特許第6330005号(P6330005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6330005
(24)【登録日】2018年4月27日
(45)【発行日】2018年5月23日
(54)【発明の名称】遮光兼用太陽光発電装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 10/10 20060101AFI20180514BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20180514BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20180514BHJP
   A01G 9/20 20060101ALI20180514BHJP
【FI】
   E04F10/10ETD
   E04D13/18
   H02S20/10 N
   H02S20/10 P
   A01G9/20 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-183154(P2016-183154)
(22)【出願日】2016年9月20日
(65)【公開番号】特開2018-48455(P2018-48455A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2016年11月1日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第30条第2項適用、平成28年9月7〜9日インテックス大阪(大阪府大阪市住之江区南港北1−5−102)において開催された第4回関西太陽光システム施工展で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】塚原 英明
【審査官】 坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−026357(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0211795(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0218664(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02669594(EP,A1)
【文献】 特開2003−318430(JP,A)
【文献】 特開平10−125945(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02020467(EP,A1)
【文献】 国際公開第2011/059062(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 10/10
H02S 20/00−20/32
E04D 13/00
E04D 13/18
E04D 3/40
A01G 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配置される前端辺と後端辺及びこれらと直交する左側辺と右側辺の4辺を具備し、建物内の採光部分の直下に概略水平に設けられる矩形の支持枠と、
前記支持枠上に、前記両側辺と平行に前記両端辺間に支架される少なくとも平行一対の支持レールと、
前記支持レールと平行に、前記支持枠の両端辺間に張られ、前記後端辺側への繰り出し状態と前記前端辺側への繰り戻し状態との間をモータ駆動で延線方向に繰り出し、繰り戻し自在の牽引ワイヤと、
それぞれ左右両側に前記支持レール上を転動可能なローラを具備し、連結ロッドにより相互に間隔を置いて相対回転自在に連結されると共に、前記牽引ワイヤに連結され、当該牽引ワイヤの繰り出し動作に連動して前記支持枠内に相互間隔を置いて概略水平に展開し、前記牽引ワイヤの繰り戻し動作に連動して前記支持枠内の前端辺側に概略垂直に折り重なって格納されるように、前記支持レールに沿って移動自在の複数の太陽電池パネルとを具備し、
前記各太陽電池パネルは、矩形板状のパネル本体と、当該パネル本体を前記支持レールに移動自在に支持する前記ローラとを具備し、
前記パネル本体は、前記各太陽電池パネルがほぼ水平に展開したときに前記支持枠の前端辺側にこれと平行に配置される前側辺と、後端辺側にこれと平行に配置される後側辺と、前記支持枠の左側辺側にこれと平行に配置される左側辺と、右側辺側にこれと平行に配置される右側辺と、太陽光を受光する受光面と、その反対の裏面とを具備し、
前記ローラは、前記支持レール上に前記パネル本体を軸周りに回転自在に支持するように、前記パネル本体の左側辺及び右側辺の外側中央に設けられ、
前記連結ロッドは、相隣接する前記各太陽電池パネルの前記後側辺と前側辺とを相対回転自在に連結し、
前記複数の太陽電池パネルのうち前端に配置される太陽電池パネルは、前記支持レール上に、前記ローラの軸周りに相対回転自在かつレールの延長方向に移動不能に支持され、
前記複数の太陽電池パネルのうち後端に配置される太陽電池パネルは、前記左右側辺の外側中央部において前記牽引ワイヤに係止され、
前記各太陽電池パネルは、展開状態において、前記受光面を上に向け、わずかに前側辺側が上昇する傾斜を持つように前記支持レール上に支持され、それによって、前記牽引ワイヤの繰り戻し動作時に、前記前側辺を上に向けてほぼ垂直に折り重なって格納されるように構成されていることを特徴とする遮光兼用太陽光発電装置。
【請求項2】
前記パネル本体は、可撓性シート状基体の表面側に可撓性太陽電池モジュールを積層した可撓性の太陽電池積層シートと、当該太陽電池積層シートの四囲を囲む前側枠材、後側枠材、左側枠材及び右側枠材を具備することを特徴とする請求項に記載の遮光兼用太陽光発電装置。
