(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のキャップCを図面に基づいて説明する。
先ず、本発明のキャップCが取り付けられる注出口具10について説明する。
図1に示すように、注出口具10は、上端側が開放されるとともに、下端側が閉塞壁11によって塞がれた有底円筒状に形成されている。注出口具10の外周面(側面)の下部位置には、包装袋等の容器の開口部分に取り付けるための取付部10aが突設されている。また、注出口具10の外周面の中央位置には環状のフランジ12が設けられるとともに、同外周面の上部位置には雄螺子13が設けられている。
【0013】
注出口具10の下端を塞ぐ閉塞壁11には、閉塞壁11の上面(内面)側から溝を形成することによって薄肉状に形成される環状の破断誘導部11aが設けられている。閉塞壁11における破断誘導部11aの内側位置には、引張部14が設けられている。引張部14は閉塞壁11から上方に延びる軸体14bと、軸体14bの上端に形成されるリング状の把持部14aとから構成されている。注出口具10の下面全体にはガスバリアフィルム60が貼り付けられている。ガスバリアフィルム60としては、例えば、アルミニウム箔層、エチレンビニル−アルコール共重合体層、セラミック蒸着フィルム層等をガスバリア層として有する多層樹脂シートを用いられる。
【0014】
次に、上記注出口具10に取り付けられるキャップCについて説明する。
図1(b)に示すように、キャップCは、下端側が開放されるとともに、上端側が上壁21によって塞がれた有蓋円筒状の本体部20を備えている。本体部20の上壁21は、その外周側部分に平面部22が形成されるとともに、その中央部分に、上方に向かって膨出するドーム状の膨出部23が形成されている。そして、膨出部23の頂点となる中央位置には略円筒状の注出口24が設けられている。注出口24の内周面は先端から基端に向かって縮径する逆テーパ状に形成されている。そして、注出口24の先端部分は、周方向に高さが異なる傾斜状に形成されるとともに、外側に向かって広がる形状に形成されている。また、膨出部23における注出口24の周囲には、液ダレを防止するための環状の周壁25が立設されている。
【0015】
本体部20の内周面には注出口具10の雄螺子13に係合する雌螺子26が設けられている。また、上壁21の下面(内面)の外周側には、注出口具10の雄螺子13と本体部20の雌螺子26とを係合させた際に、注出口具10の内周面に接して同内周面を支持する挟持壁27が立設されている。挟持壁27は注出口具10と同一中心の環状をなす環状壁であり、注出口具10の雄螺子13と本体部20の雌螺子26とを係合させた際に、注出口具10の内周面と把持部14aとの間に収容されるように、その形成位置が設定されている。
【0016】
上壁21における膨出部23の下面(内面)には、注出口24を中心とする環状の支持壁28が立設されている。支持壁28と挟持壁27とは同一中心の環状をなし、支持壁28は挟持壁27の内側に位置している。支持壁28は、注出口24に連通される流路を内部に形成している。また、支持壁28は、注出口具10の雄螺子13と本体部20の雌螺子26とを係合させた際に、注出口具10に設けられる引張部14の把持部14aの内側に収容されるように、その形成位置が設定されている。
【0017】
支持壁28の内周面には第1段部28a及び第2段部28bが形成され、支持壁28は両段部において内周面が先端側に向かって段階的に拡径している。支持壁28の内域において、第1段部28aと第2段部28bとの間に位置する領域には逆止弁30が取り付けられるとともに、第2段部28bと先端部との間に位置する領域には、逆止弁30の脱落を防止するための脱落防止部材40が取り付けられている。また、支持壁28の内周面における第2段部28bと先端部との間の部位には、脱落防止部材40と係合する係合溝が設けられている。
【0018】
図2に示すように、逆止弁30は、内域に流路を形成する筒状の基部31と、基部31の上端開口を閉鎖するフラップ部32と、基部31及びフラップ部32を接続するヒンジ部33とからなるスイング型の逆止弁である。そして、この逆止弁30は弾性変形可能な軟質の合成樹脂材料(例えば、シリコーンゴム)、又は天然ゴムにより一体に形成されている。逆止弁30を構成する合成樹脂材料の硬度は、フラップ部32の開閉動作の正確性確保の観点から、JIS−K6253に準拠したタイプAデュロメータによる測定値において、A10/S〜A90/Sの範囲であることが好ましい。
