(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ダイシングシート上に貼着された1枚のウエハをダイシングして形成したダイを供給するダイ供給装置を部品実装機にセットし、該ダイ供給装置から供給されるダイを該部品実装機の実装ヘッドで吸着して回路基板に実装するダイ実装システムにおいて、
前記ダイ供給装置は、前記ダイシングシート上のダイを吸着して上下反転させる供給ヘッドと、前記供給ヘッドを移動させる供給ヘッド移動機構とを備え、
前記供給ヘッド移動機構により前記供給ヘッドを吸着対象となるダイの上方へ移動させて該供給ヘッドで該ダイを吸着して該供給ヘッドを上下反転させると共に、該供給ヘッド移動機構により該供給ヘッドをダイ受け渡し位置へ移動させて、該ダイ受け渡し位置で該供給ヘッド上のダイを前記部品実装機の実装ヘッドで吸着して回路基板に実装する動作を制御する制御システムを備え、
前記制御システムは、前記ダイ受け渡し位置で前記ダイ供給装置の供給ヘッド上のダイを前記部品実装機の実装ヘッドで吸着するダイ受け渡し動作が完了する毎に、前記部品実装機の実装ヘッドの次の実装位置と、前記ダイ供給装置の供給ヘッドが次のダイを吸着して上下反転する次の上下反転位置とを取得し、該取得した前記次の実装位置と前記次の上下反転位置とに基づいて、前記ダイ受け渡し動作の完了後に前記ダイ供給装置の供給ヘッドが元の状態に反転して吸着対象となるダイの上方へ移動して該ダイを吸着して再び上下反転して次のダイ受け渡し位置へ移動するダイ受け渡し準備動作に要する時間と、前記ダイ受け渡し動作の完了後に前記部品実装機の実装ヘッドが回路基板のダイ実装位置の上方へ移動して該ダイを回路基板に実装して前記次のダイ受け渡し位置へ移動するダイ実装動作に要する時間のうちの長い方の時間を短縮して両者の時間差を小さくしてサイクルタイムを短縮するように前記次のダイ受け渡し位置を設定することを特徴とするダイ実装システム。
前記制御システムは、前記ダイ供給装置のダイ受け渡し準備動作に要する時間の代用情報として前記供給ヘッドの移動時間を用い、前記部品実装機のダイ実装動作に要する時間の代用情報として前記実装ヘッドの移動時間を用いることを特徴とする請求項1に記載のダイ実装システム。
前記制御システムは、前記次のダイ受け渡し位置の候補となる複数の仮のダイ受け渡し位置を用意して、各々の仮のダイ受け渡し位置で前記ダイ供給装置のダイ受け渡し準備動作に要する時間又はそれに相関する情報と前記部品実装機のダイ実装動作に要する時間又はそれに相関する情報を算出してサイクルタイムが最短となる仮のダイ受け渡し位置を前記次のダイ受け渡し位置として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のダイ実装システム。
ダイシングシート上に貼着された1枚のウエハをダイシングして形成したダイを供給するダイ供給装置を部品実装機にセットし、該ダイ供給装置から供給されるダイを該部品実装機の実装ヘッドで吸着して回路基板に実装するダイ実装方法において、
前記ダイ供給装置は、前記ダイシングシート上のダイを吸着して上下反転させる供給ヘッドと、前記供給ヘッドを移動させる供給ヘッド移動機構とを備え、
前記供給ヘッド移動機構により前記供給ヘッドを吸着対象となるダイの上方へ移動させて該供給ヘッドで該ダイを吸着して該供給ヘッドを上下反転させると共に、該供給ヘッド移動機構により該供給ヘッドをダイ受け渡し位置へ移動させて、該ダイ受け渡し位置で該供給ヘッド上のダイを前記部品実装機の実装ヘッドで吸着して回路基板に実装するダイ実装方法であって、
前記ダイ受け渡し位置で前記ダイ供給装置の供給ヘッド上のダイを前記部品実装機の実装ヘッドで吸着するダイ受け渡し動作が完了する毎に、前記部品実装機の実装ヘッドの次の実装位置と、前記ダイ供給装置の供給ヘッドが次のダイを吸着して上下反転する次の上下反転位置とを取得し、該取得した前記次の実装位置と前記次の上下反転位置とに基づいて、前記ダイ受け渡し動作の完了後に前記ダイ供給装置の供給ヘッドが元の状態に反転して吸着対象となるダイの上方へ移動して該ダイを吸着して再び上下反転して次のダイ受け渡し位置へ移動するダイ受け渡し準備動作に要する時間と、前記ダイ受け渡し動作の完了後に前記部品実装機の実装ヘッドが回路基板のダイ実装位置の上方へ移動して該ダイを回路基板に実装して前記次のダイ受け渡し位置へ移動するダイ実装動作に要する時間のうちの長い方の時間を短縮して両者の時間差を小さくしてサイクルタイムを短縮するように前記次のダイ受け渡し位置を設定することを特徴とするダイ実装方法。
