特許第6330080号(P6330080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本コンラックスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6330080
(24)【登録日】2018年4月27日
(45)【発行日】2018年5月23日
(54)【発明の名称】紙幣収納装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20180514BHJP
   B65H 31/26 20060101ALI20180514BHJP
【FI】
   G07D9/00 408Z
   G07D9/00 405F
   B65H31/26
【請求項の数】2
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-89902(P2017-89902)
(22)【出願日】2017年4月28日
(62)【分割の表示】特願2013-157968(P2013-157968)の分割
【原出願日】2013年7月30日
(65)【公開番号】特開2017-168118(P2017-168118A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2017年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】307003777
【氏名又は名称】株式会社日本コンラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】大石 清
(72)【発明者】
【氏名】林 俊介
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平1−308352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
B65H 31/26−31/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣収納部と、該紙幣収納部に紙幣を整列積載収納する紙幣収納機構とを具えた紙幣収納装置において、
前記紙幣収納機構は、
紙幣の一方の平面に当接して前記紙幣収納部内へ前記紙幣を移動させる紙幣押圧板と、
該紙幣押圧板が前記紙幣収納部内に移動すると前記紙幣押圧板における紙幣の短手方向の幅を拡げて、かつ前記紙幣押圧板が待機位置へ戻る動作を開始すると該紙幣押圧板を当初の幅に戻す紙幣押圧板幅拡大機構と、
前記紙幣押圧板を前記紙幣収納部内へ紙幣を押し込む方向に前記紙幣押圧板の姿勢を維持したまま移動させてかつ再び待機状態に戻す往復機構と、
該往復機構および前記紙幣押圧板幅拡大機構を駆動するための単一の駆動手段と
を具え、
前記紙幣押圧板は、少なくとも1つの中央板と紙幣の短手方向に摺動する2つの摺動板とから構成され、
前記紙幣押圧板幅拡大機構は、前記中央板において紙幣の面に平行な面上を紙幣の長手方向に摺動移動する摺動部材と該摺動部材の摺動運動を回転運動に変換する変換手段とを有して前記紙幣押圧板に配設され、
前記摺動部材が紙幣の長手方向に摺動移動することによって変換手段が回転して前記2つの摺動板を紙幣の短手方向に互いに離間させることで、前記紙幣押圧板における紙幣の短手方向の幅を拡げることを特徴とする紙幣収納装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紙幣収納装置において、
前記駆動手段は、前記紙幣の長手方向に往復摺動移動しかつ該往復摺動移動に伴って前記往復機構を駆動するスタックアームと、一端が前記スタックアームと回転自在に連結し、他端は前記摺動部材と紙幣の長手方向に摺動自在かつ回転自在に連結する連結部材とを具え、
前記連結部材が、前記紙幣押圧板が前記紙幣収納部内に移動すると前記紙幣押圧板幅拡大機構の前記紙幣押圧板幅を拡大する動作を開始させ、さらに、前記紙幣押圧板が待機位置に戻る動作を開始すると前記紙幣押圧板幅拡大機構の前記紙幣押圧板幅を当初の幅に戻す動作を開始させることを特徴とする紙幣収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機、ゲーム機等の機器に搭載される紙幣処理装置等に組み込まれ紙幣を紙幣収納部へ整列積載収納する紙幣収納装置に関し、特に、紙幣の収納ミスを防止する紙幣収納技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、紙幣を取り扱う自動販売機等の機器本体内部には、投入された紙幣が真券であるか否かを判別するとともに、真券と判別された紙幣のみを収容するようにした紙幣処理装置が搭載されている。
【0003】
紙幣処理装置は、紙幣投入口から投入された紙幣を装置本体内部へ搬送する紙幣搬送手段を有する紙幣搬送通路と、搬送された紙幣の真偽を識別する紙幣識別手段と、紙幣を収納する紙幣収納装置が組み込まれている。
【0004】
図19A乃至図19Cは、このような紙幣処理装置において、紙幣が収納される側を正面として、左右に中心である位置での縦断面を右方から視た構成を、概略的に示したものであり、また、図20Aおよび図20Bは、紙幣収納装置の主要部を通る横断面を上方から視た構成を、概略的に示したものである。
【0005】
図19A乃至図19Cに示す紙幣処理装置1は、紙幣投入口2から投入された紙幣を装置本体内部へ搬送する紙幣搬送手段を有する紙幣搬送通路3と、搬送された紙幣の真偽を識別する紙幣識別手段と、紙幣を収納する紙幣収納装置とを具え、この紙幣収納装置は、真券と判別された紙幣を整列積載収容する紙幣収納部10と紙幣収納部10内に紙幣を押し込む紙幣収納機構20により構成されるものである。
【0006】
なお、紙幣搬送手段は、紙幣の両面にそれぞれ当接し紙幣を搬送する搬送ベルトおよび従動ローラと、搬送ベルトを駆動するモータ等の搬送駆動手段とから構成されるものであり、紙幣識別手段は、紙幣搬送通路3の途中に配設され、紙幣の特徴データを取得して紙幣の真偽を判別するものである。
【0007】
この紙幣処理装置1は、紙幣投入口2から投入された紙幣を、紙幣搬送通路3を介して搬送し、紙幣搬送通路3内において真偽を判別した後、真券と判別された紙幣のみを紙幣搬送通路3の下流端における紙幣収納部10に対向する位置(収納待機位置と称す)に停止させる。
【0008】
そして、紙幣収納機構20が収納待機位置に停止した紙幣を紙幣収納部10へ収納する。
【0009】
この収納待機位置の左右側には、図7Aおよび図7Bに示すように、略U字形状の対向する凹溝(スリット)31,31’を有する一対の紙幣受部(スタックガイド)30,30’を設けており、上流から案内されてきた紙幣の長手方向側縁が凹溝31,31’内を通って該紙幣を収納待機位置まで案内するとともに、紙幣収納部10内に収納された紙幣を紙幣収納部10側の面32,32’に当接させることで、収納紙幣が紙幣搬送通路3側へ侵入しない(戻らない)ようにしている。
【0010】
また、紙幣収納部10は、紙幣待機位置にある紙幣と平行になるように設けられて紙幣受部30,30’の紙幣収納部10側の面32,32’に紙幣を押し当てて、整列積載するスタッカプレート11と、このスタッカプレート11を紙幣搬送通路3方向に常時押圧する付勢手段(圧縮スプリング)12とを具えている。
【0011】
そして、紙幣収納機構20は、図19A乃至図19Cに示すように、紙幣収納部10と対向する位置に設けられ、収納待機位置にある紙幣を、紙幣搬送通路3から紙幣収納部10内に押し込む紙幣押圧板(リフトテーブル)21と、紙幣押圧板21を紙幣収納部10内に移動させる往復機構22とを有する。
【0012】
この往復機構22は、交叉した一対のリンクアーム24,25からなるリンク機構23を2組有し、該それぞれのリンク機構23を紙幣押圧板21の短手方向の左右対称に並行して配置されるものが一般的である(なお、図19A乃至図19Cにおいては、図示奥行方向に並列して配置される2組のリンク機構23のうち、一方のリンク機構23のみ図示される)。
