特許第6329346号(P6329346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6329346
(24)【登録日】2018年4月27日
(45)【発行日】2018年5月23日
(54)【発明の名称】電動式開閉装置の切り替え装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/74 20060101AFI20180514BHJP
   E06B 9/72 20060101ALI20180514BHJP
【FI】
   E06B9/74 A
   E06B9/72
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-160061(P2013-160061)
(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公開番号】特開2015-31022(P2015-31022A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】石倉 則夫
(72)【発明者】
【氏名】村上 勝彦
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−200743(JP,A)
【文献】 実開平03−031699(JP,U)
【文献】 特開2010−203059(JP,A)
【文献】 米国特許第04721146(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/72−9/74,9/78,9/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取軸の巻き取り、繰り出しにより開閉移動する開閉体と、この開閉体を開閉移動させるために前記巻取軸を回転させるための駆動装置とを有する電動式開閉装置に設けられる切り替え装置であって、
前記駆動装置が、前記巻取軸側の部材にクラッチを介して接続されている駆動軸と、この駆動軸を回転させるための電動モータと、前記駆動軸を制動させるためのブレーキ装置と、前記クラッチをオン、オフ切り替えるための操作手段とを含んで構成され、この操作手段で前記クラッチをオフとすることにより前記開閉体が手動操作によって開閉移動可能となる電動式開閉装置の切り替え装置において、
前記操作手段に、前記ブレーキ装置をオフとした後に前記クラッチをオフとするためのクラッチオフ手段が設けられ、
前記ブレーキ装置は、前記駆動軸の制動を解除するブレーキレバーを有し、前記操作手段は、前記ブレーキレバーを経由して前記クラッチに達しているとともに、引っ張り操作されることにより前記ブレーキレバーを作動させて前記駆動軸の制動を解除するための紐状体となっており、この紐状体に、前記ブレーキレバーと前記クラッチとの間において、前記ブレーキ装置をオフとした後に前記クラッチをオフとするための前記クラッチオフ手段が設けられ、
前記紐状体は1本の紐状部材であり、前記クラッチオフ手段は、この1本の紐状部材に設けられた撓み部であることを特徴とする電動式開閉装置の切り替え装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動式開閉装置の切り替え装置において、前記ブレーキレバーに押圧力が作用することにより前記駆動軸の制動が解除され、前記1本の紐状部材には、この紐状部材が引っ張り操作されることにより前記ブレーキレバーに前記押圧力を作用させるための押圧部材が設けられていることを特徴とする電動式開閉装置の切り替え装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電動式開閉装置の切り替え装置において、前記1本の紐状部材には、この紐状部材の前記引っ張り操作が解除されたときに、前記紐状部材を引っ張り操作される前の状態に戻すための戻し用弾性部材が設けられていることを特徴とする電動式開閉装置の切り替え装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の電動式開閉装置の切り替え装置において、前記撓み部の箇所に配置されたガイド部材を備えており、前記1本の紐状部材は前記ガイド部材のガイド孔に挿通され、このガイド孔は、前記撓み部の撓み方向に長い直線状の長孔になっていることを特徴とする電動式開閉装置の切り替え装置。
【請求項5】
巻取軸の巻き取り、繰り出しにより開閉移動する開閉体と、この開閉体を開閉移動させるために前記巻取軸を回転させるための駆動装置とを有する電動式開閉装置に設けられる切り替え装置であって、
前記駆動装置が、前記巻取軸側の部材にクラッチを介して接続されている駆動軸と、この駆動軸を回転させるための電動モータと、前記駆動軸を制動させるためのブレーキ装置と、前記クラッチをオン、オフ切り替えるための操作手段とを含んで構成され、この操作手段で前記クラッチをオフとすることにより前記開閉体が手動操作によって開閉移動可能となる電動式開閉装置の切り替え装置において、
前記操作手段に、前記ブレーキ装置をオフとした後に前記クラッチをオフとするためのクラッチオフ手段が設けられ、
前記ブレーキ装置は、前記駆動軸の制動を解除するブレーキレバーを有し、前記操作手段は、前記ブレーキレバーを経由して前記クラッチに達しているとともに、引っ張り操作されることにより前記ブレーキレバーを作動させて前記駆動軸の制動を解除するための紐状体となっており、この紐状体に、前記ブレーキレバーと前記クラッチとの間において、前記ブレーキ装置をオフとした後に前記クラッチをオフとするための前記クラッチオフ手段が設けられ、
前記紐状体は、前記ブレーキレバーを経由し、前記クラッチに達していない第1紐状部材と、前記ブレーキレバーを経由していなくて、前記クラッチに達している第2紐状部材とを含んで形成され、前記第1紐状部材と前記第2紐状部材には、これらの第1紐状部材と第2紐状部材が互いに一方に対して他方がスライド可能となっていて重複している重複部分が設けられ、前記第2紐状部材に被当接部材が設けられているとともに、前記第1紐状部材には、この第1紐状部材が引っ張り操作された後に、前記被当接部材に当接して前記第2紐状部材に前記クラッチをオフとするための引っ張り力を作用させるための当接部材が設けられ、スライド可能の前記重複部分が前記クラッチオフ手段になっていることを特徴とする電動式開閉装置の切り替え装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電動式開閉装置の切り替え装置において、前記ブレーキレバーに押圧力が作用することにより前記駆動軸の制動が解除され、前記第1紐状部材には、この第1紐状部材が引っ張り操作されることにより前記ブレーキレバーに前記押圧力を作用させるための押圧部材が設けられていることを特徴とする電動式開閉装置の切り替え装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の電動式開閉装置の切り替え装置において、前記第1紐状部材には、前記ブレーキレバーから前記クラッチ側へ延びている延出部分が設けられており、前記第1紐状部材の前記引っ張り操作による前記延出部分の移動を案内するための案内部材が、前記第2紐状部材に設けられていることを特徴とする電動式開閉装置の切り替え装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載の電動式開閉装置の切り替え装置において、前記第1紐状部材には、この第1紐状部材の前記引っ張り操作が解除されたときに、前記第1紐状部材を引っ張り操作される前の状態に戻すための戻し用弾性部材が設けられていることを特徴とする電動式開閉装置の切り替え装置。