【0019】
基部31は断面欠円状の流路を内域に形成する円筒形状に形成されている。そして、基部31の外径は、本体部20の支持壁28における第1段部28aと第2段部28bとの間の部位の内径よりも僅かに小さい径に設定されている。フラップ部32は断面欠円状をなすブロック状の蓋部分であり、その周縁の一部分においてヒンジ部33を介して基部31に接続されている。また、基部31の上端面におけるヒンジ部33側の部位、即ち、逆止弁30の基部31における開口の中心Pよりもヒンジ部33側の部位には、基部31の上端面から外周面にかけて切り欠いた形状の液溜まり部34が設けられている。特に本実施形態においては、基部31の開口の中心Pに対してヒンジ部33よりも遠くに位置する部位に液溜まり部34が設けられている。
【0020】
図2に示すように、フラップ部32の上部周縁には側方に突出するフランジ部32aが設けられている。そして、フラップ部32は、フランジ部32aが設けられる上部側において基部31の流路断面よりも大きく、且つ下部側は流路断面よりも小さくなるように形成され、その側面は上部側から下部側に向かって徐々に縮径するテーパ状に形成されている。なお、フランジ部32aとは、フラップ部32における基部31の流路断面よりも大きい部分(後述する基部31の弁座部31aに係止され得る部分)に対応する概念である。
【0021】
また、フラップ部32の上部周縁におけるヒンジ部33との接続部位の反対側の位置には、フランジ部32aを直線状に切り欠いた形状の切欠部32bが設けられている。
図2(b)及び(c)に示すように、切欠部32bは、基部31の軸線方向(
図2(b)における上下方向)において、その一部(X部分)が基部31の上端開口に沿う形状に形成されている。
【0022】
図2(b)に示すように、ヒンジ部33は、フラップ部32における一側面(欠円の直線部分をなす面)の上部と基部31の上端部分とを接続する。そして、このヒンジ部33を基点として、フラップ部32は基部31の上端開口を閉鎖する閉位置と上端開口を開放する開位置との間で回動可能である。
【0023】
上記閉位置は、基部31の弁座部31a(上端開口縁全体)とフラップ部32のフランジ部32aとが接触して係止される位置であり、上記開位置は、ヒンジ部33を基点としてフラップ部32が上方に回動して、基部31の弁座部31aから離間した位置である。
図2(b)に示すように、フラップ部32が閉位置にあるとき、フラップ部32の切欠部32bの一部(基部31の上端開口に沿う部分X)は、逆止弁30の縦断面において、基部31に対して一点で接触する状態となる。また、フラップ部32が閉位置にあるとき、フラップ部32の下面は基部31の内域(流路内)に位置している。
【0024】
図1(b)に示すように、逆止弁30は、支持壁28の第1段部28aに対して基部31の上端を当接させた状態として、支持壁28の内域における第1段部28aと第2段部28bとの間の領域に取り付けられる。このとき、逆止弁30はヒンジ部33が形成されている側が、注出口24の先端部分の高い側(図中左側)に位置するように取り付けられる。
【0025】
支持壁28の内域における第1段部28aの上方部分には、逆止弁30のフラップ部32の回動を許容するための空間Sが確保されている。この空間Sの高さ、即ち膨出部23の下面から第1段部28aまでの距離は、フラップ部32が90度上方に回動した状態であっても、フラップ部32が上壁21(膨出部23)の下面に当接しない高さに設定されている。上記範囲に設定することにより、フラップ部32が開位置にある場合における通過面積を好適に確保することができる。
【0026】
図3に示すように、脱落防止部材40は内域に流路を形成する円環状の部材である。脱落防止部材40の外径は本体部20の支持壁28における第2段部28bと先端部との間の部位の内径よりも僅かに小さい径に設定されている。脱落防止部材40の外周面には、支持壁28の内周面に設けられた係合溝に係合する係合突部41が設けられている。また、脱落防止部材40の内周部分には、対向する内周面間を接続する架橋壁42が設けられるとともに、架橋壁42の上部中央位置には上方へ向かって延びる断面十字状の規制突起43が設けられている。
【0027】
