(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に示す実施の形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、発明の技術的思想は、構造、配置は下記のものに特定するものではない。
【0042】
発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。図面は模式的なものであり、装置やシステムの構成等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0043】
実施の形態は、上記の目的の携帯端末位置推定装置を携帯端末とサーバとからなる携帯端末存在領域提供システムとして説明する。
【0044】
そして、この携帯端末存在領域提供システムは、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4を一例として説明する。
【0045】
また、携帯端末の位置推定は、公園、運動場等の屋外の道又は駅構内、百貨店、地下街の屋内の通路(総称して移動路という)における携帯端末の位置を推定しても構わないが実施の形態では屋内の通路として説明する。
【0046】
実施の形態1は、基地局からの電波、音波、赤外センサ、光等の信号(以下総称して基地局識別信号という)の物理量(例えば受信強度)が基準値レベル以下の場合であっても、その受信強度を無視しないで携帯端末が現在存在しているであろうと推定される領域を後述する伝搬損失空間特性モデルMk(受信強度伝搬損失空間特性Lk)を用いて決定するものであり、本発明の基本概念を示すものである。
【0047】
実施の形態2は、人数、人の流れ、壁、障害物等の環境的要因等により、基地局識別信号の受信強度の揺らぎを考慮して実際に携帯端末がこの距離の範囲内に存在する確率が高いであろうとする領域(ドーナッツ領域)を携帯端末存在高確率領域SRkとして得るものである。
【0048】
実施の形態3は、携帯端末の位置を、一定の大きさのタイルを用いて携帯端末存在高確率領域SRkを、電波強度の揺らぎを考慮した空間単位で精度良く推定するものである。
【0049】
実施の形態4は、携帯端末の位置を、電波強度の揺らぎを考慮した精度の高い携帯端末存在高確率領域SRkを高速に得るものである。
【0050】
前述の伝搬損失空間特性モデルMkは、実施の形態1で用いるものを第1の伝搬損失空間特性モデルMAkと称し、実施の形態2で用いるものを第2の伝搬損失空間特性モデルMBkと称し、実施の形態3で用いるものを第3の伝搬損失空間特性モデルMCkと称し、実施の形態4で用いるものを第4の伝搬損失空間特性モデルMDkと称する。これらのモデルは、後述する受信強度伝搬損失空間特性Lkで定義されている。
【0051】
また、受信強度伝搬損失空間特性Lkは、第1の伝搬損失空間特性モデルMAkで用いるものを第1の受信強度伝搬損失空間特性LAkと称し、第2の伝搬損失空間特性モデルMBkで用いるものを第2の伝搬損失空間特性モデルMBkと称し、第3の伝搬損失空間特性モデルMCkで用いるものを第3の受信強度伝搬損失空間特性LCkと称し、第4の伝搬損失空間特性モデルMDkで用いるものを第4の受信強度伝搬損失空間特性LDkと称する。
【0052】
さらに、実施の形態1〜実施の形態4においては、特徴のある各部については実施の形態1の各部は「第1」を、実施の形態2の各部は「第2」を、実施の形態3の各部は「第3」を、実施の形態4の各部は「第4」を付加して説明する。
【0053】
また、本実施の形態では、基地局はIEEE(米国電気電子技術者協会)規格の無線LANであるWiFi規格のアクセスポイントAPk(k=1,2,…)とする。このアクセスポイントAPkは、公園、運動場等の屋外の道又は駅構内、百貨店、地下街の屋内(総称してエリアという)の通路に設置されていても構わないが、本実施の形態では屋内の通路として説明する。
【0054】
また、アクセスポイントAPkを用いた位置推定方式は、送信された到達時間を利用する方式(ToA方式:Time Of Arrival)、電波の受信強度を利用する方式(RSSI方式:Received Signal Strngth Indicator)等があるが、本実施の形態ではアクセスポイントAPkの制御を必要としないRSSI方式を用いて説明する。さらに、基地局識別信号をビーコン信号Bkと称して説明する。
【0055】
また、本実施は、受信強度を無視しないで現在存在している可能性が確率的に高いと推定される領域を携帯端末側で決定してもよいが、センタのサーバが携帯端末の位置を推定して、この推定領域を携帯端末に送信する屋内推定位置提供システムとして説明する。
【0056】
<実施の形態1>
図1は実施の形態1の屋内推定位置提供システムの概略構成図である。屋内推定位置提供システムは、
図1に示すように、駅構内における通路の天井の一定区間毎(例えば40m)に設けられたアクセスポイントAPk(AP1、AP2、AP3、・・)と、駅構内の通路を移動するユーザAkに携帯された携帯端末10(タブレット、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等)と、センタのサーバ100等から構成されている。
【0057】
前述のアクセスポイントAPkは、MACアドレスを識別情報(以下AP識別情報APCkという)として使用するBSSIDの形式のビーコン信号Bkとして送信(例えば20msec毎:第1の一定時間ともいう)する。
【0058】
また、携帯端末10は、WiFi受信機能とブラウザ機能とアンドロイド(OS)等を有するスマートフォンが望ましい。そして、既に本実施の形態のサービスを行うアプリケーションプログラムをダウンロードしているとして説明する。
【0059】
すなわち、携帯端末10は、アプリケーションプログラムに基づいて、アクセスポイントAPkからのビーコン信号Bkを受信した場合は、受信した各々のビーコン信号Bk(1個又は複数)の受信強度(以下AP受信強度AEkという)を求め、そのビーコン信号Bkに含まれているアクセスポイントAPkの識別情報であるAP識別情報APCk(アクセスポイントIDともいう)と共に、AP毎受信強度情報AJEk(AEk、APCk)として図示しないメモリ(第4の記憶手段ともいう)に記憶する手段を備えている。
【0060】
また、一定時間毎(例えば100msec:第2の一定時間ともいう)に、メモリに記憶されている全てのAP毎受信強度情報AJEk(AEk、APCk)を読み込み、携帯端末10のIPアドレスを付加してこれをアクセスポイント受信強度情報APEk(AJE1、AJE2・・:1個の場合もある)としてサーバ100に送信する手段を備えている。
【0061】
さらに、携帯端末10は、サーバ100からの後述する表示用携帯端末存在高確率領域HSRkの携帯端末存在確率表示領域代表座標HSCzkと携帯端末存在確率表示領域半径rsk(k:1、2、・・)とを含む制御データを受信する毎に、携帯端末存在確率表示領域代表座標HSCzkを中心とした携帯端末存在確率表示領域半径rskの表示用携帯端末存在高確率領域HSRkを表示する手段(表示用携帯端末存在高確率領域生成手段ともいう)を備えている。
【0062】
前述の算出したAP受信強度AEkは、後述する基準受信強度AEko以下の一定範囲までの受信強度の場合であっても、この算出した受信強度をAP受信強度AEkとしてAP毎受信強度情報AJEk(AEk、APCk)に含ませている。すなわち、位置推定が困難なAP受信強度AEk(dB)以下であっても送信している。
【0063】
一方、センタのサーバ100は、
図1に示すように、受信部110(受信手段ともいう)と、アクセスポイント受信強度情報用メモリ115(第3の記憶手段ともい)と、読込部120(読込手段ともいう)と、伝搬損失空間特性モデル検索部130(検索手段ともいう)とを備えている。
【0064】
また、携帯端末仮存在確率領域算出手段である第1の携帯端末仮存在確率領域算出部140と、携帯端末存在高確率領域決定手段である第1の携帯端末存在高確率領域決定部150と、表示用携帯端末存在高確率領域生成手段である第1の表示用携帯端末存在高確率領域生成部160と、地図選択部170(地図選択手段ともいう)と、送信部180(送信手段ともいう)等を備えている。
【0065】