【請求項9】
請求項2又は6に記載の電動式開閉装置の切り替え装置において、前記ブレーキ装置は、通電と通電停止が行われるソレノイドと、このソレノイドに取り付けられた第1接続部材と、前記駆動軸と接続されている回転軸に、前記第1接続部材と対向して結合されている第2接続部材と、前記回転軸に結合されている永久磁石とを有し、前記ソレノイドへの通電停止により前記永久磁石の磁力で前記第2接続部材が前記第1接続部材に接続されて前記ブレーキ装置はオンとなるとともに、前記第1接続部材と前記第2接続部材との間に前記ブレーキレバーが配置され、このブレーキレバーに前記駆動軸の制動を解除するための前記押圧力が前記押圧部材から作用することにより、前記第1接続部材と前記第2接続部材との接続が解除されて前記ブレーキ装置はオフとなることを特徴とする電動式開閉装置の切り替え装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電動式開閉装置の切り替え装置において、前記ブレーキレバーは、基部に形成されている孔に前記回転軸が遊合挿入されて前記第1接続部材と前記第2接続部材との間に配置されており、このブレーキレバーに前記駆動軸の制動を解除するための前記押圧力が前記押圧部材から作用することにより、前記ブレーキレバーは、前記基部を中心する揺動により前記第1接続部材と前記第2接続部材とを分離してこれらの接続部材の接続を解除することを特徴とする電動式開閉装置の切り替え装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の電動式開閉装置の切り替え装置において、前記ブレーキレバーは弾性材料によって形成されていることを特徴とする電動式開閉装置の切り替え装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の電動式開閉装置の切り替え装置において、前記クラッチは、前記巻取軸側の第1クラッチ部材と、前記駆動軸側の第2クラッチ部材とを含んで構成され、前記第1クラッチ部材と前記第2クラッチ部材のうち、一方には、他方に形成された凹部に挿抜自在に挿入可能となっていて、前記駆動軸の軸方向に突設されている突起が設けられていることを特徴とする電動式開閉装置の切り替え装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体が開閉移動する電動式開閉装置を手動式に切り替えるための電動式開閉装置の切り替え装置及びその切り替え方法に係り、例えば、電動式シャッター装置や、電動式オーニング装置等の電動式開閉装置に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、開閉体となっているシャッターカーテンの開閉移動を電動で行わせる電動式シャッター装置が示されており、この電動式シャッター装置は、巻取軸の巻き取り、繰り出しにより開閉移動するシャッターカーテンと、このシャッターカーテンを開閉移動させるために巻取軸を回転させるための駆動装置とを有する。そして、駆動装置は、巻取軸側の部材に接続されている駆動軸と、この駆動軸を回転させるための電動モータと、駆動軸を制動させるためのブレーキ装置とを備えており、電動モータにより駆動軸が正逆回転することにより、シャッターカーテンは巻取軸の巻き取り、繰り出しで開閉移動し、ブレーキ装置が駆動軸を制動させることにより、シャッターカーテンは停止する。
【0003】
また、特許文献1には、シャッターカーテンの停止時等に発生する停電や、電動モータの故障等に対処することができるようにするために、上述の巻取軸側の部材に上述の駆動軸をクラッチを介して接続して、このクラッチを操作手段によりオン、オフ切り替えることができるようにしていることが示されており、この操作手段でクラッチをオフとすることにより、シャッターカーテンは手動操作によって開閉移動できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−317471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示されている技術では、シャッターカーテンを手動操作によって開閉移動できるようにするために、操作手段でクラッチをオフとする際には、クラッチを介して巻取軸側の部材と接続されている駆動軸は、ブレーキ装置によって制動された状態になっており、また、クラッチには、巻取軸側の部材を介して伝達されるシャッターカーテンの自重等による大きな摩擦力が生じている。このため、クラッチを操作手段の操作により容易にオフとすることが難しく、操作手段の操作が困難になるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、開閉体を手動操作で開閉移動可能とするために行う操作手段によるクラッチのオフ操作を容易に行えるようになる電動式開閉装置の切り替え装置及びその切り替え方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電動式開閉装置の切り替え装置は、巻取軸の巻き取り、繰り出しにより開閉移動する開閉体と、この開閉体を開閉移動させるために前記巻取軸を回転させるための駆動装置とを有する電動式開閉装置に設けられる切り替え装置であって、前記駆動装置が、前記巻取軸側の部材にクラッチを介して接続されている駆動軸と、この駆動軸を回転させるための電動モータと、前記駆動軸を制動させるためのブレーキ装置と、前記クラッチをオン、オフ切り替えるための操作手段とを含んで構成され、この操作手段で前記クラッチをオフとすることにより前記開閉体が手動操作によって開閉移動可能となる電動式開閉装置の切り替え装置において、前記操作手段に、前記ブレーキ装置をオフとした後に又は前記ブレーキ装置のオフと同時に前記クラッチをオフとするためのクラッチオフ手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る電動式開閉装置の切り替え装置では、クラッチをオン、オフ切り替えるための操作手段に、ブレーキ装置をオフとした後に又はブレーキ装置のオフと同時にクラッチをオフとするためのクラッチオフ手段が設けられているため、操作手段が操作されると、ブレーキ装置がオフとなった後にクラッチがオフとなり、又はブレーキ装置がオフとなる同時にクラッチがオフとなる。
【0009】
このため、クラッチがオフとなるときには、ブレーキ装置による駆動軸の制動作用は前もって解除され、又はクラッチがオフとなる同時にブレーキ装置による駆動軸の制動作用は解除され、これにより、駆動軸は自由回転可能となっているため、クラッチに開閉体の自重等による大きな摩擦力が生じていても、操作手段によるクラッチのオフ操作を容易に行えるようになる。
【0010】
