特許第6330109号(P6330109)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6330109
(24)【登録日】2018年4月27日
(45)【発行日】2018年5月23日
(54)【発明の名称】紙葉類取扱装置及び紙葉類取扱方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20180514BHJP
【FI】
   G07D9/00 405A
   G07D9/00 413A
   G07D9/00 405B
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-524185(P2017-524185)
(86)(22)【出願日】2015年6月16日
(86)【国際出願番号】JP2015067346
(87)【国際公開番号】WO2016203552
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2017年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】西田 光孝
(72)【発明者】
【氏名】南新 勇人
(72)【発明者】
【氏名】池田 朴人
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−095116(JP,A)
【文献】 特開2005−227906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の紙葉類の中から投入された紙葉類の、種類を含む所定の分類条件を鑑別する鑑別部と、
前記投入された紙葉類に関する取引が確定する前に、前記鑑別部によって種類が鑑別された紙葉類を、前記分類条件に基づいて分類してそれぞれ収容する複数の保留部と、
前記取引が確定した後に、前記複数の保留部からそれぞれ送られた紙葉類を、前記分類条件に基づいて分類してそれぞれ収容する複数の収容部と、
前記分類条件に基づいて前記複数の保留部を制御する制御部と、
を備える紙葉類取扱装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の保留部に、紙葉類を種類に基づいて分類して収容する、請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の保留部に、紙葉類を損傷状態に基づいて分類して収容する、請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の保留部に、紙葉類を外形寸法に基づいて分類して収容する、請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項5】
前記複数の保留部は、紙葉類を搬送する搬送機構を有し、前記搬送機構が、前記分類条件に基づいて紙葉類を異なる搬送速度で搬送する、請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項6】
前記取引が確定しないときに前記複数の保留部に収容された紙葉類を返却する返却部を更に備え、
前記返却部は、前記制御部によって紙葉類の外形寸法に基づいて移動されることで前記返却部の収容空間を規制する空間規制部材を有する、請求項4に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項7】
前記取引が確定する前に、前記鑑別部によって種類が鑑別された紙葉類を収容するための追加の保留部が装着される装着部を更に有する、請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項8】
前記追加の保留部に紙葉類を搬送する搬送経路を延長するための搬送空間を更に有する、請求項7に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項9】
複数種類の紙葉類の中から投入された紙葉類の、種類を含む所定の分類条件を鑑別する鑑別部と、
前記投入された紙葉類に関する取引が確定する前に、前記鑑別部によって種類が鑑別された紙葉類が収容される保留部と、
前記取引が確定した後に、前記保留部から送られた紙葉類が収容される複数の収容部と、
前記取引が確定する前に、前記鑑別部によって種類が鑑別された紙葉類を、前記分類条件に基づいて分類して収容するための追加の保留部が装着される装着部と、
前記分類条件に基づいて前記保留部及び前記追加の保留部を制御する制御部と、
を備える紙葉類取扱装置。
【請求項10】
前記追加の保留部に紙葉類を搬送する搬送経路を延長するための搬送空間を更に有する、請求項9に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項11】
複数種類の紙葉類の中から投入された紙葉類の、種類を含む所定の分類条件を鑑別する第1のステップと、
前記投入された紙葉類に関する取引が確定する前に、前記第1のステップで種類が鑑別された紙葉類を、前記分類条件に基づいて分類して複数の保留部にそれぞれ収容する第2のステップと、
前記取引が確定した後に、前記複数の保留部の搬送機構が、前記分類条件に基づいて紙葉類を異なる搬送速度で搬送することにより、前記複数の保留部から紙葉類を複数の収容部にそれぞれ送り、紙葉類を前記分類条件に基づいて分類して前記複数の収容部にそれぞれ収容する第3のステップと、
