(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、工作機械のコントローラには、工作機械の運転に関する膨大なデータが格納されている。すなわち、コントローラには、多数のプログラムが格納されている。また、各プログラムには、多数のパラメータ値が用いられている。このため、多数のプログラム内から、ある所望のパラメータ値を更新したい場合、作業者は、膨大なデータの中から、所望のパラメータ値、およびその記載箇所を探し出す必要がある。この点、同文献には、パラメータ値の検索方法が開示されていない。
【0005】
パラメータ値の検索には、例えば、パラメータ表が用いられる。パラメータ表には、パラメータ番号、パラメータ値が一覧表形式で表示されている。まず、作業者は、所望のパラメータ値のパラメータ番号を、パラメータ表から探し出す。次に、作業者は、当該パラメータ番号を、コントローラに入力する。コントローラは、画面に当該パラメータ番号のパラメータ値を表示する。このようにして、作業者は、膨大なデータの中から、所望のパラメータ値を探し出している。
【0006】
このように、パラメータ値の検索作業は煩雑である。また、パラメータ値の記載箇所は、多岐に亘っている。この点においても、検索作業は煩雑である。このため、検索漏れ、延いては修正忘れなどのミスが発生しやすい。そこで、本発明は、データの検索が簡単なコントローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するため、本発明のコントローラは、キーワードが入力される入力部と、工作機械の運転に関するデータが格納される記憶部と、該データの中から該キーワードに関連する検索結果を抽出する演算部と、該検索結果を表示可能な表示部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
ここで、「キーワード」、「検索結果」には、文字、数字、図形、記号などが含まれる。本発明のコントローラによると、記憶部のデータの中から、作業者が、簡単に、所望の検索結果を見つけ出すことができる。
【0009】
(2)上記(1)の構成において、前記入力部は、検索対象を選択することで前記演算部が前記検索結果を抽出する際に用いられる前記データを限定可能な限定機能を有する構成とする方がよい。
【0010】
ここで、「検索対象」には、デバイスコメント、パラメータ値、パラメータ名などが含まれる。本構成によると、作業者は、予め検索対象を絞り込んでから、当該検索対象に対してキーワード検索を行うことができる。このため、検索作業の効率化を図ることができる。
【0011】
(3)上記(1)または(2)の構成において、前記表示部に表示された前記検索結果は選択可能であり、該表示部は、選択された該検索結果に対応する表示状態に切替可能である構成とする方がよい。本構成によると、作業者は、選択した検索結果が所望の検索結果であるか否かを、確認しやすい。
【0012】
(4)上記(3)の構成において、前記表示状態において、前記キーワードに関連する部分は、強調して表示される構成とする方がよい。本構成によると、作業者は、選択した検索結果がキーワードに関連する検索結果であるか否かを、確認しやすい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、データの検索が簡単なコントローラを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のコントローラの実施の形態について説明する。
【0016】
<工作機械の構成>
まず、本実施形態のコントローラを備える工作機械の構成について説明する。
図1に、本実施形態のコントローラを備える工作機械のブロック図を示す。
図1に示すように、工作機械1は、コントローラ2と、機械本体3と、を備えている。コントローラ2は、演算部20と、記憶部21と、入出力インターフェイス22と、画面23と、キーボード24と、を備えている。画面23は、タッチパネルである。画面23は、本発明の「入力部」と「表示部」とを兼ねている。キーボード24は、本発明の「入力部」の概念に含まれる。記憶部21には、機械本体3の運転に関するデータが格納されている。キーボード24には、複数の文字キーや数字キーが配置されている。機械本体3は、主軸台や工具台などを備えている。
【0017】
<コントローラの画面の構成>
次に、本実施形態のコントローラの画面の構成について説明する。
図2に、通常運転画面の模式図を示す。
