(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弾性部材の延びる方向と直交する方向に沿って見たとき、前記弾性部材を挟んで隣り合う前記凸部どうしが直線状に配置されており、かつ前記弾性部材を挟んで隣り合う前記凹部どうしが直線状に配置されている請求項1又は2に記載の清掃シート。
前記低延伸加工領域は延伸されていない領域であるか、又は前記高延伸加工領域よりも低い延伸倍率で延伸されている領域である請求項1ないし5の何れか1項に記載の清掃シート。
前記ヘッド部に装着された際に、その中央領域が前記ヘッド部の底面に配され、長手方向に沿う両側縁部が前記ヘッド部の上面側に折り返されて前記ヘッド部に固定されて使用される請求項9記載の清掃シート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1〜
図7には、本発明の清掃シートの一実施形態が示されている。これらの図は、清掃シートの弛緩状態、すなわち外力が加わっていない自然状態のものである。本実施形態の清掃シート10は、長手方向X及びこれと直交する幅方向Yを有している。清掃シート10は、対向するシート基材11,12間に挟持固定され、かつ一方向に延びる複数本の弾性部材13,13,13・・・を具備し、両面から起毛している繊維14を具備している。対向するシート基材は、本実施形態の清掃シート10では、第1シート基材11及び第2シート基材12の同形・同大の2枚のシート基材から形成されているが、1枚の基材シートを折り畳んだり、1枚の基材シートを部分的に重ねたりして、対向するシート基材を形成してもよい。清掃シート10の2枚のシート基材11,12は同一の材質のものでもよく、あるいは異なる材質のものでもよい。
【0011】
尚、本実施形態の清掃シート10においては、清掃シート10の長手方向Xが、第1シート基材11及び第2シート基材12の構成繊維の主な配向方向を見て、該繊維の配向方向に沿うMD方向に一致しており、清掃シート10の幅方向Yが、MD方向に直交するCD方向に一致している。また、MD方向は、清掃シート10を製造するときの方向でもある。
【0012】
両シート基材11,12間に挟持固定された複数本の弾性部材13は、糸状又は帯状の一方向に長い形状をしている。弾性部材13は、長手方向Xに延びるように、幅方向Yに間隔を置いて複数本配されている。幅方向Yにおいて隣り合う弾性部材13どうしの間の距離は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0013】
清掃シート10は、弾性部材13の延びる方向である長手方向Xに沿って伸縮可能になっている。一方、幅方向Yに関しては、清掃シート10は実質的に非伸縮である。清掃シート10の伸縮性は、弾性部材13の伸縮性に起因して発現する。一方、シート基材11,12が伸縮性を有していることは,本発明において必須のものではないが、弾性部材13の伸縮性を阻害しないようにする観点から、シート基材11,12は伸長性を有していることが好ましい。
【0014】
図2に示すとおり、清掃シート10は、弾性部材13の延びる方向と直交する方向、すなわち長手方向Xと直交する幅方向Yに延びる筋状の凸部15と、同じく幅方向Yに延びる筋状の凹部16とを複数有している。複数の凸部15及び凹部16は、長手方向Xに沿って交互に配置されている。長手方向Xに沿ってみたとき、凸部15は等ピッチで形成されている。同様に凹部16も等ピッチで形成されている。また、凸部15のピッチと、凹部16のピッチとは同じになっている。凸部15のピッチとは、長手方向Xにおいて隣り合う凸部15の頂部間の距離である。凹部16のピッチとは、長手方向Xにおいて隣り合う凹部16の底部間の距離である。
尚、凸部15、凹部16いずれも等ピッチに形成されているものに限られず、例えば、異なる複数のピッチが繰り返されるように凸部15、凹部16が形成されていても良い。
【0015】
清掃シート10は、その表裏の形状が相補形状になっている。したがって、清掃シート10の一方の面における凸部15の位置に、他方の面における凹部16が位置している。また、清掃シート10の一方の面における凹部16の位置に、他方の面における凸部15が位置している。要するに、清掃シート10は、その表裏の形状がいずれも波形である相補形状になっている。清掃シート10がこのような表面形状となっていることで、該清掃シート10は、そのどちらの面を用いても同様の良好な外観を呈し、髪の毛や大きなゴミ捕集性能を発現するものとなる。
【0016】
図2に示すとおり、清掃シート10をその幅方向Yに沿って見たとき、弾性部材13を挟んで隣り合う凸部15どうしが直線状に配置されている。同様に、弾性部材13を挟んで隣り合う凹部16どうしが直線状に配置されている。したがって清掃シート10においては、その幅方向Yの略全域にわたって凸部15が直線状に並んで配置されている。同様に、凹部16も、清掃シート10の幅方向Yの略全域にわたって直線状に並んで配置されている。その結果、清掃シート10においては、その幅方向Yの全域にわたって延びる凸部15及び凹部16が、長手方向Xに沿って交互に規則的に配置された状態になっている。そして、清掃シート10を、その長手方向Xに沿って伸縮させると、その伸縮の程度に応じて凸部15の高さ及び凹部16の深さが可逆的に増減する。これによって、清掃シート10は、外観の印象が高まるとともに、良好な風合いとゴミの取り込み経路が確保され良好な捕集性能を呈するようになる。
【0017】
凸部15の頂部は、
図2及び
図5に示すとおり、清掃シート10の厚さ方向に関して、後述する低延伸加工領域18、言い換えれば、弾性部材13を挟んで隣り合う凸部15どうしの間、すなわち弾性部材13が配されている箇所に比べて突出している。一方、凹部16の底部は、
図2及び
図4に示すとおり、清掃シート10の厚さ方向に関して、弾性部材13を挟んで隣り合う凹部16どうしの間、すなわち弾性部材13が配されている箇所に比べて陥凹している。すなわち、弾性部材13が配されている領域は、凸部15の頂部よりも低く、凹部16の底部よりも高い位置に位置している。これによって、清掃シート10は良好な捕集性能を呈するようになる。
【0018】
清掃シート10を構成する部材である第1シート基材11及び第2シート基材12は、複数の高延伸加工領域17及び複数の低延伸加工領域18を有している。高延伸加工領域17及び低延伸加工領域18はいずれも、弾性部材13の延びる方向、すなわち清掃シート10の長手方向Xに沿って延びている。また高延伸加工領域17及び低延伸加工領域18はいずれも、幅方向Yに交互に位置している。
【0019】
低延伸加工領域18は、高延伸加工領域17よりも相対的に延伸倍率が低くなっている。「相対的に延伸倍率が低くなっている。」とは、低延伸加工領域18が延伸されていない領域であるか、又は高延伸加工領域17よりも低い延伸倍率で延伸されている領域であることを意味している。外観が良好で、かつ伸縮性の良好な清掃シート10を得る観点からは、低延伸加工領域18は、高延伸加工領域17よりも低い延伸倍率で延伸されていることが好ましい。
【0020】
延伸倍率とは、延伸前の第1シート基材11及び第2シート基材12に延伸加工を施す前の長さをL1とし、延伸加工後の長さをL2としたとき、L2/L1で定義される値である。延伸倍率の高低は、第1シート基材11及び第2シート基材12を直接観察することでも判断できる。具体的には、第1シート基材11及び第2シート基材12を顕微鏡で拡大観察して、厚みが相対的に小さいか、又は繊維シートであれば見かけ密度が相対的に小さい(繊維の存在密度が相対的に小さい)領域が高延伸加工領域17である。また、厚みが相対的に大きいか、又は繊維シートであれば見かけ密度が相対的に大きい(繊維の存在密度が相対的に大きい)領域が低延伸加工領域18である。
図2に示すとおり、高延伸加工領域17は、凸部15及び凹部16が形成されている領域に位置している。一方、低延伸加工領域18は、弾性部材13を挟んで隣り合う凸部15どうしの間の領域に位置している。すなわち、低延伸加工領域18には、弾性部材13が配されている。
【0021】
図2に示すとおり、清掃シート10をその幅方向Yに沿って見たとき、凸部15の間であって、弾性部材13が配されている低延伸加工領域18に、小凸部15’が形成されている。具体的には、清掃シート10には、幅方向Yに沿って、幅方向Yに沿う長さW1が相対的に長い凸部15と、凸部15よりも幅方向Yに沿う長さW2が相対的に短い小凸部15’とが直線状に交互に配置されている。幅方向Yに沿って見たとき、各凸部15の長さW1は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。同様に、幅方向Yに沿って見たとき、各小凸部15’の長さW2は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0022】
凸部15は、小凸部15’よりも幅方向Yの長さが長いことに加えて、
図2及び
図5に示すとおり、小凸部15’よりも高さが高くなっている。すなわち、凸部15の頂部が、清掃シート10の厚さ方向に関して、小凸部15’に比べて突出している。凸部15の高さh1とは、
図2に示すとおり、清掃シート10における凹部16が位置する部位の上面を基準とし、そこから凸部15が位置する部位の上面までの距離をいう。また、小凸部15’の高さh2とは、
図2に示すとおり、清掃シート10における後述する小凹部16’が位置する部位の上面を基準とし、そこから小凸部15’が位置する部位の上面までの距離をいう。すなわち、高さh1及びh2は、第1及び第2シート基材11、12の表面を基準とした高低差であり、表面から起毛した繊維14は考慮しない。
一方、
図2及び