を有する紙葉類取扱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類取扱装置及び紙葉類取扱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ATM(Automated Teller Machine)等の紙幣取扱装置は、入金された紙幣の金種等を鑑別する鑑別部と、入金取引が確定する前に、入金された紙幣を一時的に収容する保留部と、入金取引の確定後に保留部から送られた紙幣を金種ごとに収容する複数の収容部と、を有する。
【0003】
また、一般の利用者の使用を対象とした上述の紙幣取扱装置とは別に、銀行等の紙幣取扱業者の使用を対象とした業務用の紙幣取扱装置がある。業務用の紙幣取扱装置では、入金された紙幣に関する入金取引が行われることなく、入金された紙幣が複数の収容部にそれぞれ直接送られる。このため、業務用の紙幣取扱装置は、入金取引が確定する前の紙幣を一時的に収容する保留部を有していない。また、このような業務用の紙幣取扱装置が有する収容部としては、搬入された紙幣を一時的に保留する一時集積庫を有する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−251124号公報
【特許文献2】特開2005−9987号公報
【特許文献3】国際公開第2011/135727号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般の利用者を対象とした紙幣取扱装置では、通常、数十枚程度までの紙幣が入金される場合がほとんどであるが、その一方で、大量の紙幣を一括して入金可能とすることも望まれている。
【0006】
図9は、本願の関連技術の紙幣取扱装置を示す模式図である。図9に示すように、一般の利用者を対象とした紙幣取扱装置101は、入金部111と、鑑別部112と、保留部113と、複数の収容部114と、搬送部115とを有する。紙幣取扱装置101では、1つの保留部113に、複数の金種の紙幣106が混合した状態で集積されて収容されている。金種が異なる紙幣106は、外形寸法が異なる場合があるので、金種が異なる紙幣106が保留部113内に集積されることで、保留部113内で紙幣106の紙詰まり(以下、ジャムと称する)が発生しやすくなる問題がある。
【0007】
特に、例えば欧州や中国等で用いられる紙幣のように、金種ごとにおける外形寸法の違いが比較的大きい複数種類の紙幣を一括して取り扱う場合がある。この場合には、1つの保留部に全ての種類の紙幣を収容可能とするために、外形寸法が最も大きな紙幣に合わせて保留部の収容空間が設定される。このような保留部に、外形寸法が相対的に小さい紙幣(以下、小紙幣と称する)を収容する場合には、収容空間内に集積される小紙幣の位置がばらつくので、ジャムの発生を招く問題がある。
【0008】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、複数種類の紙葉類を保留部に適正に収容することができる紙葉類取扱装置及び紙葉類取扱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の開示する紙葉類取扱装置の一態様は、複数種類の紙葉類の中から投入された紙葉類の、種類を含む所定の分類条件を鑑別する鑑別部と、前記投入された紙葉類に関する取引が確定する前に、前記鑑別部によって種類が鑑別された紙葉類を、前記分類条件に基づいて分類してそれぞれ収容する複数の保留部と、前記取引が確定した後に、前記複数の保留部からそれぞれ送られた紙葉類を、前記分類条件に基づいて分類してそれぞれ収容する複数の収容部と、前記鑑別部が鑑別した前記分類条件に基づいて前記複数の保留部を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示する紙葉類取扱装置の一態様によれば、複数種類の紙葉類を保留部に適正に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例1の紙幣取扱装置を示す模式図である。
図2A図2Aは、実施例1の紙幣取扱装置が有する保留部へ紙幣を保留する状態を示す模式図である。
図2B図2Bは、実施例1の紙幣取扱装置が有する保留部から紙幣を繰り出す状態を示す模式図である。
図3図3は、実施例1の紙幣取扱装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、実施例2の紙幣取扱装置を示す模式図である。
図5図5は、実施例3の紙幣取扱装置を示す模式図である。
図6A図6Aは、実施例3の紙幣取扱装置が有する保留部から入出金部へ紙幣が返却される状態を模式的に示す断面図である。
図6B図6Bは、実施例3の紙幣取扱装置が有する保留部から入出金部へ別の種類の紙幣が返却される状態を模式的に示す断面図である。
図7図7は、実施例3の紙幣取扱装置において各収容部に収容された紙幣の精査を行う動作を説明するための模式図である。
図8図8は、実施例4の紙幣取扱装置を示す模式図である。
図9図9は、本願の関連技術の紙幣取扱装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示する紙葉類取扱装置及び紙葉類取扱方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する紙葉類取扱装置及び紙葉類取扱方法が限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
