生領域Xに向けて、供給管70が延設され、この供給管70からプラズマ発生領域Xに向けて、ガス状のコート源が供給される。実施例の装置ではコート源としてCHを用いているため、このとき、プラズマ処理で得られた粒子の表面にCHガスが接触する。プラズマ発生領域X或いはその近傍の温度や、粒子表面の温度は比較的高いため、供給管70から供給されたCHガスは粒子表面で分解され、粒子表面には炭素のコート層が形成されると考えられる。コート源ガスの流量は適宜設定すれば良く、実施例のようにプラズマガスとして使用したガスと同じガスに混合して用いても良いし、コート源ガスを単独で用いても良い。コート層を形成することだけを考慮すると、0.1〜5L/分程度のコート源ガスを供給すれば良く、上記したプラズマ発生領域Xから冷却領域Yに向けて温度勾配を大きくすることを考慮すると、10〜20L/分程度のコート源ガスを供給するのが好ましい。なお、実施例のように、上記の範囲の流量のコート源ガスにさらにArガス等のガスを加えた混合ガスを用いることで、必要以上に多量のコート源ガスを用いることなく、大きな温度勾配を形成するのに充分な量のガスを反応室52に供給できる。
【0039】
炭素のコート層が形成された粒子、つまり、コート粒子は、自重で反応室52の下部に降下する。主室51の周壁には開閉可能な第1の窓部(図略)が設けられ、遮断壁8には、第1の窓部に対面する位置に第2の窓部(図略)が設けられている。第1の窓部および第2の窓部は開閉可能であり、第1の窓部および第2の窓部を開くことでコート粒子を回収可能である。なお、窓部を閉じると、主室51の周壁における第1の窓部以外の部分と第1の窓部とは気密にシールされ、また、遮断壁8における第2の窓部以外の部分と第2の窓部とは気密にシールされる。窓部の位置は特に問わず、例えば主室51の底壁52wであっても良い。或いは、フィルター82からコート粒子を回収しても良い。
【0040】
実施例の装置で得られたコート粒子は、平均粒子径10〜100nm程度であった。なお、コート粒子の平均粒子径は、粉末を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などの電子顕微鏡で観察した場合における、粒子の最長径の算術平均値を意味する。
【0041】
実施例の製造装置で得られたコート粒子をMo製のメッシュ上に分散させて、コート粒子をこのメッシュごとTEMによって透過した。得られたコート粒子のTEM像における、(I)中心部、(II)周縁部、および、(III)中心部と周縁部との境界部分、の3箇所を、EDXを用いて組成分析した。結果を図2図4に示す。
なお、図2はコート粒子における(I)中心部の組成分析結果であり、図3はコート粒子における(II)周縁部の組成分析結果であり、図4はコート粒子における(III)中心部と周縁部との境界部分の組成分析結果である。
【0042】
図2に示すように、コート粒子の中心部においてはSiに由来するピークの強度が高く、その他のピークは殆どなかった。このため、コート粒子の中心部分はSiを主成分とする粒子で構成されているといえる。また、図3に示すように、コート粒子の周縁部においてはCに由来するピークの強度が高く、Siに由来するピークの強度は非常に低い。このため、コート粒子の周縁部は、Cを主成分とするコート層で構成されているといえる。さらに、図4に示すように、コート粒子の中心部と周縁部との境界部分においては、Cに由来するピークの強度とSiに由来するピークの強度とが同程度であった。このため、コート粒子における中心部と周縁部との境界部分は、SiとCとが混在しているといえ、当該境界部分はSiCつまりコート源と粒子源との反応生成物で構成されていると推測される。
【0043】
また、図4図3とを照らし合わせると、コート粒子の境界部分においてはCに対するSiの比が比較的高いのに対して、コート粒子の周縁部においてはCに対するSiの比が非常に低いといえる。このため、コート粒子の周縁部つまりコート層は、SiCつまりコート源と粒子源との反応生成物ではなく、主としてコート源に由来するCで構成されていることがわかる。つまりこの結果から、実施例の装置によると、粒子源を原料とする粒子がコート源を原料とするコート層で覆われた2層構造のコート粒子を得られるといえる。
なお、図2に示すように、コート粒子の中心部(I)においてもCに由来するピークが検出される。これは、主としてコート粒子表面に存在したCが透過したものと考えられる。
【0044】
ところで、例えば、コート源を粒子源とともにプラズマ発生領域Xに供給する場合には、コート源もまたプラズマ炎6に曝され、粒子源の大部分とコート源の大部分とが反応してしまう場合がある。このような場合には、粒子源を原料とする粒子がコート源を原料とするコート層で覆われた2層構造のコート粒子を得るのが困難になる場合がある。つまり、粒子源とコート源とをともにプラズマ炎6に曝す場合には、コート源と粒子源との反応生成物が得られるために、上記した2層構造のコート粒子が得られない場合がある。
【0045】
本発明の装置によると、コート源を粒子源とは異なる経路で反応室52に供給することで、上記した2層構造のコート粒子を得ることが可能である。特に、実施例の装置のように供給管70によってコート源を適正な位置にまで案内することで、コート源と粒子源との不都合な反応の頻度を低下させることができ、コート粒子を製造し易い利点がある。さらに、本発明の装置は、粒子形成とコート層形成とを同一の反応場でおこなうことができるため、大気や水分に反応して不安定な成分を含む粒子についても、当該反応を回避または抑制しつつ好適に炭素コートされたコート粒子を提供できる利点がある。
