(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1に係る船外機昇降装置1について、
図1〜
図7を参照して説明する。
【0010】
船外機昇降装置1は、船外機300を昇降させるための装置である。
図1の(a)は、船外機昇降装置1の使用例を示す図であり、船体(本体)200の後部と船外機300とに取り付けられた船外機昇降装置1を示している。
図1の(a)における実線は、船外機300が下降した状態を示し、
図1の(a)における破線は、船外機300が上昇した状態を示している。
図1の(b)は、船外機300の内部構成を概略的に示す模式図である。
図1の(b)に示すように、船外機300は、エンジン301と、プロペラ303と、エンジン301からプロペラ303に動力を伝達する動力伝達機構302とを備えている。ここで、動力伝達機構は、例えば、シャフトやギヤによって構成される。
【0011】
図2は、船外機昇降装置1の構成の一例を示す正面図であり、
図3は、船外機昇降装置1の側断面図である。
図2に示すように、船外機昇降装置1は、シリンダユニット10と、船体200の後部に取り付けられる1対のスターンブラケット70と、船外機300に取り付けられるスイベルブラケット80とを備えている。
【0012】
シリンダユニット10は、一例として、
図2に示すように、1本のチルトシリンダ14、モータ16、タンク(貯油タンク)18、上部ジョイント22、基部24を備えている。チルトシリンダ14は、基部24に対して相対移動不能に設けられている。
【0013】
なお、シリンダユニット10が備えるチルトシリンダ14の数は本実施形態を限定するものではなく、複数のチルトシリンダ14を備えるシリンダユニット10も本実施形態に含まれる。また、そのように任意の数のチルトシリンダ14を有するシリンダユニット10に対しても以下の説明が成り立つ。
【0014】
チルトシリンダ14は、シリンダ本体14aと、シリンダ本体14a内に摺動可能に設けられたピストン14d(
図4参照)と、ピストン14dに固定されたピストンロッド14bとを備えている。
【0015】
また、
図2に示すように、基部24とスターンブラケット70には、それぞれ貫通孔が形成されており、これらの貫通孔を貫通するアンダーシャフト26を介して、基部24とスターンブラケット70とが相対回転可能に接続されている。
【0016】
また、
図2に示すように、ピストンロッド14bの先端には、上部ジョイント22が設けられており、スイベルブラケット80には、支持部材28が固定されている。上部ジョイント22及び支持部材28には、それぞれ貫通孔が形成されており、こられの貫通孔を貫通するアッパーシャフト23を介して、上部ジョイント22とスイベルブラケット80とが相対回転可能に接続されている。
【0017】
また、スターンブラケット70及びスイベルブラケット80の上部一端にはそれぞれ貫通孔が形成されており、
図3に示すように、これらの貫通孔を貫通する支持軸32によって、スターンブラケット70とスイベルブラケット80とが相対回転可能に接続されている。
【0018】
(可動域)
チルトシリンダ14のピストンロッド14bが上昇及び下降することにより、スイベルブラケット80が上昇及び下降するので、船外機300が上昇及び下降する。
【0019】
チルトシリンダ14のピストンロッド14bの上昇及び下降によって調整される船外機300の角度領域は、
図1の(a)に示した可動域から構成される。
【0020】
(油圧回路)
次に、船外機昇降装置1の油圧回路について説明する。
図4は、船外機昇降装置1の油圧回路を制御部100と共に示す図である。
図4では、すでに説明した部材と同じ部材には同じ符号を付している。
【0021】
なお、本明明細書に記載の油路構成における「接続」には、他の油圧エレメントを介さずに流路によって直接接続されている場合と、他の油路エレメントを介して間接的に接続されている場合の双方が含まれる。ここで、他の油圧エレメントには、例えば、バルブ(弁)、シリンダ、及びフィルタ等が含まれる。
【0022】
図4に示すように、船外機昇降装置1は、モータ16、第1のポンプ42−142−1、第2のポンプ42−242−2、第1の逆止弁44a、第2の逆止弁44b、第3の逆止弁44c、第4の逆止弁44d、ダウンブローバルブ46a、アップブローバルブ46b、メインバルブ(ポンプポート)48、マニュアルバルブ52、サーマルバルブ54、戻り量調整バルブ53、タンク保護バルブ55、チルトシリンダ14、タンク18、フィルタF1、チルトリリーフバルブ14g、第1の流路C1〜第8の流路C8、第1の切替弁60−1、第2の切替弁60−2、及び制御部100を備えている。
【0023】
モータ16によって駆動される第1のポンプ42−1(第1の油圧源)、及び第2のポンプ42−2(第2の油圧源)は、運転者による船外機の昇降指示を示す昇降信号SIG_UDに応じて、「正転」「反転」「停止」の何れかの動作を行う。タンク18には作動油が貯えられている。
【0024】
メインバルブ48は、
図4に示すように、第1シャトル室48aと、第2シャトル室48bとを備えている。
【0025】