また、本発明に係る電動式開閉装置の切り替え方法は、巻取軸の巻き取り、繰り出しにより開閉移動する開閉体と、この開閉体を開閉移動させるために前記巻取軸を回転させるための駆動装置とを有する電動式開閉装置の前記駆動装置が、前記巻取軸側の部材にクラッチを介して接続されている駆動軸と、この駆動軸を回転させるための電動モータと、前記駆動軸を制動させるためのブレーキ装置と、前記クラッチをオン、オフ切り替えるための操作手段とを含んで構成され、この操作手段で前記クラッチをオフとすることにより前記開閉体を手動操作によって開閉移動可能とする電動式開閉装置の切り替え方法において、前記ブレーキ装置をオフとするためのブレーキオフ工程と、このブレーキオフ工程の後に又はこのブレーキオフ工程と同時に前記クラッチをオフとするためのクラッチオフ工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る電動式開閉装置の切り替え方法では、先にブレーキ装置をオフとするためのブレーキオフ工程が実施された後に、クラッチをオフとするためのクラッチオフ工程が実施され、又はブレーキ装置をオフとするためのブレーキオフ工程と同時にクラッチをオフとするためのクラッチオフ工程が実施されるため、クラッチがオフとなるときには、ブレーキ装置による駆動軸の制動作用は前もって解除され、又はクラッチがオフとなる同時にブレーキ装置による駆動軸の制動作用は解除され、これにより、駆動軸は自由回転可能となっているため、クラッチに開閉体の自重等による大きな摩擦力が生じていても、操作手段によるクラッチのオフ操作を容易に行えるようになる。
【0012】
この電動式開閉装置の切り替え方法において、ブレーキ装置をオフとするためのブレーキオフ工程と、このブレーキオフ工程の後に又はこのブレーキオフ工程と同時にクラッチをオフとするためのクラッチオフ工程と、を実施することは、電動式開閉装置に、例えば、ブレーキ装置をオフとするための第1操作手段と、クラッチをオフとするための第2操作手段とを設け、これらの操作手段を時間差をもって操作することにより、又はこれらの操作手段を同時に操作することにより、行えるようにしてもよい。
【0013】
また、前述の本発明に係る電動式開閉装置の切り替え装置において、ブレーキ装置を操作手段の操作によりブレーキ装置やクラッチをオフとすることや、前述のクラッチオフ手段の構成は、任意の形態によって実現することができる。
【0014】
その一例は、ブレーキ装置を、押圧されることにより駆動軸の制動を解除するブレーキレバーを有するものとし、操作手段を、ブレーキレバーを経由してクラッチに達する紐状体とし、この紐状体に、この紐状体が引っ張り操作されることによりブレーキレバーに前記押圧力を作用させるための押圧部材を固定しておき、紐状体に、ブレーキレバーとクラッチとの間において、ブレーキ装置をオフとした後にクラッチをオフとするための前記クラッチオフ手段を設けることである。
【0015】
これによると、紐状体を引っ張り操作すると、この紐状体に固定された押圧部材がブレーキレバーに押圧力を作用させるため、ブレーキ装置による駆動軸の制動が解除され、次いで、ブレーキレバーとクラッチとの間において、紐状体に設けられているクラッチオフ手段の作用により、クラッチがオフとなる。このため、先にブレーキ装置がオフとなり、この後に、クラッチがオフとなる。
【0016】
また、この例における紐状体を1本の紐状部材とする場合には、上述のクラッチオフ手段を、この1本の紐状部材におけるブレーキレバーとクラッチとの間に設けた撓み部とすることができる。
【0017】
このように紐状体を1本の紐状部材とし、クラッチオフ手段を、この1本の紐状部材におけるブレーキレバーとクラッチとの間に設けた撓み部とする場合には、1本の紐状部材に、この紐状部材の前記引っ張り操作が解除されたときに、紐状部材が引っ張り操作される前の状態に戻すための戻し用弾性部材を設けてもよい。
【0018】
これによると、紐状部材の前記引っ張り操作が解除されたときに、戻し用弾性部材の弾性力により、紐状部材を引っ張り操作される前の状態に戻すことができる。
【0019】
また、電動式開閉装置に、紐状部材の撓み部の箇所において、ガイド部材を配置し、1本の紐状部材をこのガイド部材のガイド孔に挿通し、このガイド孔を、撓み部の撓み方向に長い直線状の長孔とすることが好ましい。
【0020】
これによると、1本の紐状部材に、ブレーキレバーとクラッチとの間において、クラッチオフ手段としての撓み部を設けても、この撓み部が揺動して他の部材に接触するなどの事態が生ずることを、ガイド部材により有効に防止することができる。
【0021】
また、前述した例における紐状体を、ブレーキレバーを経由し、前記押圧部材が設けられていて、クラッチに達していない第1紐状部材と、ブレーキレバーを経由していなくて、クラッチに達している第2紐状部材とを含んで形成されたものとし、第1紐状部材と第2紐状部材には、これらの第1紐状部材と第2紐状部材が互いに一方に対して他方がスライド可能となっていて重複している重複部分を設け、第2紐状部材に被当接部材を設けるとともに、第1紐状部材には、前記押圧部材からの前記押圧力をブレーキレバーに作用させるための第1紐状部材の引っ張り操作により、被当接部材に当接して第2紐状部材にクラッチをオフとするための引っ張り力を作用させるための当接部材を設け、スライド可能の前記重複部分を前記クラッチオフ手段としてもよい。
【0022】
これによると、前述した撓み部に代わりに、第1紐状部材と第2紐状部材にスライド可能の重複部分を設けることにより、この重複部分をクラッチオフ手段とすることができる。
【0023】
このように重複部分をクラッチオフ手段とした場合であって、第1紐状部材にブレーキレバーからクラッチ側へ延びている延出部分を設ける場合には、第1紐状部材の前記引っ張り操作による延出部分の移動を案内するための案内部材を第2紐状部材に設けてもよい。
【0024】
これによると、第1紐状部材に前記当接部材からクラッチ側へ延びている延出部分が設けられていても、第2紐状部材に設けられた案内部材の案内作用により、延出部分が第1紐状部材の引っ張り操作による移動方向へ案内されて移動することで、第2紐状部材に対して第1紐状部材を平行移動又は略平行移動させることができるようになり、クラッチオフ手段となっている重複部分をコンパクト化した構成にすることができる。
【0025】
また、第1紐状部材に、この第1紐状部材の前記引っ張り操作が解除されたときに、第1紐状部材を引っ張り操作される前の状態に戻すための戻し用弾性部材を設けてもよい。
【0026】
これによると、第1紐状部材の前記引っ張り操作が解除されたときに、戻し用弾性部材の弾性力により、第1紐状部材を引っ張り操作される前の状態に戻すことができる。
【0027】
また、前述した例における紐状体を、ブレーキレバーとクラッチとの間に配置された弾性部材を介して連結された2本の紐状部材を含んで形成し、これらの紐状部材のうち、ブレーキレバー側の紐状部材に前記押圧部材を設け、前記弾性部材をクラッチオフ手段としてもよい。
【0028】
これによると、紐状体の引っ張り操作による押圧部材の押圧によりブレーキ装置がオフとなるとともに、弾性部材の弾性力が次第に大きくなり、次いで弾性部材の弾性力によりクラッチがオフとなるため、ブレーキ装置がオフになった後にクラッチを一層確実にオフにすることができる。
【0029】
さらに、ブレーキ装置に設けられる前記ブレーキレバーは、硬質金属等で形成された硬質のものでもよく、あるいは、板ばね等の弾性材料によって形成され、これにより、このブレーキレバーが、前述の押圧部材からの押圧力により弾性的に湾曲変形するものでもよい。
【0030】
後者によると、ブレーキレバーが押圧部材からの押圧力を受けてブレーキ装置がオフになるときに、ブレーキレバーは弾性的に湾曲変形するため、ブレーキ装置がオフになった後に、前述の紐状体の引っ張り力によりクラッチを一層確実にオフにすることができる。
【0031】
