特許第6330134号(P6330134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6330134
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】自動踵上げ下げ運動装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/00 20060101AFI20180521BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20180521BHJP
   A61H 23/02 20060101ALI20180521BHJP
   A63B 23/04 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   A61H1/00 311D
   A61H1/02 N
   A61H23/02 354
   A63B23/04 C
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-211542(P2017-211542)
(22)【出願日】2017年11月1日
【審査請求日】2017年11月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000127112
【氏名又は名称】株式会社アンノオフィス
(73)【特許権者】
【識別番号】502010136
【氏名又は名称】株式会社フューテック
(72)【発明者】
【氏名】阿武 孝次
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 修平
【審査官】 小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−339800(JP,A)
【文献】 実開平5−91654(JP,U)
【文献】 特許第6080332(JP,B1)
【文献】 特開2005−6693(JP,A)
【文献】 特開2011−152232(JP,A)
【文献】 実開昭61−16170(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/00
A61H 1/02
A63B 23/04
A63B 22/16
A63B 22/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状のハウジングの上面部に両方の足裏が載置できる足置き台があり、かつ左右の踵が載る部分にモーターで交互に昇降するヒールリフターを持つように構成されたもので、椅子に座って足を載せたとき足指の付け根を支点として自動的に踵を上げ下げさせることで自然に踵、膝、股関節をリンクさせて動かす運動器であって、しかもこれら左右のヒールリフターを1台のモーターによってスライダークランク機構により交互に昇降させることを特徴とする自動踵上げ下げ運動装置。
【請求項2】
左右のヒールリフターの昇降スピードと作動時間を調節可能にしてなる請求項1記載の自動踵上げ下げ運動装置。
【請求項3】
両方の足裏が載置できる足置き台に温熱機能を有する請求項1記載の自動踵上げ下げ運動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
椅子に座って足裏を装置の足置き台に載せるだけで自動的に踵上げ下げ運動を行うことのできる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、椅子に座ったままで行える自動の下肢の運動装置といえるものはあまり見当たらないが、似たものと云えば、いわゆる貧乏ゆすりを機械的に行わせる貧乏ゆすり振動装置があった。例えば、一方が軸着された動作板の下面に多角形もしくは複数の突起を有するローラーを設けてこれをモーターで回転させることで動作板を上下に振動させて乗せた足裏から膝を揺するというもの(特許文献1参照)や、一方が軸着された踵載置板をモーターの力で偏心カムを回転させて振動させ膝を揺するといったもの(特許文献2)があった。これらはいわば足のバイブレーターというべきものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−194051号
【特許文献2】特許5166624号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
WHOが2000年から2010年にかけて、「運動器の10年」という国際的キャンペーンを行った。これは世界各国と連携して、種々の原因から来る運動機能の障害からの解放と終生健やかに体を動かすことができる「生活・人生の質的向上」が保証される社会の実現を目指したものであった。この頃日本でも高齢化社会の種々の問題、例えば高齢者の寝たきり問題が深刻化しており、国も膨れ上がる医療費や介護などの社会保障予算をどう抑制できるか苦慮していた時で、国民からも自助努力によって生活・人生の質的向上を図ろうという機運が高まった時でもあった。