前記ダイ供給装置のダイ受け渡し準備動作に要する時間の代用情報として前記供給ヘッドの移動時間を用い、前記部品実装機のダイ実装動作に要する時間の代用情報として前記実装ヘッドの移動時間を用いることを特徴とする請求項4に記載のダイ実装方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ダイ供給装置の供給ヘッド上のダイを部品実装機の実装ヘッドで吸着するダイ受け渡し動作の完了後に、ダイ供給装置の供給ヘッドが元の状態に反転して吸着対象となるダイの上方へ移動して該ダイを吸着して再び上下反転して次のダイ受け渡し位置へ移動するダイ受け渡し準備動作に要する時間と、ダイ受け渡し動作の完了後に部品実装機の実装ヘッドが回路基板のダイ実装位置の上方へ移動して該ダイを回路基板に実装して次のダイ受け渡し位置へ移動するダイ実装動作に要する時間とを比較すると、両者は同じ時間にならず、次のダイ受け渡し位置に先に到着した一方のヘッドが他方のヘッドの到着を待つ待ち時間が発生する。また、ダイ供給装置のダイ受け渡し準備動作に要する時間と部品実装機のダイ実装動作に要する時間のうちの長い方の時間(=短い方の時間+待ち時間)とダイ受け渡し動作の時間(ダイ受け渡し動作の時間は一定の時間と見なせる)との合計時間によってサイクルタイムが決まるため、サイクルタイムを短縮して生産性を高めるには、長い方の時間や待ち時間を短縮する必要がある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、サイクルタイムを短縮して生産性を高めることができるダイ実装システム及びダイ実装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、ダイシングシート上に貼着された1枚のウエハをダイシングして形成したダイを供給するダイ供給装置を部品実装機にセットし、該ダイ供給装置から供給されるダイを該部品実装機の実装ヘッドで吸着して回路基板に実装するダイ実装システムにおいて、前記ダイ供給装置は、前記ダイシングシート上のダイを吸着して上下反転させる供給ヘッドと、前記供給ヘッドを移動させる供給ヘッド移動機構とを備え、前記供給ヘッド移動機構により前記供給ヘッドを吸着対象となるダイの上方へ移動させて該供給ヘッドで該ダイを吸着して該供給ヘッドを上下反転させると共に、該供給ヘッド移動機構により該供給ヘッドをダイ受け渡し位置へ移動させて、該
ダイ受
け渡し位置で該供給ヘッド上のダイを前記部品実装機の実装ヘッドで吸着して回路基板に実装する動作を制御する制御システムを備え、前記制御システムは、前記ダイ受け渡し位置で前記ダイ供給装置の供給ヘッド上のダイを前記部品実装機の実装ヘッドで吸着するダイ受け渡し動作
が完了する毎に、前記部品実装機の実装ヘッドの次の実装位置と、前記ダイ供給装置の供給ヘッドが次のダイを吸着して上下反転する次の上下反転位置とを取得し、該取得した前記次の実装位置と前記次の上下反転位置とに基づいて、前記ダイ受け渡し動作の完了後に前記ダイ供給装置の供給ヘッドが元の状態に反転して吸着対象となるダイの上方へ移動して該ダイを吸着して再び上下反転して次のダイ受け渡し位置へ移動するダイ受け渡し準備動作に要する時間と、前記ダイ受け渡し動作の完了後に前記部品実装機の実装ヘッドが回路基板のダイ実装位置の上方へ移動して該ダイを回路基板に実装して前記次のダイ受け渡し位置へ移動するダイ実装動作に要する時間のうちの長い方の時間を短縮して両者の時間差を小さくしてサイクルタイムを短縮するように前記次のダイ受け渡し位置を設定することを特徴とするものである。
【0008】
