(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参考にして、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0019】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。また、明細書全体において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」または「の上に」あるとする時、これは、他の部分の「真上に」ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。また、「上に」または「の上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味し、必ずしも重力方向を基準として上側に位置することを意味しない。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる表示装置の断面図である。
【0021】
図1を参照すれば、第1実施形態の表示装置100は、第1基板SUB1と、薄膜トランジスタTFTと、水素遮断膜120aと、パッシベーション層130とを含む。第1実施形態の表示装置100は液晶表示装置であり、画素電極151と、液晶層160と、共通電極152と、第2基板SUB2とをさらに含む。
図1では1つの画素領域を示した。
【0022】
第1基板SUB1は、ガラスまたはプラスチックのような絶縁性基板からなる。薄膜トランジスタTFTは、ゲート電極11と、ソース電極12およびドレイン電極13と、ソース/ドレイン電極12、13に接続された活性層14とを含む。ゲート電極11とソース/ドレイン電極12、13との間にゲート絶縁膜GIが位置し、ソース/ドレイン電極12、13および活性層14の上にエッチング停止膜110とパッシベーション層130とが位置する。
【0023】
ゲート電極11は、第1基板SUB1上に位置し、ゲート電極11を覆うように第1基板SUB1上にゲート絶縁膜GIが位置する。ソース電極12とドレイン電極13は、ゲート絶縁膜GI上で互いに距離をおいて位置し、活性層14がソース電極12およびドレイン電極13と接しながら、両電極12、13の間に位置する。
【0024】
ゲート電極11は、薄膜トランジスタTFTに印加されるゲート電圧によって活性層14中の電子密度を制御する機能を果たす。ゲート電極11は、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)の二重層、またはモリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)合金の二重層に形成できる。ソース/ドレイン電極12、13は、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ネオジム(Nd)、タングステン(W)、またはチタン(Ti)のうちのいずれか1つを含むか、インジウム−錫酸化物(ITO)のような透明な導電性物質を含むことができる。
【0025】
ゲート絶縁膜GI上でソース/ドレイン電極12、13が活性層14より先に形成されるか、活性層14がソース/ドレイン電極12、13より先に形成され得る。
図1では前者の場合を例として示した。
【0026】
活性層14は、酸化物半導体を含む。酸化物半導体は、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、ゲルマニウム(Ge)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、錫(Sn)、またはインジウム(In)をベースとする酸化物と、これらの複合酸化物であるインジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(In−Ga−Zn−O)、インジウム−亜鉛酸化物(In−Zn−O)、亜鉛−錫酸化物(Zn−Sn−O)、インジウム−ガリウム酸化物(In−Ga−O)、インジウム−錫酸化物(In−Sn−O)、インジウム−ジルコニウム酸化物(In−Zr−O)、インジウム−ジルコニウム−亜鉛酸化物(In−Zr−Zn−O)、インジウム−ジルコニウム−錫酸化物(In−Zr−Sn−O)、インジウム−ジルコニウム−ガリウム酸化物(In−Zr−Ga−O)、インジウム−アルミニウム酸化物(In−