特許第6329595号(P6329595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6329595表面プラズモン共鳴センサチップ及びその製造方法、応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6329595
(24)【登録日】2018年4月27日
(45)【発行日】2018年5月23日
(54)【発明の名称】表面プラズモン共鳴センサチップ及びその製造方法、応用
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/41 20060101AFI20180514BHJP
   C03C 17/38 20060101ALI20180514BHJP
【FI】
   G01N21/41 101
   C03C17/38
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-144666(P2016-144666)
(22)【出願日】2016年7月22日
(62)【分割の表示】特願2015-540995(P2015-540995)の分割
【原出願日】2013年8月23日
(65)【公開番号】特開2016-197122(P2016-197122A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年8月23日
(31)【優先権主張番号】201210453443.7
(32)【優先日】2012年11月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513065550
【氏名又は名称】中国科学院理化技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】汪 鵬 飛
(72)【発明者】
【氏名】藍 敏 煥
(72)【発明者】
【氏名】張 洪 艷
【審査官】 立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−075448(JP,A)
【文献】 特開2004−251807(JP,A)
【文献】 特開2005−180921(JP,A)
【文献】 特表2004−531703(JP,A)
【文献】 特表2006−511791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面プラズモン共鳴センサチップであって、ガラス基板層、金膜層、及びプローブ分子層を含み、ガラス基板層に金膜層が設置され、金膜層にプローブ分子層が設置され、前記プローブ分子層は、構造が以下構造であるプローブ分子の層であることを特徴とする表面プラズモン共鳴センサチップ。
【化1】
式中、Arはベンゼン、ナフタレン、アントラセン、またはピレン
、Y、WはそれぞれS、O、N−R又はSi−Rであり、
、Z、R、R、R、R、R、Rそれぞれ水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド、酸無水物、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアン基、第四級アンモニウム塩、スルホン酸塩、リン酸塩又はポリエチレングリコール基であり、且つアルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド、酸無水物、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、エステル基、エーテル基の炭素数が1〜18であり、
m、n、oは0〜10000であり且つそれぞれの式におけるm、n、oの和が0であることではない。
【請求項2】
前記金膜層の厚さは10〜60nmであり、前記プローブ分子層の厚さは1〜100nmであり、金膜層におけるプローブ分子層の被覆率は5%〜100%であることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサチップ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法であって、
1)ガラス基板の表面に金をめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られたガラス基板を濃度が0.01〜1000mg/mLのプローブ分子溶液に完全に浸漬させ、5分〜24時間放置するステップと、
3)ガラス基板を取り出し、ガラス基板を水で繰り返して洗浄し、表面プラズモン共鳴センサチップを得るステップとを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法。
【請求項4】
前記金膜の厚さは10〜60nmであることを特徴とする請求項3に記載の表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法。
【請求項5】
前記プローブ分子溶液の溶剤は、生理食塩水、HEPES緩衝液、リン酸塩緩衝液であり、或いはメタノール、エタノール、アセトニトリル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドの有機溶剤のうちの一種又は二種以上の混合溶剤であり、或いは前記有機溶剤のうちの一種又は二種以上の混合溶剤と水とを任意比率で混合する混合物であることを特徴とする請求項3に記載の表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法であって、
(1)ガラス基板の表面に金をめっきするステップと、
(2)ステップ(1)で得られたガラス基板を0.01〜1000mmol/Lの化合物S1溶液に浸漬し、1〜24時間静置し、水で繰り返して洗浄して使用に備え、質量比1:0.1〜100:0.1〜100:1〜1000でプローブ分子、NHS、EDC、溶剤を混合し、混合溶液を得て、前記ガラス基板を混合溶液に浸漬し、5分〜24時間静置し、ガラス基板を取り出し、エタノール、水で繰り返して洗浄するステップと、
ただし、化合物S1の構造は以下のとおりである、
【化2】