さらに、第1の伝搬損失空間特性モデル用記憶部135(第2の記憶手段ともいう)と、携帯端末仮存在確率領域用メモリ145(第1の記憶手段ともいう)と、携帯端末存在高確率領域用メモリ155と、屋内地図用データベース175等を備えて、
図1に示すように携帯端末10の画面の屋内地
図Gk上に携帯端末10が現在存在している確率が高いであろうと推定した表示用携帯端末存在高確率領域HSRkを表示させる。
【0066】
前述の屋内地図用データベース175には、例えば東京駅地下、名古屋駅地下等の屋内地
図Gk(平面直角座標)が記憶されている。そして、この屋内地
図Gkには、アクセスポイントAPkの位置(以下アクセスポイント位置Pkという)が定義されている。また、通路が定義されている。
【0067】
このアクセスポイント位置Pk(x,y)は、AP識別情報APCk付で定義されている。
【0068】
なお、屋内地
図Gkは、地図選択部170によって選択されて携帯端末仮存在確率領域用メモリ145(第1の記憶手段)に記憶される。
【0069】
地図選択部170は、携帯端末10が指定した駅名を読み込み、この駅名の屋内地
図Gkを屋内地図用データベース175から選択して携帯端末仮存在確率領域用メモリ145に記憶する。
【0070】
前述の第1の伝搬損失空間特性モデル用記憶部135は、受信強度軸と距離軸とで定義されている。そして、アクセスポイントAPkから放射状に発射されるビーコン信号Bkの到達距離に応じた電波の受信強度伝搬損失空間特性Lkが第1の伝搬損失空間特性モデルMAkとして定義されている。この受信強度伝搬損失空間特性Lkを実施の形態1では第1の受信強度伝搬損失空間特性LAkと称する。
【0071】
この第1の伝搬損失空間特性モデルMAkは、AP識別情報APCkと共に記憶されている。そして、アクセスポイントAP1用の第1の伝搬損失空間特性モデルMA1がAP1用メモリ135aに定義(記憶)され、アクセスポイントAP2用の第1の伝搬損失空間特性モデルMA2がAP2用メモリ135bに定義されているのが好ましい。
【0072】
前述の伝搬損失空間特性モデルMkである受信強度伝搬損失空間特性Lkついて以下に説明する。
【0073】
以下の式は、電波の伝搬損失を推定するITU−R(国際電気通信連合無線通信部門)に基づくものである。
【0074】
自由空間伝搬損失の式を以下に示す。
[数1]
L=20log
10f+Nlog
10d+Lf(n)−28・・・・(式1)
f:周波数[MHz]
N:距離依存特性を示すパラメータ
d:送受信点間距離[m]
Lf:壁・天井・床を通過することによる付加損失[dB]
n:通過する壁・天井・床等の枚数
L=Lk
式1に示すように、距離と電波の減衰量との直接的な関係はNlog10dであり、残りの変数は、Lf以外は定数となる。
【0075】
また、屋内における電波の受信強度伝搬損失空間特性は、壁、天井、床、人の動き等により時間的な変動が生じる。従って、Lfを算出するには壁、ドア等の障害物を一つ一つカウントして決定している。
【0076】
このパラメータNを1種類として場合の受信強度伝搬損失空間特性Lkを示したのが
図2である。つまり、距離に応じた受信強度の理論値の特性を受信強度軸と距離軸とで第1の受信強度伝搬損失空間特性LAkを示したのが
図2である。
【0077】
図2に示すように、第1の受信強度伝搬損失空間特性LAkは、例えば、アクセスポイントAPkから40m(基準距離duk)までが位置推定を可能とする領域である。この基準距離duk(例えば40m)を超える範囲は、位置の推定が困難な領域である。
【0078】
実施の形態では、基準距離duk(40m)の数倍(例えば、50m、・・80m、120m)となる範囲を、位置推定可能範囲Wkと称する。
図2に示すように、第1の受信強度伝搬損失空間特性LAkは、基準受信強度AEkoに対応する距離を超える位置推定可能範囲Wk(例えば80m)に渡っている。
【0079】
また、 基準距離dukにおけるAP受信強度AEkを基準受信強度AEkoと称している。
【0080】
また、第1の伝搬損失空間特性モデル用記憶部135をAP1用メモリ135aと、AP2用メモリ135b・・・とに分けている場合は、例えば、アクセスポイントAP1の第1の伝搬損失空間特性モデルMA1はAP1用メモリ135aに定義し、アクセスポイントAP2はAP2用メモリ135bに定義する。無論、分けないで一つのメモリとして記憶しても構わない。
【0081】
また、各々の第1の伝搬損失空間特性モデルMAkの第1の受信強度伝搬損失空間特性LAkの減衰率は異なるようにしてもよい。
【0082】
受信部110は、携帯端末10からの一定時間当たりのアクセスポイント受信強度情報APEk(AJE1、AJE2・・)を受信する毎に、アクセスポイント受信強度情報用メモリ115に記憶する。
【0083】
読込部120は、アクセスポイント受信強度情報用メモリ115にアクセスポイント受信強度情報APEk(AJE1、AJE2・・)が記憶される毎に、このアクセスポイント受信強度情報APEk(AJE1、AJE2・・)に含まれているAP毎受信強度情報AJEk(AP識別情報APCk、AP受信強度AEk)を順次読み込む。
【0084】
そして、これに含まれているAP識別情報APCk(AJE1、AJE2・・)を伝搬損失空間特性モデル検索部130に出力すると共に、AP毎受信強度情報AJEk(AP識別情報APCk、AP受信強度AEk)を第1の携帯端末仮存在確率領域算出部140に出力する。
【0085】
伝搬損失空間特性モデル検索部130は、読込部120からAP識別情報APCk(AJE1、AJE2・・)が出力される毎に、これに含まれているAP毎受信強度情報AJEk(AJE1、AJE2・・)を全て読み込む。
【0086】
そして、AP毎受信強度情報AJEk(AJE1又はAJE2・・)を読み込む毎に、このAP毎受信強度情報AJEk(AJE1又はAJE2・・)に含まれているAP識別情報APCk(APC1又はAPC2・・)を有する第1の伝搬損失空間特性モデルMAk(MA1又はMA2、・・・)を第1の伝搬損失空間特性モデル用記憶部135から検索(指定)する。
【0087】
第1の携帯端末仮存在確率領域算出部140は、第1の伝搬損失空間特性モデルMAkが検索(指定)される毎に、この第1の伝搬損失空間特性モデルMAkを引き当て、
図2に示すように、この第1の伝搬損失空間特性モデルMAk(LAk)に、読込部120からのAP受信強度AEkを定義する。
【0088】
そして、第1の携帯端末仮存在確率領域算出部140は、
図3に示すように、第1の伝搬損失空間特性モデルMAk(第1の受信強度伝搬損失空間特性LAk)の中心軸PZCkからAP受信強度AEkの交点LAEkまでの距離dkを仮存在確率領域半径rkとして求める。
【0089】
そして、第1の携帯端末仮存在確率領域算出部140は、
図4に示すように、携帯端末仮存在確率領域用メモリ145におけるこの第1の伝搬損失空間特性モデルMAk(LAk)のAP識別情報APCkを有するアクセスポイント位置Pk(x,y)を屋内地
図Gk上より検索する。この検索する処理を基地局検索手段142(基地局位置検索手段ともいう)と称している。
【0090】
そして、このアクセスポイント位置Pk(x,y)を中心とした仮存在確率領域半径rkの円領域を携帯端末仮存在確率領域用メモリ145に生成する。この円領域を第1の携帯端末仮存在確率領域ARakと称する(
図4参照)。
【0091】
但し、第1の携帯端末仮存在確率領域ARak、屋内地
図Gk、アクセスポイント位置Pk(x,y)を定義する領域はレイヤ構成にされている。
【0092】
すなわち、例えば2個のアクセスポイントAPkからのビーコン信号Bkを受信した場合は、2個の第1の携帯端末仮存在確率領域AaRk(ARa1、ARa2)が携帯端末仮存在確率領域用メモリ145に生成されることになる。
【0093】
また、第1の携帯端末仮存在確率領域算出部140は、読込部120が読み込んだ全てのAP毎受信強度情報AJEk(AP識別情報APCk、AP受信強度AEk)に対する第1の携帯端末仮存在確率領域ARak(ARa1、ARa2・・)が生成される毎に、第1の携帯端末存在高確率領域決定部150を起動する。
【0094】
第1の携帯端末存在高確率領域決定部150は、携帯端末仮存在確率領域用メモリ145に生成された全ての第1の携帯端末仮存在確率領域ARak(ARa1、ARa2・・)を重ね合わせる。そして、屋内地