Al−O)、インジウム−亜鉛−アルミニウム酸化物(In−Zn−Al−O)、インジウム−錫−アルミニウム酸化物(In−Sn−Al−O)、インジウム−アルミニウム−ガリウム酸化物(In−Al−Ga−O)、インジウム−タンタル酸化物(In−Ta−O)、インジウム−タンタル−亜鉛酸化物(In−Ta−Zn−O)、インジウム−タンタル−錫酸化物(In−Ta−Sn−O)、インジウム−タンタル−ガリウム酸化物(In−Ta−Ga−O)、インジウム−ゲルマニウム酸化物(In−Ge−O)、インジウム−ゲルマニウム−亜鉛酸化物(In−Ge−Zn−O)、インジウム−ゲルマニウム−錫酸化物(In−Ge−Sn−O)、インジウム−ゲルマニウム−ガリウム酸化物(In−Ge−Ga−O)、チタン−インジウム−亜鉛酸化物(Ti−In−Zn−O)、またはハフニウム−インジウム−亜鉛酸化物(Hf−In−Zn−O)のうちのいずれか1つを含むことができる。
【0027】
活性層14は、有機金属化学気相蒸着(MOCVD)、化学気相蒸着(CVD)、スパッタ蒸着、E−ビーム蒸着などの方法で形成できる。このうち、有機金属化学気相蒸着(MOCVD)の場合、蒸着温度を300℃以下に維持することができ、蒸着時、第1基板SUB1に加えられる熱的ストレスを低減することができる。
【0028】
酸化物半導体で形成された活性層14は、優れた半導体特性を示すが、外部環境に脆弱である。したがって、活性層14上にエッチング停止膜110、水素遮断膜120aおよびパッシベーション層130が順次に位置し、水分と酸素を含む外部環境から活性層14を保護する。エッチング停止膜110は、シリコン酸化物を含み、パッシベーション層130は、シリコン窒化物を含むことができる。
【0029】
水素遮断膜120aは、アルミニウム−ネオジム(AlNd)酸化物、アルミニウム−ニッケル−ランタン(AlNiLa)酸化物、アルミニウム−ニッケル−ゲルマニウム−ランタン(AlNiGeLa)酸化物、およびアルミニウム−コバルト−ゲルマニウム−ランタン(AlCoGeLa)酸化物のうちのいずれか1つを含む。
【0030】
水素遮断膜120aは、活性層14とパッシベーション層130との間に位置し、具体的には、エッチング停止膜110とパッシベーション層130との間に位置する。水素遮断膜120aは、パッシベーション層130の形成物質を蒸着する過程で使用されるガスに含まれている水素が活性層14に流入するのを遮断する。水素は活性層14と反応し、活性層14の電気的特性を低下させる。
【0031】
水素遮断膜120aは、1.6〜1.7程度の屈折率を有し、エッチング停止膜110に比べて高い膜密度を示す。したがって、水素遮断膜120aは、パッシベーション層130から拡散する水素を効果的に遮断し、活性層14の特性劣化を抑制する。
【0032】
その結果、第1実施形態の表示装置100は、活性層14の水素流入による薄膜トランジスタTFTの初期特性過発現現象を抑制することができる。また、薄膜トランジスタTFTの製造後、初期しきい電圧(Vth)の変化量を低減することができ、薄膜トランジスタTFTの長期信頼性を向上させることができる。
【0033】
また、水素遮断膜120aは、高いガスバリア特性を有するため、活性層14から酸素などが脱離するのを抑制し、活性層14の電荷濃度が変化するのを抑制することができる。したがって、薄膜トランジスタTFTの電気的特性を安定化させることができる。
【0034】
水素遮断膜120aは、蒸着過程で水素を発生させない。水素遮断膜120aは、DCスパッタリング、化学気相蒸着(CVD)、プラズマ強化化学気相蒸着(PECVD)、有機金属化学気相蒸着(MOCVD)、または原子層蒸着(ALD)などの方法で形成できる。
【0035】
水素遮断膜120aは、40Å〜500Åの厚さに形成できる。水素遮断膜120aの厚さが40Å未満であれば、水素遮断膜120aが物理的な厚さを十分に確保できなくなり、水素遮断能力が低下する。水素遮断膜120aの厚さが大きくなるほど、水素遮断効果は高まるが、蒸着時間が長くなってしまう。水素遮断膜120aの厚さが500Åを超えると、過度の蒸着時間により工程が遅れ、大量生産に不利になる。
【0036】
パッシベーション層130上に有機保護膜140が位置し、画素電極151が有機保護膜140上に位置する。画素電極151は、有機保護膜140、パッシベーション層130、水素遮断膜120a、およびエッチング停止膜110に形成されたビアホールを介してドレイン電極13と接触する。画素電極151は、画素ごとに1つずつ備えられ、画素電極151および有機保護膜140の上に下部配向膜171が位置する。