【請求項3】
前記パネル本体の前側枠材には、前記太陽電池パネルが、展開状態において、前記受光面を上に向け、わずかに前側枠材側に上昇する傾斜を持つように前記支持レール上の上面に当接する当接片が設けられることを特徴とする請求項に記載の遮光兼用太陽光発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の採光部分から室内に入射する太陽光を部分的に太陽電池セルで遮光することにより、室内で必要とされる光量を確保しつつ、太陽光発電を行う太陽光発電装置に関し、例えば、植物栽培温室等の農業分野の建物内において、採光量制御を行いながら、遮光した太陽光を発電に利用する太陽光発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
温室やアトリウムなどの建物内の採光部分の直下に、複数枚の太陽電池セルを透明な合成樹脂で被覆してなる薄型軽量太陽電池モジュールを配設し、あるいは複数の該薄型軽量太陽電池モジュールを配設した構成の太陽電池アレイを設け、建物内への採光は太陽電池モジュールの太陽電池セルと太陽電池セルの間及び/又は太陽電池アレイの太陽電池モジュールと太陽電池モジュールの間から行う太陽光発電システムが特許文献1に提案されている。具体的には、太陽電池モジュール又は太陽電池アレイをシート状に構成し、シート状に構成した太陽電池モジュール又は太陽電池アレイの全部又は一部を収納できる巻き取り式の収納機構(図9)を設け、建物内への採光量を調整できるようにする。また、太陽電池アレイを、太陽電池モジュールと太陽光透過部分が屈曲自在に接続配列された展開・収縮自在の蛇腹式の構成とし、あるいは太陽電池モジュールと太陽光透過部分が配置されてなる複数のサブアレイがスライドして展開、収納される展開・収納自在のスライド式の構成(図11)とし、駆動機構で展開・収縮又は展開・収納させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−26357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来のものとは異なる構成で、採光調整と太陽光発電とを同時に行うことができる太陽光発電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の太陽光発電装置1は、建物内の採光部分の直下に概略水平に設けられる矩形の支持枠2と、この支持枠2上に支架される少なくとも平行一対の支持レール3と、支持レール3と平行に、支持枠2に張られモータ駆動で延線方向に繰り出し繰り戻し自在の牽引ワイヤWと、連結ロッド6により相互に間隔を置いて連結されると共に、牽引ワイヤWに連結される複数の太陽電池パネル5とを具備する。支持枠2は、互いに平行に配置される前端辺2aと後端辺2b及びこれらと直交する左側辺2cと右側辺2dの4辺を具備する。支持レール3は、支持枠2上に、両側辺2c,2dと平行に両端辺2a,2b間に支架される。牽引ワイヤWは、支持レール3と平行に、支持枠2に張られ、後端辺2b側へ繰り出され、前端辺2a側へ繰り戻される。太陽電池パネル5は、それぞれ左右両側中央に前記支持レール上を転動可能なローラを具備し、連結ロッド6により相対回転自在に連結され、牽引ワイヤWの繰り出し動作に連動して支持枠2内に相互間隔を置いて概略水平に展開し、牽引ワイヤWの繰り戻し動作に連動して支持枠2内の前端辺2a側に概略垂直に折り重なって格納されるように、支持レール3に沿って移動自在である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の太陽光発電装置1は、不使用時に、支持枠内の前端辺側に概略垂直に折り重なって格納される。モータを始動して牽引ワイヤW1を繰り出すと、支持枠の後端辺側の太陽電池パネルから順次、前端辺側の太陽電池パネルへと牽引ワイヤW1に引かれて同方向に転倒する。全てがほぼ水平に転倒した展開状態でモータが停止する。これにより、建物の採光部から入射する太陽光の多くを太陽電池パネルで遮蔽し、下方への入射を制限すると同時に、太陽電池パネルに受けた太陽光により発電を行うことができる。牽引ワイヤW1を繰り戻すと、支持枠の後端辺側の太陽電池パネルから順次、前端辺側の太陽電池パネルへと連結ロッドに押されて同方向に起立し、前端辺側へ集合する。全てがほぼ垂直に起立して重畳した格納状態でモータMが停止する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る太陽光発電装置全体の繰り出し状態の平面図である。
図2図1の太陽光発電装置の繰り出し状態の正面図である。
図3図1の太陽光発電装置の繰り戻し状態の正面図である。
図4図1おけるIV部の拡大平面図である。
図5図1おけるV部の拡大正面図である。
図6図1おける展開状態のVI−VI拡大断面図である。
図7図1おける格納状態のVII−VII拡大断面図である。
図8図1おけるVIII−VIII拡大断面図である。
図9図1おけるIX部の拡大平面図である。
図10図1おけるX部の拡大平面図である。
図11図2おけるXI部の拡大正面図である。
図12図2おけるXII部の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図3において、太陽光発電装置1は、図示しない温室などの建物内の採光部分の直下に水平に設けられる支持枠2上に複数の太陽電池パネル5を前端側へ収束(図3)させたり、後端側へ展開させたり(図1,2)できるように設けてなる。建物が温室であれば、支持枠2の下方に植物が栽培される。
【0009】