式中、Zは単結合、アルキレン基、又はポリエチレングリコール基であり、R16は水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド、酸無水物、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアン基又はポリエチレングリコール基であり、且つアルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド、酸無水物、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、エステル基、エーテル基の炭素数が1〜18である、
(3)ガラス基板を取り出し、ガラス基板を水で繰り返して洗浄し、表面プラズモン共鳴センサチップを得るステップとを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法。
【請求項7】
前記金膜の厚さは10〜60nmであることを特徴とする請求項6に記載の表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法。
【請求項8】
前記化合物S1は、生理食塩水、HEPES緩衝液、リン酸塩緩衝液、或いはメタノール、エタノール、アセトニトリル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドの有機溶剤のうちの一種又は二種以上の混合溶剤、或いは前記有機溶剤のうちの一種又は二種以上の混合溶剤と水とを任意比率で混合する混合物に溶解して、化合物S1溶液を形成し、
前記溶剤は、生理食塩水、HEPES緩衝液、リン酸塩緩衝液であり、或いはメタノール、エタノール、アセトニトリル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドの有機溶剤のうちの一種又は二種以上の混合溶剤であり、或いは前記有機溶剤のうちの一種又は二種以上の混合溶剤と水とを任意比率で混合する混合物であることを特徴とする請求項6に記載の表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法。
【請求項9】
水溶液におけるリポ多糖の検出に用いられる請求項1又は2に記載の表面プラズモン共鳴センサチップ。
【請求項10】
前記リポ多糖の検出は、前記センサチップを角度変調型或いは波長変調型表面プラズモン共鳴センサ装置に取り付け、流通セルに異なる濃度のリポ多糖の水溶液を注入し、表面プラズモン共鳴ピークのシフトを検出することによって行われることを特徴とする請求項9に記載の表面プラズモン共鳴センサチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面プラズモンセンサチップの製造分野に属し、具体的に、リポ多糖に対する検出に利用できる表面プラズモン共鳴センサチップ及びその製造方法、応用に関する。
【背景技術】
【0002】
リポ多糖(lipopolysaccharide、LPSと略称する)は、ポリマーの一種であり、脂質及び多糖を共有結合で結ばれて構成される。リポ多糖はグラム陰性細菌外膜の主な構成成分であり、強力な細菌毒素であり、内毒素と称される。グラム陰性菌、例えば大腸菌及びサルモネラ・エンテリティディスは増殖又は溶菌されると、リポ多糖が放出される。人体内のグラム陰性菌から細胞壁内のリポ多糖が大量放出すると、人体の感染や炎症を引き起こし、さらに、人間の健康の深刻な脅威である主要な疾病−敗血症になり得る。リポ多糖の毒性が高いので、微生物汚染を効果的に制御するとともに細菌内毒素のレベルを制御するために、浄水、注射用水におけるLPSの含有量を検出する必要があり、それにより水質の安全を確保する。従って、研究者は、高選択性を有し且つ水溶液におけるリポ多糖を超高感度にて検出できる方法の発明に力を注いでいる。今まで、ゲル法は、臨床において最も一般的に使用されるリポ多糖検出方法であり、リポ多糖を定性且つ半定量的に高感度にて検出することができるが、この方法は、古生物(カブトガニ)の血液を用いる必要があり、そのため、長期大量使用は一定の制限を受ける。また、この方法は、操作ステップが複雑で、環境の温度及びpHに敏感で、且つ他の複数の糖類物質にも陽性を示す。光化学センサは、高選択性、便利等のメリットを有するが、その感度が蛍光信号に制限され、リポ多糖の実際の検出要求(pM)を満たすことができない。そのため、水溶液におけるリポ多糖の含有量を検出するための高感度、高選択性、低コストを有する検出方法の開発は急務となっている。
【0003】
表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance、SPRと略称する)は、光波の作用で、金属と誘電体の界面に形成された、光波伝送を変更する共鳴波と指す。即ち、特定角度の入射光がガラスプリズム内に入る場合には全反射エバネセント波が生じ、このような波の透過距離が約300nmであり、金属表面の自由電子によって表面プラズモンの生成を引き起こす。表面プラズモンとエバネセント波との周波数が等しい時に、両者は共鳴し、入射光が吸収され、反射光のエネルギーが急激に低下し、このため、反射スペクトルに共鳴ピーク(即ち、反射強度最低値)が出現する。表面物質屈折率及びコンフォメーションの任意の微小変化が入射角度を変え、この変化が検知器に捕獲され、相応なスペクトログラムに転化される。表面プラズモン波は媒体の屈折率及びコンフォメーションの微小変化に対して非常に敏感であるため、被検出サンプルが表面プラズモン共鳴を生じる金属薄膜と接触し且つ相互に作用すると、薄膜の誘電率、屈折率及びコンフォメーションが変化し、そしてこの変化が共鳴条件に影響を与え、共鳴ピークをシフトさせる。SPRセンサの共鳴原理によって、このようなセンサは従来の生物検出手段或いは化学検出手段に比べて、明らかな優位を持ち、例えば、リアルタイム、動的、特に超高感度の検出を実現することができる。近年、SPRセンサは環境衛生、食品安全、疾病診断等の多くの分野に広く応用されている。主に生物分子と他の物質との間の相互作用及び動力学分子等の検出に適用される。しかしながら、リポ多糖の検出に適用できるSPRセンサは出現しておらず、SPR技術で水溶液におけるリポ多糖の含有量、特に注射用水におけるリポ多糖の含有量をリアルタイム、迅速、簡便、定量的に超高感度にて検出する方法も出現していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする第一の技術的課題は表面プラズモン共鳴センサチップを提供することである。