図Gkを重ね合わせて通路以外の領域を除く領域を携帯端末存在高確率領域SRk(以下第1の携帯端末存在高確率領域SRAkという)として携帯端末存在高確率領域用メモリ155に記憶する。
【0095】
これによって、ビーコン信号BkのAP受信強度AEkが基準受信強度AEko以下であっても、AP受信強度AEkを第1の伝搬損失空間特性モデルMAkに定義して屋内地
図Gk上に生成しているので
図5(a)に示すように、通路内だけに重複領域Kkができる。
【0096】
すなわち、重複領域Kkができるということは、携帯端末10が現在位置していると確率的に思われる領域を絞り込んでいることになる。
【0097】
つまり、重複領域Kkが存在する場合は、複数のアクセスポイントAPkからのビーコン信号Bkを受信した判断する。そして、
図5(a)に示すように、この重複領域Kkを携帯端末10が存在している確率が高いと推定される第1の携帯端末存在高確率領域SRAkとして決定して携帯端末存在高確率領域用メモリ155に記憶する。
【0098】
また、重複領域Kkが存在しない場合は、1個と判断して
図5(b)に示すように、この1個の第1の携帯端末仮存在確率領域ARakに屋内地
図Gkを重ね合わせて、通路の壁を越える領域を除く領域を第1の携帯端末存在高確率領域SRAkと決定する。つまり、アクセスポイントAPkが1個であっても、大ざっぱではあるが第1の携帯端末存在高確率領域SRAkを得ることができている。
【0099】
従って、アクセスポイントAPkが1個又は複数であっても、WiFi通信可能な範囲に携帯端末10の携帯者が位置していれば、AP受信強度AEkが基準受信強度AEko以下であっても第1の携帯端末存在高確率領域SRAkを得ることができるので、位置推定のためにアクセスポイントAPkを増設する必要がない。
【0100】
このため、既存のアクセスポイントAPkのビーコン信号Bkだけで第1の携帯端末存在高確率領域SRAkを得ることができるのでコストを低減した位置推定が可能となる。
【0101】
また、AP受信強度AEkの強弱にかかわりなく携帯端末10の現在の第1の携帯端末存在高確率領域SRAkを得ることができるので、例えばこの携帯端末10宛てにサービスコンテンツを送信することが可能となる。
【0102】
第1の表示用携帯端末存在高確率領域生成部160は、携帯端末存在高確率領域用メモリ155(屋内地
図Gkと同じ座標系)の第1の携帯端末存在高確率領域SRAkの例えば中心座標(x,y)を携帯端末存在高確率領域代表座標SDZkする。
【0103】
そして、この携帯端末存在高確率領域代表座標SDZkを基準(中心)にして、例えば第1の携帯端末存在高確率領域SRAkの端までの長さ最大の長(X軸又はY軸)となる直線を携帯端末存在確率表示領域半径rskとして求める。
【0104】
そして、この携帯端末存在確率表示領域半径rskと携帯端末存在高確率領域代表座標SDZk並びに携帯端末存在高確率領域代表座標SDZkを中心とした携帯端末存在確率表示領域半径rskの円(表示用携帯端末存在高確率領域HSRk)を屋内地
図Gk上に表示する制御データを送信部180に出力する。
【0105】
送信部180は、携帯端末仮存在確率領域用メモリ145の屋内地
図Gkと制御データと携帯端末存在確率表示領域半径rskと携帯端末存在高確率領域代表座標SDZkを携帯端末10に送信する。
【0106】
従って、携帯端末10には
図6に示すように、屋内地
図Gk上に携帯端末存在確率表示領域半径rskの表示用携帯端末存在高確率領域HSRkが表示される。
【0107】
図6(a)には、アクセスポイントAPkが1個の場合に表示される表示用携帯端末存在高確率領域HSRkを示し、
図7(b)にはアクセスポイントAPkが複数個の場合に表示される表示用携帯端末存在高確率領域HSRkを示している。
【0108】
図6(b)には、重複領域Kkに基づく表示用携帯端末存在高確率領域HSRkが表示されるので、アクセスポイントAPkが1個の場合と比較すると、表示用携帯端末存在高確率領域HSRkは小さくなっている。すなわち、携帯端末10が現在位置していると確率的に思われる領域を絞り込んで表示している。
【0109】
すなわち、3つ以上のアクセスポイントAPkからのビーコン信号Bkの受信強度を用いる複雑な幾何演算によって携帯端末10が現在存在している位置を点として求めるものではないのでないので、環境的要因(人流れ、障害物、壁等)に係らず、携帯端末10の現在存在している位置を速く得られる。
【0110】
また、携帯端末10が現在存在している可能性がある位置を含む領域をある程度絞り込んだ携帯端末存在高確率領域SRkとしているので、環境的要因による基地局識別信号Bkの受信強度に揺れがあっても、携帯端末10が存在し得ない場所が携帯端末存在高確率領域SRkとされることはない。
【0111】
<実施の形態2>
ビーコン信号Bkは人や物の動きに大きく左右されるため(揺らぎ)、実際に利用するシーンでの結果として、携帯端末10等が動いていなくても安定した位置を算出することが困難であり、1点での位置算出自体が利用する側にとっての判り難さを生じさせている。
【0112】
すなわち、携帯端末等が受信するビーコン信号Bkの受信強度は、環境的要因等により、電波伝搬式等(距離に応じて減衰する特性)に見られる理論値より弱く受信されることが揺らぎの要因でもある。
【0113】
例えば、
図7(a)に示す第1の伝搬損失空間特性モデルMAk(第1の受信強度伝搬損失空間特性LAk)を用いて説明すると、ビーコン信号BkのAP受信強度AEkが環境的要因等によりX(dB)で受信されたとしても、実際はX(dB)より強いY(dB)のAP受信強度AEkであることが多い。
【0114】
第1の受信強度伝搬損失空間特性LAkとY(dB)との交点を第1の交点Ekyと称し、受信強度伝搬損失空間特性LkとX(dB)との交点を第2の交点Ekxと称して説明する。
【0115】
つまり、携帯端末10は、
図7(a)に示すように、距離dk軸上では距離dkyと距離dkxとの間に存在し、かつ距離dky側(矢印Ef)に存在している確率が高い。
【0116】
この距離dky(第1の交点Eky)と距離dkx(第2の交点Ekx)との間を受信強度揺れ幅対応距離幅dδkと称する。
【0117】
すなわち、
図7(b)に示すように、第1の伝搬損失空間特性モデルMAk(第1の受信強度伝搬損失空間特性LAk)を第1の交点Ekyで切断した平面形状(受信強度高レベル円領域EHMkともいう)と、第2の交点Ekxで切断した平面形状(受信強度低レベル円領域ELMkともいう)とを描いて説明すると、受信強度揺れ幅対応距離幅dδkを有するドーナッツ状の領域(以下ドーナッツ領域という)に存在していることなる。
【0118】
つまり、携帯端末10は、この受信強度高レベル円領域EHMkと受信強度低レベル円領域ELMk(総称して携帯端末位置推定円領域EMkとも称する)称する)との間に存在するものと推定される。
【0119】
そして、さらに詳細にはドーナッツ領域の内側方向(矢印Ef)に存在している確率が高いことになる。
【0120】
従って、携帯端末10が現在存在している可能性が確率的に高い位置を、受信強度の揺らぎを考慮して精度良く推定するには、ドーナッツ領域を生成して推定するのがよい。
【0121】
このドーナッツ領域を生成して携帯端末10が現在存在している確率が高い位置を、精度良く推定する方法が実施の形態2である。
【0122】
図8は実施の形態2の屋内推定位置提供システムの概略構成図である。図において、
図1と同一符号については説明を省略する。
【0123】
実施の形態2の屋内推定位置提供システムのサーバ200は、
図8に示すように、第2の伝搬損失空間特性モデル用記憶部235と、第2の携帯端末仮存在確率領域算出部240と第2の表示用携帯端末存在高確率領域生成部260と第2の携帯端末存在高確率領域生成部260等を備えている。
【0124】
前述の第2の伝搬損失空間特性モデル用記憶部235は、第2の伝搬損失空間特性モデルMBkを記憶している。
【0125】
この第2の伝搬損失空間特性モデルMBkは、
図8、
図9に示すように、第2の受信強度伝搬損失空間特性LBkよりなる。
【0126】
