特許第6329462号(P6329462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6329462
(24)【登録日】2018年4月27日
(45)【発行日】2018年5月23日
(54)【発明の名称】セラミック構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/64 20060101AFI20180514BHJP
   C04B 35/565 20060101ALI20180514BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20180514BHJP
【FI】
   C04B35/64
   C04B35/565
   C04B38/00 303Z
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-163761(P2014-163761)
(22)【出願日】2014年8月11日
(65)【公開番号】特開2016-37433(P2016-37433A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩本 昌大
【審査官】 永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−52618(JP,A)
【文献】 特開2011−246295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B35/00−35/84
C04B38/00−38/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック原料組成物を成形してセラミック成形体を作製する成形工程と、
前記セラミック成形体を加熱してセラミック焼成体を作製する加熱工程とを含むセラミック構造体の製造方法であって、
前記加熱工程では、前記セラミック成形体を、第1の昇温速度で第1の昇温速度変更点まで加熱し、その後、前記セラミック成形体を、前記第1の昇温速度よりも速い第2の昇温速度で第2の昇温速度変更点まで加熱し、その後、前記セラミック成形体を前記第2の昇温速度よりも速い第3の昇温速度で加熱し、
前記第1の昇温速度は、25℃/分以下であり、
前記第1の昇温速度変更点は、400〜600℃の範囲内の所定の温度に設定されており、
前記第2の昇温速度は、60℃/分以下であり、
前記第2の昇温速度変更点は、800〜1000℃の範囲内の所定の温度に設定されており、
前記第3の昇温速度は50〜100℃/分であり、
前記セラミック原料組成物は、炭化ケイ素からなり、
前記セラミック原料組成物は、不純物元素として少なくとも亜鉛、マンガン、アルミニウム、鉄を含むことを特徴とするセラミック構造体の製造方法。
【請求項2】
前記第1の昇温速度は、10〜25℃/分である請求項1に記載のセラミック構造体の製造方法。
【請求項3】
前記第2の昇温速度は、30〜60℃/分である請求項1又は2に記載のセラミック構造体の製造方法。
【請求項4】
前記加熱工程では、前記第3の昇温速度で、前記セラミック成形体を1900〜2300℃まで加熱し、セラミック焼成体を作製する請求項1〜3のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法。
【請求項5】
前記成形工程では、炭化ケイ素からなるセラミック原料組成物を、ハニカム状に成形してセラミック成形体を作製する請求項1〜4のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるパティキュレートマター(以下、単にパティキュレート又はPMともいう)が環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
そこで、排ガス中のパティキュレートを捕集して、排ガスを浄化することができるフィルタとして、多孔質セラミックからなるハニカムフィルタ(セラミック構造体)が種々提案されている。このようなセラミック構造体としては、耐熱性、耐衝撃性の観点から多孔質炭化ケイ素焼結体からなるセラミック構造体が使用されている。
【0003】
このような多孔質炭化ケイ素焼結体からなるセラミック構造体を製造する方法としては、炭化ケイ素粉末に有機バインダや水等を混練してセラミック原料組成物を作製し、該セラミック原料組成物を所定の形状に成形してセラミック成形体を作製し、該セラミック成形体を加熱して焼成してセラミック焼成体を作製することにより製造する方法が知られている。
【0004】
このようなセラミック構造体を製造する方法において、セラミック成形体を急激に加熱すると、セラミック成形体の内方部と、外方部との間に温度差が生じることになる。セラミック成形体の内方部と、外方部との間に温度差が生じると、熱膨張による体積の変化の差によりセラミック成形体に歪みが生じやすくなる。このような歪みは、セラミック成形体にクラックが生じる原因となる。
【0005】
セラミック成形体にクラックが生じないようにするためには、セラミック成形体を加熱する際、緩やかに温度を上昇させる方法も考えられる。しかし、緩やかに温度を上昇させると加熱時間が長くなるという問題があった。
【0006】
