(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態に係る記録媒体取扱い装置30について説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る記録媒体取扱い装置30の構成を概念的に示した側面図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る記録媒体取扱い装置30の構成を概念的に示した上面図である。
【0019】
図3は、本実施形態に係る記録媒体取扱い装置30に挿入される記録媒体(磁気カード)1の構成を例示する上面図である。記録媒体1は、例えば矩形または略矩形状形状であり、その表面に、磁気化された情報が長手方向に記録されている部位(磁気ストライプ)21を含む。なお、矢印24は、記録媒体1を、記録媒体1の短方向に沿った端面を先頭に、図示していない既存の磁気データ処理装置の記録媒体挿入口(例えば、現金自動預け払い機のカード挿入口等)に挿入する際の挿入方向を利用者等に示す。
【0020】
図1および
図2には、本実施形態に係る記録媒体取扱い装置30に記録媒体1が挿入された状態で表されている。
図1および
図2を参照すると、記録媒体取扱い装置30は、開口(カード挿入口)4と、センサ5と、搬送部26と、制御部17とを有する。
【0021】
開口4は、
図2に示すように、記録媒体1を、その長手方向に沿った端面を先頭にして挿入可能な幅をなす。
【0022】
センサ5は、開口4よりも記録媒体取扱い装置30の内側(紙面右方向)の、開口4近傍に設けられる。
【0023】
センサ5は、記録媒体1が長手方向に沿った端面を先頭にして開口4に挿入されたことを検出可能である。センサ5は、記録媒体1が長手方向に沿った端面を先頭にして開口4に挿入された場合に記録媒体1を検出可能なように、一例として記録媒体取扱い装置30の内側の上部に、挿入された記録媒体1の長手方向に亘って設けられる。本実施形態において、センサ5は、物体等の在否を検出可能な、例えば光電センサである。センサ5は、当該長手方向に亘って物体等の在否を検出可能であれば、他の方式のセンサであってもよく、一体ではなく、分離された複数のセンサで構成されていてもよい。
【0024】
搬送部26は、開口4よりも記録媒体取扱い装置30の内側の、開口4近傍に設けられ、開口4に挿入された記録媒体1を、所定位置に搬送可能である。所定位置とは、開口4から奥方向(紙面右方向)に設けた、例えば既設の磁気カード処理装置(不図示)等のカード挿入口(不図示)である。搬送部26は、例えばベルトや、ローラ等によって構成された一般的な搬送機構である。
【0025】
センサ5および搬送部26は、制御部17にそれぞれ接続されている。
【0026】
制御部17は、センサ5が出力する検出結果に応じて、搬送部26の動作を制御する。
【0027】
次に、本実施形態における記録媒体取扱い装置30の動作について説明する。
【0028】
本実施形態において、利用者等は、磁気カード1を、磁気ストライプ21が伸びる方向と直交するように、長手方向に沿った端面を先頭にして開口4に挿入するものとする。磁気カード1の長手方向に沿った端面を先頭にした開口4への挿入方向は、以降、「正規方向」と称することとする。
【0029】
センサ5は、磁気カード1が正規方向に開口4に挿入されたか否かを検出し、その検出結果を制御部17に通知する。
【0030】
制御部17は、センサ5から受け取った検出結果によって、長手方向に沿った端面を先頭にした正規方向に磁気カード1が開口4に挿入されたことを検出した場合には、搬送部26を制御して、磁気カード1を、所定位置に搬送する。
【0031】
一方で、制御部17は、センサ5から受け取った検出結果が、正規方向とは異なる向き(つまり、非正規方向)に磁気カード1が開口4に挿入されたことを検出した場合には、搬送部26を制御して、磁気カード1の搬送を禁止するか、或いは、磁気カード1の所定位置への搬送を禁止する。
【0032】
ここで、
図1および
図2に点線で示すように、第3者によってスキミング装置22が、一例として開口4の上部に取り付けられたとする。
