(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリコーンポリマーの少なくとも1つの層の上に構築された少なくとも1つの重合基体を含む物品であって、前記重合基体または前記シリコーンポリマーの層のうちの少なくとも1つは、前記物品の構築の前に二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子と接触させられ、かつ前記重合基体または前記シリコーンポリマーの層のうちの少なくとも1つは、前記物品の構築の前または後に水と接触させられることを特徴とする、物品。
前記重合基体または前記シリコーンポリマーの層のうちの少なくとも1つは、前記物品の構築の前に、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子ならびに水、好ましくは二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子の水性分散物と接触させられることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
前記シリコーンポリマーの層は、皮膚に対して生理学的に許容可能なシリコーン接着剤からなり、前記シリコーン接着剤の構造は少なくとも部分的に架橋されており、好ましくは完全に架橋されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の物品。
前記シリコーンポリマーは、ヒドロシリル化反応または縮合反応によって、接触された後に架橋するシリコーン前駆体から得られることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の物品。
前記二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子は、1nmから50μm、好ましくは1nmから10μm、より好ましくは1nmから300nmの範囲のサイズを有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の物品。
前記二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子は、前記分散物の総重量に対して0.05wt%から50wt%、好ましくは0.1%から20%、より好ましくは0.5%から5%の範囲の含有量にて前記水性分散物中に存在することを特徴とする、請求項2〜10のいずれか一項に記載の物品。
ステップivは、前記物品を形成するために前記重合基体および前記シリコーンポリマーの層を構築した後に、水溶液によってこれらの化合物を湿潤させることによって行われることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
ステップiiにおいて調製または供給された前記重合基体は、水と接触させられる前にコロナ処理の後続ステップを受けることを特徴とする、請求項14または15に記載の方法。
重合基体とシリコーンポリマーの層との付着性を改善するための、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子、好ましくは二酸化チタンの粒子の使用。
【背景技術】
【0002】
シリコーン誘導体は、たとえば化粧品、航空、自動車または医学の分野などのいくつかの技術分野において、たとえばプラスチックまたはテキスタイルのコーティング、エアバッグ、補綴、インプラント、包帯などのために一般的に使用される。特にシリコーンゲルまたはガムは、多数の支持体の上に構築できる一方で、生物に対して不活性であるために、人間に用いられるときにもあらゆる毒性の問題が避けられるという利点を提供する。
【0003】
支持体のコーティング要素、または前記支持体に貼り付けられる層としてシリコーン誘導体が用いられるとき、それらのシリコーン誘導体が置かれる基体に対するシリコーン誘導体の付着性を強化することによって、処理された製品が物理的応力、湿度または温度の変動に効果的に耐え得るようにすることがしばしば望ましい。
【0004】
たとえば、支持体の表面またはシリコーン処理された表面をコロナ処理によって処理して前記支持体の表面エネルギーを修正することによって、シリコーン誘導体を置く際のシリコーン誘導体との付着性を改善することが公知である。しかし、コロナ処理によって得られる付着性のレベルは必ずしも十分でなく、シリコーン処理された表面の場合には、この処理がシリコーンの接着特性を損なうことすらある。
【0005】
よって、特にボンディングプライマーを用いることによって、重合基体とシリコーンポリマーの層との付着性を改善するための新たな技術が開発された。
【0006】
シリコーンの構成物前駆体を含有する反応混合物内で直接シリコーンを架橋するステップから始まる、ボンディングプライマーを導入することによるシリコーン処理表面の付着特性の変更が、特に文献に記載されている。加えて、これらのボンディングプライマーを重合基体上に置いて、その上に前記シリコーン誘導体の前駆体を注ぐことも想定されている。どちらの場合も、最終生成物は、コロナ処理を受けた生成物よりもわずかに改善されたボンディングレベルを提供する。
