(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、
図1〜
図10を参照して説明する。
【0009】
スロットマシン1は、本発明に係る遊技機の一実施形態であり、通常のスロットマシンと同様、前面に開口部を有する筐体1bと、開口部を開閉可能に覆う前扉1aとを備えている。
前扉1aは、リール41a〜41cそれぞれに表された連続する3つの図柄(識別情報)を機外から識別可能に構成されるとともに、遊技者により操作される複数の操作手段(2a,3,5,6)、CPU,ROM,RAMなどを有しコンピュータとして動作する副制御部30などを備え、筐体1bは、リール41a〜41cを回転駆動させるドラムユニット4、メダルの払い出しを行うメダル払出装置7などの複数の装置、CPU,ROM,RAMなどを有しコンピュータとして動作する主制御部10などを備えている。
このようなスロットマシン1は、主制御部10が遊技制御手段、貯留遊技媒体数記憶手段、掛け数設定手段、再設定制御手段、加算規制制御手段、加算許容制御手段、事前決定手段、特定遊技状態制御手段、権利持越し手段、特別遊技状態制御手段などとして動作することにより、以下のようなスロットマシン遊技を実行可能に構成されている。
【0010】
遊技の開始にあたり、遊技用価値としてのメダル(クレジットメダルも含む)を用いて掛け数の設定に係る操作を行う。
掛け数の設定は、メダル投入口2から直接メダルを投入して設定する方法と、掛け数設定ボタン6(6a〜6c)を押下操作して設定する方法とがある。
【0011】
メダル投入口2からメダルを投入して掛け数を設定する方法では、投入されたメダルが前扉1a裏面に設けられたメダルセレクタ2b(検出センサ23)によって検知されることにより、投入分のメダル枚数に対応する掛け数(ただし、メダル3枚に対応する掛け数「3」が上限)が設定されることになる(掛け数設定手段)。
なお、掛け数の上限は、「1」、「2」、又は「4」以上でもよい。
【0012】
掛け数設定ボタン6(6a〜6c)は、掛け数の設定に係る遊技者の操作を受け付け可能な操作手段の一例であり、これらが押下操作されると、内部的にデータとして記憶されたクレジットメダルから各掛け数設定ボタン6a〜6cそれぞれに対応するメダル数が減算され、減算された分が掛け数として設定されることになる(掛け数設定手段)。
例えば、1枚掛けボタン6aの押下操作によりメダル1枚に対応する掛け数「1」、2枚掛けボタン6bの押下操作によりメダル2枚に対応する掛け数「2」、3枚掛けボタン6cの押下操作によりメダル3枚に対応する掛け数「3」がそれぞれ設定される。
【0013】
なお、クレジットメダルは、メダル投入口2からのメダル投入や入賞により増加し、主制御部10に備えるRAMなどの記憶手段(貯留遊技媒体数記憶手段)に記憶される。記憶可能なクレジットメダル数には上限値(例えば50枚)が設定されており、この上限値までのメダルをクレジットメダルとして記憶することができる。
また、このクレジットメダルは、精算ボタン2aを押下操作することによりメダル払出口7bを介して返却される。
【0014】
このように、メダル投入口2からの直接投入や掛け数設定ボタン6(6a〜6c)の押下操作により設定された掛け数のことを「設定掛け数」といい、設定掛け数は主制御部10に備えるRAMなどの記憶手段に記憶される。例えば、掛け数設定ボタン6a、6b、6cが押下操作されると、設定掛け数「1」、「2」、「3」がそれぞれ記憶手段に記憶されることになる。
また、この設定掛け数は、LED等の発光手段を備える掛け数表示ランプ13の点灯個数により識別可能となる。
そして、設定掛け数が「1」以上となったときに、1回の遊技を実行可能な権利を保有する遊技開始可能な状態となる。
【0015】
この遊技開始可能な状態では、始動操作に係る操作手段の一例であるスタートレバー3の操作が有効状態となる。この有効状態になっているときに、スタートレバー3が傾動操作されると、遊技が開始され、複数の図柄の表されたリール41a〜41cが変動(以下、回転ということもある)を開始するとともに、再遊技、小役、ボーナスなどの複数の役(ハズレを含む)の中から今回遊技の抽選結果をリール41の停止前に事前に決定する内部抽選処理が実行される(事前決定手段)。
なお、本実施形態では、内部抽選処理は、後述するリール41a〜41cが定常回転に達する前に完了するものであるが、リール41a〜41cが回転を開始する前に完了するようにしてもよい。
【0016】
各リール41a〜41cは、表示手段の一例であり、各リール41a〜41cの周面には、識別情報となる複数(通常21個)の図柄が表されており、停止状態から徐々に回転速度を上げた後、一定の速度で回転する定常回転に達する。
このような定常回転に達すると、各リール41a〜41cに対応して設けられた停止ボタン5a〜5cが押下操作可能な状態(停止ボタン5操作の有効化)となる。
停止ボタン5a〜5cは、停止操作に係る操作手段の一例であり、例えば、停止ボタン5a〜5cに内蔵されたLED等の発光手段からなる停止ボタンランプが点灯することにより押下操作可能な状態となり、このような状態において各停止ボタン5が押下操作されると、その操作タイミングと内部抽選処理の抽選結果とにより許容される図柄の組合せで停止するように、各リール41a〜41cが停止制御される。
【0017】
停止状態では、リール41a〜41cそれぞれに表された上下方向に連続する3つの図柄が表示窓12から機外に臨むように停止し、このときの停止態様に基づいて入賞の有無が判定される。
入賞の判定は、所定の入賞ライン上に停止した図柄の組合せに基づいて判定され、例えば、上・中・下段3つのラインと斜め2つのラインの計5ラインいずれかの入賞ライン上に停止表示された図柄の組合せに基づいて判定される。
【0018】