【0033】
図2に示すようにスキミング装置22は、スキミング用磁気ヘッド23を有する。スキミング用磁気ヘッド23は、磁気ストライプ21を、長手方向に走査することができた場合には、磁気ストライプ21に磁気化されている情報を読み取り可能であるとする。
【0034】
しかし、利用者等が、磁気カード1を、正規方向に開口4に挿入した場合、スキミング用磁気ヘッド23は、磁気ストライプ21と直交する短方向に走査するため、磁気ストライプ21に記録された磁気化された情報を正しく読み出すことができない。
【0035】
また、利用者等が、磁気カード1を、非正規方向に開口4に挿入した場合、制御部17は、搬送部26を制御して、磁気カード1の搬送を禁止するか、或いは、磁気カード1の所定位置への搬送を禁止する。その結果、本実施形態において、スキミング用磁気ヘッド23は、磁気ストライプ21に記録されている磁気化された情報の一部分しか読み出すことができず、磁気ストライプ21における磁気化情報の記録開始位置によっては、情報を全く読み出すことができない。
【0036】
こうして、本発明の記録媒体取扱い装置30は、記録媒体取扱い装置30にスキミング装置22が取り付けられていても、そのスキミング装置22に、磁気カード1の磁気ストライプ21に記録された磁気化された情報が読み取られることを防止することができる。
【0037】
以上、本実施形態には、スキミング装置22によるスキミングを十分に抑制できるという効果がある。
【0038】
その理由は、磁気化された情報が記録された磁気ストライプ21と直交する方向に、磁気カード1を開口4へ挿入した場合にのみ、記録媒体取扱い装置30が、磁気カード1を、記録媒体取扱い装置30の内側の所定位置に搬送するように構成したからである。
【0039】
本実施形態において用いられる、
図3に示す磁気カード1は、例えば銀行等の現金自動預け払い機等において用いられるキャッシュカードである。しかし、磁気カード1の種類は、上述したキャッシュカードに限定されず、各種のクレジットカードや、各種のポイントカード等であってもよい。
【0040】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0041】
図4は、第2の実施形態に係る記録媒体取扱い装置40の構成を概念的に示した上面図である。
図4を参照すると、本実施形態に係る記録媒体取扱い装置40の構成は、第1の実施形態の記録媒体取扱い装置30における、センサ5の代わりにセンサ25を用いる点、搬送部26の代わりに搬送部27を用いる点、および制御部17の代わりに制御部18を用いる点が第1の実施形態の記録媒体取扱い装置30の構成と異なる。
【0042】
以下、本実施形態では、第1の実施形態の構成と異なる第2の実施形態の構成を中心に説明し、第1の実施形態の構成と同じ第2の実施形態の構成についての重複する説明は省略する。
【0043】
センサ25は、センサ5が、磁気カード1が正規方向に開口4に挿入されたことを検出可能なことに加えて、更に、磁気を検出可能な機能を有する点がセンサ5と異なる。
【0044】
また、搬送部27は、搬送部26が、開口4よりも記録媒体取扱い装置30の内側の、開口4近傍に設けられ、開口4に挿入された記録媒体1を、所定の位置に搬送可能なことに加えて、更に、以下の点が異なる。すなわち、搬送部27は、正規方向に開口4に挿入された記録媒体1を、挿入されたときの方向のまま、或いは、挿入されたときの方向とは異なる方向に変更することにより、記録媒体取扱い装置40内側の所定位置に搬送することが可能な点が搬送部26と異なる。
【0045】
次に、本実施形態における記録媒体取扱い装置40の動作について説明する。
【0046】
センサ25は、磁気カード1が正規方向に開口4に挿入されたか否かを検出すると共に、磁気カード1の長手方向に沿った2つの端面のうち、磁気ストライプ21に近い方の一端面を先頭にして挿入されたか、他端面を先頭にして挿入されたかを検出する。
【0047】
制御部18は、その検出結果によって、搬送部27を制御し、以下のように磁気カード1の搬送動作を変更する。