この第2の受信強度伝搬損失空間特性LBkは、時間の経過に伴って環境的要因等(人流、通路幅等)により変化するAP受信強度AEkの理論的な揺れ幅Ewkを距離dkによって次第に減衰する下限の理論値の特性である最小受信強度伝搬損失空間特性Lbkと、距離dkによってアクセスポイントPkから次第に減衰する上限の理論値の特性である最大受信強度伝搬損失空間特性Lakとよりなる。
【0127】
また、最大受信強度伝搬損失空間特性Lakと、最小受信強度伝搬損失空間特性Lbkとは所定の間隔(以下受信強度抑制理論値揺れ幅間隔δkという)を有している。
【0128】
この受信強度抑制理論値揺れ幅間隔δkは、距離dkが増大するに従って幅が大きくなっている。
【0129】
すなわち、AP受信強度AEkの揺れ幅Ewkが受信強度抑制理論値揺れ幅間隔δk内に収まるようにしている。
【0130】
このように2種類の特性とするのは、電波の電波強度というのは、通路の障害物、壁、通路の周囲の部屋等で揺らぐ。このため、ある程度の許容幅がないとこの揺らぎを受け入れることができないためである。
【0131】
例えば、WiFi電波は、建物の内装程度では遮断されず、減衰した電波が透過する。
また、反射波の影響により、特に狭い通路では電波強度が強くなる傾向にある。
【0132】
WiFi電波は、定点観測でも10dB程度の揺らぎは発生し、人流下では電波が受信できないタイミングが発生するためである。
【0133】
第2の携帯端末仮存在確率領域算出部240は、伝搬損失空間特性モデル検索部130が第2の伝搬損失空間特性モデルMBkを検索(指定)する毎に、この第2の伝搬損失空間特性モデルMBkを引き当て、
図9に示すように、この第2の伝搬損失空間特性モデルMBkに、読込部120からのAP受信強度AEkを定義する。
【0134】
最大受信強度伝搬損失空間特性Lak上に定義されたAP受信強度AEkの点を強度上限値Eakmaxと称し、最小受信強度伝搬損失空間特性Lbk上に定義されたAP受信強度AEkの点を強度下限値Ebkminと称する。
【0135】
また、距離軸上における強度上限値Eakmaxと強度下限値Ebkminとの範囲を受信強度揺れ幅対応距離幅dδkと称する。
【0136】
そして、第2の携帯端末仮存在確率領域算出部240は、
図9に示すように、第2の伝搬損失空間特性モデルMBkの中心軸PZCk(Pk)から最小受信強度伝搬損失空間特性Lbk上の強度下限値Ebkminまでの距離rb1と、最大受信強度伝搬損失空間特性Lak上の強度上限値Eakmaxまでの距離rb2とを求める。
【0137】
そして、第2の伝搬損失空間特性モデルMBkの中心軸PZCk(Pk)を携帯端末仮存在確率領域用メモリ145の屋内地
図Gk上に定義し(
図10参照)、この中心軸PZCk(Pk)を起点として距離rb1の半径の円と、距離rb2の半径の円とを定義する(
図10参照)。
【0138】
すなわち、受信強度揺れ幅対応距離幅dδkのドーナッツ領域を有する円が携帯端末仮存在確率領域ARk(以下第2の携帯端末仮存在確率領域ARbkという)として携帯端末仮存在確率領域用メモリ145に生成されることになる。但し、距離rb1の半径の円は空洞領域Qkである(
図10参照)。
【0139】
つまり、AP受信強度AEkの揺らぎ幅Ewkが大きくても、受信した時点のAP受信強度AEkを、実際はこの程度の受信強度であるとする範囲の距離幅(受信強度揺れ幅対応距離幅dδk)を見つけて、この受信強度揺れ幅対応距離幅dδkを平面(360°)で表している(ドーナッツ領域)。つまり、このドーナッツ領域の第2の携帯端末仮存在確率領域ARbkに携帯端末10が存在する確率が高いことになる。
【0140】
すなわち、1個の第2の携帯端末仮存在確率領域ARbkであっても、空洞領域Qkがあるから実施の形態1の第1の携帯端末仮存在確率領域ARakに対して絞り込まれていることになり、かつ実際に存在している確率が高いドーナッツ領域(受信強度揺れ幅対応距離幅dδk)内に絞り込むことになる。
【0141】
また、第2の携帯端末仮存在確率領域算出部240は、読込部120が読み込んだ全てのAP毎受信強度情報AJEk(AP識別情報APCk、AP受信強度AEk)に対する第2の携帯端末仮存在確率領域ARbk(ARb1、ARb2・・)が生成される毎に、第2の携帯端末存在高確率領域決定部250を起動する。
【0142】
第2の携帯端末存在高確率領域決定部250は、携帯端末仮存在確率領域用メモリ145に生成された全ての第2の携帯端末仮存在確率領域ARbk(ARb1、ARb2・・)を重ねる。つまり、第2の携帯端末仮存在確率領域ARbkが複数の場合はドーナッツ領域が重なり会う(
図11参照)。この重複領域をドーナツ領域重複領域DKkと称する。
【0143】
ドーナツ領域重複領域DKkが存在する場合は、複数のアクセスポイントAPkからのビーコン信号Bkを受信した判断する。
【0144】
そして、
図11に示すように、屋内地
図Gkを重ねて、通路の壁を越える領域を除く領域を携帯端末10が存在している確率が高いと推定される携帯端末存在高確率領域SRk(以下第2の携帯端末存在高確率領域SRBkという:座標値と識別コード)として決定して携帯端末存在高確率領域用メモリ155に記憶する。また、ドーナツ領域重複領域DKkが例えば複数存在する場合は処理を終了する。
【0145】
また、ドーナツ領域重複領域DKkが存在しない場合は、アクセスポイントAPkが1個と判断する。
【0146】
そして、この1個のドーナッツ領域に屋内地
図Gkを重ねて、通路の壁を越える領域を除く領域を第2の携帯端末存在高確率領域SRBkと決定して携帯端末存在高確率領域用メモリ155に記憶する。
【0147】
第2の表示用携帯端末存在高確率領域生成部260は、携帯端末存在高確率領域用メモリ155の第2の携帯端末存在高確率領域SRBk(ドーナツ領域重複領域DKk)の中心座標を携帯端末存在高確率領域代表座標SDZkとする。
【0148】
そして、この携帯端末存在高確率領域代表座標SDZkを基準(中心)にして、例えば第2の携帯端末存在高確率領域SRBkの端までの長さが最大の長(X軸又はY軸)となる直線を携帯端末存在確率表示領域半径rskとして求める。
【0149】
そして、この携帯端末存在確率表示領域半径rskと携帯端末存在高確率領域代表座標SDZk等を送信部180に出力して携帯端末10の画面に表示用携帯端末存在高確率領域HSRkを表示させる(
図6参照)。
【0150】
また、ドーナツ領域重複領域DKkに基づく第2の携帯端末存在高確率領域SRBkを表示用携帯端末存在高確率領域HSRkとしているので、この領域は精度が高い。
【0151】
<実施の形態3>
ビーコン信号Bkの受信強度というのは、通路の障害物、壁、通路の周囲の部屋、人流等の環境的要因で揺らぐ。つまり、ビーコン信号BkのAP受信強度AEkを定義したとしても受信強度は実際には揺らぎがあるので、その定義した点においても実際は変動している。
【0152】
すなわち、AP受信強度AEkに対応する距離軸上の距離を得たとしても、その距離も正確ではない。
【0153】
このため、携帯端末10が存在している可能性が確率的に高いAP受信強度AEkに対応する距離軸の距離を決定するためには、決定した距離がある程度の許容幅を有していないと揺らぎを考慮した範囲の距離とはならない。
【0154】
つまり、AP受信強度AEkに対応する距離軸上の距離dkを決定するには、一定の大きさの空間単位で距離を決定するのが好ましい。
【0155】
実施の形態3は、AP受信強度AEkと、携帯端末(10)の位置を空間単位の領域で認識するための一定の大きさのタイルとを用いて、揺らぎを考慮して、かつより正確な表示用携帯端末存在高確率領域HSRkを得るものである。
【0156】
このタイルは、揺らぎを考慮した許容幅での距離値を得るための1m程度の正六角形のタイルである。
【0157】
このタイルは、実施の形態1で用いてもよいが実施の形態3では最小受信強度伝搬損失空間特性Lbkと最大受信強度伝搬損失空間特性Lakとからなる第3の受信強度伝搬損失空間特性LCkを用いて説明する。
【0158】
図12は実施の形態3の屋内推定位置提供システムの概略構成図である。図において
図1と同一符号を付しているものは説明を省略する。
【0159】
実施の形態3の屋内推定位置提供システムのセンタのサーバ300は、
