(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天井側の蓄熱体との間に空間を設けて天井面を形成するように配置された輻射パネル本体の裏面側に配置された伝熱管に、所定の温度に加熱又は冷却した熱媒体を供給する熱源装置を制御するための制御装置であって、
所定の期間に室内に発生した空調負荷を算出する算出手段と、
空調負荷と電力料金削減率の最も高い熱媒体の温度との関係を示す第1の関係情報、及び空調負荷と前記熱源装置の成績係数の最も高い熱媒体の温度との関係を示す第2の関係情報を記憶する記憶手段と、
前記第1の関係情報又は前記第2の関係情報を選択する選択手段と、
前記算出手段が算出した前記空調負荷に対応する前記熱媒体の温度を、前記選択手段によって選択された前記第1の関係情報又は前記第2の関係情報から取得して出力する出力手段と、
を有する制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0012】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る空気調和システムの概略の構成例を示す図である。このシステムは、天井に敷設された輻射パネルと天井側のスラブとの組み合わせによる躯体蓄熱式輻射空調システムである。
【0013】
この空気調和システム1は、建築物100の室内110の天井側に敷設された輻射パネル2と、熱源装置としての熱源機3と、熱源機3を制御する制御装置4とを備える。
【0014】
建築物100は、例えば、オフィスビル等であり、主としてコンクリートで形成された蓄熱体としての壁部120と、主としてコンクリートで形成され、各階を仕切る蓄熱体としてのスラブ130とを備える。なお、建築物100は、オフィスビルに限らず、戸建て住宅、集合住宅、工場、病院、公共施設、高層建築物等でもよい。
【0015】
(輻射パネル2の構成)
輻射パネル2は、輻射パネル本体としてのパネル本体20と、パネル本体20の裏面20aに設けられた伝熱保持部材21と、伝熱保持部材21に保持され、熱媒体(例えば、水)を流通させる伝熱管22とを備える。なお、伝熱管22は、伝熱保持部材21以外の方法でパネル本体20に保持されていてもよい。また、輻射パネル2は、複数の矩形状のパネル本体20と、各パネル本体20の伝熱保持部材21に保持された伝熱管22によって構成されていてもよい。
【0016】
パネル本体20及び伝熱保持部材21は、熱伝導率の高い材料、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、鋼板等の金属から形成されている。
【0017】
伝熱管22は、例えば、ポリウレタン等の樹脂を主たる構成材料として形成されたものや、銅等の金属から形成されたものを用いることができる。
【0018】
(熱源機3の構成)
熱源機3は、例えば、圧縮機、凝縮器、蒸発器等を備え、四方弁を用いて冷媒の流れを逆転させることで、冷房運転モードと暖房運転モードとを切り替えられるように構成されている。
【0019】
また、熱源機3には、室内110の温度(室温)を検出する温度センサ5が接続されている。熱源機3は、空調時間帯(例えば、8:00〜18:00)では、温度センサ5によって検出された室温が制御装置4によって設定された温度(設定温度)付近を維持するように、供給ライン31を介して伝熱管22に供給する熱媒体の温度を制御(フィードバック制御)するように構成されている。すなわち、このフィードバック制御では、熱媒体の流量を一定とし、熱媒体の温度を制御する。なお、熱源機3は。空調時間帯の初期においては冷房運転モード又は暖房運転モードに応じて予め定められた温度の熱媒体を供給ライン31を介して伝熱管22に供給する。
【0020】
また、熱源機3は、蓄熱時間帯(例えば、22:00〜8:00)では制御装置4によって設定された温度に熱媒体を冷却(冷房運転モード時)又は加熱(暖房運転モード時)して供給ライン31を介して伝熱管22に供給する。輻射パネル2に供給された熱媒体は、伝熱管22を通り、戻りライン32を介して熱源機3に戻る。
【0021】
(制御装置4の構成)
制御装置4は、熱源機3を制御する制御部40と、各種の情報を記憶する記憶部41と、各種の情報の入力と表示を行う操作表示部42とを備える。
【0022】