【0005】
このキャンペーンを機に、ダイエットや運動不足を意識する健康志向が更に高まり、各種のダイエット法や健康食品がもてはやされ、運動不足解消という視点からは足の運動機能を維持もしくは改善する健康器具や装置が多く開発されてきた。特に階段上りをイメージしたいわゆるステッパー類や屋内でも走ることができるランニングマシーンはその代表的なものといえよう。しかし、これらの製品はかなり身体に負荷がかかるものなので高齢者や体の弱い人や障害のある人には注意を要するものであった。
【0006】
背景技術でも述べたように、従来のいわゆる貧乏ゆすりを機械的に行わせる貧乏ゆすり振動装置は身体にあまり負荷をかけずに運動機能の維持及び改善を図ろうということはうかがえる。しかし、前記の技術ではいくつかの問題点があった。一つは、貧乏ゆすり運動は足首の関節のみならず膝関節や股関節をリンクさせて動かし下肢の運動効果があるとされるが、振動数が多いため長時間使用すると各関節を痛める恐れがあった。他には片足でしか使用できない不便さがあったが、その理由は装置の構造にある。それらは片持ちの動作板や踵載置板を下からモーターの回転軸に設けた変形ローラーや偏心カムを回転させてバイブレーションを得るが、両足を載せると体重の重い場合や足の載せる位置によってはモーターへの負荷が大きくなるので片足だけでしか使用できないからである。更には踵載置板が傾斜している製品の場合、大腿部の筋肉や脹脛などの筋肉が常に緊張状態となって貧乏ゆすりのリラックス状態が得られないなどの欠点もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、従来の技術的課題を解決するため、椅子等に座って足を載せる
方式の下肢への作用がより緩やかで安全な自動踵上げ下げ運動装置を開発した。両足の足裏を装置のハウジングの上面にある足置き台に載置し、電動で左右の踵部分にあるヒールリフターだけを比較的ゆっくりと交互に昇降させる方式で下肢関節をリンクさせるものである。
【0008】
椅子に座ってとはいえ、両足を載せる場合には思わぬ負荷がかかることも想定しなければならない。1台のモーターでも無理なく使えるようにするためにはモーターへの負荷を小さくする必要があるが、ヒールリフターを駆動するクランクシャフトの両端にスライダークランク機構を採用することにより低トルクモーターでも効率よく上下動作を行うことができるようにした。モーターからスライダークランク機構への伝達方式はウオームと歯車を組み合わせるものでもチェーン歯車を使用するスプロケット機構やそれ以外の方式でも構わない。
【0009】
又、電源は入力電圧100VのACアダプターを使用するが、これによりモーターの回転数をDC電圧の調整によって数段階のスピードを選べるようにする。モーターの消費電力は最大20W程度とする。
【0010】
ヒールリフターの最大高さは踵の載る部分で例えば65mmだが、別部品の高さ調整アダプターを使って調整してもよい。
【0011】
装置の大きさはハウジングが例えば縦と横が約400mm、高さは約150mm程度とコンパクトにするのが好ましい。ヒールリフターを含めた全高は約220mmが使用面及び安全面から好ましい。
【0012】
両方の足裏が載置できる足置き台に温熱機能を付加してもよい。
【0013】
使用者の年齢や体調にあわせてより効果的な踵上げ下げ運動ができるようにするため、左右のヒールリフターの昇降スピードと作動時間を調節可能にするが、この場合、ハウジングの上面中央に電源スイッチと各種調節スイッチを液晶の表示部とともに設けるのが好ましい。
【0014】
昇降スピードは例えば、毎分20回、40回、80回といった多段に設定することや、作動時間も例えば「連続」「5分」「10分」といった区分ができれば無理のない使い方の目安が得られる。
【発明の効果】
【0015】
左右のヒールリフターをスライダークランク機構により交互に昇降させることでモーターへの負荷を小さくできるので両足を載せても安全に使用でき、かつ安定した体勢で使用できる効果がある。
【0016】
踵の上げ下げ運動で足首・膝や股関節が自然にリンクして動くので、各部に適度な刺激を与えて軟骨摩耗変形を防止できることに加えて、踵を上げ下げすることにより第二の心臓といわれる脹脛の筋肉を収縮させ血液を上半身に押し上げて血行を促進させる効果がある。
【0017】
両方の足裏が載置できる足載せ部に適度な温度の温熱機能を付加すればヒーリング効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施例を図1図2図5に基づき説明する。なお、図3図4は実施例による作用を説明するためのものである。
【0019】