【0007】
より最近には、ダウコーニング社(Dow Corning Corporation)の特許文献1が、可塑性重合基体の表面へのシリコーンゲルの付着性を改善するための方法を提案している。この出願は、チタン酸塩タイプのボンディングプライマーによる、すでに合成された基体またはシリコーンの直接処理を教示しており、好ましくはすでに合成および架橋されたシリコーンゲルの処理を教示している。
【0008】
よって、架橋のとき、または基体もしくはシリコーン誘導体がそれぞれ合成もしくは架橋された後に、基体またはシリコーン誘導体を処理するためにボンディングプライマー、特にチタン酸塩タイプのプライマーを使用することが記載されている。
【0009】
しかし、より最近には、東レ・ダウコーニング(Dow Corning Toray)社の特許文献2が、テキスタイル基体へのシリコーン層の接着に関して、特許文献1の教示を部分的に適合させた。この出願においては、後のシリコーン層を構成する反応混合物にチタン酸塩タイプのボンディングプライマーを取入れたときに、これらのプライマーはテキスタイル製品とシリコーン層との長期の接着を提供できないことが示された。この方法によって得られる最終生成物は、特に温度および湿度の大きな変動を受けるときに付着性のレベルが不十分である。この文献は、テキスタイル基体に対するシリコーン層の接着を確実にするために、ジルコニウムに基づくボンディングプライマーの使用を推奨するものである。
【0010】
さらに、チタン酸塩タイプのボンディングプライマーの使用によって、その使用中にも、それらが添加された最終生成物にも問題が起こる。実際のところ特に、予期される化学反応を起こし得る空気中の水分とのあらゆる接触を避けるために、最も一般的に用いられるチタンテトラブタノアートをはじめとするこれらのボンディングプライマーのあるものは、有機溶媒中に分散される。しかし、本発明の主題を形成するものなどの物品の製造に前記溶媒を使用することに関連して、多くの不耐性の問題または毒性の問題すら公知である。水相において機能する他のタイプのボンディングプライマーを用いることも可能だが、付着性の改善に関するその結果は満足できるものではなく、さらに使用中に添加剤(たとえば酢酸)の取込みを必要とするか、および/または熱処理の適用を必要とし、前記処理は特定の重合基体の使用に適合しない。
【0011】
よって、さまざまなタイプ、特にチタン酸塩タイプのボンディングプライマーの使用は、その適用および使用に関連して多くの問題または複雑性をもたらす。さらに、これらの処理によって得られる付着性のレベルにさらなる改善が必要である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
物品
本発明は、シリコーンポリマーの少なくとも1つの層の上に構築された少なくとも1つの重合基体を含む物品に関し、重合基体またはシリコーンポリマーの層のうちの少なくとも1つは、前記物品の構築の前に二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子と接触させられ、かつ重合基体またはシリコーンポリマーの層のうちの少なくとも1つは、前記物品の構築の前または後に水と接触させられる。
【0020】
代替的に、本発明は、シリコーンポリマーの少なくとも1つの層の上に構築された少なくとも1つの重合基体を含む物品に関し、重合基体を構成する前駆体、またはシリコーンポリマーの層の前駆体のうちの少なくとも1つは、前記物品の構築の前に二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子と接触させられる。
【0021】
「重合基体を構成する前駆体」とは、完成基体を得るために重合可能または変形可能である任意のモノマーまたはポリマーを意味する。よって前駆体は、モノマー、「プレポリマー」またはポリマーであってもよい。
【0022】
「シリコーンポリマーの層を構成する前駆体」とは、シリコーンポリマーの層を形成するために重合可能である任意の化合物を意味する。
【0023】
本発明に従う物品は、たとえば建造物、航空、自動車、医学もしくは化粧品の分野、またはテキスタイルなど、多数のさまざまな技術分野における適用を見出し得る。
【0024】
本発明に従う物品は、たとえば包帯、整形具、補綴、カテーテル、インプラント、衣料品、エアバッグなどであってもよい。
【0025】
好ましい実施形態に従うと、本発明に従う物品は医学分野で用いられ、好ましくは包帯である。
【0026】
重合基体
本発明に従う物品は、少なくとも1つの重合基体を含む。
【0027】
重合基体とは、特に少なくとも1つの前駆体(モノマー、プレポリマーまたはポリマー)の重合または変形によって得られる、任意の高分子材料を意味する。重合基体は合成材料または天然材料であってもよく、たとえばテキスタイル、複合材料、これらの材料すべての組み合わせ、または同じ材料による異なるポリマーの組み合わせ、およびこうして得られた材料の組み合わせなどであってもよい。
【0028】
