特許第6330164号(P6330164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6330164
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   A63F5/04 512D
   A63F5/04 512Z
【請求項の数】5
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-239527(P2012-239527)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-87493(P2014-87493A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年10月2日
【審判番号】不服2017-10742(P2017-10742/J1)
【審判請求日】2017年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠倉 和秀
(72)【発明者】
【氏名】平川 善久
(72)【発明者】
【氏名】原 満
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和彦
(72)【発明者】
【氏名】三木 智史
【合議体】
【審判長】 瀬津 太朗
【審判官】 藤田 年彦
【審判官】 櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−233715(JP,A)
【文献】 特開2012−179067(JP,A)
【文献】 特開2009−61004(JP,A)
【文献】 特開2012−65989(JP,A)
【文献】 特開2001−62129(JP,A)
【文献】 特開2002−369954(JP,A)
【文献】 特開2004−337201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の進行に関する処理を制御する主制御手段と、
投入された遊技媒体が通過する経路上に設けられた遊技媒体検出装置と、
前記遊技媒体検出装置を通過した遊技媒体を貯留可能な貯留部を有し、当該貯留部に貯留された遊技媒体を遊技者に払い出すための遊技媒体払出装置と、を備えた遊技機であって、
前記主制御手段により制御されるとともに、所定の異常を報知する第一報知手段を備え、
前記主制御手段は、
所定の異常を検出する異常検出手段と、
前記所定の異常を解除する異常解除手段と、
前記第一報知手段による報知を制御する第一報知制御手段と、を有し、
前記主制御手段の前記異常検出手段が検出可能な異常には、他の異常が検出された後も継続して異常の発生を監視する常時監視異常と、他の異常が検出されると異常の発生の監視を中断する通常監視異常と、があり、
前記常時監視異常には、前記遊技媒体検出装置において発生し得る複数の異常と、前記遊技媒体払出装置において発生し得る異常と、が含まれ、
前記通常監視異常には、前記遊技媒体払出装置において発生し得る異常が含まれ、
前記主制御手段の前記異常検出手段は、前記常時監視異常である前記遊技媒体検出装置において発生し得る一の異常を検出した後は、他の前記常時監視異常である前記遊技媒体検出装置において発生し得る他の異常を監視する一方、前記異常解除手段によって一の前記常時監視異常が解除されるまで前記通常監視異常を監視しない
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第一報知手段が最初に異常を報知するまでの間に、前記主制御手段の前記異常検出手段が複数の異常を検出した場合、前記主制御手段の前記第一報知制御手段は、前記複数の異常のうち、優先度の最も高い異常に関する報知を前記第一報知手段に実行させる
ことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記第一報知手段で一の異常が報知されている間に、前記主制御手段の前記異常解除手段にて前記一の異常について解除され、前記第一報知手段が前記一の異常に関する報知を終了した場合において、前記主制御手段の前記異常検出手段が前記一の異常以外の異常を複数検出していたとき、
前記主制御手段の前記第一報知制御手段は、前記複数の異常のうち、優先度の最も高い異常に関する報知を前記第一報知手段に実行させる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
前記主制御手段から受信した情報に基づいて演出を制御する副制御手段を備え、
前記副制御手段は、
前記副制御手段により制御されるとともに、所定の異常を報知する第二報知手段と、
前記主制御手段から送信される異常情報に基づいて前記第二報知手段による報知を制御する第二報知制御手段と、を有し、
前記第一報知制御手段は、
前記異常検出手段で一の異常が検出されると、前記第一報知手段に対し、前記一の異常に関する報知を実行させ、
前記異常解除手段にて前記一の異常について解除されると、前記第一報知手段に対し、
前記一の異常に関する報知を終了させて、他に検出されている異常に関する報知を実行させ、
前記第二報知制御手段は、前記異常検出手段で検出された前記一の異常と他の異常とを同時に前記第二報知手段に報知させる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記副制御手段が検出可能な異常として、当該副制御手段が演出制御を行う対象とされる演出手段に関する異常があり、
前記副制御手段が前記演出手段に関する異常を検出し、前記主制御手段が他の異常を検出した場合、前記第二報知制御手段は、前記他の異常に関する報知を先に前記第二報知手段に実行させ、前記報知解除手段にて前記他の異常について解除された後に、前記演出手段に関する異常についての報知を前記第二報知手段に実行させる
ことを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の遊技を実行する遊技機に関し、特に、当該遊技機内で発生した異常を検出する異常検出手段と、異常が検出されたことを報知する報知手段とを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の遊技を実行する遊技機においては、通常、遊技の進行を制御する主制御部と、所定の演出手段を制御する副制御部が備えられている。
また、遊技機には、当該遊技機内の所定の箇所に種々のセンサが設けられており、所定の状況を検知すると、主制御部へ検知信号を送信するようになっている。
そして、主制御部は、その検知信号を受信すると、この検知信号の態様に応じて、所定の異常が発生していないかどうかを判断し、異常が発生しているものと判断すると、この異常の種類を特定する。例えば、遊技機がスロットマシンの場合、遊技媒体であるメダルの投入を検知するセンサから検知信号を受信し、この検知信号を所定時間以上継続して受信したときは、主制御部は、そのセンサが設けられた箇所で異常が発生したものと判断し、その異常の種類がメダル詰まりであるものと特定する。
【0003】
このような処理を実行して主制御部が異常を検出した場合、当該遊技機が設置された遊技場の店員は、その異常を解消するために適切な措置を講じる必要がある。
そこで、発生した異常を店員に報知するための技術が提案されている。
例えば、主制御部が所定の異常(エラー)を検出すると、エラー表示用のランプを点灯させるとともに、副制御部が、遊技機の前面に設けられた液晶表示パネルに、その異常の発生を示す内容を表示させる遊技機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この技術を実施することにより、遊技場の店員は、それらランプや液晶表示パネルを視認することで、異常が発生したことを知得でき、適切な措置を講じることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−058022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、複数の異常を報知可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、本発明の遊技機は、遊技の進行に関する処理を制御する主制御手段と、投入された遊技媒体が通過する経路上に設けられた遊技媒体検出装置と、前記遊技媒体検出装置を通過した遊技媒体を貯留可能な貯留部を有し、当該貯留部に貯留された遊技媒体を遊技者に払い出すための遊技媒体払出装置と、を備えた遊技機であって、前記主制御手段により制御されるとともに、所定の異常を報知する第一報知手段を備え、前記主制御手段は、所定の異常を検出する異常検出手段と、前記所定の異常を解除する異常解除手段と、前記第一報知手段による報知を制御する第一報知制御手段と、を有し、前記主制御手段の前記異常検出手段が検出可能な異常には、他の異常が検出された後も継続して異常の発生を監視する常時監視異常と、他の異常が検出されると異常の発生の監視を中断する通常監視異常と、があり、前記常時監視異常には、前記遊技媒体検出装置において発生し得る複数の異常と、前記遊技媒体払出装置において発生し得る異常と、が含まれ、前記通常監視異常には、前記遊技媒体払出装置において発生し得る異常が含まれ、前記主制御手段の前記異常検出手段は、前記常時監視異常である前記遊技媒体検出装置において発生し得る一の異常を検出した後は、他の前記常時監視異常である前記遊技媒体検出装置において発生し得る他の異常を監視する一方、前記異常解除手段によって一の前記常時監視異常が解除されるまで前記通常監視異常を監視しない構成としてある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】スロットマシンの構成を示す正面図である。