図3に示すとおり、清掃シート10を長手方向Xに沿って見たとき、低延伸加工領域18には、小凸部15’の間に、小凹部16’が形成されている。すなわち、清掃シート10には、幅方向Yに沿って、凹部16と小凹部16’とが直線状に交互に配されている。一つの低延伸加工領域18における小凹部16’の幅方向Yに沿う長さは、小凸部15’の長さW1と同じである。
【0023】
高延伸加工領域17は、先に説明した凸部15及び凹部16が形成されている領域に位置している。一方、低延伸加工領域18は、小凸部15’及び小凹部16’が形成されている領域に位置している。したがって、高延伸加工領域17における凸部15の頂部が、清掃シート10の厚さ方向に関して、低延伸加工領域18に比べて突出していることになる。これによって、清掃シート10は外観の印象が高まるとともに、良好な捕集性能を呈するようになる。また、高延伸加工領域17は、その幅が凸部15の幅W1と同様になっている。一方、低延伸加工領域18は、その幅が小凸部15’の幅W2と同様になっている。
【0024】
図2に示すとおり、低延伸加工領域18には、その延びる方向と同方向に延びるように弾性部材13が配されている。一条の低延伸加工領域18には、一条の弾性部材13が配置されている。しかし弾性部材13の配置の本数はこれに限られず、一条の低延伸加工領域18に複数条の弾性部材が配置されていてもよい。一方、高延伸加工領域17に関しては、該高延伸加工領域17は弾性部材13が非配置となっている。つまり、弾性部材13は低延伸加工領域18にのみ配置されている。弾性部材13は、その全長にわたって連続しており、分断の発生による不連続箇所は存在していない。これに対して、仮に、2枚のシート基材間に弾性部材を伸長状態で挟持固定した後に、単に歯溝ロールを用いて延伸加工を施して伸縮シート(以下、「従来の伸縮シート」ともいう。)を形成した場合には、延伸加工に起因して弾性部材の分断がしばしば発生してしまう。
【0025】
弾性部材13は、その全長にわたって第1及び第2シート基材11,12と接合されていることが、清掃シート10の外観の向上及び良好な伸縮性の発現の点から好ましい。この場合、弾性部材13は、その全長にわたって連続して第1及び第2シート基材11,12と接合されていてもよく、あるいは連続とみなせる程度に間欠的にその全長にわたって第1及び第2シート基材11,12と接合されていてもよい。弾性部材13と第1及び第2シート基材11,12との接合には一般に接着剤が用いられるが、これ以外の方法で両者を接合してもよい。
【0026】
図2及び
図3に示すとおり、低延伸加工領域18に配されて長手方向Xに沿って延びる弾性部材13は、清掃シート10の縦断面において波形に蛇行している。弾性部材13を挟持固定している第1及び第2シート基材11,12も同様に波形に蛇行している。
【0027】
図2及び
図4に示すとおり、清掃シート10の凹部16においては、清掃シート10の厚さ方向で見たときに、高延伸加工領域17よりも、低延伸加工領域18の方が、高い位置に形成されている。すなわち
図4に示すとおり、清掃シート10における凹部16の底部表面(第1シート基材11側の表面)と、小凹部16’の底部表面(第1シート基材11側の表面)との間には段差Dが生じている。
【0028】
上述した構成を有する本実施形態の清掃シート10は、これを最大伸長させた状態においても、凸部15及び凹部16の立体形状が保持されている。この点において、上述した従来の伸縮シートと明らかに相違している。詳述すると、従来の伸縮シートは、これを最大伸長させると、その表裏面が平坦な状態になってしまう。本実施形態の清掃シート10が、これを最大伸長させた状態でも凸部15及び凹部16の立体形状が保持されていることは、該清掃シート10の風合い及びゴミの捕獲経路を確保することによる捕集性能の維持や、優れた外観の維持の点から極めて有利である。凸部15及び凹部16の立体形状が最大伸長させた状態でも保持される理由は、清掃シート10に高延伸加工領域17及び低延伸加工領域18が形成されており、かつ低延伸加工領域18に弾性部材13が配されているからである。
【0029】
上述した「最大伸長させた状態」とは、清掃シート10を長手方向Xに沿って引っ張ったときに、低延伸加工領域18が引き伸ばされて塑性変形してしまう直前まで伸長させ、低延伸加工領域18がフラットになっている状態をいう。
【0030】
清掃シート10は、これを最大伸長させた状態において、凸部15の高さh1が0.5mm以上であることが好ましく、更に好ましくは1.0mm以上であり、一層好ましくは1.5mm以上である。また、3.5mm以下であることが好ましく、更に好ましくは3.0mm以下であり、一層好ましくは2.5mm以下である。例えば最大伸長させた状態における凸部15の高さh1は、0.5mm以上3.5mm以下であることが好ましく、1.0mm以上3.0mm以下であることが更に好ましく、1.5mm以上2.5mm以下であることが一層好ましい。
【0031】
一方、清掃シート10の弛緩状態においては、凸部15の高さh1は0.5mm以上であることが好ましく、更に好ましくは1.0mm以上であり、一層好ましくは2.5mm以上である。また、4.0mm以下であることが好ましく、更に好ましくは3.5mm以下であり、一層好ましくは3.0mm以下である。例えば弛緩状態における凸部15の高さh1は、0.5mm以上4.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以上3.5mm以下であることが更に好ましく、2.5mm以上3.0mm以下であることが一層好ましい。
【0032】
凸部15の高さh1は、次のようにして測定することができる。清掃シート10の弛緩状態においては、20cm×20cm程度の大きさに切り出した清掃シート10を、外力をかけない自然状態(弛緩状態)で置いて測定を行う。キーエンス社製のレーザー変位計LK−30を、一方向に一定速度で動かす事ができる測定装置に取り付け、該レーザー変位LK−30を、清掃シート10の高延伸加工領域17のほぼ中央部をX方向に沿って移動させて測定する。移動距離は40mmとする。この40mmの範囲を移動しながら25μm毎に測定を行う。40mmの移動は異なる位置において2回行う。それらの測定結果を平均し、平均値を凸部15の高さとする。
一方、清掃シート10を最大伸長させた状態においては、予め弾性部材13を供給せずに第1及び第2シート基材11、12を重ね合せて加工成形したシートを、同じ測定装置の台の上に自然状態で置いて、清掃シート10と同じように測定を行う。
【0033】
上述した構成を有する清掃シート10は、
図1〜
図6に示すように、その両面から起毛している繊維14を具備している。起毛している繊維14は、各凸部15の表面と各凹部16の表面とから起毛している。起毛している繊維14は、第1シート基材11側の凸部15、小凸部15’の外表面及び凹部16、小凹部16’の外表面から起毛していると共に、第2シート基材12側の凸部(第1シート基材11側の凹部16、小凹部16’の位置に対応する部分)の外表面及び凹部(第1シート基材11側の凸部15、小凸部15’の位置に対応する部分)の外表面からも起毛している。言い換えれば、起毛している繊維14は、
図3,
図6に示すように、高延伸加工領域17及び低延伸加工領域18それぞれの第1シート基材11側の外表面から起毛していると共に、高延伸加工領域17及び低延伸加工領域18それぞれの第2シート基材12側の外表面からも起毛している。
【0034】
「起毛している繊維」とは、第1シート基材11の構成繊維の先端、或いは第2シート基材12の構成繊維の先端が、清掃シート10の表面から突出している状態のみならず、構成繊維がループ状(繊維先端が出現していない)に清掃シート10の表面から突出している状態も含んでいる。ここで、「ループ状」の繊維とは、自由端を有する繊維ではなく、繊維の両端に自由端を有していない繊維のことを意味する。
【0035】
弾性部材13の延びる方向と直交する方向(幅方向Y)に沿って見たとき、清掃シート10の表面から0.1mm以上の高さで起毛している繊維における1mm以上の高さで起毛している繊維の割合が、髪の毛の捕集性及び比較的大きな粒ゴミの捕集性の向上の観点から、25%以上であり、30%以上であることが好ましく、40%以上であることが特に好ましい。前記起毛している繊維の割合の上限値に特に制限はなく、高ければ高いほど好ましいが、50%程度であれば十分に満足すべき効果が得られる。1mm以上の高さで起毛している繊維であれば凹部16から突出している繊維もゴミの捕集に働くので、良好な髪の毛捕集性及び大きな粒ゴミの捕集性を呈するようになる。起毛している繊維14の高さ及び本数は、以下の測定方法により測定する。
【0036】
<観察サンプルの製作>
観察範囲が10mm幅で観察できるように、清掃シート10から、やや大きめ(CD方向(幅方向Y)に60〜70mm、MD方向(長手方向X)に50mm程度)の観察サンプルを3枚切出し、それぞれの切出しサンプルにおける弾性部材13の凹部16に位置する部分を複数箇所切断して収縮力を無くす。
次に切出しサンプルをフラットな状態になるよう黒台紙に固定し、
図7に示すように、MD方向と直行するCD方向(幅方向Y)に黒台紙ごと二つ折りにする。二つ折りする際には、観察サンプルが断面視して観察できるような位置の折線で折る。次いで、二つ折りした観察折部を刷毛(株式会社コメリ製、一般刷毛No.812 30mm)で軽く5回観察サンプルから黒台紙に方向に擦って構成繊維の起毛を観察し易くする。ここで、刷毛は、刷毛による撫での最中に測定対象領域93にかかる力(撫でる力)が5〜15gfの範囲に入るように調整する。撫でる力は、秤を用いて測定することができ、その測定値を参考にして調整することできる。
【0037】
<起毛本数と起毛高さの実測>
上述のように二つ折りした観察サンプルを、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ(型式VHX−1000)にて20倍の倍率で観察する。