特定の実施形態に従うと、本発明の状況において用いられる重合基体はポリオレフィンであり、特に、低密度または高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、およびエチレンビニルアセテート(ethylene−vinyl acetate:EVA)ポリマーを含む化合物の非限定的なリストから選択されてもよい。加えて重合基体は、特に、ビニルポリマー、たとえばポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールまたはポリビニルホルマール、ポリビニルクロライドの誘導体(ポリビニルクロライド、ポリビニレンクロライド、ポリビニルクロライド−プロピレンコポリマー)など;ポリウレタンおよび尿素−ポリウレタン、ポリスチレンおよびそのコポリマー(スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー)、ならびにアクリルポリマーの誘導体(ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、エチレン/メタクリル酸コポリマー)、ポリアクリロニトリル、ポリエステル(特にPETE、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸−グリコール酸誘導体)、セルロースフィルム(ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート)、ポリイミド、ポリアミド(ナイロン)、フェノールプラスチックおよびエポキシプラスチック、ポリカーボネート、フェノプラスト、フッ素化ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(ビニリデンフルオリド))、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン(PSU、PESU、PPSU)、ポリフェニルスルフィド、ならびに多糖類に基づく材料を含む化合物の非限定的なリストから選択されてもよい。
【0029】
本発明において用いられる重合基体は、可能な形状のほぼすべてを取り得る。たとえば、重合基体は連続的または非連続的なプラスチックフィルム、織られたか、編まれたか、または不織の材料、繊維状の網または泡などであってもよい。
【0030】
好ましい実施形態に従うと、重合基体はテキスタイル、好ましくはポリエチレンに基づく不織布の形である。このタイプの基体の例として、我々が特に言及し得るのは、30g/m
2から40g/m
2の重量を有するポリエチレン繊維からなるスパンボンデッド不織布、たとえばファイバーウェブ(Fiberweb)社からBerotex−PE(登録商標)35g/m
2の名称で市販されるもの、またはフロイデンベルグ(Freudenberg)社からVilmed(登録商標)LSO 1040 WEISSの名称で市販されるものなどである。
【0031】
本発明の状況においては、特に5g/m
2から80g/m
2、好ましくは20g/m
2から50g/m
2の重量を有するスパンレイドボイルの形の不織布を用いることが好ましい。
【0032】
シリコーンポリマー
本発明に従う物品はさらに、シリコーンポリマーの少なくとも1つの層を含む。
【0033】
本出願の状況において、ポリマー「層」という用語は、シリコーンポリマーが自身の表面の範囲に対して厚さが小さい連続的または非連続的な層の形であるときに用いられる。
【0034】
物品が包帯または補綴であるとき、シリコーンポリマーは、患者の皮膚に対して最適な付着性を有するように選択されるべきである。シリコーンポリマーは特に、柔らかく快適で、柔軟かつ強く、再位置決め可能であるべきであり、さらに除去されるときには皮膚に残留物を残すべきではない。
【0035】
シリコーンポリマーは好ましくは接着性であり、皮膚に対して生理学的に許容可能であり、かつその構造は少なくとも部分的に架橋されており、好ましくは完全に架橋されている。
【0036】
本発明に対して好適な接着性シリコーンポリマーのうち、皮膚に優しい接着性シリコーンポリマー(「軟性皮膚接着剤(soft skin adhesives)」(SSA))と、感圧接着性シリコーンポリマー(「感圧接着剤(pressure sensitive adhesives)」(PSA))とは区別される。
【0037】
本発明の好ましい実施形態に従うと、シリコーンポリマーは、皮膚に優しい接着性シリコーンポリマー(SSA)である。このポリマーは、接触された後にヒドロシリル化反応または縮合反応に従って架橋するシリコーン前駆体から製造されてもよい。こうした系は、たとえば欧州特許出願公開第0 251 810(A)号、欧州特許出願公開第0 300 620(A)号、または米国特許第4 921 704(A)号などの文献における先行技術から公知である。これらの文献に記載される前駆体の混合物は、
−各末端においてビニル基で置換された少なくとも1つのポリジメチルシロキサン、および白金触媒を含む構成要素Aと、
−少なくとも2つのヒドロゲノシラン基を含むポリジメチルシロキサンの構成要素Bとを本質的に含む。