図2】スロットマシンの内部構成を示す図である。
図3】スロットマシンの制御系の構成を示すブロック図である。
図4】エラー管理表の構成を示す図表である。
図5】主制御部の記憶手段の構成を示すブロック図である。
図6】主制御部メイン処理の手順を示すフローチャートである。
図7】主制御部異常表示処理の手順を示すフローチャートである。
図8】主制御部タイマー割込み処理の手順を示すフローチャートである。
図9】副制御部メイン処理の手順を示すフローチャートである。
図10】異常情報処理の手順を示すフローチャートである。
図11】異常解除処理の手順を示すフローチャートである。
図12】副制御部タイマー割込み処理の手順を示すフローチャートである。
図13】7セグ表示器と液晶表示器の表示態様の変化を示す遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。
【0013】
[遊技機]
遊技機内で発生した異常に関する情報を報知する報知手段を備える遊技機には、スロットマシン、パチンコ機、パロットなど様々な種類があるが、本実施形態では、本発明をスロットマシンに適用した場合について説明する。
【0014】
本実施形態のスロットマシンは、複数のリールを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得できる回胴式遊技機として構成されており、当該スロットマシンにて異常が発生したことを検出する主制御部と、その異常の種類を文字で表示する7セグ表示器とを備え、主制御部が複数の異常を重複して検出した場合において、最初に検出した異常を7セグ表示器に最初に表示させ、この異常を解除する操作がなされて7セグ表示器がその異常の表示を消去した時点で、当該7セグ表示器に未だ表示されていない異常が一つであるときは、この一つの異常を7セグ表示器に表示させ、その異常が複数あるときは、これら複数の異常の中から最も優先度の高い異常を、その7セグ表示器に表示させる構成となっている。
以下、本実施形態に係るスロットマシンについて詳述する。
【0015】
図1図3に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、メダル投入口2から実際に投入されるメダルの数(例えば、3枚)、又は内部的に記憶されたクレジットメダルからベットボタン2aの操作によって信号形式で投入されるメダルの数(例えば、3枚)に応じてゲーム開始可能な状態となり、この状態でスタートレバー3が操作(始動操作)されると、複数のリール41a〜41cが回転を開始するとともに、それぞれのリール41a〜41cに対応する停止ボタン5a〜5cが押下操作されると、スタートレバー3の操作タイミングで行われる抽選処理の抽選結果に応じた図柄の組み合わせで停止するように各リール41a〜41cが停止制御され、停止した図柄の組み合わせに基いて入賞の有無が判定され、判定結果に応じてメダル払出装置6からメダルが払い出されるという、通常のスロットマシン遊技を実現可能な構成を備えている。
【0016】
このようなスロットマシン遊技を実現可能なスロットマシン1においては、遊技の進行を制御する主制御手段である主制御部10と、所定の演出手段を制御する副制御手段である副制御部20が設けられている。
主制御部10は、メインCPUと、メインROM及びメインRAMからなる記憶手段などが一体化された制御用チップの搭載された主制御基板を備えており、例えば、スロットマシン1の筐体1bの内部背面側などに取り付けられており、上述したスロットマシン遊技の進行を制御する。
【0017】
また、主制御部10は、スロットマシン1の所定の箇所に設けられた種々のセンサから検知信号を受信し、この検知信号にもとづいて、当該スロットマシン1にて異常が発生したか否かを判断し、異常が発生したものと判断したときは、その異常の種類を特定する。
さらに、主制御部10は、異常を検出すると、スロットマシン1の前扉1aなどに設けられた7セグメントディスプレイからなる第一報知手段である7セグ表示器11に、検出した異常の種類を示す文字を表示させる。
そして、主制御部10は、検出した異常の内容を示す信号を異常情報コマンドとして副制御部20へ送信する。
【0018】
副制御部20は、サブCPUと、サブROM及びサブRAMからなる記憶手段などが一体化された制御用チップの搭載された副制御基板を備えており、例えば、スロットマシン1の筐体1bの内部側面などに取り付けられている。この副制御部20は、スロットマシン1の前扉1aの上部に設けられた液晶ディスプレイからなる第二報知手段である液晶表示器21と、前扉1aにおける所定の箇所に設けられ、所定の発光パターンで発光することにより所定の報知演出を行うLED22と、前扉1aの上部に設けられ、音声や効果音などの音を出力するスピーカ23と、立体形状に形成されて所定のタイミングで所定の動作を行う可動物(役物)24とを第二報知手段として駆動制御する。
また、副制御部20は、異常情報コマンドを主制御部10から受信すると、この異常情報コマンドの示す異常の内容を液晶表示器21に表示させる。
【0019】
そして、主制御部10においては、当該主制御部10が複数の異常を重複して検出した場合に、検出した複数の異常のうち、一の異常の種類を示す文字を7セグ表示器11に表示させ、この一の異常について解除操作が行われると、その7セグ表示器11に表示されていた一の異常の種類を示す文字を消去させ、検出した他の異常の種類を示す文字を表示させる構成となっている。
このような内容で7セグ表示器11におけるエラー表示を制御する主制御部10の動作を、「主制御部におけるエラー表示制御」として、図4図5を参照して説明する。
なお、本実施形態において、「エラー」と「異常」は、特に指示のない限り、同じ意味で用いるものとする。
【0020】
[主制御部におけるエラー表示制御]
主制御部10は、上述したように、スロットマシン1にて発生したエラーを検出する。
このように主制御部10が検出可能なエラーには、次のものがある。
(a)メダル払出装置異常エラー
(b)メダルセレクターチェックエラー
(c)遊技メダルエラー
(d)回胴停止エラー
(e)投入枚数エラー
(f)メダル払出装置ジャムエラー
(g)メダル払出装置エンプティーエラー
これらエラーの内容と、その検出方法について、以下、説明する。
【0021】
(a)メダル払出装置異常エラー
このエラーは、メダル払出装置6に設けられたメダル払出用のモーター(図示せず)が駆動していない場合において、払出されるメダルを検知する払出センサ(図示せず)から検知信号が出力されたときに特定されるエラーである。
具体的には、次の方法によって検出される。メダル払出装置6の前面には、このメダル払出装置6のホッパー6aに貯留されたメダルを排出してメダル払出口6bへ送り出すための排出口6cが設けられている。また、この排出口6cには、排出されるメダルを検知するための払出センサが設けられている。さらに、メダル払出装置6には、ホッパー6aに貯留されたメダルを排出口6cへ送るための円板状の回転体(図示せず)と、この回転体を回転させる払出モーターが設けられている。この払出モーターが駆動していないときに、払出センサから検知信号が出力されたときは、主制御部10は、このメダル払出装置異常エラーが発生したものと特定する。
【0022】
(b)メダルセレクターチェックエラー
このエラーは、メダル投入口2に投入されたメダルが通過する経路上に設けられたメダルセレクター2bの入口でメダル詰まりが発生していることを示すエラーである。
具体的には、次の方法によって検出される。メダルセレクター2bには、通過するメダルを検知する投入センサ(図示せず)が設けられている。この投入センサは、メダルを検知している間、検知信号を出力する。主制御部10は、その投入センサから出力された検知信号を受信し、その検知信号が継続して出力された時間を計測する。そして、その検知信号の継続時間が所定時間以上であるときに、当該エラーが発生したものと特定する。
【0023】
(c)遊技メダルエラー
このエラーは、メダルセレクター2bに設けられた投入センサによるメダルの検知のタイミングが本来あるべき検知のタイミングと異なるときに判定されるエラーである。
例えば、メダルセレクター2bにはメダルの通過する経路に沿って二つの投入センサ(図示せず)が併設されている。メダル投入口2に投入されたメダルは、メダルセレクター2bの内部の経路を通過する際、二つの投入センサのうち、メダル投入口2に近い方の投入センサである第一センサで先に検知され、その後に、そのメダル投入口2から遠い方の投入センサである第二センサで検知される。ところが、主制御部10において、第二センサから送信されてきた検知信号が先に受信され、第一センサから送信されてきた検知信号がその後に受信されたときは、このメダルセレクター2bにおいてエラーが発生したものと判断し、このエラーの種類が遊技メダルエラーであるものと特定する。
また、投入センサから出力された検知信号の継続出力時間が所定時間以上であるときは、メダルセレクター2bにおいて当該投入センサが設けられた箇所でメダル詰まりが発生したものと判断し、このエラーを遊技メダルエラーとして特定する。