【0048】
すなわち、制御部18は、センサ25から受け取った検出結果が、非正規方向に磁気カード1が開口4に挿入されたことを検出した場合に、磁気カード1の搬送を禁止するか、或いは、磁気カード1の所定位置への搬送を禁止(例えば、カード回収箱(不図示)への収納等を)するよう搬送部27を制御する。
【0049】
また、制御部18は、センサ25から受け取った検出結果が、正規方向に磁気カード1が開口4に挿入されたことを検出した場合で、且つ、磁気カード1の長手方向に沿った2つの端面のうち、磁気ストライプ21に近い方の一端面を先頭にして挿入されたことを検出した場合は、一例として以下の動作を行う。つまり、制御部18は、挿入された磁気カード1を、
図4における上面視で、時計回りに90度回転し、所定位置に搬送されるように搬送部27を制御する。
【0050】
一方、制御部18は、センサ25から受け取った検出結果が、正規方向に磁気カード1が開口4に挿入されたことを検出した場合で、且つ、磁気カード1の長手方向に沿った2つの端面のうち、磁気ストライプ21に遠い方の他端面を先頭にして挿入されたことを検出した場合は、一例として以下の動作を行う。つまり、制御部18は、挿入された磁気カード1を、
図4における上面視で、反時計回りに90度回転し、所定位置に搬送されるように搬送部27を制御する。
【0051】
以上、本実施形態には、スキミング装置22によるスキミングを十分に抑制できると共に、磁気カード1が、磁気カード1の長手方向に沿った2つの端面のうち、何れの端面を先頭に正規方向に開口4に挿入されても、磁気カード1を、所定位置に搬送することができるという効果がある。
【0052】
その理由は、正規方向に開口4に挿入された磁気カード1を、センサ25による検出結果によって、挿入されたときの方向のまま、或いは、挿入されたときの方向とは異なる方向に変更することにより、記録媒体取扱い装置40内側の所定位置に搬送するように構成したからである。
【0053】
(第2の実施形態の変形例)
次に第2の実施形態を基本とする第2の実施形態の変形例について説明する。第2の実施形態において、利用者等が、磁気ストライプ21を下面に向けて、正規方向に開口4に挿入した場合に、センサ25だけでは、長手方向に沿った2つの端面のうち、何れの端面を先頭に正規方向に開口4に挿入されたかが判別できない。
【0054】
そこで、第2の実施形態の変形例では、センサ25と、磁気カード1を介して対向する位置にセンサ25とは別の、磁気を検出可能なセンサ(不図示)を追加する。それと共に搬送部27において、上述した追加されたセンサの検出結果によって、記録媒体取扱い装置40内で、例えば長手方向に沿った端面と平行な線を中心に磁気カード1の表裏を、反転可能な反転機構(不図示)を追加する。
【0055】
上述した反転機構は、例えば、駅等における自動切符改札機等内において切符等の券面を反転する際に用いられる、現在では一般的な機構を採用することができる。
【0056】
以下、第2の実施形態の本変形例では、第2の実施形態の構成と異なる第2の実施形態の本変形例の構成を中心に説明し、第2の実施形態の構成と同じ第2の実施形態の本変形例の構成についての重複する説明は省略する。
【0057】
次に、本実施形態の変形例の動作について説明する。
【0058】
制御部18は、センサ25および追加されたセンサから受け取った検出結果が、磁気カード1が裏面であり、且つ、磁気カード1の長手方向に沿った2つの端面のうち、磁気ストライプ21に近い方の一端面を先頭にして挿入されたことを検出した場合は、一例として以下の動作を行う。すなわち、制御部18は、挿入された磁気カード1を、長手方向に沿った端面と平行な線を中心に磁気カード1の表裏を反転し、
図4における上面視で、反時計回りに90度回転し、所定位置に搬送されるように搬送部27を制御する。
【0059】
一方、制御部18は、センサ25および追加されたセンサから受け取った検出結果が、磁気カード1が裏面であり、且つ、磁気カード1の長手方向に沿った2つの端面のうち、磁気ストライプ21に遠い方の他端面を先頭にして挿入されたことを検出した場合は、一例として以下の動作を行う。すなわち、制御部18は、挿入された磁気カード1を、長手方向に沿った端面と平行な線を中心に磁気カード1の表裏を反転し、