【0013】
それぞれのリンク機構23は、それぞれ交叉した一対の第1のリンクアーム24と第2のリンクアーム25とを具え、第1のリンクアーム24および第2のリンクアーム25の略中心に形成した長孔24a,25aに、図示奥行方向に嵌挿した中心軸(スタックシャフト)26によって連結している。
【0014】
中心軸26は、中心軸ガイド(スタックシャフトガイド)40によって、図示上下方向への移動を規制されている。
【0015】
このような往復機構22によって、紙幣押圧板21の姿勢を維持したまま紙幣搬送通路3から紙幣収納部10方向に略直線的に移動させることができ、すなわち、紙幣押圧板21を平行移動させることができる。
【0016】
さらに、中心軸26には、ローラ(スタックローラ)27が回動自在に取り付けられている。
【0017】
また、第1のリンクアーム24の基端24bと、第2のリンクアーム25の基端25bとは、それぞれ紙幣処理装置1本体内部の所定の位置に回動自在に支持され、第1のリンクアームの自由端24cは紙幣押圧板21に形成した軸孔21aに回動自在に支持され、第2のリンクアームの自由端25cは紙幣押圧板21に形成した長孔21bに沿って図示上下方向に摺動自在かつ回動自在に支持されている。
【0018】
このように構成された往復機構22によって、紙幣押圧板21における紙幣収納部10方向への略直線的な往復移動を可能にしている。
【0019】
往復機構22は、図示上方に傾斜面51aを有するスタックアーム51と、スタックアーム51を図示上下方向に往復摺動させるカム52と、カム52を回転させるモータ53と、モータ53の動力をカム52に伝達する図示せぬ歯車機構とからなる駆動手段50によって駆動される。
【0020】
スタック―アーム51が図示上方に移動すると、傾斜面51aがローラ27を押圧してローラ27が図示左方に移動し、紙幣押圧板21が図示左方に移動する。
【0021】
この時、収納待機位置にあった紙幣は(図21A)、紙幣受部30,30’の凹溝31,31’から長手方向側縁が外れて、紙幣押圧板21とスタッカプレート11とに把持されながら紙幣収納部10内へと押し込まれる(図21B)。
【0022】
スタックアーム51が図19Bおよび図20Bに示す最大移動位置(紙幣押圧板21が紙幣収納部側に最も移動した際の位置)に到達した後もカム52は回転を続け、スタックアーム51が逆行して図19Bにおける図示下方に移動して待機位置に戻るとともに、紙幣押圧板21は付勢手段28(引張スプリング)の付勢力によって待機位置に戻る。
【0023】
同時に、スタッカプレート11は付勢手段12によって紙幣搬送通路3側に移動する。
【0024】
そして、紙幣収納部10内に押し込まれた紙幣は、スタッカプレート11の紙幣搬送通路3側の面と紙幣受部30,30’の面32,32’によって押圧挟持された状態で紙幣収納部10に収納される(図21C)。
【0025】
さらに、紙幣押圧板21は付勢手段28によってローラ27がスタックアーム51の傾斜面51aによって押圧されていない状態であっても、紙幣押圧板21が紙幣搬送通路3内に突出しないようにしている。
【0026】
ところで、紙幣収納部10内に収納された紙幣が紙幣搬送通路3側に膨れて該収納紙幣が紙幣搬送通路3内に出没し、収納紙幣と次に搬送される紙幣とが接触して、該紙幣の搬送を阻害することがないように、紙幣受部30,30’は、凹溝31,31’と面32,32’との間に一定の距離をとるように形成するようにしている。
【0027】
この際、紙幣押圧板21の最大移動距離を十分に余裕を持って設計しないと、紙幣収納時に、紙幣の長手方向側縁の一部が紙幣受部30,30’を越えることができず、再び紙幣が紙幣搬送通路3側に戻る収納ミスが発生する虞があり、収納ミスが発生すると、収納されるはずの紙幣が紙幣搬送通路3内に残り、次に搬送されてきた紙幣と紙幣搬送通路3内で衝突し、後続の紙幣も収納できなくなる。
【0028】
また、流通している紙幣の中には、使用状況により大きくなったものや小さくなったもの(伸びたものや縮んだもの)が存在するため、大きくなった紙幣であっても紙幣の長手方向側縁が紙幣受部30,30’を越えるように、紙幣押圧板21の最大移動距離は十分余裕を持って設計されることが好ましい。
【0029】
しかしながら、紙幣押圧板21の最大移動距離を大きくすると、その分紙幣を収納するスペースが少なくなり、紙幣押圧板21の最大移動距離を大きくした上で、紙幣の収納可能枚数を十分に確保するためには、その分紙幣収納部10の奥行を大きくする必要があり、紙幣収納装置が大型化してしまう難点がある。
【0030】
上記問題を解決する別の手段として、紙幣を収納部へ移動する時に退避させ紙幣の移動終了時には収納部側へ向かって回動しながら復帰する第1の札受けと、紙幣の収納部への移動時には紙幣の端部を収納部側に押圧するとともに第1の札受けの復帰後に前記押圧を解除する一時保持部材とを設け、紙幣を大きく撓ませず、その分ガイド板による紙幣の移動距離が短くし、紙幣を収納部へ移動する時に第1の札受けが退避することによって、紙幣が第1の札受けを容易く越えることができる技術が開示されている(特許文献1:特許第3511983号公報)。
【0031】
しかしながら、特許文献1記載の紙幣収納装置では、第1の札受けの他に一時保持部材とその一時保持部材を動作させる手段と、一時保持部材の動作と第1の札受けの動作とをガイド板の動作に適わせるために複雑な制御とが必要となり、さらに、札受けを収納方向に直行する方向に広げるため紙幣の短手方向に装置を大きくする必要が生じる。
【0032】
さらに、水気を含んで柔らかくなった紙幣の場合、紙幣受部30,30’を越えても曲がった紙幣が元に戻らず、紙幣受部30,30’の面32,32’に挟持されずに収納ミスが発生する虞がある。
【0033】
このような柔らかい紙幣に関しては、紙幣押圧板21の最大移動距離を大きくしたり、紙幣受部30,30’を移動させたりという手段では、収納ミスを抑えるのに不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特許第3511983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑み、紙幣収納部と紙幣を紙幣押圧板による押圧することにより紙幣収納部へ収納する紙幣収納機構とを搭載する紙幣収納装置を、大型化することなく紙幣の収納可能枚数を十分に確保するとともに、紙幣押圧板が紙幣を押圧する際に確実に紙幣受部から紙幣を押し出して、柔らかい紙幣であっても収納ミスを抑えることが可能である紙幣収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0036】
上述した課題を解決するために、本発明の紙幣収納装置は、紙幣押圧板を往復移動させる往復機構と、前記紙幣押圧板が紙幣収納部内に移動した際に前記紙幣押圧板の幅を拡げる紙幣押圧板幅拡大機構と、前記往復機構および前記紙幣押圧板幅拡大機構を駆動するための単一の駆動手段とを具えるようにしている。
【発明の効果】
【0037】
このように、本発明の紙幣収納装置における紙幣収納機構は、紙幣押圧板を略鉛直方向に往復移動させる往復機構の駆動力を利用し、紙幣押圧板の往復移動に伴って紙幣押圧板全体の幅を拡開するようにしている。
【0038】
したがって、本発明の紙幣収納機構は、紙幣押圧板の最大移動距離を大きくすることなく、紙幣押圧板が紙幣を押圧する際に確実に紙幣を押し出してかつ拡げることが可能としたので、紙幣収納機構を搭載する紙幣処理装置全体の大型化や紙幣収納部における紙幣の収納可能枚数の減少を招くことなく、柔らかい紙幣や幅が通常よりも広い紙幣であっても、紙幣収納時における紙幣の収納ミスを抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】実施例1における紙幣収納機構において待機状態を示す右前方斜視図。