図7に示すように、デジタルマイクロスコープの測定モードの垂直線モードを使って測定する。基準線を設定した後、起毛している繊維の起毛最高点を範囲で測定する。尚、前記基準線が、清掃シート10の表面に相当する位置となる。起毛高さは0.1mm程度の範囲から測定を行い、0.1mm以上を採用する。n=3以上の観察サンプルについて測定し、観察範囲は10mm幅に存在する全ての起毛している繊維についての起毛高さの実測と本数を数える。
起毛している繊維14の起毛高さは、基準線から最も高い位置とする。起毛している繊維14は、必ずしも繊維先端が最も高い訳ではなく、ループ状の部分が最も高い場合もある。上記方法においては、起毛高さの測定は、0.1mm以上の高さで起毛している繊維について測定する。
【0038】
清掃シート10を構成する第1及び第2シート基材11,12としては、例えば不織布を始めとする各種の繊維シートを用いることができる。あるいは、該繊維シートと合成樹脂製のフィルムとのラミネートを用いることができる。前記の不織布としては、例えばスパンボンド不織布、サーマルボンド不織布(ポイント・ボンド不織布、ヒートエンボス不織布、エアスルー不織布等)、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、エアレイド不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、湿式不織布などの公知の不織布を特に制限なく用いることができる。各シート基材11,12は、その坪量がそれぞれ独立に10g/m
2以上であることが好ましく、更に好ましくは12g/m
2以上、一層好ましくは15g/m
2以上である。また、100g/m
2以下であることが好ましく、更に好ましくは50g/m
2以下、一層好ましくは30g/m
2以下である。例えば各シート基材11,12は、その坪量がそれぞれ独立に10g/m
2以上100g/m
2以下であることが好ましく、12g/m
2以上50g/m
2以下であることが更に好ましく、15g/m
2以上30g/m
2以下であることが一層好ましい。
【0039】
各シート基材11,12が不織布である場合、該不織布を構成する繊維は、各種の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンやポリプロピレンやポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレンやポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、アクリル等のアクリロニトリル系樹脂、メタクリル樹脂、ビニリデン系樹脂、天然繊維のコットン、パルプ、ポリ乳酸などの生分解性プラスチック等から構成することができる。あるいは、これらの樹脂の2種以上のブレンド物から繊維を構成したり、これらの樹脂を2種以上組み合わせた複合繊維(芯鞘型繊維やサイド・バイ・サイド型繊維、偏芯したクリンプを有する芯鞘繊維、分割繊維)を用いたりすることもできる。また、繊維に繊維着色剤、静電気防止特性剤、潤滑剤、親水剤など少量の添加物を付与した繊維を用いることもできる。不織布の構成繊維の繊維径は後述する起毛加工前において、2μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、また、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。
【0040】
両シート基材11,12間に挟持固定される弾性部材13は、弾性樹脂から構成することができる。弾性樹脂としては、この種の伸縮シートに用いられてきたものと同様のものを用いることができる。例えばスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ネオプレンゴム等の合成ゴム、天然ゴム、EVAゴム、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)ゴム、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン)ゴム、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン)ゴム、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等が挙げられる。形状としては、断面が短形、正方形、円形、多角形状等の糸状なしい紐状(平ゴム)のもの、または、マルチフィラメントタイプの糸状のもの等を用いることができる。
【0041】
弾性部材13は、第1シート基材11と第2シート基材12との間に120%〜500%の伸長率で固定されていることが好ましく、より好ましくは150〜350%伸長率で固定されている。伸長率が120%未満であると、凹部、凸部を形成するのが困難となり、捕集性能も低下する。他方、伸長率が500%超であると弾性部材13が破断してしまう虞がある。
弾性部材13の伸長率は、以下の方法により測定される。
【0042】
〔弾性部材の伸長率の測定方法〕
(1)外力をかけない自然状態(弛緩状態)の清掃シート10について、長手方向X(弾性部材13の延びる方向)に沿って長さ20mmの印を付す。
(2)この印の両端部を把持して、清掃シート10を長手方向に伸長する。
(3)伸長後の印の長さ(両端部間の距離)Lを測定する。
(4)(L/20)×100(%)を、弾性部材13の伸長率とする。
【0043】
弾性部材13の繊度は、10dtex以上とすることが好ましく、更に好ましくは300dtex以上、一層好ましくは600dtex以上である。また、1600dtex以下とすることが好ましく、更に好ましくは1300dtex以下、一層好ましくは1000dtex以下である。例えば、弾性部材13の繊度は10dtex以上1600dtex以下であることが好ましく、300dtex以上1300dtex以下であることが更に好ましく、600dtex以上1000dtex以下であることが一層好ましい。
【0044】
弾性部材13を両シート11,12に固定するために用いられる接着剤としては、スチレン系(SIS、SBS、SEBS)、又はポリオレフィン系のホットメルト接着剤等が挙げられる。特に感圧型のSIS系ホットメルト接着剤が弾性部材の抜けや染み出しの観点から好ましい。
【0045】
次に、本実施形態の清掃シート10の好適な製造方法を、
図8〜
図15を参照しながら説明する。本製造方法は、(i)清掃シート10を構成する各シート基材11,12を起毛加工する第1工程と、(ii)起毛加工された各シート基材11,12を用いて清掃シート10の前駆体である複合シート材60を製造する第2工程と、(iii)複合シート材60から清掃シート10を製造する第3工程とに大別される。
【0046】
第1工程においては、各シート基材11,12の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施し、その後各シート基材11,12の外面側の構成繊維を起毛する。第2工程においては、複数本の弾性部材を、一方向に延びるように、かつ伸長状態下に、起毛加工の施された第1及び第2基材シート間に挟持固定して、複合シート材60を製造する。第3工程においては、軸方向に延びる突条部及び溝部を周方向に沿って交互に有し、かつ互いに噛み合う一対の歯溝ロール間に、前記複合シート材60を、前記弾性部材の伸長状態下で、前記弾性部材が前記歯溝と直交するように供給して、該複合シート材60を延伸加工して伸縮性を付与し、清掃シート10を製造する。
図8には、これらの工程を行うための製造装置20が示されている。
【0047】
図8に示す製造装置20は、第1工程実施部21と、第2工程実施部22と、第3工程実施部23に大別される。第1工程実施部21は、装置20の機械方向MDの上流側に位置する。第2工程実施部22は、第1工程実施部21よりも装置20の機械方向MDの下流側に位置する。そして、第3工程実施部23は、第2工程実施部22よりも装置20の機械方向MDの下流側に位置する。
【0048】
第1工程実施部21は、
図8に示すように、更に、部分延伸加工部31と、部分延伸加工部31よりも装置20の機械方向MDの下流側に配される起毛加工部37とを具備している。部分延伸加工部31は、各シート基材11,12の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施す部分であり、製造装置20においては、一対の凹凸ロール32,33からなるスチールマッチングエンボスロール34を各シート基材11,12に対応して備えている。スチールマッチングエンボスロール34は、アルミニウム合金又は鉄鋼等の金属性の円筒形状のものであり、
図9に示すように、一方の凹凸ロール32が周面に複数個の凸部321を有し、他方の凹凸ロール33が、周面に一方の凹凸ロール32の凸部321に対応する位置に凸部321が入り込む凹部332を有している。また、他方の凹凸ロール33が周面に複数個の凸部331を有し、一方の凹凸ロール32が、周面に他方の凹凸ロール33の凸部331に対応する位置に凸部331が入り込む凹部322を有している。一対の凹凸ロール32,33は、それぞれの周面に、凸部321,331及び凹部322,332が何れも千鳥状に配置されている。一対の凹凸ロール32,33は、少なくとも一方の回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって噛み合って回転する。製造装置20においては、互いの凸部321,331が互いの凹部322,332に対応する位置に設けられている以外は、一方の凹凸ロール32と他方の凹凸ロール33とは同じロールである。従って、以下の説明では、同様な部分については、主に、一方の凹凸ロール32の凸部321について説明する。尚、部分延伸加工部31は、例えば