【0038】
2つの構成要素を互いに接触させることによって、2つの官能性を有するポリジメチルシロキサンの架橋反応がもたらされ、この反応は有利には室温で起こり、加熱によって加速され得る。
【0039】
接着性シリコーンポリマーの前駆体は、以下の製品から選択されてもよい。すなわち、ブルースター・シリコーンズ(Bluestar Silicones)のSilbione RT Gel(登録商標)4712 A&BおよびSilbione RT Gel(登録商標)4717 A&B、ワッカー・ケミー社(Wacker−Chemie GmbH)のWacker Silgel(登録商標)612、ヌシル・テクノロジー(Nusil Technology)のNusil;MED−6340、Nusil(登録商標)MED−6345、Nusil(登録商標)MED3−6300、またはNusil(登録商標)MED12−6300、およびダウコーニングのD−7−9800(登録商標)である。
【0040】
別の実施形態に従うと、本発明は感圧接着性(PSA)シリコーンポリマーを使用する。感圧接着性(PSA)シリコーンポリマーは、好ましくはシリコーン樹脂および液体シリコーンから得られる。こうしたコポリマーは、たとえば「シリコーン感圧接着剤(Silicone Pressure Sensitive Adhesive)」、ソビエスキ(Sobieski)およびタングニー(Tangney)、感圧接着剤技術のハンドブック(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology)(D.サタス(Satas)編)、バン・ノストランド・レインホールド(Von Nostrand Reinhold)、ニューヨーク(New York)などに記載されている。
【0041】
この実施形態において、シリコーン樹脂は(シリコーンの総重量に対して)45%から75%のレベルで存在し、液体シリコーンは25%から55%のレベルで存在し、ここではシリコーン樹脂および液体シリコーンのパーセンテージの合計が100に等しい。好ましくは、シリコーン樹脂は(シリコーンの総重量に対して)55%から65%のレベルで存在し、液体シリコーンは35%から45%のレベルで存在し、ここではシリコーン樹脂および液体シリコーンのパーセンテージの合計が100に等しい。
【0042】
好ましくは、本発明に従うシリコーン樹脂は、SiO
2基およびR
3(SiO)
1/2(トリオルガノシリル)基の縮合生成物であり、ここで各基Rはメチル、エチル、プロピルまたはビニルラジカルから独立して選択され、シリコーン樹脂のR
3(SiO)
1/2官能基に対するSiO
2官能基の比率は0.6から0.9である。シリコーン樹脂を形成するために使用可能なトリオルガノシリル基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メチルメチルプロピルシリル(methylmethylproprylsilyl)、ジメチルビニルシリル単位、およびその混合物であってもよい。本発明の状況において好ましいのは、トリメチルシリル基である。
【0043】
好ましくは、本発明に従う液体シリコーンは、25℃において100cStから100 000cStの粘度を有する、OH末端官能基を有するジオルガノポリシロキサンであり、ここでジオルガノポリシロキサンの置換基はメチル、エチル、プロピルまたはビニルラジカルから独立して選択される。ジオルガノシロキサンは、好ましくは直鎖状ポリマーである。ジオルガノポリシロキサンの非包括的な例は、ポリジメチルシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサンとメチルビニルシロキサンとのコポリマー、およびOH末端基を有するこうしたポリマーまたはコポリマーの混合物であってもよい。好ましいジオルガノポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサンである。
【0044】
こうしたコポリマーの合成の例は、たとえば米国特許第5162410号またはカナダ特許第711756号などに記載されている。
【0045】
本発明に従って用いられるコポリマーは、参照BIO−PSA(登録商標)としてダウコーニングにより市販されている。これらのBIO−PSA(登録商標)は標準またはアミン適合性の2つの形であってもよく、いくつかのシリコーン樹脂/液体シリコーン比率によってさまざまな溶媒中で供給される。我々は特に、グレード7−4400、7−4500、7−4600に言及し得る。本発明に従って特に好ましいBIO−PSA(登録商標)は、7−4400グレードである。
【0046】
シリコーンポリマーは、たとえば色素、阻害剤または充填剤などの添加剤を含んでもよい。
【0047】
特定の実施形態に従うと、シリコーンポリマーの層は非連続的である。
【0048】
本発明のより好ましい実施形態に従うと、物品が包帯であるとき、シリコーンポリマーの非連続的な層は、オープンワークフレームのコーティングを構成してもよい。
【0049】
