(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材テープに接着用粘着剤塗膜を設けた糊転写テープの前記接着用粘着剤塗膜を被転写面に転写するための塗膜転写具であって、前記糊転写テープを繰出す繰出し部と、前記糊転写テープを前記被転写面に押圧して前記接着用粘着剤塗膜を前記被転写面に転写する転写押圧部と、転写後の前記基材テープを巻き取る巻取り部が筐体に収納され、前記転写押圧部は、前記筐体又は前記筐体に保持された転写ローラホルダに回転可能に設けられた転写ローラであり、前記糊転写テープは前記繰出し部のパンケーキから繰出され前記転写ローラ外周と接触した後に再び前記繰出し部のパンケーキの外周部と接触し、前記転写ローラの外周の一部に糊転写テープの幅よりも広い間隔を開けて、前記転写ローラの回転軸方向の両側に凸部が設けられ、前記転写ローラの凸部が前記被転写面に対向した状態で前記転写ローラを被転写面に押圧すると、前記凸部が前記被転写面と接触することにより、前記糊転写テープが被転写面と接触せず、前記凸部は前記転写ローラの外周の全周ではなく、前記転写ローラの外周の一部に設けられていることを特徴とする塗膜転写具。
前記転写ローラの回転軸方向の両側に設けられた凸部間の間隔と前記糊転写テープの幅の差が0.3mm以上1.3mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗膜転写具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などで、従来から、接着用粘着剤塗膜を転写する糊転写テープ用の塗膜転写具が開示されている。修正テープ用塗膜転写具は、誤記の修正に使用されるため、1文字だけを修正する場合などもあり、1回当たりの使用量が少ない。このため、消費者が修正テープ用塗膜転写具を購入した時から、修正テープ用塗膜転写具の使用は長期間に亘り、なかなか使い終わらないことが一般的である。これに対して、糊転写テープ用塗膜転写具は写真や新聞の切り抜きなどの被貼付け物を、レポート用紙やノートに貼りつけるために使用される。例えば、L版サイズ(8.9cm×12.7cm)の写真を貼りつける場合に、
図3に示すように写真の四辺すべてに糊付けすると、約43cmの長さに渡って糊を転写する必要がある。このため、たとえば、塗布された接着用粘着剤塗膜の長さが6mの糊転写テープ用塗膜転写具を使用してL版サイズの写真を貼りつけようとすると、43cm×14枚=602cmであるので、14枚の写真を貼るだけで塗膜転写具の糊転写テープを使い終わっていた。このように、糊転写テープ用塗膜転写具の接着用粘着剤塗膜は、消費者が塗膜転写具を購入した後、すぐに無くなることがある。したがって、消費者にとって糊転写テープ用の塗膜転写具は修正テープ用の塗膜転写具に比べて割高感がある。よって、糊転写テープ用の塗膜転写具は、修正テープの塗膜転写具に比べると、多くの消費者に受け入れられるものとはなっておらず、市場規模が小さいものになっている。前記の写真をノートに貼りつける場合、
図4に示すようにミシン目状に糊を転写することにより、接着用粘着剤塗膜の使用量を減らし、塗膜転写具を長持ちさせることができる。また、写真をノートに貼りつける程度であれば、写真の外周全部に連続して接着用粘着剤塗膜を転写する必要はなく、外周全部にミシン目状の接着用粘着剤塗膜を転写するだけで、写真を接着するのに十分な接着力が得られる。しかしながら、このようなミシン目状の接着用粘着剤塗膜転写をするには、使用者が、いちいち細かい転写作業を繰り返し行う必要があり、作業時間もかかり、非常に作業が面倒くさいものである。また、糊転写テープを長尺収納すれば、より多くの被貼り付け物を貼りつけることができるが、長い糊転写テープを収納すると、塗膜転写具が大型化し、手で持ち難くなるほか、価格が高くなるという問題もある。
【0005】