図8に示すように、スチールマッチングエンボスロール34の上流側及び下流側に、各シート基材11,12を搬送する際に用いる搬送ロール35,36を備えている。
【0049】
図9に示すように、一方の凹凸ロール32の各凸部321は、凹凸ロール32の底から凸部321の頂点までの高さh3が、1mm以上10mm以下であることが好ましく、2mm以上7mm以下であることが更に好ましい。回転軸方向に隣り合う凸部321同士の距離(ピッチ)は、0.01mm以上20mm以下であることが好ましく、1mm以上10mm以下であることが更に好ましく、周方向に隣り合う凸部321同士の距離(ピッチ)P
1は、0.01mm以上20mm以下であることが好ましく、1mm以上10mm以下であることが更に好ましい。一方の凹凸ロール32の凸部321の形状は、特に制限はないが、上部からみて、頂部表面の形状として、例えば、円形、多角形、楕円形等が挙げられる。また凸部321を側面から見た形状として、例えば、台形、四角形、湾曲形状等が挙げられ、ロール回転時の擦り合わせが少ない点から、台形が好ましい。他方の凹凸ロール33の各凹部332は、一方の凹凸ロール32の各凸部321に対応する位置に配されている。一方の凹凸ロール32の各凸部321と他方の凹凸ロール33の各凸部331との噛み合いの深さd(各凸部321と各凸部331とが重なっている部分の長さ)(
図9参照)は、0.1mm以上10.0mm以下であり、1.0mm以上5.0mm以下であることが好ましい。
【0050】
起毛加工部37は、部分延伸加工の施された第1シート基材11の外面側、すなわち第1シート基材11における第2シート基材12に対向する面と反対側の面側の構成繊維を起毛する部分である。また、起毛加工部37は、部分延伸加工の施された第2シート基材12の外面側、すなわち第2シート基材12における第1シート基材11に対向する面と反対側の面側の構成繊維を起毛する部分である。起毛加工部37は、製造装置20においては、
図8に示すように、周面に凸部381が設けられた凸ロール38である回転ロールを、各シート基材11,12の外面側に備えている。凸ロール38(回転ロール)は、アルミニウム合金又は鉄鋼等の金属性の円筒形状のものである。凸ロール38は、その回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって回転する。凸ロール38の回転速度は、製造装置20の備える制御部(不図示)により制御されている。ここで、凸ロール38の回転速度とは、凸ロール38の表面での速度を意味し、具体的には、凸部381の先端を結ぶ仮想表面ではなく、凸部381の根元での表面を意味する。尚、起毛加工部37は、
図8に示すように、凸ロール38の上流側に、部分延伸加工の施された各シート基材11,12を搬送する搬送ロール39を備えている。部分延伸加工の施された各シート基材11,12の搬送速度は、製造装置20の備える制御部(不図示)により制御されている。ここで、部分延伸加工の施された各シート基材11,12の搬送速度とは、凸ロール38に供給される部分延伸加工の施された各シート基材11,12表面での速度を意味する。
【0051】
凸ロール38は、
図10に示すように、その周面に凸部381がランダムに複数配置されている。各凸部381は、凸ロール38の周面から凸部381の頂点までの高さが、0.001mm以上であることが好ましく、3mm以下、特に0.001mm以上0.1mm以下であることが好ましい。周方向に隣り合う凸部381,381同士の距離(ピッチ)は、0.01mm以上であることが好ましく、50mm以下、特に0.1mm以上3mm以下であることが好ましく、回転軸方向に隣り合う凸部381,381同士の距離(ピッチ)は、0.01mm以上であることが好ましく、50mm以下、特に0.1mm以上3mm以下であることが好ましい。凸部381の単位面積あたりの個数は500個/cm
2以上20000個/cm
2以下であることが起毛の作用点が多くなり、起毛量が多くなる点でこのましい。凸ロール38の各凸部381の頂部表面の形状に特に制限はなく、例えば、円形、多角形、楕円形等が用いられ、各凸部381の頂部表面の面積は、0.001mm
2以上、特に0.01mm
2以上であることが好ましく、20mm
2以下、特に1mm
2以下であることが好ましい。製造装置20においては、更に効率よく起毛する観点から、
図10に示すように、凸ロール38の位置より、上流側の搬送ロール39の位置を高く設定し、シート基材11,12が凸ロール38の接触面に、10〜180°の抱き角βで接触することが好ましく、30〜120°の抱き角βで接触することが更に好ましい。
【0052】
第1工程実施部21においては、第1シート基材11及び第2シート基材12を、それらの原反ロール(図示せず)から繰り出し、繰り出された第1シート基材11及び第2シート基材12をそれぞれ、搬送ロール35,36により、部分延伸加工部31の有するスチールマッチングエンボスロール34の一対の凹凸ロール32,33間に供給し、第1シート基材11及び第2シート基材12に部分延伸加工を施す。具体的には、搬送ロール35,36により搬送された第1シート基材11及び第2シート基材12をそれぞれ、
図8,
図9に示すように、一方の凹凸ロール32の有する複数個の凸部321と、他方の凹凸ロール33の有する複数個の凹部332との間で挟圧し、該部分延伸加工によって各シート基材11,12の複数箇所それぞれにMD方向及びCD方向に延伸加工を施す。尚、部分延伸加工を施す際には、50℃以下の温度でシート基材11,12に部分延伸加工を施すことが好ましい。ここで、50℃以下の温度とは、凹凸ロール32,33に積極的に温度を掛けず、シート基材11,12に延伸加工を施す際、常温であることを意味する。言い換えれば、シート基材11,12に延伸加工を施す際に、シート基材11,12の構成繊維間で熱融着を起こしてしまうことにより、シート基材11,12が硬くなってしまわない観点から、如何なる種類の構成繊維樹脂の融点よりも低い温度であることを意味する。
【0053】
次いで、第1工程実施部21においては、部分延伸加工の施された各シート基材11,12を、
図8,
図10に示すように、搬送ロール39を介して、周面に複数の凸部381を有する凸ロール38に搬送し、部分延伸加工の施された第1シート基材11における第2シート基材12に対向する面と反対側の面側の構成繊維を起毛し、部分延伸加工の施された第2シート基材12における第1シート基材11に対向する面と反対側の面側の構成繊維を起毛する。尚、効率的に起毛させる観点から、搬送されている各シート基材11,12の構成繊維を、各シート基材11,12の搬送速度V1と異なる周速度V2で回転する凸ロール(回転ロール)38を用いて起毛することが好ましい。具体的には、
図10に示すように、凸ロール38の回転方向を、延伸加工の施された各シート基材11,12の搬送方向に対して逆方向に回転させることが好ましい。このように逆方向に回転させる場合には、V2/V1の値が0.3〜10であることが好ましく、V2>V1であることが更に好ましく、V2/V1の値が1.1〜10であることが特に好ましい。尚、凸ロール38が逆方向でなく、延伸加工の施された各シート基材11,12の搬送方向に対して正方向である場合には、部分延伸加工の施された各シート基材11,12の搬送速度V1と凸ロール38の周速度V2との関係を、V2/V1の値が1.1〜20であることが好ましく、1.5〜10であることが更に好ましく、2〜8であることが特に好ましい。
【0054】
第2工程実施部22は、
図8,
図11に示すように、弾性部材13に接着剤(図示せず)を塗布するための塗布装置43及び一対のニップロール44a,44bを備えている。ニップロール44a,44bは、塗布装置43よりも機械方向MDの下流側に位置している。
一方、第3工程実施部23に関しては、
図8,
図11に示すように、該第3工程実施部23は、第1歯溝ロール51及び第2歯溝ロール52からなる一対の歯溝ロール及び一対のニップロール45a,45bを備えている。ニップロール45a,45bは、第1歯溝ロール51及び第2歯溝ロール52よりも機械方向MDの下流側に位置している。
【0055】
第2工程実施部22においては、起毛加工の施された第1シート基材11及び第2シート基材12が、ニップロール44a,44bの位置で合流する。これとともに一方向に引き揃えられた複数本の弾性部材13が、ニップロール44a,44bに向けて伸長状態で供給される。その間に、各弾性部材13に対して塗布装置43から接着剤(図示せず)が塗布される。接着剤が塗布された各弾性部材13は、互いに離間した状態でニップロール44a,44bの間に供給され、同じくニップロール44a,44bの間に供給される第1及び第2基材シート11,12と合流する。そして弾性部材13は、ニップロール44a,44bの挟圧によって、一方向に延びるように且つ伸長状態が維持されたまま、起毛加工の施された第1及び第2基材シート11,12間に挟持固定される。これによって両面に起毛している繊維を有する複合シート材60が形成される。複合シート材60は、目的とする清掃シート10の前駆体である。
この工程における弾性部材13の伸長状態の程度によって、清掃シート10における弾性部材の伸長率が決まる。すなわち、第2工程において、例えば弾性部材13を伸長率300%の伸長状態で、第1及び第2基材シート11,12間に挟持固定することで、清掃シート10における弾性部材の伸長率は300%となる。
【0056】
上述の工程によって製造される複合シート材60においては、2枚の起毛加工の施されたシート基材11,12は、弾性部材13が存在する位置において互いに接合されている。また、2枚の起毛加工の施されたシート基材11,12は、弾性部材13が存在しない位置においては非接合の状態になっている。複合シート材60は、目的とする清掃シート10と同様に、伸縮可能なシートである。しかし複合シート材60は、目的とする清掃シート10と異なり、凸部及び凹部を有していない。そこで、この複合シート材60に対して、第3工程実施部23において凸部及び凹部の付与を行う。