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)等を有し、記憶部41に記憶されたプログラム410を実行することにより、算出手段の一例としての空調負荷算出部400、水温設定部401、室温設定部402等として機能する。
【0023】
記憶部41は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等から構成され、プログラム410、第1の制御情報411a、第2の制御情報411b等を記憶する。
【0024】
第1の制御情報411aは、電力料金の低減が図れる省コストモードのための後述する
図9に対応する情報である。第2の制御情報411bは、24時間の蓄放熱サイクルの成績係数(システムCOP)の最大化が図れる省エネルギーモードのための後述する
図10に対応する情報である。ここで、「成績係数」とは、消費電力1kW当たりの冷房能力(kW)又は暖房能力(kW)を表したものである。第1及び第2の制御情報411a、411bは、空調負荷と熱媒体の温度との関係を示す関係情報の一例である。
【0025】
操作表示部42は、例えば、タッチパネルディスプレイであり、液晶ディスプレイ等のディスプレイの前面にタッチパネルを重合配置した構成を有する。操作表示部42は、空調時間帯用の運転モード選択画面で冷房運転モード又は暖房運転モードを選択し、選択した冷房運転モード又は暖房運転モードでの目標となる室温を選択できるように構成されている。また、操作表示部42は、蓄熱時間帯用の運転モード選択画面で省コストモード又は省エネルギーモードを選択できるように構成されている。
【0026】
空調負荷算出部400は、例えば、昼間の空調時間帯(例えば、8:00〜18:00)における昼間の空調負荷を次の式により算出する。なお、昼間は所定の期間の一例である。
昼間の空調負荷=昼間の空調負荷の積算値/(昼間の空調時間×室内の床面積)
・・・式(1)
ここで、昼間の空調負荷の積算値=熱媒体の比熱・密度・流量・(熱源機3の入口及び出口の温度差)・時間から求められる。なお、式(1)を用いて所定の期間(例えば3日間)連続して昼間の空調負荷の積算値を求め、この積算値から一日の昼間の空調負荷を算出し、その一日の空調負荷を毎日更新してもよい。
【0027】
水温設定部401は、ユーザが操作表示部42を操作して選択された省コストモードに対応する第1の制御情報411a又は省エネルギーモードに対応する第2の制御情報411bから、空調負荷算出部400が算出した空調負荷に対応する熱媒体の温度を取得し、その温度を蓄熱時間帯の温度として熱源機3に対して設定する。
【0028】
室温設定部402は、操作表示部42を操作して選択された運転モードと目標となる室温を熱源機3に対して設定する。
【0029】
第1又は第2の制御情報411a、411bに基づいて熱媒体の温度を設定することにより、昼間(例えば、8:00〜18:00)に伝熱管22に供給する熱媒体の温度を第1の温度とし、夜間(例えば、22:00〜8:00)に伝熱管22に供給する熱媒体の温度を第2の温度とするとき、水温設定部401は、冷房運転モードでは、第2の温度は第1の温度(例えば、17℃)よりも低い温度(例えば、15℃)に設定し、暖房運転モードでは、第2の温度は第1の温度(例えば、23℃)よりも高い温度(例えば、25℃)に設定することになる。
【0030】
(蓄放熱サイクル)
図2は、
図1のA部に関する解析モデルを示す図である。この解析モデルの空調負荷としては、スキンロード(建物の外部から侵入する熱負荷)がないインテリアゾーン(室内空間)を想定して、一定の冷却負荷が発生しているものとする。また、天井側のスラブ130の厚さは、150mmとし、スラブ130上面は完全に断熱されているものとする。本明細書において「空調負荷」とは、室内110に滞在する人Pや電気製品111等から単位床面積当たりに発生する熱負荷のことである。
【0031】
空調負荷q
dは、室内110において対流熱伝達によって輻射パネル2の下面(パネル本体20の表面20b)に流入するq
cpと、輻射熱伝達によって輻射パネル2の下面(表面20b)に流入するq
rpとに分かれる。輻射パネル2の上面(パネル本体20の裏面20a)に達したこれらの熱流束q
cp、q
rpは、対流熱伝達によって天井側のスラブ130の下面130aに流入するq
csと、輻射熱伝達によって天井側のスラブ130の下面130aに流入するq
rsと、輻射パネル2の内部に到達して伝熱管22内を流れる熱媒体により外部へ排出されるq
wとに分かれる。スラブ130の内部には、スラブ130の下面130aから流入したq