図2】実施例1における紙幣収納機構において紙幣押圧板が最大移動位置にある状態を示す右前方斜視図。
図3A】実施例1における紙幣押圧板幅拡大機構において待機状態を示す正面図。
図3B図3Aの状態における背面図。
図3C図3Aの状態における右側面図。
図4A】実施例1における紙幣押圧板幅拡大機構において紙幣押圧板を最大幅まで拡開した状態を示す正面図。
図4B図4Aの状態における背面図。
図4C図4Aの状態における右側面図。
図5A】実施例1における紙幣収納機構において待機状態を示す中央縦断面図。
図5B図5Aの状態における底面図。
図6A】実施例1における紙幣収納機構においてスタックアームが移動している様子を示す中央縦断面図。
図6B図6Aの状態における底面図。
図7A】実施例1における紙幣収納機構においてスタックアームが最大移動位置にある状態を示す中央縦断面図。
図7B図7Aの状態における底面図。
図8】実施例2における紙幣収納機構において待機状態を示す左後方斜視図。
図9】実施例2における紙幣収納機構において紙幣押圧板幅拡大機構が動作する直前を示す左後方斜視図。
図10】実施例2における紙幣収納機構において紙幣押圧板幅拡大機構が動作した直後を示す左後方斜視図。
図11】実施例2における紙幣収納機構において紙幣押圧板が最大移動位置にある状態を示す左後方斜視図。
図12A】実施例2における紙幣押圧板および紙幣押圧板幅拡大機構の左後方斜視分解図。
図12B】実施例2における紙幣押圧板および紙幣押圧板幅拡大機構の左前方斜視分解図。
図13A】実施例2における紙幣押圧板の幅を拡大する構成を示す正面図において待機状態を示す図。
図13B】実施例2における紙幣押圧板の幅を拡大する構成を示す背面図において待機状態を示す図。
図14A図13Aにおいて紙幣押圧板を最大幅まで拡開した状態を示す図。
図14B図13Bにおいて紙幣押圧板を最大幅まで拡開した状態を示す図。
図14C図14Bにおいて紙幣押圧板が最大幅まで拡開した状態を維持する様子を示す図。
図15A図8における右側面図。
図15B図15Aにおいて摺動部材の長孔を通る縦断面図。
図15C図15Aにおける平面図。
図16A図9における右側面図。
図16B図16Aにおいて摺動部材の長孔を通る縦断面図。
図16C図16Aにおける平面図。
図17A図10における右側面図。
図17B図17Aにおいて摺動部材の長孔を通る縦断面図。
図17C図17Aにおける平面図。
図18A図11における右側面図。
図18B図18Aにおいて摺動部材の長孔を通る縦断面図。
図18C図18Aにおける平面図。
図19A】従来の紙幣処理装置において待機状態を示す概略中央縦断面図。
図19B】従来の紙幣処理装置において紙幣押圧板が最大移動位置にある状態を示す概略中央縦断面図。
図19C図19Bにおいて、駆動手段を除いた状態を示す図。
図20A】従来の紙幣処理装置において待機状態を示す主要部位における概略横断面図。
図20B】従来の紙幣処理装置において紙幣押圧板が最大移動位置にある状態を示す主要部位における概略横断面図。
図21A図20Aにおいて紙幣が収納待機位置にある状態を示す主要部位における概略横断面図。
図21B図20Bにおいて紙幣が紙幣収納部に押し込まれた状態を示す主要部位における概略横断面図。
図21C図20Aにおいて紙幣が紙幣収納部に収納された状態を示す主要部位における概略横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係る紙幣収納装置の好ましい実施例について、図1乃至図18Cに示す図を参照しながら説明する。
【0041】
なお、各図面において、図19A乃至図21Cに示した従来の紙幣処理装置の記載に合わせて、紙幣が収納される側を正面と定義するものとする。
【0042】
また、本発明における紙幣収納機構および駆動手段は、図19A乃至図21Cに示すような従来の紙幣収納機構20および駆動手段50と置換可能であって、以下に示す各実施例における紙幣収納機構100,200は、それぞれ、図19A乃至図21Cに示す従来の紙幣処理装置1に搭載するものとし、周辺部品も同様のものとして説明する。
【実施例1】
【0043】
本発明に係る実施例1の紙幣収納装置に搭載される紙幣収納機構100は、図1および図2に示すように、収納待機位置にある紙幣を図示せぬ紙幣収納部(図19A等の紙幣収納部10を参照されたい。以下も同様のこと)内に押し込む紙幣押圧板110と、紙幣押圧板110全体の幅を拡げる紙幣押圧板幅拡大機構(以下、幅拡大機構と称す)120と、紙幣押圧板110の姿勢(収納待機位置にある紙幣の面と平行である姿勢、以下も同様とする)を維持したまま略鉛直方向へ移動させる往復機構130とを有し、従来と同様に駆動手段140によって駆動されるものである。
【0044】
紙幣押圧板110は、図3Aおよび図4Aに示すように、中央板111と、中央板111の左方に位置する左摺動板112と、中央板の右方に位置する右摺動板113とから構成されており、左摺動板112および右摺動板113がそれぞれ図示左右方向に移動することによって、紙幣押圧板110全体の幅が拡がるよう配設される。
【0045】
なお、図2図4A図4B図7Aおよび図7Bは、紙幣押圧板110全体が最も拡がった状態(以下、最大幅まで拡開した状態と称す)を示している。
【0046】
図3Bおよび図4Bに示すように、左摺動板112は、その上部および下部において右方(図示左方)に凸設したガイド部材112a,112bを有し、右摺動板113の上部および下部において左方(図示右方)に凸設したガイド部材113a,113bを有する。
【0047】
また、中央板111の上部および下部には、左右方向に直線的に貫通するガイド通路111a,111bを形成している。
【0048】
そして、ガイド部材112a,112bをガイド通路111a,111bの左側(図示右側)から嵌挿し、同様に、ガイド部材113a,113bをガイド通路111a,111bの右側(図示左側)から嵌挿して、左摺動板112および右摺動板113が中央板111に対して左右方向に摺動自在であるように支承されて左右方向に直線的に拡がるようにしている。
【0049】
さらに、左摺動板112および右摺動板113は、付勢手段(引張スプリング)114によって常時中央板111側に付勢されるようにしている。
【0050】
幅拡大機構120は、中央板111背面の中央部において図示上下方向に摺動自在であるように支承される摺動部材121と、中央板111背面の左側(図示右側)において回動自在に連結される2つの左レバー122,123と、中央板111背面の右側(図示左側)において回動自在に連結される2つの右レバー124,125とから構成される。
【0051】
左レバー122,123は、略L字形状であって、L字の折れ部に形成した支点軸孔122a,123aと中央板111に形成した左支点軸部111c,111dとの係合により、中央板111に対して回動自在に支承されている。
【0052】
左レバー122,123の一方の端部には円柱形状の突起である摺動軸部122b,123bを形成し、摺動部材121の左側(図示右側)において形成した左右方向の長孔である左ガイド孔121a,121bに摺動軸部122b,123bを係合することによって、摺動軸部122b,123bが摺動部材121に対して左右方向に摺動自在に支承される。
【0053】
このような構成によると、摺動部材121の上方への移動に伴って、左レバー122,123が左支点軸部111c,111dを中心に左回り(図示右回り)に回転するので、左レバー122,123の他方の端部である羽部122c,123cが左支点軸部111c,111dを中心に左回りに枢動して左方(図示右方)に移動する。
【0054】