【0005】
本発明が解決しようとする第二の技術的課題は表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法を提供することである。ガラス基板上の金膜表面で生じられた表面プラズモン共鳴スペクトル技術を利用して、水溶液におけるリポ多糖の含有量を迅速、簡便、定量的に超高感度にて検出する。
【0006】
本発明が解決しようとする第三の技術的課題は表面プラズモン共鳴センサチップの応用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表面プラズモン共鳴センサチップは、ガラス基板層、金膜層、及びプローブ分子層を含み、ガラス基板層に金膜層が設置され、金膜層にプローブ分子層が設置され、前記プローブ分子層は、構造が以下構造のうちの1種または2種以上の構造であるプローブ分子の層である。
【0008】
【化1】
【0009】
式中、Arはチオフェン、ピロール、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、インドール、クマリン、フルオレセイン、カルバゾール、ローダミン、シアン染料、フルオレン、又はキノリンであり、
Arは下記構造のうちの一種であり、
【0010】
【化2】
【0011】
X、Y、WはそれぞれO、S、N−R又はSi−Rであり、
、Z、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15はそれぞれ水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド、酸無水物、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアン基、第四級アンモニウム塩、スルホン酸塩、リン酸塩又はポリエチレングリコール基であり、
m、n、oは0〜10000であり且つ同時に0であることではない。
【0012】
本文において、「炭素数が1〜18のアルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド、酸無水物、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、エステル基、エーテル基」とは、アルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド、酸無水物、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、エステル基、エーテル基の炭素数が1〜18である。
【0013】
前記金膜層の厚さは10〜60nmであり、前記プローブ分子層の厚さは1〜100nmであり、金膜層におけるプローブ分子層の被覆率は5%〜100%である。金膜層におけるプローブ分子の被覆率はAFMによって半定量的に測定することができ、プローブ分子が金膜層に被覆された後、自己組織化して粒状構造を形成し、プローブ分子の表面修飾されたメルカプト基が金膜と接触する。
【0014】
すべてのプローブ分子は、市販され或いは従来の文献により合成されるものである。
【0015】
本発明はさらに表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法を提供し、
1)ガラス基板の表面に金をめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られたガラス基板を濃度が0.01〜1000mg/mLのプローブ分子溶液に完全に浸漬させ、5分〜24時間放置するステップと、
3)ガラス基板を取り出し、ガラス基板を水で繰り返して洗浄し、表面プラズモン共鳴センサチップを得るステップとを含み、
前記プローブ分子溶液は以下構造のうちの1種又は2種以上を有する物質の溶液であり、
【0016】
【化3】
【0017】
式中、Arはチオフェン、ピロール、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、インドール、クマリン、フルオレセイン、カルバゾール、ローダミン、シアン染料、フルオレン又はキノリンであり、
Arは下記構造のうちの一種であり、
【0018】
【化4】
【0019】
X、Y、WはそれぞれO、S、N−R又はSi−Rであり、
、Z、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15はそれぞれ水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド、酸無水物、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアン基、第四級アンモニウム塩、スルホン酸塩、リン酸塩又はポリエチレングリコール基であり、且つアルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド、酸無水物、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、エステル基、エーテル基の炭素数が1〜18であり、
m、n、oは0〜10000であり且つ同時に0であることではない。
前記金膜の厚さは10〜60nmである。金膜におけるプローブ分子の被覆率は5%〜100%である。
【0020】
ステップ3)において、選択可能な水は、二次蒸留水、三次蒸留水、四次蒸留水、超純水等を含む。
【0021】
水で1回または数回洗浄した後、高速液体クロマトグラフィーで洗浄液を分析し、プローブ分子の信号を検出できなくなったら、きれいに洗浄したとみなされる。洗浄の目的は、物理吸収方式で金膜の表面に吸着されたプローブ分子を除去することである。
【0022】
プローブ分子の濃度、浸漬時間は、最終的に金膜におけるプローブ分子の被覆率に影響を与え、さらにチップの感度に影響を与える。
【0023】