cs、q
rsが蓄熱される。
【0032】
ここで、輻射パネル表面温度Tpに関する熱平衡式は、次のようになる。
q
cp+q
rp=q
w+q
rs+q
cs ・・・式(2)
また、室温Trに関する熱平衡式は、次のようになる。
q
cp+q
rp=q
d ・・・式(3)
【0033】
図3は、蓄放熱サイクルによる温度変化を示すグラフである。
図4は、蓄放熱サイクルを繰り返して周期定常となったある日の空調時間帯(8:00-18:00)の温度変化を示すグラフである。
図5は、蓄放熱サイクルを繰り返して周期定常となったある日の空調時間帯(8:00-18:00)の熱流束の変化を示すグラフである。
図3中、Trは室温、Toは、スラブ130の下面130aの温度(スラブ下面温度)、Tpは輻射パネル2の表面(パネル本体の表面20b)の温度(輻射パネル表面温度)、Twは熱媒体の温度(水温)である。
【0034】
図3、
図4、
図5は、
(i)蓄放熱サイクルは、22:00−8:00を蓄熱時間帯、8:00−18:00を空調時間帯、18:00−22:00を空調停止時間帯とする。
(ii)蓄熱時間帯は、水温Tw(蓄熱時の冷温水温度)を一定とし、空調時間帯は室温Trが27℃で一定となるように水温のフィードバック制御を行う。
(iii)空調時間帯は、一定の室内負荷(空調負荷)が発生し、蓄熱時間帯は室内負荷は発生しないものとする。
という条件の下で、空調負荷qd=50W/m
2、蓄熱時の水温Tw=12℃に設定した場合のものである。
【0035】
図3から、空気調和システム1の運転を開始してから4日目(72時間経過後)から昼間の水温Twが安定していることが分かる。すなわち、空気調和システム1の運転を開始してから4日目には、周期定常となったといえる。後述する
図4〜
図10は、周期定常状態におけるものである。なお、
図4〜
図10は、
図2に示す解析モデルにおける計算結果を示したものであり、実際の建物の構造(性能)や空調機3の性能、空調機3の運用等によっては実際は異なる結果となる。
【0036】
図4、
図5において、空調開始時はスラブ下面温度T
0が十分に低く、スラブ130からの熱流束q
cs、q
rsが大きいが、スラブ130が冷熱を放熱しながら徐々に温度上昇すると、スラブ130からの熱流束は低下し、それを補うために熱源機3は、水温Twを低下して熱流束q
wを増加させて空調負荷を処理する。
【0037】
このような空気調和システム1の性能を評価する指標として、熱量夜間移行率、電力料金削減率、システムCOPを以下のように定義する。
【0038】
熱量夜間移行率η
sfは、空調負荷の処理に用いた熱量のうちどれだけが夜間に使用した電力に由来するものかを表す効率であり、それを次式に示す。
η
sf=Q
rl/Q
d ・・・式(4)
ただし、
Q
rl:空調時間帯にスラブ130から放熱した熱流束q
cs、q
rsの積算値
Q
d:空調時間帯に発生した空調負荷q
dの積算値
【0039】
電力料金削減率は、ある空調負荷を処理するのに非蓄熱システムが要する電力料金に対し、蓄熱システムを導入することでどれだけの電力料金削減効果があったかを次式で表す。
電力料金削減率=(非蓄熱システムの電力料金−蓄積システムの電力料金)/非蓄熱システムの電力料金 ・・・式(5)
【0040】
システムCOP(Coefficient Of Performance)(COP
s)は、空調負荷を処理するために、昼夜間で熱源機3が投入した熱量と消費電力の比であり、それを次式に示す。
【0042】
図6は、蓄熱時の冷温水温度と熱量夜間移行率との関係を示すグラフである。
図7は、蓄熱時の冷温水温度と電力料金削減率との関係を示すグラフである。例えば、空調負荷が50W/m
2のとき、蓄熱時間帯も空調時間帯も冷温水温度19℃で空気調和システム1を運転した場合、熱量夜間移行率は、
図6に示すように14%であり、電力料金削減率は、
図7に示すように9%であった。
【0043】
しかし、
図7に示すように、空調負荷が50W/m
2のときの電気料金削減率は、蓄熱時の冷温水温度が11℃のときに最大になり、この時の電気料金削減率は、21%であり、熱量夜間移行率は、
図6に示すように、46%である。そこで本実施の形態では、蓄熱時の冷温水温度を空調時の冷温水温度よりも低い11℃とする。
【0044】
図7は、冷房運転モードにおける蓄熱時の冷温水温度と電力料金削減率との関係の一例を示す図である。同図は、夜間の電力料金が昼間の電力料金よりも安価なある料金体系になっている場合を示す。