また、羽部122c,123cの先端は左摺動板112に当接しており、この当接部には羽部122c,123cの先端を案内する当接壁112c,112dを形成して、羽部122c,123cが当接壁112c,112dを押圧することによって、左摺動板112を左方に移動させるようにしている。
【0055】
摺動部材121に対する上方への押圧力が失われると、左摺動板112は付勢手段114の付勢力によって右方(図示左方)に付勢され、当接壁112c,112dが羽部122c,123cを右方に押圧する。
【0056】
すると、左レバー122,123が左支点軸部111c,111dを中心に右回り(図示左回り)に回転するとともに、羽部122c,123cが左支点軸部111c,111dを中心に右回りに枢動して右方(図示左方)に復帰して、左レバー122,123および左摺動板112は元の位置に復帰する。
【0057】
同様に、右レバー124,125は、略L字形状であって、L字の折れ部に形成した支点軸孔124a,125aと中央板111に形成した右支点軸部111e,111fとの係合により、中央板111に対して回動自在に支承されている。
【0058】
右レバー124,125の一方の端部には円柱形状の突起である摺動軸部124b,125bを形成し、摺動部材121の右側(図示左側)において形成した左右方向の長孔である右ガイド孔121c,121dに摺動軸部124b,125bを係合することによって、摺動軸部124b,125bが摺動部材121に対して左右方向に摺動自在に支承される。
【0059】
このような構成によると、摺動部材121の上方への移動に伴って、右レバー124,125が右支点軸部111e,111fを中心に右回り(図示左回り)に回転するので、右レバー124,125の他方の端部である羽部124c,125cが右支点軸部111e,111fを中心に右回りに枢動して右方(図示左方)に移動する。
【0060】
また、羽部124c,125cの先端は右摺動板113に当接しており、この当接部には羽部124c,125cの先端を案内する当接壁113c,113dを形成して、羽部124c,125cが当接壁113c,113dを押圧することによって、右摺動板113を右方(図示左方)に移動させるようにしている。
【0061】
摺動部材121に対する上方への押圧力が失われると、右摺動板113は付勢手段114の付勢力によって左方(図示右方)に付勢され、当接壁113c,113dが羽部124c,125cを左方に押圧する。
【0062】
すると、右レバー124,125が右支点軸部111e,111fを中心に左回り(図示右回り)に回転するとともに、羽部124c,125cが右支点軸部111e,111fを中心に左回りに枢動して左方(図示右方)に復帰して、右レバー124,125および右摺動板113は元の位置に復帰する。
【0063】
このように、摺動部材121の上方への移動に伴って、左摺動板112および右摺動板113を左右方向に移動させて紙幣押圧板110全体の幅を拡げ、摺動部材121の下方への復帰に伴って、左摺動板112および右摺動板113を中央板111の方向に移動させて紙幣押圧板110全体の幅を元に戻すようにしている。
【0064】
なお、図3Bおよび図4Bに示すように、左摺動板112の当接壁112c,112dおよび右摺動板113の当接壁113c,113dをそれぞれ緩やかな弧状面に形成すると、左摺動板112および右摺動板113の移動距離をより大きくすることができ、また、左摺動板112および右摺動板113が復帰する際に、付勢手段114の付勢力を左レバー122,123および右レバー124,125に伝えやすくすることができる。
【0065】
本実施例において、摺動部材121の上方への摺動移動は、図3Cおよび図4Cに示すように、摺動部材121の背面側において左右並列に形成した2つの突起部121e,121eの図示下面を上方に押し上げることによってなされ、各突起部121e,121eは、その下面において、後述する往復機構121の第2のリンクアーム133,133に設けた当接部133d,133dに当接するように設けられるものである。
【0066】
図5A図6Aおよび図7Aは、紙幣収納機構100および駆動手段140において、左右に中心である位置での縦断面を右方から視た図である。
【0067】
本実施例における往復機構130は、図5A図6Aおよび図7Aに示すように、上記紙幣押圧板110を紙幣収納方向(図示左方)に移動させるための機構として、交叉した第1のリンクアーム132および第2のリンクアーム133からなるリンク機構131をそれぞれ2組有し、各リンク機構131を中央板111背面の短手方向(図示奥行方向)の左右対称に並列して配置してなる(なお、図5A図6Aおよび図7Aにおいては、図示奥行方向に並列して配置される2組のリンク機構131のうち、一方のリンク機構131のみ図示される)。
【0068】
2組のリンク機構131はそれぞれ、第1のリンクアーム132および第2のリンクアーム133の略中心に形成した長孔132a,133aに、図示奥行方向に嵌挿した中心軸(スタックシャフト)134によって連結しており、さらに、中心軸134の中央部には、後述する駆動手段140に当接するローラ(スタックローラ)135が回転自在であるように支承されている。
【0069】
第1のリンクアーム132および第2のリンクアーム133は、それぞれ一方の端部に設けた支点軸孔132b,133bを有する。
【0070】
支点軸孔132b,133bには、それぞれ図示せぬ紙幣処理装置本体内部に設けられた図示せぬ支持軸(円柱形状のボス)が嵌挿されており、これにより、第1のリンクアーム132および第2のリンクアーム133はそれぞれ、図示せぬ支点軸を中心にして回動自在に支持される。
【0071】
第1のリンクアーム132における他方の端部には、円柱状のボスであって中央板111に連結する軸部132cを設けており、この軸部132cは、中央板111背面の左右対称な位置に形成した軸孔111gに回転自在に支承される。
【0072】
また、第2のリンクアーム133における他方の端部には、円柱形状のボスであって中央板111に連結する軸部133cを設けており、この軸部133cは、中央板111背面の左右対称な位置に形成した長孔111hに沿って、中央板111の長手方向に摺動自在かつ回転自在に支承される。
【0073】
このような往復機構130によって、ローラ135が収納待機位置にある紙幣の面に対して鉛直方向に移動することによってリンク機構131が奥行方向(図5Aにおける左右方向)に拡開し、紙幣押圧板110の姿勢を維持したまま、紙幣押圧板110をローラ135と同方向に移動させるようにしている。
【0074】
このローラ135は、図5Aにおける図示上方に傾斜面141aを有するスタックアーム141と、スタックアーム141を図示上下方向に往復摺動させる図示せぬカムと、該カムを回動させる図示せぬ歯車機構および図示せぬモータとからなる駆動手段140によって駆動される。
【0075】
そして、スタック―アーム141が図示上方に移動すると、傾斜面141aがローラ135を押圧してローラ135が図示左方に移動するとともに、紙幣押圧板110が図示左方に移動するようにしている。
【0076】
さらに、第2のリンクアーム133の軸部133cにおける中央板111側には、図5B図6Bおよび図7Bに示す当接部133dを形成している。
【0077】
そして、この当接部133dを、軸部133cが待機位置である長孔111hの下端から一定距離以上上方に移動すると摺動部材121の突起部121e下面に当接するように設けて、当接部133dが摺動部材121の突起部121eを下面から押圧することによって、摺動部材121が上方に移動して幅拡大機構120を駆動するようにしている。
【0078】
したがって、幅拡大機構120は、紙幣押圧板110を略鉛直方向に往復移動させる往復機構130を駆動する駆動手段140の動力によって駆動することができる。
【0079】