最終的に製造されたセンサチップを二次蒸留水に保存して使用に備える。
【0024】
上記反応は室温で行えればよい。
【0025】
ステップ1)において、金膜めっきは真空蒸着又はマグネトロンスパッタリング技術を採用する。金をめっきする実験装置に、真空度が1×10−4Paであり、膜厚計の周波数変化(10〜60Hz)及び蒸発速率を0.1Å/sに調整することによって、10〜60nm金膜の厚さを精確に制御することができる。
【0026】
さらに、プローブ分子溶液の溶剤は生理食塩水、HEPES緩衝液、リン酸塩緩衝液であり、或いはメタノール、エタノール、アセトニトリル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の有機溶剤のうちの一種又は二種以上の混合溶剤であり、或いは前記有機溶剤のうちの一種又は二種以上の混合溶剤と水とを任意比率で混合する混合物である。
【0027】
本発明はさらに表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法を提供し、
(1)ガラス基板の表面に金をめっきするステップと、
(2)ステップ(1)で得られたガラス基板を0.01〜1000mmol/Lの化合物S1溶液に浸漬し、1〜24時間静置し、水で繰り返して洗浄して使用に備え、質量比1:0.1〜100:0.1〜100:1〜1000でプローブ分子、NHS、EDC、溶剤を混合し、混合溶液を得て、前記ガラス基板を混合溶液に浸漬し、5分〜24時間静置し、ガラス基板を取り出し、エタノール、水で繰り返して洗浄するステップと、
ただし、化合物S1の構造は以下のとおりである、
【0028】
【化5】
【0029】
式中、Z、R16はそれぞれ水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド、酸無水物、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアン基又はポリエチレングリコール基であり、且つアルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド、酸無水物、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、エステル基、エーテル基の炭素数が1〜18である、
(3)ガラス基板を取り出し、ガラス基板を水で繰り返して洗浄し、表面プラズモン共鳴センサチップを得るステップとを含む。
【0030】
プローブ分子の構造に対する限定は上記段落における限定と同じである。NHSはN−ヒドロキシスクシンイミドであり、EDCは1−エチル−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。
【0031】
前記金膜の厚さは10〜60nmである。金膜におけるプローブ分子の被覆率は5%〜100%である。
【0032】
ステップ(2)において、選択可能な水は、二次蒸留水、三次蒸留水、四次蒸留水、超純水等を含む。高速液体クロマトグラフィーで洗浄液を検出し、S1の信号を検出できなくなると、きれいに洗浄したとみなされる。きれいに洗浄しないと金膜におけるプローブ分子の被覆率に影響を与える。まず、浸漬されたガラス基板をエタノールで洗浄し、次に、水で洗浄する。S1化合物は、市販され或いは従来の文献により合成されるものである。
【0033】
プローブ分子と他の物質の配合割合、浸漬時間等の変化は、最終的に金膜におけるプローブ分子の被覆率に影響を与え、さらにチップの感度に影響を与える。
【0034】
上記反応は室温で行えればよい。
【0035】
ステップ1)において、金膜めっきは真空蒸着又はマグネトロンスパッタリング技術を採用する。金をめっきする実験装置に、真空度が1×10−4Paであり、膜厚計の周波数変化(10〜60Hz)及び蒸発速率を0.1Å/sに調整することによって、10〜60nm金膜の厚さを精確に制御することができる。
【0036】
さらに、前記化合物S1は、生理食塩水、HEPES緩衝液、リン酸塩緩衝液、或いはメタノール、エタノール、アセトニトリル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の有機溶剤のうちの一種又は二種以上の混合溶剤、或いは前記有機溶剤のうちの一種又は二種以上の混合溶剤と水とを任意比率で混合する混合物に溶解して、化合物S1溶液を形成する。
【0037】
さらに、前記溶剤は、生理食塩水、HEPES緩衝液、リン酸塩緩衝液であり、或いはメタノール、エタノール、アセトニトリル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の有機溶剤のうちの一種又は二種以上の混合溶剤であり、或いは前記有機溶剤のうちの一種又は二種以上の混合溶剤と水とを任意比率で混合する混合物である。
【0038】
本発明はさらに表面プラズモン共鳴センサチップの応用を提供し、水溶液におけるリポ多糖の検出に用いることができる。
【0039】
さらに、前記応用は、該センサチップを角度変調型或いは波長変調型表面プラズモン共鳴センサ装置に取り付け、流通セルに異なる濃度のリポ多糖の水溶液を注入し、表面プラズモン共鳴ピークのシフトを検出することによってリポ多糖を検出する。
【0040】
さらに、前記表面プラズモン共鳴ピークのシフト量と注入したリポ多糖の濃度とは相応な範囲で線形関係を有し、定量的にリポ多糖を検出することに用いることができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明は以下の利点を有する。
【0042】
1)本発明は初めて表面プラズモン共鳴センサ技術で水溶液におけるLPSを検出することを提案し、従来の検出方法に比べて、感度が高く、選択性に優れ、水溶液において検出するリポ多糖の濃度の線形範囲が10−14〜10−10Mであり、
2)本発明で用いられた、金膜の表面に修飾されたプローブ分子は、構造が明確であり、分子が合成しやすく、構造が制御可能なものであり、
3)本発明はSPRチップ製造過程の操作ステップが簡単であり、コストが低く、製造されたチップの再現性が良く、産業化生産の大量製造の需要を満たし、実際の普及及び応用が非常に容易である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明に係るセンサチップの構造模式図である。