図3に、キーワード入力画面の模式図(その1)を示す。
図4に、ラダー図表示画面の模式図を示す。
図5に、検索結果表示画面の模式図(その1)を示す。
図6に、パラメータ表示画面の模式図(その1)を示す。パラメータ表示画面23eは、本発明の「選択された検索結果に対応する表示状態」の概念に含まれる。
【0018】
図1〜
図6に示すように、画面23は、通常運転画面23a、キーワード入力画面23b、ラダー図表示画面23c、検索結果表示画面23d、パラメータ表示画面23eに、表示を切り替えることができる。
【0019】
図2に示すように、通常運転画面23aには、キーワード検索ボタン40が表示されている。キーワード検索ボタン40がタッチされることにより、
図1に示す演算部20は、画面23を、
図2に示す通常運転画面23aから
図3に示すキーワード入力画面23bに、切り替える。
【0020】
図3に示すように、キーワード入力画面23bには、入力欄41、複数の選択欄42、全選択ボタン43、全選択解除ボタン44、検索実行ボタン45が表示されている。入力欄41には、
図1に示すキーボード24を介して、キーワードが入力される。複数の選択欄42は、複数の検索対象(デバイスコメント、PLCアドレス、画面、異常データ、パラメータ値、パラメータ名、オブジェクト、マニュアル)に、対応している。
【0021】
以下、複数の検索対象の各々について簡単に説明する。「デバイスコメント」は、
図4に示すラダー図表示画面23cにおいて点線楕円Aで囲むように、ラダー図の接点やコイルに関するコメントに関連付けられている。「PLCアドレス」は、
図4に点線楕円Bで囲むように、ラダー図の接点やコイルのアドレスに関連付けられている。「画面」は、画面23、23a〜23eに表示される文字、数字、記号などに関連付けられている。「異常データ」は、機械本体3の異常に関する文字、数字、記号などに関連付けられている。「パラメータ値」は、プログラムのパラメータの数値部分に関連付けられている。「パラメータ名」は、プログラムのパラメータの文字部分に関連付けられている。「オブジェクト」は、画面に表示される図形(例えば、
図2に示すキーワード検索ボタン40、
図3に示す全選択ボタン43、全選択解除ボタン44、検索実行ボタン45)に関連付けられている。「マニュアル」は、工作機械1の電子マニュアルの文字、数字、記号などに関連付けられている。このように、
図1に示す記憶部21には、複数の検索対象に関連付けられた状態で、膨大なデータが格納されている。
【0022】
選択欄42は、チェックボックスである。選択欄42には、チェックマークが表示される。全選択ボタン43がタッチされると、
図1に示す演算部20は、全ての選択欄42にチェックマークを表示する。全選択解除ボタン44がタッチされると、
図1に示す演算部20は、全ての選択欄42のチェックマークを削除する。
【0023】
検索実行ボタン45がタッチされると、
図1に示す演算部20は、記憶部21のデータ(ただし、選択された検索対象に関連付けられたデータ)の中から、入力欄41に入力されたキーワードを含むデータを検索する。また、演算部20は、画面23を、
図3に示すキーワード入力画面23bから
図5に示す検索結果表示画面23dに、切り替える。
【0024】
図5に示すように、検索結果表示画面23dには、キーワード表示欄46、検索結果表示欄47が表示されている。
図1に示す演算部20は、キーワード表示欄46に、
図3に示す入力欄41のキーワードを表示する。
図1に示す演算部20は、検索結果表示欄47に検索結果を表示する。すなわち、演算部20は、検索結果表示欄47に、キーワードを含むデータを列挙する。検索結果表示欄47のデータには、行単位で、ソフトボタンが設定されている。すなわち、検索結果表示欄47のデータは、行単位で、選択可能である。
【0025】
検索結果表示欄47のデータがタッチされると、
図1に示す演算部20は、画面23を、
図5に示す検索結果表示画面23dから
図6に示すパラメータ表示画面23eに、切り替える。
【0026】
図6に示すように、パラメータ表示画面23eには、パラメータ番号表示欄48、パラメータ名表示欄49、パラメータ値表示欄50、パラメータ値更新欄51、閉じるボタン52が表示されている。また、キーワードは、強調表示されている。
【0027】
図1に示す演算部20は、パラメータ番号表示欄48にパラメータ番号を表示する。また、演算部20は、パラメータ名表示欄49にパラメータ名を表示する。また、演算部20は、パラメータ値表示欄50にパラメータ値を表示する。パラメータ値更新欄51には、パラメータ値の更新の有無が表示される。
