特許第6330197号(P6330197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6330197
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】塗膜転写具
(51)【国際特許分類】
   B43M 11/06 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   B43M11/06
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-544829(P2015-544829)
(86)(22)【出願日】2014年6月25日
(86)【国際出願番号】JP2014066784
(87)【国際公開番号】WO2015064147
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2017年5月1日
(31)【優先権主張番号】特願2013-225839(P2013-225839)
(32)【優先日】2013年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000237237
【氏名又は名称】フジコピアン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】峰岸 慶一郎
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 実開平5−13799(JP,U)
【文献】 実開平2−142094(JP,U)
【文献】 特開2007−260967(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0042506(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43M 11/00−11/08
B43L 19/00
B65H 35/07
B65H 37/00−37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着用の粘着剤塗膜を被転写面に転写するための塗膜転写具であって、
基材テープに前記粘着剤塗膜を設けた糊転写テープを繰出す繰出し部と、
前記粘着剤塗膜を前記被転写面に転写すべく、前記糊転写テープを前記被転写面に押圧する外周面を有する、回転可能な転写ローラと、
転写後の前記基材テープを巻き取る巻取り部と、
を備え、
前記転写ローラの前記外周面の一部に、前記糊転写テープの幅よりも広い幅の凹部が設けられており、
前記凹部は、前記凹部が前記被転写面に対向した状態で、前記転写ローラを前記被転写面に押圧した場合に、前記糊転写テープが前記被転写面と接触しないように構成されている、
塗膜転写具。
【請求項2】
同形状の前記凹部が、前記転写ローラの前記外周面上に等角度間隔で設けられている、
請求項1に記載の塗膜転写具。
【請求項3】
前記凹部の幅と前記糊転写テープの幅の差が0.3mm以上1.3mm以下である、
請求項1に記載の塗膜転写具。
【請求項4】
前記凹部の幅と前記糊転写テープの幅の差が0.3mm以上1.3mm以下である、
請求項2に記載の塗膜転写具。
【請求項5】
前記繰出し部、前記転写ローラ及び前記巻取り部を少なくとも部分的に収納する筐体、
をさらに備える、
請求項1に記載の塗膜転写具。
【請求項6】
前記転写ローラは、前記筐体に回転可能に保持される、
請求項5に記載の塗膜転写具。
【請求項7】
前記筐体に保持された転写ヘッド、
をさらに備え、
前記転写ローラは、前記転写ヘッドに回転可能に保持される、
請求項5に記載の塗膜転写具。
【請求項8】
前記繰出し部、前記転写ローラ及び前記巻取り部を少なくとも部分的に収納する筐体、
をさらに備える、
請求項2に記載の塗膜転写具。
【請求項9】
前記転写ローラは、前記筐体に回転可能に保持される、
請求項8に記載の塗膜転写具。
【請求項10】
前記筐体に保持された転写ヘッド、
をさらに備え、
前記転写ローラは、前記転写ヘッドに回転可能に保持される、
請求項8に記載の塗膜転写具。
【請求項11】
前記繰出し部、前記転写ローラ及び前記巻取り部を少なくとも部分的に収納する筐体、
をさらに備える、
請求項3に記載の塗膜転写具。
【請求項12】
前記転写ローラは、前記筐体に回転可能に保持される、
請求項11に記載の塗膜転写具。
【請求項13】
前記筐体に保持された転写ヘッド、
をさらに備え、
前記転写ローラは、前記転写ヘッドに回転可能に保持される、
請求項11に記載の塗膜転写具。
【請求項14】
前記繰出し部、前記転写ローラ及び前記巻取り部を少なくとも部分的に収納する筐体、
をさらに備える、
請求項4に記載の塗膜転写具。
【請求項15】
前記転写ローラは、前記筐体に回転可能に保持される、
請求項14に記載の塗膜転写具。
【請求項16】
前記筐体に保持された転写ヘッド、
をさらに備え、
前記転写ローラは、前記転写ヘッドに回転可能に保持される、
