(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6330175
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】農業用LED照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 4/26 20160101AFI20180521BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20180521BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20180521BHJP
H05B 37/02 20060101ALI20180521BHJP
G09F 13/04 20060101ALN20180521BHJP
G09F 13/20 20060101ALN20180521BHJP
A01G 7/00 20060101ALN20180521BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20180521BHJP
【FI】
F21S4/26
F21V31/00
F21V33/00 400
H05B37/02 H
!G09F13/04 Z
!G09F13/20 G
!A01G7/00 601A
F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-84956(P2014-84956)
(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公開番号】特開2014-225442(P2014-225442A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2017年1月5日
(31)【優先権主張番号】特願2013-86948(P2013-86948)
(32)【優先日】2013年4月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392000486
【氏名又は名称】株式会社エルム
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮原 隆和
(72)【発明者】
【氏名】桐原 弘
【審査官】
當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−019104(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0027778(US,A1)
【文献】
特表2012−513103(JP,A)
【文献】
特開2011−090849(JP,A)
【文献】
特開2002−199816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 4/26
F21V 31/00
F21V 33/00
H05B 37/02
A01G 7/00
G09F 13/04
G09F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の導線と、
前記2本の導線間に並列に接続された、赤色光を発する複数の第1LED部と、
前記2本の導線間に並列に、前記第1LED部とは逆の極性に接続された、白色光を発する複数の第2LED部と、
前記2本の導線の間に印加される直流電圧の極性を反転させる切換装置と
を備え、前記第1LED部、前記第2LED部は、1つのLEDチップ又は直列に接続された複数のLEDチップから成ることを特徴とする農業用LED照明装置。
【請求項2】
前記第1LED部と前記第2LED部とこれらが接続されている導線の部分とが、不透水性で透明又は半透明なホース状の外装により覆われていることを特徴とする請求項1に記載の農業用LED照明装置。
【請求項3】
前記第1LED部と前記第2LED部がそれぞれ個別のカプセル状の外装に覆われ、これらが接続されている導線の部分が不透水性で柔軟なチューブ状の外装により覆われていることを特徴とする請求項1に記載の農業用LED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の発光ダイオード(LED)を有する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
菊の栽培方法の一つに電照菊栽培がある。この方法は、花芽が形成される前に人工的に光を照射することにより、花芽の形成を抑制して開花時期を遅らせる方法である。従来、電照菊栽培用の照明器具には白熱電球が使用されてきた。しかし、白熱電球は消費電力量が多く、発光効率も悪い。また、2008年に経済産業省が、地球温暖化・環境保護の観点から消費電力量の多い白熱電球の製造・販売を2012年をめどに自主的に中止するようメーカーに要請したことに伴い、電照菊栽培用の照明として、白熱電球はLED電球や電球型蛍光灯に置き換わりつつある。ここで、電照菊において600〜640 nmの波長付近の赤色光が花芽形成抑制効果を有することが分かっているため、電照菊栽培では、赤色LEDが用いられる。
【0003】
電照菊は、ビニールハウス或いは露地で栽培が行われている。露地栽培では照明器具が風雨や太陽光に直接曝されるため、電球型の照明器具では、口金が錆びる、電球内部に水が入る、外側の樹脂材料が劣化し易いなどの問題がある。
