(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6330090
(24)【登録日】2018年4月27日
(45)【発行日】2018年5月23日
(54)【発明の名称】遠近両用眼鏡状のフレーム
(51)【国際特許分類】
G02C 5/20 20060101AFI20180514BHJP
G02C 5/12 20060101ALI20180514BHJP
G02C 5/04 20060101ALI20180514BHJP
G02C 7/06 20060101ALI20180514BHJP
【FI】
G02C5/20
G02C5/12
G02C5/04
G02C7/06
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-130151(P2017-130151)
(22)【出願日】2017年7月3日
【審査請求日】2017年12月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596179070
【氏名又は名称】関 則雄
(74)【代理人】
【識別番号】100083633
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏
(72)【発明者】
【氏名】関 則雄
【審査官】
廣田 健介
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−093029(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3134235(JP,U)
【文献】
実開昭51−126148(JP,U)
【文献】
特開2008−286884(JP,A)
【文献】
特開2000−122009(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0145699(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠(1)と、該一対のレンズ保持枠(1)を連結するブリッジ(2)と、先端側が折畳み可能に取付けられたツル(4)と、鼻に当接して支持させる鼻当部(5)と、前記ブリッジ(2)に設けると共に前記鼻当部(5)が上下スライドするための上下スライド手段(6)と、前記レンズ保持枠(1)の外側に設けると共に前記ツル(4)の先端と連結させて、前記レンズ保持枠(1)が上下移動するための上下移動手段(7)と、から少なくとも構成し、更に、前記上下移動手段(7)が、前記レンズ保持枠(1)の外側に固着させた固定板(71)と、該固定板(71)を貫通させて上下移動可能に配置した一対の板バネ(72)と、前記固定板(71)の上方に配置すると共に前記板バネ(72)の一端に固着させた可動板(73)と、前記板バネ(72)の他端に固着させた抜け防止部材(74)と、から少なくとも構成され、前記可動板(73)に前記ツル(4)の先端を連結したことを特徴とする遠近両用眼鏡状のフレーム。
【請求項2】
前記上下スライド手段(6)と前記上下移動手段(7)の移動距離を、上下に配置したレンズAの中心とレンズBの中心との間隔距離に相当する長さとした請求項1記載の遠近両用眼鏡状のフレーム。
【請求項3】
前記上下スライド手段(6)が、前記ブリッジ(2)の中央から吊下した軸(61)と、該軸(61)を貫通させる軸受(62)と、該軸(61)に装着する弾性部材(63)と、前記軸(61)の端部に取付けるストップリング(64)と、から少なくとも構成された請求項1記載の遠近両用眼鏡状のフレーム。
【請求項4】
前記上下スライド手段(6)が、前記ブリッジ(2)の中央に固着した軸受(62)と、該軸受(62)を貫通する軸(61)と、該軸(61)に装着する弾性部材(63)と、前記軸(61)の端部に取付けるストップリング(64)と、から少なくとも構成された請求項1記載の遠近両用眼鏡状のフレーム。
【請求項5】