図12に示すように第3の携帯端末仮存在確率領域算出部340と、第3の携帯端末存在高確率領域決定部350と、第3の表示用携帯端末存在高確率領域生成部360と等を備えて、携帯端末10の画面の屋内地
図Gk上に表示用携帯端末存在高確率領域HSRkを表示させる。
【0160】
前述の第3の伝搬損失空間モデル用記憶部335は、Z軸が受信強度軸、Y軸が通路の長さ、X軸が通路の幅とされた三次元空間座標系で定義されている。
【0161】
そして、アクセスポイントAPkから放射状に発射されるビーコン信号Bkの到達距離に応じて減衰する立体的な第3の受信強度伝搬損失空間特性LCk(LCak、LCbk)と後述するタイルTBij群とを有する第3の伝搬損失空間特性モデルMCkが定義されている。
【0162】
この第3の伝搬損失空間特性モデルMCkは、アクセスポイントAP1用の第3の伝搬損失空間特性モデルMC1がAP1用メモリ335aに定義(記憶)され、アクセスポイントAP2用の第3の伝搬損失空間特性モデルMC2がAP2用メモリ335bに定義されているのが好ましい。
【0163】
タイルTBijと第3の受信強度伝搬損失空間特性LCk(LCak、LCbk)との関係について
図13を用いて説明する。
【0164】
第3の受信強度伝搬損失空間特性LCkは、
図13(a)に示すように、例えばアクセスポイントAPkを中心とした立体形状であるが、理解を容易にするために断面で記載している。
【0165】
第3の受信強度伝搬損失空間特性LCkに関係づけられたタイTBij群は、
図13(b)に示すように、例えばアクセスポイントAPkを中央にして正六角形のタイルTBijを複数放射状に配列して構成している。
【0166】
但し、
図13(b)のタイルTBijは、強調して大きく記載している。また、タイルTBijは、処理を速くするために通路のエリア内のみに配列されている。
図13(b)においては通路も示している。
【0167】
また、タイルTBijの番号「i、j」はIDであり、「TB」はタイルを示す記号である。
【0168】
前述のタイルTBijの径は、対角同士を結ぶ直線の長さでもよいし、対辺同士を結ぶ直線の長さであってもよい。
【0169】
すなわち、
図13に示すように、アクセスポイントAPkのアクセスポイント位置Pkを有するタイルTBij(以下アクセスポイント対応タイルAPTBij)を中心として、関数としての第3の受信強度伝搬損失空間特性LCk(LCak、LCbk)が全タイルに渡って対応づけられている(但し、位置推定可能範囲Wk)。
【0170】
但し、携帯端末仮存在確率領域用メモリ145は、屋内地
図Gk上に複数のタイルTBijが配列されている。この屋内地
図Gk上のタイルTBijは第3の伝搬損失空間モデル用記憶部335のタイルTBijと同様なものであるが記号を変えて説明する(以下地図上タイルGTBijという)。すなわち、タイルTBijと地図上タイルGTBijとを総称して単にタイルと称する。
【0171】
(各部の説明)
第3の携帯端末仮存在確率領域算出部340は、伝搬損失空間特性モデル検索部130が第3の伝搬損失空間特性モデルMCkを検索(指定)する毎に、この第3の伝搬損失空間特性モデルMCkを引き当てる。
【0172】
そして、
図14に示すように、この第3の伝搬損失空間特性モデルMCkの第3の受信強度伝搬損失空間特性LCk(LCak、LCbk)に、読込部120からのAP受信強度AEkを定義する。
【0173】
図14においては、第3の伝搬損失空間特性モデルMCkの中心軸PZCkから右側を示している。
【0174】
そして、第3の携帯端末仮存在確率領域算出部340は、
図14に示すように第3の最大受信強度伝搬損失空間特性LCak上に定義されたAP受信強度AEkの点である強度上限値Eakmaxに対応する全てのタイルTBijを検索する(以下強度上限値対応タイルEakTBij群と称する)。つまり、AP受信強度AEkを一定の大きさの空間単位であるタイルに落とし込んでいる。
【0175】
具体的には、強度上限値Eakmaxから垂線をタイルTBij群に引き、この垂線が交わるタイルTBijの座標をタイル代表座標TDZkとし、このタイル代表座標TDZkとアクセスポイント位置Pkまでの距離rakを求め、この距離rakとなる全てのタイルTBijを強度上限値対応タイルEakTBij群として得る。
【0176】
また、第3の最小受信強度伝搬損失空間特性LCbk上に定義されたAP受信強度AEkの点である強度下限値Ebkminに対応する全てのタイルTBijを検索する(以下強度下限値対応タイルEbkTBij群と称する)。
【0177】
つまり、AP受信強度AEkを一定の大きさの空間単位であるタイルに落とし込んでいるので、AP受信強度AEkが点ではなく、ある一定の大きさの空間単位(強度上限値対応タイルEakTBij)で表されることになる。このため、ビーコン信号Bkの信号強度が空間で揺らいでいても、その揺らぎの幅を一定の大きさの空間単位(強度上限値対応タイルEakTBij)に抑制したことになるので、ビーコン信号Bkの信号強度が揺らいでいてもその揺らぎを考慮した、ある一定の大きさの領域に容易に落とし込むことができている。
【0178】
具体的には、強度下限値Ebkmaxから垂線をタイルTBij群に引き、この垂線が交わるタイルTBijの座標をタイル代表座標TDZkとし、このタイル代表座標TDZkとアクセスポイント位置Pkまでの距離rbkを求め、この距離rbkとなる全てのタイルTBijを強度下限値対応タイルEbkTBij群として得る。
【0179】
すなわち、強度上限値Eakmax及び強度下限値Ebkminを、携帯端末10の位置を、揺れ幅を考慮した空間単位の領域で認識するための一定の大きさのタイル(TBijに落とし込んだことになる。
【0180】
従って、揺らぎを考慮した範囲の距離値を有するタイルTBij(強度上限値対応タイルEakTBij群、強度下限値対応タイルEbkTBij群)を検索したことになる。
【0181】
そして、強度上限値対応タイルEakTBij群と強度下限値対応タイルEbkTBij群と、これらのタイル及び両方のタイル間のタイルTBijとの塊をドーナッツ領域対応タイルDRkTBij群(受信強度揺れ幅対応距離幅dδk)として読み込む(
図14参照)。このドーナッツ領域対応タイルDRkTBij群は、携帯端末仮推定位置円領域内タイル群KLk又は携帯端末仮推定位置円領域KRkともいう。
【0182】
そして、第3の携帯端末仮存在確率領域算出部340は、引き当てた第3の伝搬損失空間特性モデルMCkのAP識別情報APCkを有する地図上タイルGTBijを屋内地図上AP対応タイルGAPkTBijとして携帯端末仮存在確率領域用メモリ145より検索する(
図15参照)。但し、
図15はアクセスポイント位置Pkを地図上タイルGTBijの中心として示している。
【0183】
そして、第3の携帯端末仮存在確率領域算出部340は、この屋内地図上AP対応タイルGAPkTBijを中央にしてドーナッツ領域対応タイルDRkTBij群に対応する地図上タイルGTBij群をドーナッツ領域対応地図上タイルGRkTBij群として定義する(斜線で示している)。
【0184】
つまり、通路以外の地図上タイルGTBijを除いたドーナッツ領域対応地図上タイルGRkTBij群(斜線で示している)が抽出されることになる。
【0185】
このドーナッツ領域対応地図上タイルGRkTBij群を第3の携帯端末仮存在確率領域ARckと称している。
【0186】
図15においては、理解を容易にするために屋内地図上AP対応タイルGAPkTBij(アクセスポイント位置Pk)から強度下限値Ebkminに対応する距離軸上の距離dkまでを半径rd1とした円(以下ドーナツ領域内縁De1という)と、強度上限値Eakmaxに対応する距離軸上の距離dkまでを半径rd2とした円(以下ドーナッツ領域外縁De2という)とを示している。
【0187】
つまり、ドーナツ領域内縁De1が距離rbkに対応し、ドーナッツ領域外縁De2が距離rakに対応している。
【0188】
すなわち、ドーナツ領域内縁De1及びドーナッツ領域外縁De2には、ドーナッツ領域対応地図上タイルGRkTBij(第3の携帯端末仮存在確率領域ARck)が掛かるようになっているので、ドーナツ領域内縁De1及びドーナッツ領域外縁De2においても揺らぎを考慮して一定径のタイルを抽出している。
【0189】