【0024】
(d)回胴停止エラー
このエラーは、リール41a〜41cが回転停止したときに所定の入賞ライン上に表示された図柄が、内部抽選で当選していない役の入賞図柄である場合、又は、その表示図柄が内部抽選で当選していない役(例えば、リプレイ(再遊技))の作動図柄である場合に、特定されるエラーである。
この回胴停止エラーは、次のような方法によって検出される。各リール41a〜41cのそれぞれには、当該リール41a〜41cの停止位置を検知するための位置センサ(図示せず)が設けられている。主制御部10は、内部抽選の抽選結果を示す指示信号をドラムユニット4に送る。ドラムユニット4は、停止ボタン5a〜5cの操作に伴い、その主制御部10からの指示信号の内容に応じて、回転停止させるリール41a〜41cの停止位置を制御する。リール41a〜41cが回転停止した後、位置センサからは、対応するリール41a〜41cの停止位置を示す信号が出力される。主制御部10は、それら位置センサから出力された信号を受信し、この信号の示すリール41a〜41cの停止位置を判断し、この停止位置から特定されるリール41a〜41cの表示図柄が、内部当選していない役の入賞図柄又は作動図柄であるときに、回胴停止エラーが発生したものと特定する。
【0025】
(e)投入枚数エラー
このエラーは、メダルセレクター2bに設けられた投入センサから送信されてきた検知信号にもとづいて、投入されたメダルの枚数を算出し、この投入枚数が既定数でないものと判断したときに、特定されるエラーである。
例えば、既定数が1枚、2枚、3枚であって、メダルの投入枚数が4枚以上であるときに投入枚数エラーが発生したものと特定される。
【0026】
(f)メダル払出装置ジャムエラー
このエラーは、メダル払出装置6のメダル払出口6bでメダル詰まりが発生したときに特定されるエラーである。
このエラーは、次の方法で判定される。主制御部10からの指示信号にもとづいてメダル払出装置6の払出モーターが駆動している間に、払出センサから検知信号が出力された場合において、その検知信号が継続して出力された時間が所定時間以上であるとき、又は、その後に検知信号のOFF状態が検出されなかったときに、主制御部10は、メダル払出口6bでメダル詰まりが発生したものと判断し、メダル払出装置ジャムエラーが発生したものと特定する。
【0027】
(g)メダル払出装置エンプティーエラー
このエラーは、メダル払出装置6のホッパー6a内にメダルが無いものと判断したときに特定されるエラーである。すなわち、メダル払出装置6の払出モーターが駆動しているにもかかわらず、払出センサが一定時間以上、メダルを検知しなかったときに、当該エラーが特定される。
【0028】
以上が、主制御部10において検出されるエラーの内容とその検出方法である。
このように、主制御部10は、自ら異常検出手段として動作し、上記の各エラーを検出する。
また、主制御部10は、自ら第一報知制御手段として動作し、いずれかのエラーを検出したときは、この検出したエラーの種類を示す文字を7セグ表示器11に表示させる。
7セグ表示器11に表示される文字は、アルファベットや数字を組み合わせた2桁の文字からなっており、各エラーごとに設定されている。これら各エラーと、対応する2桁の文字を列記する。
(a)メダル払出装置異常エラー:HC
(b)メダルセレクターチェックエラー:CC
(c)遊技メダルエラー:Co
(d)回胴停止エラー:Lo
(e)投入枚数エラー:CE
(f)メダル払出装置ジャムエラー:HJ
(g)メダル払出装置エンプティーエラー:HE
【0029】
なお、7セグ表示器11においては、7セグ表示器11に固有の表示態様で、それらの文字が表示される。具体的には、図4に示すエラー管理表の「(iii)表示(7セグ)」に示した態様で表示される。
また、液晶表示器21においても、7セグ表示器11と同様、主制御部10にて検出されたエラーを示す文字が表示される。この液晶表示器21に表示される文字は、7セグ表示器11に表示される各エラーごとに設定された上記文字と同じ文字とすることができる(図4(iv)参照)。ただし、液晶表示器21に表示される文字は、ゴシック体や明朝体など、任意のフォントを用いて表示することができる。
さらに、ここに挙げたエラーを示す文字は、例示であって、必ずしも上記の文字を使用する必要はなく、任意に設定した文字を使用することができる。
【0030】
また、各エラーには、他のエラーが検出されたか否かにかかわらず常時監視する常時監視異常すなわち常時監視エラーと、他のエラーが検出されたときには監視を中断する通常監視異常すなわち通常監視エラーとがある。
常時監視エラーは、主制御部10が他の処理を実行している間も監視し続けるエラーであり、当該常時監視エラーが発生したものと判断したときは、実行していた他の処理を中断し、当該常時監視エラーの発生を報知するための割込み処理を実行するようになっている。
つまり、エラーが検出されていない通常の状態においては、常時監視エラーと通常監視エラーの両方が監視されるが、常時監視エラーが検出された後は、他の常時監視エラーのみが監視され、通常監視エラーは、監視されない。これにより、常時監視エラーについては、他のエラーが検出されているか否かに関係なく、発生した段階で検出できる。
【0031】
なお、いずれのエラーを常時監視エラーとして設定するかについては、そのエラーにより発生が予想される事態の重要性に応じて決めることができる。例えば、そのエラーが検出されたことで不正行為の発生が予想されるエラーに対しては、常時監視エラーを設定することができる。そのようなエラーの具体例としては、例えば、メダル払出装置異常エラーと、メダルセレクターチェックエラーと、遊技メダルエラーとが挙げられる。また、図4に示すエラー管理表においては、「(vi)常時監視」の項目にて「○」が設定されたエラーが、常時監視エラーとして設定されている。ただし、いずれのエラーを常時監視エラーとするかは、上述した重要性に応じて任意に決めることができる。
【0032】
通常監視エラーは、主制御部10が通常実行するメイン処理で監視するエラーである。このため、常時監視エラーが検出されたときは、この常時監視エラーの発生を報知するための割込み処理が実行され、メイン処理が中断するので、通常監視エラーの検出も中断される。
なお、主制御部10が検出可能な複数のエラーのうち、常時監視エラーが設定されたエラー以外のエラーを、通常監視エラーとすることができる。具体的には、例えば、回胴停止エラーと、投入枚数エラーと、メダル払出装置ジャムエラーと、メダル払出装置エンプティーエラーとを、通常監視エラーとすることができる。また、図4に示すエラー管理表においては、「(vi)常時監視」の項目にて、「×」が設定されたエラーが通常監視エラーとして設定されている。ただし、いずれのエラーを通常監視エラーとして設定するかは、そのエラーにより発生が予想される事態の重要性に応じて任意に決めることができる。
【0033】
このように、主制御部10にて検出可能なエラーには、常時監視エラーと通常監視エラーがあるが、その主制御部10が、検出したエラーを7セグ表示器11に表示させる場合には、そのエラーに対して常時監視エラー又は通常監視エラーのいずれが設定されているかは関係なく、原則として、まずは発生した順番に、その7セグ表示器11に当該エラーの表示を実行させる。すなわち、主制御部10は、エラーが発生していない通常の状態において、発生したエラーを検出したときは、このエラーの種類を示す文字を7セグ表示器11に表示させる。次いで、このエラーを解除する操作がなされた時点で他のエラーを検出していた場合、この「他のエラー」が一つのみであるときは、この「他のエラー」の種類を示す文字を7セグ表示器11に表示させる。
ただし、その「他のエラー」が複数あるときには、発生した順番ではなく、各エラーごとに設定された表示順番すなわち優先度にしたがって、7セグ表示器11に次に表示させるエラーを特定し、この特定したエラーを7セグ表示器11に表示させるようになっている。
なお、表示順番は、通常監視エラーよりも常時監視エラーの方が早い順番となるように設定するのが望ましい(図4(vii)参照)。これは、そのエラーにより発生の予想される事態の重要性が、通常監視エラーよりも常時監視エラーの方が高いためである。ただし、どのエラーにどの表示順番を設定するかについては、上記の重要度を考慮して、任意に決めることができる。
【0034】
このように、主制御部10は、各エラーに関する情報をエラー情報として管理しており、当該主制御部10の記憶手段に記憶しているが、記憶手段は、上述したエラー情報の他に、例えば、図5に示すように、各エラーごとの発生の有無を示すエラー発生情報と、7セグ表示器11に現在表示させているエラーを示すエラー表示情報とを記憶する。
【0035】
エラー発生情報は、各エラーごとに当該エラーが発生しているか否かを示す情報であり、エラーが検出されていない通常の状態では、すべてのエラーに対して「未発生」がセットされており、いずれかのエラーの発生が検出されると所定のタイミングでその検出されたエラーについて「発生」がセットされる。このエラー発生情報は、記憶手段のエラー発生情報格納領域に格納される。