前記上下移動手段(7)に、上下移動用のガイド機構部(75)を設け、該ガイド機構部(75)が、端部に穴を穿設した前記固定板(71)と、一端を前記可動板(73)に固定すると共に他端を前記抜け防止部材(74)に固定するガイド棒(751)と、から少なくとも構成され、且つ、前記ガイド棒(751)を前記固定板(71)の穴に貫通させて前記可動板(73)が上下移動可能である請求項1記載の遠近両用眼鏡状のフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は上下移動して異種類のレンズなどを使い分け出来る遠近両用眼鏡状のフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に遠近両用眼鏡は、1枚のレンズの上部を遠視用に、その下部を近視用に成し、眼鏡の装着者が眼球の方向や見る角度を変え、遠くの物を見る時には上目使いに、近くの物を見る時には下目使いにして見ているのが現状である。この場合、
図11(a)に示すように視線が水平位置から下方に向って物を見るため、物を見るのに正視する(レンズの中心と装着者の目の高さが合致した視線で見る)のが自然であるのに対して、特に近くの物を見る時の視線は、不自然な見方、不自然な使い方で無理が生じ易く、目の疲れを誘発し易いものとなっていた。
【0003】
このため、下方の近視用領域を目の位置に近付けて、視線を正視状態に近くするための提案も多くある。この中で、鼻当部だけを上下移動させるものとしては、
図11(b)に示すように視線を水平位置から下方に向けて物を見ると、
図11(a)の時よりも下方に向ける角度が小さくて済み、目の高さに近付けることができるという提案がなされている。しかし、この時のレンズ全体が図中のように傾くため、見にくいものとなり、目の疲労が生じ易いものとなっていた。
【0004】
又、眼鏡自体を反転させる眼鏡や、眼鏡自体の高さを鼻当て位置の上下高さ調節によって目の位置に近付けた眼鏡など多種類のものがある。この中で、眼鏡自体を反転させる提案のものとしては、例えば、特開平7−199126号があり、これは、反転して眼鏡が掛けられるようにツルを反転して耳当部を上下移動させると共に、鼻当部を上下移動させて、遠中視部又は近視部の中央付近に目が位置するようにする構造のものである。
【0005】
しかしなら、眼鏡自体を反転させる眼鏡は、ツルの取付部が眼鏡枠の外側中央高さに設けられているため、眼鏡自体を反転させても、視線が上下のレンズの境に来て見にくくなり、必ず鼻当部の上下高さ調節をしなければならないものであった。この眼鏡は反転させて使用できるようにした後、鼻当部を上下移動させて上下高さ調節する必要があり、面倒であると共に、鼻当部の上下移動させる微調節を正確に行うのは、なかなか困難である。又、この時の視線としては、
図11(c)に示すようになり、目の高さにズレが生じ、且つ、レンズ全体が図中のように傾くため、目の疲労をなくすことはできないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−199126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上下移動して異種類のレンズなどを簡単に使い分け出来ると共に、レンズなどの中心と装着時の装着者の目の高さを合致させて眼精疲労が軽減される遠近両用眼鏡状のフレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記現状に鑑みて成されたものであり、つまり、上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠と、該一対のレンズ保持枠を連結するブリッジと、先端が折畳み可能に取付けられたツルと、鼻に当接して支持させる鼻当部と、前記ブリッジに設けると共に鼻当部が上下スライドするための上下スライド手段と、レンズ保持枠の外側に設けると共にツルの先端と連結させて、レンズ保持枠が上下移動するための上下移動手段と、から少なくとも構成し、更に、上下移動手段が、レンズ保持枠の外側に固着させた固定板と、該固定板を貫通させて上下移動可能に配置した一対の板バネと、前記固定板の上方に配置すると共に板バネの一端に固着した可動板と、前記板バネの他端に固着させた抜け防止部材と、から少なくとも構成され、前記可動板にツルの先端を連結したものとする。