つまり、AP受信強度AEkの揺らぎ幅Ewkが大きくても、受信した時点のAP受信強度AEkを、実際はこの程度の受信強度であるとする範囲の距離幅(受信強度揺れ幅対応距離幅dδk)であるとし、この受信強度揺れ幅対応距離幅dδkを平面(360°)で表している(ドーナッツ領域)。
【0190】
また、第3の携帯端末仮存在確率領域算出部340は、読込部120が読み込んだ全てのAP毎受信強度情報AJEk(AP識別情報APCk、AP受信強度AEk)に対する第3の携帯端末仮存在確率領域ARck(ドーナッツ領域対応地図上タイルGRkTBij群)が決定される毎に、第3の携帯端末存在高確率領域決定部350を起動する。
【0191】
第3の携帯端末存在高確率領域決定部350は、携帯端末仮存在確率領域用メモリ145に全ての第3の携帯端末仮存在確率領域ARck(ARc1、ARc2・・:ドーナッツ領域対応地図上タイルGRkTBij群)が全て重なり合う重複領域(以下地図上タイル重複領域GTKkという)が存在するかどうかを判断する(
図16参照)。この地図上タイル重複領域GTKk内において重複するドーナッツ領域対応地図上タイルGRkTBijを地図上重複タイルGkTBij(二重斜線で示している)と称する。
【0192】
地図上タイル重複領域GTKkが存在する場合は、複数のアクセスポイントAPkからのビーコン信号Bkを受信した判断する。
【0193】
そして、
図17に示すように、この地図上タイル重複領域GTKkを携帯端末10が存在している確率が高いと推定される携帯端末存在高確率領域SRk(以下第3の携帯端末存在高確率領域SRCkという:座標値と識別コード)として決定して携帯端末存在高確率領域用メモリ155に記憶する。
【0194】
また、第3の携帯端末存在高確率領域決定部350は、地図上タイル重複領域GTKk内の地図上重複タイルGkTBijの個数を計数し、一定個数以下の場合は、処理を中止(携帯端末仮存在確率領域用メモリ145をクリア等)して送信部180によって携帯端末10にエラーを送信するのが好ましい。
【0195】
第3の表示用携帯端末存在高確率領域生成部360は、
図18に示すように携帯端末存在高確率領域用メモリ155の地図上タイル重複領域GTKkにおける地図上重複タイルGkTBijが最も多く含む円(表示用携帯端末存在高確率領域HSRk)を生成する座標を携帯端末存在高確率領域代表座標SDZkとする(★印で示している)。
【0196】
そして、この携帯端末存在高確率領域代表座標SDZkを基準(中心)にして表示用携帯端末存在高確率領域HSRkの端までの直線を携帯端末存在確率表示領域半径rskとして求める。
【0197】
そして、この携帯端末存在高確率領域代表座標SDZk、携帯端末存在確率表示領域半径rskと、携帯端末10の画面に屋内地
図Gk上における携帯端末存在高確率領域代表座標SDZkを中心とした携帯端末存在確率表示領域半径rskの表示用携帯端末存在高確率領域HSRkを表示させる制御データと送信部180を出力する。
【0198】
(全体の動作)
図19及び
図20は本実施の形態3の屋内推定位置提供システムの全体動作を説明するシーケンス図である。
図19及び
図20のシーケンス図においては、コンピュータであるサーバ100の処理を説明するフローチャートも示して説明する。
【0199】
さらに、実施の形態3では携帯端末10は駅構内の通路天井に40m間隔で設置されているとして説明する。また、第1の一定時間(例えば20msec間隔)毎に、アクセスポイントAP1、アクセスポイントAP2からのビーコン信号Bk(B1、B2)のみを受信した場合として説明する。
【0200】
図19に示すようにユーザが携帯している携帯端末10は、WiFiモードで第1の一定時間毎に、アクセスポイントAP1、アクセスポイントAP2からのビーコン信号Bk(B1、B2)を受信し、この受信された各々のビーコン信号BkのAP受信強度AEk(AE1、AE2)を算出して図示しないメモリにAP識別情報APCkを関連付けたAP毎受信強度情報AJEk(AEk、APCk)を記憶する(d1)。
【0201】
そして、第2の一定時間(例えば100msec)が経過する毎に、メモリに記憶されているAP毎受信強度情報AJEk(AEk、APCk)を全て読み込み、これらに携帯端末10のIPアドレスを付加したアクセスポイント受信強度情報APEk(AJE1(AE1、APC1)、AJE2(AE2、APC2))を、通信ネットワークを介してサーバ300に送信する(d3)。
【0202】
サーバ300の受信部110は、携帯端末10と通信を確立してアクセスポイント受信強度情報APEk(AJE1(AE1、APCk)、AJE2(AE2、APCk))をアクセスポイント受信強度情報用メモリ115に記憶する(d5)。
【0203】
次に、サーバ300の読込部120は、アクセスポイント受信強度情報用メモリ115に記憶された先頭のアクセスポイント受信強度情報APEk(APE1又はAPE2)を指定して、このアクセスポイント受信強度情報APEk(AJE1(AE1、APCk)、AJE2(AE2、APCk))に含まれている全てのAP識別情報APCk(APC1、APC2)を伝搬損失空間特性モデル検索部130に順次出力する(d7)。
【0204】
例えば、アクセスポイント受信強度情報APE1に、アクセスポイントAP1のAP毎受信強度情報AJE1(AP識別情報APC1、AP受信強度AE1)と、アクセスポイントAP2のAP毎受信強度情報AJE2(AP識別情報APC2、AP受信強度AE1)とが含まれている場合は、AP毎受信強度情報AJE1のAP識別情報APC1とAP毎受信強度情報AJE2のAP識別情報APC2とを伝搬損失空間特性モデル検索部130に出力する。
【0205】
伝搬損失空間特性モデル検索部130は、読込部120からのAP識別情報APCk(APC1又はAPC2)に該当する第3の伝搬損失空間特性モデルMCk(MC1又はMC2)を第3の伝搬損失空間モデル用記憶部335から検索する(d9)。例えば、アクセスポイントAP1のAP毎受信強度情報AJE1(AP識別情報APC1、AP受信強度AE1)が出力された場合は、AP1用メモリ335aの第3の伝搬損失空間特性モデルMC1を検索する。
【0206】
次に、第3の携帯端末仮存在確率領域算出部340は、検索された第3の伝搬損失空間特性モデルMC1の第3の受信強度伝搬損失空間特性LC1(LCa1、LCb1)に対して、指定されたアクセスポイント受信強度情報APE1に含まれているAP受信強度AE1を
図21に示すように定義する。
【0207】
そして、
図21に示すように、第3の最大受信強度伝搬損失空間特性LCa1上の強度上限値Ea1max(○印)に対応する全ての強度上限値対応タイルEa1TBijを検索すると共に、第3の最小受信強度伝搬損失空間特性LCb1上に定義された強度下限値Eb1min(○印)に対応する全ての強度下限値対応タイルEb1TBijを検索し、これらをドーナッツ領域対応タイルDR1TBij群(受信強度揺れ幅対応距離幅dδ1)と決定する(d11)。
【0208】
そして、第3の携帯端末仮存在確率領域算出部340は、第3の携帯端末仮存在確率領域ARC1を算出する(d12)。
【0209】
この第3の携帯端末仮存在確率領域ARC1の算出は、携帯端末仮存在確率領域用メモリ145に配列されている地図上タイルGTBij群の内で、引き当てた第3の伝搬損失空間特性モデルMC1のAP識別情報APC1を有する屋内地図上AP対応タイルGAP1TBijを検索する(
図15参照)。
【0210】
そして、この屋内地図上AP対応タイルGAP1TBijを中央にしてドーナッツ領域対応タイルDRkTBij群(受信強度揺れ幅対応距離幅dδk)に対応する携帯端末仮存在確率領域用メモリ145における地図上タイルGTBij群をドーナッツ領域対応地図上タイルGRkTBij群とし、これを第3の携帯端末仮存在確率領域ARC1として決定する(
図15参照)。
【0211】
そして、第3の携帯端末仮存在確率領域算出部340は、アクセスポイント受信強度情報APEkに含まれているAP毎受信強度情報AJEk(AP識別情報APCk、AP受信強度AEk)が他にあるかどうかを判定する(d13)。
【0212】
他にある場合は、処理をd9に戻して、アクセスポイントAP2からのAP受信強度AE2を第3の伝搬損失空間特性モデルMC2である第3の最大受信強度伝搬損失空間特性LCa2に定義して携帯端末仮存在確率領域用メモリ145における第3の携帯端末仮存在確率領域ARC2を決定する。