【0037】
第1基板SUB1を向く第2基板SUB2の一面に遮光層180とカラーフィルタ185とが位置する。カラーフィルタ185は、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタおよび青色カラーフィルタから構成され、遮光層180は、それぞれのカラーフィルタ185の間に対応して位置する。カラーフィルタ185上に共通電極152が位置し、共通電極152上に上部配向膜172が位置する。液晶層160は、上部配向膜172と下部配向膜171との間に注入され、上部配向膜172と下部配向膜171によって特定の配列状態を維持する。
【0038】
図示しないが、第1基板SUB1上に複数のゲートラインと複数のデータラインとが互いに交差するように形成される。ゲートラインは、ゲート信号を伝達し、薄膜トランジスタTFTのゲート電極11に接続される。データラインは、データ信号を伝達し、薄膜トランジスタTFTのソース電極12に接続される。そして、水素遮断膜120aは、複数の画素が配列された表示領域(図示せず)全体に形成され、複数の薄膜トランジスタTFTの活性層14に対して同一の水素遮断機能を実現する。
【0039】
図2は、本発明の第2実施形態にかかる表示装置の断面図である。
【0040】
図2を参照すれば、第2実施形態の表示装置200は、水素遮断膜120bが活性層14とエッチング停止膜110との間に位置することを除き、前述した第1実施形態の表示装置と同一の構成からなる。第1実施形態と同一の部材については同一の図面符号を用い、以下では、主に第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0041】
水素遮断膜120bは、活性層14およびソース/ドレイン電極12、13の真上に形成され、エッチング停止膜110と接触する。エッチング停止膜110は、水素遮断膜120bおよびパッシベーション層130と共に活性層14を保護する役割を果たすが、エッチング停止膜110を形成する時の工程条件によっても活性層14へ水素が拡散し得る。
【0042】
第2実施形態において、水素遮断膜120bは、活性層14およびソース/ドレイン電極12、13の真上に形成され、活性層14がエッチング停止膜110と接触しないようにする。水素遮断膜120bは、パッシベーション層130から拡散する水素だけでなく、エッチング停止膜110から拡散する水素も効果的に遮断し、活性層14の特性劣化を抑制する。
【0043】
図3は、本発明の第3実施形態にかかる表示装置の断面図である。
【0044】
図3を参照すれば、第3実施形態の表示装置300は、水素遮断膜120cが活性層14とエッチング停止膜110との間に追加的に形成されたことを除き、前述した第1実施形態の表示装置と同一の構成からなる。第1実施形態と同一の部材については同一の図面符号を用い、以下では、主に第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0045】
水素遮断膜120cは、エッチング停止膜110とパッシベーション層130との間に位置する第1水素遮断膜121と、活性層14とソース/ドレイン電極12、13およびエッチング停止膜110との間に位置する第2水素遮断膜122とを含む。前述のように、エッチング停止膜110の工程条件によってエッチング停止膜110から活性層14に向かって水素が拡散し得るため、第2水素遮断膜122がエッチング停止膜110から活性層14へ拡散する水素を遮断する。
【0046】
第1水素遮断膜121と第2水素遮断膜122は、アルミニウム−ネオジム(AlNd)酸化物、アルミニウム−ニッケル−ランタン(AlNiLa)酸化物、アルミニウム−ニッケル−ゲルマニウム−ランタン(AlNiGeLa)酸化物、およびアルミニウム−コバルト−ゲルマニウム−ランタン(AlCoGeLa)酸化物のうちのいずれか1つを含む。
【0047】
第3実施形態の表示装置300では、第1水素遮断膜121と第2水素遮断膜122の二重構造によってエッチング停止膜110から拡散する水素を遮断すると共に、パッシベーション層130から拡散する水素を2回遮断できるため、活性層14の特性劣化をより効果的に抑制することができる。
【0048】
図4は、本発明の第4実施形態にかかる表示装置の断面図である。
【0049】