又、前記上下スライド手段と上下移動手段の移動距離を、上下に配置したレンズAの中心とレンズBの中心との間隔距離に相当する長さとするのが好ましく、前記上下スライド手段が、ブリッジの中央から吊下した軸と、該軸を貫通させる軸受と、該軸に装着する弾性部材と、軸の端部に取付けるストップリングと、から少なくとも構成されたものとしても良い。更に前記上下スライド手段の軸受をブリッジの中央に固着し、該軸受を貫通させてスライド可能な軸としても良い。又、前記上下移動手段に、上下移動用のガイド機構部を設けたものとしても良い。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のように上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠(1)と、該一対のレンズ保持枠(1)を連結するブリッジ(2)と、先端側が折畳み可能に取付けられたツル(4)と、鼻に当接して支持させる鼻当部(5)と、ブリッジ(2)に設けると共に鼻当部(5)が上下スライドするための上下スライド手段(6)と、レンズ保持枠(1)の外側に設けると共にツル(4)の先端と連結させて、レンズ保持枠(1)が上下移動するための上下移動手段(7)と、から少なくとも構成させることによって、レンズ保持枠(1)が上下移動して異種類のレンズなどを簡単に使い分け可能となると共に、従来品の如き微調節することが殆どないので、取扱いが極めて安易なものとなる。特にレンズの中心と装着者の目の高さを合致させれば、眼精疲労が軽減されるものとなる。又、前記上下移動手段(7)が、レンズ保持枠(1)の外側に設けられているので、既存のものに近い状態となり、シンプルなデザインにすることが出来る。更に、上下移動手段(7)が、レンズ保持枠(1)の外側に固着させた固定板(71)と、該固定板(71)を貫通させて上下移動可能に配置した一対の板バネ(72)と、固定板(71)の上方に配置すると共に板バネ(72)の一端に固着させた可動板(73)と、板バネ(72)の他端に固着させた抜け防止部材(74)と、から少なくとも構成され、前記可動板(73)にツル(4)の先端を連結することにより、簡単な構造で、且つ、レンズ保持枠(1)の上下移動がスムーズに行えるものとなる。
【0010】
請求項2のように上下スライド手段(6)と上下移動手段(7)の移動距離を、上下に配置したレンズAの中心とレンズBの中心との間隔距離に相当する長さとすることにより、レンズの中心と装着者の目の高さが合致するので、レンズAの眼鏡とレンズBの眼鏡の2種類の眼鏡が、上辺同士を固定した眼鏡と略同様な使用が可能となるため、レンズAの眼鏡とレンズBの眼鏡を使い分けて単独の眼鏡として使用する状態と略同一の感覚となり、極めて見え易いものとなる。しかも、レンズAとレンズBの使い分けが簡単で迅速且つ確実に行え、レンズの使用範囲(視線の移動範囲)が広がるものとなる。更に物を見る場合、正視する自然状態となり、眼精疲労が軽減可能なものとなる。
【0011】
請求項3に示すように上下スライド手段(6)が、ブリッジ(2)の中央から吊下した軸(61)と、該軸(61)を貫通させる軸受(62)と、軸(61)に装着する弾性部材(63)と、軸(61)の端部に取付けるストップリング(64)と、から少なくとも構成されることによって、簡単な構造で、且つ、鼻当部(5)の上下移動がスムーズに行えるものとなる。
【0012】
請求項4に示すように上下スライド手段(6)が、ブリッジ(2)の中央に固着した軸受(62)と、該軸受(62)を貫通するスライド可能な軸(61)と、該軸(61)に装着する弾性部材(63)と、軸(61)の端部に取付けるストップリング(64)と、から少なくとも構成されることによって、請求項3と同様の効果が得られる。
【0013】
請求項5のように上下移動手段(7)に、上下移動用のガイド機構部(75)を設けることにより、可動板(73)がスムーズに上下移動可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】本実施形態の上下スライド手段の分解部品を示す斜視図である。
【
図5】本実施形態の上下スライド手段の作用を示す説明図である。
【
図6】別実施形態の上下スライド手段の作用を示す説明図である。
【
図7】本実施形態の上下移動手段の作用を示す説明図である。