【0213】
例えば、
図22に示すように、アクセスポイントAP2の第3の最大受信強度伝搬損失空間特性LCa2上の強度上限値Ea2max(△印)に対応する全ての強度上限値対応タイルEa2TBijを検索する。
【0214】
また、第3の最小受信強度伝搬損失空間特性LCb2上に定義された強度下限値Eb2minに対応する全ての強度下限値対応タイルEb2TBijを検索する。そして、これらをドーナッツ領域対応タイルDR2TBij群(受信強度揺れ幅対応距離幅dδ2)と決定する。
【0215】
そして、第3の携帯端末仮存在確率領域算出部340は、第3の携帯端末仮存在確率領域ARc2を算出する。
【0216】
すなわち、携帯端末仮存在確率領域用メモリ145に配列されている地図上タイルGTBij群の内で、引き当て第3の伝搬損失空間特性モデルMC2のAP識別情報APC2を有する屋内地図上AP対応タイルGAP2TBijを検索し、この屋内地図上AP対応タイルGAP2TBijを中央にする。そして、ドーナッツ領域対応タイルDR2TBij群(受信強度揺れ幅対応距離幅dδ2)に対応する地図上タイルGTBij群をドーナッツ領域対応地図上タイルGRkTBij群とし、これを第3の携帯端末仮存在確率領域ARc2として決定する(
図15参照)。
【0217】
ステップd13において、AP毎受信強度情報AJEk(AP識別情報APCk、AP受信強度AEk)が他にないと判定した場合は、第3の携帯端末仮存在確率領域算出部340は、第3の携帯端末存在高確率領域決定部350を起動させて第3の携帯端末存在高確率領域SRC2を決定させる(d15)。
【0218】
第3の携帯端末存在高確率領域決定部350は、携帯端末仮存在確率領域用メモリ145に地図上タイル重複領域GTKk(
図16参照)が存在する場合は、
図17に示すように、この地図上タイル重複領域GTKkを携帯端末10が存在している確率が高いと推定される第3の携帯端末存在高確率領域SRCkとして決定して携帯端末存在高確率領域用メモリ155に記憶する。
【0219】
この第3の携帯端末存在高確率領域SRCkの決定について
図23を用いて以下に説明する。
図23においては、第3の最大受信強度伝搬損失空間特性LCa1、第3の最小受信強度伝搬損失空間特性LCb1、第3の最大受信強度伝搬損失空間特性LCa2、第3の最小受信強度伝搬損失空間特性LCb2を、携帯端末仮存在確率領域用メモリ145における地図上タイルGTBij群の上に示して説明する。
【0220】
すなわち、第3の携帯端末存在高確率領域SRCkは、
図23に示すように、アクセスポイントAP1のドーナッツ領域対応地図上タイルGR1TBij群(ARC1)と、アクセスポイントAP2のドーナッツ領域対応地図上タイルGR2TBij群(ARC2)とが重なる重複領域内のドーナッツ領域対応地図上タイルGRkTBijの塊を地図上重複タイルGkTBij群(二重斜線で示している)として決定している。
【0221】
次に、
図20に示すように、第3の表示用携帯端末存在高確率領域生成部360は、携帯端末存在高確率領域用メモリ155の第3の携帯端末存在高確率領域SRCk(GTKk)を構成している地図上重複タイルGkTBijが最も多く含まれる円(表示用携帯端末存在高確率領域HSRk)を得るための、屋内地
図Gkの座標を携帯端末存在高確率領域代表座標SDZk(★印で示している)として求める(d20)。
【0222】
そして、この携帯端末存在高確率領域代表座標SDZkから表示用携帯端末存在高確率領域HSRkの端までの直線を表示用携帯端末存在高確率領域HSRkの携帯端末存在確率表示領域半径rskとして求める(d22)。
【0223】
そして、この携帯端末存在高確率領域代表座標SDZk、携帯端末存在確率表示領域半径rskと、携帯端末10の画面に屋内地
図Gk上における携帯端末存在高確率領域代表座標SDZkを中心とした携帯端末存在確率表示領域半径rskの表示用携帯端末存在高確率領域HSRkを表示させる制御データと屋内地
図Gkを送信部180に出力する(d24)。
【0224】
送信部180は、屋内地
図Gkと制御データと携帯端末存在確率表示領域半径rskと携帯端末存在高確率領域代表座標SDZkを読込部120が読み込んだ情報APEkに含まれている携帯端末10のIPアドレス宛に送信する(d25)。
【0225】
従って、例えば、アクセスポイントAPkからのビーコン信号BkのAP受信強度AEkが例えば−60dB以下であっても、表示用携帯端末存在高確率領域HSRkが屋内地
図Gkに表示される。
【0226】
また、上記実施の形態3ではアクセスポイントAP1とアクセスポイントAP2との場合について説明したが
図24に示すように、アクセスポイントAP1とアクセスポイントAP2とアクセスポイントAP3とからのビーコン信号Bk(B1、B2、B3)を受信した場合は、これらの重複領域が表示用携帯端末存在高確率領域HSRkとして表示される。
【0227】
従って、ユーザは、アクセスポイントAPkからのビーコン信号Bkを受信した場合は、その受信強度が低くともこの受信強度が低い領域を用いた表示用携帯端末存在高確率領域HSRkが屋内地
図Gk上に表示されるので、現在位置がどこかを推定することが可能となる。
【0228】
なお、タイル付受信強度推定値損失特性Lkは関数に代えて、単にデータ(距離と受信強度とタイルTBijの番号「ij」とアクセスポイント番号とを関連付けた)テーブル構造としても構わない。これを実施の形態4で具体的に説明する。
【0229】
<実施の形態4>
上記の実施の形態3の第3の伝搬損失空間特性モデルMCkの受信強度伝搬損失空間特性LCk(LCak、LCbk)をテーブル構造とすることで、携帯端末存在高確率領域を決定するまでの処理速度を向上させたシステムを実施の形態4として説明する。
【0230】
図25は実施の形態4の屋内推定位置提供システムの概略構成図である。図において上記と同一符号のものについては説明を省略する。
【0231】
実施の形態4の屋内推定位置提供システムは、センタのサーバ400に、第4の伝搬損失空間特性モデル用記憶部435(第2の記憶手段)とマップテーブル作成部410(マップテーブル作成手段)と、第4の携帯端末仮存在確率領域算出部440(携帯端末仮存在確率領域算出手段)等を備えている。
【0232】
この第4の伝搬損失空間特性モデル用記憶部435は、第3の受信強度伝搬損失空間特性LCk(LCak、LCbk)を一定間隔(例えば1m)に区分けしたときの、その一定間隔における受信強度の揺れ幅Ewkの論理値幅である受信強度抑制理論値揺れ幅間隔δk(δ1、δ2・・)がタイルID(ij)、アクセスポイントAPk等付のデータとして記憶されている。
【0233】
つまり、受信強度抑制理論値揺れ幅間隔δkは、強度上限値Eakmaxと強度下限値Ebkminとを組にしたデータ群である。
【0234】
実施の形態4ではこのデータ群を第4の受信強度伝搬損失空間特性LDkと称している(
図26参照)。
【0235】
また、この第4の受信強度伝搬損失空間特性LDkで定義された伝搬損失空間特性モデルを第4の伝搬損失空間特性モデルMDkと称している。
【0236】
また、第4の伝搬損失空間特性モデル用記憶部435は、アクセスポイントマスタテーブル435Akと、強度マップテーブル435Bk(435B1、435B2・・・)と、タイルテーブル435Ck(435C1、435C2、・・・)等からなり各々が関連付けられたリレーショナルデータベースを構成している。
【0237】
アクセスポイントマスタテーブル435Akは、
図26(a)に示すようにアクセスポイントIDと、アクセスポイント位置Pk(X座標、Y座標)と、最大値損失空間特性用係数Kak(k:1、2、・・)と、最小値損失空間特性用係数Kbkと、アクセスポイントAPkの信号出力強度Ek(単に出力強度ともいう)等からなるレコードをアクセスポイントAPk毎に設けている。これらのデータを総称してアクセスポイントデータAPDkと称する。
【0238】
強度マップテーブル435Bkは、
図26(b)に示すように、アクセスポイントID(APk)と、タイルID(ij)と、強度上限値Eakmaxと、強度下限値Ebkmin等からなるレコードをアクセスポイント毎に設けている。これらのデータを総称して距離毎強度許容値データEKkと称する。