このような従来の問題点を解決するために、テープの表面に連続して接着用粘着剤塗膜が塗布された糊転写テープを使用して、しかも、使用者が塗膜を連続転写するように、塗膜転写具の転写ヘッドを紙などの被転写面に押し付けた状態で、塗膜転写具を被転写面上で移動させるだけで、被転写面上に糊がミシン目状に間欠転写される塗膜転写具が特許文献2で提案されている。特許文献2の塗膜転写具では、塗膜を間欠転写する方法として、転写ヘッドに転写ローラを使用し、その転写ローラの外周の一部に糊転写テープの幅よりも広い幅の凹部を設けている。特許文献2の塗膜転写具では、塗膜転写時に転写ローラが回転し凹部が被転写面と対向する位置に来ると、転写テープが凹部内にあるため、転写テープの接着用粘着剤塗膜が被転写面と接しない。すなわち、接着用粘着剤塗膜が被転写面と接しないので、この状態では接着用粘着剤塗膜が被転写面には転写されず、且つ、転写テープは、転写ローラが回転しても転写ローラとともには回転せず、止まった状態となる。一方、転写ローラは、凹部が被転写面と対向する位置に来ても、凹部の両側部が被転写面と接しているので、被転写面との摩擦力によって回転する。転写ローラが回転し、凹部以外の箇所が被転写面と対向する位置になると、転写ローラによって、転写テープ上の接着用粘着剤塗膜が被転写面に押圧されるので、接着用粘着剤塗膜が被転写面に転写されるとともに、転写テープが走行する。さらに、転写ローラが回転し、再び、凹部が被転写面と対向する位置に来ると、接着用粘着剤塗膜が被転写面には転写されず、且つ、転写テープは止まった状態となる。このようにして、特許文献2の塗膜転写具では、転写テープ上の接着用粘着剤塗膜が、ミシン目状に間欠転写される。
【0006】
糊転写テープの場合、繰出しコアに糊転写テープを巻き回した繰出し側パンケーキを転写ヘッドに近い方に配置して、転写後の基材テープを繰出し側パンケーキの外周部に接触させ、転写後の基材テープの背面とパンケーキ外周の糊面との粘着力を利用して転写後の基材テープが安定走行できるように補助して、基材テープの巻き取り不良がないようにすることが好ましい。特に、転写ヘッド付近の塗膜転写具の内壁に糊転写テープ端部の糊が付着し、付着した糊が糊転写テープの走行の抵抗となると、転写後の基材テープの背面とパンケーキ外周の糊面との粘着力を利用しなければ、転写後の基材テープを巻取コアに巻き取れなくなることがある。特許文献2の塗膜転写具でも、転写後の基材テープの巻取りを確実にするために、転写後の基材テープを繰出し側パンケーキの外周部に接触させている。
【0007】
しかしながら、特許文献2の塗膜転写具において、テープの巻取りを確実にするために、転写後の基材テープを繰出し側パンケーキの外周部に接触させると、塗膜転写時に転写テープの弛みによる転写テープの走行不良が発生し易く、転写された塗膜の終端に塗膜の塊が発生するという、問題があった。特許文献2の塗膜転写具では、転写テープが接触する転写ローラの外周部に凹部を設けているので、転写ローラが回転することにより転写テープと接触する転写ローラの外径が一定ではなく変化する。一方、繰出し側パンケーキから繰出され、転写ローラ外周と接触し、再び繰出し側パンケーキの外周部に接触するまでのテープルートは、繰出し側パンケーキの外径の減少により少しずつ短くなるが、転写ローラが1回転する間では殆ど変化しない。したがって、転写テープと接触する位置に、転写ローラの凹部以外の箇所がある時には、繰出し側パンケーキから繰出され再び繰出し側パンケーキの外周部に接触するまでのテープルート上の転写テープは張った状態であるのに対して、転写テープと接触する位置に、転写ローラの凹部がある時には、前記テープルート上の転写テープは弛んだ状態となる。このように、転写テープが張った状態と弛んだ状態を交互に繰り返すため、転写テープの走行が不安定となり、転写テープが蛇行し易くなる。また、ミシン目状に間欠転写される接着用粘着剤塗膜の一つ一つのミシン目の終端は、転写された接着用粘着剤塗膜と、転写テープ上に残った接着用粘着剤塗膜を引きちぎることによって、切断される。特許文献2の塗膜転写具では、転写テープが弛んで転写テープの張力が減少した状態で、この切断が行われるので、転写された接着用粘着剤塗膜と転写テープ上に残った接着用粘着剤塗膜とのキレが悪く、引きちぎる際に接着用粘着剤塗膜が伸び、引きちぎられた時に伸びた接着用粘着剤塗膜が、被転写面に引き戻され、被転写面上の転写された塗膜の終端に接着用粘着剤塗膜の塊が発生する。
【0008】