図1(b)に示すように、脱落防止部材40は、支持壁28の第2段部28b、及び逆止弁30の基部31の下端に対して、その上面を当接させた状態として、支持壁28の内域における第2段部28bと先端部との間の領域に取り付けられる。このとき、脱落防止部材40の外周面に設けられた係合突部41と支持壁28の内周面に設けられた係合溝とが係合することによって、脱落防止部材40は支持壁28内に固定される。支持壁28内に逆止弁30及び脱落防止部材40が共に取り付けられた状態において、脱落防止部材40の規制突起43の先端部分は、逆止弁30の基部31の内域に位置して、閉位置にあるフラップ部32の下面に当接する。
【0028】
また、
図1に示すように、本体部20には、ヒンジ部51を介してキャップ部50が設けられている。キャップ部50はヒンジ部51を基点として、上壁21の膨出部23を覆う閉位置と同膨出部23を露出させる開位置との間で回動することが可能である。本体部20におけるヒンジ部51の形成位置は、逆止弁30のヒンジ部33が形成される側と反対側、即ち本体部20の中心軸線を挟んで逆止弁30のヒンジ部33に対向する位置に設定されている。換言すれば、流路の周方向において、キャップ部50のヒンジ部51の形成位置と、フラップ部32のヒンジ部33の形成位置とが180度ずれて位置している。
【0029】
本体部20におけるヒンジ部51の形成位置は、注出口具10に取り付けたキャップCの注出口24から内容物を注出する際における注出口具10及びキャップCの傾け方向を規定する。つまり、注出時にはヒンジ部51の形成位置の反対側を下に向けるように傾けて使用される。したがって、逆止弁30は、ヒンジ部33が形成される側が注出時に下側に位置するように取り付けられることになる。そして、注出口24は、先端部分の高い側(図中左側)が注出時に下側に位置するように形成されていることになる。
【0030】
図1(b)に示すように、キャップ部50の上部内面には、キャップ部50を閉位置に位置させたときに注出口24に挿入されて注出口24を塞ぐ挿入突起52が設けられている。なお、符号を省略しているが、キャップ部50の内周面及び上壁21の膨出部23の外周面には、互いに係合してキャップ部50を閉じた状態で保持するための突起状の係合部がそれぞれ設けられている。
【0031】
ところで、キャップ部50と本体部20とを接続するヒンジ部51は、キャップ部50の開閉動が繰り返し行われることにより伸びてしまうことがある。ヒンジ部51に伸びが生じると、キャップ部50を正しい閉位置に位置させることができなくなり、閉位置においてキャップ部50及び膨出部23の各係合部を係合させてキャップ部50を保持することが困難になる場合がある。そこで、本実施形態では、上壁21の平面部22上面におけるヒンジ部51の近傍位置に位置決め突起29を設けている。この位置決め突起29は、キャップ部50を閉位置に位置させたときにキャップ部50の内周面に当接して、キャップ部50の位置を位置決めする。これにより、キャップ部50を正しい閉位置に位置させることができ、閉位置におけるキャップ部50と膨出部23との係合関係を好適に形成させることができる。
【0032】
なお、キャップCにおける逆止弁30以外の部位(本体部20、脱落防止部材40、及びキャップ部50)には、注出口具に取り付けられるキャップに一般に使用される公知の合成樹脂材料を用いることができる。公知の合成樹脂材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0033】
次に、本実施形態の作用について以下に記載する。
本実施形態のキャップCは、液体状の内容物を収容する所定の容器(例えば、樹脂シートにより袋状に形成された包装袋)の開口部に固定された上記注出口具10に取り付けて使用される。
【0034】
容器の開口部に固定された注出口具10は以下に記載する開封処理を行うことによって、容器内から内容物を注出可能な状態となる。先ず、キャップCを回転させてキャップCを注出口具10から取り外す。その後、把持部14aを把持して上方に引っ張ることにより、閉塞壁11の破断誘導部11a及びガスバリアフィルム60の一部を引き裂いて注出口具10の下端を開口させる。そして、キャップCを再度、注出口具10に取り付けるとともに、キャップCのキャップ部50を開けることによって、容器内の内容物を注出可能な開封状態となる。
【0035】
