特許第6330096号(P6330096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6330096門型側溝ブロックの逆打ち型枠における保護枠の固定構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6330096
(24)【登録日】2018年4月27日
(45)【発行日】2018年5月23日
(54)【発明の名称】門型側溝ブロックの逆打ち型枠における保護枠の固定構造
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/04 20060101AFI20180514BHJP
   B28B 7/10 20060101ALI20180514BHJP
【FI】
   E03F5/04 Z
   B28B7/10 B
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-169418(P2017-169418)
(22)【出願日】2017年9月4日
【審査請求日】2017年12月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000201504
【氏名又は名称】前田製管株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066094
【弁理士】
【氏名又は名称】米屋 武志
(74)【代理人】
【識別番号】100123146
【弁理士】
【氏名又は名称】米屋 崇
(72)【発明者】
【氏名】渡部 巧
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−292756(JP,A)
【文献】 特開2000−291117(JP,A)
【文献】 特開平11−324090(JP,A)
【文献】 特開2002−327488(JP,A)
【文献】 特開2005−029978(JP,A)
【文献】 特開平11−200470(JP,A)
【文献】 米国特許第05985157(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/04
B28B 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台上のスライドレールで左右方向に移動自在に配置された左右一対の側板と前記側板に丁番で取り付けた前後いずれもがドア状に開閉できる前後の妻板と底板とからなる外枠と、前記左右一対の側板を固定する手段を備えた内枠とからなるコンクリート製門型側溝ブロックの逆打ち型枠において、門型側溝ブロックの天端部に装着するための前記底板上に載置した保護枠の前後両端部の上面を、前記型枠の型組時に前記前後の妻板の下部に設けた浮き上がり防止ピンで押さえ付けて前記底板上に固定する構成としたことを特徴とする門型側溝ブロックの逆打ち型枠における保護枠の固定構造。
【請求項2】
門型側溝ブロックの左右両天端部に装着するための前記底板上に載置した左右の保護枠の前後両端部の上面を、前記型枠の型組時に前記前後の妻板の下部に設けた左右の浮き上がり防止ピンで押さえ付けて前記底板上に同時に固定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の門型側溝ブロックの逆打ち型枠における保護枠の固定構造。
【請求項3】
前記前後の妻板の下部に設けた前記浮き上がり防止ピンが、平行に突出する複数本のピンからなる構成としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の門型側溝ブロックの逆打ち型枠における保護枠の固定構造。
【請求項4】
前記浮き上がり防止ピンの先端部ペンシル状としたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の門型側溝ブロックの逆打ち型枠における保護枠の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は門型側溝ブロックの逆打ち型枠に関し、更に詳しくは、コンクリート製門型側溝ブロックの天端部に装着する保護枠の型枠底板への固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
路面に埋設されるコンクリート製のU字溝や門型側溝等の天端部は、車両等の通過によって磨耗したり損傷を受けたりする。特に横断用の側溝では常時車両が通過するため、その天端部を金属製の保護枠によって保護することが多い。
【0003】
この保護枠は、天端部の保護の他に本体コンクリートと一体に形成され、蓋係り部まで保護するように形成される場合もある。また、保護枠をグレーチングと一体にし、さらに本体コンクリートと一体に成形して、がたつきを抑えるなどの効果を目的としたものなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−209439号
【特許文献2】特開2016−84611号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