図2】本発明のマグネトロンスパッタリング技術でガラス基板にめっきした金膜の原子間力顕微鏡(AFM)結像図である。
図3】本発明に係るセンサチップによる波長型表面プラズモン共鳴センサ装置において水溶液におけるリポ多糖への選択的テストである。
図4】本発明に係るセンサチップによる波長型表面プラズモン共鳴センサ装置において水溶液におけるリポ多糖への濃度滴定図であり、縦座標は共鳴波長が12nmブルーシフトした箇所の相対光強度値であり、横座標がリポ多糖の濃度である。
図5】実施例6のセンサチップとリポ多糖の濃度の変化図である。
図6】実施例15のセンサチップとリポ多糖の濃度の変化図である。
図7-1】実施例に関する数種のプローブ分子と化合物S1の分子構造図である。
図7-2】実施例に関する数種のプローブ分子と化合物S1の分子構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、実施例と図面を参照して本発明をさらに説明する。
【0045】
実施例1
表面プラズモン共鳴センサチップは、ガラス基板層、金膜層、及びプローブ分子層を含み、ガラス基板層に金膜層が設置され、金膜層にプローブ分子層が設置され、前記金膜層の厚さは10〜60nmであり、前記プローブ分子層の厚さは1〜100nmであり、前記プローブ分子層は、構造が以下構造のうちの1種又は2種以上の構造であるプローブ分子の層である。
【0046】
【化6】
【0047】
式中、Arはチオフェン、ピロール、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、インドール、クマリン、フルオレセイン、カルバゾール、ローダミン、シアン染料、フルオレン又はキノリンであり、
Arは下記構造のうちの一種であり、
【0048】
【化7】
【0049】
X、Y、WはそれぞれO、S、N−R又はSi−Rであり、
、Z、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15はそれぞれ水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド、酸無水物、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアン基、第四級アンモニウム塩、スルホン酸塩、リン酸塩又はポリエチレングリコール基であり、且つアルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド、酸無水物、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、エステル基、エーテル基の炭素数が1〜18であり、
m、n、oは0〜10000であり、且つ同時に0であることではない。
【0050】
構造は図1に示す。
【0051】
実施例2
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)真空蒸着技術によって、厚さが50nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が0.01mg/mLのプローブ分子(PT1)溶液に完全に浸漬し、溶剤がN,N−ジメチルホルムアミドであり、室温で1時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0052】
図2は、ガラス基板にめっきした金膜の原子間力顕微鏡(AFM)結像図である。(a)金膜表面、5μm範囲、(b)金膜表面、1μm範囲。図2(C)における白色粒子はプローブ分子であり、その被覆率は約20%である。
【0053】
実施例2で得られた表面プラズモン共鳴センサチップを角度変調型或いは波長変調型表面プラズモン共鳴センサ装置に取り付け、流通セルに異なる濃度のリポ多糖の水溶液を注入し、反射角の変化を引き起こし、検出によってわかるように、角度の変化値と注入したリポ多糖の濃度は線形関係を有し、結果を図3に示す。表面プラズモン共鳴ピークのシフト量と注入したリポ多糖の濃度は10−14〜10−10M範囲で線形関係を有する。
【0054】
このセンサチップを波長型表面プラズモン共鳴センサ装置に取り付け、流通セルに10−10Mのリポ多糖の水溶液を注入し、共鳴波長と相対光強度の大きな変化を引き起こす。同じ濃度の他の干渉物質の水溶液、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシ
ウム、グルコース、ATP、DNA、RNA、LPA(リゾホスファチジン酸)、SDS、LTA(リポテイコ酸)等を注入し、引き起こした共鳴波長及び相対光強度の変化が小さい。結果を図4に示す。分かるように、本発明のセンサチップはリポ多糖に対して選択性を有する。
【0055】
実施例3
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが50nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が10mg/mLのプローブ分子(PT1)溶液に完全に浸漬し、溶剤がアセトニトリルであり、室温で10時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0056】
実施例4
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが50nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が100mg/mLのプローブ分子(PT1)に完全に浸漬し、溶剤が10%のテトラヒドロフランと90%の水であり、室温で20時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0057】
実施例5