【0057】
第2工程実施部22によって製造された両面に起毛している繊維を有する複合シート材60は、弾性部材13の伸長状態が維持されたまま第3工程実施部23に供給される。伸長状態の維持は、先に述べたニップロール44a,44bによる複合シート材60のニップと、第1歯溝ロール51及び第2歯溝ロール52による複合シート材60のニップと、ニップロール45a,45bによる清掃シート10のニップとによって達成される。ここで、「伸長状態の維持」とは、第3工程実施部23における伸長状態が、第2工程実施部22における伸長状態と同じ状態を維持するものに限らず、弾性部材13が伸長状態であれば、第2工程実施部22における伸長状態との程度の差を有していても構わない。工程における伸長状態は、ニップロール44a,44bによる複合シート材60の搬送速度、歯溝ロール51,52の加工速度、ニップロール45a,45bによる清掃シート材10の搬送速度によって制御することができる。
【0058】
第3工程実施部23に供給された両面に起毛している繊維を有する複合シート材60は、噛み合い状態になっている第1歯溝ロール51と第2歯溝ロール52との間に、弾性部材13の伸長状態下で供給される。供給された複合シート材60は、両ロール51,52間を通過するときに、機械方向MDに沿った延伸加工が行われて、凸部及び凹部が形成される。各歯溝ロール51,52は、軸方向に延びる突条部及び溝部を周方向に沿って交互に有し、かつ互いに噛み合う形状になっている。
【0059】
図12(a)及び(b)には、第3工程実施部23に設置されている2つの歯溝ロール51,52のうちの第2歯溝ロール52の要部が示されている。第2歯溝ロール52は、軸方向CDに沿って高歯たけ部53と、高歯たけ部53よりも歯たけが相対的に低い低歯たけ部54とを交互に有している。高歯たけ部53には、歯たけが高い第1の突条部としての第1の歯56が形成されている。一方、低歯たけ部54には、第1の歯56よりも歯たけの低い第2の突条部としての第2の歯57が形成されている。第1の歯56及び第2の歯57は、第2歯溝ロール52の軸方向CDに沿って延びている。また第1の歯56及び第2の歯57は、第2歯溝ロール52の周方向に沿って規則的に形成されている。周方向において隣り合う第1の歯56の間は溝部となっている。同様に、周方向において隣り合う第2の歯57の間も溝部となっている。軸方向CDに沿って見たとき、第1の歯56と第2の歯57とは同一直線上に位置し、すなわち、これらの歯56,57は直線状に並んで配置されている。したがって、周方向において隣り合う歯の間に位置する溝部も、軸方向CDに沿って延びる同一直線上に位置している。
【0060】
第1の歯56は、その歯幅、すなわち第2歯溝ロール52の軸方向CDに沿った長さが、第2の歯57の歯幅よりも長くなっている。したがって、第1の歯56を含む高歯たけ部53は、その幅が、第2の歯57を含む低歯たけ部54の幅よりも広くなっている。
【0061】
高歯たけ部53を構成する第1の歯56の歯たけが、低歯たけ部54を構成する第2の歯57の歯たけよりも高いことに起因して、第2歯溝ロール52は、該ロール52の周方向の全域に延びる周方向条溝55を有するものとなる。第2歯溝ロール52は、該第2歯溝ロール52の軸方向CDに沿って周方向条溝55を複数条有している。周方向条溝55の幅、すなわち軸方向CDに沿った長さは、第2の歯57の歯幅及び低歯たけ部54の幅と同じになっている。したがって周方向条溝55内には、第2の突条部としての第2の歯57が位置していることになる。軸方向CDにおいて隣り合う周方向条溝55のピッチPは、第2工程実施部22において製造された複合シート材60における隣り合う弾性部材13のピッチと同じになっている。また、周方向条溝55を挟んで隣り合う第1の歯56どうしは、軸方向CDに沿って見たとき、同一直線上に位置している。
【0062】
一方、第1歯溝ロール51に関しては、第2歯溝ロール52と異なり、周方向条溝が形成されていない。第1歯溝ロール51は、軸方向CDに沿って、該第1歯溝ロール51の全長にわたって延びている、突条部としての歯を、周方向に間欠的に有している。周方向において隣り合う歯の間は溝部となっている。第1歯溝ロール51に形成されている歯の全歯たけは、第2の歯溝ロール52における第2の歯57の全歯たけよりも大きく、かつ第1の歯56の全歯たけ以下になっている。好ましくは、第1歯溝ロール51に形成されている歯の全歯たけは、第2の歯溝ロール52における第1の歯56の全歯たけと同じになっている。更に、第1の歯溝ロール51における歯のピッチは、第2の歯溝ロール52における第1の歯56のピッチ及び第2の歯57のピッチと同じになっている。
【0063】
第2工程実施部22において製造された複合シート材60を、第3工程実施部23の一対の歯溝ロール51,52間に通すときには、
図13に示すとおり、複合シート材60における弾性部材13が、第2歯溝ロール52の周方向条溝55内を通過するように、該複合シート材60を、一対の該歯溝ロール51,52間に供給する。先に述べたとおり、軸方向CDにおける周方向条溝55のピッチPは、複合シート材60における弾性部材13のピッチと同じになっているので、弾性部材13と周方向条溝55との位置合わせをした状態で複合シート材60を両歯溝ロール51,52間に通すことで、各弾性部材13が各周方向条溝55内を通過するようになる。
【0064】
図14及び
図15には、両歯溝ロール51,52間に通された、両面に起毛している繊維を有する複合シート材60が延伸される状態が示されている。
図14は、第1歯溝ロール51の歯58と、第2歯溝ロール52の高歯たけ部53の第1の歯56とが噛み合っている状態である。第1歯溝ロール51の歯58及び第2歯溝ロール52の第1の歯56はいずれも全歯たけが高いものなので、これらの歯が噛み合った状態では、複合シート材60の延伸の程度が大きくなる。この場合、複合シート材60における主たる延伸部位は、第1歯溝ロール51の歯58の先歯面と、第2歯溝ロール52の第1の歯56の先歯面との間の領域である。この領域の延伸の程度を大きくすることで、高低差の大きな凸部15及び凹部16を首尾よく形成することができる。しかも、この領域には弾性部材13が配置されていないので、延伸の程度を大きくしても、弾性部材13の分断が生じるおそれはない。
図14に示す状態からは、目的とする清掃シート10における凸部15及び凹部15が形成される。すなわち、清掃シート10において、第1歯溝ロール51の歯58と、第2歯溝ロール52の高歯たけ部53の第1の歯56とが噛み合っている領域を通過する部位が、弾性部材の延びる方向に沿って延びる高延伸加工領域17となる。
【0065】
図15は、第1歯溝ロール51の歯58と、第2歯溝ロール52の低歯たけ部54の第2の歯57とが噛み合っている状態である。第2歯溝ロール52の第2の歯57は、その全歯たけが、第1歯溝ロール51の歯58の全歯たけよりも低くなっているので、これらの歯が噛み合いの程度は、
図14に示す噛み合いの程度よりも低くなっている。その結果、これらの歯が噛み合った状態では、複合シート材60の延伸の程度が、
図14に示す状態よりも小さくなる。低歯たけ部54は、複合シート材60の弾性部材13が通過する部位であるところ、この部位を通過する複合シート材60の延伸の程度を小さくすることで、延伸に起因する弾性部材13の分断を効果的に抑制することができ、良好な伸縮性と、粒ゴミの捕集性を維持することができる。尤も、複合シート材60の延伸の程度が小さいことで、低歯たけ部54を通過する複合シート材60に形成される凸部及び凹部の高低差は、
図14に示す状態よりも小さくなる。
図15に示す状態からは、目的とする清掃シート10における小凸部15’及び小凹部16’が形成される。すなわち、清掃シート10において、第1歯溝ロール51の歯58と、第2歯溝ロール52の低歯たけ部54の第2の歯57とが噛み合っている領域を通過する部位が、弾性部材の延びる方向に沿って延びる低延伸加工領域18となる。
低延伸加工領域18に弾性部材13が配されているので、弾性部材の延びる方向に清掃シート10を最大伸張させた状態においても、凸部15及び凹部16の立体形状が保持される。すなわち、第3工程を実施することで、最大伸張させた状態においても、凸部15及び凹部16の立体形状が保持される清掃シート10を製造することができる。
また、低延伸加工領域18を形成する第1歯溝ロール51と第2歯溝ロール52の歯の噛み合いの程度が、高延伸加工領域17を形成する第1歯溝ロール51と第2歯溝ロール52の歯の噛み合いの程度よりも低くなっているので、凸部15の頂部が、清掃シート10の厚さ方向に関して、低延伸加工領域18に比べて突出することとなる。すなわち、高延伸加工領域17に形成される凸部15の方が、低延伸加工領域18に形成される小凸部15’よりも高さが高くなる。
周方向条溝55を挟んで隣り合う第1の歯56どうしが、軸方向CDに沿って見たとき、直線状に並んで配されているので、製造される清掃シート10は、弾性部材13を挟んで隣り合う凸部15どうしが直線状に配置されることになる。
【0066】
複合シート材60における弾性部材13が低歯たけ部54を通過することには、該複合シート材60を延伸するときに滲み出すおそれのある接着剤の当該滲み出しを効果的に防止できるという利点もある。接着剤の滲み出しを防止することで、複合シート材60の蛇行や歯溝ロール51,52への巻き付きを防止でき、外観の良好な凸部15及び凹部16を首尾よく形成することができる。また、製造装置20の汚染の防止も図れる。