加熱時間を短縮する方法として、特許文献1には、導電性セラミックス成形体を連続炉にて焼成して導電性セラミックス焼結体を製造する方法であって、原料の導電性セラミックス成形体を、セッターに載せ、セッター毎前記連続炉にプッシャーにて間歇的に供給するとともに、連続炉の焼成帯域に達した該導電性セラミックス成形体に直接通電し、焼結を助長させることを特徴とする導電性セラミックス焼結体の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−315302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された方法では、連続炉の焼成帯域に達したセラミックス成形体に直接通電し、焼結を助長させることにより、焼成時間を短縮することができる。しかし、セラミック成形体が連続炉の焼成帯域に達するまでの時間は短縮することはできていないという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、セラミック焼成体を作製する際に焼成にかかる時間が短く、かつ、セラミック成形体にクラックが生じにくいセラミック構造体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、セラミック成形体の昇温速度を段階的に上昇させることにより、セラミック成形体を焼成する時間を短くすることができ、かつ、セラミック成形体にクラックが生じることを防ぐことを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明のセラミック構造体の製造方法は、セラミック原料組成物を成形してセラミック成形体を作製する成形工程と、上記セラミック成形体を加熱してセラミック焼成体を作製する加熱工程とを含むセラミック構造体の製造方法であって、上記加熱工程では、上記セラミック成形体を、第1の昇温速度で第1の昇温速度変更点まで加熱し、その後、上記セラミック成形体を、上記第1の昇温速度よりも速い第2の昇温速度で第2の昇温速度変更点まで加熱し、その後、上記セラミック成形体を上記第2の昇温速度よりも速い第3の昇温速度で加熱し、上記第1の昇温速度は、25℃/分以下であり、上記第1の昇温速度変更点は、400〜600℃の範囲内の所定の温度に設定されており、上記第2の昇温速度は、60℃/分以下であり、上記第2の昇温速度変更点は、800〜1000℃の範囲内の所定の温度に設定されており、上記第3の昇温速度は50〜100℃/分であり、上記セラミック原料組成物は、炭化ケイ素からなり、上記セラミック原料組成物は、不純物元素として少なくとも亜鉛、マンガン、アルミニウム、鉄を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明のセラミック構造体の製造方法では、加熱工程において、セラミック成形体を、第1の昇温速度で第1の昇温速度変更点まで加熱し、その後、セラミック成形体を、第1の昇温速度よりも速い第2の昇温速度で第2の昇温速度変更点まで加熱し、その後、セラミック成形体を第2の昇温速度よりも速い第3の昇温速度で加熱する。
従って、第1の昇温速度のみで加熱するよりも、セラミック成形体を加熱する時間を短縮することができる。
【0013】
本発明のセラミック構造体の製造方法では、セラミック成形体を、第1の昇温速度で第1の昇温速度変更点まで加熱するが、第1の昇温速度は、25℃/分以下であり、第1の昇温速度変更点は、400〜600℃の範囲内の所定の温度に設定されている。
通常、セラミック成形体の温度が、第1の昇温速度変更点未満の温度であると、セラミック成形体を構成する炭化ケイ素同士は物理的な相互作用のみで形状を保持している状態であり、化学的に結合する強い力は存在していないという理由からセラミック成形体の強度が充分とならない。このような状態のセラミック成形体を急激に加熱すると、セラミック成形体の内方部と、外方部との間に温度差が生じることになる。セラミック成形体の内方部と、外方部との間に温度差が生じると、熱膨張による体積の変化の差によりセラミック成形体に、熱応力が発生する。このような熱応力は、セラミック成形体にクラックが生じる原因となる。熱応力は、セラミック成形体のヤング率と、膨張係数と、セラミック成形体の内方部及び外方部の温度差とにより決定される。すなわち、セラミック成形体の内方部及び外方部の温度差が大きければ、熱応力も大きくなる。
本発明のセラミック構造体の製造方法では、第1の昇温速度は、25℃/分以下なので、セラミック成形体の内方部と外方部とが均一に加熱されやすくなる。すなわち、セラミック成形体の内方部と外方部との温度差が小さくなる。そのため、セラミック成形体を加熱する際に、熱応力が大きくなりにくく、セラミック成形体にクラックが生じにくい。
【0014】
本発明のセラミック構造体の製造方法では、セラミック成形体を第1の昇温速度で第1の昇温速度変更点まで加熱した後、セラミック成形体を第1の昇温速度よりも速い第2の昇温速度で加熱する。
通常、セラミック成形体の温度が、第1の昇温速度変更点以上の温度である場合、セラミック成形体に含まれる不純物元素である亜鉛等が溶け出し、炭化ケイ素同士の結合を促進する、という理由からセラミック成形体の強度が強くなる。
第1の昇温速度よりも速い第2の昇温速度でセラミック成形体を加熱する場合には、セラミック成形体の内方部と外方部との温度差が大きくなり、熱応力も大きくなるが、上記の通り、セラミック成形体の強度が強くなっているので、セラミック成形体にクラックが生じることを防ぐことができる。
【0015】
本発明のセラミック構造体の製造方法では、第2の昇温速度は、60℃/分以下である。
第2の昇温速度が、60℃/分以下であると、クラックを発生することなくセラミック成形体を加熱することができる。
【0016】
本発明のセラミック構造体の製造方法では、セラミック成形体を第2の昇温速度で第2の昇温速度変更点まで加熱し、その後、セラミック成形体を上記第2の昇温速度よりも速い第3の昇温速度で加熱するが、第2の昇温速度変更点は、800〜1000℃の範囲内の所定の温度に設定されている。