また、往復機構130が駆動されて紙幣押圧板110が紙幣収納方向に移動する際に、紙幣押圧板110が所定の位置に到達するまで、すなわち、第2のリンクアーム133の軸部133cが長孔111h内を上方に移動して、当接部133dが摺動部材121の突起部121eに当接するまでは幅拡大機構120を駆動しないようにしている。
【0080】
なお、ここでいう所定の位置とは、紙幣押圧板110が図示せぬ紙幣受部を越えた位置を示すものとする。
【0081】
上述の如く構成した紙幣収納機構100の各部の作用を紙幣収納動作として説明する。
【0082】
図5Aおよび図5Bに示す待機状態においては、駆動手段140におけるスタックアーム141の傾斜面141aがローラを押圧せず、紙幣押圧板110は閉じたままであって、紙幣押圧板110正面と図示せぬ紙幣受部(図19Aおよび図21A等の紙幣受部30,30’を参照されたい。以下も同様のこと)との間には紙幣搬送通路が形成されて、紙幣受入れ可能状態になっている。
【0083】
図示せぬ紙幣搬送手段によって、紙幣収納部に対向する収納待機位置に紙幣が搬送されると、駆動手段140が駆動し、スタックアーム141が図5Aにおける上方へ移動を開始する。
【0084】
すると、図6Aおよび6Bに示すように、スタックアーム141の傾斜面141aがローラ135を紙幣収納方向(図6Aにおける図示左方)に押圧することによって、第1のリンクアーム132および第2のリンクアーム133は、支点軸孔132b,133bに嵌挿した図示せぬ支点軸を中心に回動し、紙幣押圧板110は紙幣収納方向に移動する。
【0085】
この際、第2のリンクアーム133の当接部133dは、摺動部材121の突起部121eに到達しておらず、紙幣押圧板110の幅は一定に保持されたままである。
【0086】
スタックアーム141がさらに上方に移動して、傾斜面141aがローラ135を紙幣収納方向に押圧すると、第2のリンクアーム133の当接部133dが、摺動部材121の突起部121eに当接し、幅拡大機構120が駆動される。
【0087】
すると、摺動部材121が上方に押圧されて移動し、左レバー122,123および右レバー124,125が、紙幣押圧板110の中央板111における左支点軸部111c,111dおよび右支点軸部111e,111fを軸に回転して、左摺動板112および右摺動板113が外側に押し拡げられる。
【0088】
さらに、図7Aおよび図7Bに示す最大移動位置に達すると、図4Bに示すように紙幣押圧板110の最大幅まで拡開する。
【0089】
さらに、紙幣押圧板110が最大移動位置から復帰を開始すると、摺動部材121と当接部133dとが離れ、摺動部材121に対する上方への押圧力が失われると、左摺動板112および右摺動板113は付勢手段114の付勢力によって元の位置に復帰し、紙幣押圧板110の幅が待機状態に戻る。
【0090】
その後、紙幣押圧板110が図5Aおよび図5Bに示す待機状態の位置に戻って、再び紙幣搬送通路が形成され、紙幣収納方向に押し込まれた図示せぬ紙幣は、従来と同様に、図示せぬスタッカプレート(図19Aおよび図21A等のスタッカプレート11を参照されたい。以下も同様のこと)と図示せぬ紙幣受部の紙幣収納部側の面とに押圧挟持されて収納状態が保持される。
【0091】
以上の通り、本発明に係る実施例1の紙幣収納装置に搭載される紙幣収納機構100は、紙幣収納ミスを防ぐことが可能であり、なおかつ19A乃至図21Cに示すような従来の紙幣収納機構20と置換えるだけなので従来の紙幣収納装置と比較して紙幣収納装置が大型化することがない。
【実施例2】
【0092】
本発明に係る実施例2の紙幣収納装置に搭載される紙幣収納機構200は、図8乃至図11に示すように、収納待機位置にある紙幣を図示せぬ紙幣収納部内に押し込む紙幣押圧板210と、紙幣押圧板210全体の幅を拡げる紙幣押圧板幅拡大機構(以下、幅拡大機構と称す)220と、紙幣押圧板の姿勢(収納待機位置にある紙幣の面と平行である姿勢、以下も同様とする)を維持したまま略鉛直方向へ移動させる往復機構230とを有し、従来と同様に駆動手段240によって駆動されるものである。
【0093】
紙幣押圧板210は、図12Aおよび図12Bに示すように、中央表板211と、中央表板211の背面側のそれぞれ左右に位置する左摺動板212および右摺動板213と、左摺動板212および右摺動板213のさらに背面側に位置する中央裏板214とから構成されており、左摺動板211および右摺動板212がそれぞれ図示左右方向に移動することによって、紙幣押圧板210全体の幅が拡がるように配設される。
【0094】
なお、図10図11図14A図14B図17A図17B図17C図18A図18Bおよび図18Cは、紙幣押圧板110全体が最も拡がった状態(以下、最大幅まで拡開した状態と称す)を示している。
【0095】
中央表板211と中央裏板214とは、左摺動板212および右摺動板213と後述する幅拡大機構220の構成部品とを挟み込むように配置され、中央表板211の連結部211a,211bと中央裏板214の連結部214a,214bとが係合して互いに固着されるものである。
【0096】
図13Aおよび図14Aは、紙幣押圧板210および幅拡大機構220の正面図において、紙幣押圧板210の中央表板211を取り外した状態を示す図である。
【0097】
左摺動板212は、その上部および下部において右方に凸設したガイド部材212a,212bを有し、右摺動板213は、その上部および下部において左方に凸設したガイド部材213a,113bを有する。
【0098】
また、中央裏板214の上部および下部には、左右方向に直線的に貫通するガイド通路214c,214dを形成している。
【0099】
そして、ガイド部材212a,212bをガイド通路214c,214dの左側から嵌挿し、同様に、ガイド部材213a,213bをガイド通路214c,214dの右側から嵌挿して、左摺動板212および右摺動板213が中央裏板214に対して左右方向に摺動自在であるように支承されて、左右方向に直線的に拡がるようにしている。
【0100】
幅拡大機構220は、図12Aおよび図12Bに示すように、2つの左レバー221,222と、左従動部材223と、2つの右レバー224,225と、右従動部材226と、摺動部材227とから構成される。
【0101】
また、左レバー221および右レバー224と、左レバー222および右レバー225と、左従動部材223および右従動部材226とは、それぞれ左右対称の形状であって、かつ左右対称に配置される。
【0102】
左レバー221,222は、略L字形状であって、L字の折れ部に形成した支点軸孔221a,222aを、中央裏板214の正面側に形成した左支点軸部214e,214fに係合することにより、中央裏板214の正面側において左支点軸部214e,214fを中心に回動自在に支承されている。
【0103】
左レバー221,222正面側の一方の端部には円柱形状の突起である摺動軸部221b,222bを形成し、左摺動板212に形成した長手方向(上下方向)の長孔であるガイド孔212c,212dに摺動軸部221b,222bを係合することによって、摺動軸部221b,222bが左摺動板212に対して上下方向に摺動自在に支承される。
【0104】
すると、図13Aに示す待機状態から、左レバー221,222が左回りに回転すると、図14Aに示すように、摺動軸部221b,222bがガイド孔212c,212d内を上端から下方に移動するとともに、左摺動板212が左方に移動する。
【0105】
また、左レバー221,222正面側の他方の端部には円柱形状の突起であって左従動部材223に係合する従動軸部221c,222cを形成している。
【0106】
左従動部材223は、左レバー221,222の正面側に配置され、上下の各端部に形成した軸孔223a,223bに左レバー221,222の従動軸部221c,222cを係合して、左レバー221,222が、従動軸部221c,222cを中心に回動自在であるように連結している。
【0107】