入賞ラインの数は、設定掛け数に応じて変化し、例えば、設定掛け数が「1」のときには、中段の入賞ライン(1ライン)上に停止表示された図柄の組合せが判定され、設定掛け数が「2」のときには、上・中・下段3つの入賞ライン(3ライン)上に停止表示された図柄の組合せが判定され、設定掛け数が「3」のときには、上・中・下段3つのラインと斜め2つのラインの計5つの入賞ライン(5ライン)上に停止表示された図柄の組合せが判定されることになる。
この判定が行われる入賞ライン及びその数のことを、有効ライン及び有効ライン数といい、この有効ライン数は、LED等の発光手段を備えるライン数表示ランプ14の点灯個数により識別可能となる。
そして、有効ライン上に停止した図柄の組合せを判定した結果、図柄の組合せに応じた利益が付与される(利益付与手段)。
【0019】
例えば、小役に対応する図柄の組合せの停止表示により、小役入賞と判定され、これにより、メダル払出装置7が駆動制御されて、メダルの貯留されたホッパー7aからメダル払出口7bを介して所定数のメダルが払い出される。この場合、クレジットメダルの上限数を超える分のみメダルが払い出されるが、小役入賞が発生するごとに、入賞に対応するメダルが払い出されるようにすることもできる。
また、再遊技に対応する図柄の組合せの停止表示により、再遊技入賞と判定され、次回遊技においてメダルの投入や掛け数設定ボタン6を操作することなく遊技可能な状態となる。
また、ボーナスに対応する図柄の組合せの停止表示により、次回遊技から小役に高確率で当選するボーナス遊技状態に移行する。
【0020】
このような一連の動作を1回の遊技とするスロットマシン遊技は、
図3に示すように、主制御部10(CPU)が、押下操作によりクレジットメダルが返却される精算ボタン2a、スタートレバー3、停止ボタン5、掛け数設定ボタン6などの操作手段やメダルセレクタ2b(検出センサ23)などの入力手段からの入力情報に基づいて、リール41a〜41cやこれらを回転駆動させるパルスモータなどを備えるドラムユニット4、メダル払出装置7などの出力手段を制御することにより実現される。
【0021】
また、スロットマシン1では、このようなスロットマシン遊技に同期した遊技演出も行われる。例えば、ボーナス当選時には、所定のランプ演出がLED等の発光手段を備える告知ランプ15などの出力手段を介して出力される。また、ボーナス遊技状態への移行時には、ボーナス祝福画像演出、ファンファーレ音、及びランプ演出などが液晶TVなどの表示器8、スピーカ9、及びLED等の発光手段を備える枠ランプ11などの出力手段を介してそれぞれ出力される。
このような出力手段は、
図3に示すように、副制御部30により制御される。
【0022】
副制御部30は、演出制御手段の一例であり、主制御部10からの指令に従った動作を実行可能に構成される。
例えば、副制御部30は、主制御部10に設けられた出力ポートなどの送信手段から所定の遊技タイミングごとに送信される制御コマンドを、当該副制御部30に備える入力ポートなどの受信手段を介して受信するとともに、受信した制御コマンドを解読し、制御コマンドに応じた演出を行うように表示器8などの出力手段を制御する。
【0023】
また、スロットマシン1は、このような構成に加えて、以下のような特徴的な構成を備えている。
具体的には、スロットマシン1は、一般的なスロットマシンと同様に、再遊技を示す図柄の組合せが停止表示されたこと、すなわち「再遊技」入賞に基づいて、掛け数設定操作を受け付けることなく、1回の遊技に対しての掛け数を設定する再設定処理を実行するが、この実行中において、停止ボタン5などの操作手段が受け付ける遊技者の操作の有無やスロットマシン1の遊技状態などに応じて、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けるか否かを制御するという特徴的な構成を備えている。
【0024】
[再設定処理]
再遊技を示す図柄の組合せの停止表示とは、有効ライン上に、例えば、「再遊技」や「リプレイ」などの文字を含む図柄が3つ揃うこと、すなわち「再遊技」入賞のことをいい、再設定処理とは、このような再遊技を示す図柄の組合せが停止表示されたことに基づいて、メダル投入口2からのメダルの投入や掛け数設定ボタン6を操作することなく、次回遊技可能な状態とするために掛け数を設定する処理のことをいう。
この再設定処理は、主制御部10が再設定制御手段として動作することにより実行される処理であり、再遊技を示す図柄の組合せが停止表示されたときに、この停止表示に係る今回遊技において設定された設定掛け数を、次回遊技開始のために遊技者の操作によらずに自動的に設定するという処理である。
この再設定処理について、「再遊技」に入賞したときの今回遊技において、メダル投入口2からの直接投入や掛け数設定ボタン6(6a〜6c)の押下操作により、例えば、設定掛け数「3」が設定されたときを例に挙げて説明する。
【0025】
再設定処理は、例えば、「再遊技」などの文字を含む図柄が有効ライン上に3つ揃ったことに基づいて開始され、次回遊技可能な状態とするために、今回遊技の設定掛け数「3」と同じ掛け数「3」を設定する。
今回遊技の設定掛け数「3」は、RAMなどの記憶手段に記憶されており、主制御部10はこれを参照して次回遊技のための掛け数の設定を行う。
【0026】
具体的には、主制御部10は、RAMに記憶された今回遊技の設定掛け数「3」を読み込むとともに、読み込んだ設定掛け数「3」を次回遊技のための掛け数としてRAMにセットする。さらに、掛け数表示ランプ13を制御して読み込んだ設定掛け数「3」対応する数のLEDを点灯させるとともに、副制御部30に点灯コマンドを送信することにより、ライン数表示ランプ14を制御して読み込んだ設定掛け数「3」対応する数のLEDを点灯させる制御を行う。
【0027】
掛け数表示ランプ13は、主制御部10により点灯制御されるLEDなどの発光手段により構成され、メダル投入口2からの直接投入や掛け数設定ボタン6a〜6cの操作に基づいて設定された設定掛け数を識別可能に表示する表示手段である。