通常、セラミック成形体の温度が、第2の昇温速度変更点以上の温度である場合、セラミック成形体に含まれる不純物元素であるマンガン、アルミニウム、鉄等が溶け出し、さらに炭化ケイ素同士の結合を促進するという理由からセラミック成形体の強度がさらに強くなる。
第2の昇温速度変更点よりも高い温度でセラミック成形体を加熱する場合には、セラミック成形体の温度上昇に伴いセラミック成形体のヤング率や熱膨張係数が高くなる。その結果、熱応力もさらに大きくなるが、上記の通り、セラミック成形体の強度がさらに強くなっているので、セラミック成形体にクラックが生じることを防ぐことができる。
【0017】
本発明のセラミック構造体の製造方法では、第3の昇温速度は50〜100℃/分である。
第3の昇温速度が50℃/分以上であると、加熱時間が短くなり効率よくセラミック構造体を製造することができる。
第3の昇温速度が100℃/分以下であると、セラミック成形体に生じる熱応力が大きくなりにくくなる。そのため、セラミック成形体にクラックが生じることを防ぐことができる。
逆に、第3の昇温速度が50℃/分未満であると、加熱時間が長くなり効率よくセラミック構造体を製造することができない。
第3の昇温速度が100℃/分を超えると、セラミック成形体に生じる熱応力が大きくなる。そのため、セラミック成形体にクラックが生じることを防ぎにくくなる。
【0018】
本発明のセラミック構造体の製造方法では、上記第1の昇温速度は、10〜25℃/分であることが望ましい。
第1の昇温速度が、10℃/分未満であると、セラミック成形体を加熱する時間が長くなりすぎる。
第1の昇温速度が、25℃/分を超えると、セラミック成形体が急激に加熱されるため、セラミック成形体の内方部と、外方部との間に温度差が大きくなる。そのため、セラミック成形体を加熱する際に、熱応力が大きくなりやすく、セラミック成形体にクラックが生じやすくなる。
【0019】
本発明のセラミック構造体の製造方法では、上記第2の昇温速度は、30〜60℃/分であることが望ましい。
第2の昇温速度が、30℃/分未満であると、セラミック成形体を加熱する時間が長くなりすぎる。
第2の昇温速度が、60℃/分を超えると、セラミック成形体が急激に加熱されるため、セラミック成形体の内方部及び外方部の温度差が大きくなりすぎる。そのため、セラミック成形体を加熱する際に、熱応力が大きくなりすぎ、セラミック成形体にクラックが生じやすくなる。
【0020】
本発明のセラミック構造体の製造方法では、上記加熱工程では、上記第3の昇温速度で、セラミック成形体を1900〜2300℃まで加熱し、セラミック焼成体を作製することが望ましい。
セラミック成形体を、1900〜2300℃まで加熱すると、セラミック成形体を構成するセラミック粒子同士が充分に焼結する。そのため、作製されるセラミック焼成体の強度を充分に強くすることができる。
セラミック成形体を、1900℃に達するまで加熱しないと、セラミック成形体を構成するセラミック粒子同士が充分に焼結しにくくなる。そのため、作製されるセラミック焼成体の強度が弱くなりやすくなる。
セラミック成形体を、2300℃を超えて加熱すると、セラミック成形体を構成するセラミック粒子同士が充分に焼結する温度を超えているのでコスト的に不利である。
【0021】
本発明のセラミック構造体の製造方法では、上記成形工程では、炭化ケイ素からなるセラミック原料組成物を、ハニカム状に成形してセラミック成形体を作製することが望ましい。
このような方法により、多孔質炭化ケイ素焼結体からなるハニカムフィルタを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1(a)は、ハニカム状のセラミック成形体の一例を模式的に示す斜視図である。図1(b)は、図1(a)に示すハニカム状のセラミック成形体のA−A線断面図である。
図2図2は、本発明のセラミック構造体の製造方法の加熱工程におけるセラミック成形体の温度変化の一例を示すグラフである。
図3図3は、セラミック成形体を加熱する際の熱応力に関するパラメータ及びセラミック成形体の強度の変化指数の一例を模式的に示す図である。
図4図4は、集合型のハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のセラミック構造体の製造方法について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0024】
本発明のセラミック構造体の製造方法は、セラミック原料組成物を成形してセラミック成形体を作製する成形工程と、セラミック成形体を加熱してセラミック焼成体を作製する加熱工程とを含むセラミック構造体の製造方法であって、加熱工程では、セラミック成形体を、第1の昇温速度で第1の昇温速度変更点まで加熱し、その後、セラミック成形体を、第1の昇温速度よりも速い第2の昇温速度で第2の昇温速度変更点まで加熱し、その後、セラミック成形体を第2の昇温速度よりも速い第3の昇温速度で加熱し、第1の昇温速度は、25℃/分以下であり、第1の昇温速度変更点は、400〜600℃の範囲内の所定の温度に設定されており、第2の昇温速度は、60℃/分以下であり、第2の昇温速度変更点は、800〜1000℃の範囲内の所定の温度に設定されており、第3の昇温速度は50〜100℃/分であり、セラミック原料組成物は、炭化ケイ素からなり、上記セラミック原料組成物は、不純物元素として少なくとも亜鉛、マンガン、アルミニウム、鉄を含むことを特徴とする。