図7から、各空調負荷30W/m
2、50W/m
2、70W/m
2、90W/m
2において、電力料金削減率が最大となる蓄熱時の冷温水温度が存在することが分かる。例えば、空調負荷が50W/m
2のときの電気料金削減率は、前述したように蓄熱時の冷温水温度が11℃のときに最大になっている。
【0045】
図8は、冷房運転モードにおける蓄熱時の冷温水温度とシステムCOPとの関係の一例を示す図である。
図8から、各空調負荷30W/m
2、50W/m
2、70W/m
2、90W/m
2において、システムCOPが最大となる蓄熱時の冷温水温度が存在することが分かる。例えば、空調負荷が50W/m
2のときのシステムCOPは、蓄熱時の冷温水温度が17℃のときに最大の6.0になっている。
【0046】
電力料金削減率とシステムCOPは、必ずしも両立できるものではない。例えば、空調負荷が50W/m
2のときに蓄熱時の冷温水温度を11℃とすれば、電気料金削減率が最大となるが、システムCOPは最大の6.0から5.0に低下してしまう。一方、空調負荷が50W/m
2のときに蓄熱時の冷温水温度を17℃とすれば、システムCOPが最大となるが、電力料金削減率は最大の22%から15%に低下してしまう。
【0047】
図9は、電気料金削減率が最大となる蓄熱時の冷温水温度と空量負荷との関係を示す第1の制御情報411aの一例である。
図9中、破線は
図7に基づく冷房運転モード時のものである。
図9中、実線で示す暖房運転モード時も
図7と同様に蓄熱時の冷温水温度と電力料金削減率との関係を示すグラフのピーク値から同様に求めることができる。
図10は、システムCOPが最大となる蓄熱時の冷温水温度と空量負荷との関係を示す第2の制御情報411bの一例である。
図10中、破線は
図8に基づく冷房運転モード時のものである。
図10中、実線で示す暖房運転モード時も
図8と同様に蓄熱時の冷温水温度とシステムCOPとの関係を示すグラフのピーク値から同様に求めることができる。
【0048】
(空気調和システムの動作)
次に、空気調和システム1の動作の一例を説明する。
【0049】
(1)冷房運転モードの昼間
ユーザは、操作表示部42に表示された空調時間帯用の運転モード選択画面で冷房運転モードを選択し、室温の目標となる温度を選択すると、室温設定部402は、熱源機3に対して冷房運転モードと目標の室温(設定温度)を設定する。また、ユーザは、操作表示部42に表示された蓄熱時間帯用の運転モード選択画面で省コストモードを選択したとする。
【0050】
熱源機3は、昼間の空調時間帯(例えば、8:00〜18:00)の初期では、冷房運転モードに対応して予め定められた温度(例えば、19℃)に冷却した熱媒体を供給ライン31を介して伝熱管22に供給する。その後の空調時間帯(例えば、8:00〜18:00)では、熱源機3は、温度センサ5によって検出された室温が制御装置4によって設定された温度(設定温度)付近を維持するように、熱媒体を冷却して供給ライン31を介して伝熱管22に供給する。
【0051】
伝熱管22に供給された熱媒体が伝熱管22を通過する間にパネル本体20との熱交換が行われ、パネル本体2の表面20bが輻射面となって輻射空調が行われる。
【0052】
(2)冷房運転モードの夜間
昼間の空調時間帯が過ぎて空調停止時間帯(例えば、18:00〜22:00)になると、空調負荷算出部400は、昼間の空調時間帯(例えば、8:00〜18:00)における熱源機3の使用電力量等からその日の昼間の空調負荷を算出する。
【0053】
水温設定部401は、ユーザが操作表示部42を操作して省コストモードが選択されているので、省コストモードに対応する第1の制御情報411aから、空調負荷算出部400が算出した空調負荷に対応する蓄熱時の冷温水温度(例えば、17℃)を取得し、その温度を熱源機3に対して設定する。
【0054】
夜間の蓄熱時間帯(例えば、22:00〜8:00)になると、熱源機3は、水温設定部401によって設定された蓄熱時の冷温水温度(例えば、17℃)に冷却した水を供給ライン31を介して伝熱管22に供給する。
【0055】
なお、水温設定部401は、ユーザが操作表示部42を操作して省エネモードが選択されている場合には、省エネモードに対応する第2の制御情報411bから、空調負荷算出部400が算出した空調負荷に対応する蓄熱時の冷温水温度(例えば、17℃)を取得し、その温度を熱源機3に対して設定する。
【0056】