例えば、掛け数表示ランプ13は、
図4に示すように、LED13a〜13cにより構成することができ、主制御部10は、設定掛け数「3」を読み込むと、掛け数表示ランプ13を、掛け数「0」に対応する無点灯状態から、掛け数「1」に対応するLED13aが点灯する1個点灯態様に制御した後、掛け数「2」に対応するLED13a,13bが点灯する2個点灯態様に制御し、さらに、設定掛け数「3」に対応するLED13a〜13cが点灯する3個点灯態様に制御する。なお、図中「○」内の「網掛け」は点灯状態、「白地」は無点灯状態を示すものとする。
つまり、主制御部10は、設定掛け数「3」を読み込むと、設定掛け数に対応する数のLEDが点灯するまで、LEDの点灯個数を1つずつ増加させる点灯制御を実行する。
この点灯制御では、LEDの点灯個数が1ずつ増加するそれぞれの間に、所定時間(例えば、50ミリ秒)のウェイト時間を設けることが好ましい。
【0028】
また、主制御部10は、LED13a〜13cの点灯個数を1つずつ増加させる度に、
点灯コマンドを副制御部30に送信する。
具体的には、主制御部10は、LED13aを点灯させたときに、1枚掛け点灯コマンドを送信し、LED13a,13bを点灯させたときに、2枚掛け点灯コマンドを送信し、LED13a,13b,13cをすべて点灯させたときに、3枚掛け点灯コマンドを送信する。
【0029】
副制御部30は、点灯コマンドの受信ごとに、ライン数表示ランプ14を構成するLED14a〜14cの点灯個数を1個ずつ増加させ、設定掛け数「3」に対応する3つのLED14a〜14cを点灯させる制御を行う。
また、副制御部30は、このような点灯制御に同期して、点灯個数の増加ごとにスピーカ9から、「ポッ」の音(掛け数設定音)を出力させる。
【0030】
このように、再設定処理では、今回遊技の設定掛け数を読み込み、読み込んだ設定掛け数を次回遊技のための掛け数としてRAMにセットするとともに、掛け数表示ランプ13を制御して読み込んだ設定掛け数に対応する数のLEDを点灯させ、さらに、ライン数表示ランプ14を制御して読み込んだ設定掛け数に対応する数のLEDを点灯させるという一連の処理を実行することにより、次回遊技開始可能な状態とする。
このような一連の処理は、LEDの点灯個数や処理時間は異なるものの、今回遊技の設定掛け数が「1」や「2」のときでも同様な手順に従って行われる。また、処理時間は、例えば、設定掛け数「1」では約1秒、設定掛け数「2」では約2秒、設定掛け数「3」では約3秒というように、今回遊技の設定掛け数が多くなるにつれ長くなる。
【0031】
また、このような再設定処理を行うこととなる再遊技を示す図柄の組合せは、複数種類設けることができる。
例えば、「再遊技1」の文字を含む図柄の3つ揃え(第1再遊技態様)と、「再遊技2」の文字を含む図柄の3つ揃え(第2再遊技態様)のそれぞれを、再遊技を示す図柄の組合せとすることもできる。
また、この場合、再遊技を示す図柄の組合せの種類に応じて、遊技者に付与される特典を変えることもできる。
【0032】
例えば、「再遊技1」の文字を含む図柄が3つ揃ったときには(「再遊技1」入賞時)、次回の遊技が再遊技となる特典のみを付与し、「再遊技2」の文字を含む図柄が3つ揃ったときには(「再遊技2」入賞時)、次回の遊技が再遊技となる特典に加え、さらに特別な特典を付与することもできる。
具体的には、「再遊技2」の文字を含む図柄が3つ揃ったときには(例えば、特殊リプレイ入賞時)、特別な特典として、各停止ボタン5に対する操作順序や、目押しの目安となる図柄を表示器8、スピーカ9などの出力手段を介して報知することにより、内部抽選処理の抽選結果に対応する図柄の組合せの導出をアシストするAT(アシスト・タイム)状態に移行させることができる。
また、他の特別な特典として、内部抽選処理において抽選される再遊技(「リプレイ」)の当選確率が、通常状態よりも高い有利なRT(リプレイ・タイム)状態に移行させることもできる。
このように、「再遊技2」の文字を含む図柄が3つ揃ったときには、「再遊技1」の文字を含む図柄が3つ揃ったときよりも、相対的に有利な遊技状態に移行し易くするという特別な特典を付与することもできる。
【0033】
そして、主制御部10は、このような再遊技を示す図柄の組合せが停止表示されたときに行われる再設定処理の実行中において、加算規制制御手段及び加算許容制御手段として動作することにより、停止ボタン5などの操作手段が受け付ける遊技者による操作の有無や、スロットマシン1の遊技状態などに応じて、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けるか否かを制御する。
【0034】
例えば、主制御部10は、ROMなどの記憶手段に記憶されている制御規定に基づいて、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けるか否かを制御する。
図5は、その制御規定を示す図表である。
この規定では、操作手段が受け付ける操作の有無と、スロットマシンの遊技状態と、停止表示された再遊技を示す図柄の組合せの種類と、に応じて、主制御部10がメダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けるか否かを制御する。
【0035】
操作手段は、精算ボタン2a、スタートレバー3、停止ボタン5、掛け数設定ボタン6などの遊技者の操作を受け付け可能な装置であり、主制御部10は、これらの操作手段に設けられる遊技者の操作を検出可能な検出手段(例えば、光学センサ)と接続され、検出手段から出力される操作信号の有無より、遊技者による操作の受け付けの有無を判定する。
【0036】
また、クレジットメダルとしての受け付けの可否を制御するための遊技状態としては、「通常遊技状態」、「権利持越し状態」、「特別遊技状態」がある。