上記方法により製造されたセラミック構造体の用途としては、特に限定されず、例えば、ハニカムフィルタ等の構造材料や、電子材料等に用いることができる。
以下、各工程について詳しく説明する。
【0025】
(a)成形工程
セラミック原料組成物を成形してセラミック成形体を作製する方法は、特に限定されないが、例えば、以下の工程により作製することができる。
【0026】
(a−1)混合工程
まず、炭化ケイ素粉末と、必要に応じて有機バインダ、可塑剤、潤滑剤、水等を混合することにより、炭化ケイ素からなるセラミック原料組成物を調製する。
炭化ケイ素粉末は、不純物元素として少なくとも亜鉛、マンガン、アルミニウム、鉄を含むので、セラミック原料及び後の工程で作製されるセラミック成形体もこれら不純物元素を含むことになる。
【0027】
有機バインダとしては、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等があげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
可塑剤としては、特に限定されず、例えば、グリセリン等があげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
潤滑剤としては、特に限定されず、例えば、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等があげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
(a−2)成形工程
上記セラミック原料組成物を所定の形状に成形し、セラミック成形体を作製する。
セラミック成形体の形状は、特に限定されず、ハニカム状や基板状等であってもよい。セラミック成形体の成形方法は、特に限定されず、押出成形法や、鋳込み成形等であってもよい。
【0031】
なお、成形工程では、炭化ケイ素からなるセラミック原料組成物を、ハニカム状に成形してセラミック成形体を作製することが望ましい。
このような方法により、セラミック成形体を作製し、後の工程を経ることにより、多孔質炭化ケイ素焼結体からなるハニカムフィルタを製造することができる。
【0032】
ここで、ハニカム状のセラミック成形体について説明する。
図1(a)は、ハニカム状のセラミック成形体の一例を模式的に示す斜視図である。図1(b)は、図1(a)に示すハニカム状のセラミック成形体のA−A線断面図である。
図1(a)に示すハニカム状のセラミック成形体10は、多数のセル11がセル隔壁12を隔てて長手方向(図1(a)中aの方向)に並設された、高さT、幅W及び長さLを有する略直方体である。セル11のいずれか一方の端部は封止材13で封止されている。
セラミック成形体10の大きさは、特に限定されないが、高さTが30〜40mm、幅Wが30〜40mm、長さLが100〜300mmであることが望ましい。
【0033】
セラミック成形体10のセル隔壁12の厚さは、特に限定されないが、0.1〜0.4mmであることが望ましい。
なお、セル隔壁の厚さとは、セラミック成形体10の長手方向に垂直な断面において、セル11の内壁により構成される断面図形の幾何学的な重心を2つのセルについてそれぞれ求め(図1(b)中、セル11aの重心c及び11bの重心c)、その重心間を結ぶ直線Zを描き、直線がセル隔壁12領域と重なる部分の線分の長さ(図1(b)中、dで示す長さ)をセル隔壁の厚さとする。なお、セルはいうまでもなく空間であるが、ここでいう重心はセルの内壁により構成される断面図形の幾何学的な重心を意味しており、セルのような空間の断面図形であっても重心の定義は可能である。
【0034】
セラミック成形体10のセル11の密度は、特に限定されないが、31〜62個/cmであることが望ましい。
セラミック成形体10のセル11のピッチは特に限定されないが、1.3〜2.2mmであることが望ましい。
なお、セル11のピッチとは、セラミック成形体10の長手方向に垂直な断面において、隣り合うセル11の中心点(図1(b)中、セル11aの重心c及びセル11bの重心c)間の距離(図1(b)中、pで示す長さ)を意味する。
【0035】
なお、図1(a)においてセラミック成形体10は略直方体であるが、本発明のセラミック構造体の製造方法で製造するセラミック成形体では、略円柱、底面が略扇形の柱体、略多角柱等の柱体であってもよい。
また、図1(a)においてセル11の長手方向に垂直な断面形状は略正方形であるが、本発明のセラミック構造体の製造方法で製造するセラミック成形体では、セルの長手方向に垂直な断面形状は略円形であってもよく、略多角形であってもよい。
【0036】
セラミック成形体のセルのいずれか一方の端部を封止するには、封止材ペーストを充填すればよい。
封止材ペーストは、例えば、ケイ素粉末、有機バインダ、無機バインダ、溶媒を混合することにより作製することができる。
【0037】
このようなセルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム状のセラミック成形体を作製することにより、多孔質炭化ケイ素焼結体からなるハニカムフィルタを製造することができる。後の工程を経て製造されたハニカムフィルタは、排ガス中のパティキュレートを捕集して、排ガスを浄化することができるフィルタとして用いることができる。
また、セルを封止せずに多孔質炭化ケイ素焼結体としてもよい、この場合、セラミック焼成体は触媒担体として用いることができる。
【0038】
(b)加熱工程
次に、上記成形工程で作製したセラミック成形体を加熱する。
セラミック成形体の加熱は、加熱炉を用いて行うことが望ましい。加熱炉としては、昇温速度を調整できるのであれば特に限定されず、焼成炉、連続焼成炉、バッチ炉等を用いることができる。