なお、図5に示したエラー発生情報の「エラー1」〜「エラー7」は、図4に示したエラー管理表における「(i)番号」の「1」〜「7」に対応している。つまり、そのエラー管理表に挙げられた各エラーの発生の有無は、エラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報によって管理されている。そして、このエラー発生情報を確認することで、現在発生しているエラーのすべてを知得することができる。
【0036】
エラー表示情報は、7セグ表示器11に現在表示させているエラーを示す情報であり、記憶手段の7セグ表示器用情報格納領域に格納される。エラーが検出されていない通常の状態では、7セグ表示器用情報格納領域にエラー表示情報は、格納されない。その後、主制御部10が、一以上のエラーの発生を検出すると、7セグ表示器11に次に表示させるエラーを特定し、この特定したエラーを示すエラー表示情報が7セグ表示器用情報格納領域に格納される。そして、所定のタイミングで7セグ表示器11にエラー表示をさせる場合に、7セグ表示器用情報格納領域に格納されたエラー表示情報の示すエラーを表示させる。これにより、7セグ表示器11に表示されているエラーを示す情報が、エラー表示情報として7セグ表示器用情報格納領域に格納された状態となる。
【0037】
このように、主制御部10は、エラーに関する情報やエラー表示に関する情報を記憶手段に記憶しているが、遊技場の店員により所定のエラー解除手段が操作されてエラーが解除されると、記憶手段に記憶された上記情報を消去(クリア)するなどの処理を実行する。
その遊技場の店員により操作されるエラー解除手段には、例えば、スロットマシン1の前扉1aの裏面に設けられたエラー解除ボタン12がある。エラー解除ボタン12は、例えば、押ボタンスイッチやスライドスイッチなどによって構成することができ、店員により操作されることで、検知信号を主制御部10へ送信する。その検知信号を受信した主制御部10は、自ら異常解除手段として動作して、記憶手段のエラー発生情報格納領域に格納されたエラー発生情報のうち、エラー解除ボタン12の操作によって解除されたエラーについてセットされている「発生」を「未発生」に変更する(クリアする)処理と、記憶手段の7セグ表示器用情報格納領域に格納されたエラー表示情報を消去(クリア)する処理とを実行し、さらに、7セグ表示器11に表示されていたエラー表示を消去させる。
なお、エラー解除手段は、スロットマシン1の前扉1aの裏面に設けられたエラー解除ボタン12に限るものではなく、例えば、前扉1aを開閉するための開閉錠をエラー解除手段として用いることができる。この場合、開閉錠に所定の鍵を差し込んで時計回りに回転させると前扉1aが開扉し、反時計回りに回転させるとエラーが解除する。
【0038】
ここまで、主制御部10が検出可能な異常の種類と、主制御部10の記憶手段に格納される情報の種類と、検出した異常の解除に関する処理について説明したが、主制御部10が検出可能な異常には、単発的に発生するものと、同時に、あるいは、非常に近いタイミングで複数発生するものとがある。後者の場合、主制御部10は、それら発生した複数の異常(特に、常時監視異常)をそれぞれ検出することになるが、7セグ表示器11にてエラー表示が可能な異常の数は、一つのみとなっている。そこで、主制御部10は、複数の異常を重複して検出した場合に、7セグ表示器11に表示させるエラーを、下記の(I)〜(VI)の手順で特定し、この特定したエラーを示す文字を7セグ表示器11に表示させるようにしている。
概要としては、主制御部10が、複数の異常を検出した場合において、時間的に最初に検出した異常を7セグ表示器11に最初に表示させ、この異常が解除されて当該異常の表示が7セグ表示器11から消去された時点で、その7セグ表示器11に未だ表示されていない異常が一つのみであるときは、この一つの異常を7セグ表示器11に表示させ、一方、その表示されていない異常が複数あるときは、これら複数の異常の中から最も優先度の高い異常を7セグ表示器11に表示させるようになっている。
この7セグ表示器11におけるエラー表示の制御手順の詳細について、以下説明する。
【0039】
なお、ここでは、エラー1と、エラー2と、エラー3が、いずれも常時監視異常として設定されているものとする。
また、主制御部10の記憶手段のエラー発生情報格納領域においては、すべてのエラー発生情報に「未発生」がセットされているものとする。
さらに、7セグ表示器用情報格納領域においては、何もセットされていないものとする。
【0040】
(I)エラーが発生していない通常の状態で、エラー1が検出された場合
主制御部10は、記憶手段のエラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうちの「エラー1」について、「発生」をセットする。
また、主制御部10は、記憶手段の7セグ表示器用情報格納領域において、エラー表示情報として、「エラー1」をセットする。
【0041】
(II)(I)の処理後、エラー2が検出された場合
主制御部10は、記憶手段のエラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうちの「エラー2」について、「発生」をセットする。
一方、記憶手段の7セグ表示器用情報格納領域には、エラー表示情報として「エラー1」が既にセットされているので、「エラー2」は、上書きしてセットしない。
【0042】
(III)(I)又は(II)の処理後、主制御部10は、7セグ表示器11にエラー表示を実行させるにあたり、この表示をさせるエラーを特定する。
この特定は、次の手順で行う。
(手順1)7セグ表示器用情報格納領域に、エラー表示情報としてエラーがセットされているか否かを判断する。
(手順2)エラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうちの「エラー1」において、「発生」がセットされているか否かを判断する。
(手順3)エラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうちの「エラー2」において、「発生」がセットされているか否かを判断する。
(手順4)エラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうちの「エラー3」において、「発生」がセットされているか否かを判断する。
(手順5)エラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうちの「エラー4」において、「発生」がセットされているか否かを判断する。
(手順6)エラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうちの「エラー5」において、「発生」がセットされているかを判断する。
(手順7)エラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうちの「エラー6」において、「発生」がセットされているか否かを判断する。
(手順8)エラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうちの「エラー7」において、「発生」がセットされているか否かを判断する。
【0043】
これら(手順1)〜(手順8)を順番に実行し、例えば、(手順1)にて7セグ表示器用情報格納領域にエラー表示情報としてエラーがセットされているものと判断した場合には、このセットされているエラーを特定し、この特定したエラーを示す文字を7セグ表示器11に表示させる。このとき、(手順2)〜(手順8)は、実行しない。
また、(手順1)にて7セグ表示器用情報格納領域にエラー表示情報としてエラーがセットされていないものと判断した場合には、(手順2)〜(手順8)を順番に実行し、エラー発生情報格納領域において「発生」がセットされている「エラー1」〜「エラー7」のうち、「発生」がセットされているものと最初に判断されたエラーを特定し、この特定したエラーを示す情報を7セグ表示器用情報格納領域にエラー表示情報としてセットした後、当該エラーを示す文字を7セグ表示器11に表示させる。
【0044】
具体例をもって説明すると、(I)、(II)に記載したように、エラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうちの「エラー1」と「エラー2」において、「発生」がセットされており、7セグ表示器用情報格納領域において、エラー表示情報として「エラー1」がセットされている場合、(手順1)を実行することで、7セグ表示器用情報格納領域にエラー1がセットされているものと判断されるので、この時点で(手順2)〜(手順8)の処理を中止し、7セグ表示器11に表示させるエラーとしてエラー1を特定する。そして、主制御部10は、エラー1を示す文字を7セグ表示器11に表示させる。これにより、主制御部10は、複数の異常を重複して検出した場合において、時間的に最初に検出した異常を、7セグ表示器11に最初に表示させることができる。
なお、このとき、主制御部10は、エラー1を示す異常情報コマンドを副制御部20に送信する。
【0045】
(IV)7セグ表示器11がエラー1を示す文字を表示中に、主制御部10がエラー3を検出した場合
主制御部10は、記憶手段のエラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうちの「エラー3」について、「発生」をセットする。
一方、記憶手段の7セグ表示器用情報格納領域には、エラー表示情報として「エラー1」が既にセットされているので、「エラー3」は、上書きしてセットしない。