【0004】
そこで、電照菊の露地栽培では、透明又は半透明なホース等の封止材中に多数のLEDを並べて封入したホース式LED発光装置を使用することが提案されている。
ホース式LED発光装置としては、例えば、特許文献1に開示されているような、導線で接続された複数のLEDを、ポリマー材料又はエラストマー材料から成る封止材の内部に封止したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2012-513103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
花芽形成抑制のために用いられる赤色LEDの光では手元が暗く、特に夜間には作業しにくい。そこで、作業時には、赤色LEDの照明とは別に作業用の白色照明が用いられている。このように花芽形成抑制用の照明とは別に作業用の照明を備えることは不便であることから、複数色の光を切り換え可能に備えたLED照明の開発が要望されている。
【0007】
特許文献1に記載のホース式LED発光装置は、赤色、緑色、青色の3原色の各LEDと白色LEDの計4個のLEDを2個ずつ、3本の導線の隣り合う2本の導線間に並列に接続したものを一組とし、この組を多数接続したものを封止材の内部に封入して成る。2本の導線間に接続された2個のLEDの各々は、逆の極性に接続されており、各導線の電圧をHigh/Lowに切り換えて各LEDに流れる電流の向きを切り換えることで、2個のLEDのうちの一方をオンに、他方をオフにすることができる。この構成により、4つの色のうち任意の色のLEDを発光させたり、色を組み合わせることができるとしている。
【0008】
しかし、特許文献1に記載のホース式LED発光装置では、3本の導線の電圧をHigh/Lowに切り換えているため、発光させるLEDの切換操作が複雑である。また、4色のLEDを一組とし、この中で発光させるLEDを切り換える構成であるため、組毎にオン、オフを切り換えることができない。そのため、発光装置全体としては、各色のLED毎に発光する位置を変えることはできず、また発光する各色のLEDの発光密度を変えることもできない。
【0009】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、本発明の目的は、構造が簡単で、発光するLED位置の切換が容易で、また、LEDの発光密度を容易に変えることができるLED照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明に係るLED照明装置は、
2本の導線と、
前記2本の導線間に並列に接続された、複数の第1LED部と、
前記2本の導線間に並列に、前記第1LEDとは逆の極性に接続された、複数の第2LED部と、
前記2本の導線の間に印加される直流電圧の極性を反転させる切換装置と
を備え、前記第1LED部
及び前記第2LED部は
それぞれ、1つのLEDチップ又は直列に接続された複数のLEDチップから成ることを特徴とする。
【0011】
ここで、1つのLEDチップや複数のLEDチップは、チップそのものの形態であるほか、砲弾状の樹脂に封入されたLED電球の形態であってもよい。
【0012】
本発明に係るLED照明装置によれば、1つのLEDチップ又は直列に接続された複数のLEDチップから成る第1LED部と第2LED部は、どちらも単に2本の導線間に並列に接続されているだけであるが、極性が逆になるように接続されている(すなわち、2本の導線へのアノードとカソードの接続方向が逆である)ため、2本の導線の間に直流電圧が印加されると、この状態で正接続となっている第1LED部又は第2LED部のいずれか一方のみが発光する。切換装置によって直流電圧の極性を反転させると、第1LED部又は第2LED部の正接続・逆接続が逆転するため、それまでに発光していたLED部のLEDチップは消光し、他方のLED部のLEDチップが発光する。従って、本発明に係るLED照明装置では、第1LED部と第2LED部の配置を適宜工夫することによって、容易にLEDの発光位置や発光密度を変えることができる。
【0013】
前記第1LED部のLEDチップと前記第2LED部のLEDチップは互いに異なる色であることが望ましい。
【0014】
この場合、色の切換が容易にでき、しかも、色毎のLED部の発光位置や発光密度を容易に変えることができる。そのため、1つの照明装置を、2以上の照明として用いることが可能となる。
【0015】
本発明に係るLED照明装置は、前記第1LED部と前記第2LED部とこれらが接続されている導線の部分とが、不透水性で透明又は半透明なホース状の外装により覆われていることが望ましい。
【0016】
或いは、各LED部を個別に不透水性で透明又は半透明なカプセル状の外装により覆い、隣接LED部を接続する導線の部分を不透水性のチューブ状の外装により覆うというようにしてもよい。
これらの構成により、LED部や導線の防水性を高めることができ、屋外での使用に、より長時間耐え得る照明装置を提供することが可能となる。
【0017】
本発明の1つの態様において、前記第1LED部の1個又は複数個のLEDチップが赤色であり、前記第2LED部の1個又は複数個のLEDチップが白色である。
【0018】
この構成により、1つの照明装置を、用途に合わせて、ある時は赤色光照明として用い、またある時は白色光照明として用いることができる。