【0037】
「通常遊技状態」とは、手持ちのメダルが減少し易い遊技者に不利な遊技状態のことをいう。
【0038】
「権利持越し状態」とは、内部抽選処理においてボーナスに当選したものの、ボーナスに対応するボーナス図柄の組合せが停止表示されずに、ボーナス遊技に移行しないときの遊技状態のことをいう。
内部抽選処理においてボーナスに当選したときには、ボーナスに対応するボーナス図柄の組合せ(例えば、「7」の3つ揃えなどの特定の停止態様)での停止表示が許容され、ボーナス図柄の組合せが停止表示されると、主制御部10は、特定遊技状態の一例であるボーナス遊技状態に移行させるように制御する。このボーナス遊技状態では、高確率で小役に当選する状態が所定数のメダルが獲得されるまで継続することになる。
一方、ボーナス図柄の組合せの停止表示が許容されるものの、停止ボタン5の操作タイミングが合わずに、ボーナス図柄の組合せが停止表示されないこともある。
このようなときには、主制御部10は、ボーナスに当選した遊技、それ以降の遊技において、ボーナス図柄の組合せが停止表示されるまで、ボーナス図柄の組合せの停止表示が許容される権利を持ち越す制御を行う。
このようなボーナス図柄の組合せの停止表示が許容される権利を持ち越している遊技状態のことを「権利持越し状態」という。
【0039】
「特別遊技状態」とは、前述のAT状態、RT状態、又はこれらを組み合わせたART状態や、上記のボーナス遊技状態のことをいう。
【0040】
停止表示された再遊技を示す図柄の組合せの種類とは、前述の「再遊技1」の文字を含む図柄の3つ揃えや、「再遊技2」の文字を含む図柄の3つ揃えのことをいう。
【0041】
そして、主制御部10は、
図5に示すように、「操作の有無」、「通常遊技状態」、「権利持越し状態」、「特別遊技状態」、「再遊技1入賞」、「再遊技2入賞」に応じて、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けるか否かを制御する。
【0042】
例えば、「通常遊技状態」であって、「再遊技2」入賞に係る再設定処理の実行中では、操作手段が遊技者の操作を受け付けているか否かにかかわらず、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けないように制御する。
これは、「再遊技2」入賞時は、その後、AT状態、RT状態、又はこれらを組み合わせたART状態などの遊技者に有利な状態、すなわち、小役入賞によりクレジットメダルが増加する状態に移行し易いことから、メダル投入口2からメダルを投入してまでもクレジットメダルを増加させる必要性がないためである。
【0043】
一方、「通常遊技状態」であって、「再遊技1」入賞に係る再設定処理の実行中では、操作手段が遊技者の操作を受け付けているときには、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けず、操作手段が遊技者の操作を受け付けていないときには、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けるように制御する。
これは、「再遊技1」入賞時では、クレジットメダルが増加する状態に移行し難いことから、クレジットメダルを増加させる必要性があるためである。
さらに、操作手段が遊技者の操作を受け付けていないときに限り、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けるのは、再設定処理の実行中の時間を有効に活用させるとともに、メダル投入口2から投入されたメダルが後述のようにメダル払出口7bから返却されるという不快感を遊技者に与えないようにするためである。
【0044】
また、再設定処理の実行中が「権利持越し状態」では、操作手段が遊技者の操作を受け付けているか否かにかかわらず、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けないように制御する。
この場合も、「権利持越し状態」では、ボーナス図柄の組合せが停止表示されると、小役入賞によりクレジットメダルが増加するボーナス遊技状態に移行することから、メダル投入口2からメダルを投入してまでもクレジットメダルを増加させる必要性がないためである。
【0045】
また、再設定処理の実行中が「特別遊技状態」では、操作手段が遊技者の操作を受け付けているか否かにかかわらず、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けないように制御する。
この場合も同様に、「特別遊技状態」では、小役入賞によりクレジットメダルが増加することから、メダル投入口2からメダルを投入してまでもクレジットメダルを増加させる必要性がないためである。
【0046】
このような制御規定に基づいて、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けるか否かの制御は、以下のように行われる。
主制御部10は、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けるときには、そのメダルをホッパー7aに誘導し、クレジットメダルとして受け付けないときには、そのメダルをメダル払出口7bに誘導する。
このようなメダル誘導先の振り分けは、前扉1aの裏面に設けられるメダルセレクタ2bにおいて行われる。
【0047】
メダルセレクタ2bは、
図6、7に示すように、メダル投入口2に投入されたメダルMが流下するメダル流路21と、メダル流路21に設けられメダルMの誘導先を振り分け可能に動作するブロッカー22(変位部材)と、ブロッカー22の下流側に設けられメダルMを検出する検出センサ23(23a,23b)と、ブロッカー22に動力を供給するソレノイド24(駆動手段)と、を備えている。
検出センサ23とソレノイド24は、