フレームは、皮膚における包帯の保持をより良好にするために好ましくは弾性の、たとえば有孔フィルム、熱可塑性フィレ、またはたとえば織布、ニット地、もしくは不織布などのテキスタイルなどの任意のオープンワーク材料からなっていてもよい。有孔フィルムは、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレンなどのものである。織布は、たとえばポリエチレンテレフタレートまたはポリアミドなどのものである。フレームの重量は、好ましくは10g/m2から500g/m2、たとえば20g/m2から300g/m2などである。
【0050】
フレームは、その片面、両面、または全表面がシリコーンポリマーでコートされてもよい。フレームの開口部のサイズは0.1mmから5mm、たとえば0.5mmから3mmなどであってもよい。一実施形態に従うと、シリコーンポリマーは、ニット地の全表面のコーティングを構成する。
【0051】
二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子
本発明の状況において、重合基体またはシリコーンポリマーの層のうちの少なくとも1つは、本特許出願に従う物品の構築の前に、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子と接触させられており、かつ重合基体またはシリコーンポリマーの層のうちの少なくとも1つは、前記物品の構築の前または後に水と接触させられている。
【0052】
出願人はさらに、シリコーンポリマーの層の合成および/または重合基体の合成の前または最中に、重合基体の前駆体またはシリコーンポリマーの層の前駆体を、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子と接触させるときに、合成後の2つの構成要素間の付着性を顕著に増加させることが可能であると考えた。
【0053】
好ましい実施形態に従うと、本発明に従う物品に使用される粒子は、二酸化チタンの粒子である。
【0054】
水の存在下で、重合基体またはシリコーンポリマーの層を二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子と接触させることは、特にたとえばチタンテトラブタノアートのタイプのプライマーの場合における加水分解反応などの化学反応が不在であるところが、これらの化合物のボンディングプライマーを用いる先行技術で公知の処理とは異なる。
【0055】
ここで出願人は、すべての予想に反して、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子による処理が、特に先行技術で公知のチタン酸塩タイプのボンディングプライマーに基づく処理よりもはるかに良好な付着性の結果を与えることを観察した。
【0056】
本発明の一実施形態に従うと、好ましくはダスティングによって、シリコーンポリマーの層を二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子と接触させてもよく、最終生成物を構築する前に、重合基体を水溶液で湿潤または加湿してもよい。
【0057】
本発明のこの特定の実施形態の別の変形に従うと、表面に二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子を含むシリコーンポリマーの層の上に重合基体を付けてから、重合基体を湿潤させることが可能である。
【0058】
特定の実施形態に従うと、重合基体が疎水性(特にポリエチレン)であるときに、重合基体の湿潤を促進するために、本発明の状況においては、重合基体を水と接触させる前に付加的にコロナ処理に供することが可能である。
【0059】
特に好ましい実施形態に従うと、重合基体またはシリコーンポリマーの層のうちの少なくとも1つは、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子の水性分散物と接触させられる。
【0060】
本発明の特定の実施形態に従うと、重合基体およびシリコーンポリマーの層の両方が、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子の水性分散物と接触させられる。
【0061】
重合基体またはシリコーンポリマーの層を二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子の水性分散物と接触させるステップは、たとえば噴霧、パディング、またはたとえばブラシなどを用いた手動拡散など、当業者に公知の任意の手段によって実行されてもよい。
【0062】
二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子は、特に1nmから50μm、好ましくは1nmから10μm、より好ましくは1nmから300nmの範囲のサイズを有する。
【0063】