【
図8】本実施形態の上下移動手段とガイド機構部の要部を示す説明図である。
【
図9】本実施形態の上下移動手段とガイド機構部の作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を
図1〜
図3に基づいて説明する。(1)は上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠であり、該レンズ保持枠(1)はレンズA,Bの外周を図中の如く囲っているが、これに限定するものではなく、例えば、縁なし眼鏡のレンズ保持枠(1)を用いても良い。尚、前記レンズ保持枠(1)によって保持されるレンズとしては、凹レンズ,凸レンズ,板ガラス(素通しや偏光板),色付きガラス(サングラスなど),ウェアラブル端末グラスなどを用いるのが好ましい。またレンズの形状としては、
図1、
図2の図中に示す四角形に限定されるものではなく、例えば円形,楕円形や他の形状でも良い。またレンズA,Bは、1枚のレンズに一体化させたものが好ましい。更に前記レンズの代わりに、ウェアラブル端末用の表示画面として使用するものとしても良い。
【0016】
(2)は一対のレンズ保持枠(1)の中央高さ位置に連結したブリッジである。尚、前記ブリッジ(2)の連結位置は、中央高さ位置に限定されるものではない。(3)は後述するツル(4)を折畳み可能に取付けるための蝶番である。(4)は先端が折畳み可能に取付けられたツルである。(5)は鼻に当接して全体を支持させる鼻当部であり、該鼻当部(5)はブリッジ(2)の下部に設けると共に上下方向にスライド可能に配置されている。
【0017】
(6)は鼻当部(5)を上下スライドさせるために設けた上下スライド手段であり(
図4、
図5参照)、該上下スライド手段は、ブリッジ(2)の中央から吊下した丸棒状の軸(61)と、該軸(61)を挿入する軸受(62)と、前記軸(61)の外周から突出させて装着する弾性部材(63)と、前記ストップリング(64)と、から構成されている。前記軸(61)には2個の貫通穴(61a)が穿設されており、その貫通穴(61a)の間隔は、レンズAの中心とレンズBの中心との距離に相当する長さである。また前記軸受(62)の内部には、弾性部材(63)の突出部が嵌入されるための湾曲凹面状の溝(62a)が1本刻設されていると共に、前記軸受(62)には鼻当部(5)が固着されている。また前記弾性部材(63)としては俵状のゴム製や合成樹脂製のものを用いるのが好ましいが、他のものでも良い。例えば、前記弾性部材(63)としてOリングなどを用いる場合、軸(61)に穿設した貫通穴(61a)の代りに、湾曲凹面状の溝を2本形成し、Oリングを軸受(62)の内部に装着させる構造としても良い。前記ストップリング(64)としてはCリングなどを用いるが、他のもの、例えばEリングなどを用いても良い。
【0018】
図6は別実施形態の上下スライド手段を示す図であり、この図に基づいて説明する。これは前記実施形態と比べ、前記軸受(62)がブリッジ(2)の中央に固着され、軸(61)が軸受(62)を貫通して上下移動する構造である。つまり、上下移動可能な軸(61)と、ブリッジ(2)の中央に固着した軸受(62)と、軸(61)に装着する弾性部材(63)と、前記軸(61)の上端部に取付けるストップリング(64)と、から構成されている。また前記軸(61)には2個の貫通穴が上記同様に穿設されており、前記軸受(62)の内部には、弾性部材(63)の突出部が嵌入されるための湾曲凹面状の溝が上記同様に1本刻設されている。この時の鼻当部(5)は軸(61)の下端部に固着されている。
【0019】
(7)はレンズ保持枠(1)の外側に設けると共にツル(4)の先端と連結させた上下移動手段であり、該上下移動手段(7)が、レンズ保持枠(1)の外側に固着させたL字状の固定板(71)と、該固定板(71)を貫通させて上下移動可能に配置した一対の板バネ(72)と、固定板(71)の上方に配置すると共に板バネ(72)の一端に固着した可動板(73)と、板バネ(72)の他端に固着させた抜け防止部材(74)と、から少なくとも構成され、可動板(73)にツル(4)の先端を連結している。前記上下スライド手段(6)と上下移動手段(7)の移動距離は、上下に配置したレンズAの中心とレンズBの中心との間隔距離に相当する長さとするのが好ましい。また前記板バネ(72)は湾曲したものを