本発明は前記のような従来の塗膜転写具の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、使用者が余分な作業をしないでも、接着用粘着剤塗膜をミシン目状に間欠転写することができる塗膜転写具において、接着用粘着剤塗膜を転写後の基材テープの巻き取り不良の防止と転写テープの張力変化の防止を両立することができる糊転写テープ用の塗膜転写具の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明は、基材テープに接着用粘着剤塗膜を設けた糊転写テープの前記接着用粘着剤塗膜を被転写面に転写するための塗膜転写具であって、前記糊転写テープを繰出す繰出し部と、前記糊転写テープを前記被転写面に押圧して前記接着用粘着剤塗膜を前記被転写面に転写する転写押圧部と、転写後の前記基材テープを巻き取る巻取り部が筐体に収納され、前記転写押圧部は、前記筐体又は前記筐体に保持された転写ローラホルダに回転可能に設けられた転写ローラであり、前記糊転写テープは前記繰出し部のパンケーキから繰出され前記転写ローラ外周と接触した後に再び前記繰出し部のパンケーキの外周部と接触し、前記転写ローラの外周の一部に糊転写テープの幅よりも広い間隔を開けて、前記転写ローラの回転軸方向の両側に凸部が設けられ、前記転写ローラの凸部が前記被転写面に対向した状態で前記転写ローラを被転写面に押圧すると、前記凸部が前記被転写面と接触することにより、前記糊転写テープが被転写面と接触
せず、前記凸部は前記転写ローラの外周の全周ではなく、前記転写ローラの外周の一部に設けられていることを特徴とする塗膜転写具である。
【0010】
第2発明は、同形状の前記凸部が、前記転写ローラの外周上に等角度間隔で設けられていることを特徴とする第1発明に記載の塗膜転写具である。
【0011】
第3発明は、前記転写ローラの回転軸方向の両側に設けられた凸部間の間隔と前記糊転写テープの幅の差が0.3mm以上1.3mm以下であることを特徴とする第1又は第2発明に記載の塗膜転写具である。
【発明の効果】
【0012】
転写ローラの外周の一部に糊転写テープの幅よりも広い間隔を開けて、前記転写ローラの回転軸方向の両側に凸部を設けることにより、転写ローラの凸部が被転写面に対向した状態で転写ローラを被転写面に押圧すると、凸部が被転写面と接触して、接着用粘着剤塗膜が被転写面と接触しない。この結果、使用者が余分な作業をしないでも、接着用粘着剤塗膜をミシン目状に間欠転写することができる。また、転写テープと接触する転写ローラの外径を一定とすることができるので、接着用粘着剤塗膜を転写後の基材テープの巻き取り不良を防止するために転写後の基材テープを繰出し側パンケーキの外周部に接触させた糊転写テープ用の塗膜転写具でも、転写テープの張力が変化しない。この結果、接着用粘着剤塗膜を転写後の基材テープの巻き取り不良の防止と転写テープの張力変化の防止を両立することができる。また、転写テープの張力変化を防止できることにより、ミシン目状に間欠転写される接着用粘着剤塗膜の一つ一つのミシン目の終端のキレが良く、被転写面上の塗膜の塊の発生を少なくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態の転写ローラ7を有する塗膜転写具Aを
図1に示す。
図1(a)はカバーを除去した状態の塗膜転写具Aの正面図であり、
図1(b)は塗膜転写具Aのカバーをセットした状態の底面図である。
図1(c)は、転写ローラ7単体を示す図であり、
図1(d)は、
図1(c)のM−M断面図である。
【0015】
塗膜転写具Aは、
図1に示すようにケ−ス1とカバー2からなる筐体、接着用粘着剤塗膜を塗布した糊転写テ−プTを繰出しコア3に巻きまわした繰出し側パンケーキ、接着用粘着剤塗膜を紙等の被転写面に転写する転写ローラ7と転写ローラ7を回転可能に保持する転写ローラホルダ4で構成される転写ヘッド、接着用粘着剤塗膜を転写した後の基材テ−プT1を巻取る巻取りコア5、及び繰出しコア3の回転を巻取りコア5に伝えるOリング6から構成されるものであるが、これに限定されるものではなく、糊転写テープTの繰出し部と、接着用粘着剤塗膜を転写した残りの基材テープを巻取る巻取り部を有し、糊転写テープTが繰出し側のパンケーキ(繰出し部)から繰出され、転写ローラ外周と接触した後、再び繰出し部のパンケーキの外周部と接触するテープルートを有し、転写ローラで糊転写テープから接着用粘着剤塗膜を転写する形態のものであればよい。