第3工程実施部23を通過した複合シート材60は、図示しないカット工程実施部に供給され、必要寸法にカットされ、清掃シート10が製造される。第3工程実施部23を通過した複合シート材60を一旦巻き取りした後に、必要寸法にカットすることで清掃シート10を製造しても良い。
【0067】
このようにして、目的とする清掃シート10が製造される。この清掃シート10は、硬質表面等の清掃対象面の清掃に用いられる乾拭き用(乾式)の清掃シートとして使用されるが、用途に応じて、事前に油剤等を塗工した乾式の清掃シートとしても使用される。乾式の清掃シートとして使用される場合、清掃シート10には、前記油剤が担持されており、該油剤の担持量は、比較的大きな粒ゴミの捕集性能が向上すると共に、髪の毛の捕集性及びダストの捕集性向上の観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、3.0質量%以上であることが更に好ましく、そして、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることが更に好ましく、具体的には、0.5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以上40質量%以下であることが更に好ましい。前記油剤としては、鉱物油、合成油、シリコーン油、界面活性剤及び樹脂の内少なくとも1種類以上を含んでいるものが好ましい。鉱物油としては、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香族炭化水素等が用いられる。合成油としては、アルキルベンゼン油、ポリオレフィン油、ポリグリコール油等が用いられる。シリコーン油としては、鎖状ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン又は各種変性シリコーン等が用いられる。界面活性剤は、陽イオン系としては、炭素数10以上22以下のアルキル基又はアルケニル基を有するモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、モノ長鎖アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられ、非イオン系としては、ポリオキシエチレン(6〜35モル)長鎖アルキル又はアルケニル(第1級又は第2級C
8〜C
22)エーテル、ポリオキシエチレン(6〜35モル)アルキル(C
8〜C
18)フェニルエーテル等のポリエチレングリコールエーテル型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、あるいはグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の多価アルコール型等、陰イオン系、両性系が挙げられる。樹脂としては、ポリウレタンやスチレン等の熱硬化性樹脂、PVAやポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。前記油剤の塗工工程は、第3工程実施部23後が好ましいが、第1工程実施部21前後、第2工程実施部22後に行ってもよい。
【0068】
清掃シート10を清掃に用いる際には、
図16に示すように、ヘッド部71及びヘッド部71に連結された柄72を備えた清掃具7におけるヘッド部71に装着されて使用される。ヘッド部71の装着面(底面)は、平面視で長方形状であり、清掃シート10は、例えば、ヘッド部71の長手方向と、清掃シート10の長手方向Xとが一致するように装着される。と、清掃シート10の長手方向Xとが一致するように装着される。清掃シート10は、装着された際に、その中央領域がヘッド部71の底面に配され、清掃シート10の長手方向に沿う両側縁部をヘッド部71の上面側に折り返し、折り返された両側縁部を、ヘッド部71における、スリットを有する可撓性の複数のシート保持部73内に押し込んで固定されて使用される。ヘッド部71の上面側の折り返し部は、清掃シート10の凸部15、凹部16が形成された箇所でもよいし、当該箇所以外でもよい。例えば、新たな基材を側縁部に接合させ、当該新たな基材をヘッド部71の上面側に折り返し、ヘッド部71に固定してもよい。前記新たな基材としては、不織布を始めとする各種繊維シートを用いることができる。例えば、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、エアスルー織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、エアレイド不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布などの公知の不織布に制限はなく用いることができる。清掃シート10の取り付けられた清掃具7は、通常の使用態様においては、ヘッド部71をその幅方向に移動(特に往復移動)させて清掃を行う。その際、清掃シート10を用いて清掃する清掃方向と、弾性部材13の延びる方向とが直交している。つまり、清掃具7の清掃方向は、ヘッド部71の幅方向であり、清掃シート10の幅方向Yである。清掃シート10の取り付けられた清掃具7は、例えば、フローリング床、壁、天井、ガラス、畳、鏡や家具、家電製品、家の外壁、自動車のボディなどの硬質表面の拭き清掃に用いることができる。
【0069】
上述したように、清掃シート10は、
図2に示すように、長手方向Xに沿って延びる高延伸加工領域17及び低延伸加工領域18を幅方向Yに交互に有しており、高延伸加工領域17に形成されている凸部15の頂部が、低延伸加工領域18に比べて突出している。特に、清掃シート10においては、高延伸加工領域17に形成されている凸部15の方が、低延伸加工領域18に形成されている小凸部15’よりも高さが高くなるように形成されている。その為、清掃シート10の外観が良好である。そして、清掃シート10の取り付けられた清掃具7が、フローリング床の拭き清掃に使用されると、長手方向Xに隣り合う高延伸加工領域17に形成されている凸部15どうしの間に、比較的大きな粒ゴミが保持されると共に、表面から起毛している繊維14により覆われて、該粒ゴミが凸部15どうしの間から落ち難く、比較的大きな粒ゴミの捕集性能も向上し、製品価値が向上する。また、清掃シート10は、表面から起毛している繊維14を有しているので、髪の毛や綿埃のゴミ等も効率よく捕集できる。
【0070】
特に、清掃シート10は、
図2に示すように、これを最大伸長させた状態においても、凸部15及び凹部16の立体形状が保持されている。その為、長手方向Xに隣り合う凸部15どうしの間に保持された大きな粒ゴミが更に落ち難く、捕集性能が更に向上する。
【0071】
また、清掃シート10の取り付けられた清掃具7においては、清掃方向と、弾性部材13の延びる方向とが直交している。つまり、清掃具7の清掃方向は、ヘッド部71の幅方向であり、清掃シート1の幅方向Yとなっている。その為、長手方向Xに隣り合う凸部15どうしの間に、比較的大きな粒ゴミが保持され易くなり、捕集性を向上させることが可能となる。また、床の溝に沿って清掃して溝内のゴミを捕集する際に、凸部15の延びる方向と溝の延びる方向とが一致するので、溝内への追従性が向上し、効果的にゴミを捕集することが可能となる。
【0072】
また、清掃シート10を用いて清掃する清掃方向と、弾性部材13の延びる方向とが平行していてもよい。つまり、ヘッド部71の長手方向と、弾性部材13の延びる方向とが直交するように装着されてもよい。この場合、凸部15の延びる方向と清掃方向とが直交するので、凸部15がスクレーパーブレードのような掻き取り機能を有したり、ヘッド部71の前方縁部において凸部15が水平方向に起立可能となる事で床と壁との立部隙間への追従性が向上する。また、ヘッド部71に装着される際には、幅方向Yに沿う両側縁部がヘッド部71の上面側に折り返されてヘッド部71に固定されることになるが、弾性部材13の伸縮性を利用することで清掃シート10に張りを与え、たわみ皺や取付け弛みを防止することで可能となる。
【0073】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば上述した清掃シート10の製造方法に用いられる製造装置20においては、第1工程実施部21、第2工程実施部22及び第3工程実施部23を連続的に行っているが、断続的に行ってもよい。
【0074】
また、上述した製造装置20においては、第1工程実施部21は、上流側に部分延伸加工部31、下流側に起毛加工部37を有しているが、上流側に起毛加工部37を設け、下流側に部分延伸加工部31を設けるようにしてもよい。また、部分延伸加工部31を設けずに、起毛加工部37のみを設けてもよい。
【0075】
また、上述した製造装置20においては、第2の歯溝ロール52における周方向条溝55に、第1の歯56よりも全歯たけの低い第2の歯57を設けたが、これに代えて周方向条溝55には第2の歯57を設けなくてもよい。この実施形態においては、製造される清掃シート10の低延伸加工領域18は延伸されていない領域となる。
【0076】
また、上述した製造装置20においては、一対の歯溝ロール51,52のうちの一方の歯溝ロールである第2歯溝ロール52にのみ周方向条溝55が形成されていたが、双方の歯溝ロール51,52に周方向条溝を形成してもよい。この場合、双方の歯溝ロールの周方向条溝に第2の歯57を設けなくてもよい。これに代えて、一方の歯溝ロールの周方向条溝に第2の歯57を設けるが、他方の歯溝ロールの周方向条溝に第2の歯57を設けなくてもよく、あるいは、双方の歯溝ロールの周方向条溝に第2の歯57を設けてもよい。
【0077】
双方の歯溝ロール51,52に周方向条溝を形成する場合には、一方の歯溝ロールにおける周方向条溝と、他方の歯溝ロールにおける周方向条溝との位置が一致するように両歯溝ロールを噛み合わせた状態で、両歯溝ロール間に複合シート材60を供給する。このようにすることで、弾性部材13の分断を一層効果的に防止することができる。