図3に示すように、主制御部10と接続されており、主制御部10は、検出センサ23a,23bそれぞれから出力されるメダル検出信号に基づいてメダルMの投入(通過)を判定するとともに、ソレノイド24をオンオフ制御することにより、ブロッカー22の動作を制御する。
【0048】
このような構成において、主制御部10は、ソレノイド24をオンオフ制御することにより、メダル投入口2から投入されるメダルMをクレジットメダルとして受け付けるときには、そのメダルMをホッパー7aに誘導するように、ブロッカー22を動作させ、クレジットメダルとして受け付けないときには、そのメダルMをメダル払出口7bに誘導するように、ブロッカー22を動作させる。
【0049】
具体的には、メダル流路21には、
図7に示すように、メダルMの下端部側を支持する下端支持部222が設けられており、ブロッカー22に設けられたメダルMの上端部側を支持するための上端支持部221の位置が、ソレノイド24のオンオフに基づいて変位する。
図7(a)は、ソレノイド24が「オン」され、上端支持部221の位置がメダルMの上端部側を支持する第2位置に変位した状態を示しており、
図7(b)は、ソレノイド24が「オフ」され、上端支持部221の位置がメダルMの上端部側を支持しない第1位置に変位した状態を示している。
第2位置に変位した状態では、上端支持部221がメダル流路21に近接することにより、メダルMはその上端部側が支持され、ブロッカー22を通過するとともに、検出センサ23に検出されて、ホッパー7aに誘導される。
一方、第1位置に変位した状態では、メダルMは、その上端部側が支持されないことにより、検出センサ23を通過することなくメダル流路21から離脱し、メダルセレクタ2bの下部に設けられたシュート2cを介して(
図2参照)、メダル払出口7bから排出される。
【0050】
このような構成により、主制御部10は、メダル投入口2から投入されるメダルMをクレジットメダルとして受け付けるときには、ソレノイド24が「オン」し、ブロッカー22を第2位置に変位するように動作させ、メダルMを検出センサ23に検出させるとともに、ホッパー7aに誘導する。
一方、主制御部10は、クレジットメダルとして受け付けないときには、ソレノイド24が「オフ」し、ブロッカー22を第1位置に変位するように動作させ、メダルMを検出センサ23に導かずに、メダル払出口7bから排出する。
【0051】
そして、ブロッカー22が第2位置に変位され、このときに検出センサ23により検出された分のメダルMがクレジットメダルとして受け付けられる。
RAMなどの記憶手段には、クレジットメダル数を記憶する記憶領域が設けられており、主制御部10は、検出センサ23がメダルMを検出するごとに、当該記憶領域に係るクレジットメダル数をプラス1更新することにより、クレジットメダル数を加算する。
また、クレジットメダル数が上限値(例えば、「50」)に達したときには、その後、主制御部10は、ソレノイド24を「オフ」し、ブロッカー22を第1位置に変位するように動作させることにより、メダルMをメダル払出口7bから排出させる。
【0052】
すなわち、主制御部10は、再設定処理の実行中において、
図5に示す制御規定に基づいてメダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けるときには、ソレノイド24を「オン」し、ブロッカー22を第2位置に変位するように動作させることにより、検出センサ23がメダルMを検出可能な状態、すなわち、メダル投入口2から投入されるメダルのクレジットメダルへの加算が許容される加算許容制御を実行する。
例えば、加算許容制御の実行中において、クレジットメダル数が「37」であれば、さらに、上限値(例えば、「50」)に達する「13」枚のメダルをクレジットメダルとして受け付けることができ、「13」枚を超えて投入されるメダルは、メダル払出口7bから排出されることになる。
【0053】
一方、主制御部10は、再設定処理の実行中において、
図5に示す制御規定に基づいてメダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けないときには、ソレノイド24を「オフ」し、第1位置を維持するようにブロッカー22を制御することにより、検出センサ23がメダルMを検出不能な状態、すなわち、メダル投入口2から投入されるメダルのクレジットメダルへの加算が規制される加算規制制御を実行する。
つまり、加算規制制御の実行中においてメダル投入口2から投入されるメダルは、すべてメダル払出口7bから排出されることになる。
【0054】
このような主制御部10の加算規制制御手段及び加算許容制御手段としての動作を、
図8に示すタイムチャートを参照しながら説明する。
【0055】
図8は、「再遊技1」が入賞したときのタイムチャートであり、
図8(a)は、再設定処理の実行中にクレジットメダルへの加算が許容される例を示し、
図8(b)は、クレジットメダルへの加算が規制される例を示している。
なお、これらの例では、再設定処理は、リール41の停止と同時に再設定処理の実行が開始されるが、リール41の停止から再設定処理の実行開始までにディレイ時間を設けることもできる。
「再遊技1」が入賞した場合、
図5に示す制御規定に基づいて、操作手段が遊技者の操作を受け付けているときには、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとしての受け付けない、つまり、クレジットメダルへの加算が規制されることになる。一方、操作手段が遊技者の操作を受け付けていないときには、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとしての受け付ける、つまり、クレジットメダルへの加算が許容されることになる。
【0056】