第1の流路C1は、第1のポンプ42−1と第1シャトル室48aとを接続している。また、第1の流路C1は、タンク18にも接続されており、タンク18への経路上には、ダウンブローバルブ46aが設けられている。
【0026】
第2の流路C2は、第1シャトル室48aとチルトシリンダ14の第1室14hとを接続する。第2の流路C2の一端は、チェック弁を介して第1シャトル室48aに接続されている。また、
図4に示すように、第2の流路C2からは流路C2−1が分岐しており、流路C2−1は、チルトリリーフバルブ14gを介してチルトシリンダ14の第1室14hに接続されている。
【0027】
このように、第1の流路C1及び第2の流路C2は、第1シャトル室48aを介して、第1のポンプ42−1とチルトシリンダ14の第1室14hとを接続している。本明細書では、第1の流路C1と第2の流路C2とを合わせて、第1の油路とも呼ぶ。
【0028】
第3の流路C3は、第1のポンプ42−1と第2シャトル室48bとを接続している。また、第3の流路C3は、タンク18にも接続されており、タンク18への経路上には、アップブローバルブ46bが設けられている。
【0029】
第4の流路C4は、第2シャトル室48bとチルトシリンダ14の第2室14cとを接続する。第4の流路C4の一端は、チェック弁を介して第2シャトル室48bに接続されている。また、
図4に示すように、第4の流路C4からは、当該第4の流路C4と、第2の流路C2とを接続する流路C4−1が分岐しており、当該流路C4−1には、マニュアルバルブ52及びサーマルバルブ54が接続されている。また、
図4に示すように、第4の流路C4において、流路C4−1への分岐点と第2シャトル室48bとの間の区間からは、当該第4の流路C4とタンク18とを接続する流路C4−2が分岐しており、当該流路C4−2上には、タンク保護バルブ55が設けられている。
【0030】
このように、第3の流路C3及び第4の流路C4は、第2シャトル室48bを介して、第1のポンプ42−1とチルトシリンダ14の第2室14cとを接続している。本明細書では、第3の流路C3と第4の流路C4とを合わせて、第2の油路とも呼ぶ。
【0031】
第5の流路C5は、第2のポンプ42−2と第1の流路C1とを接続しており、当該第5の流路C5における第2のポンプ42−2と第1の流路C1との間の区間には、
図4に示すように、第1の逆止弁44aが設けられている。また、
図4に示すように、第5の流路C5からは、流路C5−1が分岐しており、当該流路C5−1は、
図4に示すように、第3の逆止弁44c及びフィルタF1を介してタンク18に接続されている。本明細書では、第5の流路C5のことを第3の油路とも呼ぶ。
【0032】
第6の流路C6は、第2のポンプ42−2と第3の流路C3とを接続しており、当該第6の流路C6における第2のポンプ42−2と第3の流路C3との間の区間には、
図4に示すように、第2の逆止弁44bが設けられている。また、第6の流路C6は、
図4に示すように、第2の切替弁60−2を介してタンク18に接続されている。また、
図4に示すように、第6の流路C6からは、流路C6−1が分岐しており、当該流路C6−1は、
図4に示すように、第4の逆止弁44d及びフィルタF1を介してタンク18に接続されている。本明細書では、第6の流路C6のことを第4の油路とも呼ぶ。
【0033】
第7の流路C7は、第5の流路C5とタンク18とを接続している。より具体的には、第7の流路C7は、第5の流路C5における第2のポンプ42−2と第1の逆止弁44aとの間の区間と、タンク18とを接続している。
図4に示すように、第7の流路C7上には、第1の切替弁60−1が設けられている。本明細書では、第7の流路C7のことを第5の油路とも呼ぶ。
【0034】
第8の流路C8は、第6の流路C6とタンク18とを接続している。より具体的には、第8の流路C8は、第6の流路C6における第2のポンプ42−2と第2の逆止弁44bとの間の区間と、タンク18とを接続している。
図4に示すように、第8の流路C8上には、第2の切替弁60−2が設けられている。本明細書では、第8の流路C8のことを第6の油路とも呼ぶ。
【0035】
第9の流路C9は、第1シャトル室48aと、戻り量調整バルブ53とを接続している。また、第10の流路C10は、第2シャトル室48bと、戻り量調整バルブ53とを接続している。
【0036】
チルトシリンダ14は、ピストン14dによって第1室14hと第2室14cとに仕切られており、チルトシリンダ14のピストン14dは、
図4に示すように、ショックブローバルブ14e及びサーマルブローバルブ14fを備えている。
【0037】
第1の逆止弁44aは、上述のように第5の流路C5上に設けられており、第1の流路C1から第2のポンプ42−2への逆流を防止する。第1の逆止弁44aは、チルトシリンダ14が収縮し切った状態になってもなお第1のポンプ42−1が作動油を回収しようとする場合に、タンク18から第1のポンプ42−1に作動油を供給する。
【0038】
一方、第2の逆止弁44bは、上述のように第6の流路C6上に設けられており、第3の流路C3から第2のポンプ42−2への逆流を防止する。また、第2の逆止弁44bは、チルトシリンダ14が伸長する際に、ピストンロッド14bの退出容積分の作動油をタンク18から第1のポンプ42−1に供給する。
【0039】