【0016】
塗膜転写具Aでは、ケース1とカバー2に保持された転写ローラホルダ4に、転写ローラ7が回転可能に保持されているが、転写ローラホルダ4を介さず、直接、ケース1とカバー2が転写ローラ7を回転可能に保持する形態としてもよい。
【0017】
転写ローラ7の材料には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアセタール、ABSなどのプラスチックを使用することができるが、塗膜転写時の押圧力に耐えることができるのであれば、天然ゴム、合成ゴム、又はこれらを含む混合物であるゴムなどを使用することが好ましい。転写ローラ7は、中軸部分をプラスチックとし、外周部分のみをゴムとすることが、より好ましい。転写ローラ7の中軸をプラスチック材料で製作することにより、塗膜転写時の押圧力に耐える強度を容易に付与することができる。また、転写ローラ7の被転写面と接触する外周部分をゴムで製作することにより、転写ローラ7と被転写面の摩擦係数が大きくなり、転写ローラ7を被転写面に押圧させた状態で転写ローラ7を移動すると、転写ローラ7は被転写面に対して滑ることなく被転写面上で回転する。
【0018】
転写ローラ7のゴム材料としては、天然ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、ポリウレタンゴム、及び熱可塑性のエラストマーが例示される。
【0019】
図1(c)と
図1(d)に示すように、転写ローラ7の外周の幅方向両端部分には、糊転写テープTの幅よりもわずかに広い間隔を開けて2箇所の凸部71が設けられている。凸部71間の間隔H1は、糊転写テープTの幅に比べて、0.3mm以上1.3mm以下の範囲で大きいことが好ましく、0.3mm以上0.8mm以下の範囲で大きいことがより好ましい。凸部71間の間隔H1は糊転写テープTの幅よりも大きいので、転写ローラ7の外周に凸部71がある箇所では、糊転写テープTは凸部71間を通り、糊転写テープTの転写ローラ7の回転軸方向への移動は、凸部71で規制されて、糊転写テープTが転写ローラ7上で蛇行し難くなる。凸部71間の間隔H1と糊転写テープTの幅の差が0.3mmよりも小さいと、糊転写テープTの凸部71間への装着が困難になる。凸部71間の間隔H1と糊転写テープTの幅の差が1.3mmを超えると、糊転写テープTの蛇行防止の効果が小さくなる。凸部71は外周の全周ではなく、外周の一部分に設けられる。凸部71を設ける場所は円周上の1箇所または2箇所以上のどちらでも良いが、2箇所以上設ける場合には、同じ大きさで同じ形状のものを等角度間隔で設けることが好ましい。同じ大きさで同じ形状の凸部を等角度間隔で設けることにより、本発明の塗膜転写具を使用して、接着用粘着剤塗膜を転写すると、同じ長さの接着用粘着剤塗膜が等間隔でミシン目状に転写されるようになる。凸部71が被転写面と対向する状態では、転写ローラ7が被転写面に押し当てられても、凸部71間の糊転写テープT上の接着用粘着剤塗膜は被転写面と接触しない。塗膜転写具Aでは、
図1(d)に示すように、凸部71の断面形状は外周側に突出する円弧状となっている。凸部71の断面形状は、特に限定されるものではないが、転写ローラ7が被転写面に対してスムースに回転するためには、
図1(d)に示す形状が好ましい。
【0020】
転写ローラ7の凸部71がない箇所が被転写面と対向するように、転写ローラ7を被転写面に押圧すると、転写ローラ7上の糊転写テープTは被転写面に接触する。この状態で被転写面上を塗膜転写具が移動すると、糊転写テープTから被転写面に接着用粘着剤塗膜が転写されるともに、糊転写テープTは転写ローラ7の回転に伴って繰出しコア3から繰出される。一方、転写ローラ7の凸部71が被転写面と対向するように、転写ローラ7を被転写面に押圧しても、転写ローラ7上の糊転写テープTは被転写面と接触しない。この状態で被転写面上を塗膜転写具Aが移動しても、糊転写テープTから被転写面に接着用粘着剤塗膜は転写されず、転写ローラ7が回転しても、糊転写テープTは繰出しコア3から繰出されない。
【0021】