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)真空蒸着技術によって、厚さが50nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が1mg/mLのプローブ分子(PT2)溶液に完全に浸漬し、溶剤が10%のアセトニトリルと90%の水であり、室温で3時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0058】
実施例6
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが50nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が0.01mg/mLのプローブ分子(PT3)溶液に完全に浸漬し、溶剤が30%のジメチルスルホキシドと70%の水であり、室温で10時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、三次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0059】
実施例6で得られた表面プラズモン共鳴センサチップを波長変調型表面プラズモン共鳴センサ装置に取り付け、流通セルに異なる濃度のリポ多糖の水溶液を注入し、共鳴波長の変化を引き起こし、検出によってわかるように、共鳴波長の変化値と注入したリポ多糖の濃度は線形関係を有し、結果が図5に示す。表面プラズモン共鳴ピークのシフト量と注入したリポ多糖の濃度は10−10〜10−8M範囲で線形関係を有する。
【0060】
実施例7
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)真空蒸着技術によって、厚さが50nmの金(2)をガラス基板(1)の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が1mg/mLのプローブ分子(PT2)溶液に完全に浸漬し、溶剤がリン酸塩緩衝溶液水であり、室温で13時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、超純水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0061】
実施例8
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが60nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が15mg/mLのプローブ分子(PT4)溶液に完全に浸漬し、溶剤が生理食塩水であり、室温で15時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0062】
実施例9
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)真空蒸着技術によって、厚さが60nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が100mg/mLのプローブ分子(PT4)溶液に完全に浸漬し、溶剤がヘペス緩衝溶液で、即ちHEPESであり、室温で5時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0063】
実施例10
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが60nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が0.01mg/mLのプローブ分子(PT5)溶液に完全に浸漬し、溶剤が50%のメタノールと50%の水であり、室温で18時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0064】
実施例11
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが60nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2a)ステップ1)で得られたガラス基板を0.01mmo1/Lの化合物S1−1溶液に浸漬し、室温で1時間静置し、二次蒸留水で繰り返して洗浄するステップと、
2b)10mgのプローブ分子(PT6)、10mgのNHS、10mgのEDCを50mLリン酸塩緩衝水溶液に溶解するステップと、
2c)2a)で製造されたガラス基板を2b)で調製された混合溶液に浸漬し、室温で4時間静置し、それぞれエタノール、二次蒸留水でていねいに繰り返して洗浄するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0065】
実施例12
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが55nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2a)ステップ1)で得られたガラス基板を1mmol/Lの化合物S1−2溶液に浸漬し、室温で4時間静置し、二次蒸留水で繰り返して洗浄するステップと、
2b)100mgのプローブ分子(PT6)、50mgのNHS、50mgのEDCを100mLの5%アセトニトリル−95%リン酸塩緩衝水溶液に溶解するステップと、
2c)2a)で製造されたガラス基板を2b)で調製された混合溶液に浸漬し、室温で20時間静置し、それぞれエタノール、二次蒸留水で慎重的に繰り返して洗浄するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0066】
実施例13
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)真空蒸着技術によって、厚さが48nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2a)ステップ1)で得られたガラス基板を10mmol/Lの化合物S1−3溶液に浸漬し、室温で10時間静置し、二次蒸留水で繰り返して洗浄するステップと、
2b)50mgのプローブ分子(PT6)、50mgのNHS、50mgのEDCを100mLの5%ジメチルスルホキシド−95%生理食塩水溶液に溶解するステップと、