ダウンブローバルブ46aは、チルトシリンダ14が収縮する際に、ピストンロッド14bの進入容積分の作動油をタンク18に戻す。また、アップブローバルブ46bは、チルトシリンダ14が伸長し切った状態になってもなお第1のポンプ42−1及び第2のポンプ42−2の少なくとも何れかが作動油を供給する場合に、余剰の作動油をタンク18に戻す。
【0040】
マニュアルバルブ52は、手動による開閉が可能であり、船外機昇降装置1のメンテナンス時等においてマニュアルバルブ52を開状態とすることによって、作動油がチルトシリンダ14の第2室14cからタンク18に戻される。これにより、チルトシリンダ14が手動で収縮可能となる。
【0041】
サーマルバルブ54は、温度上昇により作動油の体積が増大した場合に、余剰分の作動油をタンク18に戻す。
【0042】
戻り量調整バルブ53は、第1シャトル室48a内の作動油の油圧と、第2シャトル室48b内の作動油の油圧とに応じて油量を、第1シャトル室48a及び第2シャトル室48b何れかからタンク18に戻すように構成されている。
【0043】
(第1の切替弁及び第2の切替弁)
第5の流路C5および第6の流路C6上にそれぞれ設けられた第1の切替弁60−1および第2の切替弁60−2(以下特に区別しない場合、切替弁60と称する)は、それぞれ、
図4に示すように、ソレノイド62と、ソレノイド62によって駆動され、対応する流路を遮断状態又は開放状態とするプランジャ64とを備えている。ソレノイド62には、後述する制御部100から制御信号SIG_CONTが供給され、制御信号SIG_CONTに基づき、ソレノイド62のON/OFFが切り替えられる。
【0044】
第1の切替弁60−1及び第2の切替弁60−2は、ソレノイド62がOFFの場合にクローズ状態となることによって第5の流路C5および第6の流路C6を遮断し、ソレノイド62がONの場合にオープン状態となることによって第5の流路C5および第6の流路C6を開放するノーマリークローズ弁として構成してもよいし、ソレノイド62がOFFの場合にオープン状態となることによって第5の流路C5および第6の流路C6を開放し、ソレノイド62がONの場合にクローズ状態となることによって第5の流路C5および第6の流路C6を遮断するノーマリーオープン弁として構成してもよい。
【0045】
第1の切替弁60−1及び第2の切替弁60−2をノーマリーオープン弁として構成した場合、万一、第1の切替弁60−1及び第2の切替弁60−2が作動しなくなった場合であっても、第5の流路C5および第6の流路C6が開放された状態で維持される。したがって、第1のポンプ42−1が供給する作動油によりチルトシリンダ14のピストンロッド14bを昇降させ、これにより船外機300の角度調整を行うことができる。
【0046】
一方で、第1の切替弁60−1及び第2の切替弁60−2をノーマリークローズ弁として構成した場合、万一、第1の切替弁60−1及び第2の切替弁60−2が作動しなくなった場合であっても、第5の流路C5および第6の流路C6が遮断された状態で維持される。したがって、第1のポンプ42−1及び第2のポンプ42−2が供給する作動油によりチルトシリンダ14のピストンロッド14bを昇降させ、これにより船外機300の角度調整を行うことができる。
【0047】
なお、本実施形態では、プランジャ64には、第5の流路C5および第6の流路C6の遮断状態において作動油の逆流を防止するためのバルブ66が設けられている。
【0048】
また、上記の説明では、ソレノイド62がオンオフソレノイドであり、プランジャ64が第5の流路C5および第6の流路C6を遮断状態及び開放状態の何れか一方の状態とする構成を例に挙げたが、これは本実施形態を限定するものではない。ソレノイド62として比例ソレノイドを採用し、プランジャ64を遮断状態位置から開放状態位置までの任意の位置に制御可能な構成としてもよい。このような構成とすることにより、第5の流路C5および第6の流路C6を通過する作動油の流量をきめ細かく制御することができるので、船外機300の上昇及び下降をよりきめ細かく制御することができる。
【0049】
(制御部100)
図4に示すように、船外機昇降装置1は制御部100を備えている。制御部100は、船体200のイグニッションのオンオフを示すイグニッション信号SIG_IG、船体状態信号SIG_IN、及び、運転者による船外機300の昇降指示を示す昇降信号SIG_UDを参照し、第1の切替弁60−1及び第2の切替弁60−2を制御するための制御信号SIG_CONTを生成する。生成した制御信号SIG_CONTは第1の切替弁60−1及び第2の切替弁60−2に供給される。なお、船体状態信号SIG_INの一例として、船外機300の状態を示す状態信号が挙げられるが、本明細書に記載の実施形態はこれに限定されるものではない。船体状態信号の様々な例については後述する。
【0050】
制御部100を備えることにより、船外機昇降装置1は、船外機300の状態に応じて船外機の昇降の速さを自動的に変更することができる。
【0051】
(制御部100の構成例)
以下では、制御部100の具体的な構成例について参照する図面を替えて説明する。
【0052】