開封状態として容器を傾けると、容器内の内容物は注出口具10内、及びキャップCの支持壁28内の流路を通過して逆止弁30に達する。そして、内容物の注出圧が逆止弁30のフラップ部32に作用すると、内容物に押圧されてフラップ部32が閉位置から開位置へ回動して逆止弁30は内容物の通過を許容する状態となり、注出口24から内容物が注出される。
【0036】
容器を傾けた状態から元の状態に戻すと、逆止弁30のフラップ部32に対する内容物による押圧状態が解消されて、逆止弁30は開位置から閉位置に戻る。このとき、逆止弁30のフラップ部32の下面が基部31の内域にて脱落防止部材40に設けられた規制突起43の先端に当接するとともに、フラップ部32のフランジ部32aが弁座部31aに係止されて、それ以上の基部31内へのフラップ部32の潜り込みが規制される。そして、フラップ部32に対して内容物の注出圧が作用しない通常の載置状態においては、フラップ部32は基部31内の流路を閉鎖する閉位置に位置する。
【0037】
容器を傾けた状態から元の状態に戻す際、逆止弁30が完全に閉位置に移行するまでの間においては、逆止弁30の上部側の空間Sに残った内容物は逆止弁30の基部31とフラップ部32との間の隙間(戻り流路A)を通って容器側へと戻ることができる。このとき、
図4(b)に示すように、逆止弁30のフラップ部32の周縁に切欠部32bを設けた部分においては、内容物が逆止弁30の上部側から容器側へと戻るための戻り流路Aが大きく確保される。そして、戻り流路Aが大きく確保されることにより、空間Sに存在する内容物を容器側へ効率よく戻すことができる。
【0038】
逆止弁30が完全に閉位置に移行した後、内容物が十分に戻りきらずに逆止弁30の上部側の空間Sに多くの残留内容物が残ってしまう場合がある。この場合、残留内容物は、先ず逆止弁30に設けられた液溜まり部34内、より具体的には基部31の液溜まり部34と本体部20の支持壁28の内周面とにより囲まれた空間Tに収容される。そして、逆止弁30上の空間S内には、液溜まり部34から溢れた残留内容物が収容されることになる。そのため、残留内容物が逆止弁30上の空間S内に多量に収容されることが抑制される。これにより、容器を僅かに傾けた場合や、キャップ部50を閉じて逆止弁30上の空間S内に挿入突起52が挿入された場合においても、逆止弁30上の残留内容物がこぼれ難くなる。
【0039】
また、逆止弁30が完全に閉位置に移行した後、内容物が十分に戻りきらずに逆止弁30の上部側の空間Sに多くの残留内容物が残った場合には、逆止弁30の上部に内容物の質量に基づく圧力が作用する。この圧力が所定の値を超えると、逆止弁30の縦断面において、フラップ部32の切欠部32bと基部31とが一点で接触する部分X(
図2(b)及び(c)参照)を通じて、残留内容物が滲み出すようにして容器側へと戻る。
【0040】
次に、本実施形態の効果について、以下に記載する。
(1)キャップCは、下端側が開放されるとともに、上端側が注出口24を有する上壁21によって塞がれた有蓋筒状の本体部20と、注出口24を塞ぐキャップ部50とを備えている。本体部20の上壁21の下面には、注出口24に連通される流路を内部に有する環状の支持壁28が形成されるとともに、支持壁28には逆止弁30が設けられている。
【0041】
上記構成によれば、注出口具10の開封後においても、内容物の注出時を除いて閉じた状態にある逆止弁30がキャップCの本体部20の流路内に存在するため、容器内への外気の流入を抑制することができる。
【0042】
(2)逆止弁30には液溜まり部34が設けられている。上記構成によれば、残留内容物が逆止弁30上の空間S内に多量に収容されることが抑制されて、キャップ部50を閉じる際や包装袋を僅かに傾けた際にも逆止弁30上の残留内容物がこぼれ難くなる。
【0043】
(3)液溜まり部34は、逆止弁30の基部31の上端面に設けられるとともに、基部31における開口の中心Pよりもヒンジ部33側の部位に設けられている。
注出口具10を傾けた状態から元の状態に戻す際、基部31の開口の中心Pを基準として、ヒンジ部33と反対側の箇所ほど戻り流路Aが大きく形成される。そのため、逆止弁30上において、ヒンジ部33と反対側の近傍に存在する内容物は下部側へと戻りやすく、戻り流路Aが形成されないヒンジ部33の近傍に存在する内容物は下部側へ戻り難くなる傾向がある。したがって、内容物が戻り流路Aを通って下部側へ戻り難い箇所の近傍に位置する、基部31の開口の中心Pよりもヒンジ部33側の部位に対して液溜まり部34を設けた場合には、戻り流路Aを通って下部側へ戻ることなく逆止弁30上に残る残留内容物をより確実に液溜まり部34内に収容させることができる。