【0046】
(V)その後、遊技場の店員によりエラー解除手段が操作されて、エラー1が解除されたときは、次の処理を実行する。
主制御部10は、記憶手段の7セグ表示器用情報格納領域にセットされているエラー1を示すエラー表示情報を消去(クリア)する。
また、主制御部10は、記憶手段のエラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうちの「エラー1」について、「未発生」をセットする。これにより、「エラー1」がクリアされる。
さらに、主制御部10は、7セグ表示器11に対して、表示されているエラー1を示す文字を消去させる。
【0047】
(VI)さらにその後、所定のタイミングで、上述した(手順1)〜(手順8)を実行する。
これら(手順1)〜(手順8)の各内容については、(III)にて説明を行ったので、ここでは割愛するが、具体例をもって説明すると、(V)に記載したように、記憶手段の7セグ表示器用情報格納領域にセットされていたエラー1を示すエラー表示情報は、消去(クリア)されたため、主制御部10は、(手順1)を実行した場合に、7セグ表示器用情報格納領域にエラー表示情報としてエラーがセットされていないものと判断する。
次いで、主制御部10は、(手順2)を実行し、エラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうちの「エラー1」において、「発生」がセットされていないものと判断する。
続いて、主制御部10は、(手順3)を実行し、エラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうちの「エラー2」において、「発生」がセットされているものと判断する。
【0048】
そして、この時点で、(手順4)〜(手順8)の実行を中止し、「発生」がセットされているものと判断した「エラー2」を、7セグ表示器11に表示させるエラーとして特定する。
また、そのエラー2を示すエラー表示情報を、7セグ表示器用情報格納領域にセットする。
さらに、そのエラー2を示す文字を7セグ表示器11に表示させる。これにより、エラー1が解除された時点で、7セグ表示器11に未だ表示されていない複数のエラーであるエラー2とエラー3のうち、表示順番(優先度)の最も高いエラー2を、7セグ表示器11に次に表示させることができる。
そして、主制御部10は、副制御部20に、エラー2を示す異常情報コマンドを送信する。
【0049】
その後、主制御部10は、すべてのエラーが解除されるまで、上記(I)〜(VI)の各処理を繰り返し実行する。
具体例の場合、エラー2の解除操作により、7セグ表示器11に表示されていたエラー2を示す文字が消去され、続いて、エラー3を示す文字が7セグ表示器11に表示され、このエラー3の解除操作により、このエラー3を示す文字が7セグ表示器11から消去されることとなる。これにより、主制御部10にて検出された複数のエラーであるエラー1〜エラー3のすべてについて、7セグ表示器11に順次表示させることができる。
【0050】
このように、主制御部10にて重複して検出された複数のエラーを7セグ表示器11に順次表示させたときの、当該7セグ表示器11における表示の変遷を、図13(1−1)〜(1−4)に示す。
まず、エラーが検出されていない状態において主制御部10が複数のエラーを重複して検出した場合には、最初に検出されたエラーの種類を示す文字が、7セグ表示器11に表示される(図13(1−1))。具体的に、図13(1−1)においては、「メダルセレクターチェックエラー」を示す「CC」が、主制御部10で最初に検出されたエラーとして、7セグ表示器11に表示されている。
次いで、この表示されているエラーを解除する操作が実行されると、主制御部10は、7セグ表示器11に表示されているエラーの種類を示す文字を消去させる(図13(1−2))。
続いて、重複して検出された他のエラーの種類を示す文字を7セグ表示器11に表示させる(図13(1−3))。具体的に、図13(1−3)においては、「メダル払出装置異常エラー」を示す「HC」が、7セグ表示器11に表示されている。
そして、この表示されているエラーを解除する操作が実行されると、主制御部10は、7セグ表示器11に表示されているエラーの種類を示す文字を消去させる(図13(1−4))。
このような手順を実行することにより、主制御部10で検出された複数の異常について、7セグ表示器11にて順番に表示させることができる。
【0051】
また、複数の異常についてのそれぞれのエラー表示が7セグ表示器11にて順番に表示される場合に、二つ目のエラー表示が、一つ目のエラー表示に示された異常の解除操作後に行われるため、遊技場の店員は、7セグ表示器11にエラー表示された順番に、当該エラーを解消する措置を講じることができる。
【0052】
さらに、二つ目以降のエラー表示については、エラーごとに設定された表示順番にもとづいて、7セグ表示器11に表示される。
例えば、上述した(III)に記載の(手順2)〜(手順8)の各処理は、エラー1→エラー2→エラー3→エラー4→エラー5→エラー6→エラー7の順番で「発生」の有無を判断しており、この順番は、各エラーごとに設定された表示順番(図4(vii)参照)と同じ順番となっている。つまり、それら(手順2)〜(手順8)の各処理は、複数のエラーが重複して検出された場合において、7セグ表示器11に表示させる二つ目のエラーを、図4(vii)に示した表示順番に応じて決定するための処理となっている。
これにより、二つ目以降のエラー表示については、表示順番が早いエラー、つまり、重要度の高いエラーを7セグ表示器11に先に表示させることができる。このため、遊技場の店員は、その重要度の高いエラーを、他のエラーよりも先に把握して、当該エラーを解消する措置を行うことができる。
【0053】
なお、上述した(手順1)〜(手順8)のうち、(手順1)は、エラーが検出されていない通常の状態において最初に検出されたエラーを示す文字を、7セグ表示器11に表示させるための処理となっている。
ただし、7セグ表示器11に最初に表示させるエラーを特定する処理を実行する場合においては、(手順1)を省略することができる。この場合は、(手順2)〜(手順8)の各処理が順番に実行され、主制御部10が最初にエラーを検出した後、7セグ表示器11が最初にエラー表示を行うまでの間に、主制御部10がさらに他のエラーを検出していたとき、主制御部10が、これら検出した複数のエラーのうち、表示順番の早いエラーを7セグ表示器11に表示させるエラーとして特定する。
よって、エラーが検出されていない通常の状態において7セグ表示器11に表示させるエラーを、表示順番である優先度に応じて特定することができる。
【0054】
また、上述した(I)〜(VI)の説明においては、エラー1、エラー2、エラー3のすべてが常時監視エラーであるものとしたが、主制御部10がエラー1〜エラー3をこの順番で重複して検出した場合、これらエラー1〜エラー3に設定されている常時監視エラー又は通常監視エラーの組み合わせは、次の(ア)又は(イ)の組み合わせとなる。
(ア)エラー1:常時監視エラー
エラー2:常時監視エラー
エラー3:常時監視エラー
(イ)エラー1:通常監視エラー
エラー2:常時監視エラー
エラー3:常時監視エラー
【0055】
このようにエラー1〜エラー3についての常時監視エラー又は通常監視エラーの組み合わせは、(ア)又は(イ)のいずれかの組み合わせとなる。このように(ア)と(イ)の二つに限られる理由は、常時監視エラーが、他のエラーの検出後も検出可能なエラーであるのに対し、通常監視エラーが、他のエラーの検出後には、検出が中断されるエラーだからである。
そして、これらエラー1〜エラー3を7セグ表示器11に順次表示する場合、この7セグ表示器11に最初に表示されるエラーは、常時監視エラーと通常監視エラーのいずれの場合も想定されるが、二つ目以降に表示されるエラー、すなわち、表示順番(優先度)にもとづいて表示の順番が特定されるエラーは、必ず常時監視エラーとなっている。
【0056】
ここまで、説明したように、主制御部10は、スロットマシン1にて発生したエラーを検出すると、そのエラーを示す文字を7セグ表示器11に表示させることができる。また、エラー解除手段が操作されると、7セグ表示器11に表示されていたエラー表示を消去させることができる。さらに、主制御部10は、自ら異常情報送信手段として動作し、その検出したエラーを示す信号を異常情報コマンドとして副制御部20へ送信する。
次に、副制御部20におけるエラー表示制御について、説明する。
【0057】
[副制御部におけるエラー表示制御]
副制御部20は、サブCPU(中央演算処理装置)、サブRAM及びサブROMなどの記憶手段、画像処理用の制御回路、音声出力用の制御回路、ランプ点灯用の制御回路などが搭載された副制御基板を備えており、液晶表示器21,LED22,スピーカ23,可動物(役物)24などの第二報知手段を駆動して所定の映像演出及び音響演出の制御を行うようになっている。
【0058】