図4を参照すれば、第4実施形態の表示装置400は、基板SUBと、薄膜トランジスタTFTと、水素遮断膜120dと、パッシベーション層130とを含む。第4実施形態の表示装置400は有機発光表示装置であり、有機発光ダイオード190と封止部材ENとをさらに含む。
図4では1つの画素領域を示した。
【0050】
基板SUBは、ガラスまたは高分子フィルムのような絶縁性基板で形成される。基板SUBが高分子フイルムで形成された場合、撓む特性を有することができる。薄膜トランジスタTFTは、ゲート電極11と、ソース/ドレイン電極12、13と、ソース/ドレイン電極12、13に接続された活性層14とを含む。ゲート電極11が基板SUB上に形成され、ゲート絶縁膜GIがゲート電極11を覆うように基板SUB全体に形成される。
【0051】
ゲート絶縁膜GI上に活性層14が位置し、活性層14上にエッチング停止膜110が位置する。ソース/ドレイン電極12、13は、エッチング停止膜110上で互いに距離をおいて位置する。ソース/ドレイン電極12、13は、エッチング停止膜110に形成されたビアホールを介して活性層14にそれぞれ接続される。活性層14は、酸化物半導体を含み、パッシベーション層130は、ソース/ドレイン電極12、13上に位置する。
【0052】
第4実施形態の薄膜トランジスタTFTは、エッチング停止膜110が活性層14とソース/ドレイン電極12、13との間に位置し、ソース/ドレイン電極12、13が活性層14の上部に位置することを除き、前述した第1実施形態の薄膜トランジスタと類似の構成からなる。エッチング停止膜110は、シリコン酸化物を含むことができ、パッシベーション層130は、シリコン窒化物またはシリコン酸化物を含むことができる。
【0053】
第4実施形態の表示装置において、水素遮断膜120dは、活性層14とパッシベーション層130との間、具体的には、ソース/ドレイン電極12、13とパッシベーション層130との間に位置する。
【0054】
水素遮断膜120dは、アルミニウム−ネオジム(AlNd)酸化物、アルミニウム−ニッケル−ランタン(AlNiLa)酸化物、アルミニウム−ニッケル−ゲルマニウム−ランタン(AlNiGeLa)酸化物、およびアルミニウム−コバルト−ゲルマニウム−ランタン(AlCoGeLa)酸化物のうちのいずれか1つを含み、パッシベーション層130を蒸着する過程で活性層へ拡散する水素を遮断し、活性層14の特性劣化を抑制する。水素遮断膜120dの物理的な特性とこれによる作用は前述した第1実施形態と同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0055】
パッシベーション層130上に画素電極191が位置し、画素電極191およびパッシベーション層130の上に画素定義膜145が位置する。画素電極191は、画素ごとに1つずつ備えられ、パッシベーション層130に形成されたビアホールを介して薄膜トランジスタTFTのドレイン電極13に接続される。画素定義膜145は開口部を形成し、画素電極191の一部を露出させる。
【0056】
画素電極191上に有機発光層192が位置し、複数の画素電極191上に共通電極193が形成される。画素電極191、有機発光層192および共通電極193が有機発光ダイオード190を構成する。画素電極191が有機発光層192に正孔を注入するアノードであり得、共通電極193が有機発光層192に電子を注入するカソードであり得る。
【0057】
画素電極191と共通電極193から有機発光層192に電子と正孔が注入されると、正孔と電子が結合した励起子(exciton)が励起状態から基底状態に落ちる際に発光が行われる。画素電極191および共通電極193のうちのいずれか1つは反射型電極であり、他の1つは透過型電極からなる。有機発光層192から放出された光は、透過型電極を透過して外部に放出される。
【0058】
有機発光層192は、赤色有機発光層、緑色有機発光層、および青色有機発光層を含むことができ、赤色有機発光層、緑色有機発光層および青色有機発光層はそれぞれ、赤色画素、緑色画素、および青色画素に形成されてカラー画像を実現することができる。
【0059】
他方で、有機発光層192は、赤色画素、緑色画素、および青色画素のすべてに赤色有機発光層、緑色有機発光層および青色有機発光層をすべて積層し、各画素ごとに赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、および青色カラーフィルタを配置してカラー画像を実現することができる。