以下、加熱工程における昇温速度について図面を用いながら説明する。
図2は、本発明のセラミック構造体の製造方法の加熱工程におけるセラミック成形体の温度変化の一例を示すグラフである。
【0039】
(b−1)第1の昇温速度での加熱
上記成形工程で作製したセラミック成形体を第1の昇温測度で、第1の昇温速度変更点まで加熱する。
第1の昇温速度は、25℃/分以下であり、第1の昇温速度変更点は、400〜600℃の範囲内の所定の温度である。
図2において、aはセラミック成形体の初期温度を示し、aは第1の昇温速度変更点を示す。また、セラミック成形体の温度がaであるときの時刻をtとし、aであるときの時刻をtとする。aは、400〜600℃の範囲内の所定の温度である。(a−a)/(t−t)は、第1の昇温速度であり、25℃/分以下である。
【0040】
通常、セラミック成形体の温度が、第1の昇温速度変更点未満の温度であると、セラミック成形体を構成する炭化ケイ素同士は物理的な相互作用のみで形状を保持している状態であり、化学的に結合する強い力は存在していないという理由からセラミック成形体の強度が充分とならない。このような状態のセラミック成形体を急激に加熱すると、セラミック成形体の内方部と、外方部との間に温度差が生じることになる。セラミック成形体の内方部と、外方部との間に温度差が生じると、熱膨張による体積の変化の差によりセラミック成形体に、熱応力が発生する。このような熱応力は、セラミック成形体にクラックが生じる原因となる。
【0041】
なお、下記式(1)に示すように、熱応力σは、セラミック成形体のヤング率Eと、熱膨張係数αと、セラミック成形体の内方部及び外方部の温度差(温度勾配)ΔTとにより決定される。すなわち、セラミック成形体の内方部及び外方部の温度差ΔTが大きければ、熱応力σも大きくなる。
熱応力σ=ヤング率E×熱膨張係数α×温度差ΔT・・・(1)
【0042】
第1の昇温速度が、25℃/分以下であると、セラミック成形体の内方部と外方部とが均一に加熱されやすくなる。すなわち、セラミック成形体の内方部と外方部との温度差ΔTが小さくなる。そのため、セラミック成形体を加熱する際に、熱応力が大きくなりにくく、セラミック成形体にクラックが生じにくい。
第1の昇温速度は、25℃/分以下であれば特に限定されないが、10〜25℃/分であることがより望ましく、20〜25℃/分であることがさらに望ましい。
第1の昇温速度が、10℃/分未満であると、セラミック成形体を加熱する時間が長くなりすぎる。
第1の昇温速度が、25℃/分を超えると、セラミック成形体が急激に加熱されるため、セラミック成形体の内方部と、外方部との間に温度差が大きくなる。そのため、セラミック成形体を加熱する際に、熱応力が大きくなりやすく、セラミック成形体にクラックが生じやすくなる。
【0043】
第1の昇温速度変更点は、400〜600℃の範囲内の所定の温度であれば特に限定されないが、420〜580℃であることがより望ましく、450〜550℃であることがさらに望ましい。
後述するように、本発明のセラミック構造体の製造方法では、第1の昇温速度変更点において、昇温速度を、第1の昇温速度よりも速い第2の昇温速度に変更する。
第1の昇温速度変更点を、400℃未満に設定すると、昇温速度を第2の昇温速度に変更した際に、急激にセラミック成形体が加熱されることになる。そのため、セラミック成形体の内方部と、外方部との間に温度差が生じることになる。これにより、セラミック成形体にクラックが生じやすくなる。
第1の昇温速度変更点を、600℃を超える温度に設定すると、セラミック成形体を第1の昇温速度で加熱する時間が長くなり、セラミック成形体を加熱する時間を短縮しにくくなる。
【0044】
本発明のセラミック構造体の製造方法では、セラミック成形体に有機バインダ等の有機成分が含まれる場合には、有機成分をセラミック成形体から揮発させるために脱脂を行ってもよい。
脱脂を行う際には、セラミック成形体を300〜500℃で加熱することが望ましく、300〜480℃で加熱することがより望ましい。
脱脂の加熱時間は60〜240分であることが望ましく、80〜200分であることがより望ましい。
脱脂は、空気雰囲気下で行ってもよく、酸素比率が空気より多くなるようにアルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを混合した混合気体雰囲気下で行ってもよい。空気雰囲気下で脱脂を行うと、セラミック成形体に含まれる有機成分をよく燃焼することができる。また、酸素比率が空気より多くなるようにアルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを混合した混合気体雰囲気下で脱脂を行うと、セラミック成形体に含まれる有機成分をよりよく燃焼することができる。そのため、後述する焼成工程において、炭化ケイ素を好適に焼結させることができる。
【0045】
上記脱脂は、第1の昇温速度でセラミック成形体を加熱すると同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。
また、セラミック成形体を脱脂した後、一度、セラミック成形体の温度を下げてから、セラミック成形体を第1の昇温速度で加熱してもよく、セラミック成形体を脱脂をした後、連続して第1の昇温速度で加熱してもよい。
【0046】
(b−2)第2の昇温速度での加熱
上記のようにセラミック成形体を第1の昇温速度変更点まで加熱した後、セラミック成形体を第1の昇温速度よりも速い第2の昇温速度で第2の昇温速度変更点まで加熱する。