(3)暖房運転モードの昼間
ユーザは、操作表示部42に表示された空調時間帯用の運転モード選択画面で暖房運転モードを選択し、室温の目標となる温度を選択すると、温度設定部402は、熱源機3に対して暖房運転モードと目標の室温(設定温度)を設定する。また、ユーザは、操作表示部42に表示された蓄熱時間帯用の運転モード選択画面で省コストモードを選択したとする。
【0057】
熱源機3は、昼間の空調時間帯(例えば、8:00〜18:00)の初期では、暖房運転モードに対応して予め定められた温度(例えば、22℃)に加熱した熱媒体を供給ライン31を介して伝熱管22に供給する。その後の空調時間帯(例えば、8:00〜18:00)では、熱源機3は、温度センサ5によって検出された室温が制御装置4によって設定された温度(設定温度)付近を維持するように、熱媒体を加熱して供給ライン31を介して伝熱管22に供給する。
【0058】
伝熱管22に供給された熱媒体が伝熱管22を通過する間にパネル本体20との熱交換が行われ、パネル本体2の表面20bが輻射面となって輻射空調が行われる。
【0059】
(4)暖房運転モードの夜間
昼間の空調時間帯が過ぎて空調停止時間帯(例えば、18:00〜22:00)になると、空調負荷算出部400は、昼間の空調時間帯(例えば、8:00〜18:00)における空調負荷を算出する。
【0060】
水温設定部401は、ユーザが操作表示部42を操作して省コストモードが選択されているので、省コストモードに対応する第1の制御情報411aから、空調負荷算出部400が算出した空調負荷に対応する蓄熱時の冷温水温度(例えば、24℃)を取得し、その温度を熱源機3に対して設定する。
【0061】
夜間の蓄熱時間帯(例えば、22:00〜8:00)になると、熱源機3は、水温設定部401によって設定された蓄熱時の冷温水温度(例えば、24℃)に加熱した熱媒体を供給ライン31を介して伝熱管22に供給する。
【0062】
なお、水温設定部401は、ユーザが操作表示部42を操作して省エネモードが選択されている場合には、省エネモードに対応する第2の制御情報411bから、空調負荷算出部400が算出した空調負荷に対応する蓄熱時の冷温水温度(例えば、24℃)を取得し、その温度を熱源機3に対して設定する。
【0063】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)天井側のスラブ130との間に空間を設けて天井に輻射パネル2を敷設した場合、輻射パネル2の運転中は、室内に対する輻射だけでなく、パネル本体20及び伝熱管22から天井側のスラブ130に対しても輻射が行われるので、夜間に天井側のスラブ130に蓄熱しておき、昼間にスラブ130の蓄熱を室内の輻射空調に利用することができる。
(2)その日の昼間の空調負荷に応じて夜間の水温を設定しているので、日々変化する空調負荷に対応した蓄熱時間帯の温度設定が可能になる。
(3)ユーザの選択により省コストモード又は省エネモードでシステム1を運転することができる。
【0064】
[他の実施の形態]
なお、本発明の実施の形態は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々に変形実施が可能である。例えば、上記実施の形態では、夜間に伝熱管22に供給する熱媒体の温度を制御装置4が熱源機3に対して設定したが、設定すべき熱媒体の温度を制御装置4が操作表示部42に表示し、操作者が操作表示部42に表示された設定すべき熱媒体の温度に基づいて、熱源機3に対して設定してもよい。
【0065】
また、上記実施の形態では、省コストモードと省エネモードを選択できるようにしたが、一方のみを実施するものとしてもよい。
【0066】
また、輻射パネル2と天井側のスラブ130との空間をと室内110に連通する空気の循環流通路を備え、空調時間帯に空間を流通する空気よってスラブ130からの放熱を室内110に搬送するようにしてもよい。これにより、スラブ130の蓄熱をより一層利用することができる。
【0067】
さらに、輻射パネル2と天井側のスラブ130との空間内に送風機を設置し、空調時間帯に空間内の空気を室内110に送風するようにしてもよい。これにより、スラブ130の蓄熱をより一層利用することができる。
【0068】
上記実施の形態では、伝熱管に熱媒体(水)を供給して輻射パネルの表面の温度を制御したが、本発明は、空気による熱媒体を輻射パネルに吹き付けて輻射パネルの表面の温度を制御する場合にも適用可能である。