図4における上面視で、時計回りに90度回転し、所定位置に搬送されるように搬送部27を制御する。
【0060】
以上、本変形例には、スキミング装置22によるスキミングを十分に抑制できると共に、磁気カード1が、磁気カード1の長手方向に沿った2つの端面のうち、何れの端面を先頭にし、且つ、磁気カード1の何れの面を上面に向けて正規方向に開口4に挿入されても、磁気カード1を、所定位置に搬送することができるという効果がある。
【0061】
その理由は、正規方向に開口4に挿入された磁気カード1を、センサ25及び追加されたセンサによる検出結果によって、挿入されたときの方向のまま、或いは、挿入されたときの方向とは異なる方向に変更することにより、記録媒体取扱い装置40内側の所定位置に搬送するように構成したからである。
【0062】
本実施形態において説明した記録媒体取扱い装置40は、例えば、既設の現金預け払い装置(不図示)等のカード挿入口(不図示)等に設けられても、或いは、係る記録媒体取扱い装置40自体を自装置に備える新規な現金預け払い機してもよい。
【0063】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0064】
図5は、第3の実施形態に係る記録媒体取扱い装置50の構成を概念的に示した上面図である。
図5を参照すると、本実施形態に係る記録媒体取扱い装置50の構成は、第2の実施形態の記録媒体取扱い装置40の構成に磁気センサ(磁気ヘッド)29を追加した点が第2の実施形態の記録媒体取扱い装置40の構成と異なる。
【0065】
以下、本実施形態では、第2の実施形態の構成と異なる第3の実施形態の構成を中心に説明し、第2の実施形態の構成と同じ第3の実施形態の構成についての重複する説明は省略する。
【0066】
磁気ヘッド29は、磁気カード1が長手方向に搬送された際に、磁気カード1の磁気ストライプ21を長手方向に走査することによって、磁気ストライプ21の磁気化された情報を読み取り可能な、センサ25とは異なる磁気センサである。
【0067】
次に、本実施形態における記録媒体取扱い装置50の動作について説明する。
【0068】
制御部18は、センサ25の検出結果によって、搬送部27を制御し、以下のように磁気カード1を搬送する。すなわち、制御部18は、センサ25から受け取った検出結果が、例えば正規方向に磁気カード1が開口4に挿入されたことを検出した場合には、搬送部27を制御して、磁気カード1を、当該磁気カードの短方向に沿った端面を先頭にし、且つ、磁気ヘッド29の手前の位置である所定位置に磁気ストライプ21が位置するように搬送する。
【0069】
以上、本実施形態には、スキミング装置22によるスキミングを十分に抑制できる。それと共に、磁気カード1が、磁気カードの長手方向に沿った2つの端面のうち、何れの端面を先頭に正規方向に開口4に挿入されても、磁気カード1を、磁気ヘッド29の手前の位置である所定位置に磁気ストライプ21が位置するように搬送することができるという効果がある。
【0070】
その理由は、正規方向に開口4に挿入された磁気カード1を、挿入されたときの方向のまま、或いは、挿入されたときの方向とは異なる方向に変更することにより、磁気ヘッド29の手前の位置である所定位置に磁気ストライプ21が位置するよう搬送するからである。
【0071】
なお、上述した記録媒体取扱い装置50は、上述した磁気ヘッド29を設け、磁気カード1の短方向に沿った端面を先頭にして挿入可能な開口(不図示)を有する、例えば現金自動預け払い機等の外部装置(不図示)に装着可能である。
【0072】
これによって、制御部18は、自装置である記録媒体取扱い装置50の開口4において正規方向に挿入された磁気カード1を、外部装置である現金自動預け払い機等の開口において磁気カード1の短方向に沿った端面を先頭にし、且つ、磁気ヘッド29の手前に磁気ストライプ21が位置するように搬送することができる。