【0028】
<パラメータ更新方法〜その1>
次に、本実施形態のコントローラを用いた、パラメータ値更新方法について説明する。以下に示す更新方法においては、作業者がパラメータ番号「CNT25」の設定値(パラメータ値)を更新したい場合であって、かつ作業者が「着座リトライカウンタ」という用語を覚えている場合を仮定している(
図6参照)。なお、「着座リトライカウンタ」とは、主軸台のチャックに対するワークの取付状態が適切でない場合に、ワーク搬送ロボットがワーク取付作業を再実行する回数をいう。
【0029】
パラメータ値更新方法は、キーワード入力工程と、検索対象選択工程と、キーワード検索工程と、検索結果表示工程と、パラメータ値更新工程と、を有している。
【0030】
キーワード入力工程においては、まず、作業者は、
図2に示すキーワード検索ボタン40にタッチする。次に、
図1に示す演算部20は、画面23を、
図3に示すキーワード入力画面23bに切り替える。続いて、作業者は、
図1に示すキーボード24を介して、入力欄41に、自分が覚えている用語である「着座リトライカウンタ」を入力する。
【0031】
検索対象選択工程においては、作業者は、複数の検索対象の中から、所望の検索対象(デバイスコメント、パラメータ名、マニュアル)を選択する。具体的には、作業者は、これら三つの検索対象に関する選択欄42に、チェックマークを入力する。
【0032】
キーワード検索工程においては、まず、作業者は、検索実行ボタン45にタッチする。次に、
図1に示す演算部20は、記憶部21のデータ(ただし、デバイスコメント、パラメータ名、マニュアルに関連付けられているデータ)の中から、「着座リトライカウンタ」を含むデータを検索する。並びに、演算部20は、画面23を、
図5に示す検索結果表示画面23dに切り替える。
【0033】
検索結果表示工程においては、
図1に示す演算部20は、
図5に示すように、キーワード表示欄46に、
図3に示す入力欄41の「着座リトライカウンタ」を表示する。また、演算部20は、検索結果表示欄47に、デバイスコメント、パラメータ名、マニュアル中の「着座リトライカウンタ」を含むデータを列挙する。作業者は、列挙されたデータの中から、自分が更新したいパラメータ値に関するデータ、つまり一行目のデータを視認する。
【0034】
パラメータ更新工程においては、まず、作業者は、検索結果表示欄47のデータ中、一行目のデータにタッチする。次に、
図1に示す演算部20は、画面23を、
図6に示すパラメータ表示画面23eに切り替える。
図6に示すように、演算部20は、「着座リトライカウンタ」を、太枠Cで囲んで、強調して表示する。続いて、作業者は、パラメータ値表示欄50の一行目に、パラメータ番号「CNT25」の新たなパラメータ値(例えば3)を入力する。それから、
図1に示す演算部20は、記憶部21のプログラム中、パラメータ番号「CNT25」のパラメータ値を、2(旧値)から3(新値)に、書き換える。また、演算部20は、パラメータ値の更新の有無を、パラメータ値更新欄51に表示する。最後に、作業者は、閉じるボタン52にタッチする。
図1に示す演算部20は、パラメータ値更新方法を終了する。
【0035】
<パラメータ更新方法〜その2>
次に、本実施形態のコントローラを用いた、もう一つのパラメータ値更新方法について説明する。
図7に、キーワード入力画面の模式図(その2)を示す。
図8に、検索結果表示画面の模式図(その2)を示す。
図9に、パラメータ表示画面の模式図(その2)を示す。以下に示す更新方法においては、作業者がパラメータ番号「SVP012」の設定値(パラメータ値)を更新したい場合であって、かつ作業者が「300」という数字を覚えている場合を仮定している(
図9参照)。また、以下に示す更新方法においては、上記<パラメータ更新方法〜その1>と異なる部分についてのみ、説明する。
【0036】
キーワード入力工程においては、作業者は、
図1に示すキーボード24を介して、
図7に示す入力欄41に、自分が覚えている数字である「300」を入力する。検索対象選択工程においては、
図7に示すように、作業者は、複数の検索対象の中から、所望の検索対象(異常データ、パラメータ値)を選択する。キーワード検索工程においては、
図1に示す演算部20は、記憶部21のデータ(ただし、異常データ、パラメータ値に関連付けられているデータ)の中から、「300」を含むデータを検索する。検索結果表示工程においては、
図1に示す演算部20は、