【0078】
上述した実施形態に関し、さらに以下の清掃シートを開示する。
【0079】
<1>
対向するシート基材間に挟持固定され、かつ一方向に延びる複数本の弾性部材を具備し、両面から起毛している繊維を具備する清掃シートであって、
前記清掃シートは、前記弾性部材の延びる方向と直交する方向に延びる凸部と凹部とを、該弾性部材の延びる方向に沿って交互に有しており、
前記清掃シートの一方の面における前記凸部の位置に、他方の面における前記凹部が位置し、該一方の面における前記凹部の位置に、該他方の面における前記凸部が位置しており、
前記起毛している繊維は、各前記凸部の表面と各前記凹部の表面とから起毛しており、
前記シート基材は、複数の高延伸加工領域と、該高延伸加工領域よりも延伸倍率の低い複数の低延伸加工領域とを有し、該低延伸加工領域に前記弾性部材が配されており、
複数の前記高延伸加工領域及び複数の前記低延伸加工領域は、前記弾性部材の延びる方向に沿って延び、かつ弾性部材の延びる方向と直交する方向に交互に位置しており、該高延伸加工領域に前記凸部及び凹部が形成されており、該凸部の頂部が、前記清掃シートの厚さ方向に関して、前記低延伸加工領域に比べて突出しており、
前記弾性部材の延びる方向と直交する方向に沿って見たとき、前記清掃シートの表面から0.1mm以上の高さで起毛している繊維における1mm以上の高さで起毛している繊維の割合が25%以上である清掃シート。
<2>
前記清掃シートは、これを前記弾性部材の延びる方向に最大伸張させた状態において、前記凸部及び前記凹部の立体形状が保持されている<1>に記載の清掃シート。
<3>
前記弾性部材の延びる方向と直交する方向に沿って見たとき、前記弾性部材を挟んで隣り合う前記凸部どうしが直線状に配置されており、かつ前記弾性部材を挟んで隣り合う前記凹部どうしが直線状に配置されている<1>又は<2>に記載の清掃シート。
<4>
前記弾性部材が、その全長にわたって前記シート基材と接合されている<1>〜<3>の何れか1に記載の清掃シート。
<5>
前記低延伸加工領域に小凸部が形成されており、
前記高延伸加工領域に形成されている前記凸部の方が、前記低延伸加工領域に形成されている前記小凸部よりも高さが高くなっている<1>ないし<4>のいずれか1に記載の清掃シート。
<6>
前記低延伸加工領域は延伸されていない領域であるか、又は前記高延伸加工領域よりも低い延伸倍率で延伸されている領域である<1>ないし<5>の何れか1に記載の清掃シート。
<7>
前記清掃シートには、油剤が担持されており、該油剤の担持量は、0.5質量%以上50質量%以下である<1>ないし<6>の何れか1に記載の清掃シート。
<8>
前記清掃シートを用いて清掃する清掃方向と、前記弾性部材の延びる方向とが直交している<1>ないし<7>の何れか1に記載の清掃シート。
<9>
ヘッド部及び該ヘッド部に連結された柄を備えた清掃具における前記ヘッド部に装着されて使用される清掃シートであり、前記ヘッド部の長手方向と、前記弾性部材の延びる方向とが一致するように装着される<1>ないし<8>の何れか1に記載の清掃シート。
<10>
前記清掃シートを用いて清掃する清掃方向と、前記弾性部材の延びる方向とが平行である<1>ないし<7>の何れか1に記載の清掃シート。
<11>
ヘッド部及び該ヘッド部に連結された柄を備えた清掃具における前記ヘッド部に装着されて使用される清掃シートであり、前記ヘッド部の長手方向と、前記弾性部材の延びる方向とが直交するように装着される<1>ないし<7>、<10>の何れか1に記載の清掃シート。
<12>
前記ヘッド部に装着された際に、その中央領域が前記ヘッド部の底面に配され、長手方向に沿う両側縁部が前記ヘッド部の上面側に折り返されて前記ヘッド部に固定されて使用される<9>または<11>記載の清掃シート。
<13>
前記シート基材は、伸長性は有するが、伸縮性は有さないものである<1>ないし<12>の何れか1に記載の清掃シート。
【0080】
<14>
前記シート基材は、前記弾性部材の延びる方向である長手方向X及びこれと直交する幅方向Yを有し、長手方向Xに沿って見たとき、前記凸部が等ピッチで形成されている<1>ないし<13>の何れか1に記載の清掃シート。
<15>
前記シート基材は、前記弾性部材の延びる方向である長手方向X及びこれと直交する幅方向Yを有し、長手方向Xに沿って見たとき、前記凹部が等ピッチで形成されている<1>ないし<14>の何れか1に記載の清掃シート。
<16>
前記シート基材は、前記弾性部材の延びる方向である長手方向X及びこれと直交する幅方向Yを有し、長手方向Xに沿って見たとき、前記凸部のピッチと、前記凹部のピッチとが同じになっている<1>ないし<15>の何れか1に記載の清掃シート。
<17>
前記シート基材は、前記弾性部材の延びる方向である長手方向X及びこれと直交する幅方向Yを有し、幅方向Yの略全域にわたって前記凸部が直線状に並んで配置されている<1>ないし<16>の何れか1に記載の清掃シート。
<18>
前記シート基材は、前記弾性部材の延びる方向である長手方向X及びこれと直交する幅方向Yを有し、幅方向Yの略全域にわたって前記凹部が直線状に並んで配置されている<1>ないし<17>の何れか1に記載の清掃シート。
<19>
前記凹部の底部は、前記清掃シートの厚さ方向に関して、隣り合う前記凹部どうしの間に比べて陥凹している<1>ないし<18>の何れか1に記載の清掃シート。
<20>
前記シート基材は、前記弾性部材の延びる方向である長手方向X及びこれと直交する幅方向Yを有し、前記清掃シートを幅方向Yに沿って見たとき、前記凸部の間であって、前記弾性部材が配されている領域に、小凸部が形成されており、幅方向Yに沿う前記凸部の長さW1が、前記小凸部の長さW2よりも長くなっている<1>ないし<19>の何れか1に記載の清掃シート。
<21>
前記シート基材は、前記弾性部材の延びる方向である長手方向X及びこれと直交する幅方向Yを有し、前記清掃シートを幅方向Yに沿って見たとき、前記凸部の間であって、前記弾性部材が配されている低延伸加工領域に、小凸部が形成されており、前記幅方向Yに沿って、前記凸部と前記小凸部とが直線状に交互に配置されている<1>ないし<20>の何れか1に記載の清掃シート。
<22>
前記シート基材は、前記弾性部材の延びる方向である長手方向X及びこれと直交する幅方向Yを有し、前記シート基材を長手方向に沿って見たとき、小凸部の間であって、前記弾性部材が配されている低延伸加工領域に、小凹部が形成されており、
前記幅方向Yに沿って、前記凹部と前記小凹部が直線状に交互に配されている<1>ないし<21>の何れか1に記載の清掃シート。
<23>
一条の前記低延伸加工領域に、一条の前記弾性部材が配置されている<1>ないし<22>の何れか1に記載の清掃シート。
<24>
前記高延伸加工領域には前記弾性部材が非配置になっている<1>ないし<23>の何れか1に記載の清掃シート。
【0081】
<25>
前記清掃シートを最大伸長させた状態において、前記凸部の高さh1が0.5mm以上であることが好ましく、更に好ましくは1.0mm以上であり、一層好ましくは1.5mm以上であり、3.5mm以下であることが好ましく、更に好ましくは3.0mm以下であり、一層好ましくは2.5mm以下であり、最大伸長させた状態における前記凸部の高さh1は、0.5mm以上3.5mm以下であることが好ましく、1.0mm以上3.0mm以下であることが更に好ましく、1.5mm以上2.5mm以下であることが一層好ましい<1>ないし<24>の何れか1に記載の清掃シート。
<26>
前記清掃シートの弛緩状態において、前記凸部の高さh1が0.5mm以上であることが好ましく、更に好ましくは1.0mm以上であり、一層好ましくは2.5mm以上であり、4.0mm以下であることが好ましく、更に好ましくは3.5mm以下であり、一層好ましくは3.0mm以下であり、弛緩状態における前記凸部の高さh1は、0.5mm以上4.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以上3.5mm以下であることが更に好ましく、2.5mm以上3.0mm以下であることが一層好ましい<1>ないし<25>の何れか1に記載の清掃シート。
<27>
前記清掃シートの表面から0.1mm以上の高さで起毛している繊維における1mm以上の高さで起毛している繊維の割合が、25%以上であり、30%以上であることが好ましく、40%以上であることが特に好ましい<1>ないし<26>の何れか1に記載の清掃シート。
<28>
弾性部材は対向する前記シート基材間に、好ましくは120%以上、より好ましくは150%であり、好ましくは500%以下、より好ましくは350%以下の伸長率で固定されている<1>ないし<27>の何れか1に記載の清掃シート。
<29>
2枚の前記シート基材が不織布である<1>ないし<28>の何れか1に記載の清掃シート。
<30>
前記弾性部材の繊度は、10dtex以上とすることが好ましく、更に好ましくは300dtex以上、一層好ましくは600dtex以上であり、また、1600dtex以下とすることが好ましく、更に好ましくは1300dtex以下、一層好ましくは1000dtex以下であり、該弾性部材の繊度は10dtex以上1600dtex以下であることが好ましく、300dtex以上1300dtex以下であることが更に好ましく、600dtex以上1000dtex以下であることが一層好ましい<1>ないし<29>の何れか1に記載の清掃シート。
<31>
前記シート基材は、その坪量が10g/m
2以上であることが好ましく、更に好ましくは12g/m
2以上、一層好ましくは15g/m
2以上であり、100g/m
2以下であることが好ましく、更に好ましくは50g/m
2以下、一層好ましくは30g/m
2以下であり、前記の各シート基材は、その坪量がs10g/m