【0060】
他方で、白色を発光する白色有機発光層を赤色画素、緑色画素、および青色画素のすべてに形成し、各画素ごとに赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、および青色カラーフィルタを配置してカラー画像を実現することができる。この場合、赤色有機発光層、緑色有機発光層および青色有機発光層をそれぞれ形成するための蒸着マスクを用いなくてもよいため、解像度の向上に有利である。
【0061】
白色有機発光層は、1つの有機発光層に形成されるか、複数の有機発光層が積層されて白色を発光する構成を含むことができる。例えば、白色有機発光層は、少なくとも1つのイエロー有機発光層と少なくとも1つの青色有機発光層とが組み合わされた構成、または少なくとも1つのシアン有機発光層と少なくとも1つの赤色有機発光層とが組み合わされた構成を含むことができる。また、白色有機発光層は、少なくとも1つのマゼンタ有機発光層と少なくとも1つの緑色有機発光層とが組み合わされた構成を含むことができる。封止部材ENは、ガラス、高分子フィルム、または金属などで形成されるか、複数の有機膜と複数の無機膜とが1回以上交互に繰り返し積層された薄膜封止層から構成できる。封止部材ENは、複数の有機発光ダイオードを密封し、大気中に含まれている水分と酸素の浸透を遮断する。基板SUBと封止部材ENが撓む素材で形成される場合、表示装置400全体が撓む特性を有することができる。
【0062】
図示しないが、第4実施形態の表示装置400は、スキャン信号を伝達するゲート配線と、データラインと駆動電源ラインを含むデータ配線とをさらに含む。また、第4実施形態の表示装置400において、画素は、ゲート配線とデータ配線との交差領域に位置し、少なくとも2つの薄膜トランジスタ(スイッチングトランジスタおよび駆動トランジスタ)と、キャパシタと、前述した有機発光ダイオード190とを含む。
【0063】
図4に示した薄膜トランジスタTFTは駆動トランジスタであり、スイッチングトランジスタについても、水素遮断膜120dの形成物質と位置および機能は駆動トランジスタと同一である。
【0064】
図5は、本発明の第5実施形態にかかる表示装置の断面図である。
【0065】
図5を参照すれば、第5実施形態の表示装置500は、水素遮断膜120eがエッチング停止膜110の真上に追加的に形成されたことを除き、前述した第4実施形態の表示装置と同一の構成からなる。第4実施形態と同一の部材については同一の図面符号を用い、以下では、主に第4実施形態と異なる構成について説明する。
【0066】
水素遮断膜120eは、ソース/ドレイン電極12、13とパッシベーション層130との間に位置する第1水素遮断膜123と、エッチング停止膜110とソース/ドレイン電極12、13との間に位置する第2水素遮断膜124とを含む。第2水素遮断膜124は、ソース/ドレイン電極12、13の形成前にエッチング停止膜110上に形成され、エッチング停止膜110と共にビアホールを形成し、ソース/ドレイン電極12、13が活性層14と接触するようにする。
【0067】
第1水素遮断膜123と第2水素遮断膜124は、アルミニウム−ネオジム(AlNd)酸化物、アルミニウム−ニッケル−ランタン(AlNiLa)酸化物、アルミニウム−ニッケル−ゲルマニウム−ランタン(AlNiGeLa)酸化物、およびアルミニウム−コバルト−ゲルマニウム−ランタン(AlCoGeLa)酸化物のうちのいずれか1つを含む。
【0068】
第5実施形態では、活性層14とパッシベーション層130との間に2つの水素遮断膜123、124が重なって位置するため、パッシベーション層130を蒸着する過程で活性層14へ拡散する水素を2回遮断することができ、活性層14の特性劣化をより効果的に抑制することができる。
【0069】
図6は、本発明の第6実施形態にかかる表示装置の断面図である。
【0070】
図6を参照すれば、第6実施形態の表示装置600は、水素遮断膜120fが活性層14とエッチング停止膜110との間に位置することを除き、前述した第4実施形態の表示装置と同一の構成からなる。第4実施形態と同一の部材については同一の図面符号を用い、以下では、主に第4実施形態と異なる構成について説明する。
【0071】
水素遮断膜120fは、活性層14の真上に形成され、エッチング停止膜110の下のゲート絶縁膜GI上にも形成可能である。エッチング停止膜110にビアホールを形成する時、水素遮断膜120fにもビアホールが形成され、ソース/ドレイン電極12、13が活性層14と接触するようにする。