二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子は、特に分散物の総重量に対して0.05wt%から50wt%、好ましくは0.1%から20%、より好ましくは0.5%から5%の範囲の含有量にて水性分散物中に存在する。いずれの場合にも、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子は、好ましくは水相に均一に分散される際に、それらが置かれる基体またはシリコーンポリマーの層の接着を促進するために十分な含有量にて存在すべきである。
【0064】
二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子を分散させる水相は、少なくとも水を含む。
【0065】
水相はさらに、あらゆるその他の生理学的に許容可能な水混和性有機溶媒を含んでもよい。
【0066】
当業者の知識に従うと、二酸化チタンの粒子の水性分散物に用い得る水混和性有機溶媒は、水に対する重合基体の親和性を改善することを可能にしてもよく、さらに好ましくは、たとえば重合基体または接触後のシリコーンポリマーの乾燥を速めるために揮発性であってもよい。
【0067】
本発明の状況において用い得る水混和性有機溶媒の中で、我々は特に、1個から5個の炭素原子を有する一価の低級アルコール、たとえばエタノールおよびイソプロパノールなどに言及し得る。
【0068】
水混和性有機溶媒が存在するときは、あらゆる毒性または刺激の問題をもたらさないように、水混和性有機溶媒を限られた含有量で加えるべきである。たとえば、水混和性有機溶媒は、水相の総重量に対して0.1%から50wt%、好ましくは0.5%から10wt%の範囲の含有量にて水相に加えられてもよい。
【0069】
二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子の分散を改善するために、水性分散物は、たとえば界面活性剤または親水性ゲル化剤などのあらゆる添加剤を任意に含んでもよい。
【0070】
物品を調製する方法
本発明はさらに、上述の物品を調製する方法に関し、この方法は以下のステップを含む。
i.重合基体を供給または調製するステップ、
ii.シリコーンポリマーの層を供給または調製するステップ、
iii.重合基体またはシリコーンポリマーの層のうちの少なくとも1つを、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子と接触させるステップ、
iv.前記物品の構築の前または後に、重合基体またはシリコーンポリマーの層のうちの少なくとも1つを水と接触させるステップ、
v.前記物品を形成するように基体とシリコーンポリマーの層とを構築するステップ。
【0071】
本発明の一実施形態に従うと、ステップiiiにおいて、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子と接触させるのはシリコーンポリマーの層であり、このステップは好ましくは、前記粒子をシリコーンポリマーの層にダスティングすることによって行われる。
【0072】
本発明のこの実施形態において、ステップivは、物品の構築の前に重合基体を水溶液によって湿潤させることによって行われる。
【0073】
代替的に、ステップivは、物品を形成するために重合基体およびシリコーンポリマーの層を構築した後に、これらの構成要素を水溶液によって湿潤させることによって行われる。
【0074】
よって、この代替形に従うと、本発明は上述の物品を調製する方法に関し、この方法は以下のステップを含む。
i.重合基体を供給または調製するステップ、
ii.シリコーンポリマーの層を供給または調製するステップ、
iii.重合基体またはシリコーンポリマーの層のうちの少なくとも1つを、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子と接触させるステップ、
iv.前記物品を形成するように基体とシリコーンポリマーの層とを構築するステップ、
v.重合基体およびシリコーンポリマーの層を水と接触させるステップ。
【0075】
特定の実施形態に従うと、重合基体が疎水性(特にポリエチレン)であるときに、重合基体の湿潤を促進するために、本発明の状況においては、重合基体を水と接触させる前に付加的にコロナ処理に供することが可能である。
【0076】
よって、重合基体を供給または調製するステップは、前記重合基体を水と接触させる前にコロナ処理する後続ステップを含む。
【0077】
好ましい実施形態に従うと、本発明はさらに、上述の物品を調製する方法に関し、この方法は以下のステップを含む。
i.二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子の水性分散物を調製するステップ、
ii.重合基体を供給または調製するステップ、
iii.シリコーンポリマーの層を供給または調製するステップ、
iv.ステップiで調製した分散物を、重合基体またはシリコーンポリマーの層のうちの少なくとも1つと接触させるステップ、
v.前記物品を形成するように基体とシリコーンポリマーの層とを構築するステップ。
【0078】