【0044】
(4)液溜まり部34は、逆止弁30の基部31における開口の中心Pよりもヒンジ部33側の部位であって、開口の中心Pに対してヒンジ部33よりも遠くに位置する部位に設けられている。逆止弁30の基部31における開口の中心Pよりもヒンジ部33側の部位は、開口の中心Pよりもヒンジ部33側の部位のなかでも、逆止弁30上における戻り流路Aが形成されない箇所の最も近くに位置している。そのため、上記構成によれば、上記(3)の効果を更に顕著に得ることができる。
【0045】
(5)フラップ部32の周縁に、基部31の上面に係止されるフランジ部32aと、一部が基部31の開口に沿う形状に形成される切欠部32bとを設けている。上記構成によれば、逆止弁30が完全に閉じるまでの間において、切欠部32bが設けられた部分では上記戻り流路Aがより大きく確保されて逆止弁30の下部側へより多くの内容物を戻すことができる。そのため、逆止弁30の上部に多量の残留内容物が溜まることを抑制できる。なお、上記「基部31の開口に沿う」という概念は、切欠部32b(の一部)が完全に基部31の開口に沿って形成されている状態のみに限らず、フランジ部32aの極一部が残存しているような状態も許容する概念である。
【0046】
(6)フラップ部32の周縁におけるヒンジ部33との接続部位の反対側に切欠部32bを設けている。フラップ部32の周縁におけるヒンジ部33との接続部位の反対側の部分は、逆止弁30が開位置から閉位置へ移る際に最後に閉じられる部分である。そのため、上記構成によれば、上記戻り流路Aをより大きく確保することができるという効果を、逆止弁30が完全に閉じるまで得ることができる。
【0047】
(7)フラップ部32が閉位置にある逆止弁30の縦断面において、フラップ部32の切欠部32bと基部31とが一点で接触する部分Xが存在するように構成している。上記構成によれば、逆止弁30が完全に閉じた後であっても、逆止弁30の上部に多量の残留内容物が溜まって逆止弁30に大きな圧力が作用する状況であれば、上記一点で接触する部分Xを通じて、残留内容物を逆止弁30の下部側へ戻すことも可能となる。そして、逆止弁30上の残留内容物が少量となると、上記一点で接触する部分Xを通じて戻ることなく逆止弁30の上部に残ったままとなる。このとき、逆止弁30の上部に少量の残留内容物が残ることにより、その残留内容物(の液膜)がガスバリア層として機能して、外気の流入を抑制するという効果を得ることができる。
【0048】
(8)逆止弁30として、弾性変形可能な軟質の合成樹脂材料(例えば、シリコンゴム)により一体に形成したものを用いている。上記構成によれば、製造が容易になるとともに、その製造コストも低く抑えることができる。
【0049】
(9)本体部20の流路内において、逆止弁30の基部31の弁座部31aよりも流路上流側位置に、フラップ部32の下面に当接してフラップ部32の基部31内への潜り込みを規制する規制突起43を設けている。上記構成によれば、何らかの力によってフラップ部32が基部31の弁座部31a側へ押し付けられて、弁座部31aを越えて基部31内の流路上流側へ潜り込もうとしても、規制突起43にフラップ部32の下面が当接することによって、フラップ部32の潜り込みが規制される。これにより、全体を弾性変形可能な合成樹脂材料により一体に形成した逆止弁30を採用した場合にも、フラップ部32の潜り込みが好適に抑制されて、閉じた状態にある逆止弁30に基づく外気の流入抑制効果をより確実に得ることができる。
【0050】
また、規制突起43を断面十字形状に形成することにより、規制突起43の強度を高めるとともに、フラップ部32の下面に当接する接触面積を増大させている。これにより、脱落防止部材40の成形誤差や取付誤差等によって、フラップ部32下面における規制突起43の当接部位が中央から周辺側へずれた場合にも、基部31内へのフラップ部32の潜り込みを好適に規制することができる。
【0051】
更に、フラップ部の周縁全体にフランジ部を設けた構成と比較して、フラップ部32の周縁に切欠部32bを設けた構成とした場合には、フランジ部32aのない部分(切欠部32b)が存在するために、フランジ部32aに基づく、基部31内へのフラップ部32の潜り込みを規制する作用が弱くなる。そこで、規制突起43を設けることによって、フラップ部32の周縁全体にフランジ部32aを設けた構成と同等以上に、基部31内へのフラップ部32の潜り込みを規制することができる。