また、本発明において、前記巻取軸側の部材と前記駆動軸との間に介設される前記クラッチは、開閉体の自重等による摩擦力が生じるものであれば、任意の形態によるものでよく、その一例のクラッチは、巻取軸側の第1クラッチ部材と、駆動軸側の第2クラッチ部材とを含んで構成され、第1クラッチ部材と第2クラッチ部材のうち、一方には、他方に形成された凹部に挿抜自在に挿入可能となっていて、前記駆動軸の軸方向に突設されている突起が設けられているものである。
【0032】
なお、凹部や突起は、粗面状に多数設けられた微小のものでもよく、あるいは、微小よりも大きい大きさを有し、それぞれ1個又は数個設けられたものでもよい。
【0033】
また、前述した紐状体や紐状部材は任意の細長部材でよく、例えば、ワイヤーでもよく、チェーンでもよく、合成樹脂製の紐等でもよい。
【0034】
以上説明した本発明は、任意の電動式開閉装置のクラッチをオフにして開閉体を手動操作で開閉移動可能とするために適用することができ、この電動式開閉装置は電動式シャッター装置でもよく、電動式オーニング装置等でもよい。
【0035】
また、電動式シャッター装置は、車庫用シャッター装置でもよく、店舗等のための出入口用シャッター装置でもよく、窓用シャッター装置でもよく、防災用シャッター装置等でもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によると、開閉体を手動操作で開閉移動可能とするために行う操作手段によるクラッチのオフ操作を容易に行えるようになるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電動式開閉装置である電動式シャッター装置の全体を示す正面図である。
図2図2は、図1の電動式シャッター装置の巻取軸の部分を示す一部省略の正面図である。
図3図3は、図2のS3−S3線断面図である。
図4図4は、クラッチを含む駆動装置の構造を示す一部省略で一部断面の正面図である。
図5図5は、ブレーキ装置及びクラッチがオフとなったときを示す図4と同様の図である。
図6図6は、操作手段である紐状体となっているワイヤーの引っ張り操作でクラッチをオン、オフさせるための構造を示す図であって、ワイヤーが引っ張り操作される前の状態を示す図である。
図7図7は、図6のワイヤーの1回目の引っ張り操作が行われて、クラッチが図5に示すようにオンからオフに切り替えられたときを示す図6と同様の図である。
図8図8は、クラッチをオフからオンに再度切り替えるために、図6のワイヤーの2回目の引っ張り操作が行われたときを示す図6と同様の図である。
図9図9は、図4に示されているワイヤーの撓み部を案内するためのガイド孔を有するガイド部材に関する実施形態を示す図である。
図10図10は、ワイヤーの撓み部に代えて重複部分をクラッチオフ手段とした実施形態を示す図4と同様の図である。
図11図11は、図10の重複部分の拡大図である。
図12図12は、ブレーキ装置及びクラッチをオフとしたときを示す図11と同様の図である。
図13図13は、クラッチオフ手段を2本の紐状部材の間に介設した弾性部材とした実施形態を示す拡大図である。
図14図14は、ブレーキ装置及びクラッチをオフとしたときを示す図13と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る電動式開閉装置の全体正面図が示されており、この電動式開閉装置は、例えば、店舗等の出入口を、開閉体であるシャッターカーテンにより開閉するための電動式出入口用シャッター装置である。
【0039】
図1に示されているように、出入口を開閉するシャッターカーテン1の幅方向両端部は、壁等の構造物躯体2に取り付けられた左右一対のガイドレール3の内部に上下方向にスライド自在に挿入され、多数のスラットを上下に連設することでカーテン本体が形成されているシャッターカーテン1の上端部は、前記出入口の上方に配置されたシャッターケース4に内部に挿入されているとともに、このシャッターケース4の左右一対のブラケット5に回転自在に水平に架け渡されている巻取軸6の外周面に結合されている。このため、シャッターカーテン1は、巻取軸6の正逆回転によりこの巻取軸6に巻き取り、繰り出し自在となっており、この巻き取り、繰り出しにより、シャッターカーテン1は、出入口を開閉するために上下方向に開閉移動する。
【0040】
なお、この電動式シャッター装置が後述するように手動式に切り替えられたときに、シャッターカーテン1を手動操作により開閉移動できるようにするために、シャッターカーテン1に、手を掛けるための手掛け部材等を設けてもよい。
【0041】
図2には、シャッターケース4の内部に収納されている巻取軸6が示されている。この巻取軸6は、左右一対のブラケット5に設けられた軸受け部材7で回転不能に支持された中心軸8と、この中心軸8の外側に、中心軸8を中心に回転自在となっている回転体9とを含んで構成されている。そして、この回転体9は、巻取軸6の軸方向に間隔をあけて配置された複数個のホイール部材10と、巻取軸6の円周方向に間隔をあけて複数本配設され、これらのホイール部材10同士を連結している棒状の連結部材11とにより形成され、それぞれのホイール部材10は、軸受け部材12を介して中心軸8に回転自在に支持されているため、回転体9は中心軸8に対して回転自在となっている。
【0042】
シャッターカーテン1の上端部は、それぞれホイール部材10の外周面に結合されており、このため、回転体9が中心軸8に対して逆回転することにより、言い換えると、巻取軸6が逆回転することにより、シャッターカーテン1は回転体9に巻き取られて上方へ開き移動し、また、回転体9が中心軸8に対して正回転することにより、言い換えると、巻取軸6が正回転することにより、シャッターカーテン1は回転体9から繰り出されて下方へ閉じ移動する。
【0043】
なお、図2に示されているとおり、中心軸8と回転体9との間には、コイルスプリングによる複数個の戻しばね13が架け渡されており、これらの戻しばね13の一端は中心軸8に連結されているとともに、他端はホイール部材10に連結されているため、シャッターカーテン1を繰り出すときの回転体9の正回転時に、これらの戻しばね13には戻しばね力が蓄圧され、シャッターカーテン1を巻き取るときの回転体9の逆回転時に、この戻しばね力により、回転体9の逆回転が補助されるようになっている。
【0044】
図2に示されているように、巻取軸6には、この巻取軸6を自動的に正逆回転させるための駆動装置20、言い換えると、回転体9を中心軸8に対して自動的に正逆回転させるための駆動装置20が配置されている。この駆動装置20は、図2のS3−S3線断面図である図3に示されているように、複数本の連結部材11が嵌合された凹部21Aが形成されている回転歯車21と、図2に示されているように、この回転歯車21を回転させるための駆動軸22を有する駆動装置本体23と、巻取軸6側の部材となっている回転歯車21と、駆動装置本体23側の部材となっている駆動軸22との間に介設され、後述する構造、作用となっているクラッチ24とを含んで構成され、このクラッチ24がオンとなっているときに、駆動軸22が正逆回転することにより、回転歯車21が正逆回転し、これにより、凹部21Aに連結部材11が嵌合されている回転体9が、言い換えると、巻取軸6が正逆回転するようになっている。
【0045】