側溝の天端部の保護やがたつきを防止するためには、保護枠と天端部のコンクリートとを密着させて形成する必要があり、なおかつ、前後に敷設されるブロック同志の天端部との間、天端部と路面舗装部との間に段差が生じないよう、寸法精度よく取り付けられていることが必要である。また、後付けで保護枠を天端部に取り付けることには手間がかかることから、工場で予め一体化して製造されることが多い。
【0006】
この場合、保護枠を型枠の底板上に載置して、ブロック底面側を上にしたコンクリートの逆打ち投入によって成形することで、保護枠と天端部コンクリートとの間に隙間が生じないようにしている。保護枠と天端部コンクリートとの一体性を確保する上では、保護枠の裏面にアンカーを設けるなどの工夫が考えられるが、成形時の振動によって保護枠が型枠の底板面から浮き上がってしまい、高さ寸法が狂ってしまうことになりかねない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような従来の課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明では、架台上のスライドレールで左右方向に移動自在に配置された左右一対の側板と前記側板に丁番で取り付けた前後いずれもがドア状に開閉できる前後の妻板と底板とからなる外枠と、前記左右一対の側板を固定する手段を備えた内枠とからなるコンクリート製門型側溝ブロックの逆打ち型枠において、門型側溝ブロックの天端部に装着するための前記底板上に載置した保護枠の前後両端部の上面を、前記型枠の型組時に前記前後の妻板の下部に設けた浮き上がり防止ピンで押さえ付けて前記底板上に固定する構成としたことを特徴とする門型側溝ブロックの逆打ち型枠における保護枠の固定構造とした。
【0008】
また、上記のような従来の課題を解決するため、本願の請求項2に係る発明では、門型側溝ブロックの左右両天端部に装着するための前記底板上に載置した左右の保護枠の前後両端部の上面を、前記型枠の型組時に前記前後の妻板の下部に設けた左右の浮き上がり防止ピンで押さえ付けて前記底板上に同時に固定する構成としたことを特徴とする門型側溝ブロックの逆打ち型枠における保護枠の固定構造とした。
【0009】
さらに、上記のような従来の課題を解決するため、本願の請求項3に係る発明では、前記前後の妻板の下部に設けた前記浮き上がり防止ピンが、平行に突出する複数本のピンからなる構成としたことを特徴とする門型側溝ブロックの逆打ち型枠における保護枠の固定構造とした。
【0010】
そして又、上記のような従来の課題を解決するため、本願の請求項4に係る発明では、前記浮き上がり防止ピンの先端部ペンシル状としたことを特徴とする門型側溝ブロックの逆打ち型枠における保護枠の固定構造とした。
【発明の効果】
【0011】
上述したように、本願の請求項1に記載の発明によれば、前後いずれもがドア状に開閉できる前後の妻板の下部に浮き上がり防止ピンが取り付けられていることで、前記前後の妻板の型組と同時に保護枠の前後両端部の上面が浮き上がり防止ピンにより押さえ付けられることで底板上に固定され、成形時の振動によっても保護枠が前記底板から浮き上がらない。したがって、ペーストや骨材が前記保護枠の下方に廻り込むことがなく、寸法に狂いが生じない門型側溝ブロックが得られる。
【0012】
また、本願の請求項2に記載の発明によれば、前記前後の妻板の型組時にその下部に設けた左右の浮き上がり防止ピンにより押さえ付けることで前記底板上に配置した左右の保護枠を同時に固定でき、作業能率の向上が図られる。
【0013】
さらに、本願の請求項3に記載の発明によれば、前記前後の妻板の下部に設けた前記浮き上がり防止ピンが平行に突出する複数本のピンからなる構成としたことで、保護枠の前後両端部の上面は幅方向において複数本のピンで押さえられ、固定がしっかりしたものとなる。
【0014】
そして更に、本願の請求項4に記載の発明によれば、前記浮き上がり防止ピンの先端をペンシル状に構成することで、前記前後の妻板の型組時に浮き上がり防止ピンの先端部が前記保護枠の上面上をスライドしながら押さえ付けるので、作業がスムーズに行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】門型側溝ブロックの全体斜視図である。
図2図1に示す門型側溝ブロックを製造する際に使用する本発明に係るコンクリート逆打ち型枠の正面図で、全開途中の妻板の一部を切り欠いた図である。
図3図2に示すコンクリート逆打ち型枠の平面図である。
図4】本発明の要部を示す拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図面に示す実施例により詳細に説明する。図1において、Aはコンクリートで形成した門型の側溝ブロックで、本発明はこの門型の側溝ブロックAを振動締め固めによって成形する際に使用するコンクリートの逆打ち型枠に関するものである。
【0017】
前記門型の側溝ブロックAは、天板部Bと,該天板部Bの巾方向の左右両端部から垂下する脚部(側壁部)C,Cと、長手方向に延びる前記天板部Bの中央に形成したグレーチング設置用の縦穴Dとから主に構成されており、前記天板部Bの天端部には逆L字形の保護枠Eが前記側溝ブロックAの長手方向(前後方向)の全長に渡って装着されている。
【0018】
Fは前記グレーチング設置用の縦穴Dの左右両側に設置したL字型の受枠で、この受枠Fにグレーチング(図示しない)を嵌め込み、後述する型枠の型組の際に、受枠Fと長辺枠部材8aに予め取り付けてあるグレーチング固定用のボルトH・ナットIでグレーチングを固定して設置するものであり、受枠Fの上端縁F1 と前記保護枠Eの内端縁E1 とは溶接によって一体に形成されている。