【0019】
さらには、第1LED部又は第2LED部が複数のLEDチップから成る場合、それらのLEDチップは同色であってもよいし、色が異なるものであってもよい。以下の各態様においても同様であり、以下、「LED部の色」と言う場合、そのLED部が1個のLEDチップから成る場合にはそのLEDチップの色を、複数のLEDチップから成る場合はそれらのLEDチップの混合色を言う。
【0020】
また、本発明の別の態様として、隣接する前記第1LED部と前記第2LED部の配置間隔(距離)を短くし、且つ前記切換装置による直流電圧の極性反転を高速で行うというLED照明装置を挙げることができる。このようなLED照明装置において、第1LED部と第2LED部に互いに異なる色のものを用いた場合、それらの中間色(すなわち、第1LED部の色と第2LED部の色の混色)を表現することができるようになる。この中間色は、第1LED部と前記第2LED部の点灯時間を互いに異ならせる(すなわち、デューティ比を変化させる)ことにより、その程度を変えることができる(すなわち、第1LED部の色に近い色から第2LED部の色に近い色まで、様々な色調の中間色を得ることができる)。このような効果を得るための第1LED部と第2LED部の配置間隔(距離)は、このLED照明装置と視認者の間の距離に依存するが、概ね、視野角で1°程度以内となるようにしておくとよい。例えば、LED照明装置と視認者の間の距離が1 mであるとした場合、第1LED部と第2LED部の配置間隔(距離)を約17 mm以下としておけばよい。また、10 m先から視認されることが予定されるLED照明装置であれば、第1LED部と第2LED部の配置間隔(距離)は約170 mm以下としておけばよい。また、直流電圧の極性反転の速度は、動画のフレーム速度である30 Hzの半分程度(すなわち、15 Hz)以上であればよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るLED照明装置によれば、第1LED部と第2LED部が、2本の導線間に並列に、且つ互いに極性が逆になるように複数接続されるという簡単な構造でありながら、2本の導線の間に印加する直流電圧の極性を切換装置で反転させるのみで、発光するLEDの位置を変えることができ、これにより全体としてLEDの発光密度を変えることができる。第1LED部の色と第2LED部の色が互いに異なる色である場合は、色の切換が容易にでき、しかも、色毎のLEDの発光位置や発光密度を容易に変えることができるため、1つの照明装置を、2以上の照明として用いることが可能となる。
また、第1LED部と第2LED部の間の距離を小さくし、その切換速度(極性反転速度)を十分大きくすることにより、両LED部の色の中間色を表現することができるようになる。さらに、そのデューティ比を変えることにより、様々な中間色を表現することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係るLED照明装置の第1実施例の概略回路図。
【
図2】同実施例のLED照明装置がホース状の外装に覆われた状態を示す概略図。
【
図3】本発明に係るLED照明装置の第2実施例の概略回路図。
【
図4】LED部が個別のカプセル状の外装に覆われ、接続されたLED照明装置を示す概略図。
【
図5】第1実施例の変形例のLED照明装置の概略構成図。
【
図6】本発明に係るLED照明装置の第3実施例の概略構成図。
【
図7】同実施例の変形例のLED照明装置の発光ブロックの概略構成図。
【
図8】同実施例のLED照明装置の使用例の概略図。
【
図9】同実施例の別の変形例のLED照明装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施例)
図1は、本発明に係るLED照明装置の第1実施例の概略回路図である。
【0024】
本実施例に係るLED照明装置1は、2本の導線L1、L2と、これら導線L1、L2間に並列接続された複数の赤色LED11及び白色LED12と、2本の導線L1、L2の間に印加される直流電圧の極性を反転させることができ、かつOFFにすることができる切換スイッチ25とを備えている。すなわち、本実施例においては第1LED部、第2LED部がそれぞれ1個のLEDチップから成る。なお、以下、LEDチップを単にLEDと呼ぶ。赤色LED11と白色LED12の明るさを調整するため、各LED11、12に直列に抵抗や定電流ダイオード等を接続して定電流回路を構成してもよい。
赤色LED11と白色LED12は、極性が逆になるように2本の導線L1、L2間に接続されている。すなわち、2本の導線L1、L2へのアノードとカソードの接続方向が逆であり、例えば、赤色LED11が正接続ならば、白色LED12は逆接続となっている。
直流電圧は、DC7V〜DC24Vを用いる。電源にはバッテリーを用いてもよいし、商用AC100V電源からACアダプタなどの整流電源回路を用いて直流電圧を得てもよい。
切換スイッチ25としてはOFFを含む3接点スイッチを用いたが、直流電圧の極性を反転させることがきるものであれば特に限定されることはなく、例えば、MOSFETを4個使用したHブリッジ方式での正逆切換回路や、DCブラシモータ用の専用ドライバIC(例えば、TA8429H/TA8429HQ、東芝製)などの正逆切換ドライバを用いることもできる。
【0025】