2以上100g/m
2以下であることが好ましく、12g/m
2以上50g/m
2以下であることが更に好ましく、15g/m
2以上30g/m
2以下であることが一層好ましい<1>ないし<30>の何れか1に記載の清掃シート。
<32>
<1>ないし<31>の何れか1に記載の清掃シートの使用方法であって、前記弾性部材の延びる方向と直交する方向に沿って前記清掃シートを移動させ被清掃面を清拭する清掃シートの使用方法。
<33>
<1>ないし<31>の何れか1に記載の清掃シートの使用方法であって、前記弾性部材の延びる方向と平行する方向に沿って前記清掃シートを移動させ被清掃面を清拭する清掃シートの使用方法。
【実施例】
【0082】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例によって何ら制限されるものではない。
【0083】
[実施例1]
図8に示す製造装置20を用いて
図1,
図2に示す清掃シートを製造した。第1シート基材及び第2シート基材としては、ポリプロピレン繊維(2.2dtex;100%)からなる坪量18g/m
2のスパンボンド不織布を用いた。第1工程実施部21の部分延伸加工部31における凹凸ロール32,33からなるスチールマッチングエンボスロール34の各凸部は、その高さが2.0mmであり、回転軸方向に隣り合う凸部同士の距離(ピッチ)が7mmであり、周方向に隣り合う凸部同士の距離(ピッチ)が7mmであり、噛み合いの深さが1.6mmであった。また、第1工程実施部21の起毛加工部37における凸ロール38は、各シート基材11,12の搬送方向に対して、逆方向に回転させ、抱き角βはそれぞれ60度であった。凸ロール38の凸部381は、その高さが0.07mmであり、周方向に隣り合う凸部同士の距離(ピッチ)及び回転軸方向に隣り合う凸部同士の距離(ピッチ)が、それぞれ0.22mmであり、凸部の単位面積あたりの個数が2000個/cm
2であった。第3工程実施部23としては、
図11及び
図12に示す第1歯溝ロール51及び第2歯溝ロール52からなる一対の歯溝ロールを用いた。以上の条件で、実施例1の清掃シートを作製した。尚、各弾性部材の伸長率は、300%であった。また、実施例1の清掃シートには、第3工程実施後、5質量%の流動パラフィンからなる油剤を担持した。
【0084】
[実施例2]
油剤が担持されていない以外は、実施例1と同様の製造装置・原料を用いて、実施例2の清掃シートを作製した。
【0085】
[実施例3]
各弾性部材の伸長率が、200%である以外は、実施例1と同様の製造装置・原料を用いて、実施例2の清掃シートを作製した。尚、実施例3の清掃シートには油剤が担持されていない。
【0086】
[比較例1]
実施例1の清掃シートを作製した製造装置から第3工程実施部23を除いた製造装置を用いて、比較例1の清掃シートを作製した。即ち、該製造装置は、その第1工程実施部21の条件が実施例1の清掃シートを作製した製造装置の第1工程実施部21の条件と同じであり、第2工程実施部22の条件が実施例1の清掃シートを作製した製造装置の第2工程実施部22の条件と同じであった。また、原料としては、実施例1の清掃シートと同様の原料(第1シート基材、第2シート基材及び弾性部材)を用いて、比較例1の清掃シートを作製した。作製された清掃シートは、第3工程を実施していないため、高延伸加工領域を有しておらず、弾性部材を挟んで隣り合う凸部どうしが直線状に配置されておらず不規則な凹凸パターンであった。尚、各弾性部材の伸長率は、300%であった。また、比較例1の清掃シートには油剤が担持されていない。
【0087】
[比較例2]
各弾性部材の伸長率が、200%である以外は、比較例1と同様の製造装置・原料を用いて、比較例2の清掃シートを作製した。また、比較例2の清掃シートには油剤が担持されていない。
【0088】
[比較例3]
原料として、弾性部材を用いない以外は、比較例1と同様の製造装置・原料(第1シート基材及び第2シート基材)を用いて、比較例3の清掃シートを作製した。また、比較例3の清掃シートには油剤が担持されていない。
【0089】
[比較例4]
市販の清掃シート(商品名「乾拭きワイパー」、レック株式会社製)を比較例4の清掃シートとした。尚、比較例4の清掃シートは、スパンレース不織布からなるシートであり、弾性部材を有しておらず、また、表面から0.1mm以上の高さで起毛している繊維における1mm以上の高さで起毛している繊維の割合が25%未満である。また、比較例4の清掃シートは、1.9質量%の流動パラフィンからなる油剤が担持されていた。
【0090】
〔性能評価〕
実施例1〜3、比較例1〜4の清掃シートに関し、上記方法に従って、起毛本数と起毛高さを実測して、表面から0.1mm以上の高さで起毛している繊維における1mm以上の高さで起毛している繊維の割合(%)を求めた。また、実施例1〜3、比較例1〜4の清掃シートに関し、下記方法に従って、髪の毛捕集性、微細ダスト捕集性、粒ゴミ(ごま粒)捕集性をそれぞれ評価した。評価環境は室温20℃、湿度60%RHであった。それらの結果を下記表1に示す。
【0091】
〔髪の毛の捕集性〕
クイックルワイパー(登録商標)〔花王(株)製〕のヘッド部に実施例1〜3、比較例1〜4の清掃シートを装着した。弾性部材を有する比較例1〜2の清掃シートは、ヘッド部の幅方向と弾性部材の延びる方向とが直交するように装着した。30cm×90cmのフローリング(松下電工(株)製 ウッディF)上に約10cmの髪の毛を10本散布し、その上に清掃シートを装着したヘッド部を乗せて一定のストローク(40cm)でヘッド部の幅方向に沿って1往復清拭し、清掃シート10に髪の毛を捕集させる。その後、ワイパーヘッド部を上下10cmのストロークで10回振り、清掃シートに保持されていない髪の毛を落とした後、該清掃シートに保持された髪の毛の本数を測定した。この操作を、1種類の清掃シートにつき連続5枚実施して、50本中何本の髪の毛が捕集されたかを測定した。捕集された髪の毛の数を50で除し、これに100を乗じて、その値を髪の毛の捕集率(%)とした。そして、その捕集率を以下の基準に基づき髪の毛の捕集性として評価した。
A:捕集率80%以上であり、髪の毛捕集性は良好。
B:捕集率60%以上80%未満であり、髪の毛捕集性は実用上十分なレベル。
C:捕集率40%以上60%未満であり、髪の毛捕集性にやや劣るが実用可能なレベル。
D:捕集率40%未満であり、髪の毛捕集性は実用不可レベル。
【0092】
〔微細ダストの捕集性〕
クイックルワイパー(登録商標)〔花王(株)製〕のヘッド部に実施例1〜3、比較例1〜4の清掃シートを装着した。弾性部材を有する比較例1〜2の清掃シートは、ヘッド部の幅方向と弾性部材の延びる方向とが直交するように装着した。90cm×90cmのフローリング(松下電工(株)製 ウッディF)の略全面に、試験用ダスト7種(日本粉体工業技術協会製、「JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」に規定する試験用粉体1の7種」)0.2g(7種の合計重量が0.2g)を散布した後、清掃シートを装着したヘッド部を一定のストローク(60cm)でヘッド部の幅方向に沿って動かして該フローリング面の全域を2回清拭し、清掃シートに付着したダストの質量を測定した。清掃シートに付着したダストの質量は、清拭後の清掃シートの総質量から、予め測定した清拭前の清掃シートの総質量を差し引くことで測定される。以上の操作を、1種類の清掃シートにつき5枚連続して実施して、5枚の清掃シートによって捕集されたダストの総質量(捕集総質量)を記録した。そして、この捕集総質量を1.0(散布されたダストの総質量)で除し、更に100を乗じて得た値を微細ダスト捕集率(%)とした。そして、その捕集率を以下の基準に基づき微細ダスト捕集性として評価した。
A:捕集率が70%以上であり、微細ダストの捕集性は良好。
B:捕集率50%以上70%未満であり、微細ダストの捕集性は実用上十分なレベル。
C:捕集率40%以上50%未満であり、微細ダストの捕集性にやや劣るが実用可能なレベル。
D:捕集率40%未満であり、微細ダストの捕集性は実用不可レベル。
【0093】
〔粒ゴミの捕集性〕
クイックルワイパー(登録商標)〔花王(株)製〕のヘッド部に実施例1〜3、比較例1〜4の清掃シートを装着した。弾性部材を有する比較例1〜2の清掃シートは、ヘッド部の幅方向と弾性部材の延びる方向とが直交するように装着した。30cm×90cmのフローリング(松下電工(株)製 ウッディF)上にゴマ粒を10個散布し、その上に清掃シートを装着したヘッド部を乗せて一定のストローク(60cm)でヘッド部の幅方向に沿って1往復清拭し、清掃シートにゴマ粒を捕集させる。その後、ワイパーヘッド部を上下10cmのストロークで10回振り、清掃シートに保持されていないゴマ粒を落とした後、該清掃シートに保持されたゴマ粒の個数を測定した。この操作を連続5枚実施して、50個中何個のゴマ粒が捕集されたかを測定した。捕集されたゴマ粒の数を50で除し、これに100を乗じて、その値をゴマ粒の捕集率(%)とした。そして、その捕集率を以下の基準に基づき粒ゴミの捕集性として評価した。
A:捕集率70%以上であり、粒ゴミの捕集性は良好。
B:捕集率60%以上70%未満であり、粒ゴミの捕集性は実用上十分なレベル。
C:捕集率40%以上60%未満であり、粒ゴミの捕集性にやや劣るレベル。
D:捕集率40%未満であり、粒ゴミの捕集性は実用不可レベル。
【0094】
【表1】
【0095】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜3の清掃シートは、比較例1〜4の清掃シートに比べ、粒ゴミの捕集性が高いシートであった。
また、実施例1の清掃シートは、実施例2の清掃シートに比べ、粒ゴミの捕集性のみならず、髪の毛の捕集性及び微細ダストの捕集性も高いシートであった。