図8(a)に示す例では、再設定処理の実行中において、T1の区間では、停止ボタン5が遊技者の操作を受け付けているので、ソレノイド24が「オフ」され、第1位置を維持するようにブロッカー22を制御することにより、検出センサ23がメダルMを検出不能な状態、すなわち、メダル投入口2から投入されるメダルのクレジットメダルへの加算が規制される加算規制制御が実行される。
一方、T2の区間では、停止ボタン5が遊技者の操作を受け付けていないので、ソレノイド24が「オン」され、ブロッカー22を第2位置に変位するように動作させることにより、検出センサ23がメダルMを検出可能な状態、すなわち、メダル投入口2から投入されるメダルのクレジットメダルへの加算が許容される加算許容制御が実行される。
また、遊技者が停止ボタン5から手を離すことで、ソレノイド24が「オン」になることから、遊技者はソレノイド24の「オン」動作により停止ボタン5から伝達される振動を感じずに済む。
なお、T2の区間以降では、メダル投入口2から投入されるメダルのクレジットメダルへの加算が許容される加算許容制御が実行されることになる。
【0057】
図8(b)に示す例では、再設定処理の実行中に対応するT3の区間では、停止ボタン5が遊技者の操作を受け付けているので、ソレノイド24が「オフ」され、第1位置を維持するようにブロッカー22を制御することにより、検出センサ23がメダルMを検出不能な状態、すなわち、メダル投入口2から投入されるメダルのクレジットメダルへの加算が規制される加算規制制御が実行される。
なお、T4の区間では、再設定処理は終了しているものの、停止ボタン5が遊技者の操作を受け付けていないことから、メダル投入口2から投入されるメダルのクレジットメダルへの加算が許容される加算許容制御が実行されることになる。一方、再設定処理が終了していても、停止ボタン5が遊技者の操作を受け付けているときには、メダル投入口2から投入されるメダルのクレジットメダルへの加算が規制される加算規制制御が実行されることになる。
すなわち、遊技者が停止ボタン5から手を離すことで、ソレノイド24が「オン」になることから、遊技者はソレノイド24の「オン」動作により停止ボタン5から伝達される振動を感じずに済む。
【0058】
このような主制御部10の加算規制制御手段及び加算許容制御手段としての動作は、ROMなどの記憶手段に記憶されたプログラム(再設定処理中のブロッカー制御処理)を主制御部10(CPU)が実行することにより実現される。
図9は、このプログラムの手順を示すフローチャートであり、通常遊技状態における再遊技1の入賞に係る再設定処理中に所定の周期で繰り返し実行されるプログラムのフローチャートを示している。
【0059】
このプログラムでは、まず、主制御部10は、停止ボタン5などの操作手段が遊技者の操作を受け付け中か否かを判定する(S1)。
受け付け中と判定したときには(S1−Yes)、第1位置を維持する、又は、第1位置に変位するようにブロッカー22を動作させることにより、検出センサ23がメダルMを検出不能な状態、すなわち、クレジットメダルを受け付け不可の状態に制御する(S4)。
受け付け中ではないと判定したときには(S1−No)、さらに、クレジットメダル数が上限値か否かを判定する(S2)。
クレジットメダル数が上限値に等しいとき又は上限値を超えるときには(S2−Yes)、第1位置を維持する、又は、第1位置に変位するようにブロッカー22を動作させることにより、検出センサ23がメダルMを検出不能な状態、すなわち、クレジットメダルを受け付け不可の状態に制御する(S4)。
一方、クレジットメダル数が上限値に満たないと判定したときには(S2−No)、第2位置を維持する、又は、第2位置に変位するようにブロッカー22を動作させることにより、検出センサ23がメダルMを検出可能な状態、すなわち、クレジットメダルを受け付け可の状態に制御する(S3)。
【0060】
このようなプログラムにより、再遊技1入賞に係る再設定処理の実行中において、操作手段が遊技者の操作を受け付けているときには、メダル投入口2から投入されるメダルがクレジットメダルとして受け付けられず、操作手段が遊技者の操作を受け付けていないときには、メダル投入口2から投入されるメダルがクレジットメダルとして受け付けられることになる。
【0061】
以上説明したように、再設定処理の実行中において、
図5に示す制御規定に基づいてメダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けるときには、主制御部10が加算許容制御を実行することにより、メダル投入口2から投入されるメダルのクレジットメダルへの加算が許容され、メダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けないときには、主制御部10が加算規制制御を実行することにより、メダル投入口2から投入されるメダルのクレジットメダルへの加算が規制されることになる。
【0062】
なお、本実施形態の変形例として、以下のような制御を実行することができる。
例えば、設定掛け数「3」のときに実行される再設定処理において、掛け数表示ランプ13とライン数表示ランプ14に備えるLEDの点灯個数を一つずつ増加させたが、それぞれ3つのLEDを同時に点灯させることもできる。
このような制御は、設定掛け数「2」のときも同様である。
【0063】
また、再設定処理において、クレジットメダルとして受け付け可能なメダルを上限値(例えば、「50」)まで受け付け可能としたが、上限値までとしながらも受け付け可能なメダル数を2枚、5枚などの規定数までに制限することもできる。
【0064】
また、再遊技入賞時におけるクレジットメダル数に応じて受け付け可能なメダル数を変えることもできる。例えば、クレジットメダル数が「0」のときには3枚まで、クレジットメダル数が「1」〜「39」のときには2枚まで、クレジットメダル数が「40」〜「49」のときには1枚まで受け付け可能とすることもできる。