[紙幣取扱装置の構成]
図1は、実施例1の紙幣取扱装置を示す模式図である。図1に示すように、実施例1の紙幣取扱装置1は、一般の利用者を対象としており、返却部を兼ねる入出金部11と、鑑別部12と、複数の保留部13と、複数の収容部14と、搬送部15と、制御部16と、を有する。なお、本実施例では、紙葉類の一例として紙幣6を用いるが、紙幣6に限定するものではない。
【0014】
入出金部11には、利用者が入出金する紙幣6が収容される収容空間17が設けられている。入出金部11は、後述する入金取引が中止された場合に紙幣6が返却される返却部を兼ねている。返却部は、入出金部11と別に設けられてもよい。
【0015】
鑑別部12は、入出金部11から入金された紙幣6の、金種を含む所定の分類条件を鑑別する。分類条件としては、例えば、金種、損傷状態、外形寸法を含む。本実施例1では、分類条件として金種を用いており、鑑別部12にあらかじめ設定された金種に関する鑑別データに基づいて紙幣6の金種が鑑別される。なお、鑑別部12によって金種が鑑別不能な紙幣6、例えば、部分的に欠損した紙幣6等は、鑑別部12から保留部13に送られることなく、鑑別部12から入出金部11へ戻されて返却される。
【0016】
複数の保留部13には、入金された紙幣6に関する入金取引が確定する前に、鑑別部12によって金種が鑑別された紙幣6が、分類条件である金種に基づいて分類されてそれぞれ収容される。なお、1つの保留部13には、1種類の紙幣6のみが収容される構成に限定されるものでなく、必要に応じて、複数の金種の紙幣6が収容されてもよい。
【0017】
入金取引は、入金した紙幣6の金額と、鑑別部12によって鑑別された紙幣6の金額とが一致することを利用者が承認することで、入金取引が確定する。また、入金取引の途中で利用者が入金取引を中止した場合には、保留部13から入出金部11へ戻されて返却される。
【0018】
図2Aは、実施例1の紙幣取扱装置1が有する保留部13へ紙幣6を保留する状態を示す模式図である。図2Bは、実施例1の紙幣取扱装置1が有する保留部13から紙幣6を繰り出す状態を示す模式図である。
【0019】
図2Aに示すように、保留部13には、紙幣6を集積して収容する収容空間18が設けられている。各保留部13の収容空間18は、収容する金種の紙幣6の外形寸法に適した大きさに形成されている。収容空間18には、収容された紙幣6が載置されるステージ21が、図2A及び図2Bに示すA方向に沿って昇降可能に設けられている。また、保留部13は、紙幣6を搬送する搬送機構として、一対の繰り出しローラ24及び分離ローラ25と、一対の搬送ローラ26と、を有する。一対の繰り出しローラ24及び分離ローラ25と、一対の搬送ローラ26は、収容空間18へ紙幣6を搬送する経路に沿って配置されている。また、保留部13は、収容空間18内の紙幣6を押圧する搬送機構としてのピックアップローラ27と、ピックアップローラ27を付勢する付勢部材28と、ピックアップローラ27の押圧力を検知する圧力センサ29と、を有する。
【0020】
鑑別部12によって鑑別された紙幣6は、図2Aに示すように、一対の搬送ローラ26によって搬送され、一対の繰り出しローラ24及び分離ローラ25によって収容空間18内へ送られる。収容空間18内に送られた紙幣6は、ステージ21上に集積されて収容される。ステージ21上に集積された紙幣6は、ピックアップローラ27によって所定の押圧力で押圧される。
【0021】
収容空間18内に収容された紙幣6は、図2Bに示すように、ピックアップローラ27が回転することで、一対の繰り出しローラ24と分離ローラ25との間に送られ、1枚ずつ分離されて繰り出される。一対の繰り出しローラ24と分離ローラ25によって繰り出された紙幣6は、一対の搬送ローラ26の間に送られ、一対の搬送ローラ26によって保留部13から送り出される。
【0022】
複数の収容部14には、入金取引が確定した後に、複数の保留部13からそれぞれ送られた紙幣6が、分類条件としての金種に基づいて分類されてそれぞれ収容される。したがって、各収容部14は、分類する金種別に配置されている。各収容部14には、収容する紙幣6の金種の外形寸法に適した大きさの収容空間19が設けられている。なお、1つの収容部14に1種類の紙幣6のみを収容する構成に限定されるものでなく、必要に応じて、例えば、金種ごとにおける外形寸法の違いが小さな複数種類の紙幣6が収容されてもよい。
【0023】
搬送部15は、図示しないが、紙幣6を搬送する搬送経路を構成する複数のローラ及びベルトを有しており、入手金部11、鑑別部12及び各保留部13をつなぐように配置されている。本実施例1では、鑑別部12から保留部13へ紙幣6を搬送する搬送経路の一部が、保留部13から鑑別部12を経て収容部14へ紙幣6を搬送する搬送経路の一部を兼ねている。このように、搬送部15は、保留部13に対して紙幣6を搬入及び搬出する双方向に搬送可能に構成されている。しかし、搬送部15は、双方向に搬送可能な構成に限定されるものではなく、鑑別部12から保留部13へ紙幣6を搬送する搬送経路と、保留部13から鑑別部12を経て収容部14へ紙幣6を搬送する搬送経路とが独立して設けられてもよい。また、搬送部15は、各保留部13に紙幣6を搬送する搬送経路を切り替える経路切替機構(図示せず)を有しており、制御部16によって経路切替機構が金種に基づいて制御される。