図3に示されているように、駆動装置20を構成する部材のうち、巻取軸6側の部材となっている回転歯車21は、内周面に歯部21Bが形成された内歯歯車であり、また、駆動装置20は、巻取軸6の円周方向に複数個、本実施形態では3個のローラ27が回転自在に配置されているローラ用ブラケット26を有しており、回転歯車21の内周面には、これらのローラ27が嵌合するリング状の溝21Cが形成されている。ローラ用ブラケット26は、図2及び図4に示されている駆動装置本体23が取り付けられた駆動装置本体用ブラケット25に図3で示すボルト28により結合され、駆動装置本体用ブラケット25には、図3で示す一方の端部に設けられたピン29Aを中心に揺動自在となっている挟着部材29が取り付けられ、ピン29Aを中心に揺動させたこの挟着部材29の他方の端部をボルト30によって駆動装置本体用ブラケット25に結合することにより、駆動装置本体用ブラケット25は、中心軸8に挟着部材29の挟着作用によって取り付けられる。そして、回転歯車21は、複数個のローラ27で支持されながら中心軸8を中心に回転自在となり、この回転歯車21に棒状の連結部材11で連結されている回転体9も中心軸8を中心に回転自在となる。
【0046】
図4に示されているように、駆動装置本体23は、駆動軸22を減速機構を介して正逆回転させるための電動モータ35と、駆動軸22を制動させるためのブレーキ装置36とを有する。このブレーキ装置36は、駆動軸22と接続されている回転軸37の外周側に配置され、駆動装置本体23のケース23Aに固定されているソレノイド38と、このソレノイド38の端面に取り付けられた第1接続部材39と、回転軸37に結合され、第1接続部材39と回転軸37の軸方向に、すなわち、駆動軸22の軸方向に対向している第2接続部材40と、回転軸37の後端に結合された永久磁石41と、第1接続部材39と第2接続部材40の間に配置され、基部に回転軸37が内部に遊合挿入された孔42Aが形成されているブレーキレバー42と、を含んで構成され、このブレーキレバー42の先端部は、駆動装置本体23のケース23Aの外部に突出している。
【0047】
駆動装置本体23のケース23Aに固定されているソレノイド38への通電が停止されているときには、第2接続部材40が、永久磁石41の磁力により、ブレーキレバー42を介してソレノイド38の第1接続部材39と接続しているため、第2接続部材40が結合されている回転軸37は回転することができず、したがって、この回転軸37と接続されている駆動軸22も回転することはできず、ブレーキ装置36は、駆動軸22を制動させるためにオンとなっている。
【0048】
これに対してソレノイド38への通電が行われたときには、ソレノイド38の磁力と永久磁石41の磁力との反発力により、ブレーキレバー42を介した第2接続部材40と第1接続部材39との接続が解除され、これにより、ブレーキ装置36はオフとなり、回転軸37は回転可能となり、したがって駆動軸22も回転可能となる。
【0049】
以上のソレノイド38への通電と通電停止、及び駆動軸22を正逆回転させるための電動モータの正逆駆動は、駆動装置本体用ブラケット25に取り付けられている制御装置43により制御され、このような制御は、図1で示した構造物躯体2に配置されている図示外の操作装置から制御装置43に、あるいは、本実施形態に係る電動式シャッター装置を操作する操作者が持つ図示外の操作装置から制御装置43に、電気ケーブル又は赤外線等の無線によって送られる信号に基づいて行われる。
【0050】
また、図4に示されているように、前述の挟着部材29にはロータリエンコーダ45が取り付けられており、このロータリエンコーダ45には、回転歯車21の内歯である歯部21Bに噛合しているピニオンギア46が接続されている。このため、前述のクラッチ24がオンとなっているときに、駆動装置本体23の駆動軸22により回転歯車21が回転して巻取軸6が回転したときに、シャッターカーテン1の開閉移動がどの位置まで達しているかについての信号が、ピニオンギア46の回転数等に基づきロータリエンコーダ45から制御装置43に入力するようになっている。
【0051】
上述した図示外の操作装置には、シャッターカーテン1を上向きに開き移動させるための「開」ボタンと、シャッターカーテン1を下向きに閉じ移動させるための「閉」ボタンと、シャッターカーテン1の移動を停止させるための「停」ボタンとが設けられている。
【0052】
そして、これらのボタンの操作が行われる通常時には、図2及び図4で示したクラッチ24はオンとなっており、言い換えると、駆動装置本体23の駆動軸22の回転力は、クラッチ24を介して回転歯車21に伝達されるようになっている。
【0053】
シャッターカーテン1の下端が前述のシャッターケース4の下面まで達しているシャッターカーテン1の全開時に、又は、シャッターカーテン1の下端が開閉移動方向の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半閉状態(半開状態)のときに、「閉」ボタンを操作すると、この「閉」ボタンからの信号を受ける制御装置43の制御によりブレーキ装置36のソレノイド38に通電されて、ブレーキ装置36がオンからオフに切り替えられるとともに、制御装置43からの制御信号で電動モータ35が正駆動されるため、シャッターカーテン1の自重と、電動モータ35の駆動力による駆動軸22の正回転とにより、シャッターカーテン1は、巻取軸6の正回転で巻取軸6から下向きに繰り出される。これにより閉じ移動したシャッターカーテン1が全閉位置に達すると、この全閉位置を検知したロータリエンコーダ45からの信号により制御装置43は、ソレノイド38への通電を停止してブレーキ装置36をオンに復帰させ、また、電動モータ35の正駆動を停止させる。
【0054】
また、シャッターカーテン1が全閉となっているときに、又は、シャッターカーテン1の下端が開閉移動方向の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半開状態(半閉状態)のときに、「開」ボタンを操作すると、この「開」ボタンからの信号を受ける制御装置43によりブレーキ装置36のソレノイド38に通電されて、ブレーキ装置36がオフになるとともに、制御装置43の制御により電動モータ35は逆駆動されて、駆動軸22は逆回転し、これにより、シャッターカーテン1は、巻取軸6の逆回転によりこの巻取軸6に巻き取られて開き移動する。シャッターカーテン1が全開位置に達すると、この全開位置を検知したロータリエンコーダ45からの信号により制御装置43は、ソレノイド38への通電を停止してブレーキ装置36をオンに復帰させ、また、電動モータ35の逆駆動を停止する。
【0055】
また、シャッターカーテン1が閉じ移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号を受ける制御装置43により、ソレノイド38への通電は停止されて、ブレーキ装置36がオンになるとともに、制御装置43の制御で電動モータ35の正駆動が停止し、これにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。さらに、シャッターカーテン1が開き移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号を受ける制御装置43により、ソレノイド38への通電は停止されるため、ブレーキ装置36がオンになるとともに、制御装置43の制御により電動モータ35の逆駆動が停止し、これにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。
【0056】