図1では赤色LED11と白色LED12は1個ずつ交互に配置されているが、これは任意であり、赤色LED11を10個に対して白色LEDを1個等と、目的に応じてそれぞれの個数や配置(隣接LED間の距離)を適宜設定することができる。例えば電照菊栽培用の場合、導線3 m当たり約6 W程度となるようにLEDを配置することが望ましい。例えば1個の赤色LEDの消費電力が40 mWである場合、導線1 mに赤色LEDを約50個配置する。
また、白色光を、視界が多少暗くても問題ない軽作業が出来る程度の照度の確保のために使用する場合は、白色LED12は導線1 m当たり約0.5 W〜1 W程度でよい。例えば1個の白色LEDの消費電力が50 mWである場合、導線1 mに白色LEDを10〜20個程度配置する。
【0026】
本実施例に係るLED照明装置1によれば、赤色LED11と白色LED12は、どちらも2本の導線L1、L2間に並列に接続されているが、極性が逆になるように2本の導線L1、L2へ接続されているため、2本の導線L1、L2の間に直流電圧が印加されると、この状態で正接続となっているLED(例えば、赤色LED11)のみが発光する。切換スイッチ25によって直流電圧の極性を反転させると、赤色LED11と白色LED12の正接続・逆接続が逆転するため、直流電圧の極性を反転させる前に正接続となって発光していた色のLED(赤色LED11)は消光し、直流電圧の極性を反転させる前に発光していなかった色のLED(白色LED12)が正接続となって発光する。赤色LED11と白色LED12の配置されている位置は異なるため、直流電圧の極性を反転させると、発光するLEDの色が切り換えられるとともに、LEDの発光位置も変化する。上述のように、赤色LED11を10個に対し白色LED12を1個配置するという構成の場合、色の切換とともに色毎のLEDの発光密度も変化する。
以上のように、本実施例のLED照明装置1は簡単な構造でありながら、発光するLED位置の切換を容易にすることができ、また、色の切換やLEDの発光密度の変更を容易にすることができる。
【0027】
図2は、上記実施例のLED照明装置1がホース状の外装31に覆われた状態を示す概略図である。
ホース状の外装31は、不透水性で透明又は半透明な材料から成るものであれば特に限定されず、その例として、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、エチレン、ビニルアセテート、ポリメチルメタクリレートなどのポリマー材料やシリコンゴム等のエラストマー材料が挙げられる。
【0028】
これにより、照明の明るさを保ったままLEDや導線の防水性を高めることができ、屋外での使用に、より長時間耐え得る照明装置を提供することが可能となる。
【0029】
(第2実施例)
図3は、本発明に係るLED照明装置の第2実施例の概略回路図である。本実施例のLED照明装置2では、
図1の2本の導線L1、L2間に並列接続されている1個の白色LED12(すなわち、白色のLED部)が、白色LED22を2個直列に接続したものと置換されている。すなわち、本実施例においては、第1LED部が1個のLEDから成り、第2LED部が直列に接続された2個のLEDから成る。赤色LED11と白色LED22にほぼ一定の適切な電流が流れるようにするために、それらLED11、22に直列に抵抗や定電流ダイオードを接続し、定電流回路を構成してもよい。本実施例のLED照明装置2のその他の構成は第1実施例と同じである。
これは一例であり、並列に接続する直列LEDの個数は任意に設定することができる。このように複数個のLEDを直列接続し、電源の電圧を高くすることにより、一般の12 Vや24 Vの直流電源が使えるようになり、更には、商用電源からの整流後の降圧回路を省略することができるようにもなる。
【0030】
図4は、LED部が個別のカプセル状の外装32に覆われ、接続されたLED照明装置を示す概略図である。2本の導線L1、L2間に並列接続されている1個の赤色LED11と直列接続された2個の白色LED22(すなわち、LED部各々)は、それぞれ、個別のカプセル状の外装32、例えばポリカーボネートからなる、不透水性の透明(半透明でもよい)で硬質な直径20〜30 mmのカバー内に個別に封入されている。各球形の外装32の間の導線部は、不透水性で柔軟なチューブ状の外装33、例えばポリ塩化ビニルから成るケーブルなどによって被覆されていることが望ましい。
【0031】
この構成により、本実施例のLED照明装置2は例えば屋外のイルミネーション用照明として使用することができる。
【0032】
第1実施例、第2実施例では、2本の導線間に並列に接続されたLED部が線状に配置されたものについて説明したが、LED部の配置は必ずしも線状に限定されることはなく、面状(2次元状)に配置してもよい。この場合、第1LED部と第2LED部は交互に(千鳥状に)配置するのではなく、それぞれの配置態様が互いに異なるようにしてもよい。すなわち、
図5に示すように、第1LED部35で第1の文字や図柄を構成するように配置し、第2のLED部36で第2の文字や図柄を構成するように配置すれば、直流電圧の極性を反転することにより2種の文字や図柄を切り換えて表示することができるようになる。
【0033】
(第3実施例)
図6は、本発明に係るLED照明装置の第3実施例の概略回路図である。