また、副制御部20は、主制御部10からの一方向通信により、スロットマシン遊技の進行にともなって出力された制御コマンドを入力する。この主制御部10から出力される制御コマンドには、例えば、メダルの投入に基づいて送信されるメダル投入コマンドと、ベットボタン2aの操作に基づいて送信されるメダルベットコマンドと、スタートレバー3の操作に基づいて送信されるスタートレバーコマンドと、各停止ボタン5a〜5cの操作に基づいて送信される停止ボタンコマンドと、内部抽選の当選内容に基づいて送信される内部当選コマンドと、リール41の停止図柄に基づく入賞判定の結果(払出し枚数)を示す入賞判定コマンドと、遊技状態の設定(記憶)に基づいて送信される遊技状態コマンドと、リール41の回転開始と停止のタイミングに送信されるリール回転開始・停止コマンドと、メダルの払出開始と終了のタイミングに送信されるメダル払出開始・終了コマンド等がある。
【0059】
さらに、副制御部20は、自ら異常情報受信手段として動作し、主制御部10で検出されたエラーの内容を示す異常情報コマンドを主制御部10から受信する。そして、副制御部20は、自ら第二報知制御手段として動作し、受信した異常情報コマンドを解析し、この異常情報コマンドの示すエラーの種類に応じた態様で第二報知手段を演出制御する。
特に、副制御部20は、その異常情報コマンドの示すエラーに関する情報、例えば、当該エラーの種類を示す文字などを液晶表示器21に表示させる。具体的に、その異常情報コマンドの示すエラーの種類がメダル払出装置異常エラーである場合、液晶表示器21には、そのメダル払出装置異常エラーを示す文字である「HC」などが表示される(図4(iv)参照)。
【0060】
また、副制御部20は、スロットマシン1の前扉1aにおける所定の箇所に設けられた立体形状の可動物24に関する異常を可動物故障エラーとして検出する。この可動物故障エラーとして検出される具体的な状態には、例えば、スロットマシン1の電源投入時に可動物24が初期位置に戻っていない状態や、所定の動作の実行を終了した可動物24が初期位置に戻らない状態などが挙げられる。
この可動物故障エラーは、図4に示すように、通常監視エラーとして設定される(図4(vi))。また、可動物故障エラーは、この可動物故障エラーを示す文字である「4E」が液晶表示器21に表示される(図4(iv))。ただし、可動物故障エラーは、副制御部20で検出されるものであり、主制御部10では認識されないため、この可動物故障エラーを示す文字は、7セグ表示器11には表示されない(図4(iii))。
【0061】
なお、可動物24は、副制御部20が演出制御を行う対象とされる演出手段であって、通常、所定のキャラクター、図形、人形、動物、昆虫、構造物、魚、乗り物など、既存又は架空の物を模して立体的又は平面的に形成された可動部品が使用され、前扉1aにおける所定の箇所、例えば、液晶表示器21の前方などに設けられており、副制御部20による制御により所定のタイミングで所定の動作を行うようになっている。
【0062】
また、主制御部10において複数の異常が重複して検出された場合、この主制御部10からは、それら異常が検出されるたびに、異常情報コマンドが副制御部20へ送られる。副制御部20は、それら異常情報コマンドを受信するたびに、当該受信した異常情報コマンドを解析し、それら異常情報コマンドの示すエラーの種類を示す文字等を液晶表示器21に表示させる。
ただし、この場合、その液晶表示器21の表示態様として、次のいずれか一つを採用することができる。
第一の表示態様として、例えば、複数のエラーについて、各エラーの種類を示す文字等を一つずつ順番に液晶表示器21に表示させることができる(図13(2−1)〜(2−4)参照)。すなわち、エラーが検出されていない通常の状態において最初に検出されたエラーの種類を示す文字等を液晶表示器21に表示させ(図13(2−1))、その後、この表示されているエラーを解除する操作が実行されると、その解除されたエラーの種類を示す文字等を液晶表示器21に消去させ(図13(2−2))、重複して検出された他のエラーがあるときはこのエラーの種類を示す文字等を液晶表示器21に表示させるようにする(図13(2−3))。そして、この表示されている他のエラーを解除する操作が実行されると、その解除されたエラーの種類を示す文字等を液晶表示器21に消去させる(図13(2−4))。この第一の表示態様は、7セグ表示器11における表示態様(図13(1−1)〜(1−4))と同様であり、7セグ表示器11の表示内容と連動する。
【0063】
第二の表示態様として、例えば、主制御部10で重複して検出された複数のエラーのすべてについて、これらエラーの種類を示す文字等を、液晶表示器21の同一画面上に列記して表示させるようにする。この場合、液晶表示器21には、現在検出されているエラーのすべてが表示されることとなる。
これら第一の表示態様と第二の表示態様のうち、いずれを採用するかは、任意に決めることができる。
【0064】
また、副制御部20は、発生したエラーを解除する操作が実行されたことを示す異常解除コマンドを主制御部10から受信する。
この場合、副制御部20は、受信した異常解除コマンドを解析し、この異常解除コマンドの示すエラーの種類に応じた態様で報知手段を演出制御していたときは、この演出制御を終了する。
特に、その異常解除コマンドの示すエラーについて、このエラーの種類を示す文字等が液晶表示器21に表示されていたときは、この表示を消去させる。
ただし、液晶表示器21における表示態様が第一の表示態様である場合には、その異常解除コマンドに係るエラーの種類を示す文字等が液晶表示器21から消去されると、当該副制御部20の記憶手段に記憶されていた異常解除コマンドを取得し、当該異常解除コマンドに係るエラーの種類を示す文字等を液晶表示器21に表示させる。
これにより、7セグ表示器11に表示されるエラーと液晶表示器21に表示されるエラーが連動するので、店員は、7セグ表示器11と液晶表示器21のいずれか一方を視認することで、次に措置を講じるべきエラーを把握することができる。
【0065】
一方、液晶表示器21における表示態様が第二の表示態様である場合には、その異常解除コマンドに係るエラーの種類を示す文字のみが液晶表示器21から消去され、他のエラーの種類を示す文字等は、そのまま表示され続ける。よって、店員は、液晶表示器21を視認することで、現在発生しているエラーであって未だ対応していないエラーのすべてを把握することができる。
【0066】
ここまで、説明したように、主制御部10は、発生したエラーを検出すると、この検出したエラーの種類を示す文字を7セグ表示器11に表示させるようになっている。また、副制御部20は、検出されたエラーの内容を示す異常情報コマンドを主制御部10から受信すると、当該エラーの種類を示す文字等を液晶表示器21に表示させるようになっている。
次に、これら主制御部10及び副制御部20が実行するエラー表示の制御方法の手順について説明する。
【0067】
[エラー表示制御方法]
ここでは、まず、主制御部10が実行するスロットマシン遊技の手順について、「主制御部メイン処理」として説明し、その後に、エラー表示に関する処理手順について説明する。
【0068】
(1)主制御部メイン処理
主制御部10は、次の手順で、スロットマシン遊技の実行を制御する。
主制御部10は、メダルの投入に関する投入処理を実行する(図6のS10)。この投入処理において、主制御部10は、メダルの投入の有無を検出し、投入されたメダルの枚数に応じて入賞ライン表示ランプ(図示せず)を点灯させる。なお、前回の遊技でリプレイ(再遊技)に入賞した場合は、メダルの投入が不要である。
【0069】
次いで、主制御部10は、遊技のスタート操作に関する遊技開始処理を実行する(S11)。この遊技開始処理において、主制御部10は、スタートレバー3が操作されたか否かを判断し、スタートレバー3が操作されたものと判断したときは、投入されたメダル枚数を確定する。
続いて、主制御部10は、抽選処理を実行する(S12)。具体的には、主制御部10は、乱数発生回路で発生させた乱数を取得し、この取得した乱数値と、メインROMに格納されている入賞役抽選テーブルを用いて、入賞役の内部抽選を行う。入賞役の内部抽選は、遊技者に有利となる権利の抽選の一種である。内部抽選の結果、いずれかの入賞役に内部当選した場合、記憶手段に設定されたその入賞役のフラグがONになる。
【0070】
さらに、主制御部10は、全リール41a〜41cの回転を開始させるリール回転処理を実行する(S13)。
【0071】
そして、主制御部10は、停止ボタン5a〜5cの操作に応じて、リール41a〜41cのうち、操作された停止ボタン5a〜5cに対応するリール41a〜41cを制御して停止させるリール停止処理を実行する(S14)。
リール停止制御は、内部抽選で内部当選した入賞役か、又は、いわゆるフラグ持ち越し中の入賞役については、対応する図柄組み合わせが揃って表示されることが許容される一方、そうでない場合には、各入賞役に対応する図柄組み合わせが揃って表示されないように構成されている。
【0072】
その後、主制御部10は、有効化された入賞ライン上に、内部当選した入賞役又はフラグ持ち越し中の入賞役に対応する図柄組み合わせが表示された場合に、その入賞役に入賞したと判定する入賞判定処理を実行する(S15)。
そして、主制御部10は、払出のある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払出す払出処理を実行する(S16)。
【0073】
さらに、主制御部10は、遊技状態を移行するための処理が実行される遊技状態処理を実行する(S17)。例えば、ビッグボーナスやレギュラーボーナスのようなボーナス入賞の場合に、次回から対応するボーナスゲームを開始できるように準備し、それらの最終遊技では、次回から通常遊技状態が開始できるように準備する。