【0065】
通常遊技状態における再遊技1の入賞に係る再設定処理中において、遊技者が操作可能な操作手段のいずれかについて操作を受け付けていた場合にクレジットメダルを受け付けないことにしたが、一部又は全部の操作手段については受け付けを許容するようにしてもよい。例えば、精算ボタン2a、スタートレバー3、停止ボタン5、掛け数設定ボタン6のうち、停止ボタン5以外の操作手段は、操作を受け付けていたとしても、クレジットメダルを受け付けることもできる。
【0066】
また、遊技状態に応じて、再設定処理中におけるクレジットメダルの受け付けの可否を規定してもよい。
この場合、遊技者のクレジットメダルが減少し易い遊技状態(例えば、通常遊技状態)では受け付けを許容し、当該遊技状態よりもクレジットメダルが減少しがたい遊技状態(例えば、ボーナス遊技状態、AT、RT、ART遊技状態)では受け付けを規制することで、無駄にメダル投入をしないように促すことができる。
【0067】
また、本実施形態では、再設定処理中であって、ブロッカー22が第2位置に存在するときに、停止ボタン5の操作を受け付けると、ブロッカー22が第1位置に変位するようになっているが、一度第1位置から第2位置に変位した場合には、その後停止ボタン5の操作を受け付けても、第2位置を維持するようにしてもよい。
【0068】
[払出処理]
以上説明したような主制御部10の加算規制制御手段としての動作と、加算許容制御手段としての動作は、再設定処理中のみならず、これに代えて又はこれに加えて、小役入賞時に実行される払出処理中にそのまま適用することができる。
【0069】
払出処理とは、リール41が小役を示す図柄の組合せで停止表示したとき、すなわち、小役入賞時に実行される処理であり、主制御部10がメダル払出装置7を駆動制御することにより、当該図柄の組合せに対応する所定枚数(例えば、7枚など)のメダルをメダル払出口7bから払い出す処理である。
このような払出処理中において、
図5に示す制御規定を適用して、操作手段が受け付ける操作の有無と、スロットマシンの遊技状態と、停止表示された小役を示す図柄の組合せの種類と、に応じて、主制御部10がメダル投入口2から投入されるメダルをクレジットメダルとして受け付けるか否かを制御する。
なお、加算許容制御手段としての動作を再設定処理中に代えて払出処理中に適用する場合には、停止表示された再遊技を示す図柄の組合せと同様に、停止表示された小役を示す図柄の組合せに複数の種類を設けることもできる。具体的には、「再遊技1」、「再遊技2」に代えて、「小役1」の文字を含む図柄の3つ揃えと、「小役2」の文字を含む図柄の3つ揃えそれぞれを、小役を示す図柄の組合せとして設けるとともに、「小役2」の文字を含む図柄が3つ揃ったときには、「小役1」の文字を含む図柄が3つ揃ったときよりも、相対的に有利な遊技状態に移行し易くするように設定する。
【0070】
ただし、払出処理中に適用するにあたり、再設定処理中と異なる点としては、払出予定数を考慮したクレジットメダル数が上限値以上である場合には、ブロッカー22を第1位置に変位させ投入メダルを返却させる点が挙げられる。
【0071】
具体例として、リール42回転中のクレジットメダル数が「34」であり、「15」枚の入賞役が停止表示された場合において、クレジットメダル増加途中(例えば、「40」)のときに、「5」枚のメダルが投入された場合には、「4」枚のメダルは返却される。
これは、クレジットメダルの上限値が「50」であるのに対して、クレジットメダル数が「49」(=34+15)になることが小役入賞によって確定しており、1枚しかクレジットメダル数の増加できる余地が無いためである。
以上のような払出処理中にメダルの受け付けを許容することにより、再設定処理と同様に、次回遊技を実行できない払出処理中の期間を有効活用できるとともに、「折角メダルを投入したのに、メダルが返却される」という不快感を遊技者に与えないようにすることができる。
【0072】
なお、払出処理中において投入されたメダルについては、クレジットメダルへの加算のみに使用されるようにし、払出処理中において次回遊技のための掛け数設定を行えないことにすることもできるが、払出処理中において投入されたメダルを、クレジットメダル数への加算よりも次回遊技のための掛け数設定に優先的に使用するようにし、払出処理中に掛け数設定を行えるようにしてもよい。
この制御を上記例に当てはめると、払出処理中に投入された「5」枚のメダルのうち、最初の「3」枚が次回遊技の掛け数として設定され、「4」枚目のメダルがクレジットメダル数に加算され、「5」枚目のメダルが返却されるということになる。
【0073】
なお、払出処理中に掛け数設定を行えるようにした場合、ブロッカー22が第1位置に変位されるまでのメダル枚数としての投入可能数(受付可能数)は、以下の式で求めることが考えられる。
投入可能数=(クレジットメダル上限値+最大掛け数)−(払出予定数加算前のクレジットメダル数+払出予定数)
具体例として、リール41回転中のクレジットメダル数が「34」であり、「15」枚の入賞役が停止表示された場合において、クレジット増加途中(例えば、「40」)のときに、「5」枚のメダルが投入された場合には、「1」枚のメダルが返却される。
これは、クレジットメダル上限値の50と最大掛け数の「3」との和である「53」から、払出予定数加算前のクレジットメダル数の「34」と払出予定数である「15」との和である「49」を引いた値が「4」であり、この投入可能数としての「4」のうち「3」を掛け数として設定し、残りの「1」をクレジットメダル数に加算した(投入された)時点でブロッカー22を第1位置に変位するように制御し、投入メダルが返却される状態で「5」枚目のメダルが投入されることになるため、「1」枚のメダルのみ返却されるのである。
このように、払出処理中に掛け数設定を行えるようにすることで払出処理中の期間を有効活用できる。