図1は本発明の実施例を示す組み立て図である。本体1は上下に分割されており、下部の本体ハウジング3の底からねじ複数個で上部の本体ハウジング2に固定する。これらは例えばABS樹脂を用いて射出成型で得る。下部本体ハウジング3には、スライダークランク機構15へ回転を伝達するためのウオームと歯車を組み合わせたモーターユニット19が収納されるが、ヒールリフター6から受けるクランクシャフトへ10の加重を軽減し安定的に回転させるためにクランクシャフト10中央の歯車21の左右に各2個の軸受11を設ける。このそれぞれの軸受11は下部本体ハウジング3に一体で成型された軸受収納凹部12に納められる。更に、クランクシャフト10の左右端に設けられるスライダークランク機構15を保持するスライダー保持部14は例えばポリアミド樹脂かアルミ合金ダイキャストで作られて、下部本体ハウジング3に複数のねじで固定する。クランクシャフト10の左右端にあるクランク23のパーツもやはり例えばポリアミド樹脂かアルミ合金ダイキャストで作られる。スライダー16も同様である。
【0020】
上部本体ハウジング2には、別パーツで作られた左右の足載せ台4があるが、踵部分にヒールリフター6の上下摺動運動を受けるシリンダー的筒状部7を持ち、つま先部分には滑り止め5のために複数個の突起が設けられる。これらの足載せ台4は例えばABS樹脂等の射出成型で得るが、この足載せ台4の内部に温熱効果を得るための低温のヒーターを設けることもできる。
【0021】
ヒールリフター6はスライダークランク機構15のスライダー16に固定されるが、踵が載る部分は踵に合わせた形状となっている。
【0022】
上部本体ハウジング2の上面中央には左右の足載せ台4を隔てる隆起部分が縦長に形成されているが、この上面中央に電源スイッチと各種調節スイッチ8を設けるが液晶の表示部を設けてもよい。隆起部分の内部には左右のヒールリフター6の昇降スピードと作動時間等を調節するための電子回路基板が収納されている。
【0023】
図2は、ウオームと歯車を組み合わせたモーターユニット19とクランク23を示している。クランクシャフト10の両端のクランク23はヒールリフター6を交互に昇降させるためそれぞれ左右のクランク23の向きを180度違えている。
【0024】
図3は本発明の自動踵上げ下げ運動装置に椅子28に座って両足を載せ使用する状況を示す。ヒールリフター6による踵の上げ下げ運動で足首24・膝25や股関節26が自然にリンクして動く。
【0025】
図4は踵の上げ下げ運動による脹脛、つまり下腿三頭筋27の収縮を示す。これにより第二の心臓効果つまり下肢の血液ポンプアップが起こる。
【0026】
図5は、上部本体ハウジング2の上面中央の足載せ台4を隔てる隆起部分に電源スイッチと各種調節スイッチ8を設けるとともに液晶の表示部を設ける他の実施例の平面図である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
家庭用の運動装置として市販できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る実施例の組み立て図である。
図2】本発明に係る実施例のウオームと歯車を組み合わせたモーターユニットとクランクを示す斜視図である。
図3】本発明に係る実施例の使用方法と作用を示す斜視図である。
図4】踵上げ下げ運動の第二の心臓効果つまり下肢の血液ポンプアップを示す模式図である。
図5】本発明に係る他の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 本体
2 上部の本体ハウジング
3 下部の本体ハウジング
4 足載せ台
5 滑り止め
6 ヒールリフター
7 シリンダー的筒状部
8 電源スイッチと各種調節スイッチ
9 モーター
10 クランクシャフト
11 軸受
12 軸受収納凸部
13 モーターユニット収納部
14 スライダー保持部
15 スライダークランク機構
16 スライダー
17 ACアダプターのプラグ
18 液晶の表示部と電源スイッチと各種調節スイッチ
19 ウオームと歯車を組み合わせたモーターユニット
20 ウオーム
21 歯車
22 ゴム足
23 クランク
24 足首
25 膝
26 股関節
27 下腿三頭筋
28 椅子
【要約】
【課題】 椅子に座ったまま両足が同時に運動できる安全な自動踵上げ下げ運動装置を得る。
【解決手段】 上部本体ハウジング2の上面部に両方の足裏が載置できる足載せ台4があり、かつ左右の踵が載る部分にモーター9で交互に昇降するヒールリフター6を設置したもので、これら左右のヒールリフター6をスライダークランク機構15により交互に昇降させる。直流の電圧調整で容易に昇降スピードや作動時間も調節できるようにした自動踵上げ下げ運動装置。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5