図8に示すように、キーワード表示欄46に、
図7に示す入力欄41の「300」を表示する。また、演算部20は、検索結果表示欄47に、異常データ、パラメータ値中の「300」を含むデータを列挙する。作業者は、列挙されたデータの中から、自分が更新したいパラメータ値に関するデータ、つまり一行目のデータを視認する。
【0037】
パラメータ更新工程においては、作業者は、
図9に示すように、パラメータ値表示欄50の一行目に、パラメータ番号「SVP012」の新たなパラメータ値(例えば250)を入力する。それから、
図1に示す演算部20は、記憶部21のプログラム中、パラメータ番号「SVP012」のパラメータ値を、300(旧値)から250(新値)に、書き換える。
【0038】
<作用効果>
次に、本実施形態のコントローラの作用効果について説明する。
図3、
図7に示すように、キーワード入力画面23bには、入力欄41が表示される。このため、
図5、
図6、
図8、
図9に示すように、作業者は、記憶部21の膨大なデータの中から、簡単に、所望の検索結果に到達することができる。
【0039】
また、
図3、
図7に示すように、キーワード入力画面23bには、検索対象、選択欄42が表示される。このため、作業者は、予め検索対象を絞り込んでから、当該検索対象に対してキーワード検索を行うことができる。したがって、検索作業の効率化を図ることができる。
【0040】
また、
図5、
図8に示すように、検索結果表示画面23dの検索結果表示欄47のデータは、行単位で、選択可能である。作業者が検索結果表示欄47の任意のデータをタッチすると、
図1に示す演算部20は、画面23を、
図5、
図8に示す検索結果表示画面23dから
図6、
図9に示すパラメータ表示画面23eに、切り替える。このため、作業者は、選択した検索結果が所望の検索結果であるか否かを、確認しやすい。
【0041】
また、
図6、
図9に示すように、パラメータ表示画面23eにおいて、キーワードは、太枠Cにより囲まれて、強調表示される。このため、作業者は、選択した検索結果がキーワードに関連する検索結果であるか否かを、確認しやすい。
【0042】
<その他>
以上、本発明のコントローラの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0043】
図2に示す通常運転画面23aの表示内容は特に限定しない。例えば、通常運転画面23aに、ラダー図、運転状況、プログラム、工具情報、マニュアルなどが表示されていてもよい。すなわち、通常運転画面23aには、キーワード検索ボタン40、つまりキーワード入力画面23bに切り替えるためのボタンが表示されていればよい。
【0044】
図3、
図7に示す入力欄41に入力されるキーワードの種類は特に限定しない。文字、数字、図形、記号などであってもよい。例えば、パラメータ名(文字)、パラメータ値(数字)などであってもよい。
【0045】
図5、
図8に示す検索結果表示欄47に表示される検索結果の種類は特に限定しない。文字、数字、図形、記号などであってもよい。例えば、プログラムやラダー図の一部(例えば一行)などであってもよい。
【0046】
図3に示す入力欄41への入力方法は特に限定しない。
図1に示すキーボード24を用いてもよい。また、作業者が、指やタッチペンなどにより、入力欄41にキーワードを書き込んでもよい。
【0047】
図6、
図9に示すキーワードの強調方法は特に限定しない。例えば、キーワードに枠を付けること、他の文字、数字等に対してキーワードを太字で描画すること、他の文字、数字等に対してキーワードを大きく描画すること、他の文字、数字等とキーワードとの色を変えること、他の文字、数字等に対してキーワードを白黒反転表示することなどにより、キーワードを強調してもよい。
【0048】
また、入力欄41に、複数のキーワードを入力してもよい。
図1に示す演算部20は、入力された複数のキーワードに対して、AND検索、OR検索を実行してもよい。また、作業者がキーワードの一部を入力欄41に入力した時点で、演算部20が、入力欄41に、予測されるキーワード候補を表示してもよい。例えば、作業者が「着座」と入力欄41に入力した時点で、演算部20が、入力欄41に、「着座リトライカウンタ」を表示してもよい。
【0049】
検索対象の種類は特に限定しない。工作機械の種類や作業者のニーズなどに応じて、検索対象の種類は適宜決定すればよい。コントローラ2の種類は特に限定しない。例えば、PLC(Programmable Logic Controller)などであってもよい。