第2の昇温速度は60℃/分以下であり、第2の昇温速度変更点は、800〜1000℃の範囲内の所定の温度である。
図2においてaは第2の昇温速度変更点を示す。また、セラミック成形体の温度がaであるときの時刻をtとする。aは、800〜1000℃の範囲内の所定の温度である。(a−a)/(t−t)は、第2の昇温速度であり、60℃/分以下である。
【0047】
通常、セラミック成形体の温度が、第1の昇温速度変更点以上の温度である場合、セラミック成形体に含まれる不純物元素である亜鉛等が溶け出し、炭化ケイ素同士の結合を促進する、という理由からセラミック成形体の強度が強くなる。
第1の昇温速度よりも速い第2の昇温速度でセラミック成形体を加熱する場合には、セラミック成形体の内方部と外方部との温度差が大きくなり、熱応力も大きくなるが、上記の通り、セラミック成形体の強度が強くなっているので、セラミック成形体にクラックが生じることを防ぐことができる。
【0048】
第2の昇温速度が、60℃/分以下であると、クラックを発生することなくセラミック成形体を加熱することができる。
第2の昇温速度は60℃/分以下であれば、特に限定されないが、30〜60℃/分であることが望ましく、40〜60℃/分であることがより望ましい。
第2の昇温速度が、30℃/分未満であると、セラミック成形体を加熱する時間が長くなりすぎる。
第2の昇温速度が、60℃/分を超えると、セラミック成形体が急激に加熱されるため、セラミック成形体の内方部及び外方部の温度差が大きくなりすぎる。そのため、熱応力が大きくなりすぎ、セラミック成形体にクラックが生じやすくなる。
【0049】
第2の昇温速度変更点は、800〜1000℃の範囲内の所定の温度であれば特に限定されないが、820〜970℃であることがより望ましく、850〜950℃であることがさらに望ましい。
後述するように、本発明のセラミック構造体の製造方法では、第2の昇温速度変更点において、昇温速度を、第2の昇温速度よりも速い第3の昇温速度に変更する。
第2の昇温速度変更点を、800℃未満に設定すると、昇温速度を第3の昇温速度に変更した際に、急激にセラミック成形体が加熱されることになる。そのため、セラミック成形により強い熱応力が生じる。これにより、セラミック成形体にクラックが生じやすくなる。
第2の昇温速度変更点を、1000℃を超える温度に設定すると、セラミック成形体を第2の昇温速度で加熱する時間が長くなり、セラミック成形体を加熱する時間を短縮しにくくなる。
【0050】
(b−3)第3の昇温速度での加熱
上記のようにセラミック成形体を第2の昇温速度変更点まで加熱した後、セラミック成形体を第2の昇温速度よりも速い第3の昇温速度で加熱する。
第3の昇温速度は、50〜100℃/分である。
本発明のセラミック構造体の製造方法の加熱工程では、第3の昇温速度で、セラミック成形体を所定の焼成温度まで加熱することが望ましい。
図2においてaは焼成温度を示す。また、セラミック成形体の温度がaになるときの時刻をtとする。(a−a)/(t−t)は、第3の昇温速度であり、50〜100℃/分である。
【0051】
通常、セラミック成形体の温度が、第2の昇温速度変更点以上の温度である場合、セラミック成形体に含まれる不純物元素であるマンガン、アルミニウム、鉄等が溶け出し、さらに炭化ケイ素同士の結合を促進するという理由からセラミック成形体の強度がさらに強くなる。
【0052】
また、上記のように、熱応力σは以下の式(1)で示される。
熱応力σ=ヤング率E×熱膨張係数α×温度差ΔT・・・(1)
セラミック成形体の温度が第2の昇温速度変更点を超えると、加熱炉内の構造物(セッター、マッフル、他のセラミック成形体等)からの輻射熱があるので、セラミック成形体の内方部及び外方部の温度差ΔTは小さくなる。しかし、セラミック成形体の温度上昇に伴い、セラミック成形体のヤング率E及び熱膨張係数αが大きくなる。その結果、セラミック成形体を第2の昇温速度で第2の昇温速度変更点まで加熱するときに生じる熱応力よりも、セラミック成形体を第3の昇温速度で加熱するときに生じる熱応力の方が大きくなる。
しかし、上記の通り、セラミック成形体の温度が、第2の昇温速度変更点以上の温度である場合、セラミック成形体の強度がさらに強くなっているので、セラミック成形体にクラックが生じることを防ぐことができる。
【0053】
このことを図面を用いて説明する。
図3は、セラミック成形体を加熱する際の熱応力に関するパラメータ及びセラミック成形体の強度の変化指数の一例を模式的に示す図である。
図3に示すように、温度差ΔTは、セラミック成形体の温度の上昇に伴って減少する。しかし、ヤング率E及び熱膨張係数αは、800〜1000℃にかけて上昇する。その結果、熱応力σは、温度上昇に伴って増加する。しかし、セラミック成形体の強度も800〜1000℃にかけて急激に上昇する。つまり、熱応力σが増加する以上にセラミック成形体の強度が上昇する。従って、第3の昇温速度で加熱したとしても、セラミック成形体にクラックが生じることを防ぐことができる。
【0054】
上記の通り、第3の昇温速度は50〜100℃/分である。
第3の昇温速度が50℃/分以上であると、加熱時間が短くなり効率よくセラミック構造体を製造することができる。
第3の昇温速度が100℃/分以下であると、セラミック成形体に生じる熱応力が大きくなりにくくなる。そのため、セラミック成形体にクラックが生じることを防ぐことができる。
逆に、第3の昇温速度が50℃/分未満であると、加熱時間が長くなり効率よくセラミック構造体を製造することができない。
第3の昇温速度が100℃/分を超えると、セラミック成形体に生じる熱応力が大きくなりやすくなる。そのため、セラミック成形体にクラックが生じることを防ぎにくくなる。