【0052】
(10)脱落防止部材40に設けられる規制突起43について、逆止弁30の基部31の内域へ延びる形状に形成している。上記構成によれば、逆止弁30のフラップ部32が薄肉に形成されている場合であっても、フラップ部32の潜り込みを好適に抑制することができる。そのため、フラップ部32の薄肉化を容易に実現できる。
【0053】
(11)注出時にキャップCを所定の傾け方向(ヒンジ部51の形成位置により規定される傾け方向)に傾けた際に、ヒンジ部33が形成される側が下側に位置するように逆止弁30を取り付けている。具体的には、流路の周方向において、キャップ部50のヒンジ部51の形成位置と、フラップ部32のヒンジ部33の形成位置とが180度ずれて位置している。
【0054】
ヒンジ部51を介して接続されるキャップ部50を備える構成とした場合、注出時において、内容物がキャップ部50に接触することを避けるために、キャップ部50を上側に位置させて傾けられる。このとき、逆止弁のフラップ部のヒンジ部が、流路の周方向において、キャップ部50のヒンジ部51と同じ側に位置していると、容器を傾けて注出する際に、逆止弁30のフラップ部32のヒンジ部33も上側に位置することになり、フラップ部32に作用する重力が逆止弁30を閉位置とする方向に作用して、フラップ部32が開き難くなる。
【0055】
これに対して、流路の周方向において、キャップ部50のヒンジ部51の形成位置とフラップ部32のヒンジ部33の形成位置とを異ならせた場合には、容器を傾けて注出する際に、フラップ部32に作用する重力が逆止弁を閉位置とする方向に作用し難くなる。その結果、注出時に内容物が逆止弁を通過する際の通過抵抗が小さくなって、内容物を好適に流通させることができる。
【0056】
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、次の変更例を互いに組み合わせ、その組み合わせの構成のように上記実施形態を変更することも可能である。
【0057】
・上記実施形態では、逆止弁30の基部31におけるヒンジ部33側の部位に対して穴状の液溜まり部34を一つ設けていたが、液溜まり部34の数、形状、大きさ及び配置位置は、適宜変更することができる。例えば、基部31における液溜まり部34の配置位置を、基部31の開口の中心Pよりもヒンジ部33側の部位であって、開口の中心Pに対してヒンジ部33よりも近い部位に変更してもよいし、基部31の開口の中心Pを基準としてヒンジ部33と反対側の部位に変更してもよい。また、液溜まり部34を省略してもよい。
【0058】
また、
図5に示すように、逆止弁30の基部31の上端面に対して穴状又は溝状の液溜まり部34を設けてもよい。また、逆止弁30のフラップ部32の上端面に対して穴状又は溝状の液溜まり部34を設けてもよい。このように構成した場合には、液溜まり部34を設けるに際して、逆止弁30の基部31の外周面形状が変更されることがない。したがって、液溜まり部34を設けた場合にも、本体部20の支持壁28に対する逆止弁30の取付安定性を好適に確保することができる。
【0059】
更に、
図6に示すような液溜まり部34を形成することもできる。
図6に示す例では、基部31の流路内の中間位置に段差部分35を設けるとともに、段差部分35を弁座部とするフラップ部32を基部31内の中間位置に設けている。このように構成した場合には、基部31の流路内におけるフラップ部32の上方部分が液溜まり部34として機能する。
【0060】
・逆止弁30のフラップ部32の周縁に設けられるフランジ部32a及び切欠部32bの数、形状、大きさ及び各配置位置は、適宜変更することができる。
図2(d)に示すように、複数箇所に切欠部32bを形成してもよいし、ヒンジ部33との接続部位の反対側以外の部分に切欠部32bを形成してもよい。更に、上記実施形態では、切欠部32bの端面は、逆止弁30の軸線に沿った垂直面状に形成されていたが、上側に向かって内方に傾斜する傾斜面状に形成してもよい。
【0061】
・