この構成では、ダイ供給装置のダイ受け渡し準備動作に要する時間と部品実装機のダイ実装動作に要する時間のうちの長い方の時間を短縮して両者の時間差(これがダイ受け渡し位置での待ち時間に相当する)を小さくしてサイクルタイムを短縮するように次のダイ受け渡し位置を設定するため、サイクルタイムを短縮して生産性を高めることができる。
【0009】
ところで、ダイ供給装置のダイ受け渡し準備動作には、供給ヘッドの移動、ダイ吸着動作、上下反転動作が含まれるが、供給ヘッドのダイ吸着動作や上下反転動作に要する時間は、ダイ受け渡し位置とは関係なく一定の時間と見なせるため、供給ヘッドの移動時間は、ダイ供給装置のダイ受け渡し準備動作に要する時間と相関関係がある。従って、ダイ供給装置のダイ受け渡し準備動作に要する時間の代用情報として供給ヘッドの移動時間を用いても良い。
【0010】
また、部品実装機のダイ実装動作には、実装ヘッドの移動と実装位置での上下動作が含まれるが、実装位置での上下動作に要する時間は、ダイ受け渡し位置とは関係なく一定の時間と見なせるため、実装ヘッドの移動時間は、部品実装機のダイ実装動作に要する時間と相関関係がある。従って、部品実装機のダイ実装動作に要する時間の代用情報として実装ヘッドの移動時間を用いても良い。
【0011】
本発明を実施する場合は、次のダイ受け渡し位置の候補となる複数の仮のダイ受け渡し位置を用意して、各々の仮のダイ受け渡し位置でダイ供給装置のダイ受け渡し準備動作に要する時間又はそれに相関する情報と部品実装機のダイ実装動作に要する時間又はそれに相関する情報を算出してサイクルタイムが最短となる仮のダイ受け渡し位置を次のダイ受け渡し位置として決定するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本発明の一実施例の部品実装機にダイ供給装置をセットした状態を示す平面図である。
【
図2】
図2は部品実装機にダイ供給装置をセットした状態を示す外観斜視図である。
【
図3】
図3は部品実装機にセットしたときのダイ供給装置と部品実装機の実装ヘッドとの位置関係を示す側面図である。
【
図4】
図4はダイ供給装置のステージを上昇させたときの供給ヘッドと部品実装機の実装ヘッドの高さ位置関係を示す側面図である。
【
図5】
図5はダイ供給装置のステージを下降させたときの供給ヘッドと部品実装機の実装ヘッドの高さ位置関係を示す側面図である。
【
図6】
図6はダイ供給装置のステージ上のウエハパレットのダイを供給ヘッドで吸着するときの状態を示す側面図である。
【
図7】
図7は上下反転させた供給ヘッド上のダイを部品実装機の実装ヘッドで吸着するときの状態を示す側面図である。
【
図8】
図8はダイ供給装置のステージ上のウエハパレットのダイを部品実装機の実装ヘッドで直接吸着するときの状態を示す側面図である。
【
図9】
図9はダイ供給装置の供給ヘッドとカメラの位置関係を示す外観斜視図である。
【
図10】
図10はダイ吸着動作時の供給ヘッドの状態を示す外観斜視図である。
【
図11】
図11は上下反転動作時の供給ヘッドの状態を示す外観斜視図である。
【
図12】
図12はダイ供給装置のマガジンからウエハパレットがステージ上に引き出されていない状態を斜め上方から見た外観斜視図である。
【
図13】
図13はダイ供給装置のマガジンからウエハパレットがステージ上に引き出された状態を斜め上方から見た外観斜視図である。
【
図14】
図14は供給ヘッドの上下反転位置(ダイ吸着位置)での供給ヘッドの待ち時間を算出する方法を説明する平面図である。
【
図15】
図15は仮のダイ受け渡し位置での供給ヘッドの待ち時間を算出する方法を説明する平面図である。
【
図16】
図16はダイ受け渡し位置決定プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を図面を用いて説明する。
図1及び