【0019】
1は前記門型の側溝ブロックAを成形する際に使用するコンクリート逆打ちの型枠で、2は架台上に設置したスライドレール、3は前記スライドレール2で左右方向にそれぞれ移動自在に設置された左右一対の側板である。4は前記側板3の一端側に丁番5によって取り付けられた妻板で、前後の両妻板4,4はいずれもがドア状に開閉できるよう形成されている。
【0020】
6は底板で、前記左右の側板3,3及び前後の妻板4,4および前記底板6で前記型枠1の外枠が構成されている。8は前記底板6の中央に設置した台枠で、前後方向に延びる左右の長辺枠部材8aと、左右方向の短辺枠部材8bからなる平面視が長方形状の突起部であり、この突起部(台枠)8は前記門型側溝ブロックAのグレーチング設置用の縦穴Dと対応する位置に設置されている。
【0021】
9は前記外枠(3・4・6)内に設置した内枠で、離間する左右一対の起立内壁9a,9aと、該両起立内壁9a,9aがその下端部で一部に凹溝9bを有する底内壁9cで連結したU字形のものであり、前記起立内壁9a,9aの上端部は、吊り金具10の主旱が上下動することで開く角度が変わるハ字状の枝板10a,10aの先端部に軸装されている。
【0022】
11は前記前後の妻板4,4の下部に設けた浮き上がり防止ピンで、前記側板3と丁番5で回転可能に取り付けられた妻板4にあって丁番5側に1ヵ所11A、側板3とロックする側−妻クランプ12側に1ヵ所11Bの計2ヵ所にそれぞれ設置されており、各浮き上がり防止ピン11の設置箇所11A,11Bには平行して突出する各2本の浮き上がり防止ピン11,11がそれぞれ離間して設けられている。
【0023】
上記構成からなる本発明の型枠1の型組み作業は次の手順で行う。
(1)底板6上の左右両端部に、前記門型側溝ブロックAの天板部Bにあってその頂端部Gに全長にわたって装着するための保護枠Eと、該保護枠Eの長手方向中央部に溶接によって一体に取り付けた受枠Fを設置する。保護枠Eと受枠Fとが一体となったこの枠材の型枠1への設置にあたっては、図4に示すように、横L字状の保護枠Eの水平部Ea下面を底板6と面接させ、溶接により一体となった受枠Fにあっては、逆L字形の起立部および水平部を前記台枠8の長辺枠部材8aに外側から被せる形で設置する。
【0024】
(2)左右の側板3,3をスライドレール2で底板6方向へそれぞれスライドさせ、側板3と底板6を側−台クランプ13でロックする。つぎに、内枠9を吊り金具10を介して上方から底板6方向に下降させ、内枠9の起立内壁9a下面が台枠8の長辺枠部材8a上面と当接する位置で内枠クランプ14でロックする。なお、図中15は側板3,3間にあって上方に架設した側板クランプである。
【0025】
(3)次に、左右の側板3,3に丁番5,5によって取り付けた前後の妻板4,4を丁番5,5の軸を中心として内枠9方向に回転させ、閉じた妻板4を妻−側クランプ12でロックする。妻板4を丁番5を中心として内枠9方向に回転させ、妻板4で側板3と内枠9間の小口を閉じる際、妻板4にあって浮き上がり防止ピンの設置箇所11A,11Bにそれぞれ設置した二本の浮き上がり防止ピン11,11は、底板6の上に載置した保護枠Eの水平部Eaの前後両端部の上面をスライドしながら押さえ付ける。
【0026】
(4)型枠1の外枠(3・4・6)及び内枠9を上記の状態で型組したのち、側板3と内枠9との間に上方からコンクリートを投入して充填し、振動締め固めの後脱型することで、図1に示すように、天板部Bの頂端部に保護枠Eが全長にわたって装着されている門型の側溝ブロックAが得られる。詳述すると、前記前後の妻板4,4の型組と同時に保護枠Eの水平部Eaの前後両端部が浮き上がり防止ピン11により底板6上に固定されているので、成形時の振動によっても保護枠Eの水平部Eaの前後両端部が底板6から浮き上がらず、寸法に狂いが生じない門型側溝ブロックAが得られる。
【符号の説明】
【0027】
A 門型の側溝ブロック
D 縦穴
E 保護枠
F 受枠
H ボルト
I ナット
1 型枠
2 スライドレール
3 側板
4 妻板
5 丁番
6 底板
3・4・6 外枠
8 台枠
8a 長辺枠部材
8b 短辺枠部材
9 内枠
9a 起立内壁
9b 凹溝
9c 底内壁
10 吊り金具
11 浮き上がり防止ピン
【要約】
【課題】成形時の振動によっても保護枠の前後両端部が型枠の底板面から浮き上がらず、保護枠と天端部コンクリートとの間に隙間が発生ぜず、高さ寸法に狂いがない門型側溝ブロックが得られるコンクリート製門型側溝ブロックの逆打ち型枠を提供する。
【解決手段】スライドレール2で左右方向に移動自在に配置された左右一対の側板3と前記側板に丁番5で取り付けた前後いずれもがドア状に開閉できる前後の妻板4と底板6とからなる外枠(3・4・6)と、前記左右一対の側板を固定する手段を備えた内枠9とからなるコンクリート製門型側溝ブロックの逆打ち型枠1にあって、門型側溝ブロックの天端部に装着する前記底板上に載置した保護枠Eの前後両端部を、前後の妻板の型組時にその下部に設けた浮き上がり防止ピン11で底板6上に固定する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4