【0024】
制御部16は、鑑別部12、各保留部13、各収容部14及び搬送部15のそれぞれと電気的に接続されている。制御部16は、鑑別部12による鑑別結果に基づいて、搬送部15及び各保留部13をそれぞれ制御することで、紙幣6を金種に基づいて分類して各保留部13に収容する。また、搬送部15、各保留部13の分離ローラ25やピックアップローラ27は、制御部16によって駆動制御されることで、各保留部13に収容される紙幣6の金種の外形寸法に適した搬送速度で紙幣6を搬送する。また、搬送部15には、紙幣6の通過を検知する通過センサ(図示せず)が設けられてもよく、通過センサを用いた検知結果に基づいて、制御部16が、搬送部15及び各保留部13を制御するように構成されてもよい。
【0025】
なお、本実施例1では、集積型の保留部13が用いられたが、テープと共に紙幣6が巻き付けられる巻取ドラムを有する巻取型の保留部(図示せず)が用いられてもよい。巻取型の保留部が用いられる場合、制御部16は、分類条件に基づいて巻取ドラムの巻取速度を制御することで、分類条件に基づいて紙幣6を巻取ドラムに適正に巻き取る。
【0026】
[紙幣取扱装置の動作]
以上のように構成された紙幣取扱装置1において、分類条件に基づいて紙幣6が複数の保留部13及び複数の収容部14にそれぞれ収容される動作を説明する。図3は、実施例1の紙幣取扱装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0027】
図3に示すように、入出金部11は、利用者が入金した紙幣6を受け入れる。(ステップS1)。続いて、制御部16は、入出金部11に入金された紙幣6を鑑別部12に送る。鑑別部12は、紙幣6の金種を鑑別する(ステップS2)。鑑別部12が紙幣6を鑑別した後、制御部16は、鑑別部12によって鑑別された金種に基づいて、搬送部15及び各保留部13を制御することで、紙幣6を各保留部13に搬送する(ステップS3)。このとき、制御部16は、各保留部13に収容する金種の紙幣6の外形寸法に適した搬送速度で紙幣6を搬送するように、搬送部15や、分離ローラ25、ピックアップローラ27を駆動制御する。これにより、制御部16は、入金取引が確定する前に、鑑別部12によって金種が鑑別された紙幣6を、金種に基づいて分類して各保留部13にそれぞれ収容する。したがって、各保留部13には、金種に基づいて紙幣6が分類されて適正に搬送されて収容されるので、各保留部13において紙幣6のジャムが発生することが抑えられる。
【0028】
次に、利用者が入金した紙幣6の金額と、鑑別部12が鑑別した紙幣6の金額とが一致することを利用者が承認することで、利用者によって入金取引が確定される。制御部16は、利用者による入金取引の確定を受け付けたか否かを判定する(ステップS4)。制御部16が入金取引の確定を受け付けた場合、制御部16は、各保留部13に収容された紙幣6を、各保留部13から鑑別部12に送り出し、鑑別部12で再度、鑑別した後、鑑別部12を経て各収容部14に搬送する(ステップS5)。このように、制御部16は、入金取引が確定した後に、各保留部13から送り出された紙幣6を、金種に基づいて分類して各収容部14に収容する。このとき、制御部16は、鑑別部12が鑑別した紙幣6の金種に基づいて、各保留部13及び搬送部15を制御する。制御部16は、上述と同様に、各保留部13に収容された金種の紙幣6の外形寸法に適した搬送速度で紙幣6を送り出すように、搬送部15や、分離ローラ25、ピックアップローラ27を駆動制御する。また、制御部16は、各収容部14に収容する金種の紙幣6の外形寸法に適した搬送速度で紙幣6を搬送するように、各収容部14を制御する。
【0029】
一方、ステップS4において制御部16が入金取引を受け付けなかった場合、つまり利用者が入金取引を確定せずに中止した場合、制御部16は、紙幣6を各保留部13から入出金部11に搬送するように制御することで、紙幣6を返却する(ステップS6)。このとき、制御部16は、紙幣6の金種に基づいて、各保留部13、入出金部11及び搬送部15を制御する。
【0030】
また、実施例1の紙幣取扱装置1を用いた紙幣取扱方法は、第1のステップ、第2のステップ及び第3のステップを有する。第1のステップでは、複数の金種の紙幣6の中から入金された紙幣6を、金種を含む所定の分類条件に基づいて鑑別する。第2のステップでは、入金された紙幣6に関する入金取引が確定する前に、第1のステップで金種が鑑別された紙幣6を、分類条件に基づいて分類して複数の保留部13にそれぞれ収容する。第3のステップでは、入金取引が確定した後に、複数の保留部13から紙幣6を複数の収容部14にそれぞれ送り、紙幣6を分類条件に基づいて分類して複数の収容部14にそれぞれ収容する。また、紙幣取扱方法は、第2のステップと第3のステップとの間で、入金取引が確定したか否かを判断するステップを有する。例えば利用者が入金確定の操作を行ったときに制御部16によって入金取引が確定したと判断され、第3のステップに移る。
【0031】
実施例1は、入金された紙幣6に関する入金取引が確定する前に、鑑別部12によって金種が鑑別された紙幣6を、分類条件としての金種に基づいて分類して収容する複数の保留部13と、金種に基づいて複数の保留部13を制御する制御部16と、を有する。これにより、紙幣6を金種に基づいて各保留部13に適正に収容することが可能になり、保留部13内で紙幣6のジャムが発生することを防ぎ、紙幣6の処理速度を高めることができる。