【0046】
実施例の装置は供給管70を持つが、本発明の装置においては供給管70は必須ではない。例えば、冷却領域Yに開口を設け、この開口からプラズマ発生領域Xに向けてガス状のコート源を吐出しても良い。この場合、コート源を吐出する開口は、冷却領域Yにおいてプラズマトーチ50の開口50oに対面する位置に設けるのが好ましい。そして、ガス状のコート源を、プラズマトーチ50の開口50oから流出するプラズマガスに対向する方向に、かつ、プラズマガスの流体圧に対抗してガス状のコート源が粒子に届くような流量で、吐出できれば良い。この場合にも、プラズマ発生領域Xの逆側つまり冷却領域Y側からプラズマ発生領域Xに向けてガス状のコート源を供給することで、コート源がプラズマ炎6に曝され難くなり、コート源のプラズマ化や燃焼等を抑制するとともに、コート源と粒子源との不都合な反応を抑制できる。したがって、この場合においても本発明の装置は、コート源と粒子源との反応生成物の生成を抑制しつつコート粒子を製造するのに有利である。
【0047】
他方、反応室52の内部においてコート源が粒子に接触する位置が、プラズマ尾炎部60から大きく離間していると、コート源がプラズマ炎6によって充分に加熱されず、コート源によるコート層を粒子上に充分な厚さに形成し難くなる場合もある。このため、反応室52の内部へのコート源の供給位置は、適正にコントロールするのが好ましいと考えられる。
【0048】
反応室52の内部へのコート源の好ましい供給位置は、プラズマ炎6のプラズマ尾炎部60よりもやや冷却領域Y側であると考えられる。コート源をこのような位置に供給するためには、コート源を供給管70によってプラズマ尾炎部60の近傍にまで搬送し、かつ、供給管70の開口70oとプラズマ炎6との位置関係をコントロールするのが良いと考えられる。なお、本発明で言うプラズマ尾炎部60とは、プラズマ炎6の先端部を指す。
【0049】
プラズマ炎6はプラズマトーチ50内で生じるため、通常は、プラズマ尾炎部60はプラズマトーチ50の内部54にあるか、プラズマトーチ50の開口50o付近にある。このため、供給管70の開口70oが、プラズマ尾炎部60つまりプラズマ炎6の先端部よりも更に冷却領域Y側にあれば、コート源の全量がプラズマ炎6に直接曝されることはなく、コート源の全量が粒子源と不都合に反応してしまうこともない。
【0050】
実施例の装置においては、供給管70の開口70oとプラズマトーチ50の開口50oとの位置関係を所定の関係にすることで、コート源の供給位置を適正な位置にすることができる。プラズマトーチ50の開口50oと供給管70の開口70oとの距離は150mm以上であるのが好ましく、175mm以上であるのがより好ましく、200mm以上であるのがさらに好ましい。コート源と粒子源との不都合な反応を抑制するという観点からは、プラズマトーチ50の開口50oと供給管70の開口70oとの距離に上限はないが、厚膜のコート層を形成すると言う観点からは、プラズマトーチ50の開口50oと供給管70の開口70oとはある程度近接しているのが好ましく、プラズマトーチ50の開口50oと供給管70の開口70oとの距離は、500mm以下であるのが好ましく、400mm以上であるのがより好ましく、300mm以上であるのがさらに好ましい。
【0051】
実施例の装置は粒子源としてSi粉末を用いたが、既述したように本発明の装置はこれに限らず種々の粒子源を使用可能である。またコート源に関しても、ガス状であれば良く、実施例で用いたCHに限定されない。例えば、本発明の装置で炭素のコート層を形成する場合には、炭化水素ガスおよび/またはその誘導体ガスを用いるのが好ましい。
【0052】
コート源として使用可能な炭化水素ガスおよび/またはその誘導体ガスとしては、具体的には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類、アセチレン、メチルアセチレン、ブチン、ペンチン、へキチン、ヘプチン、オクチン等のアルキン類、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキテン、ヘプテン、オクテン等のアルケン類、フルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン等のフロン類、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピルブチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、フラン等の芳香族類が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、複数種を併用しても良い。なお、コート源は、少なくとも一部がガス状であれば良く、全体がガス状でなくても良い。
【0053】
実施例の装置においては、遮断要素によって外界から反応室52へのガスの流入を妨げている。このため反応室52内に可燃性ガスであるCHを供給しかつプラズマ炎6を発生させているにも拘らず、実施例の装置は安全性に優れる。
【0054】