図5は、制御部100の一構成例を示す回路図である。本例では、イグニッション信号SIG_IG、船体状態信号SIG_IN、昇降信号SIG_UDは、すべてアナログ信号として制御部100に入力される。
【0053】
図5に示すように、本例に係る制御部100は、第1のコネクタ101〜第4のコネクタ104、及び、第1のスイッチング素子121〜第5のスイッチング素子125等を備えて構成される。ここで、第1のスイッチング素子121、第3のスイッチング素子123、及び第4のスイッチング素子124は、例えばトランジスタによって構成されており、第2のスイッチング素子122は、例えばFET(電界効果トランジスタ)によって構成されている。
【0054】
第1のスイッチング素子121のコレクタ電極及び第3のスイッチング素子123のコレクタ電極、並びに、第2のスイッチング素子122のドレイン電極には、第1のコネクタ101を介してイグニッション信号SIG_IGが入力される。
【0055】
第1のスイッチング素子121のベース電極には、第2のコネクタ102及びダイオード111を介して船体状態信号SIG_INが入力され、第3のスイッチング素子123のベース電極には第1のスイッチング素子121のエミッタ電流がダイオード112を介して入力される。また、第4のスイッチング素子124のベース電極には、第3のコネクタ103及びダイオード113を介して昇降信号SIG_UDが入力され、第5のスイッチング素子125のベース電極には、第3のコネクタ103及びダイオード114を介して昇降信号SIG_UDが入力される。
【0056】
第2のスイッチング素子122のゲート電極には、第1のスイッチング素子121のエミッタ電流に応じた信号が、第3のスイッチング素子123及び第4のスイッチング素子124を介して、又は、第3のスイッチング素子123及び第5のスイッチング素子125を介して入力される。より具体的には、第2のスイッチング素子122のゲート電極には、ダイオード115を介して、第4のスイッチング素子124のエミッタ電流及び第5のスイッチング素子125のエミッタ電流が入力される。
【0057】
第2のスイッチング素子122のソース電極からは、第4のコネクタ104を介して、制御信号SIG_CONTが第1の切替弁60−1及び第2の切替弁60−2に供給される。
【0058】
なお、
図5に記載した構成例は、制御部100を限定するものではない。制御部100にはアナログ信号に変えて、デジタル信号が入力される構成としてもよい。
【0059】
(船体状態信号SIG_INの具体例)
上述した船体状態信号SIG_INの一例として、船外機300が備えるエンジン301の状態を示すエンジン信号が挙げられる。ここで、エンジン信号とは、例えば、エンジン301の回転数を示す信号であり、一例としてエンジン301から取得することができる。なお、エンジンの回転数が0であればエンジンはオフであり、エンジンの回転数がゼロでなければエンジンはオンであるので、エンジンの回転数を示す信号はエンジンのオンオフを示す信号でもある。
【0060】
船体状態信号SIG_INをエンジン信号とすることにより、以下に見るように、船外機昇降装置1は、船外機300が備えるエンジン301の状態に応じて船外機の昇降の速さを柔軟に変更することができる。
【0061】
また、船体状態信号SIG_INの他の一例として、船外機300の備える動力伝達機構302が、動力伝達可能な状態、すなわちインギヤの状態にあるのか否かを示すギヤ信号が挙げられる。ギヤ信号は、一例として動力伝達機構302から取得することができる。
【0062】
船体状態信号SIG_INをギヤ信号とすることにより、以下に見るように、船外機昇降装置1は、船外機300が備える動力伝達機構302の状態に応じて船外機の昇降の速さを柔軟に変更することができる。
【0063】
なお、上述のエンジン信号、及びインギヤ信号は、船外機300の状態を示す状態信号の一例である。
【0064】
(船外機昇降装置1の動作例)
(上昇動作)
昇降信号SIG_UDが「上昇」を示している場合、第1のポンプ42−1及び第2のポンプ42−2が正転し、作動油が第1のポンプ42−1及び第2のポンプ42−2の少なくとも何れかからメインバルブ48の第2シャトル室48bに圧送される。その結果、作動油がチルトシリンダ14の第2室14cに供給されると共に、チルトシリンダ14の第1室14hから作動油が回収される。
【0065】
ここで、第2の切替弁60−2がクローズ状態であれば、第1のポンプ42−1及び第2のポンプ42−2の双方から作動油がチルトシリンダ14の第2室14cに供給される。一方、第2の切替弁60−2がオープン状態であれば、第2のポンプ42−2からの作動油は、タンク18に戻ってしまうため、第1のポンプ42−1からの動作油のみがチルトシリンダ14の第2室14cに供給される。
【0066】
このため、第2の切替弁60−2をクローズ状態とすることにより、第2の切替弁60−2がオープン状態である場合に比べて、チルトシリンダ14のピストンロッド14bは、速く上昇する。
【0067】
(下降動作)
昇降信号SIG_UDが「下降」を示している場合、第1のポンプ42−1及び第2のポンプ42−2が逆転し、作動油が第1のポンプ42−1及び第2のポンプ42−2からメインバルブ48の第1シャトル室48aに圧送される。その結果、作動油がチルトシリンダ14の第1室14hに供給されると共に、チルトシリンダ14の第2室14cから作動油が回収される。