第3の昇温速度は、50〜100℃/分であれば特に限定されないが、60〜100℃/分であることが望ましく、70〜100℃/分であることがより望ましい。
【0055】
本発明のセラミック構造体の製造方法の加熱工程では、第3の昇温速度で、セラミック成形体を1900〜2300℃まで加熱し、セラミック焼成体とすることが望ましい。すなわち、図2においてaは、1900〜2300℃であることが望ましい。
セラミック成形体を、1900〜2300℃まで加熱すると、セラミック成形体を構成するセラミック粒子同士が充分に焼結する。そのため、作製されるセラミック焼成体の強度を充分に強くすることができる。
セラミック成形体を、1900℃に達するまで加熱しないと、セラミック成形体を構成するセラミック粒子同士が充分に焼結しにくくなる。そのため、作製されるセラミック焼成体の強度が弱くなりやすくなる。
セラミック成形体を、2300℃を超えて加熱すると、セラミック成形体を構成するセラミック粒子同士が充分に焼結する温度を超えているのでコスト的に不利である。
焼成温度は、2000〜2200℃であることがより望ましく、2050〜2150℃であることがさらに望ましい。
【0056】
本発明のセラミック構造体の製造方法の加熱工程では、セラミック成形体を、焼成温度まで加熱した後、50〜180分間保持することが望ましく、60〜150分間保持することがより望ましい。
すなわち、図2において、tは、加熱終了時刻を示し、(t−t)は50〜180分間であることが望ましく、60〜150分間であることがより望ましい。
【0057】
本発明のセラミック構造体の製造方法では、加熱工程において、セラミック成形体を、第1の昇温速度で第1の昇温速度変更点まで加熱し、その後、セラミック成形体を、第1の昇温速度よりも速い第2の昇温速度で第2の昇温速度変更点まで加熱し、その後、セラミック成形体を第2の昇温速度よりも速い第3の昇温速度で加熱する。
従って、第1の昇温速度のみで加熱するよりも、セラミック成形体を加熱する時間を短縮することができる。
すなわち、図2においてt〜tまでの時間を短縮することができる。t〜tまでの時間は、特に限定されないが、100〜300分間であることが望ましく、120〜260分間であることがより望ましい。
【0058】
なお、加熱工程においてセラミック成形体を焼成する際の雰囲気は、特に限定されないが、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気であることが望ましい。
【0059】
以上の工程を経ることにより、ハニカム状のセラミック焼成体を製造することができる。
【0060】
得られたハニカム状のセラミック焼成体を、複数個集合させ集合型のハニカムフィルタとしてもよい。また、「上記(a−2)成形工程」において、大きなセラミック成形体を作製しておくことにより、得られたハニカム状のセラミック焼成体を一体型のハニカムフィルタとしてもよい。
【0061】
図4は、集合型のハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
図4に示す、ハニカムフィルタ20は、複数個のセラミック焼成体10´が接着材層21を介して集合されており、集合されたセラミック焼成体10´の外周には、排ガスの漏れを防止するための外周コート層22が形成されている。なお、外周コート層22は、必要に応じて形成されていればよい。
以下にセラミック焼成体を集合させ、集合型のハニカムフィルタ作製する方法を記載する。
【0062】
まず、得られたセラミック焼成体のそれぞれの所定の側面に、接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成し、この接着材ペースト層の上に、順次他のセラミック焼成体を集合する作業を繰り返し、セラミック焼成体の集合体を作製する。
次に、セラミック焼成体の集合体を加熱して接着材ペースト層を乾燥、固化させて接着材層とすることにより、セラミック集合体を作製する。
ここで、接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用してもよい。また、上記接着材ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
【0063】
接着材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物粒子、窒化物粒子等があげられる。具体的には、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等があげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
接着材ペーストに含まれる無機繊維及び/又はウィスカとしては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなる無機繊維及び/又はウィスカ等があげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
セラミック集合体を加熱することにより接着材ペーストを加熱固化して接着材層とし、四角柱状のセラミックブロックを作製する。
接着材ペーストの加熱固化の条件は、従来からハニカムフィルタを作製する際に用いられている条件を適用することができる。
接着材層の厚さは、0.5〜2.0mmが好ましい。
【0066】
次にセラミック集合体に切削加工を施してもよい。具体的には、ダイヤモンドカッターを用いてセラミック集合体の外周を切削することにより、外周が略円柱状に加工されたセラミック集合体を作製してもよい。