【0032】
すなわち、各保留部13に収容する金種の紙幣6の外形寸法に適した大きさの収容空間18が各保留部13に設けられることで、保留部13内でのジャムの発生を防ぐことができる。また、各保留部13に収容する金種の紙幣6の外形寸法に適した搬送速度で紙幣6を搬送するように制御部16が各保留部13を制御することで、紙幣取扱装置1全体における紙幣6の処理速度を高めることができる。
【0033】
加えて、紙幣取扱装置1は、紙幣6を金種に基づいて分類して収容する複数の保留部13を有することで、紙幣6を収容可能な収容空間18の全容積が実質的に増えるので、大量の紙幣6を一括して入金する取り扱いに対応することが可能になる。
【0034】
以下、他の実施例について図面を参照して説明する。他の実施例において、実施例1と同一の構成部材には、実施例1と同一の符号を付して説明を省略する。
【実施例2】
【0035】
図4は、実施例2の紙幣取扱装置を示す模式図である。実施例2は、紙幣6を損傷状態に基づいて分類して複数の保留部に収容する点で実施例1と異なる。図4に示すように、実施例2の紙幣取扱装置2は、入出金部11と、鑑別部12と、複数の保留部23と、複数の収容部14と、搬送部15と、制御部16と、を有する。
【0036】
複数の保留部23は、入金された紙幣6に関する入金取引が確定する前に、鑑別部12によって金種が鑑別された紙幣6を、分類条件としての紙幣6の損傷状態に基づいて紙幣6を分類して収容する。このため、鑑別部12は、紙幣6の金種と共に損傷状態を鑑別し、損傷状態に基づいて制御部16が、紙幣6を正券と損券とに分類して各保留部23に収容する。したがって、複数の保留部23は、正券を収容する正券用の保留部23aと、損券を収容する損券用の保留部23bとを含む。
【0037】
正券用の保留部23aに正券を収容するとき、正券用の保留部23a及び搬送部15は、制御部16によって正券に適した搬送速度で正券を搬送するように制御される。同様に、損券用の保留部23bに損券を収容するとき、損券用の保留部23b及び搬送部15は、制御部16によって損券に適した搬送速度で損券を搬送するように制御される。例えば、損券を搬送する場合には、正券を搬送する場合に比べて、搬送速度が小さくされ、各紙幣6の搬送間隔が大きくなるように設定される。
【0038】
実施例2において、正券とは、鑑別部12によって金種が鑑別されて、損傷がない紙幣6、または損傷が少ない紙幣6を指している。また、実施例2において、損券とは、鑑別部12によって金種を鑑別可能であるが、紙幣6の損傷状態が著しい紙幣6を指している。紙幣6の損傷状態としては、破れや部分的に欠損した形状の異常や、汚れや異物が付着したり、しわ、折れ等が生じたりした紙面の異常等が鑑別される。鑑別部12は、紙幣6の損傷状態を、損傷状態に関する所定の基準に基づいて正券と損券とに分けて鑑別する。また、鑑別部12によって金種が鑑別不能な紙幣6は、鑑別部12を通過した後、各保留部23に収容されることなく、取り扱い不可の紙幣6として入出金部11に送られて返却される。
【0039】
複数の収容部14は、正券用の保留部23aから送られた正券を金種ごとに分類して収容する正券用の収容部14a〜14dと、損券用の保留部23bから送られた損券を収容する損券用の収容部14eと、を含む。正券用の収容部14a〜14dのそれぞれには、収容する金種の紙幣6の外形寸法に適した大きさの収容空間19が設けられている。損券用の収容部14eは、損券用の保留部23bから送られた複数の金種の紙幣6を、損券としてまとめて収容する。例えば、損券用の収容部14eに収容された紙幣6は、利用者へ出金する紙幣6として再利用されることなく、紙幣取扱装置2から回収される。また、各正券用の収容部14a〜14d及び損券用の収容部14eは、収容する紙幣6の外形寸法、正券と損券との分類に基づいて、収容する紙幣6に適した搬送速度で紙幣6を搬送するように制御部16によって制御される。
【0040】
また、紙幣取扱装置2は、追加の保留部としての別の損券用の保留部23cが装着される装着部30を有する。このため、必要に応じて、装着部30に別の損券用の保留部23cを追加することで、損券を分類して収容することが可能になる。例えば、紙幣6の損傷状態として、汚れが著しい損券と、形状の損傷が著しい損券とに分類することが可能になる。このように損券を分類する場合、例えば、形状が損傷した損券は、汚れた損券よりも搬送速度を小さくし、各紙幣6の搬送間隔が大きくなるように制御される。
【0041】
また、例えば、正券用の保留部23a、損券用の保留部23b、別の損券用の保留部23cは、共通に構成されることが好ましい。共通化された各保留部23a〜23cは、制御部16によって、各保留部23a〜23cにそれぞれ収容する紙幣6の損傷状態に適した搬送速度で紙幣6が搬送されるように適宜制御される。このように各保留部23a〜23cの構成を共通化することで、紙幣取扱装置2の製造コストの増加が抑えられる。
【0042】
本願の関連技術の紙幣取扱装置では、一般に、1つの保留部に、正券と損券とが混合した状態で集積されて収容されていた。このように正券と損券を1つの保留部に搬送して収容するとき、保留部内でジャムが生じることを防ぐために、損券である紙幣の損傷状態に合わせて、全ての紙幣を搬送することになる。その結果、保留部に収容する紙幣の搬送速度が遅くなり、紙幣の処理速度の低下を招いていた。
【0043】