【0068】
ここで、第1の切替弁60−1がクローズ状態であれば、第1のポンプ42−1及び第2のポンプ42−2の双方から作動油がチルトシリンダ14の第1室14hに供給される。一方、第1の切替弁60−1がオープン状態であれば、第2のポンプ42−2からの作動油は、タンク18に戻ってしまうため、第1のポンプ42−1からの動作油のみがチルトシリンダ14の第1室14hに供給される。
【0069】
このため、第1の切替弁60−1をクローズ状態とすることにより、第1の切替弁60−1がオープン状態である場合に比べて、チルトシリンダ14のピストンロッド14bは、速く下降する。
【0070】
(保持状態)
昇降信号SIG_UDが「上昇」及び「下降」の何れも示していない場合、第1のポンプ42−1及び第2のポンプ42−2が停止する。そうすると、船外機昇降装置1の油圧回路内の動作油の移動が収束した状態において、船外機300が保持される。なお、本明細書では、昇降信号SIG_UDが「上昇」及び「下降」の何れも示していない場合を、便宜的に、昇降信号SIG_UDが「保持」を示している場合と表現することもある。
【0071】
(切替弁60の制御例)
以下では、
図6を参照して、制御部100による第1の切替弁60−1及び第2の切替弁60−2の制御例について説明する。以下の説明では、第1の切替弁60−1と第2の切替弁60−2とを特に区別しない場合、単に切替弁60とも記載する。
【0072】
図6は、船体状態信号SIG_INが示す船外機300の状態、昇降信号SIG_UDが示す運転者による船外機の昇降指示、及び、制御部100によって制御された切替弁60の状態を例示する表である。
【0073】
図6に示す例では、船体状態信号SIG_INが「エンジンオン」又は「インギヤ」を示している場合、昇降信号SIG_UDが「上昇」「下降」「保持」の何れを示しているのかに関わらず、制御部100は切替弁60をオープン状態とする。
【0074】
一例として、船体状態信号SIG_INは、船外機300が備えるエンジン301のエンジン回転部に関連する信号であり、制御部100は、エンジン回転数が回転数に関する第1閾値以上である場合に、航行状態と判定し、切替弁60をオープン状態とする。ここで、回転数に関する第1閾値は、適宜設定された正の値を有している。また、制御部100は、エンジン回転数が回転数に関する第2閾値を超える場合に、航行状態と判定し、切替弁60をオープン状態とする構成でもよい。ここで、回転数に関する第2閾値は、適宜設定された0以上の値を有している。
【0075】
このように、制御部100は、船体状態信号SIG_INを参照して、航行状態及び停船状態を判定し、航行状態と判定した場合に、切替弁60をオープン状態となるように制御する。
【0076】
したがって、エンジン301がオンであるか又は動力伝達機構302がインギヤの状態では、チルトシリンダ14のピストンロッド14bが相対的にゆっくりと上昇及び下降することによって船外機300の角度調整が行われる。
【0077】
一方で、
図6に示す例では、船体状態信号SIG_INが「エンジンオフ」又は「インギヤでない」を示し、昇降信号SIG_UDが「上昇」又は「保持」を示す場合に、制御部100は切替弁60をクローズ状態とする。
【0078】
このように、制御部100は、船体状態信号SIG_INを参照して、航行状態及び停船状態を判定し、停船状態と判定した場合に、切替弁60をクローズ状態となるように制御する。
【0079】
したがって、エンジン301がオフであるか又は動力伝達機構302がインギヤでない状態において、船外機300を上昇させる場合、エンジン301がオンであるか又は動力伝達機構302がインギヤの状態に比べて、チルトシリンダ14のピストンロッド14bが速く上昇する。
【0080】
また、船外機300の保持状態において、チルトシリンダ14のピストンロッド14bによって船外機300をしっかりと保持することができる。
【0081】
また、
図6に示す例では、船体状態信号SIG_INが「エンジンオフ」又は「インギヤでない」を示し、昇降信号SIG_UDが「下降」を示す場合に、制御部100は切替弁60をオープン状態とする。
【0082】
なお、切替弁60の制御は、上記の例に限定されるものではなく、ユーザの使い勝手や外力に対する船外機昇降装置1の適応性等を鑑みて、適宜設定することができる。
【0083】
例えば、船体状態信号SIG_INが「エンジンオン」又は「インギヤ」を示し、昇降信号SIG_UDが「保持」を示す場合に、制御部100は切替弁60をクローズ状態としてもよい。
【0084】
船外機300の保持状態において、切替弁60をオープン状態としてもクローズ状態としても好適な動作が得られる。
【0085】
また、例えば、船体状態信号SIG_INが「エンジンオフ」又は「インギヤでない」を示し、昇降信号SIG_UDが「下降」を示す場合に、制御部100は切替弁60をクローズ状態としてもよい。
【0086】
この場合、エンジン301がオフであるか又は動力伝達機構302がインギヤでない状態において、船外機300を下降させる場合、エンジン301がオンであるか又は動力伝達機構302がインギヤである状態に比べて、船外機300を早く下降させることができる。