【0074】
以上のような、払出処理中の制御は、ROMなどの記憶手段に記憶されたプログラム、すなわち、払出処理中のブロッカー制御処理を主制御部10(CPU)が実行することにより実現される。
図10は、このプログラムの手順を示すフローチャートであり、通常遊技状態における小役1の入賞に係る払出処理中に所定の周期で繰り返し実行されるプログラムのフローチャートを示している。
【0075】
このプログラムでは、まず、主制御部10は、停止ボタン5などの操作手段が遊技者の操作を受け付け中か否かを判定する(S11)。
受け付け中と判定したときには(S11−Yes)、第1位置を維持する、又は、第1位置に変位するようにブロッカー22を動作させることにより、検出センサ23がメダルMを検出不能な状態、すなわち、クレジットメダルを受け付け不可の状態に制御する(S15)。
受け付け中ではないと判定したときには(S11−No)、払出予定数を加算したクレジットメダル数を算出する(S12)。
そして、さらに、S12において算出したクレジットメダル数が上限値か否かを判定する(S13)。
クレジットメダル数が上限値に等しいとき又は上限値を超えるときには(S13−Yes)、第1位置を維持する、又は、第1位置に変位するようにブロッカー22を動作させることにより、検出センサ23がメダルMを検出不能な状態、すなわち、クレジットメダルを受け付け不可の状態に制御する(S15)。
一方、算出したクレジットメダル数が上限値に満たないと判定したときには(S13−No)、第2位置を維持する、又は、第2位置に変位するようにブロッカー22を動作させることにより、検出センサ23がメダルMを検出可能な状態、すなわち、クレジットメダルを受け付け可の状態に制御する(S14)。
なお、本実施形態では、払出処理中であって、ブロッカー22が第2位置に存在するときに、停止ボタン5の操作を受け付けると、ブロッカー22が第1位置に変位するようになっているが、一度第1位置から第2位置に変位した場合には、その後停止ボタン5の操作を受け付けつけても、第2位置を維持するようにしてもよい。
【0076】
このようなプログラムにより、通常遊技状態における小役1入賞に係る払出設定処理の実行中において、操作手段が遊技者の操作を受け付けているときには、メダル投入口2から投入されるメダルがクレジットメダルとして受け付けられず、操作手段が遊技者の操作を受け付けていないときには、メダル投入口2から投入されるメダルがクレジットメダルとして受け付けられることになる。
【0077】
なお、払出処理中の変形例として、以下のような制御を実行することができる。
例えば、上限値まで受け付け可能なクレジットメダル数にかかわらず、入賞役又は払出数に応じて、受け付け可能なクレジットメダル数を予め定めてもよい(例えば、5枚払出役=5枚受け付け可能、10枚払出役=4枚受け付け可能、15枚払出役=3枚受け付け可能など)。
また、上記例のように、払出数が少ないほど、受付け可能数を多く設定することで、払出処理中における無駄なメダルの投入を防ぐことが可能になる。
再設定処理中及び払出処理中の両処理で、メダルの投入の受け付けを許容したが、何れか一方又は両方の処理で受け付けを制限してもよい。また、遊技状態に応じて、何れか一方又は他方の処理についての受付けを制限してもよい。
【0078】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1は、再設定処理中や払出処理中において、遊技者が操作手段から手を離すことで、メダル投入口2から投入されるメダルがクレジットメダルとして受け付けられるので、「折角メダルを投入したのに、メダルが返却される」という不快な思いをしなくても済む。
また、遊技者が操作手段(例えば、停止ボタン)から手を離すことで、ソレノイドが「オン」になることから、遊技者はソレノイドの「オン」動作により操作手段(例えば、停止ボタン)から伝達される振動を感じずに済む。
【0079】
一方、従来の遊技機では、再設定処理中に投入されるメダルがメダル払出口から返却されてしまうため、遊技者に不快感を与えていた。
本実施形態のスロットマシン1によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部などを解決することができる。
【0080】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0081】
例えば、メダル投入口2からメダルの投入を受け付けたときにスピーカ9からメダル投入音が出力されるものとし、掛け数設定ボタン6a〜6cの押下操作時及び再設定処理中における掛け数設定時において、スピーカ9から掛け数設定音を出力するものとし、再設定処理中にメダル投入口2からメダルを受け付けた場合には、メダル投入音及び掛け数設定音のうち、いずれか一方又は両方の出力を実行してもよいし、両方の出力を実行しなくてもよい。
【0082】
また、表示器8における演出として、「リプレイ中でもメダルの投入が可能です。」などの再設定処理中においてもメダルの投入を受け付け可能な旨の報知を行うことができる。
なお、上記演出を実行可能である場合において、上記報知が行われなければ、ボーナス確定としてもよい。
【0083】
また、本実施形態では、本発明をスロットマシンに適用したがパチンコ(例えば、玉スロ)などその他の遊技機に適用することもできる。
また、メダル、遊技球等の現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてゲームを実行可能な、いわゆる封入式遊技機にも、本発明を適用することができる。
【0084】
また、本実施形態では、表示手段としてモータにより駆動制御されるリールを用いたが、これに代えて又はこれに加えて、液晶表示器などの表示器にリール等の図柄が変動する画像を表示させることにより、表示器を識別情報の表示手段として用いることもできる。