【0073】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について
図6乃至
図12を用いて説明する。
【0074】
図6、
図7,
図9および
図11は、第4の実施形態に係る記録媒体取扱い装置60の構成を示す側面図である。
図8および
図10は、第4の実施形態に係る記録媒体取扱い装置60の構成を示す上面図である。
【0075】
図6を参照すると、本実施形態の記録媒体取扱い装置60は、開口(カード挿入口)4と、センサ25と、搬送部36と、制御部19と、既設の磁気カード処理装置20とを有する。既設の磁気カード処理装置20は、開口(カード挿入口)28と、磁気ヘッド29とを有する。
【0076】
以下、本実施形態では、第1乃至第3の実施形態の各構成と異なる本実施形態の構成を中心に説明し、第1乃至第3の実施形態の各構成と同じ本実施形態の構成についての重複する説明は省略する。
【0077】
搬送部36は、モータ2と、回転台3と、ソレノイド7と、搬送ローラ8と、搬送ローラ9と、モータ10と、搬送ローラ13と、センサ14とを含む。搬送部36は、例えば第2の実施形態において説明した記録媒体取扱い装置40の搬送部27に対応する。制御部19は、例えば第2の実施形態において説明した記録媒体取扱い装置40の制御部18に対応する。
【0078】
図6乃至
図11は、各図面が煩雑になるのを避けるために、制御部19と、モータ2、センサ25、ソレノイド7、モータ10、およびセンサ14との間の電気的な各接続は、それらの記載を省略している。
【0079】
また、
図6乃至
図11に示すモータ2と、搬送ローラ8および搬送ローラ13との間を接続する一点鎖線は、モータ2の駆動力を各搬送ローラに伝達する機械的な各接続を模式的に示したものであり、例えばベルトやチェーン等の一般的な機構を表すこととする。
【0080】
搬送ローラ8および搬送ローラ9は、正規方向にカード挿入口4から挿入された磁気カード1の先端部(先頭)を、搬送ローラ8により磁気カード1の上面側から、そして搬送ローラ9により磁気カード1の下面側から挟持可能に対向する位置に配置される。
【0081】
また、上述した搬送ローラ9は、搬送ローラ9の代わりに、磁気カード1を搬送ローラ8との間で挟持することが可能な、
図6において斜線を用いて示す台状の部材を用いてもよい。その場合、搬送ローラ9は不要である。
【0082】
このように、本実施形態において、カード挿入口4から挿入された磁気カード1の端面の先頭は、上述した少なくとも何れかの搬送ローラに当接(干渉)する。
【0083】
上述した搬送部36の構成によれば、磁気ストライプ21に近い方の長手方向に沿った端面を先頭にして、利用者等が磁気カード1を正規方向に挿入する場合に、利用者等は、磁気カード1を、以下のようにしてカード挿入口4に挿入可能である。すなわち、利用者等は、搬送ローラ8による磁気カード1の搬送が行われない状態において、磁気カード1を、磁気ストライプ21が記録媒体取扱い装置60の外側から隠れる位置までカード挿入口4に挿入可能である。
【0084】
そのため、記録媒体取扱い装置60は、第3者によって磁気ストライプ21を長手方向に走査するスキミング装置が記録媒体取扱い装置60のカード挿入口4付近に設置されたとしても、そのスキミング装置によって磁気ストライプ21に記憶されている磁気化された情報が読み取られることを十分に抑制することができる。
【0085】
本実施形態において、搬送ローラ8および搬送ローラ9等の搬送部36は、センサ25よりも記録媒体取扱い装置50の奥側(
図6の紙面右方向)に設けた例を説明する。しかし、上述した搬送部36は、記録媒体取扱い装置50内の、センサ25が設けられた位置と同じ位置から設けるようにしてもよい。
【0086】
モータ2は、制御部19の指示に従って、搬送ローラ8および後述する搬送ローラ13を駆動する。
【0087】
回転台3は、
図8に示すように、本実施形態において、
図3に示す磁気カード1と上面視がほぼ同じ矩形状の平板であり、その上面に磁気カード1を載置可能である。
【0088】
回転台3は、