2c)2a)で製造されたガラス基板を2b)で調製された混合溶液に浸漬し、室温で10時間静置し、それぞれエタノール、二次蒸留水で慎重的に繰り返して洗浄するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0067】
実施例14
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)真空蒸着技術によって、厚さが50nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2a)ステップ1)で得られたガラス基板を1mmol/Lの化合物S1−4溶液に浸漬し、室温で10時間静置し、二次蒸留水で繰り返して洗浄するステップと、
2b)50mgのプローブ分子(PT7)、50mgのNHS、50mgのEDCを90mLの5%ジメチルスルホキシド−95%生理食塩水溶液に溶解するステップと、
2c)2a)で製造されたガラス基板を2b)で調製された混合溶液に浸漬し、室温で3時間静置し、それぞれエタノール、二次蒸留水で慎重的に繰り返して洗浄するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0068】
実施例15
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが50nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2a)ステップ1)で得られたガラス基板を100mmol/Lの化合物S1−5溶液に浸漬し、室温で10時間静置し、二次蒸留水で繰り返して洗浄するステップと、
2b)5mgのプローブ分子(PT7)、10mgのNHS、10mgのEDCを20mLの5%メタノール−95%生理食塩水溶液に溶解するステップと、
2c)2a)で製造されたガラス基板を2b)で調製された混合溶液に浸漬し、室温で3時間静置し、それぞれエタノール、二次蒸留水でていねいに繰り返して洗浄するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0069】
実施例15で得られた表面プラズモン共鳴センサチップを波長変調型表面プラズモン共鳴センサ装置に取り付け、流通セルに異なる濃度のリポ多糖の水溶液を注入し、共鳴波長の変化を引き起こし、検出によってわかるように、共鳴波長の変化値と注入したリポ多糖の濃度は線形関係を有し、結果を図6に示す。表面プラズモン共鳴ピークのシフト量と注入したリポ多糖の濃度は10−14〜10−10Mの範囲で線形関係を有する。
【0070】
実施例16
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが60nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2a)ステップ1)で得られたガラス基板を0.1mmol/Lの化合物S1−6溶液に浸漬し、室温で24時間静置し、二次蒸留水で繰り返して洗浄するステップと、
2b)15mgのプローブ分子(PT7)、20mgのNHS、20mgのEDCを40mLの10%アセトニトリル−80%リン酸塩緩衝溶液に溶解するステップと、
2c)2a)で製造されたガラス基板を2b)で調製された混合溶液に浸漬し、室温で13時間静置し、それぞれエタノール、二次蒸留水でていねいに繰り返して洗浄するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0071】
実施例17
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが50nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が10mg/mLのプローブ分子PE1溶液に完全に浸漬し、溶剤がアセトニトリルであり、室温で10時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0072】
実施例18
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが45nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が20mg/mLのプローブ分子PE2溶液に完全に浸漬し、溶剤がジメチルスルホキシドであり、室温で10時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0073】
実施例19
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが50nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が10mg/mLのプローブ分子PPV1溶液に完全に浸漬し、溶剤がジクロロメタンであり、室温で10時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0074】
実施例20
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが50nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が10mg/mLのプローブ分子PPV2溶液に完全に浸漬し、溶剤がテトラヒドロフランであり、室温で1時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0075】
実施例21
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが45nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が10mg/mLのプローブ分子PF溶液に完全に浸漬し、溶剤が水であり、室温で3時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0076】
実施例22