これに対して、実施例2の紙幣取扱装置2は、複数種類の紙幣6を損傷状態に基づいて正券と損券とに分類して収容する正券用の保留部23a及び損券用の保留部23bを有する。これにより、正券と損券を1つの保留部に収容することに起因するジャムを防ぐことが可能になり、損傷状態に基づいて紙幣6を分類して各保留部23a,23bに適正に収容することができる。また、各保留部23a,23bに収容する紙幣6の損傷状態に適した搬送速度で紙幣6を搬送するように制御部16が各保留部23a,23bを制御することが可能になる。このため、正券を搬送する搬送速度を、損券を搬送する搬送速度よりも高くすることができるので、紙幣取扱装置2全体における紙幣6の処理速度を高めることができる。
【0044】
また、実施例2においても、紙幣6を損傷状態に基づいて分類して収容する複数の保留部23a,23bを有することで、紙幣6を収容可能な収容空間18の全容積が実質的に増えるので、大量の紙幣6を一括して入金する取り扱いに対応することが可能になる。
【0045】
また、紙幣取扱装置2によれば、必要に応じて追加の保留部23cを装着部30に装着することができる。このため、損傷状態に基づいて紙幣6を更に細かく分類することが可能になり、紙幣6を各保留部23a,23b,23cに更に適正に収容することができる。
【0046】
なお、実施例2では、紙幣6を正券と損券とに分類して複数の保留部23a,23bに収容したが、例えば、偽造や複製された不正券と、正券とに紙幣6を分類して複数の保留部に収容するように構成されてもよい。この構成の場合には、不正券が保留部に収容されたときに、制御部16によって警備に通報されるように構成されてもよい。
【実施例3】
【0047】
図5は、実施例3の紙幣取扱装置を示す模式図である。図5に示すように、実施例3の紙幣取扱装置3は、入出金部11と、鑑別部12と、複数の保留部33と、複数の収容部14と、搬送部15と、制御部16と、を有する。
【0048】
実施例3では、複数の保留部33に、紙幣6を外形寸法に基づいて分類して収容する。実施例1では、紙幣6を金種に基づいて分類して各保留部13に収容しており、実質的に紙幣6を外形寸法に基づいて分類している。実施例1は、金種ごとにおける外形寸法の違いが比較的小さい紙幣6、例えば日本で使用される紙幣6の取り扱いに適用される。一方、実施例3は、紙幣6を外形寸法に基づいて分類する点で実施例1と類似しているが、特に金種ごとにおける紙幣6の外形寸法の違いが比較的大きい紙幣6、例えば欧州や中国で用いられている紙幣6の取り扱いを対象とする点で実施例1と異なる。
【0049】
実施例3における鑑別部12は、紙幣6の金種ごとにあらかじめ設定された寸法データを用いて紙幣6の外形寸法を鑑別してもよく、図示しない通過センサを紙幣6が通過する間隔(通過時間)に基づいて紙幣6の外形寸法を鑑別してもよい。鑑別部12が鑑別した紙幣6の外形寸法に基づいて、制御部16は、搬送部15、複数の保留部33をそれぞれ制御する。
【0050】
複数の保留部33には、入金された紙幣6に関する入金取引が確定する前に、鑑別部12によって金種が鑑別された紙幣6が、分類条件である外形寸法に基づいて分類されてそれぞれ収容される。紙幣6の外形寸法は、例えば、長辺の長さに関する所定の閾値と、鑑別された長辺の長さとを比較することで2つに分類される。複数の保留部33は、外形寸法が相対的に大きい複数種類の紙幣6(以下、大紙幣と称する)が収容される大紙幣用の保留部33aと、外形寸法が相対的に小さい複数種類の紙幣6(小紙幣)が収容される小紙幣用の保留部33bとを含む。
【0051】
各保留部33a,33bには、収容する複数種類の紙幣6の外形寸法に適した大きさの収容空間18が設けられている。したがって、各保留部33a,33bの収容空間18は大きさがそれぞれ異なる。そして、各保留部33a,33bには、金種ごとにおける外形寸法の違いが小さい複数種類の紙幣6がそれぞれ収容される。
【0052】
また、紙幣取扱装置3は、各保留部33a,33bに収容される紙幣6の外形寸法とは異なる外形寸法の紙幣6を収容するための追加の保留部33c,33dが装着される複数の装着部35を有する。このため、必要に応じて、装着部35に追加の保留部33cを追加することで、複数の保留部33の個数を増やすことが可能になる。これにより、1つの保留部33に一緒に収容する紙幣6の金種を減らし、外形寸法に基づいて紙幣6を更に細かく分類することが可能になる。
【0053】
図示しないが、各保留部33a,33b及び追加の保留部33cには、収容空間18を規制する空間規制壁が移動可能に設けられてもよく、空間規制壁の位置によって、収容空間18が、紙幣6の外形寸法に適した大きさに可変するように構成されてもよい。この構成によれば、各保留部33a,33b及び追加の保留部33cの構成を共通化することが可能になるので、紙幣取扱装置3の製造コストの増加が抑えられる。
【0054】
図6Aは、実施例3の紙幣取扱装置3が有する保留部33a,33bから入出金部11へ紙幣6が返却される状態を模式的に示す断面図である。図6Bは、実施例3の紙幣取扱装置3が有する保留部33a,33bから入出金部11へ別の種類の紙幣6が返却される状態を模式的に示す断面図である。
【0055】