実施例の装置においては筒状の遮断壁8を遮断要素としたが、本発明の装置における遮断要素はこれに限定されない。例えば、遮断壁8を設けず、排気管81と主室51との継ぎ目73fをシール材でシールして、このシール材を遮断要素としても良い。何れの場合にも、遮断要素は外界から反応室52への大気の流入経路を遮断できれば良い。更には、フロン等の不燃性のガスをコート源に用いる場合等には、本発明の装置は遮断要素を持たなくても良い。
【0055】
実施例の装置においては、プラズマトーチ50が上下に延び、プラズマ炎6が上方から下方に向けて発生するため、チャンバ5の上部領域がプラズマ発生領域Xを構成し、チャンバ5の下部領域が冷却領域Yを構成しているが、本発明の装置はこれに限定されない。例えばプラズマトーチ50を水平方向に向け、プラズマ発生領域Xと冷却領域Yとを水平方向に並設しても良い。
この場合、コート粒子はプラズマガス等により水平方向に搬送されて冷却領域Yに到達する。つまり、反応室52において、プラズマ発生領域Xはプラズマ発生要素1の近傍に形成され、冷却領域Yはプラズマ発生領域Xに対してプラズマガスの流れ方向の先側に形成されると言い換えることもできる。
【0056】
実施例の装置においては、反応室冷却経路78により反応室52、より詳しくは反応室52における冷却領域Yを冷却した。これは、プラズマ発生領域Xから冷却領域Yに至る粒子の通過経路の温度勾配を大きくすることで、小径の粒子を得るためである。上記したように、実施例の装置においては、平均粒子径1μm未満の微細なコート粒子が得られる。なお、ガス状のコート源は冷却領域Yを経てプラズマ発生領域Xに向けて供給されるため、プラズマ炎6を通過した粒子に比べると低温である。したがって、コート源をプラズマ発生領域Xに近い位置において粒子に接触させることで、プラズマ発生領域Xから冷却領域Yに至る粒子の通過経路の温度勾配をより大きくし、粒子を急冷することでより微細な粒子を得ることが可能である。
【0057】
また、少なくとも、反応冷却経路78よりもプラズマ発生領域Xに近い位置でコート源を粒子に接触させれば、プラズマ発生領域X近傍における反応室52の温度勾配を充分に大きくして粒子を急冷でき、微細なコート粒子を製造可能である。つまり、微細なコート粒子を製造するためには、供給管70の開口70oを反応冷却経路78よりもプラズマ発生領域Xに近い位置に設けるのが良い。
【0058】
なお、本発明の装置は、このように小径の粒子を製造するのに有利であるが、例えば、これよりも大径の粒子を製造する場合には、反応室冷却経路78を設けなくても良い。
【0059】
更には、排気管81に通じる連通口80aは外界と連絡しているため、比較的低温となる。したがって、微細なコート粒子を製造するためには、供給管70の開口70oを連通口80aよりもプラズマ発生領域Xに近い位置に設けるのが良い。
【0060】
実施例の装置において、供給管70および遮断壁8については、公知の熱プラズマ装置、例えば、高周波誘導熱プラズマ装置におけるプラズマトーチ50や主室51と同様の材料で構成すれば良く、例えば、ステンレススチール等の金属や、セラミックス、熱耐性プラスチック等を材料とすれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の装置で製造されるコート粒子の用途は特に限定しないが、例えば、実施例のように平均粒子径1μm未満の微細なコート粒子であれば、リチウムイオン二次電池の負極活物質として好適に使用可能である。つまり、本発明の装置は、例えば、リチウムイオン二次電池の負極活物質を製造するための装置として具現化できる。勿論、コート源として正極活物質の材料を選択すれば、同様に、本発明の装置を正極活物質を製造するための装置として具現化することもできる。
【0062】
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【0063】
本発明の装置は、以下のように表現できる。
〔1〕プラズマ発生領域Xと前記プラズマ発生領域Xに連絡する冷却領域Yとを有する反応室52と、前記プラズマ発生領域Xにプラズマ炎6を発生させるプラズマ発生要素1と、前記プラズマ発生領域Xに粒子源を供給する粒子源供給要素3と、前記冷却領域Yから前記プラズマ発生領域Xに向けてガス状のコート源を供給するコート源供給要素7と、を有する、コート粒子製造装置。
〔2〕前記コート源供給要素7は、前記冷却領域Yから前記プラズマ発生領域Xに向けて延び前記プラズマ発生領域Xに向けて開口する供給管70を有する、〔1〕に記載のコート粒子製造装置。
〔3〕前記供給管70の開口70oは、前記プラズマ発生要素1が発生させる前記プラズマ炎6の尾炎部60よりも前記冷却領域Y側にある、〔2〕に記載のコート粒子製造装置。
〔4〕前記コート源は、炭化水素ガスおよび/またはその誘導体ガスである、〔1〕〜〔3〕の何れか一項に記載のコート粒子製造装置。
〔5〕外界から前記反応室52への大気の流入を妨げる遮断要素8を備える、〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載のコート粒子製造装置。
【符号の説明】
【0064】
1:プラズマ発生要素 3:粒子源供給要素 6:プラズマ炎
7:コート源供給要素 8:遮断要素
X:プラズマ発生領域 Y:冷却領域
52:反応室 60:プラズマ炎の尾炎部
70:供給管 70o:供給管の開口
図1
図2
図3
図4