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが50nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が10mg/mLのプローブ分子PF2溶液に完全に浸漬し、溶剤が水であり、室温で5時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0077】
実施例23
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが48nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が10mg/mLのプローブ分子PPP1溶液に完全に浸漬し、溶剤がジクロロメタンであり、室温で10時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0078】
実施例24
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、具体的に、
1)マグネトロンスパッタリング技術によって、厚さが52nmの金をガラス基板の表面にめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られた金膜がめっきされたガラス基板を濃度が10mg/mLのプローブ分子PPP2溶液に完全に浸漬し、溶剤が水であり、室温で10時間放置するステップと、
3)完全に浸漬させた後、ガラス基板を取り出し、二次蒸留水でガラス基板を繰り返して洗浄し、チップを得て、二次蒸留水に保存して使用に備えるステップとを含む。
【0079】
実施例25
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、
1)金膜の厚さが10nmとなるように、ガラス基板の表面に金をめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られたガラス基板を濃度が0.01mg/mLのプローブ分子溶液に完全に浸漬し、5分放置するステップと、
3)ガラス基板を取り出し、ガラス基板を水で繰り返して洗浄し、表面プラズモン共鳴センサチップを得るステップとを含む。
【0080】
前記プローブ分子溶液の溶剤がN,N−ジメチルホルムアミドである。
【0081】
前記プローブ分子がΡΡΡ2である。
【0082】
実施例26
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、
1)金膜の厚さが60nmとなるように、ガラス基板の表面に金をめっきするステップと、
2)ステップ1)で得られたガラス基板を濃度が1000mg/mLのプローブ分子溶液に完全に浸漬し、24時間放置するステップと、
3)ガラス基板を取り出し、ガラス基板を水で繰り返して洗浄し、表面プラズモン共鳴センサチップを得るステップとを含む。
【0083】
前記プローブ分子溶液の溶剤がN,N−ジメチルアセトアミドである。
【0084】
前記プローブ分子がPF2である。
【0085】
実施例27
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、
(1)金膜の厚さが10nmとなるように、ガラス基板の表面に金をめっきするステップと、
(2)ステップ(1)で得られたガラス基板を0.01mmol/Lの化合物S1溶液中に浸漬し、1時間静置し、水で繰り返して洗浄して使用に備え、プローブ分子、NHS、EDC、溶剤を質量比1:0.1:0.1:1で混合し、混合溶液を得て、前記ガラス基板を混合溶液に浸漬し、5分静置し、ガラス基板を取り出し、エタノール、水で繰り返して洗浄するステップと、
ただし、化合物S1の構造は以下のとおりである、
【0086】
【化8】
【0087】
式中、Z、R16は水素原子である、
(3)ガラス基板を取り出し、ガラス基板を水で繰り返して洗浄し、表面プラズモン共鳴センサチップを得るステップとを含む。
【0088】
前記化合物S1溶液の溶剤が生理食塩水である。
【0089】
前記溶剤がHEPES緩衝液である。
【0090】
実施例28
表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法は、
(1)金膜の厚さが60nmとなるように、ガラス基板の表面に金をめっきするステップと、
(2)ステップ(1)で得られたガラス基板を1000mmol/Lの化合物S1溶液に浸漬し、24時間静置し、水で繰り返して洗浄して使用に備え、プローブ分子、NHS、EDC、溶剤を質量比1:100:100:1000で混合し、混合溶液を得て、前記ガラス基板を混合溶液に浸漬し、24時間静置し、ガラス基板を取り出し、エタノール、水で繰り返して洗浄するステップと、
ただし、化合物S1の構造は以下のとおりである、
【0091】
【化9】
【0092】
式中、Zはシアン基であり、R16はポリエチレングリコール基である、
(3)ガラス基板を取り出し、ガラス基板を水で繰り返して洗浄し、表面プラズモン共鳴センサチップを得るステップとを含む。
【0093】
前記化合物S1溶液の溶剤がジメチルスルホキシドである。
【0094】
前記溶剤がN,N−ジメチルアセトアミドである。
【0095】
実施例29
プローブ分子溶液濃度、浸漬時間等の金膜におけるプローブ分子の被覆率への影響を測定し、プローブ分子ΡΤ2を例として、結果を下記の表に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
上記表1からわかるように、浸漬時間の増加につれて、金膜におけるプローブ分子の被覆率も増加し、プローブ分子濃度の増加につれて、金膜におけるプローブ分子の被覆率も増加する。
【0098】
本発明の上記実施例は単に本発明を詳細に説明するために挙げられる例であり、本発明の実施形態を限定するものではないことが明らかである。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、上記の説明に基づいて様々な変化又は変更を加えることができる。ここで、すべての実施形態に対して例を徹底的に挙げることができない。本発明の技術案から容易になし得る変化又は変更はすべて本発明の保護範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】