図2に示すように、部品実装機11には、ダイ供給装置12が着脱可能にセットされる。部品実装機11には、ダイ供給装置12のセット位置に隣接してフィーダセット台13が設けられ、このフィーダセット台13上にテープフィーダ等のフィーダ(図示せず)が着脱可能にセットされる。フィーダセット台13上にセットするフィーダは、テープフィーダに限定されず、バルクフィーダ、スティックフィーダ等であっても良く、これらのフィーダの中から複数種のフィーダをフィーダセット台13上にセットしても良い。
【0014】
部品実装機11には、実装ヘッド15をXY方向(左右前後方向)に移動させるXY移動機構16(XYロボット)が設けられている。このXY移動機構16は、Y方向(回路基板17の搬送方向と直角な方向)にスライド移動するYスライド18と、該Yスライド18に、X方向(回路基板17の搬送方向)にスライド可能に支持されたXスライド19とを備え、該Xスライド19に実装ヘッド15が支持されている。
【0015】
部品実装機11の実装ヘッド15には、ダイ供給装置12から供給されるダイ22やフィーダから供給される電子部品(以下「フィーダ部品」という)を吸着する1本又は複数本の吸着ノズル23(
図3乃至
図8参照)と、回路基板17の基準マーク等の撮像対象物を上方から撮像するマークカメラ(図示せず)等が設けられている。尚、実装ヘッド15は、吸着ノズル23の本数の異なる実装ヘッドと交換可能となっている。
【0016】
部品実装機11には、回路基板17を搬送するコンベア25が2台設けられ、コンベア25とダイ供給装置12(又はフィーダ)との間の位置に、実装ヘッド15の吸着ノズル23に吸着したダイ22やフィーダ部品を下方から撮像するパーツカメラ26(
図1、
図4乃至
図8参照)が上向きに設けられている。その他、部品実装機11には、交換用の吸着ノズルを保管するノズルステーション20(
図1参照)が設けられ、実装ヘッド15に保持した吸着ノズル23をノズルステーション20に保管された吸着ノズルと自動的に交換できるようになっている。
【0017】
一方、ダイ供給装置12には、ウエハパレット27を複数段に収容するマガジン28が設けられている。
図12、
図13に示すように、ウエハパレット27は、多数のダイ22に分割するようにダイシングされたウエハが貼着された伸縮可能なダイシングシート29を、円形の開口部を有するダイシングフレーム30にエキスパンドした状態で装着し、該ダイシングフレーム30をパレット本体31にねじ止め等により取り付けた構成となっている。ダイ供給装置12には、パレット出し入れ機構35が設けられ、このパレット出し入れ機構35によりマガジン28からウエハパレット27をステージ32上に引き出したり該ウエハパレット27をマガジン28内へ戻すようにしている。
【0018】
また、ダイ供給装置12には、供給ヘッド33をXY方向(左右前後方向)に移動させる供給ヘッド移動機構34(XYロボット)が設けられている。この供給ヘッド移動機構34は、Y方向にスライド移動するYスライド36と、該Yスライド36に、X方向にスライド可能に支持されたXスライド37とを備え、該Xスライド37に設けたヘッド保持ユニット40に供給ヘッド33が着脱可能に保持され、該供給ヘッド33には複数本の吸着ノズル38(
図9乃至
図11参照)が上下動可能に保持されている。このダイ供給装置12の供給ヘッド33は、ウエハパレット27のダイシングシート29上にダイ22が実装面を上向きにして貼着されている場合に使用され、該供給ヘッド33の吸着ノズル38にダイ22を吸着した後、上下反転機構39(
図9乃至
図11参照)により該供給ヘッド33が上下反転してダイ22を上下反転させて、部品実装機11の実装ヘッド15の吸着ノズル23に吸着させるように構成されている。
【0019】
この場合、上下反転させた供給ヘッド33上のダイ22の高さ位置を部品実装機11の実装ヘッド15の吸着高さ位置に合わせる必要があるため、ダイ供給装置12の供給ヘッド33をウエハパレット27がセットされたステージ32と一体的に上下動させる上下動機構(図示せず)が設けられ、ダイ22を上下反転させて回路基板17に実装する場合は、
図7に示すように、供給ヘッド33及びステージ32を上下動機構により下降させた位置で上下反転させた供給ヘッド33上のダイ22を部品実装機11の実装ヘッド15に吸着させるようにしている。