【0087】
なお、船体状態信号SIG_INが「エンジンオフ」又は「インギヤでない」を示し、昇降信号SIG_UDが「下降」を示す場合に、切替弁60をオープン状態とするのかクローズ状態とするのかの選択は、制御部100によって行われる構成としてもよい。このような構成の場合、制御部100はユーザからの指示を示すユーザ指示信号を参照してオープン状態及びクローズ状態の何れかを選択してもよいし、他の信号を参照してオープン状態及びクローズ状態の何れかを選択してもよい。
【0088】
本実施形態においては、上記構成によれば、船外機の状態に応じて昇降の速さを柔軟に変更することのできる船外機昇降装置1を実現できる。
【0089】
〔実施形態2〕
以下では、実施形態2として、実施形態1において説明した船体状態信号SIG_INの他の具体例について説明する。船体状態信号SIG_INは、実施形態1において説明した具体例に代えて、又は、実施形態1において説明した具体例に加えて、後述する他の具体例の1又は複数を含む構成とすることができる。
【0090】
船体状態信号SIG_INに含まれ得る信号は、
(A)船外機300から取得可能な船外機性能信号
(B)船体(本体)200から取得可能な船体(本体)性能信号
に分類される。
【0091】
船外機300から取得可能な船外機性能信号、及び、当該船外機性能信号を参照した制御部100(以下単に制御部とも記載する)による制御例は以下の通りである。
【0092】
(A−1)イグニッション信号
イグニッション信号は、船外機300のイグニッションのオンオフを示す信号である。
【0093】
制御部は、例えば、イグニッションオンである場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、イグニッションオフである場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0094】
(A−2)チルト/トリム制御信号
チルト/トリム制御信号は船外機300のチルト及び/又はトリムを制御するための信号である。
【0095】
制御部は、チルト/トリム制御信号に応じて、切替弁60を切り替える。
【0096】
(A−3)エンジンニュートラル信号
エンジンニュートラル信号は、船外機300のエンジンがニュートラルであるか否かを示す信号である。
【0097】
制御部は、例えば、エンジンがニュートラルでない場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、エンジンがニュートラルである場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0098】
(A−4)トリム角度信号
トリム角度信号は、船外機300のトリムの角度を示す信号である。
【0099】
制御部は、例えば、船外機300のトリムの角度が所定の値よりも小さい場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、船外機300のトリムの角度が所定の値以上である場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0100】
(A−5)エンジン水温信号
エンジン水温信号は、船外機300のエンジンの水温を示す信号である。
【0101】
制御部は、例えば、エンジンの水温が所定の値以上である場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、エンジンの水温が所定の値よりも小さい場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0102】
(A−6)エンジン油温信号
エンジン水温信号は、船外機300のエンジンの油温を示す信号である。
【0103】
制御部は、例えば、エンジンの油温が所定の値以上である場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、エンジンの油温が所定の値よりも小さい場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0104】
(A−7)エンジン油圧信号
エンジン油圧信号は、船外機300のエンジンの油圧を示す信号である。
【0105】
制御部は、例えば、エンジンの油圧が所定の値以上である場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、エンジンの油温が所定の値よりも小さい場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0106】
(A−8)水位信号
水位信号は、船外機300における水面の水位を示す信号である。
【0107】
制御部は、水位信号に応じて、切替弁60を切り替える。制御部は、例えば、水位信号の示す水位が所定の値以上である場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、水位信号の示す水位が所定の値より小さい場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0108】