【0067】
次に、セラミック集合体の外周面に、外周コート材ペーストを塗布し、乾燥固化して外周コート層を形成してもよい。
ここで、外周コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストを使用することができる。外周コート材ペーストとして、上記接着材ペーストと異なる組成のペーストを使用してもよい。なお、外周コート層は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
外周コート層を設けることによって、セラミック集合体の外周の形状を整えてもよい。
外周コート層の厚さは、0.1〜3.0mmが好ましい。
【0068】
以上の工程により、集合型のハニカムフィルタを作製することができる。
このようにして作製されたハニカムフィルタは、排ガス中のパティキュレートを捕集して、排ガスを浄化することができるフィルタとして用いることができる。
【実施例】
【0069】
以下に、本発明の実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。しかしながら、本発明の実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0070】
(実施例1)
(a)成形工程
(a−1)混合工程
炭化ケイ素粉末74.5重量%、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.8重量%、可塑剤1.3重量%、及び、水13.8重量%を混合してセラミック原料組成物を作製した。
【0071】
(a−2)成形工程
得られたセラミック原料組成物を押出成形しハニカム状のセラミック成形体を作製した。
作製したセラミック成形体は、高さが34.3mm、幅が34.3mm、長さが25.4cmの略直方体であり、セル隔壁の厚さが0.4mm、セルの密度が31個/cm、セルのピッチが、1.88mmであった。
【0072】
(b)加熱工程
まず、上記工程で得られたセラミック成形体を空気雰囲気下、400℃、40分間で加熱することにより脱脂し、セラミック成形体内の有機成分を揮発させた。
【0073】
(b−1)第1の昇温速度での加熱
脱脂後のセラミック成形体を、アルゴン雰囲気下において第1の昇温速度である20℃/分で、第1の昇温速度変更点である500℃まで加熱した。なお、セラミック成形体を加熱する初期温度は25℃であった。
【0074】
(b−2)第2の昇温速度での加熱
次に、セラミック成形体を、アルゴン雰囲気下において第2の昇温速度である40℃/分で、第2の昇温速度変更点である900℃まで加熱した。
【0075】
(b−3)第3の昇温速度での加熱
次に、セラミック成形体を、アルゴン雰囲気下において第3の昇温速度である60℃/分で、焼成温度である2200℃まで加熱した。
その後、180分間焼成した。
【0076】
以上の工程を経て実施例1に係るセラミック焼成体を製造した。
【0077】
(実施例2〜12)及び(比較例1〜7)
第1の昇温速度、第2の昇温速度及び第3の昇温速度を表1に示す昇温速度に変更した以外は同様にして実施例2〜12及び比較例1〜7のセラミック焼成体を製造した。
【0078】
【表1】
【0079】
(破損しやすさ評価)
各実施例及び各比較例の方法により製造されたセラミック焼成体の破損のしやすさを評価した。評価方法は以下の通りである。
各実施例及び各比較例により5本のセラミック焼成体を作製した。次にセラミック焼成体に、万能試験機(製品名:インストロン5582、インストロン社製)を用いてスパン間距離:135mmにて30MPaの荷重を10秒間かけた。全てのセラミック焼成体が破損していない場合には、「破損なし」と評価し、1本のセラミック焼成体でも破損していた場合には、「破損あり」と評価した。結果を表1に示す。
【0080】
(加熱時間評価)
第1の昇温速度でセラミック成形体を加熱し始めてから、セラミック成形体の焼成が終わるまでの時間を測定した。結果を表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
実施例1〜12のセラミック焼成体は、破損しやすさ評価において「破損なし」であり、加熱時間が充分に短かった。
比較例1のセラミック焼成体は、破損しやすさ評価において「破損なし」であったが、比較例1では、セラミック成形体を10℃/分の昇温速度でのみ加熱したため、加熱時間が長かった。
比較例2〜4のセラミック焼成体は、破損しやすさ評価において「破損あり」であった。これは、第2の昇温速度が60℃を超えていることが原因と考えられた。
比較例5〜7のセラミック焼成体は、破損しやすさ評価において「破損あり」であった。これは、第1の昇温速度が25℃を超えていることが原因と考えられた。
比較例2〜7では、加熱時間が短いものの、これら方法で製造されたセラミック焼成体は上記の通り、破損しやすさ評価において「破損あり」であった
比較例2〜7のセラミック焼成体が「破損あり」であった理由としては、セラミック成形体を加熱する際に、クラックが生じたためと考えられる。
【0083】
以上より、本発明のセラミック構造体の製造方法によれば、セラミック構造体の製造において加熱工程に要する時間を短縮することができ、かつ、加熱中にセラミック成形体にクラックが生じることを防ぐことができることが示された。
【符号の説明】
【0084】
10 セラミック成形体
10´ セラミック焼成体
11、11a、11b セル
12 セル隔壁
13 封止材
20 ハニカムフィルタ
21 接着材層
22 外周コート層
図1
図2
図3
図4