【0020】
一方、ウエハパレット27のダイシングシート29上にダイ22が実装面を下向きにして貼着されている場合は、ダイ22を上下反転させずに回路基板17に実装する。この場合は、
図8に示すように、供給ヘッド33及びステージ32を上下動機構により上昇させた位置でステージ32上のウエハパレット27のダイ22を部品実装機11の実装ヘッド15の吸着ノズル23に吸着させる。
【0021】
ダイ供給装置12の供給ヘッド33には、供給ヘッド33の吸着ノズル38にダイ22を吸着する前に当該ダイ22を撮像するカメラ41(
図9参照)が設けられ、このカメラ41の撮像画像を処理してダイ22の位置を認識して供給ヘッド33の吸着ノズル38にダイ22を吸着するようになっている。
【0022】
また、ダイ供給装置12には、供給ヘッド33の吸着ノズル38にダイ22を吸着する際に、ダイシングシート29のうちの吸着ノズル38に吸着しようとする部分をその下方から突き上げる突き上げ機構42(
図12参照)が設けられている。突き上げ機構42は、ステージ32の上下動に連動して上下動するようになっている。
【0023】
部品実装機11の稼働中は、制御システム(図示せず)によって、生産ジョブ(生産プログラム)に従って、部品実装機11、ダイ供給装置12及びフィーダの動作を制御して、ダイ供給装置12から供給されるダイ22とフィーダから供給されるフィーダ部品のいずれかを吸着して回路基板17に実装する。
【0024】
この際、ダイ22を上下反転させて回路基板17に実装する場合は、
図5に示すように、ダイ供給装置12の供給ヘッド33とステージ32を下降させると共に、
図6に示すように、供給ヘッド33をウエハパレット27の上方へ移動させ、供給ヘッド33でダイ22を吸着する前に、カメラ41で当該ダイ22を撮像して当該ダイ22の位置を認識した上で、供給ヘッド33の吸着ノズル38にダイ22を吸着する。この後、
図7に示すように、ダイ供給装置12の供給ヘッド33を吸着ノズル38と一体的に上下反転させて、該吸着ノズル38に吸着したダイ22を上下反転させると共に、部品実装機11の実装ヘッド15を供給ヘッド33の上方に移動させて、供給ヘッド33の吸着ノズル38上のダイ22を実装ヘッド15の吸着ノズル23に吸着して回路基板17に実装する。
【0025】
ところで、ダイ供給装置12の供給ヘッド33上のダイ22を部品実装機11の実装ヘッド15で吸着するダイ受け渡し動作の完了後に、ダイ供給装置12の供給ヘッド33が元の状態に反転してウエハパレット27の上方へ移動して、吸着対象となるダイ22をカメラ41で撮像して該ダイ22の位置を認識した後、該ダイ22を吸着して再び上下反転して次のダイ受け渡し位置へ移動するダイ受け渡し準備動作に要する時間Ta と、ダイ受け渡し動作の完了後に部品実装機11の実装ヘッド15が回路基板17のダイ実装位置の上方へ移動して該ダイ22を回路基板17に実装して次のダイ受け渡し位置へ移動するダイ実装動作に要する時間Tb とを比較すると、両者は同じ時間にならず、次のダイ受け渡し位置に先に到着した一方のヘッドが他方のヘッドの到着を待つ待ち時間(Ta −Tb )が発生する。また、ダイ供給装置12のダイ受け渡し準備動作に要する時間Ta と部品実装機11のダイ実装動作に要する時間Tb のうちの長い方の時間(=短い方の時間+待ち時間)とダイ受け渡し動作の時間(ダイ受け渡し動作の時間は一定の時間と見なせる)との合計時間によってサイクルタイムが決まるため、サイクルタイムを短縮して生産性を高めるには、長い方の時間や待ち時間を短縮する必要がある。
【0026】
そこで、本実施例では、制御システム(ダイ供給装置12の制御装置及び/又は部品実装機11の制御装置)は、ダイ受け渡し動作が完了する毎に、後述する
図16のダイ受け渡し位置決定プログラムを実行することで、ダイ供給装置12のダイ受け渡し準備動作に要する時間Ta と部品実装機11のダイ実装動作に要する時間Tb のうちの長い方の時間を短縮して両者の時間差(これがダイ受け渡し位置での待ち時間に相当する)を小さくしてサイクルタイムを短縮するように次のダイ受け渡し位置を決定する。