図2(d)に示すように、切欠部32bを基部31の弁座部31a(開口縁)よりも内側まで形成して、切欠部32bに基づくフラップ部32の径を基部31の開口の径よりも小さくしてもよい。換言すれば、基部31の弁座部31a(開口縁)はヒンジ部33をなす直線状部分と円弧状部分とによって構成され、フラップ部32の円弧状部分の外径(フランジ部32aの突出長を除く)は、基部31の弁座部31aの円弧状部分の径よりも小さい。この場合には、閉状態においても、基部31の弁座部31aとフラップ部32との間に隙間が形成されることになる。この隙間を通して、逆止弁30の上部に溜まった残留内容物を容器側へ効率的に戻すことができる。
【0062】
・切欠部32bを設けることなく、フラップ部32の周縁全体にフランジ部32aが設けられる構成としてもよい。また、フランジ部32aを省略して、フラップ部32の周縁全体が切欠部32bに相当する形状となるように構成してもよい。
【0063】
・上記実施形態では、規制突起43は逆止弁30のフラップ部32の下面に当接するように配置されていたが、テーパ状に形成される側面に当接するように規制突起43を配置してもよい。
【0064】
・閉位置において、逆止弁30のフラップ部32の下面に必ずしも規制突起43が当接する必要はない。例えば、閉位置にあるフラップ部32の下面と規制突起43との間に僅かに隙間を設けておき、フラップ部32が閉位置よりもさらに内側に回動したところでフラップ部32と規制突起43とが当接する構成であってもよい。
【0065】
・規制突起43の形状は特に限定されるものではない。逆止弁30のフラップ部32の下面に当接してフラップ部32の潜り込みを規制可能な形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0066】
・規制突起43と逆止弁30のフラップ部32の当接位置は、基部31の内域に限られるものではなく、弁座部31aよりも流路の上流側の位置であれば上記実施形態と同様の規制作用を得ることができる。
【0067】
・逆止弁30のフラップ部32の下面に当接してフラップ部32の潜り込みを規制する規制部として、脱落防止部材40に設けられる規制突起43に代えて別の構成を採用してもよい。例えば、逆止弁30と脱落防止部材40との間に、規制突起43を備える規制部材を配置してもよいし、逆止弁30の基部31の流路内周面に突起部分や架橋部分を設けてもよい。逆止弁30に規制部を設ける場合は、基部31と一体形成されるようにしてもよいし、ピン等の他部材を配置させるようにしてもよい。
【0068】
・規制突起43等、逆止弁30のフラップ部32の下面に当接してフラップ部32の潜り込みを規制する規制部を省略してもよい。
・脱落防止部材40は、本体部20からの逆止弁30の脱落を防止するものであるが、逆止弁30の位置ずれを抑制するものであってもよい。また、脱落防止部材40を省略してもよい。
【0069】
・ヒンジ部51の形成位置によって注出時の傾け方向を規定していたが、注出口24の形状等の別の構成によって注出時の傾け方向を規定するようにしてもよい。
・流路の周方向において、キャップ部50のヒンジ部51の形成位置に対するフラップ部32のヒンジ部33の形成位置は特に限定されるものではない。少なくとも、キャップ部50のヒンジ部51の形成位置とフラップ部32のヒンジ部33の形成位置とが異なっていれば、上記(11)の効果を得ることができる。なお、流路の周方向において、キャップ部50のヒンジ部51の形成位置に対して、フラップ部32のヒンジ部33の形成位置を90度程度(例えば、80〜100度)ずらすことが特に好ましい。また、キャップ部50のヒンジ部51の形成位置とフラップ部32のヒンジ部33の形成位置とが重なっていてもよい。
【0070】
・上壁21の構成を適宜変更することが可能である。例えば、支持壁28の第1段部28aよりも上方の内空間が低くなるように調整すれば、フラップ部32の閉位置から開位置へ移行する回動量を所定の範囲内に規制することができる。また、本体部20の上壁21に設けられる周壁25についても、その配置、高さを変更するが可能である。
【0071】
・本体部20とキャップ部50とを別体として形成し、所定の係合手段によって互いに係合可能な構成であってもよい。
・逆止弁30として、フラップ型以外の逆止弁を用いてもよい。
【0072】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記逆止弁において、前記基部の開口の内径は、前記フラップ部の径よりも大きく形成されている前記キャップ。