支持枠2は、アルミ型材等を矩形に組んでなり、互いに平行に配置される前端辺2aと後端辺2b及びこれらと直交する左側辺2cと右側辺2dの4辺を具備する。
【0010】
アルミアングル材等からなる3本の支持レール3a,3b,3cが、支持枠2の両側辺2c、2dと平行に、両端辺2a,2b間に支架される。
【0011】
牽引ワイヤWが、支持枠2の前端辺2aと後端辺2b上に設けられたスプロケット4間に掛け回される。牽引ワイヤWは、前端辺2a側に設けられたモータMにより、後端辺2b側へ進む方向へ繰り出され、前端辺2a側へ進む方向へ繰り戻される。
【0012】
複数の太陽電池パネル5が、連結ロッド6により相互に間隔を置いて連結され、支持レール3上に移動自在に支持される。図示の実施形態において、太陽電池パネル5は、左右に2列設けられ、3本の支持レール3a,3b,3c上に支持されているが、1列の太陽電池パネル5を2本の支持レール上に支持する構成でもよい。太陽電池パネル5は、矩形板状のパネル本体7と、当該パネル本体7を支持レール3に移動自在に支持するローラ8とを具備する。
【0013】
図4図5に示すように、パネル本体7は、可撓性の太陽電池積層シート9と、それの四囲を囲む4つの枠材10a,10b,10c,10dとを具備する。太陽電池積層シート9は、可撓性シート状基体9aの表面側に可撓性太陽電池モジュール9bを積層してなる。太陽電池パネル5が支持枠2内に相互間隔を置いてほぼ水平に展開した状態において、前側枠材10aは支持枠2の前端辺2a側にこれと平行に、後側枠材10bは支持枠の後端辺2b側にこれと平行にそれぞれ配置され、太陽電池モジュール9bが積層された側の受光面が上方に向く。受光面の反対側が裏面となる。前側枠材10aのレール3b側の端部には、当接片11が、展開状態における前方へ延出するように取り付けられる。図6図8に示すように、当接片11が支持レール3の上面に当接することにより、太陽電池パネル5が、展開状態において、受光面を上に向け、わずかに前端辺2a側へ上昇する傾斜を持つように配置される。
【0014】
ローラ8は、パネル本体7の左側枠材10c、右側枠材10dの側面の前後方向中央に軸8aで取り付けられる。左右に並ぶ2つの太陽電池パネル5の一方のローラ8は、軸8aで左右の両太陽電池パネル5に共通に支持され、中央の支持レール3b上に乗っている。図9図11に示すように、前端の太陽電池パネル5のローラ8は、レール3に固定されたローラ保持金具13に保持され、レール3上を移動できない。この太陽電池パネル5は、当該ローラ8の軸周りには回転自在である。
【0015】
前後に隣接する太陽電池パネル5同士は、左側枠材10c又は右側枠材10dの側面の前後端部において、連結ロッド6の両端に相対回転自在に連結される。図10に示すように、牽引ワイヤWは、もっとも後端辺2b側に位置する太陽電池パネル5の左側枠材10cの側面に止め金具12で係止される。
【0016】
したがって、太陽電池パネル5は、牽引ワイヤWの繰り出し、繰り戻し動作に連動して支持レール3に沿って移動する。図3図7に示すように格納状態にある太陽電池パネル5は、牽引ワイヤWが繰り出されると、支持枠2内に相互間隔を置いて概略水平になるように展開し、牽引ワイヤWの繰り戻されると、支持枠2内の前端辺2a側に集積し、概略垂直に折り重なって格納される。
【0017】
太陽光発電装置1は、不使用時において、牽引ワイヤWを繰り戻した状態で、支持枠2内の前端辺2a側に太陽電池パネル5が集積した格納状態(図3図7)にある。この状態において、太陽電池パネル5は、交互に表裏を対面させて概略垂直に折り重なった状態にある。モータMを起動して牽引ワイヤWを繰り出すと、後端の太陽電池パネル5から順次、前端の太陽電池パネルへと、連結ロッド6を介して牽引ワイヤW1に引かれ、支持ローラ8の軸8aを中心にして、図3図7において時計方向へ回転しつつ、支持レール3上を後方へ移動する。全てがほぼ水平に転倒した展開状態(図1図2)で、図10に示すように、後端の太陽電池パネル5の支持ローラ8の軸8aがリミットスイッチ15を起動させ、モータMが停止する。これにより、建物の採光部から入射する太陽光の多くを太陽電池パネル5で遮蔽し、下方への入射を制限すると同時に、太陽電池パネル5に受けた太陽光により発電を行うことができる。
【0018】
この状態から、牽引ワイヤWを繰り戻すと、後端の太陽電池パネル5から順次、前端の太陽電池パネル5へと、連結ロッド6に押され、後端側が押し下げられ、前端側が押し上げられるように、図3図6において反時計方向へ回転しつつ、支持レール3上を前方へ移動する。太陽電池パネル5の前端側の当接片11が支持レール3bの上面に当接しているため、各太陽電池パネル5は、前端側が後端側よりわずかに上位にあり、かつ当接片11により下方への回転が阻止されるため、確実に同方向へ回転して起立し、図3図7に示すように、前端辺2a側へ集合する。全てがほぼ垂直に起立して重畳した格納状態で、図11に示すように、最後部の太陽電池パネル5がリミットスイッチ14を起動させ、モータMが停止する。
【符号の説明】
【0019】
1 太陽光発電装置
2 支持枠
2a 前端辺
2b 後端辺
2c 左側辺
2d 右側辺
3a 支持レール
3b 支持レール
3c 支持レール
4 スプロケット
5 太陽電池パネル
6 連結ロッド
7 パネル本体
8 支持ローラ
9 太陽電池積層シート
9a シート基体
9b 太陽電池モジュール
10a 前側枠材(前側辺)
10b 後側枠材(後側辺)
10c 左側枠材(左側辺)
10d 右側枠材(右側辺)
11 当接片
12 止め具
13 ローラ保持金具
14 リミットスイッチ
15 リミットスイッチ
M モータ
W 牽引ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12