【0027】
ここで、本実施例のダイ受け渡し位置の決定方法を
図14及び
図15を用いて説明する。
図14、
図15において、(Xa ,Ya )は、部品実装機11の実装ヘッド15の前の実装位置、(Xb ,Yb )は、部品実装機11の実装ヘッド15の次の実装位置、(Xc ,Yc )は、ダイ供給装置12の供給ヘッド33の上下反転位置、(Xd ,Yd )は、仮のダイ受け渡し位置である。下記の[1]〜[6]の手順で次のダイ受け渡し位置が決定される。尚、本実施例のように、ダイ供給装置12の供給ヘッド33に複数の吸着ノズル38を設けて、1つの供給ヘッド33に複数のダイ22を吸着する場合は、実装ヘッド15の前の実装位置(Xa ,Ya )は、最後にダイ22を実装する実装位置であり、実装ヘッド15の次の実装位置(Xb ,Yb )は、最初にダイ22を実装する実装位置である。
【0028】
[1]供給ヘッド33の上下反転位置での待ち時間Tn は、次式で算出される。
Tn =Ta −(Tb +A_C/Va ) ……(式1)
ここで、Ta はダイ供給装置12のダイ受け渡し準備動作に要する時間、Tb は部品実装機11のダイ実装動作に要する時間、A_Cは、実装ヘッド15の前の実装位置(Xa ,Ya )と供給ヘッド33の上下反転位置(Xc ,Yc )との間の距離、Va はダイ吸着前の実装ヘッド15の平均移動速度である。
【0029】
[2]供給ヘッド33の上下反転位置から次の実装位置への実装ヘッド15の移動時間Tm は次式で算出される。
Tm =C_B/Vb ……(式2)
ここで、C_Bは、供給ヘッド33の上下反転位置(Xc ,Yc )と次の実装位置(Xb ,Yb )との間の距離、Vb はダイ吸着後の実装ヘッド15の平均移動速度である。
【0030】
[3]仮のダイ受け渡し位置での待ち時間Tp は、次式で算出される。
Tp =(Ta +C_D/Vc )−(Tb +A_D/Va ) ……(式3)
ここで、C_Dは、供給ヘッド33の上下反転位置(Xc ,Yc )と仮のダイ受け渡し位置(Xd ,Yd )との間の距離、Vc はダイ吸着後の供給ヘッド33の平均移動速度である。A_Dは、実装ヘッド15の前の実装位置(Xa ,Ya )と仮のダイ受け渡し位置(Xd ,Yd )との間の距離、Va はダイ吸着前の実装ヘッド15の平均移動速度である。
【0031】
[4]仮のダイ受け渡し位置から次の実装位置への実装ヘッド15の移動時間Tq は次式で算出される。
Tq =D_B/Vb ……(式4)
ここで、D_Bは、仮のダイ受け渡し位置(Xd ,Yd )と次の実装位置(Xb ,Yb )との間の距離、Vb はダイ吸着後の実装ヘッド15の平均移動速度である。
【0032】
尚、供給ヘッド33の移動速度と実装ヘッド15の移動速度は、同じとは限らない。一般には、供給ヘッド33より実装ヘッド15の方が移動速度が速い場合が多い。また、ダイ吸着後の実装ヘッド15の平均移動速度Vb は、吸着したダイ22の脱落を防ぐために供給ヘッド33の平均移動速度よりも遅い場合がある。
【0033】
[5]仮のダイ受け渡し位置でダイ受け渡し動作を行った場合の改善時間量Tz を次式により算出する。
Tn >Tp の場合は、供給ヘッド33の待ち時間が減少して、実装ヘッド15の次の実装位置への移動量が増加するため、改善時間量Tz は次式で算出される。
Tz =(Tq −Tb )−(Tn −Tq ) ……(式5.1)
ここで、(Tq −Tb )は移動時間の増加量に相当し、(Tn −Tq )は待ち時間の減少量に相当する。
【0034】
Tn <Tp の場合は、供給ヘッド33の待ち時間が増加して、実装ヘッド15の次の実装位置への移動量が減少するため、改善時間量Tz は次式で算出される。
Tz =(Tp −Tn )−(Tq −Tb ) ……(式5.2)
ここで、(Tp −Tn )は待ち時間の増加量に相当し、(Tq −Tb )は移動時間の減少量に相当する。
【0035】