なお、左従動部材223の軸孔223a,223b間の距離は、中央裏板214の左支点軸部214e,214f間の距離と同一であるように設けているので、左従動部材の軸孔223a,223b間を結ぶ線と左支点軸部214e,214f間を結ぶ線とは常に平行関係を保つ。
【0108】
すると、2つの左レバー221,222の回転角度は常に同一となるので、左摺動板212は、その姿勢を維持しながら左右方向に直線的に往復移動することができる。
【0109】
右レバー224,225は、図12Aおよび図12Bに示すように、左レバー221,222と左右対称の略L字形状であって、L字の折れ部に形成した支点軸孔224a,225aを、中央裏板214の正面側に形成した右支点軸部214g,214hに係合することにより、中央裏板214の正面側において右支点軸部214g,214hを中心に回動自在に支承されている。
【0110】
右レバー224,225正面側の一方の端部には円柱形状の突起である摺動軸部224b,225bを形成し、右摺動板213に形成した長手方向(上下方向)の長孔であるガイド孔213c,213dに摺動軸部224b,225bを係合することによって、摺動軸部224b,225bが右摺動板213に対して上下方向に摺動自在に支承される。
【0111】
すると、図13Aに示す待機状態から、右レバー224,225が右回りに回転すると、図14Aに示すように、摺動軸部224b,225bがガイド孔213c,213d内を上端から下方に移動するとともに、右摺動板213が左方に移動する。
【0112】
また、右レバー224,225正面側の他方の端部には円柱形状の突起であって右従動部材226に係合する従動軸部224c,225cを形成している。
【0113】
右従動部材226は、右レバー224,225の正面側に配置され、上下の各端部に形成した軸孔226a,226bに右レバー224,225の従動軸部224c,225cを係合して、右レバー224,225が、従動軸部224c,225cを中心に回動自在であるように連結している。
【0114】
なお、右従動部材の軸孔226a,226b間の距離は、右支点軸部214g,214h間の距離と同一であるように設けているので、右従動部材の軸孔226a,226b間を結ぶ線と左支点軸部214g,214h間を結ぶ線とは常に平行関係を保つ。
【0115】
すると、2つの右レバー224,225の回転角度は常に同一となるので、右摺動板213は、その姿勢を維持しながら左右方向に直線的に往復移動することができる。
【0116】
そして、上記左レバー221,222および右レバー224,225は、摺動部材227が、左従動部材226および右従動部材223を作動することによって回動するものである。
【0117】
摺動部材227は、図12Aおよび図12Bに示すように、左摺動板212および右摺動板213の背面側であって中央裏板214中央に形成した矩形の切欠部214i内に配置される。
【0118】
摺動部材227の左右側部には、それぞれ凹溝(スリット)227a,227bを設けており、この凹溝227a,227bは、中央裏板214の切欠部214iの長手方向縁において、それぞれ内側に向かって形成したリブ状レール214j,214kと係合する。
【0119】
そして、リブ状レール214j,214k上を凹溝227a,227bが摺動することによって、中央裏板214に対して摺動部材227が図示上下方向に摺動自在であるように支承される。
【0120】
また、摺動部材227の正面側には、それぞれ左右対称に設けた円柱形状のガイド突起227c,227dを形成し、それぞれ左従動部材223および右従動部材226の背面において略L字形状に形成したガイド溝223c,226cに係合する。
【0121】
図13B図14Bおよび図14Cは、中央表板211、左摺動板212、右摺動板213、左レバー221,222、左従動部材223、右レバー224,225、および右従動部材226を示すとともに、摺動部材227のガイド突起227c,227dの位置を示した背面図である。
【0122】
摺動部材227が上方に移動すると、ガイド突起227c,227dがガイド溝223c,226cの外側の壁を形成する当接壁223d,226dを押圧して、左従動部材223および右従動部材226が上方かつ左右方向に移動する。
【0123】
すると、左レバー221,222が左支点軸孔221a,222aに枢着される中央裏板214の左支点軸部214e,214f(図14A等参照)を中心に左回り(図14Bにおける図示右回り)に枢動するとともに、右レバー224,225が右支点軸孔224a,225aに枢着される中央裏板214の左支点軸部214g,214h(図14A等参照)を中心に右回り(図14Bにおける図示左回り)に枢動する。
【0124】
この際、左レバー221,222の摺動軸部221b,222b(図14A等参照)が、左摺動板212のガイド孔212c,212dに沿って下方に移動しながら左方に拡開して、左摺動板212が左方に移動し、同時に、右レバー224,225の摺動軸部224b,225b(図14A等参照)が、右摺動板213のガイド孔213c,213dに沿って下方に移動しながら右方に拡開して、右摺動板213が右方に移動する。
【0125】
このように、摺動部材227の上方への移動に伴って、左摺動板212および右摺動板213を左右方向に移動させて、紙幣押圧板210全体の幅を拡げるようにしている。
【0126】
さらに、図14Bに示すように、摺動部材227が上方に移動すると、左レバー221,222の摺動軸部221b,222bおよび右レバー224,225の摺動軸部224b,225bの拡開に伴って、左従動部材223と右従動部材226とが、それぞれ左右方向に移動する。
【0127】
すると、ガイド溝223cの左側(図示右側)の壁を形成する当接壁223d上部と、ガイド溝226cの右側(図示左側)の壁を形成する当接壁226d上部との間に、摺動部材227の突起部227c,227dが入り込む。
【0128】
当接壁223d,226d上部は上下に直線的に形成されるので、摺動部材227の突起部227c,227dがガイド溝223c,226dの上端に到達するまでの間、図14Cに示すように、当接壁223d,226dと突起部227c,227dとが互いに押圧し合いながら、従動部材223,226間の距離が保たれ、左レバー221,222および右レバー224,225の拡開状態が維持される。
【0129】
本実施例において、摺動部材227の上方への摺動移動は、図12Aに示すように、摺動部材227の背面側において形成した左右方向に貫通する長孔227e,227fを、後述する第3のリンクアーム228(図18A等参照)を介して駆動手段240が上方に引上げることによってなされるものである。
【0130】
また、図13Aおよび図14Aに示す中央裏板214の上部と摺動部材227とは、互いに図示せぬ付勢手段(引張スプリング)によって連結し、摺動部材227が常時下方に付勢されるようにしている。
【0131】
したがって、摺動部材227に対する上方への引上げ力が失われると、摺動部材227が下方に復帰し、同様に、左レバー221,222、左従動部材223、右レバー224,225および右従動部材226が待機位置に復帰する。
【0132】
さらに、図12Aに示すように、紙幣押圧板210の中央裏板214の背面側には、後述する往復機構230(図18A等参照)を連結するためであって、左右方向に貫通する軸孔214l,214mおよび長孔214n,214oを設けている。
【0133】
図15B図16B図17Bおよび図18Bは、摺動部材227の長孔227fを通る縦断面を右方から視た図である。
【0134】
本実施例における往復機構230は、図15A乃至図18Cに示すように、紙幣押圧板210の中央裏板214の背面側に位置し、左右対称に並行して配置される2組のリンク機構231,231’を具える。
【0135】
リンク機構231は、交叉した第1のリンクアーム232および第2のリンクアーム233を具え、また、リンク機構231’は、交叉した交叉した第1のリンクアーム232’および第2のリンクアーム233’を具える。