以上により、1ゲームの処理が終了し、S10へ戻って、同様の処理を繰り返すことにより、遊技が進行する。
【0074】
この「(1)主制御部メイン処理」を実行している間に、主制御部10が所定のエラーを検出すると、投入処理、リール停止処理、払出処理、遊技状態処理の後のタイミングで、7セグ表示器11に、検出したエラーの種類を示す文字を表示させる。
次に、この主制御部10がエラーを検出したときの処理である主制御部異常表示処理について、図7を参照して説明する。
【0075】
(2)主制御部異常表示処理
主制御部10は、スロットマシン1の内部等における所定の箇所に設けられた種々のセンサから検知信号を受信し、この受信した検知信号にもとづいて、スロットマシン1にて異常が発生しているか否かを監視する。
そして、主制御部10は、異常を検出したか否かを判断する(S20)。
異常を検出していないときは(S20−No)、主制御部異常表示処理を終了する。
一方、異常を検出したときは(S20−Yes)、主制御部10は、検出した異常が通常監視異常であるか否かを判断する(S21)。
検出した異常が通常監視異常であるときは(S21−Yes)、主制御部10は、その通常監視異常に関する情報を記憶手段に格納する(S22)。具体的には、上述した(I)の処理を実行し、記憶手段のエラー発生情報格納領域において、当該異常を示すエラー発生情報について、「発生」をセットするとともに、当該異常を示すエラー表示情報を記憶手段の7セグ表示器用情報格納領域に格納する。
【0076】
一方、検出した異常が通常監視異常でないときは(S21−No)、S22の処理を実行しない。なお、「検出した異常が通常監視異常でないとき」とは、検出した異常が常時監視異常のときであり、このときは、後述する「(3)主制御部タイマー割込み処理」にて説明するように、図8のS43〜S45において、当該常時監視異常に関する情報を記憶手段に格納する(この常時監視異常についての(I)の処理を実行する)ようになっている。
【0077】
次いで、主制御部10は、(III)における(手順1)〜(手順8)の処理を実行し、7セグ表示器11に表示させる異常を特定する(S23)。
続いて、主制御部10は、その特定した異常の内容を示す異常情報コマンドを副制御部20へ送信する(S24)。
そして、主制御部10は、その特定した異常の種類を示す文字を7セグ表示器11に表示させる(S25)。
【0078】
その後、主制御部10は、遊技場の店員によりエラー解除手段が操作されたか否か、すなわち、検出した異常を解除する操作が行われたか否かを判断する(S26)。
検出した異常を解除する操作が行われていないときは、行われるまで待機する(S26−No)。
一方、検出した異常を解除する操作が行われたときは(S26−Yes)、主制御部10は、上述した(V)を実行し、記憶手段に記憶されている当該異常に関する情報を消去する(S27)。具体的には、記憶手段のエラー発生情報格納領域において、当該異常を示すエラー発生情報について、「発生」を「未発生」に変更する。また、解除された異常を示すエラー表示情報を記憶手段の7セグ表示器用情報格納領域から消去(クリア)する。
そして、異常が解除されたことを示す信号を、異常解除コマンドとして、副制御部20へ送信する(S28)。
さらに、主制御部10は、7セグ表示器11に表示されている異常の種類を示す文字を消去(クリア)させる(S29)。
【0079】
次いで、主制御部10は、検出した異常のうち7セグ表示器11に未だ表示されていない異常があるか否かを判断する(S30)。具体的には、記憶手段のエラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうち、「発生」がセットされているエラー発生情報があるか否かを判断する。
検出した異常のうち7セグ表示器11に未だ表示されていない異常がないとき、すなわち、記憶手段のエラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうち「発生」がセットされているエラー発生情報がないときは(S30−No)、主制御部異常表示処理を終了する。
一方、検出した異常のうち7セグ表示器11に未だ表示されていない異常があるとき、すなわち、記憶手段のエラー発生情報格納領域に格納されているエラー発生情報のうち「発生」がセットされているエラー発生情報があるときは(S30−Yes)、S23以降の処理を実行する。
【0080】
この主制御部異常表示処理を実行することにより、主制御部10は、異常を検出すると、この異常の種類を示す文字を7セグ表示器11に表示させることができ、その異常を解除する操作が実行されたときは、7セグ表示器11に表示されていた文字を消去させることができる。
また、主制御部10が複数の異常を重複して検出した場合には、最初に検出した異常の種類を示す文字を7セグ表示器11に最初に表示させ、この表示された異常について解除する操作が行われたときは、他の異常を示す文字を7セグ表示器11に表示させることができる。そして、この時点で、他の異常が複数あるときは、その中で優先度の高い異常を7セグ表示器11に表示させることができる。
【0081】
このように、主制御部10にて異常が検出されたときには、当該「(2)主制御部異常表示処理」が実行されて、7セグ表示器11に表示させる異常が特定されるが、その主制御部10が常時監視異常を検出したときには、「主制御部タイマー割込み処理」が実行される。
この「主制御部タイマー割込み処理」について、図8を参照して説明する。
【0082】
(3)主制御部タイマー割込み処理
主制御部10は、常時監視の対象となっている異常について、この常時監視異常の発生を検出したか否かを判断する(S40)。
常時監視異常の発生を検出していないときは(S40−No)、この「主制御部タイマー割込み処理」を終了し、その他の処理、すなわち、「主制御部タイマー割り込み処理」以外の処理であって、主制御部10が通常実行する処理を実行する(S46)。
一方、常時監視異常の発生を検出したときは(S40−Yes)、主制御部10は、この検出した常時監視異常の内容を示す異常情報コマンドを副制御部20へ送信する(S41)。
【0083】
次いで、主制御部10は、S40の処理を実行したことにより常時監視異常の発生を検出した時点で、既に他の異常の発生を検出していたか否かを判断する(S42)。
他の異常の発生を検出していないときは(S42−No)、主制御部10は、上述した(I)の処理を実行し、記憶手段のエラー発生情報格納領域において、S40で検出したものと判断した常時監視異常を示すエラー発生情報について、「発生」をセットするとともに(S43)、S40で検出したものと判断した常時監視異常を示すエラー表示情報を記憶手段の7セグ表示器用情報格納領域に格納する(S44)。
【0084】
一方、既に他の異常の発生を検出していたときは(S42−Yes)、主制御部10は、上述した(II)又は(IV)の処理を実行し、記憶手段のエラー発生情報格納領域において、S40で検出したものと判断した常時監視異常を示すエラー発生情報について、「発生」をセットする(S45)。ただし、当該常時監視異常を示すエラー表示情報を、記憶手段の7セグ表示器用情報格納領域に格納しない。
そして、S44又はS45の処理を実行終了後、主制御部10は、その他の処理として「(2)主制御部異常表示処理」を実行する(S46)。
この場合、当該「(2)主制御部異常表示処理」の手順を示す図7のフローチャートのS20が、図8のS40に相当し、この図8のS40において異常が検出されたものと判断していることから、図7のS20においても、異常が検出されたものと判断する(S40−Yes)。そして、この検出した異常は、常時監視異常であるので(S21−No)、主制御部10は、S22を実行しないこととし、続いて、S23にて、上述した(III)を実行して、7セグ表示器11に表示させる異常を特定する。
【0085】
このように、この「(2)主制御部タイマー割込み処理」を実行後、「(1)主制御部異常表示処理」を実行することにより、主制御部10は、常時監視異常を検出した場合において、他の異常が検出されていないときには、当該常時監視異常を示す文字を7セグ表示器11に表示させることができ、一方、他の異常が既に検出されていたときには、当該他の異常について解除の操作がなされた後に、その常時監視異常を示す文字を7セグ表示器11に表示させることができる。
また、当該他の異常が解除された時点で未だ表示されていない常時監視異常が複数あるときは、その中で優先度の高い常時監視異常を7セグ表示器11に先に表示させることができる。
【0086】
ここまで、主制御部10が実行するエラー表示の処理手順について説明したが、この主制御部10から副制御部20に対して、異常情報コマンドや異常解除コマンドが送信されると、これらを受信した副制御部20が、液晶表示器21などの報知手段によるエラー発生の報知演出を実行制御している。
次に、副制御部20が実行するエラー表示の処理手順について、図9図12を参照して説明する。
【0087】
(4)副制御部メイン処理
図9に示すように、副制御部20は、スロットマシン1の電源投入時に際して、起動処理を実行する(S50)。この起動処理の具体例として、例えば、電源投入時に、役物のテスト動作を行い、異常の有無を確認して記憶する処理が挙げられる。
【0088】
副制御部20は、主制御部10から送信されてきた制御コマンドを取得する(S51)。