図6に示すように、一端が回転台3の中心に鉛直下方向に接続され、他端がモータ10の回転軸に接続された回転軸を有し、その回転軸を中心に回転可能である。
【0089】
モータ10は、制御部19の指示に従って、回転台3の回転軸を駆動する。
【0090】
制御部19は、モータ2に所定数のパルス信号を入力する。モータ2は、制御部19から入力されたパルス信号に応答して、搬送ローラ8および搬送ローラ13の回転軸を、各搬送ローラの円周上の所定の距離に対応する角度分だけ駆動する。
【0091】
制御部19は、モータ10に所定数のパルス信号を入力する。モータ10は、制御部19から入力されたパルス信号に応答して、回転台3の回転軸を、所定の方向に、所定の角度分だけ駆動する。
【0092】
搬送ローラ13は、
図6に示すように、後述するソレノイド7に搬送ローラ13の回転軸を中心に回転可能に設けられ、回転台3の上方に配置される。
【0093】
本実施形態では、搬送ローラ8および搬送ローラ13は、磁気カード1を搬送するために、
図9に示すように、それぞれ並列に2個あり、それら2個のローラ間は、回転軸を中心にして回転するものとする。
【0094】
搬送ローラ8、搬送ローラ9、および搬送ローラ13は、磁気カード1を搬送可能な、所定の摩擦係数を有する弾性部材等からなる外周部(不図示)を有する。
【0095】
ソレノイド7は、制御部19により通電されると、搬送ローラ13が、ソレノイド7から回転台3に向けて降下する。ソレノイド7は、制御部19により通電が遮断されると、搬送ローラ13が、回転台3からソレノイド7に向けて上昇する。
【0096】
センサ14は、搬送ローラ13と、後述するカード挿入口28との間に設けられ、後述するセンサ14に到達する磁気カード1の長手方向に沿った端面の先頭を検出する。センサ14は、例えば物体の在否を検出可能な光電センサである。
【0097】
制御部18は、上述した各部を制御する。
【0098】
既設の磁気カード処理装置20は、例えば現金自動預け払い機等の一般的な磁気カード処理装置である。既設の磁気カード処理装置20は、利用者等が磁気カード1を、磁気カード1の磁気ストライプ21を上面にし、且つ、カード挿入口28に向かって磁気ストライプ21に近い方の長手方向に沿った一端面が右側に位置するように向けて、その短方向に沿った端面を先頭にしてカード挿入口28に挿入可能である。
【0099】
次に、第4の実施形態の動作について
図6乃至
図12を参照して説明する。
【0100】
図12は、第4の実施形態に係る制御部19の動作を示すフローチャートである。
【0101】
今、利用者等が、磁気カード1を、磁気カード1の磁気ストライプ21を上面にし、且つ、磁気カード1の長手方向に沿った2つの端面のうち、磁気ストライプ21に近い方の一端面を先頭にして、正規方向からカード挿入口4に挿入したとする(
図6)。
【0102】
センサ25は、磁気カード1が、正規方向からカード挿入口4に挿入されたことを検出する。(ステップS51)。
【0103】
制御部19は、センサ25から、磁気カード1が、正規方向からカード挿入口4に挿入されたことを示す検出結果を受けると、モータ2を駆動することによって、搬送ローラ8および搬送ローラ9によって磁気カード1を回転台3へ搬送する(ステップS52)。
【0104】
制御部19は、センサ25から、磁気カード1が、非正規方向からカード挿入口4に挿入されたことを示す検出結果を受けると、モータ2を駆動しない。その結果、磁気カード1は、記録媒体取扱い装置60内の回転台3へ搬送されない。
【0105】
これにより、本実施形態の記録媒体取扱い装置60は、
図6に点線で示すスキミング装置22が設置されていた場合でも、スキミング用磁気ヘッド23により磁気カード1の磁気ストライプ21に記録された磁気化された情報を読み取られることを防ぐことができる。
【0106】
搬送ローラ8および搬送ローラ9によって挟持された磁気カード1は、搬送ローラ8が回転することにより、記録媒体取扱い装置60の奥側(紙面右方向)に搬送され、回転台3の上面に、回転台3に重なるように載置される。
【0107】