【0136】
これら2組のリンク機構231,231’は、それぞれ第1のリンクアーム232,232’
および第2のリンクアーム233,233’の略中心に形成した長孔232a,232a’233a,233a’に、左右方向に嵌挿した中心軸(スタックシャフト)234によって連結しており、さらに、中心軸234の左右中央部には、後述する駆動手段240に当接するローラ(スタックローラ)235が回動自在であるように支承されている。
【0137】
第1のリンクアーム232,232’および第2のリンクアーム233,233’は、それぞれ一方の端部に設けた支点軸孔232b,232b’,233b,233b’を有する。
【0138】
支点軸孔232b,232b’,233b,233b’には、それぞれ図示せぬ紙幣処理装置本体内部に設けられた図示せぬ支持軸(円柱形状のボス)が嵌挿されており、これにより、第1のリンクアーム232,232’および第2のリンクアーム233,233’はそれぞれ、図示せぬ支点軸を中心にして回動自在に支持される。
【0139】
第1のリンクアーム232,232’における他方の端部には、円柱形状のボスであって紙幣押圧板210の中央裏板214に連結する軸部232c,232c’を設けており、この軸部232c,232c’は、中央裏板214背面の左右対称な位置に形成した軸孔214l,214mに回転自在に支承される。
【0140】
また、第2のリンクアーム233,233’における他方の端部には、円柱形状のボスであって紙幣押圧板210の中央裏板214に連結する軸部233c,233c’を設けており、この軸部233c,233c’は、中央裏板214背面の左右対称な位置に形成した長孔214n,214oに沿って、中央裏板214の長手方向に摺動自在かつ回転自在に支承される。
【0141】
このような往復機構230によって、ローラ235が収納待機位置にある紙幣の面に対して鉛直方向に移動することによってリンク機構231,231’が奥行方向(図15A等における左右方向)に拡開し、紙幣押圧板210の姿勢を維持したまま、紙幣押圧板210をローラ235と同方向に移動させるようにしている。
【0142】
このローラ235は、図16B等における図示上方に傾斜面241aを有するスタックアーム241と、スタックアーム241を図示上下方向に往復摺動させる図示せぬカムと、該カムを回動させる図示せぬ歯車機構および図示せぬモータとからなる駆動手段240によって駆動される。
【0143】
そして、スタック―アーム241が図示上方に移動すると、傾斜面241aがローラ235を押圧してローラ235が図示左方に移動するとともに、紙幣押圧板210が図示左方に移動するようにしている。
【0144】
なお、中央表板211と図示せぬ装置本体とは、互いに図示せぬ付勢手段(引張スプリング)によって連結し、紙幣押圧板210を常時背面側に付勢して、スタックアーム241の傾斜面241aによるローラ235への押圧力が失われると、紙幣押圧板210が図示右方に復帰するようにしている。
【0145】
さらに、スタックアーム241の上端と、摺動部材227とは、第3のリンクアーム228によって連結する。
【0146】
第3のリンクアーム228は、図17Aおよび図17Bに示すように左右に突出した円柱形状の摺動軸部228a,228a’を一端に有し、摺動軸部228a,228a’が、摺動部材227の長孔227e,227fに係合することによって、摺動部材227に対して摺動自在かつ回動自在に連結される。
【0147】
他方、第3のリンクアーム228の他端に設けた軸部228bと、スタックアーム241上端に設けた軸部241bとの係合によって、第3のリンクアーム228はスタックアーム241に対して回転自在に連結される。
【0148】
このように構成することによって、スタックアーム241の上方への移動に伴って、第3のリンクアーム228を介して摺動部材227を上方に引上げるようにしている。
【0149】
この際、待機状態において、第3のリンクアームの摺動軸部228a,228a’が、摺動部材227の長孔227e,227fの下端に位置するように設け、スタックアーム241の移動開始から、摺動軸部228a,228a’が長孔227e,227fの上端に到達して摺動部材227が移動を開始するまでの間は、幅拡大機構220を駆動しないようにしている。
【0150】
上述の如く構成した紙幣収納機構220の各部の作用を紙幣収納動作として説明する。
【0151】
図15A乃至図15Cに示す待機状態においては、紙幣押圧板210は閉じたままであって、紙幣押圧板210正面と図示せぬ紙幣受部との間には紙幣搬送通路が形成されて、紙幣受入れ可能状態になっている。
【0152】
図示せぬ紙幣搬送手段によって、紙幣収納部に対向する収納待機位置に紙幣が搬送されると、駆動手段240が駆動し、スタックアーム241が図16Aにおける上方へ移動を開始する。
【0153】
すると、図16Bに示すように、スタックアーム241の傾斜面241aがローラ235を紙幣収納方向(図16Bにおける図示左方)に押圧することによって、第1のリンクアーム232,232’および第2のリンクアーム233,233’は、支点軸孔232b,232b’,233b,233b’に嵌挿した図示せぬ支点軸を中心に回動し、紙幣押圧板210は紙幣収納方向に移動する。
【0154】
この際、第3のリンクアーム228が、スタックアーム241とともに上方に移動し、第3のリンクアーム228の摺動軸部228a,228a’が摺動部材227の長孔227e,227fにおける上端に到達する。
【0155】
なお、リンクアーム228の摺動軸部228a,228a’は、紙幣押圧板110が図示せぬ紙幣受部を越えた位置で、摺動部材227の長孔227e,227fにおける上端に到達する。
【0156】
この時点では、摺動部材227は上方へ移動を開始しておらず待機位置にあるので、図13A図13Bおよび図16Cに示すように、紙幣押圧板210の幅は一定に保持されたままである。
【0157】
図17Aおよび図17Bに示すように、スタックアーム241がさらに上方に移動して、傾斜面241aがローラ235を紙幣収納方向に押圧するとともに、第3のリンクアーム228が上方に引上げられると、さらに紙幣押圧板210が図示左方に移動するとともに、第3のリンクアームの摺動軸部228a,228a’が摺動部材227を上方に引上げて幅拡大機構220が駆動される。
【0158】
すると、図14A図14Bおよび図17Cに示すように、摺動部材227のガイド突起227c,227dによって、左従動部材223および右従動部材226が上方かつ外側に押上げられて、左レバー221,222および右レバー224,225が、紙幣押圧板210の中央裏板214における左支点軸部214e,214fおよび右支点軸部214g,214hを軸に回転して、左摺動板212および右摺動板213が外側に押し拡げられる。
【0159】
このように幅拡大機構220は、紙幣押圧板210が最大移動位置に達する前に、紙幣押圧板210が最大幅まで拡開する。
【0160】
その後、スタックガイド241が、図18A乃至図18Cに示す最大移動位置に達するまで、図14Cに示すように幅拡大機構220は紙幣押圧板210を最大幅まで拡開した状態を維持する。
【0161】
最大移動位置に到達後、スタックガイド241および第3のリンクアーム228は下方へ移動を開始し、紙幣押圧板210および摺動部材227は図示せぬ付勢手段の付勢力によって最大移動位置から復帰を開始する。
【0162】
すると、左摺動板212および右摺動板213は元の位置に復帰し、紙幣押圧板210の幅が待機状態に戻る。
【0163】
その後、紙幣押圧板210が図15A乃至図15Cに示す待機状態の位置に戻って、再び紙幣搬送通路が形成され、紙幣収納方向に押し込まれた図示せぬ紙幣は、従来と同様に、図示せぬスタッカプレートと図示せぬ紙幣受部の紙幣収納部側の面とに押圧挟持されて収納状態が保持される。