図6Aに示すように、返却部を兼ねる入出金部11は、収容空間17に紙幣6を搬送する搬送機構36と、収容空間17を規制する空間規制部材としての空間規制レバー37と、紙幣6が集積されるステージ38を有する。搬送機構36は、搬送ローラ36a及び羽根車36bを有する。ステージ38は、収容空間17内に、図6A及び図6B中に示すB方向に沿って移動可能に設けられている。空間規制レバー37は、一端が回動可能に支持されており、制御部16によって駆動制御される。空間規制レバー37は、収容空間17に対して回動することで、図6A及び図6B中に示すH方向に対する収容空間17の寸法を規制する。これにより、所望の外形寸法の紙幣6を、ステージ38に沿って適正に集積することが可能になる。
【0056】
以上のように構成された入出金部11には、まず外形寸法が相対的に小さい紙幣6である小紙幣が、小紙幣用の保留部33bから送られる。このとき、制御部16は、回転規制レバー37を収納空間17内に回動させることで、収容空間17内のステージ38に小紙幣が適正に集積される。次に、図6Bに示すように、入出金部11には、外形寸法が相対的に大きい紙幣6である大紙幣が、大紙幣用の保留部33aから送られる。このとき、制御部16は、回転規制レバー37を収納空間17から離間する方向に回動させることで、収容空間17内のステージ38に大紙幣が適正に集積される。
【0057】
このように制御部16は、各保留部33a,33bから送り出す紙幣6の外形寸法に基づいて回転規制レバー37を回動させることで、入出金部11の収容空間17に収容される小紙幣と大紙幣が適正に集積された状態で返却される。また、複数の保留部33a,33bから、外形寸法が小さい紙幣6から順に入出金部11に送ることで、収容空間17に対して回転規制レバー37を回動させる簡素な構成によって、小紙幣と大紙幣を適正に集積することが可能になる。これにより、各保留部33a,33bから送られた複数種類の紙幣6が入出金部11に安定して収容されるので、紙幣6の返却時に入出金部11内でジャムが生じることが抑えられる。
【0058】
なお、本実施例3では、入出金部11の収容空間17のサイズを規制するために、収容空間17に回転可能に設けられた空間規制レバー37が用いられたが、この構成に限定するものではない。図示しないが、例えば、収容空間17を規制する空間規制壁が移動可能に設けられてもよい。
【0059】
次に、実施例3の紙幣取扱装置3において、各収容部14に収容された紙幣6の枚数を数え直す精査を行うときの動作について説明する。図7は、実施例3の紙幣取扱装置3において各収容部14に収容された紙幣6の精査を行う動作を説明するための模式図である。各収容部14には、紙幣6が金種に基づいて分類されて収容されている。このため、図7に示すように、例えば、収容部14aには、収容部14bに収容された紙幣6に比べて外形寸法が小さい紙幣6が収容されている。このとき、収容部14aから送り出された紙幣6は、制御部16によって搬送部15及び各保留部33a、33bが制御されることで、外形寸法に適した小紙幣用の保留部33bに送られて収容される。また、収容部14bから送り出された紙幣6は、制御部16によって搬送部15及び各保留部33a、33bが制御されることで、外形寸法に適した大紙幣用の保留部33aに送られて収容される。
【0060】
このように各収容部14から送り出された紙幣6は、各保留部33a,33bに、外形寸法に基づいて分類されて収容される。続いて、各保留部33a,33bに収容された紙幣6は、鑑別部12に送られ、鑑別部12によって金種が鑑別されると共に枚数が数えられる。その後、鑑別部12から送られた紙幣6は、各収容部14に金種に基づいて分類されて収容される。実施例3では、各収容部14に収容された紙幣6が、外形寸法に適した各保留部33a、33bに収容されるので、各保留部33a,33bでジャムが生じることが抑えられ、精査が安定して行われる。
【0061】
実施例3の紙幣取扱装置3は、複数種類の紙幣6を外形寸法に基づいて分類して収容する大紙幣用の保留部33a及び小紙幣用の保留部33bを有する。これにより、外形寸法が異なる複数種類の紙幣6を1つの保留部に収容することに起因するジャムを防ぐことが可能になり、外形寸法に基づいて紙幣6を分類して各保留部33a,33bに適正に収容することができる。また、各保留部33a,33bに収容する紙幣6の外形寸法に適した搬送速度で紙幣6を搬送するように制御部16が各保留部33a,33bを制御することが可能になる。このため、大紙幣と小紙幣とをそれぞれに適した搬送速度で搬送することができるので、紙幣取扱装置3全体における紙幣6の処理速度を高めることができる。
【0062】
また、本願の関連技術の紙幣取扱装置では、外形寸法が異なる複数種類の紙幣を1つの保留部内に適正に収容した場合であっても、入金取引が中止されたときに、保留部から複数種類の紙幣を返却部に返却することになる。このため、保留部から複数種類の紙幣を返却部に返却するときに、返却部内に集積される小紙幣の位置が乱れやすく、返却部でジャムが発生するおそれがあった。
【0063】
これに対して、実施例3では、制御部16が、返却部を兼ねる入出金部11に返却する紙幣6の外形寸法に基づいて回転規制レバー37を回動させることで、入出金部11に小紙幣と大紙幣とを適正に集積することができる。また、外形寸法が相対的に小さい小紙幣から順に入出金部11に返却することで、回転規制レバー37を回動させる簡素な構成によって、小紙幣と大紙幣を適正に集積することが可能になる。これにより、複数種類の紙幣6が入出金部11に安定して収容されるので、紙幣6の返却時にジャムが生じることを防ぐことができる。
【0064】