[6]次のダイ受け渡し位置の候補となる複数の仮のダイ受け渡し位置を用意して、各々の仮のダイ受け渡し位置で改善時間量Tz を算出して、改善時間量Tz が最大となる仮のダイ受け渡し位置を次のダイ受け渡し位置として決定する。尚、仮のダイ受け渡し位置の設定方法は、供給ヘッド33の移動量と実装ヘッド15の移動量を少なくするために、仮のダイ受け渡し位置は、供給ヘッド33の上下反転位置(Xc ,Yc )と次の実装位置(Xb ,Yb )との間を結ぶ直線上の位置又はその直線に近い位置に設定すると良い。
【0036】
以上説明した本実施例のダイ受け渡し位置の決定は、制御システム(ダイ供給装置12の制御装置及び/又は部品実装機11の制御装置)によって
図16のダイ受け渡し位置決定プログラムに従って実行される。
図16のダイ受け渡し位置決定プログラムは、ダイ受け渡し動作が完了する毎に実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、上記(式1)を用いて、供給ヘッド33の上下反転位置での待ち時間Tn を算出する。この後、ステップ102に進み、上記(式2)を用いて、供給ヘッド33の上下反転位置から次の実装位置への実装ヘッド15の移動時間Tm を算出する。
【0037】
この後、ステップ103に進み、上記(式3)を用いて、仮のダイ受け渡し位置での待ち時間Tp を算出する。この後、ステップ104に進み、上記(式4)を用いて、仮のダイ受け渡し位置から次の実装位置への実装ヘッド15の移動時間Tq を算出する。この後、ステップ105に進み、上記(式5.1)又は(式5.2)を用いて、改善時間量Tz を算出する。
【0038】
この後、ステップ106に進み、用意された全ての仮のダイ受け渡し位置について改善時間量Tz を算出したか否かを判定し、まだ改善時間量Tz を算出していない仮のダイ受け渡し位置が残っていれば、上記ステップ103〜105の処理を実行して、当該仮のダイ受け渡し位置での改善時間量Tz を算出する。
【0039】
そして、全ての仮のダイ受け渡し位置について、各々の仮のダイ受け渡し位置での改善時間量Tz を算出し終えた段階で、ステップ107に進み、各々の仮のダイ受け渡し位置での改善時間量Tz を比較して、改善時間量Tz が最大となる仮のダイ受け渡し位置を選択し、これを次のダイ受け渡し位置として決定する。これにより、ダイ受け渡し動作が完了する毎に次のダイ受け渡し位置が決定される。
【0040】
以上説明した本実施例によれば、用意された複数の仮のダイ受け渡し位置について、各々の仮のダイ受け渡し位置での改善時間量Tz を算出し、改善時間量Tz が最大となる仮のダイ受け渡し位置を次のダイ受け渡し位置として決定するようにしたので、サイクルタイムを短縮して生産性を高めることができる。
【0041】
尚、ダイ供給装置12のダイ受け渡し準備動作には、供給ヘッド33の移動、ダイ吸着動作、ダイ撮像・画像処理、上下反転動作が含まれるが、供給ヘッド33のダイ吸着動作、ダイ撮像・画像処理及び上下反転動作に要する時間は、ダイ受け渡し位置とは関係なく一定の時間と見なせるため、供給ヘッド33の移動時間は、ダイ供給装置12のダイ受け渡し準備動作に要する時間Ta と相関関係がある。従って、ダイ供給装置12のダイ受け渡し準備動作に要する時間Ta の代用情報として供給ヘッド33の移動時間を用いても良い。
【0042】
また、部品実装機11のダイ実装動作には、実装ヘッド15の移動と実装位置での上下動作が含まれるが、実装位置での上下動作に要する時間は、ダイ受け渡し位置とは関係なく一定の時間と見なせるため、実装ヘッド15の移動時間は、部品実装機11のダイ実装動作に要する時間Tb と相関関係がある。従って、部品実装機11のダイ実装動作に要する時間の代用情報として実装ヘッド15の移動時間を用いても良い。
【0043】
尚、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、ダイ供給装置12の供給ヘッド33に1つの吸着ノズル38のみを設けて1つのダイ22のみを吸着するようにしても良く、また、部品実装機11やダイ供給装置12の構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。