【0164】
以上の通り、本発明に係る実施例2の紙幣収納装置に搭載される紙幣収納機構200は、紙幣収納ミスを防ぐことが可能であり、なおかつ19A乃至図21Cに示すような従来の紙幣収納機構20と置換えるとともに、従来のスタックアーム51をスタックアーム241と第3のリンクアーム228とに置換えるだけなので、従来と比較して紙幣収納装置が大型化することがない。
【0165】
また、実施例2の紙幣収納装置では、スタックガイド241が最大移動位置に到達するより前に紙幣押圧板210を最大幅まで拡げることにより、実施例1より早く紙幣を広げ、紙幣を拡げている時間を長く確保することができるので、さらに紙幣収納ミスを防ぐことができる。
【0166】
以上、2つの実施例において説明したように、本発明の紙幣収納機構は、紙幣押圧板を略鉛直方向に往復移動させる往復機構の駆動力を利用し、紙幣押圧板の往復移動に伴って紙幣押圧板全体の幅を拡開するようにしている。
【0167】
紙幣押圧板は、待機状態から紙幣受部の位置を通過するまではその幅を一定に保持し、紙幣受部を通過した後の所定の位置において拡開するので、紙幣押圧板と紙幣受部とが衝突する虞はない。
【0168】
したがって、紙幣押圧板が紙幣を押圧する際に確実に紙幣を拡げることができるので、柔らかい紙幣や幅が通常よりも広い紙幣であっても、紙幣収納時における紙幣の収納ミスを抑えることができる。
【0169】
この際、紙幣押圧板の最大移動距離を大きくする必要がないので、紙幣収納機構を搭載する紙幣処理装置全体の大型化や紙幣収納部における紙幣の収納可能枚数の減少を招くことなく上記効果が得られるものである。
【0170】
また、設計を困難にし、紙幣収納機構の大型化を招くような、新規部材や複雑な制御を追加する必要もない。
【0171】
さらに、上記各実施例において、一種類の紙幣について説明してきたが、本発明の紙幣収納機構は、ユーロ紙幣や中国の紙幣のように金種によって複数の幅の異なる紙幣を混在収納する紙幣処理装置においても有効である。
【0172】
従来の紙幣収納機構の場合、紙幣幅が大きい紙幣を紙幣受部から紙幣収納部へ収納するための紙幣押圧板の最大移動距離は、単一金種のものよりも長くする必要があった。
【0173】
しかしながら、本発明の紙幣収納機構を適用すれば、紙幣押圧板の最大移動距離を抑えながら、紙幣幅の大きい紙幣を確実に広げて収納できるという効果を得ることができる。
【0174】
なお、本発明の紙幣収納機構の構成は、上記に示した各実施例に限定されるものではない。
【0175】
たとえば、各実施例においては左右レバーを中央板に対して軸止する構成としたが、摺動部材に対して軸止するとともに、中央板に長孔を形成して、該長孔内を摺動自在かつ回動自在に連結する構成としてもよく、当然、軸と穴との関係は反対であってもよい。
【0176】
また、実施例1においては摺動部材によって左右レバーを直接回動させる構成であるのに対し、実施例2においては従動部材を介して回動させる構成を示しているが、各部材の連結方法や介在する部材の数に制限はない。
【0177】
また、摺動部材を駆動する方法として、実施例1においては第2のリンクアームの当接部によって摺動部材を下方から押圧する構成であるのに対し、実施例2においてはスタックアームと摺動部材とを第3のリンクアームによって連結して摺動部材を上方に引上げる構成を示しているが、実施例2の摺動部材を実施例1のように第2のリンクアームの当接部によって摺動部材を下方から押圧する構成とすることも可能である。
【0178】
このように構成した場合、実施例2の紙幣押圧板は収納機構が最大限移動した位置で、紙幣押圧板を最大幅まで開くようになる。
【0179】
なお、これまで本発明に係る紙幣収納機構について、紙幣処理装置に搭載することを前提として説明してきたが、本発明の紙幣収納機構は、紙幣処理装置に搭載されたものに限定されるものでなく、紙幣収納装置を具えた装置であればどんなものであってもよく、また、紙幣収納装置単体であってもよい。
【符号の説明】
【0180】
1 紙幣処理装置
2 紙幣投入口
3 紙幣搬送通路
10 紙幣収納部
11 スタッカプレート
12 付勢手段(圧縮スプリング)
20 従来の紙幣収納機構
21 紙幣押圧板(リフトテーブル)
21a 軸孔
21b 長孔
22 往復機構
23 リンク機構23
24 第1のリンクアーム
24a 長孔
24b 基端
24c 自由端
25 第2のリンクアーム
25a 長孔
25b 基端
25c 自由端
26 中心軸(スタックシャフト)
27 ローラ(スタックローラ)
28 付勢手段(引張スプリング)
30 紙幣受部(スタックガイド)
31 凹溝(スリット)
32 紙幣収納部側の面
40 中心軸ガイド(スタックシャフトガイド)
50 駆動手段
51 スタックアーム
51a 傾斜面
52 カム
53 モータ
<実施例1>
100 紙幣収納機構
110 紙幣押圧板
111 中央版
111a,111b ガイド通路
111c,111d 左支点軸部
111e,111f 右支点軸部
111g 軸孔
111h 長孔
112 左摺動板
112a,112b ガイド部材
112c,112d 当接壁
113 右摺動板
113a,113b ガイド部材
113c,113d 当接壁
114 付勢手段(引張スプリング)
120 紙幣押圧板幅拡大機構
121 摺動部材
121a,121b 左ガイド孔
121c,121d 右ガイド孔
121e 突起部
122 ,123 左レバー
122a,123a 支点軸孔
122b,123b 摺動軸部
122c,123c 羽部
124 ,125 右レバー
124a,125a 支点軸孔
124b,125b 摺動軸部
124c,125c 羽部
130 往復機構
131 リンク機構
132 第1のリンクアーム
132a 長孔
132b 支点軸孔
132c 軸部
133 第2のリンクアーム
133a 長孔
133b 支点軸孔
133c 軸部
133d 当接部
134 中心軸(スタックシャフト)
135 ローラ(スタックローラ)
140 駆動手段
141 スタックアーム
141a 傾斜面
<実施例2>
200 紙幣収納機構
210 紙幣押圧板
211 中央表板
211a,211b 連結部
212 左摺動板
212a,212b ガイド部材
212c,212d ガイド孔
213 右摺動板
213a,213b ガイド部材
213c,213d ガイド孔
214 中央裏板
214a,214b 連結部
214c,214d ガイド通路
214e,214f 左支点軸部
214g,214h 右支点軸部
214i 切欠部
214j,214k リブ状レール
214l,214m 軸孔
214n,214o 長孔
220 紙幣押圧板幅拡大機構
221 ,222 左レバー
221a,222a 支点軸孔
221b,222b 摺動軸部
221c,222c 従動軸部
223 左従動部材
223a,223b 軸孔
223c ガイド溝
223d 当接壁
224 ,225 右レバー
224a,225a 支点軸孔
224b,225b 摺動軸部
224c,225c 従動軸部
226 右従動部材
226a,226b 軸孔
226c ガイド溝
226d 当接壁
227 摺動部材
227a,227b 凹溝(スリット)
227c,227d ガイド突起
227e,227f 長孔
228 第3のリンクアーム
228a 摺動軸部
228b 軸部
230 往復機構
231 リンク機構
232 第1のリンクアーム
232a 長孔
232b 支点軸孔
232c 軸部
233 第2のリンクアーム
233a 長孔
233b 支点軸孔
233c 軸部
234 中心軸(スタックシャフト)
235 ローラ(スタックローラ)
240 駆動手段
241 スタックアーム
241a 傾斜面
241b 軸部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図20A
図20B
図21A
図21B
図21C