図7、
図8のように合せて取付けている。
(8)はツル(4)の後端部に取付けられた耳当部である。
【0020】
図8、
図9は本実施形態の上下移動手段(7)にガイド機構部(75)を備えた図であり、この図に基づいてガイド機構部(75)を説明する。該ガイド機構部(75)としては、固定板(71)が外側(図中に於いては右側)に延出させ、その延出した部分にガイド棒(751)が挿入する穴を設け、可動板(73)も同様に延出させ、その延出した部分にガイド棒(751)の上端を固着している。更に抜け防止部材(74)も同様に延出させ、該抜け防止部材(74)にガイド棒(751)の下端を固着させておく。この時、前記可動板(73)の側面の略中央にはツル(4)の先端を
図8のように連結させておく。尚、前記ツル(4)の先端を
図1に示すように、少し折曲して可動板(73)の上部に固着させても良いが、この場合には、ツル(4)の後端がレンズの中心高さに合致するように、固定板(71)の取付け高さを予め調整しておく。
【0021】
次に本発明の上下スライド手段(6)の作用を
図5に基づいて説明する。先ず始めに(イ)の状態にある軸受(62)を、指で矢印方向へ持上げると、軸(61)から突出した弾性部材(63)が軸受(62)の溝(62a)から外れ、軸受(62)は(ロ)の状態の如く軸(61)と隙間ができて軽くなるので、そのまま上方に移動させる。すると、軸(61)から突出した弾性部材(64)が軸受(62)の溝(62a)に嵌り、(ハ)の位置で軸受(62)が止まるのである。この時、鼻当部(5)は(イ)から(ハ)の位置間で上方へ移動するのである。鼻当部(5)を下方へ移動する場合は、軸受(62)を引下げて(イ)の位置に戻せば良い。
【0022】
別実施形態の上下スライド手段(6)の作用を
図6に基づいて説明する。先ず始めに(イ)の状態にある鼻当部(5)を、指で矢印方向へ引下げると、軸(61)の下方の弾性部材(63)が軸受(62)の溝から外れ、軸(61)は軸受(62)と隙間ができて軽くなり、軸(61)は自然落下して、(ロ)の位置を通過し、上方の弾性部材(63)が軸受(62)に当るので、少し力を入れて引くと、弾性部材(63)が軸受(62)の溝に嵌り、(ハ)の位置で軸(61)と一緒に鼻当部(5)も下がって止まるのである。従って、鼻当部(5)は(イ)から(ハ)の位置まで下がるのである。鼻当部(5)を上方へ移動する場合は、鼻当部(5)を持上げて(イ)の位置に戻せば良い。
【0023】
次に上下移動手段(7)の作用を
図7に基づいて説明する。先ず始めに可動板(73)を指で上方へ持上げると、2枚の板バネ(72)は固定板(71)の四角形状の穴を通過し、板バネ(72)の膨らみ具合が小さくなり、可動板(73)が略中央に来た時に、2枚の板バネ(72)の膨らみ具合が
図7(b)のように一番小さくなる。その後、可動板(73)を更に持上げていくと、抜け防止部材(74)が固定板(71)に当接して
図7(c)のように止まる。その後、固定板(71)を通過した板バネ(72)を、下方へ移動させて元の位置に戻すと、
図7(a)の状態で可動板(73)は固定板(71)に当接して止まるのである。尚、前記可動板(73)が(c)の位置に来た時には、バネ力が外側に向って働き、可動板(73)及び抜け防止部材(74)は落下しない状態が保持される。
【0024】
図9は本実施形態の上下移動手段(7)とガイド機構部(75)の作用を示す図であり、これは
図7に対し、ガイド機構部(75)が協働する。先ず始めに可動板(73)を指で上方へ持上げると、上記同様に2枚の板バネ(72)は固定板(71)の四角形状の穴を通過する。この時、ガイド機構部(75)のガイド棒(751)が、可動板(73)の上下移動がスムーズに移動するように、板バネ(72)のねじれやぐらつきを制限しながらガイドするため、板バネ(72)の膨らみ具合がスムーズに小さくなり、
図7(b)のように可動板(73)が略中央を通過する。その後、可動板(73)を更に持上げていくと、抜け防止部材(74)が固定板(71)に当接して