【0072】
エッチング停止膜110を形成する時、工程条件によって活性層14へ水素が拡散し得る。水素遮断膜120fがエッチング停止膜110の下に位置するため、パッシベーション層130から活性層14へ拡散する水素だけでなく、エッチング停止膜110から活性層14へ拡散する水素も効果的に遮断することができる。
【0073】
図7は、本発明の第7実施形態にかかる表示装置の断面図である。
【0074】
図7を参照すれば、第7実施形態の表示装置700は、水素遮断膜120gが活性層14とエッチング停止膜110との間にも追加的に形成されたことを除き、前述した第4実施形態の表示装置と同一の構成からなる。第4実施形態と同一の部材については同一の図面符号を用い、以下では、主に第4実施形態と異なる構成について説明する。
【0075】
水素遮断膜120gは、ソース/ドレイン電極12、13とパッシベーション層130との間に位置する第1水素遮断膜125と、活性層14とエッチング停止膜110との間に位置する第2水素遮断膜126とを含む。
【0076】
第2水素遮断膜126は、活性層14の真上に形成され、エッチング停止膜110の下のゲート絶縁膜GI上にも形成可能である。エッチング停止膜110にビアホールを形成する時、第2水素遮断膜126にもビアホールが形成され、ソース/ドレイン電極12、13が活性層14と接触するようにする。
【0077】
第1水素遮断膜125と第2水素遮断膜126は、アルミニウム−ネオジム(AlNd)酸化物、アルミニウム−ニッケル−ランタン(AlNiLa)酸化物、アルミニウム−ニッケル−ゲルマニウム−ランタン(AlNiGeLa)酸化物、およびアルミニウム−コバルト−ゲルマニウム−ランタン(AlCoGeLa)酸化物のうちのいずれか1つを含む。
【0078】
第1水素遮断膜125がパッシベーション層130から拡散する水素を遮断し、第2水素遮断膜126がパッシベーション層130およびエッチング停止膜110から拡散する水素を遮断する。第7実施形態では、活性層14とパッシベーション層130との間に2つの水素遮断膜125、126が重なって位置するため、活性層14に向かった水素の拡散を効果的に抑制することができる。
【0079】
図8は、第1実施形態の表示装置において、薄膜トランジスタのドレイン電流(Ids)対ゲート電圧(Vg)を測定して示すグラフであり、
図9は、水素遮断膜を備えない第1比較例の表示装置において、薄膜トランジスタのドレイン電流(Ids)対ゲート電圧(Vg)を測定して示すグラフである。表示装置内の6つの地点を選択して薄膜トランジスタのドレイン電流(Ids)対ゲート電圧(Vg)特性を測定して示した。
【0080】
第1比較例の表示装置は、水素遮断膜が省略されたことを除き、第1実施形態の表示装置と同一の構造および同一の素材からなる。実験に用いられた第1実施形態の表示装置において、活性層は、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(In−Ga−Zn−O)を含み、水素遮断膜は、アルミニウム−ネオジム(AlNd)酸化物を含む。エッチング停止膜は、シリコン酸化膜で形成され、パッシベーション層は、シリコン窒化膜で形成される。
【0081】
第1実施形態の表示装置において、初期しきい電圧は3〜4Vで、ゲート電圧が0Vの時、リーク電流(I
off current)は10
−9A水準である。第1比較例の表示装置において、初期しきい電圧は7〜8Vで、ゲート電圧が0Vの時、リーク電流は10
−6〜10
−10A水準である。薄膜トランジスタのリーク電流が少ないほど、オン/オフ特性がよくなり、表示装置の表示品質が向上する。
【0082】
第1実施形態の表示装置は、測定地点による薄膜トランジスタの特性偏差が少なく、正確なオン/オフ特性を示す。反面、第1比較例の表示装置は、測定地点による薄膜トランジスタの特性偏差が大きく、一部の薄膜トランジスタの場合、半導体特性を失い不良が発生した結果を示している。
【0083】
図10は、第4実施形態の表示装置において、薄膜トランジスタのドレイン電流(Ids)対ゲート電圧(Vg)を測定して示すグラフであり、
図11は、水素遮断膜を備えない第2比較例の表示装置において、薄膜トランジスタのドレイン電流(Ids)対ゲート電圧(Vg)を測定して示すグラフである。表示装置内の6つの地点を選択し、薄膜トランジスタのドレイン電流(Ids)対ゲート電圧(Vg)を測定して示した。