また、ブレーキ装置36をオン、オフ切り替えることは、図4に示されているブレーキレバー42を手動で操作することによっても行える。すなわち、ブレーキレバー42の先端部に、図5から分かるように、手動操作で押圧力を作用させると、ブレーキレバー42は、回転軸37が遊合挿入されている孔42Aが形成されている基部を中心に揺動するため、永久磁石41の磁力でブレーキレバー42を介して互いに接続していた第1接続部材39と第2接続部材40が分離した状態になり、このため、ブレーキレバー42を手動で操作することによっても、ブレーキ装置36をオフとすることができ、また、ブレーキレバー42の手動操作を止めることにより、ブレーキ装置36をオンに切り替えることができる。
【0057】
図4には、前述のクラッチ24の構造が示されている。このクラッチ24は、駆動装置本体用ブラケット25に設けられた軸50を中心に回転自在となっている第1クラッチ部材51と、駆動装置本体23の駆動軸22にスプライン嵌合し、この駆動軸22と一体に回転するとともに、駆動軸22の軸方向にスライド自在となっている第2クラッチ部材52とを含んで構成されている。前記巻取軸6側となっている第1クラッチ部材51は、回転歯車21の内歯となっている歯部21Bに噛合しているピニオンギアであり、また、駆動軸22側となっている第2クラッチ部材52には、駆動装置本体23と第2クラッチ部材52との間に介設されたコイルばねによる弾発部材53により、第1クラッチ部材51側への弾発力が常時作用している。
【0058】
また、第1クラッチ部材51と第2クラッチ部材52とのうち、一方には、他方に形成された凹部51Aに挿抜自在に挿入可能となっていて、駆動軸22の軸方向に突設されている突起52Aが設けられている。図示例の凹部51Aは、第1クラッチ部材51に、駆動軸22の軸方向へ回転歯車21側に窪んで形成されており、突起52Aは、第2クラッチ部材52に、駆動軸22の軸方向へ回転歯車21側に突出して形成されており、これらの凹部51Aと突起52Aは、クラッチ24がオフとなっているときを示している図5から分かるとおり、駆動軸22の円周方向に複数個設けられている。
【0059】
第2クラッチ部材52が弾発部材53の弾発力で第1クラッチ部材51側に押圧され、凹部51Aに突起52Aが挿入されているときは、クラッチ24は接続されたオンとなっており、このときには、駆動装置本体23の駆動軸22の回転は、第2クラッチ部材52から第1クラッチ部材51に伝達されるため、回転歯車21の歯部21Bに噛合しているピニオンギアとなっている第1クラッチ部材51によって回転歯車21は回転して、巻取軸6も回転する。
【0060】
これに対して第2クラッチ部材52が弾発部材53の弾発力に抗して第1クラッチ部材51から離れる方向へ移動し、凹部51Aから突起52Aが抜け出たときには、クラッチ24は断絶されたオフとなり、このときには、駆動装置本体23の駆動軸22の回転は、第2クラッチ部材52から第1クラッチ部材51に伝達されないため、回転歯車21は回転せず、巻取軸6も回転しない。
【0061】
図6図8には、クラッチ24をオン、オフさせるための機構が示されている。図6で示されていて、クラッチ24の構成部材となっている揺動部材55は、前述の駆動装置本体用ブラケット25に設けられたピン55Aを中心に揺動自在であり、この揺動部材55には、図4で示すように、第2クラッチ部材52の全周に渡って形成されたリング状溝52Bに係合している係合部55Bが設けられている。また、図6に示されているように、揺動部材55におけるピン55Aとは反対側の先端部には、ワイヤー56の基端部が連結されており、このワイヤー56は、クラッチ24をオン、オフ切り替えるための操作手段であって、紐状体でもあり、1本の紐状部材でもある。ワイヤー56は、揺動部材55から、図4及び図5で示されているように、回転歯車21側とは反対側へ巻取軸6の中心軸8の軸方向と略平行に延びており、ワイヤー56の先端部は、巻取軸6の内部から図1及び図2で示した右側のブラケット5を通過することにより、図1のシャッターケース4の外部へ導出されており、このため、クラッチ24をオン、オフ切り替えるために、ワイヤー56の先端部を引っ張り操作することができる。この引っ張り操作を行ったときは、揺動部材55は、ピン55Aを中心に図6のA方向へ揺動する。
【0062】
駆動装置本体用ブラケット25には、揺動部材55の揺動方向Aの箇所において、カム部材57が配置されており、このカム部材57はピン57Aを中心に回動自在となっているとともに、ピン57Aにコイル部が巻回されているねじりコイルばね58のばね力により、ピン57Aを中心に図6のB方向へ常時弾性付勢されている。この弾性付勢によるB方向への回動は、カム部材57が駆動装置本体用ブラケット25の段差部25Aに当接することにより、停止している。そして、カム部材57は、全体としてピン57Aの軸方向(図6の紙面表裏方向)へ移動可能となっている。また、カム部材57には、第1及び第2の2個の突出部59,60の間が開口部となっている凹部61が形成されており、この凹部61の奥端部61Aの先の部分の裏面部62は、奥端部61Aにおけるピン57A側とは反対側の箇所が最も厚さ寸法が大きい箇所になっていて、その先の厚さ寸法がピン57A側へ次第に小さくなる傾斜面となっている。
【0063】
ワイヤー56を引っ張り操作(1回目の引っ張り操作)すると、A方向へ揺動した揺動部材55に設けられている突起部55Cが、カム部材57の第1突出部59の湾曲した外面部59Aに沿って移動して、この後に、第2突出部60の傾斜した外面部60Aに達し、次いで、突起部55Cは、図7に示されているように、凹部61に侵入して、この凹部61の奥端部61Aにおけるピン57A側とは反対側の箇所に当接するようになり、この状態で揺動部材55及びカム部材57は停止する。このときのカム部材57は、突起部55Cからの押圧により、ピン57Aを中心にB方向とは逆方向へ少し回動している。
【0064】
そして、以上のようにワイヤー56を引っ張り操作すると、揺動部材55のA方向へ揺動により、第2クラッチ部材52のリング状溝52Bに係合している揺動部材55の係合部55BもA方向へ揺動するため、図5に示されているように、駆動軸22にスプライン嵌合している第2クラッチ部材52は、弾発部材53を圧縮しながらこの駆動軸22に沿って駆動装置本体23側へ移動し、これにより、クラッチ24の突起52Aが凹部51Aから抜け出すことによってクラッチ24はオフとなる。
【0065】
この後に、図8に示されているように、ワイヤー56をさらに引っ張り操作(2回目の引っ張り操作)すると、凹部61の奥端部61Aにおけるピン57A側とは反対側の箇所に当接していた揺動部材55の突起部55Cは、上述したように、奥端部61Aの先の部分の裏面部62が、奥端部61Aにおけるピン57A側とは反対側の箇所が最も厚さ寸法が大きい箇所になっていて、その先の厚さ寸法がピン57A側へ次第に小さくなる傾斜面となっているため、カム部材57全体をピン57Aの軸方向へ浮き上がらせるように移動させながら、かつコイルばね58のばね力でカム部材57をB方向へ回動復帰させながら、カム部材57の背面に設けられている裏面部62に達することになる。この後にワイヤー56の引っ張り操作を止めると、図5の弾発部材53の弾発力により、第2クラッチ部材52は第1クラッチ部材51側へ移動するため、揺動部材55は、図6のもとの位置に戻ることになる。
【0066】