図7(c)のように止まる。この時、可動板(73)はガイド棒(751)によって安定度がより増加するものとなる。その後、固定板(71)を通過した板バネ(72)は、下方へ移動して元の位置に戻されると、
図7(a)の状態のように可動板(73)は固定板(71)に当接して止まるのである。尚、前記可動板(73)が(c)の位置に来た時には、バネ力が外側に向って働き、可動板(73)は落下しない状態が保持される。
【0025】
次に本発明の作用を
図10に基づいて説明する。先ず始めに(a)の状態について説明する。この状態で眼鏡を掛けると、装着者の目の高さとレンズAの中心(図中の1点鎖線)が合致しているので、物が非常に見易く、且つ、レンズAの上下を有効に使用できるものとなる。この場合の鼻当部(5)の位置は、
図5(ハ)の状態である。その後、レンズBを使用する時は、先ず指で可動板(73)を下方へ下げると、板バネ(72)は固定板(71)の四角形状の穴を通過て、可動板(73)が固定板(71)に当接して(b)のように止まる。この場合の鼻当部(5)の位置は、
図5(イ)の状態である。この時、上記レンズAの時と同じようにレンズB(図中の1点鎖線)の中心が装着者の目の高さと合致するので、物を見る時に正視できるため、目の疲れが激減出来るものとなる。
【0026】
このように可動板(73)を上下移動することにより、相対的にレンズ保持枠(1)が上下移動するものとなる。また鼻当部(5)も可動板(73)の上下移動に合せて上下移動することにより、装着者の目の位置がレンズAの中心からレンズBの中心に移動した場合でも、レンズAの時と同様に、鼻当部(5),耳当部(8),ツル(4)の位置関係は変化しないものとなる。この時、レンズAとして凹レンズを使用し、レンズBとして凸レンズを使用すれば、従来の問題点が、素早く解決できるものとなる。つまり、1)運転席のカーナビやオーディオ機器等を操作した後、直ぐに前方を見ても、焦点が合わず前方がボケたり或いは距離感に異常を感じることが防止可能となる。2)コンピューターの前で、手元のデーターや文字を確認した後、画面を見ると細かな文字が見えにくく、且つ、眩しく感じたりすることがなくなり、目の疲れが減少し、頭痛や肩こり等が減少するものとなる。3)階段を下がる時に足元がボケ、歩きにくくなることが防止でき、階段を踏み外す事故も防止出来るものとなる。4)テレビジョンを見ながら新聞や雑誌を見てもピンボケが減少する。5)岩場で釣りをする場合、針に餌を付けた後にすぐに岩場を歩いても岩につまずくことが殆どなくなる。
【0027】
又、レンズAとしてサングラスを使用し、レンズBとして凸レンズを使用する際、特に運転席のカーナビやオーディオ機器等を操作した後、直ぐに前方をサングラスに変えて見れば、ボケたり或いは距離感に異常を感じることが防止可能となると共に眩しさに対応できるものとなる。更に、レンズAとしてウェアラブル端末グラスを使用し、レンズBとして凸レンズを使用すると、眼鏡としてレンズBを使用しながら、一々眼鏡を外さなくてもウェアラブル端末が使用できるものとなるのである。
このように、本発明品を用いれば、眼鏡を掛け変えなくても簡単に2種類のレンズ等がそれぞれ単独状態で使用できるものとなるのである。
【符号の説明】
【0028】
1 レンズ保持枠
2 ブリッジ
4 ツル
5 鼻当部
6 上下スライド手段
61 軸
62 軸受
63 弾性部材
64 ストップリング
7 上下移動手段
71 固定板
72 板バネ
73 可動板
74 抜け防止部材
75 ガイド機構部
【要約】
【課題】本発明は上下移動して異種類のレンズなどを簡単に使い分け出来ると共に、レンズなどの中心と装着時の装着者の目の高さを合致させて眼精疲労が軽減される遠近両用眼鏡状のフレームを提供することを目的とする。
【解決手段】上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠1と、該一対のレンズ保持枠1を連結するブリッジ2と、先端が折畳み可能に取付けられたツル4と、鼻に当接して支持させる鼻当部5と、前記ブリッジ2に設けると共に鼻当部5が上下スライドするための上下スライド手段6と、レンズ保持枠1の外側に設けると共にツル4の先端と連結させて、レンズ保持枠1が上下移動するための上下移動手段7と、から少なくとも構成したものとする。
【選択図】
図1