転写ローラ7の凸部71が被転写面と対向する位置では、凸部71のみが被転写面と接触することによって転写ローラ7が回転する。また、転写ローラ7の凸部71がない箇所が被転写面と対向する位置にあるときにも、転写ローラ7が被転写面に対して滑らずに回転しないと、間欠転写の各ミシン目の長さが均一にならない。したがって、凸部71を含む直接被転写面と接触する部分の転写ローラ7の被転写面との摩擦係数は、被転写面と滑って、転写ローラ7が回転しないことが無い程度に、大きいことが好ましい。摩擦係数を考慮すると、被転写面と接触する表面には、前記のゴム材料を用いることが好ましい。また、同様に、凸部71の形状は、被転写面に押圧された際に、被転写面と滑って転写ローラ7が回転しないことがない程度に、被転写面との接触面積が大きくなる形状であることが好ましい。
【0022】
一方、凸部71が被転写面と対向する位置となった状態では、転写テープTが繰出コア3から繰出されないようにする必要があるので、転写ローラ7と転写テープTの背面との摩擦係数は可能な限り小さくなることが好ましい。
【0023】
このように、転写ローラ7は、転写テープの背面と接触する箇所は摩擦係数を小さくする必要があり、転写テープの背面と接触しない両端部の摩擦係数を大きくする必要がある。したがって、転写ローラ7の中軸を摩擦係数の比較的小さいプラスチック材料等で製作し、転写テープの背面と接触しない両端の外周部分のみを摩擦係数の大きいゴム等で製作することがより好ましい。
【0024】
塗膜転写具Aの転写ローラ7を被転写面に押圧した状態で、被転写面上を塗膜転写具Aが移動すると、転写ローラ7は塗膜転写具Aの移動に伴って連続回転するのに対して、糊転写テープは間欠的に繰出しコア3から繰り出されるとともに、間欠的に糊転写テープ上の接着用粘着剤塗膜が被転写面に転写される。この結果、塗膜転写具Aの転写ローラ7を被転写面に押圧した状態で、被転写面上を塗膜転写具Aが移動すると、接着用粘着剤塗膜が被転写面上へ不連続に(所謂、ミシン目状に)間欠転写される。また、糊転写テープTが転写ローラAに対して間欠的に動かない時があるので、接着用粘着剤塗膜を転写するために塗膜転写具Aが移動した距離に対して、糊転写テープTが繰出しコア3から繰り出される長さが短くなる。このため、従来の転写ローラの塗膜転写具から連続的に被転写面に転写された接着用粘着剤塗膜の長さに比べて、同じ長さの糊転写テープから被転写面に転写される(ミシン目状の)接着用粘着剤塗膜の長さを、長くすることができる。この結果、塗膜転写具Aでは、収納する糊転写テープの長さを長くせず、且つ使用者が特別な作業をしなくても、従来の塗膜転写具に比べて、より多くの写真や新聞の切り抜きなどの被貼付け物を、レポート用紙やノートに貼りつけることができる。
【0025】
塗膜転写具Aでは、接着用粘着剤塗膜がミシン目状に転写されるので、同じ接着用粘着剤塗膜を使用した場合には、従来の連続状に接着用粘着剤塗膜を転写する塗膜転写具と比べて、単位面積当たりの接着力が低下する。しかしながら、接着力の強い所謂、強粘着の接着用粘着剤塗膜を用いた糊転写テープを使用すれば、塗膜転写具Aでミシン目状に転写された接着用粘着剤塗膜でも、写真や新聞の切り抜きなどの被貼付け物を、レポート用紙やノートに貼りつけるためには、十分な接着力が得られる。
【0026】
塗膜転写具Aでは、接着用粘着剤塗膜を間欠転写する手段として、転写ローラ7に、糊転写テープTの幅よりもわずかに広い間隔を開けて2個1対の凸部71を設けている。このため、糊転写テープTが接触する部分の転写ローラ7の外径を、全周に亘って同寸法とすることができる。したがって、塗膜転写具Aでは、特許文献2で開示されている塗膜転写具のような糊転写テープの張力変化がないので、転写テープが蛇行し難く、また、ミシン目状に間欠転写される接着用粘着剤塗膜の一つ一つのミシン目の終端のキレが良く、被転写面上の塗膜の塊の発生を少なくすることができる。
【0027】
本発明の糊転写テープにおいては、基材テープとなる支持体として有機高分子フィルム支持体および紙支持体が好ましく使用される。有機高分子フィルム支持体としては、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルムなど種々のフィルム支持体が使用可能であるが、コストおよび性能面からポリエステルフィルムが特に好ましい。また、フィルム支持体の膜厚は、転写性およびコスト面から6〜50μmの範囲が好ましく、より好ましくは12〜25μmである。また、紙支持体としては、グラシン紙のような高密度紙、およびクレーコート紙、クラフト紙や上質紙などにポリエチレンなどの樹脂フィルムをラミネートしたラミネート紙などの使用が可能であるが、コストおよび性能面からグラシン紙の使用が好ましい。紙支持体の厚さは20〜50μmの範囲が好ましい。