【0239】
また、タイルテーブル435Ckは、
図26(c)に示すように、タイルID(ij)と、X代表座標と、Y代表座標と、減衰率補正値βkとからなるレコードをタイルID毎に設けている。X代表座標とY代表座標とはタイル代表座標TDZkに相当する。
【0240】
これらのデータを総称してタイルデータTMDkと称する。X代表座標、Y代表座標というのは、アクセスポイント位置Pkから例えば1m単位となる点の座標である。
【0241】
マップテーブル作成部410は、アクセスポイントマスタテーブル435Akの全てのアクセスポイントAPk(アクセスポイントID)毎に、強度マップテーブル435Bk(435B1、435B2、・・・)を第4の伝搬損失空間特性モデル用記憶部435に生成する。
【0242】
そして、アクセスポイントAPk(アクセスポイントID)毎にメモリ412の三次元空間座標系にこのアクセスポイントAPk(アクセスポイントID)のアクセスポイント位置Pk(X座標、Y座標)を定義し、このアクセスポイント位置Pkを中心とした立体的な第3の受信強度伝搬損失空間特性LCk(LCak、LCbk)を定義する。
【0243】
そして、この第3の受信強度伝搬損失空間特性LCk(LCak、LCbk)の中心軸(Z軸:受信強度)から平面において一定間隔(例えば1m)で一定径(1m)のタイルTBijを放射状に例えば80mの距離まで定義していく(平面360°)。つまり、基準値を越えてある一定範囲(Wk)まで定義していく。但し、屋内地
図Gkの通路内だけに定義する。
【0244】
そして、アクセスポイント位置Pkを有するタイルTBijを先頭にして例えば所定廻りでアクセスポイントAPk(アクセスポイントID)を有する強度マップテーブル435BkにタイルTBijのタイルID(ij)を順次書き込む(
図26(c)参照)。
【0245】
そして、このアクセスポイントAPk(アクセスポイントID)を有するアクセスポイントデータAPDkに含まれている最大値損失空間特性用係数Kak、最小値損失空間特性用係数Kbk、信号出力強度Ekに基づいてタイルTBijの強度上限値Eakmax、強度下限値Ebkmaxを順次求めて強度マップテーブル435Bkに受信強度抑制理論値揺れ幅間隔δkとして書き込む。
【0246】
このとき、タイルID(ij)を有するタイルデータTMDkをタイルテーブル434Ckから読み込み、減衰率補正値βkが存在する場合は、この減衰率補正値βkに基づいて強度上限値Eakmax、強度下限値Ebkmaxを補正している。
【0247】
すなわち、強度マップテーブル435Bkは
図27に示すように、第3の受信強度伝搬損失空間特性LCk(LCak、LCbk)を一定間隔(例えば1m)に区分けしたときの、その一定間隔における受信強度抑制理論値揺れ幅間隔δkの強度上限値Eakmax及び強度下限値Ebkminを組にしたデータ群を記憶している。つまり、この受信強度抑制理論値揺れ幅間隔δk群が第4の受信強度伝搬損失空間特性LDkである。
【0248】
そして、第4の伝搬損失空間特性モデル用記憶部435のアクセスポイントマスタテーブル435Akと強度マップテーブル435Bk(435B1、435B2・・・)とタイルテーブル435Ck(435C1、435C2、・・・)とは各々が関連付けられているので、携帯端末仮存在確率領域用メモリ145における地図上タイルGTBijには、
図27に示すようにアクセスポイントID(APk)と、受信強度抑制理論値揺れ幅間隔δk(Eakmax、強度下限値Ebkmax)と、タイルID(ij)と、タイル代表座標TDZk等が割り付けられていることになる。
【0249】
すなわち、タイルID(ij)は、アクセスポイントAPk毎に、このアクセスポイントAPkから一定の大きさの空間単位を示すタイルTBijが基準受信強度AEkoに対応する距離を超える位置推定可能範囲Wkに渡って放射状に配列したときのこれらのタイルTBijに対応する距離毎強度許容値データEKkが関連付けられている。
【0250】
さらに、これらの距離毎強度許容値データEKkは、環境的要因により変化する受信強度AEkの揺れ幅EwkをこのアクセスポイントAPkからの距離に応じて減衰する下限の理論値である強度下限値Ebkmaxと上限の理論値である強度上限値Eakminとで表した理論値幅(δk)が割り付けられていることになる。
【0251】
伝搬損失空間特性モデル検索部130は、読込部120からのAP識別情報APCkに該当するアクセスポイントID(APk)を第4の伝搬損失空間特性モデル用記憶部435のアクセスポイントマスタテーブル435Akから検索する。
【0252】
第4の携帯端末仮存在確率領域算出部440は、検索されたアクセスポイントマスタテーブル435AkのアクセスポイントID(APk)を有する距離毎強度許容値データEKkを強度マップテーブル435Bkから検索する。
【0253】
図27に示す第4の受信強度伝搬損失空間特性LDkを用いて説明する。第4の携帯端末仮存在確率領域算出部440は、AP受信強度AEkを含む全ての受信強度抑制理論値揺れ幅間隔δk(Eakmax〜Ebkmax)を検索し、これらの受信強度抑制理論値揺れ幅間隔δk(Eakmax〜Ebkmax)に対応するタイルID(ij)を全て検索する。
図27においては、地図上タイルGTBijを下に記載し、上にタイルID(ij)を記載している。
【0254】
そして、第4の携帯端末仮存在確率領域算出部440は、読込部120からのAP受信強度AEkを含む受信強度抑制理論値揺れ幅間隔δk(Eakmax〜Ebkmin)を有するタイルID(ij)を強度マップテーブル435Bkから全て検索する。この検索されたタイルID(ij)を有する全ての距離毎強度許容値データEKkを実施の形態3におけるドーナッツ領域対応タイルDR2TBij群に対応する携帯端末仮存在データδEKk群と称する。
【0255】
次に、携帯端末仮存在確率領域用メモリ145に配列されている地図上タイルGTBij群の内で、AP識別情報APCkを有する屋内地図上AP対応タイルGAPkTBijを検索する。
【0256】
そして、この屋内地図上AP対応タイルGAPkTBijを中央にして検索した携帯端末仮存在データδEKk群に対応する地図上タイルGTBij群を
図28に示すように地図上ドーナッツ領域対応タイルGRkTBij群(斜線で示している)とする。これを第3の携帯端末仮存在確率領域ARckと称する。
【0257】
また、第4の携帯端末仮存在確率領域算出部440は、読込部120が読み込んだ全てのAP毎受信強度情報AJEk(AP識別情報APCk、AP受信強度AEk)に対する第3の携帯端末仮存在確率領域ARck(ドーナッツ領域対応タイルDRkTBij群)が決定される毎に、第3の携帯端末存在高確率領域決定部350を起動する。
【0258】
従って、第3の携帯端末存在高確率領域決定部350は、第4の携帯端末仮存在確率領域用メモリ445に全ての第3の携帯端末仮存在確率領域ARck(ARc1、ARc2・・:地図上ドーナッツ領域対応タイルGRkTBij群)が重なり合う領域(以下地図上タイル重複領域GTKkという)が存在する場合に、この地図上タイル重複領域GTKkを携帯端末10が存在している確率が高いと推定される実施の形態3の第3の携帯端末存在高確率領域SRCk(座標値と識別コード)として決定して携帯端末存在高確率領域用メモリ155に記憶することになる(
図39参照)。
【0259】
すなわち、受信した全てのビーコン信号BkのAP受信強度AEkを含む距離毎強度許容値データEKkを第4の伝搬損失空間特性モデル用記憶部435から検索してこの距離毎強度許容値データEKkに含まれている地図上タイルGTBijを指定するだけで、ドーナッツ領域対応地図上タイルGRkTBij群(受信強度揺れ幅対応距離幅dδ2)を重ねた地図上タイル重複領域GTKkを得ることができるので、受信強度の揺らぎを考慮した精度の高い携帯端末仮存在確率領域を高速に得ることができている。
【0260】
従って、携帯端末10が現在位置している可能性が高い携帯端末存在高確率領域SRkを精度良く高速に得ることができている。
【0261】
なお、上記実施の形態では、正六角形のタイルを用いて説明したが四角系、三角系等であっても構わない。
【0262】
また、タイルの大きさを1mとして説明したが、1m以下又は1m以上であっても構わない。