【0084】
第2比較例の表示装置は、水素遮断膜が省略されたことを除き、第4実施形態の表示装置と同一の構成からなる。実験に用いられた第4実施形態の表示装置において、活性層は、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(In−Ga−Zn−O)を含み、水素遮断膜は、アルミニウム−ネオジム(AlNd)酸化物を含む。エッチング停止膜とパッシベーション層は、シリコン窒化膜で形成される。
【0085】
第4実施形態の表示装置において、初期しきい電圧は3〜4Vで、ゲート電圧が0Vの時、リーク電流(I
off current)は10
−10A水準である。第2比較例の表示装置において、初期しきい電圧は−10〜2Vで、ゲート電圧が0Vの時、リーク電流は10
−3〜10
−13A水準である。
【0086】
第4実施形態の表示装置は、測定地点による薄膜トランジスタの特性偏差が少なく、正確なオン/オフ特性を示す。反面、第2比較例の表示装置は、測定地点による薄膜トランジスタの特性偏差が大きく、少なくとも4つの薄膜トランジスタが半導体特性を失い不良が発生した結果を示している。
【0087】
図8に示した第1実施形態の測定結果と
図10に示した第4実施形態の測定結果は、第1実施形態および第4実施形態の表示装置が表示領域全体に水素遮断膜を備えることにより、複数の薄膜トランジスタの活性層に対して均一な水素遮断機能を発揮したことに起因する。
【0088】
図12Aと
図12Bは、同じ蒸着設備を用いて製作された3つの第1実施形態にかかる表示装置において、同一地点のドレイン電流(Ids)対ゲート電圧(Vg)を測定して示すグラフである。
図12Aは、表示領域の中央に位置する一地点の薄膜トランジスタの特性結果を示し、
図12Bは、表示領域の周縁に位置する一地点の薄膜トランジスタの特性結果を示す。
【0089】
図13Aと
図13Bは、第1実施形態と同じ蒸着設備を用いて製作された3つの第1比較例による表示装置において、同一地点のドレイン電流(Ids)対ゲート電圧(Vg)を測定して示すグラフである。
図13Aは、表示領域の中央に位置する一地点の薄膜トランジスタの特性結果を示し、
図13Bは、表示領域の周縁に位置する一地点の薄膜トランジスタの特性結果を示す。
【0090】
図12Aと
図12Bを参照すれば、第1実施形態の表示装置は、製造工程による薄膜トランジスタの特性偏差がほとんどなく、正確なオン/オフ特性を示す。この結果は、同じ蒸着設備を用いて製作された複数の表示装置において、水素遮断膜が複数の活性層に及ぼす水素の影響を均一に遮断したことに起因する。
【0091】
反面、
図13Aと
図13Bを参照すれば、第1比較例の表示装置は、同じ蒸着設備を用いて製作された複数の表示装置に対して再現性が非常に低いだけでなく、一部の薄膜トランジスタが半導体特性を失い不良が発生した結果を示している。この結果は、パッシベーション層蒸着過程で活性層に水素が流入すると共に、微細な条件の変化にも複数の活性層に及ぼす水素の影響が変化することに起因する。
【0092】
図14Aと
図14Bは、同じ蒸着設備を用いて製作された3つの第4実施形態にかかる表示装置において、同一地点のドレイン電流(Ids)対ゲート電圧(Vg)を測定して示すグラフである。
図14Aは、表示領域の中央に位置する一地点の薄膜トランジスタの特性結果を示し、
図14Bは、表示領域の周縁に位置する一地点の薄膜トランジスタの特性結果を示す。
【0093】
図15Aと
図15Bは、第4実施形態と同じ蒸着設備を用いて製作された3つの第2比較例による表示装置において、同一地点のドレイン電流(Ids)対ゲート電圧(Vg)を測定して示すグラフである。
図15Aは、表示領域の中央に位置する一地点の薄膜トランジスタの特性結果を示し、
図15Bは、表示領域の周縁に位置する一地点の薄膜トランジスタの特性結果を示す。
【0094】
図14Aと
図14Bを参照すれば、第4実施形態の表示装置は、製造工程による薄膜トランジスタの特性偏差がほとんどなく、正確なオン/オフ特性を示す。反面、
図15Aと
図15Bを参照すれば、第2比較例の表示装置は、測定されたすべての薄膜トランジスタが半導体特性を失い不良が発生した結果を示している。
【0095】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。