制御部19は、センサ25から、磁気カード1が検出されなくなれば、上述したモータ2の駆動を停止する。
【0108】
制御部19は、ステップS51において検出された、磁気カード1の長手方向に沿った2つの端面のうち、磁気ストライプ21に近い方の一端面を先頭にして挿入されたか、他端面を先頭にして挿入されたかに基づいて、以下の処理を行う(ステップS53)。
【0109】
すなわち、制御部19は、ステップS53において、磁気ストライプ21に近い方の一端面を先頭にして挿入されたと判断した場合(ステップS53においてYES)、モータ10を駆動することによって、回転台3を時計周りに、90度回転する(ステップS54)。
【0110】
こうして、制御部19は、磁気カード1を短方向に沿った端面を先頭に向ける。
【0111】
一方、制御部19は、ステップS53において、他端面を先頭にして挿入されたと判断した場合(ステップS53においてNO)、モータ10を駆動することによって、回転台3を反時計周りに、90度回転する(ステップS55)。こうして、制御部19は、磁気カード1を短方向に沿った端面を先頭に向ける。
【0112】
制御部19は、ステップS54またはステップS55の処理を終えた際、ソレノイド7を駆動することによって、搬送ローラ13の下端部が磁気カード1の上面に当接するように、搬送ローラ13を伸長する(ステップS56)。
【0113】
なお、回転台3は、回転台3が回転する際に、回転台3が上下方向に可動するようにしてもよい。つまり、回転台3は、ステップS54またはステップS55において、回転台3が何れかの方向に回転する際に、回転台3の上面が上方に迫り上がる機構を更に設けてもよい。この場合、ソレノイド7は、不要であり、回転台3は、何れかの方向に回転した後、その方向とは逆方向に回転して元の向きに戻る際に、再び元の回転台3の上面の高さに戻る。
【0114】
制御部19は、モータ2を駆動することによって、センサ14が磁気カード1の短方向に沿った端面の先頭を検出するまで搬送ローラ13が回転する(ステップS57)。
【0115】
制御部19は、モータ2を駆動することによって、磁気カード1の短方向に沿った端面を先頭にして、既設の磁気カード処理装置20のカード挿入口28内の磁気ヘッド29が
磁気ストライプ21を読み取り可能な所定の位置に到達するまでの残りの所定の距離、磁気カード1を搬送する(ステップS58)。
【0116】
こうして制御部19は、磁気カード1の短方向に沿った端面の先頭を、カード挿入口28に挿入することができる。
【0117】
上述したように、本実施形態では、制御部19が、モータおよびソレノイドを制御して、搬送ローラにより磁気カード1を搬送する例を説明した。しかし、本実施形態において、磁気カード1を搬送する手段は、上述したモータ、ソレノイド、および搬送ローラには限定されない。
【0118】
なお、既設の磁気カード処理装置20は、磁気カード1の預け払い等の処理が終了すると、カード挿入口28から磁気カード1を排出する。
【0119】
記録媒体取扱い装置60は、既設の磁気カード処理装置20から排出された磁気カード1を受け取り、上述した磁気カード1の搬送方向とは逆の方向に磁気カード1を搬送し、カード挿入口4から磁気カード1を排出する。利用者等は、その排出された磁気カード1を受け取る。上述した、利用者等への磁気カード1の戻入動作の説明は省略する。
【0120】
以上、本実施形態には、第1および第2の実施形態と同様にスキミング装置によるスキミングを十分に抑制できるという効果がある。
【0121】
その理由は、磁気化された情報が記録された磁気ストライプ21と直交する方向に、磁気カード1をカード挿入口4へ挿入すると共に、記録媒体取扱い装置60内で磁気カード1の向きを、既設の磁気カード処理装置20のカード挿入口28に挿入可能なように変更するように構成したからである。
【0122】
なお、記録媒体取扱い装置60の後段に既設の磁気カード処理装置20を流用することができるので、記録媒体取扱い装置60を含む磁気カード処理装置全体を新規に開発するよりも開発にかかる費用を抑制することできるという効果がある。