(A−9)スロットル開度信号
スロットル開度信号は、船外機300のエンジンのスロットルの開度を示す信号である。
【0109】
制御部は、例えば、スロットルの開度が所定の値以上である場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、スロットルの開度が所定の値より小さい場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0110】
(A−10)船速信号(水流信号)
船速信号は、船速を示す信号である。船速は水流の速さを参照して特定されるので、船速信号は、水流信号と呼んでもよい。
【0111】
制御部は、船速が所定の値以上である場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、船速が所定の値より小さい場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0112】
(A−11)バッテリー電圧信号
バッテリー電圧信号はバッテリーの電圧を示す信号である。
【0113】
制御部は、バッテリーの電圧に応じて、切替弁60を切り替える。制御部は、例えば、バッテリーの電圧が所定の値以上である場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、バッテリーの電圧が所定の値より小さい場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0114】
(A−12)大気圧信号
大気圧信号は、大気圧を示す信号である。制御部は、大気圧に応じて、切替弁60を切り替える。
【0115】
(A−13)ジェネレータ出力電圧
上述した実施形態1及び本実施形態に係る船外機300は、当該船外機300が備えるエンジン301に接続されたジェネレータを備えている。
【0116】
図7は、船外機300のエンジン301周辺の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、船外機300は、エンジン301、エンジン301からプロペラ303に動力を伝達する動力伝達機構302、エンジン301により駆動されるジェネレータ(発電機)310、及びメインバッテリー311を備えている。また、一例として船外機300は、メインバッテリー311に加え、予備バッテリーも搭載可能に構成されている。
【0117】
図7に示すように、ジェネレータ310からは、メインバッテリー310aへの導線310aに加え、予備バッテリーへの導線310bが引き出されている。当該導線310bは制御部100、100a、100bに接続され、当該導線310bの電位は、制御部によりジェネレータの出力電圧として参照される。
【0118】
本例に係る制御部は、船体状態信号SIG_INとして、ジェネレータの出力電圧を参照し、当該ジェネレータの出力電圧が、電圧に関する第1閾値以上である場合に、航行状態と判定し、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行う。ここで、電圧に関する上記第1閾値は、例えば、適宜設定された正の値を有する。
【0119】
また、制御部は、船体状態信号SIG_INとして、ジェネレータの出力電圧を参照し、当該ジェネレータの出力電圧が、電圧に関する第2閾値を超える場合に、航行状態と判定し、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行う構成としてもよい。ここで、電圧に関する上記第2閾値は、例えば、適宜設定された0以上の値を有する。
【0120】
なお、以上例示した信号のうち、(A−1)〜(A−11)、及び(A−13)は、船外機300の状態を示す状態信号と捉えることもできる。
【0121】
続いて、船体200から取得可能な船体(本体)性能信号、及び、当該船体(本体)性能信号を参照した制御部による制御例は以下の通りである。
【0122】
(B−1)衝撃信号
衝撃信号は、船体200が受ける衝撃を示す信号である。
【0123】
制御部は、衝撃信号に応じて切替弁60を切り替える。より具体的には、制御部は、船体200が受ける衝撃、又は衝撃信号自体の有無に応じて、切替弁60を切り替える。制御部は、例えば、衝撃が所定の値以上である場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、衝撃が所定の値より小さい場合、または、信号が無い場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0124】
(B−2)方位信号
方位信号は、船体200の進行方向を示す信号である。制御部は、方位信号に応じて、切替弁60を切り替える。
【0125】
(B−3)ソナー信号
ソナー信号は、船体200が備えるソナーから供給される信号である。
【0126】
制御部は、ソナー信号に応じて、切替弁60を切り替える。より具体的には、制御部は、ソナー信号が示す障害物の有無、又は、ソナー信号自体の有無に応じて、切替弁60を切り替える。制御部は、例えば、障害物がある場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、障害物がない場合、または、信号が無い場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0127】