この実施形態に従うと、ステップivにおいて、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子の水性分散物と接触させることが好ましいのは、重合基体である。二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子の水性分散物を重合基体と接触させるステップの後に、シリコーンポリマーの層と構築する前に、前記含浸させた重合基体を乾燥させるステップiv’を行う。
【0079】
代替的に、ステップivにおいて、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子の水性分散物と接触させ得るのは、シリコーンポリマーの層である。二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子の水性分散物をシリコーンポリマーの層と接触させるステップの後に、重合基体との構築のステップvと、次いでこうして形成された物品を乾燥させるステップviとを行う。
【0080】
好ましい実施形態に従うと、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子の水性分散物と接触させられるのは、重合基体である。
【0081】
非常に特定的な実施形態に従うと、第1のステップiにおいて重合基体を調製または供給し、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子の水性分散物と接触させてその後乾燥させ、次いでシリコーンポリマーの層を前記処理基体上でインサイツで直接架橋してもよい。この実施形態においては、シリコーンポリマーの層を構成する前駆体を重合基体上に置き、次いで、二酸化チタン、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛の粒子によって前処理された前記基体上で直接架橋する。
【0082】
以下の非限定的な実施形態例において、本発明をより詳細に示す。
【実施例】
【0083】
第1のケースでは二酸化チタン粒子の分散物、第2のケースでは酸化マグネシウムの分散物、第3のケースでは酸化亜鉛の分散物による、ポリエチレンに基づく不織布の含浸によって、本発明に従う3つの物品を調製した。加えて、チタン酸塩タイプのボンディングプライマーによる、ポリエチレンに基づく不織布の含浸によって、比較物品を調製し、さらにコロナ処理された不織布を含む比較物品。
【0084】
二酸化チタン粒子の分散物によって含浸された不織布を含む、本発明に従う物品
水中の二酸化チタン(TiO
2)粒子の1wt%分散物を、以下のとおりに調製した。
【0085】
ビーカーに198gの蒸留水を入れて、渦を生じるように機械的に撹拌した。
【0086】
次いで2gのTiO
2粉末(センシエント(Sensient)社から市販される商品参照「透明二酸化チタンPW(transparent titanium dioxide PW)」)を加え、凝集物または集塊物の形成を防ぐために撹拌を続けた。この分散物は、水の粘度に近い粘度を有する。
【0087】
TiO
2粒子の水性分散物を得た後に、ファイバーウェブ社からBerotex−PE(登録商標)35g/m
2の名称で市販される、ポリエチレンに基づく不織布をその水性分散物中に浸して、10分間浸漬させた。
【0088】
次いで、この含浸不織布を2枚のノンスティック紙の間に挟んだ。次いで、パディングプロセスの絞り動作をシミュレートする目的で、10kgの加圧ローラを前後に2回転がすことによって、この生成物を圧迫し、生成物を70℃のストーブに15分間入れた。
【0089】
この重合基体から、幅50mm、長さ150mmの5つのサンプルを切り取った。
【0090】
シリコーンポリマーの層(ゾディアック・エアロスペース(Zodiac Aerospace)社から市販されるNovesil 703702の名称で参照される製品の接着面)によってコートされたオープンワークフレームから、幅50mm、長さ150mmの5つのサンプルを切り取った。
【0091】
シリコーンポリマーの各サンプルを不織布のサンプル上に置き、アセンブリの接着を確実にするために4kgの加圧ローラを前後に2回転がすことによって、この生成物を圧迫した。
【0092】
酸化マグネシウム粒子の分散物によって含浸されたコロナ処理不織布を含む、本発明に従う物品
本発明に従う第2の物品は、同じプロトコルに従って、二酸化チタンの分散物の代わりに水中の酸化マグネシウム(MgO)粒子の2wt%分散物を用いて調製した。並行して、ファイバーウェブ社からBerotex−PE(登録商標)35g/m
2の名称で市販されるポリエチレン不織布を、0.64kWの2電極コロナ供給源の下に、2mm未満の距離で10m/分の速度にて通すことによって処理した。
【0093】
MgO粒子の水性分散物が得られた後に、その中にポリエチレンに基づく不織布を浸して、10分間浸漬させた。
【0094】
酸化亜鉛粒子の分散物によって含浸された不織布を含む、本発明に従うコロナ処理物品
本発明に従う第3の物品は、同じプロトコルに従って、二酸化チタンの分散物の代わりに水中の酸化亜鉛(ZnO)粒子の5wt%分散物を用いて調製した。
【0095】
並行して、ファイバーウェブ社からBerotex−PE(登録商標)35g/m