【0028】
なお、これらの支持体は、支持体両面の表面上にシリコーン化合物、フッ素樹脂、フルオロシリコーン樹脂などの離型剤を塗布することにより、両面が剥離性を有するシート(以下、剥離シートという場合がある)として使用するのが好ましい。
【0029】
本発明の糊転写テープにおける感圧接着層の形成に使用する粘着剤組成物は、特に限定されず、一般的な粘着剤組成物が使用可能であるが、アクリル系共重合体と架橋剤を必須成分とし、必要により、粘着付与樹脂を配合したものが好適に使用できる。
【0030】
前記アクリル系共重合体としては、アルキル基の炭素数が4〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上と他の共重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノマーの1種または2種以上との共重合体が挙げられる。
【0031】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0032】
前記共重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α―メチルスチレン、酢酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドン、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、フマル酸などが挙げられる。前記アクリル系共重合体の製造においては、共重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノマーとして、後記架橋剤と反応しうる官能基を有するモノマー(たとえばカルボキシル基を有するモノマー)を必須成分として使用する。
【0033】
粘着付与樹脂としては、ロジン、ロジンフェノール樹脂、およびそれらのエステル化合物、金属塩などのロジン系樹脂や、テルペン重合体、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂などのテルペン系樹脂、スチレン系樹脂、クマロン・インデン樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、脂環族水添系樹脂などが挙げられるが、アクリル系共重合体に対する相溶性に優れ、かつ、アクリル系共重合体に配合して用いると、紙や各種フィルムなどの被着体に対して良好な接着性、初期タック性を呈する天然樹脂系のロジン系樹脂やテルペン系樹脂が好ましく使用される。
【0034】
また、本発明における粘着剤組成物において、アクリル系共重合体を架橋させるために使用する架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、2−クロロ−1,4−フェニルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物、これらジイソシアネート化合物のビウレット型三量化物、イソシアヌレート型三量化物、トリイソシアネートなどのイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、トリメチロールプロパンなどのポリオールのアダクト体などが挙げられ、適宜選択して使用することができる。
【0035】
前記粘着剤組成物中には、接着性、タック性、膜切れ性などを阻害しない範囲で無機または有機着色剤を添加し、接着層を着色してもよい。
【0036】
前記感圧接着層の厚さは、紙面などに対する接着力、保持力や膜切れ性を考慮して、5〜35μmの範囲が好ましく、より好ましくは10〜25μmの範囲である。感圧接着層の形成は、前記粘着剤組成物を、例えばバーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ダイコーター、コンマコーター、リップコーターなどを使用して塗布することにより行なうことができる。