また、収容部14に収容された紙幣6の精査を行うとき、紙幣6は、収容部14から送り出され、保留部13、鑑別部12の順に搬送された後、再度、収容部14に収容される。このような精査を行うときに、本願の関連技術の紙幣取扱装置では、1つの保留部に複数種類の紙幣を収容することになるので、保留部の収容空間内に集積される小紙幣の位置がばらつきやすく、保留部でジャムが発生するおそれがあった。
【0065】
これに対して、実施例3の紙幣取扱装置3では、精査を行うときに、各収容部14に収容された紙幣6の外形寸法に基づいて各保留部33a,33bに分類して収容することが可能になる。このため、精査を行うときに、入金取引が確定する前の紙幣6を保留するときと同様に、各収容部14に収容された紙幣6を1つの保留部に収容することに起因するジャムを防ぐことができ、精査を安定して行うことができる。
【0066】
また、実施例3においても、紙幣6を外形寸法に基づいて分類して収容する複数の保留部33a,33bを有することで、紙幣6を収容可能な収容空間18の全容積が実質的に増えるので、大量の紙幣6を一括して入金する取り扱いに対応することが可能になる。
【0067】
また、実施例3の紙幣取扱装置3においても、必要に応じて追加の保留部33c,33dを装着部35に装着することができる。このため、外形寸法に基づいて紙幣6を更に細かく分類することが可能になり、紙幣6を各保留部33a〜33dに更に適正に収容することができる。
【実施例4】
【0068】
図8は、実施例4の紙幣取扱装置を示す模式図である。実施例4は、1つの保留部のみを有するが、必要に応じて追加の保留部を装着することで、実施例1〜3と同様に構成することが可能な点が、実施例1と異なる。図8に示すように、実施例4の紙幣取扱装置4は、入出金部11と、鑑別部12と、保留部43aと、追加の保留部43b〜43eが装着される複数の装着部45と、複数の収容部14と、搬送部15と、制御部16と、を有する。
【0069】
実施例4の紙幣取扱装置4では、追加の保留部43b〜43eを必要な個数だけ装着部45に装着することで、保留部43aと、追加の保留部43b〜43eとを組み合わせて用いることが可能にされている。このため、実施例4では、所定の分類条件に基づいて紙幣6を複数の保留部43a〜43eに分類して収容することが可能になり、実施例1〜3のいずれかと同様に機能することができる。
【0070】
また、装着部45は、追加の保留部43b〜43eが装着されたことを検知する装着センサを有してもよく、装着センサによって、制御部16が、装着部45に装着された追加の保留部43b〜43eの個数を自動的に認識するように構成されてもよい。また、装着部45に追加の保留部43b〜43eを装着したときに、手動で設定することにより、制御部16が、追加の保留部43b〜43eの個数を認識するように構成されてもよい。
【0071】
また、実施例4における搬送部15は、必要に応じて、追加の保留部43b〜43eに搬送経路を延長することが可能な搬送空間15aを有する。また、搬送部15は、搬送空間15aを有する代わりに、追加の保留部43b〜43eに紙幣6を搬送可能な搬送経路をあらかじめ有するように構成されてもよい。
【0072】
実施例4によれば、例えば、大量の紙幣6を一括して入金可能に対応することが要求された場合等に、必要に応じて追加の保留部43b〜43eを容易に追加することが可能な拡張性を確保することができる。実施例4においても、紙幣6を所定の分類条件に基づいて分類して収容する複数の保留部43a〜43eを有することで、紙幣6を収容可能な収容空間18の全容積が実質的に増えるので、大量の紙幣6を一括して入金する取り扱いが可能になる。また、実施例4における搬送部15は、搬送経路を延長可能な搬送空間15aを有することで、追加の保留部43b〜43eに容易に対応することが可能になる。
【0073】
また、実施例4の紙幣取扱装置4は、追加の保留部43b〜43eを装着部45に装着することで、複数種類の紙幣6を所定の分類条件に基づいて分類して各保留部43a〜43eに収容することが可能になる。これにより、複数種類の紙幣6を1つの保留部に収容することに起因するジャムを防ぐことが可能になり、分類条件に基づいて紙幣6を分類して各保留部43a〜43eに適正に収容することができる。また、各保留部43a〜43eに収容する紙幣6の分類条件に適した搬送速度で紙幣6を搬送するように制御部16が各保留部43a〜43eを制御することが可能になる。このため、紙幣取扱装置4全体における紙幣6の処理速度を高めることができる。
【0074】
なお、実施例1〜3では、複数の保留部の全てが、分類条件に基づいて分類された紙幣6を収容するために用いられたが、このような構成に限定されるものではない。例えば、複数の保留部の少なくとも1つを予備用の保留部として用いて、紙幣6が収容された保留部のいずれかが満杯になったときに、満杯になった保留部と切り替えて、予備用の保留部に紙幣6を収容するように構成されてもよい。この構成の場合、制御部は、保留部が満杯になったことを検知する容量センサの検知結果に基づいて、予備用の保留部に紙幣を搬送するように搬送部や保留部を駆動制御する。
【符号の説明】
【0075】
1 紙幣取扱装置
6 紙幣
11 入出金部
12 鑑別部
13 保留部
14 収容部
15 搬送部
16 制御部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9