2の名称で市販されるポリエチレン不織布を、0.64kWの2電極コロナ供給源の下に、2mm未満の距離で10m/分の速度にて通すことによって処理した。
【0096】
MgO粒子の水性分散物が得られた後に、その中にポリエチレンに基づく不織布を浸して、10分間浸漬させた。
【0097】
チタンテトラブタノアート(TnBT)によって含浸された不織布を含む、比較物品
イソプロパノール中の5wt%のチタンテトラブタノアート(TnBT)溶液を調製した。
【0098】
ビーカーに190gのイソプロパノールを入れて、機械的に撹拌した。
【0099】
次いで、ドルフ・ケタール(Dorf Ketal)社から市販される商品参照「Tyzor(登録商標)TnBT」であるチタンテトラブタノアートを10g加えて、完全に溶解するまで撹拌した。
【0100】
チタンテトラブタノアートの溶液を得た後に、ファイバーウェブ社からBerotex−PE(登録商標)35g/m
2の名称で市販される、ポリエチレンに基づく不織布をその溶液中に浸して、10分間浸漬させた。
【0101】
次いで、この含浸不織布を2枚のノンスティック紙の間に挟んだ。次いで、パディングプロセスの絞り動作をシミュレートするために、10kgの加圧ローラを前後に2回転がすことによって、この生成物を圧迫し、生成物を70℃のストーブに15分間入れた。
【0102】
この重合基体から、幅50mm、長さ150mmの5つのサンプルを切り取った。
【0103】
シリコーンポリマーの層(ゾディアック・エアロスペース社から市販されるNovesil 703702の名称で参照される製品の接着面)によってコートされたオープンワークフレームから、幅50mm、長さ150mmの5つのサンプルを切り取った。
【0104】
シリコーンポリマーの各サンプルを不織布のサンプル上に置き、アセンブリの接着を確実にするために4kgの加圧ローラを前後に2回転がすことによって、この生成物を圧迫した。
【0105】
コロナ処理不織布を含む比較物品
ファイバーウェブ社からBerotex−PE(登録商標)35g/m
2の名称で市販されるポリエチレン不織布タイプの重合基体を、0.64kWの2電極コロナ供給源の下に、2mm未満の距離で10m/分の速度にて通すことによって処理する。
【0106】
この重合基体から、幅50mm、長さ150mmの5つのサンプルを切り取った。
【0107】
シリコーンポリマーの層(ゾディアック・エアロスペース社から市販されるNovesil 703702の名称で参照される製品の接着面)によってコートされたオープンワークフレームから、幅50mm、長さ150mmの5つのサンプルを切り取った。
【0108】
シリコーンポリマーの各サンプルを不織布のサンプル上に置き、アセンブリの接着を確実にするために4kgの加圧ローラを前後に2回転がすことによって、この生成物を圧迫した。
【0109】
付着性テスト
次いで、上記において調製した、本発明に従う物品および2つの比較物品の付着性をテストし、ここではTピーリングテストに対して規格NF EN ISO11339−2010年5月を適用し、試験片の幅を50mmとし、テスト速度を300mm/分に固定した。
【0110】
サンプルを「気候に順応」させた。すなわち、順化室中で10分間、テストの温度および湿度の条件に慣れさせた。
【0111】
物品の各サンプルに対して、重合基体をシリコーンポリマーの層の一方端部から数cm剥がした。
【0112】
そのシリコーンポリマーの層の端部をテスト動力計の上側ジョーにクランプし、重合基体の端部を下側ジョーにクランプする。
【0113】
300mm/分の引っ張り速度を選択する。
【0114】
次いで各サンプルに対して、シリコーンポリマーの層から不織布を分離するために必要な力の平均を記録する。
【0115】
二酸化チタン粒子の分散物によって含浸された不織布を含む本発明に従う物品に対して行った湿潤複合体形成に対しては、サンプルをNaCl、CaCl
2の溶液中で37℃のストーブに24h入れる。
【0116】
前記24hの後、測定を行う前にサンプルを10分間水抜きする。
【0117】
次いで各サンプルに対して、シリコーンポリマーの層から不織布を分離するために必要な力の平均を記録する。
【0118】
その結果を以下の表に示す。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
TiO
2、MgOまたはZnOの水性分散物に予め接触させた不織布上に置かれたシリコーンゲルを含む、本発明に従う物品は、チタンテトラブタノアートボンディングプライマーで処理するか、またはコロナ処理した不織布上に置かれたシリコーンゲルを含む比較物品よりもはるかに良好な、不織布とシリコーンゲルとの付着性を示すことが明らかである。
【0122】
加えて、TiO
2の水性分散物に予め接触させた不織布上に置かれたシリコーンゲルを含む、本発明に従う物品は、湿潤複合体形成テストにおいて優秀な結果を示す。
【0123】
コロナ処理基体によって乾燥において得られた複合体形成の結果が良くないことを考慮して、湿潤複合体形成テストは適切でないとみなされたことに留意すべきである。