本実施例のLED照明装置4では、2本の導線L1、L2間に、赤色LED41と緑色LED43が交互に、互いに極性が逆になるように、並列に接続されている。1個の赤色LED41と1個の緑色LED43で1つの発光ブロック44を形成しており、この発光ブロック44内の赤色LED41と緑色LED43の配置間隔(距離)aは、約10 mmである。発光ブロック44は筐体内に配置され、赤色LED41と緑色LED43の発光部分のみが外部から視認できるようになっている。各発光ブロック44間の導線部は、不透水性で柔軟なチューブ状の外装34(例えばポリ塩化ビニルから成るケーブルなど)によって被覆されている。さらに、本実施例のLED照明装置4は、第1実施例の切換スイッチ25の代わりに、約30 Hzの矩形波交流を発生する矩形波交流発生回路45を備える。その他の構成は第1実施例と同じである。
【0034】
本実施例のLED照明装置4では、発光ブロック44内に配置された1個の赤色LED41と1個の緑色LED43の切換速度は約30 Hzと高速で、また、隣接する赤色LED41と緑色LED43の配置間隔aが約10 mmと短いため、各発光ブロック44は、赤色と緑色の中間色(混色)である黄色で発光しているように見える。
【0035】
混色は、各発光ブロック44に配置する2色のLEDの色を工夫することによって様々な色とすることができる。例えば、LEDの色として、赤色、緑色、青色、黄色、白色があり、さらに白色には色温度が3000 K、5000 K、7000 Kと異なる3種類のものがある場合、これらのLEDから2色を組み合わせる場合の数は、色温度が異なる白色LED同士の組み合わせを除くと、全部で18通りとなり、18の中間色(混色)を表現することができる。
【0036】
中間色の色調は、各発光ブロック44内の2色のLEDの点灯時間比率(デューティ比)を変えることによって調整することができる。前掲の赤色、緑色、青色、黄色、白色3000 K、白色5000 K、白色7000 Kの例の場合、デューティ比を100通りに変化させると、理論的には1800通りの中間色が表現できることとなる。
【0037】
この、中間色を白色とすることもできる。すなわち、1つの発光ブロック44内に配置する2色のLEDを赤色とシアン色(青色と緑色の混色でもよい)とすれば、それらを高速で切り換えることにより、白色を表現することができる。そして、例えば、スライドスイッチなどを用いてそのデューティ比を変化させることにより、白色を中心として、赤色からシアン色の間で様々な色を表現することができる。
【0038】
1つの発光ブロック44内に配置する2色のLEDは1個ずつである必要はなく、
図7(a)及び(b)に示すように、2個ずつであってもよく、さらに多数個ずつ密に配置されているものであってもよい。
【0039】
また、中間色の色調は、1つの発光ブロック44内に配置する2色のLEDの個数(強度の割合)を変えることによっても変えることができる。例えば
図7(c)のLED照明装置のように、1つの発光ブロック44において、2個の赤色LED41の間に1個の緑色LED43を配置すれば、オレンジ色を表現することができる。なお、
図7では、発光ブロック44内の配線や各発光ブロック44間の導線部の外装は図示を省略している。
【0040】
このようなLED照明装置は、例えばサインモジュールなどの屋外のイルミネーション用照明として好適に用いることができる。
【0041】
図8は本実施例のLED照明装置4の具体的な使用例を示す図である。
図8では1本の線が本実施例の1つのLED照明装置4を表している。本実施例のLED照明装置4は、
図8(a)に示すように、平面的に又はカーテン状に密に吊り下げて配置してもよいし、
図8(b)に示すように、シャンデリアのように三次元的に密に吊り下げて配置してもよい。これにより、様々な発光を演出することができる。
【0042】
なお、本実施例では、電源電圧の極性を反転させるために矩形波交流発生回路45を用いたが、商用の交流電源(50 Hz又は60 Hz)を降圧し、そのまま直接2本の導線L1、L2に接続してもよい。
【0043】
図9に、第3実施例の変形例のLED照明装置5の概略構成図を示す。本実施例のLED照明装置5の発光ブロック54内では、赤色LED51と緑色LED53が千鳥状に配置されており、各列の同色の複数のLED51又は53が発光ブロック54内の両側辺に配設された2本の導線L1、L2間に直列に接続されている。なお、ブリッジ配線が可能であれば、第1LEDと第2LEDを交互に並列に並べてもよい。隣接する2色のLED51、53間の配置間隔は、このLED照明装置5と、これを視認すると想定される人(又は人々)との間の距離に応じて適宜設定する。その他の部分は第3実施例と同様である。
【0044】
このLED照明装置5においても、第3実施例と同様に、矩形波交流発生回路45のデューティ比を変えることにより、2色のLED51、53から様々な色調の中間色の照明を作ることができ、パネル状の照明として、例えば看板のバックライトなどの屋外のイルミネーション用照明として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
1、2、4、5…LED照明装置
11、41、51…赤色LED
12、22…白色LED
25…切換スイッチ
31…ホース状の外装
32…カプセル状の外装
33、34…チューブ状の外装
43、53…緑色LED
44、54…発光ブロック
45…矩形波交流発生装置
L1、L2…導線