(B−4)GPS信号
GPS信号は、船体200が備えるGPS(Global Positioning System)装置から供給される信号である。なお、GPS装置は船体の上または近辺にあっても良い。
【0128】
制御部は、GPS信号が示す船速が所定の値以上である場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、GPS信号が示す船速が所定の値より小さい場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0129】
(B−5)トランサム振動信号
トランサム振動信号は、船体200が備えるトランサムの振動を示す信号である。
【0130】
制御部は、トランサム振動信号に応じて、切替弁60を切り替える。より具体的には、制御部は、トランサム振動信号の示す振動、又は、トランサム振動信号自体の有無に応じて、切替弁60を切り替える。制御部は、例えば、トランサムの振動が所定の値以上である場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、トランサムの振動が所定の値より小さい場合、または、信号が無い場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0131】
(B−6)水温信号
水温信号は、船体200の周囲の水温を示す信号である。制御部は、水温信号に応じて、切替弁60を切り替える。
【0132】
(B−7)振動信号
振動信号は、船体200の振動を示す信号である。
【0133】
制御部は、振動信号に応じて、切替弁60を切り替える。より具体的には、制御部は、振動信号の示す振動、又は振動信号自体の有無に応じて切替弁60を切り替える。制御部は、例えば、振動信号の示す振動が所定の値以上である場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、振動信号の示す振動が所定の値より小さい場合、または、信号が無い場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0134】
(B−8)IP画像信号
IP画像信号は、船体200の周辺の状況を示す画像信号である。
【0135】
制御部は、IP画像信号に応じて、切替弁60を切り替える。より具体的には、制御部は、IP画像信号の示す障害物の有無、または、IP画像信号自体の有無に応じて切替弁60を切り替える。制御部は、例えば、障害物がある場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、障害物がない場合、または、信号が無い場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0136】
(B−9)レーダー信号
レーダー信号は、船体200が備えるレーダーから供給される信号である。
【0137】
制御部は、レーダー信号に応じて、切替弁60を切り替える。より具体的には、制御部は、レーダー信号が示の障害物の有無、または、レーダー信号自体の有無に応じて切替弁60を切り替える。制御部は、例えば、障害物がある場合に、
図6における「エンジンオン又はインギヤ」の状態の制御と同様の制御を行い、障害物がない場合、または、信号が無い場合に、
図6における「エンジンオフ又はインギヤでない」の状態の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0138】
(B−10)音声信号
音声信号は、操船者(ユーザ)の音声を示す信号である。
【0139】
制御部は、音声信号に応じて、切替弁60を切り替える。制御部は、例えば、音声信号に含まれる音声指示を参照して、
図6の制御と同様の制御を行う構成とすればよい。
【0140】
なお、以上例示した信号のうち、(B−1)〜(B−9)は、船体(本体)200の状態を示す状態信号と捉えることもできる。
【0141】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御部100は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0142】
後者の場合、制御部100は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0143】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【解決手段】船外機を昇降させる船外機昇降装置(1)は、第1の油圧源とチルトシリンダの第1室とを接続する第1の油路と、前記第1の油圧源とチルトシリンダの第2室とを接続する第2の油路と、第2の油圧源と前記第1の油路とを接続する第3の油路と、前記第2の油圧源と前記第2の油路とを接続する第4の油路と、前記第3の油路と、前記タンクとを接続する第5の油路上に設けられた第1の切替弁と、前記第4の油路と、前記タンクとを接続する第6の油路上に設けられた第2の切替弁とを備えている。