そして、副制御部20は、その取得した制御コマンドが、異常情報コマンドであるか否かを判断する(S52)。
取得した制御コマンドが異常情報コマンドであるときは(S52−Yes)、異常情報処理を実行する(S53)。すなわち、副制御部20は、異常情報コマンドの示す異常に関する情報を液晶表示器21に表示させる。あるいは、S50にて起動処理を実行した結果、可動物24に関する異常すなわち可動物故障エラーが発生しているものと判断したときに、この可動物故障エラーを示す情報を液晶表示器21に可動物テストNG表示として表示させる(図10のS60)。
【0089】
一方、取得した制御コマンドが異常情報コマンドでないとき(図9のS52−No)、又は、異常情報処理を実行した後は、副制御部20は、その取得した制御コマンドが、異常解除コマンドであるか否かを判断する(S54)。
取得した制御コマンドが異常解除コマンドであるときは(S54−Yes)、異常解除処理を実行する(S55)。すなわち、副制御部20は、液晶表示器21に表示されていた異常に関する情報又は可動物テストNG表示を消去させ、通常画面を表示させる(図11のS70)。
一方、取得した制御コマンドが異常解除コマンドでないとき(図9のS54−No)、又は、異常解除処理を実行した後は、副制御部20は、その他の処理、すなわち、副制御部メイン処理以外の処理であって、副制御部20が通常行う処理を実行する(S56)。
【0090】
なお、この副制御部メイン処理の説明では、S53の処理において異常情報処理を実行する場合に、異常情報コマンドの示す異常に関する情報を液晶表示器21に表示させる処理と、可動物24に関する異常すなわち可動物故障エラーを示す情報を液晶表示器21に表示させる処理とを、いずれもS53にて実行することとしている。
ただし、可動物故障エラーは、遊技の続行が可能な異常であり、仮に可動物24に異常が発生しても遊技に支障を与えるものではないため、直ちに店員を呼び出すほどの緊急性に乏しい異常であると言える。
そこで、可動物故障エラーが発生した場合において、他の異常が検出されていないときには、その可動物故障エラーを報知せず、この報知を保留にしておき、他の異常が発生したときに、当該他の異常に関する情報とともに、その可動物故障エラーに関する情報を、液晶表示器21の同一画面上に列記して表示させるようにする(図13(2−5))。これにより、店員は、当該他の異常を解消するための措置を講じるときに、併せて、可動物24の異常にも対応することができる。
なお、主制御部10では可動物故障エラーは認識されないため、7セグ表示器11には、可動物故障エラーに関する表示はなされず、他の異常を示す文字のみが表示される(図13(1−5))。
【0091】
また、可動物故障エラーは、上述したように緊急対応性に乏しく、かつ、表示順番も最も遅い順番に設定されるため(図4(vii)参照)、この可動物故障エラーに関する情報を液晶表示器21に表示させるときは、他に検出された異常に関する情報がすべて表示され、これらがすべて解除された後に、その表示を行わせるようにすることができる。
これにより、遊技場の店員は、可動物故障エラーよりも重要度の高い他の異常に対して、先に措置を講じることができ、その後に、可動物故障エラーにも対応することができる。
【0092】
ところで、ここまで説明した副制御部メイン処理を実行中(但し、S52〜S55の間)に、主制御部10から副制御部20へ、次の制御コマンドが送信されたときは、次に説明する副制御部タイマー割込み処理が実行される。
【0093】
(5)副制御部タイマー割込み処理
副制御部20は、主制御部10から送信されてきた制御コマンドを受信したか否かを判断する(図12のS80)。
制御コマンドを受信したものと判断したときは(S80−Yes)、副制御部20は、その制御コマンドを当該副制御部20の記憶手段に格納する(S81)。
制御コマンドを受信していないとき(S80−No)、又は、制御コマンドの格納を実行した後は、副制御部20は、その他の処理を実行する(S82)。
【0094】
この副制御部タイマー割込み処理を実行することにより記憶手段に格納された制御コマンドは、所定のタイミングで記憶手段から取り出されて、図9に示すS52以降の処理が実行される。
【0095】
以上説明したように、本実施形態の遊技機によれば、複数の異常が重複して発生した場合において、7セグ表示器が一の異常を報知し、この一の異常が解除されると他の異常を報知することとしたので、遊技場の店員は、重複して発生した複数の異常のいずれについても知得でき、かつ、それら複数の異常のすべてに対して適切な措置を講じることができる。
また、重複して発生した複数の異常を順次報知することとしたので、エラー表示を悪用した不正行為を防止できる。
さらに、主制御部が複数の異常を重複して検出した場合において、最初に検出した異常を、7セグ表示器が最初に表示し、この異常を解除する操作がなされて7セグ表示器がその異常の表示を消去した時点で、当該7セグ表示器に未だ表示されていない異常が一つのときは、この一つの異常を7セグ表示器に表示させ、その異常が複数あるときは、これら複数の異常の中から最も優先度の高い異常を、その7セグ表示器に表示させることができる。
例えば、上述した特許文献1に記載の技術においては、次のような問題があった。
特許文献1においては、異常を検出した場合の報知方法として、ランプを単に点灯させることと、その検出したことを示す内容を液晶表示パネルに単に表示させることのみを開示するにすぎなかった。このため、例えば、複数の異常が重複して発生した場合に、ランプの点灯をどのように制御するか、又は、液晶表示パネルの表示をどのように制御するかについては、なんら開示されていなかった。
また、特許文献1においては、店員が異常を解消するための措置を講じた後(例えば、メダル詰まりを解消した後)、その異常を解除する操作を実行したときに(例えば、エラー解除スイッチを操作したときに)、液晶表示パネルの表示を終了することとしているが(段落[0086])、これ以上のことは、開示していない。つまり、特許文献1においては、検出した異常の数が一つの場合しか想定しておらず、複数の異常を重複して検出した場合については、想定していなかった。このため、例えば複数の異常が重複して発生した場合において、一の異常を解除する操作が行われたときに、液晶表示パネル等に表示された一の異常の情報が消去され、これに伴って、表示されていない他の異常の情報であって記憶手段に記憶された情報も一緒に消去されてしまうおそれがあった。そうすると、店員は、後者の異常を把握できず、当該異常に対応できないことから、当該異常が解消されないまま放置されてしまうことも想定された。
しかも、このような遊技機の特性を悪用して、不正行為がなされる可能性があった。
例えば、最初に遊技者にとって利益のない軽微な異常を起こしておき、その後に、利益のある不正行為を行うようにする。このようにすると、最初に起こした異常については、液晶表示パネル等により報知されるものの、その後に行った不正行為にともなう異常については、液晶表示パネル等による報知がなされないため、遊技場の店員は、その不正行為を把握できず、その不正行為に対応できなくなる。これにより、遊技場が損害を蒙ることが想定された。
これに対して、本発明によれば、複数の異常が重複して発生した場合に、それら複数の異常のいずれについても報知可能とし、これにより、遊技場の店員が、発生した複数の異常のすべてに対して適切な措置を講じることができ、かつ、エラー表示を悪用した不正行為を防止することができる。
【0096】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、遊技機の例としてスロットマシンを挙げたが、パチンコ機やパロットなどに本発明を適用することもできる。
また、上述した実施形態では、可動物のテスト異常の表示を液晶表示器に表示させるようにしているが、例えば、エラー解除ボタンの近傍に設けられた7セグ表示器に表示するようにしてもよい。
【0097】
さらに、上述した実施形態では、主制御部が検出可能なエラーとして「(a)メダル払出装置異常エラー」〜「(h)可動物故障エラー」の各エラーを挙げたが、主制御部が検出可能なエラーは、(a)〜(h)に限るものではなく、それら(a)〜(h)以外のエラーを検出可能な構成とすることもできる。
また、主制御部は、(a)〜(h)のエラーのうち、一又は二以上のエラーを検出しない構成とすることもできる。
さらに、上述した実施形態では、副制御部が演出制御を行う対象とされる演出手段であって当該演出手段で発生した異常を検出する対象となるものの例示として可動物(役物)を挙げたが、演出手段は、可動物(役物)に限るものではなく、副制御部により制御されるとともに所定の異常を報知する第二報知手段、例えば、LEDやスピーカ、その他の報知手段を、演出手段とすることができる。そして、副制御部は、それら報知手段に異常が発生したときには、当該異常を検出し、この異常の内容を液晶表示器に表示させるようにすることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 スロットマシン(遊技機)
10 主制御部(主制御手段)
11 7セグ表示器(第一報知手段)
20 副制御部(副制御手段)
21 液晶表示器(第二報知手段)
24 可動物(役物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13