そして、第2クラッチ部材52が第1クラッチ部材51側へ移動することにより、図4に示されているように、突起52Aが凹部51Aに再度挿入することにより、クラッチ24はオンに復帰する。なお、駆動軸22の円周方向における突起52Aと凹部51Aの位置が一致していないときには、駆動軸22が回転したときに突起52Aは凹部51Aに挿入する。
【0067】
前述したように、ワイヤー56を引っ張り操作してクラッチ24をオフとすることは、シャッターカーテン1の停止時等に停電が発生したときや、駆動装置20の電動モータ35に故障等が生じたときに、シャッターカーテン1を手動操作で開閉移動させることができるようにするために行われる。クラッチ24がオフになると、ブレーキ装置36がオンになっていても、巻取軸6側の回転が駆動軸22に伝達されないため、手動操作でシャッターカーテン1を開閉移動させて巻取軸6を回転させることができる。
【0068】
しかし、全開位置等でシャッターカーテン1が停止しているときに、ワイヤー56を引っ張り操作してクラッチ24をオフにしようとしても、クラッチ24の凹部51Aと突起52Aとの間には、巻取軸6や回転歯車21を介して伝達されるシャッターカーテン1の自重等による大きな摩擦力が生じており、また、シャッターカーテン1が停止しているときには、ブレーキ装置36がオンとなっているため、ワイヤー56を引っ張り操作してもクラッチ24を容易にオフにすることはできない。
【0069】
このため、本実施形態のワイヤー56には、このような問題の解決対策として、ブレーキ装置36をオフとした後にクラッチ24をオフとすることができるクラッチオフ手段が設けられている。
【0070】
次に、このクラッチオフ手段について説明する。
【0071】
基部が図6の揺動部材55に連結されていることによりクラッチ24まで延びているワイヤー56は、図4に示されているように、ブレーキレバー42の先端部に設けられた孔42Bにスライド自在に挿通されることにより、このブレーキレバー42を経由しており、ワイヤー56は、このブレーキレバー42から、駆動装置本体23に設けられた結束バンド等による案内部材63,64にスライド自在に挿通案内されて、上述のようにクラッチ24まで達している。
【0072】
ワイヤー56には、ブレーキレバー42とクラッチ24との間において、より具体的には、ブレーキレバー42と案内部材63との間において、戻し用弾性部材となっているコイルばね65が巻回されており、このコイルばね65の両端部は、ワイヤー56が内部にスライド自在に挿通されている第1ばね受け部材66と第2ばね受け部材67とにより受けられている。
【0073】
また、ワイヤー56には、第1ばね受け部材66と第2ばね受け部材67のうち、第2ばね受け部材67よりもクラッチ24側の箇所において、結合部材68が結合されており、さらに、ワイヤー56には、ブレーキレバー42を間に挟んで第1ばね受け部材66とは反対側の箇所において、ストップ部材69が固定されており、通常におけるワイヤー56は、このストップ部材69がブレーキレバー42に当接した状態になっている。
【0074】
また、ワイヤー56には、ブレーキレバー42とクラッチ24との間において、より具体的には、案内部材63と案内部材64との間において、撓み部70が設けられている。
【0075】
クラッチ24をオフにするためにワイヤー56の引っ張り操作を行うと、図5に示されているように、ワイヤー56に結合されている結合部材68の押圧作用により、第2ばね受け部材67はコイルばね65を圧縮して第1ばね受け部材66をブレーキレバー42側へ移動させ、コイルばね65の圧縮反発力を受ける第1ばね受け部材66は、ブレーキレバー42を押圧する。このため、第1ばね受け部材66がワイヤー56に設けられた押圧部材となり、この押圧部材でブレーキレバー42が押圧されることにより、前述の説明から分かるように、ブレーキレバー42が手動操作による押圧力を受けた場合と同様に、ブレーキ装置36はオフとなる。
【0076】
このようにブレーキ装置36がオフとなったときには、図4の撓み部70は、図5のように消滅しており、この後もワイヤー56をさらに引っ張り操作すると、図6の揺動部材55は、図7で示したように揺動するため、クラッチ24はオフとなる。
【0077】
このため、引っ張り操作される操作手段となっているワイヤー56に撓み部70を設けることにより、ブレーキ装置36をオフとした後にクラッチ24をオフとすることができ、撓み部70は、ブレーキ装置36をオフとした後にクラッチ24をオフとすることができるクラッチオフ手段となっている。
【0078】
以上のようにブレーキ装置36がオフとなった後にクラッチ24がオフになると、クラッチ24の凹部51Aと突起52Aとの間に、巻取軸6や回転歯車21を介して伝達されるシャッターカーテン1の自重等による大きな摩擦力が生じても、ブレーキ装置36のオフにより、図5等で示す駆動軸22や回転軸37は自由回転可能となっているため、クラッチ24をオフとするためにワイヤー56を引っ張り操作したときに、駆動軸22や回転軸37が若干回転することで、駆動軸22の軸方向へ窪んでいる凹部51Aと、駆動軸22の軸方向へ突設されている突起52Aとの間の摩擦力が小さくなって、クラッチ24の凹部51Aから突起52Aが抜け出すことができることになり、このため、クラッチ24をオフとするためのワイヤー56の引っ張り操作を容易に行える。
【0079】
なお、ワイヤー56を引っ張り操作する箇所等には、ワイヤー56を引っ張り操作したときにこのワイヤー56の引っ張り操作状態を維持するための手段が設けられており、次にワイヤー56を引っ張り操作すると、この手段によるワイヤー56の引っ張り操作状態が解除されて、ワイヤー56を再度引っ張り操作できるようになっている。
【0080】
上述したようにクラッチ24がオフとなった後に、手動操作でシャッターカーテン1を開閉移動させることができて、巻取軸6を回転させることができる。また、ワイヤー56を再度引っ張り操作することにより、前述の説明から分かるように、クラッチ24をオフからオンに切り替えることができ、さらに、ブレーキ装置36はオンに切り替えられる。
【0081】
また、本実施形態によると、ワイヤー56の引っ張り操作が解除されたときには、圧縮されたコイルばね65の弾性力により、結合部材68及び第2ばね受け部材67は図4のもとの位置に戻って、ワイヤー56は、ストップ部材69がブレーキレバー42に当接することにより、撓み部70が設けられているもとの状態に戻る。このため、コイルばね65は、ワイヤー56を引っ張り操作する前のもとの状態に戻すための戻し用弾性部材となっている。
【0082】
図9の実施形態は、ガイド部材71を、ワイヤー56の撓み部70の箇所において、駆動装置本体23等に取り付けて配置した実施形態を示す。このガイド部材71には、撓み部70の撓み方向に長い直線状の長孔71Aが形成されており、この長孔71Aに撓み部70が挿通されている。
【0083】
この実施形態によると、ワイヤー56の撓み部70が撓み方向以外の方向に揺動等することは、ガイド部材71によって阻止されるため、撓み部70が駆動装置本体23やその他の部材等に接触することを有効に防止できる。
【0084】
図10は、ブレーキ装置36をオフとした後にクラッチ24をオフとするためのクラッチオフ手段についての別実施形態を示している。
【0085】