【実施例】
【0037】
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味し、また塗工量、部数、混合割合などは全て固形分換算で表した。
【0038】
(剥離シートの製造)
厚さ12μmのポリエチレンフィルムの片面に、シリコーン剥離剤(信越化学工業(株)製「KS−3601」)93部、架橋剤(信越化学工業(株)製「cat.PL−50T」)5部およびシリカ粉末(日本シリカ工業(株)製「ニップシールE220A」)2部の混合物を、乾燥重量が0.4g/m
2となるようグラビアコーターで塗工し、熱風乾燥して重剥離面を形成し、ついでポリエチレンフィルムのもう一方の面にシリコーン剥離剤(信越化学工業(株)製「KS−3650」)95部および架橋剤(信越化学工業(株)製「cat.PL−50T」)5部の混合物を、乾燥重量が0.4g/m
2となるようグラビアコーターで塗工し、熱風乾燥して軽剥離面を形成して、剥離シートを得た。
【0039】
(粘着剤組成物の製造)
まずアクリル系粘着剤(綜研化学(株)製「SKダイン801B」、アクリル系共重合体と粘着付与樹脂を含有している)98部と架橋剤(綜研化学(株)製「硬化剤L−45」)2部を混合してベースとなるアクリル系粘着剤組成物を得た。
【0040】
(糊転写テープの製造)
前記粘着剤組成物を前記剥離シートの軽剥離面上に20μm(乾燥時)の厚さになるようコンマコーターにて塗布し、100℃で3分乾燥したのち重剥離面側と貼り合わせるようにしてロール状に巻き取り、さらに同ロールを塗膜転写具に収納するため6mm幅にスリットし、繰出しコアに巻き付けることで、糊転写テープのパンケーキを得た。
【0041】
テープ幅6mmの糊転写テープに対して、それぞれ
図1と
図2に示す形状で、図中の各寸法が表1の寸法となる転写ローラ7と転写ローラ7Bを製作した。転写ローラ以外はすべて同じ部品を使用し、転写ローラ7を取り付けた実施例1の塗膜転写具と転写ローラ7Bを取り付けた比較例1の塗膜転写具を準備した。それぞれの塗膜転写具に基材テープ上に長さ6mに渡って接着用粘着剤塗膜が塗布された糊転写テープを使用して、転写テストを実施した。転写ローラ7、7Bともに、中軸として外径3mmのポリアセタール製の軸を使用し、外周形状はスチレン系熱可塑性エラストマー95部に対してポリポロピレン樹脂5部を配合したJIS(K6253)のA硬度が75度の熱可塑性エラストマーを使用して製作した。各塗膜転写具に使用した糊転写テープの幅寸法と、各ローラの凸部71間の間隔と、凹部71Bの幅寸法を、株式会社ニコン製測定顕微鏡MM−800を用いて測定したところ、それぞれ次のような測定結果であった。実施例1の塗膜転写具に使用する糊転写テープの幅は、6.00mmであった。比較例1の塗膜転写具に使用する糊転写テープの幅は、5.99mmであった。実施例1の転写ローラ7の凸部71の間隔H1は、6.50mmと6.41mmであった。比較例1の転写ローラ7Bの凹部71Bの幅H2は6.63mmと6.48mmであった。
【0042】
被転写面としてPPC用紙を用い、転写ローラをPPC用紙に押圧する押圧力を5.0N、塗膜転写具を移動する転写スピードを5cm/秒で、接着用粘着剤塗膜を転写した。
【0043】
繰出しコア3のパンケーキにまだ約6m接着用粘着塗膜が残っている状態で、実施例1と比較例1の塗膜転写具を使用して、塗膜転写テストを実施し、転写されたミシン目状塗膜の各1個の長さと、ミシン目状転写された塗膜同士の間隔を測定した。具体的には、9個の連続するミシン目状転写された接着用粘着剤塗膜の転写長さ(
図5の転写長)と、前記9個のミシン目状転写された接着用粘着剤塗膜間の間隔(
図5の間隔長)8個を最小目盛り1.0mmの金属スケールで測定した。転写された前記9個の各ミシン目状塗膜終端について、塗膜の塊の有無を目視にて確認した。前記9個のミシン目状転写に使用された部分の基材テープを確認し、基材テープに転写されずに残っている接着用粘着剤塗膜(糊残り)の有無を目視確認した。また、転写開始から、糊転写テープ上の接着用粘着剤塗膜を転写し終わるまで連続転写し、その間に、転写ローラが接着用粘着剤塗膜を転写するために移動した距離、すなわち転写したミシン目状塗膜の全長を測定した。この結果を表2に示す。