この実施形態において、クラッチ24をオン、オフ切り替えるための操作手段となっている紐状体80は、前述の実施形態のワイヤー56と同様に、ブレーキレバー42の孔42Bにスライド自在に挿通されていることによりこのブレーキレバー42を経由しているが、クラッチ24まで達していない第1紐状部材としての第1ワイヤー81と、ブレーキレバー42を経由していなくて、第1ワイヤー81と重複している部分を有し、クラッチ24までに達している第2紐状部材としての第2ワイヤー82とにより形成されている。第1ワイヤー81には、ワイヤー56と同様に、戻し用弾性部材となっているコイルばね65と、第1ばね受け部材66と、第2ばね受け部材67と、結合部材68と、ストップ部材69とが設けられている。
【0086】
図11は、第1ワイヤー81と第2ワイヤー82とが重複している重複部分86の拡大図である。第1ワイヤー81には、図10のブレーキレバー42から案内部材63を経てクラッチ24側に延出している延出部分81Aが設けられ、この延出部分81Aに当接部材87が結合されているとともに、延出部分81Aの後端部にエンド部材83が結合されている。第2ワイヤー82におけるブレーキレバー42側の先端部には被当接部材84が結合され、この被当接部材84に第1ワイヤー81がスライド自在に挿通されている。また、第2ワイヤー82には、被当接部材84よりもクラッチ24側において、第1ワイヤー81の延出部分81Aの移動をスライド自在に案内するための案内部材85が結合されている。
【0087】
この実施形態では、第1ワイヤー81が引っ張り操作されることにより、前述の実施形態と同様に、第1ばね受け部材66が押圧部材となってブレーキレバー42を押圧し、これにより、ブレーキ装置36はオフとなり、この後に、さらに第1ワイヤー81が引っ張り操作されると、図12に示されているように、当接部材87が被当接部材84に当接することにより、第1ワイヤー81の引っ張り力は第2ワイヤー82に伝達されることになる。これにより、第2ワイヤー82の後端部が連結されている図6の揺動部材55が揺動し、クラッチ24はオンからオフに切り替えられる。
【0088】
このため、当接部材87や被当接部材84が設けられている第1ワイヤー81と第2ワイヤー82の重複部分86は、第1ワイヤー81と第2ワイヤー82が互いに一方に対して他方がスライド可能となっている部分になっており、また、この重複部分86は、ブレーキ装置36をオフとした後にクラッチ24をオフとするためのクラッチオフ手段となっている。
【0089】
また、この実施形態でも、第1ワイヤー81に設けられているコイルばね65は、第1ワイヤー81の引っ張り操作が解除されたときに、この第1ワイヤー81を引っ張り操作する前のもとの状態に戻すための戻し用弾性部材となっている。
【0090】
そして、この実施形態では、クラッチオフ手段となっている部分は、第1ワイヤー81と第2ワイヤー82が互いに一方に対して他方がスライド可能となっている重複部分86となっているため、前述の撓み部70と異なり、ブレーキ装置36をオフとするために第1ワイヤー81を引っ張り操作したときに、重複部分86において、案内部材85の案内作用により、第2ワイヤー82に対して第1ワイヤー81を平行移動又は略平行移動させことができ、前述の撓み部70と異なり、クラッチオフ手段をコンパクト化した構成にすることができる。
【0091】
図13及び図14の実施形態におけるブレーキレバー42’は、板ばね等の弾性材料で形成されたものとなっている。また、この実施形態では、ブレーキ装置36をオフとし、クラッチ24もオフとするための操作手段である紐状体90は、2本の紐状部材である2本のワイヤー91,92と、これらのワイヤー91,92の間に介設され、ワイヤー91,92を直列に連結する弾性部材となっているコイルばね93とにより形成されている。コイルばね93は、ブレーキレバー42’とクラッチ24との間に配置されており、また、ワイヤー91,92のうち、ブレーキレバー42’側のワイヤー91は、ブレーキレバー42’に形成された孔42’Bにスライド自在に挿通されているため、ブレーキレバー42’を経由しており、また、このワイヤー91には、ブレーキレバー42’を挟んだ2箇所において、押圧部材94とストップ部材95とが結合されている。ワイヤー92は、クラッチ24の図6で示した揺動部材55まで達している。
【0092】
この実施形態では、ワイヤー91が引っ張り操作されると、図14に示されているように、コイルばね93が弾性的に伸び変形しながら、押圧部材94がブレーキレバー42’を押圧することにより、ブレーキ装置36がオフになり、そして、コイルばね93の伸び変形が次第に大きくなって、ワイヤー92にはこのコイルばね93のばね力が作用し、このばね力がクラッチ24の凹部51Aと突起52Aとの間に生じている摩擦力よりも大きくなると、ワイヤー92の引っ張り力によりクラッチ24はオフとなる。
【0093】
このため、この実施形態では、コイルばね93は、ブレーキ装置36をオフとした後にクラッチ24をオフとするためのクラッチオフ手段となっている。
【0094】
また、この実施形態のブレーキレバー42’は板ばね等の弾性材料で形成された弾性部材となっているため、押圧部材94で押圧されたときのブレーキレバー42’は、図14に示されているように、弾性的に湾曲変形することになる。そして、ブレーキレバー42’がこのように湾曲変形した分だけコイルばね93は一層大きく伸び変形するため、このコイルばね93のばね力を大きくすることができ、これにより、クラッチ24を一層確実にオフとすることができる。
【0095】
以上説明したそれぞれの実施形態は、ブレーキ装置36をオフとした後にクラッチ24をオフとするものであったが、例えば、ブレーキ装置36のためのワイヤーと、クラッチ24のためのワイヤーとを設け、これらのワイヤーを同時に引っ張り操作できるようにすること(例えば、これらのワイヤーの端部同士の結合部に一本のワイヤーを連結して、このワイヤーを引っ張り操作できるようにすること)により、ブレーキ装置36のオフとクラッチ24のオフとを同時に行えるようにしてもよく、これによっても、シャッターカーテン1を手動操作で開閉移動可能とするために行う操作手段によるクラッチのオフ操作を容易に行えるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、電動式シャッター装置や電動式オーニング装置等の電動式開閉装置の開閉体の開閉移動を手動式に切り替えるために利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 開閉体であるシャッターカーテン
3 ガイドレール
6 巻取軸
8 中心軸
9 回転体
10 ホイール部材
11 棒状の連結部材
20 駆動装置
21 巻取軸側の部材である回転歯車
22 駆動軸
23 駆動装置本体
24 クラッチ
35 電動モータ
36 ブレーキ装置
42,42’ ブレーキレバー
51 巻取軸側の第1クラッチ部材
51A 凹部
52 駆動軸側の第2クラッチ部材
52A 突起
56 操作手段であって、紐状体であり、1本の紐状部材でもあるワイヤー
65 戻し用弾性部材であるコイルばね
66 押圧部材である第1ばね受け部材
70 クラッチオフ手段である撓み部
71 ガイド部材
71A 直線状の長孔
80,90 操作手段である紐状体
81 第1紐状部材である第1ワイヤー
81A 延出部分
82 第2紐状部材である第2ワイヤー
84 被当接部材
85 案内部材
86 クラッチオフ手段である重複部分
87 当接部材
91,92 紐状部材であるワイヤー
93 クラッチオフ手段であって、弾性部材でもあるコイルばね
94 押圧部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11
図12
図13
図14