請求項14に記載の塗膜転写具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着用の粘着剤塗膜を被転写面に転写するための塗膜転写具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、誤記を修正する修正用塗膜を転写テープから転写する修正テープ用の塗膜転写具(以下、修正塗膜転写具)とともに、接着用の粘着剤塗膜を転写テープから転写する糊転写テープ用の塗膜転写具(以下、糊塗膜転写具)が使用されている。なお、本明細書では、接着用の粘着剤塗膜を設けた転写テープのことを便宜的に糊転写テープと表現するが、本発明の粘着剤塗膜は、塗膜転写具にて転写可能な接着用の粘着剤塗膜であれば、糊に限定されるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−297909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などで、従来から、糊塗膜転写具が開示されている。修正塗膜転写具は、誤記の修正に使用されるため、1文字だけを修正する場合などもあり、1回当たりの使用量が少ない。このため、消費者が修正塗膜転写具を購入した時から、修正塗膜転写具の使用は長期間に亘り、なかなか使い終わらないことが一般的である。これに対して、糊塗膜転写具は写真や新聞の切り抜きなどの被貼付け物を、レポート用紙やノートに貼りつけるために使用される。例えば、L版サイズ(8.9cm×12.7cm)の写真を貼りつける場合に、図3に示すように写真の四辺すべてに糊付けすると、約43cmの長さに渡って糊を転写する必要がある。このため、たとえば、塗布された粘着剤塗膜の長さが6mの糊塗膜転写具を使用してL版サイズの写真を貼りつけようとすると、43cm×14枚=602cmなので、14枚の写真を貼るだけで糊転写テープを使い終わっていた。このように、糊塗膜転写具の粘着剤塗膜は、消費者が塗膜転写具を購入した後、すぐに無くなることがある。したがって、消費者にとって糊塗膜転写具は修正塗膜転写具に比べて割高感がある。よって、糊塗膜転写具は、修正塗膜転写具に比べると、多くの消費者に受け入れられるものとはなっておらず、市場規模が小さいものになっている。
【0005】
ところで、図4に示すように粘着剤塗膜をミシン目状に転写することにより、粘着剤塗膜の使用量を減らし、塗膜転写具を長持ちさせることができる。特に、写真をノートに貼りつける程度であれば、写真の外周全部に連続して粘着剤塗膜を転写する必要はなく、外周全部にミシン目状転写するだけで、写真を接着するのに十分な接着力が得られる。しかしながら、このようなミシン目状の粘着剤塗膜転写をするには、使用者が、いちいち細かい転写作業を繰り返し行う必要があり、作業時間もかかり、非常に作業が面倒くさいものである。また、糊転写テープを長尺収納すれば、より多くの被貼り付け物を貼りつけることができるが、長い糊転写テープを収納すると、塗膜転写具が大型化し、手で持ち難くなるほか、価格が高くなるという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、接着用の粘着剤塗膜を簡便にミシン目状転写することを可能にし、粘着剤塗膜の使用量を減らすことができる糊塗膜転写具の提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
A1観点に係る塗膜転写具は、接着用の粘着剤塗膜を被転写面に転写するための塗膜転写具であって、基材テープに前記粘着剤塗膜を設けた糊転写テープを繰出す繰出し部と、前記粘着剤塗膜を前記被転写面に転写すべく、前記糊転写テープを前記被転写面に押圧する外周面を有する、回転可能な転写ローラと、転写後の前記基材テープを巻き取る巻取り部とを備える。前記転写ローラの前記外周面の一部に、前記糊転写テープの幅よりも広い幅の凹部が設けられている。前記凹部は、前記凹部が前記被転写面に対向した状態で、前記転写ローラを前記被転写面に押圧した場合に、前記糊転写テープが前記被転写面と接触しないように構成されている。
【0008】
A2観点に係る塗膜転写具は、A1観点に係る塗膜転写具であって、同形状の前記凹部が、前記転写ローラの前記外周面上に等角度間隔で設けられている。
【0009】
A3観点に係る塗膜転写具は、A1又はA2観点に係る塗膜転写具であって、前記凹部の幅と前記糊転写テープの幅の差が0.3mm以上1.3mm以下である。
【0010】
A4観点に係る塗膜転写具は、A1からA3観点のいずれかに係る塗膜転写具であって、前記繰出し部、前記転写ローラ及び前記巻取り部を少なくとも部分的に収納する筐体をさらに備える。
【0011】
A5観点に係る塗膜転写具は、A4観点に係る塗膜転写具であって、前記転写ローラは、前記筐体に回転可能に保持される。
【0012】
A6観点に係る塗膜転写具は、A4観点に係る塗膜転写具であって、前記筐体に保持された転写ヘッドをさらに備える。前記転写ローラは、前記転写ヘッドに回転可能に保持される。
【0013】
B1観点に係る塗膜転写具は、基材テープに接着用の粘着剤塗膜を設けた糊転写テープの前記粘着剤塗膜を被転写面に転写するための塗膜転写具であって、前記糊転写テープを繰出す繰出し部と、前記糊転写テープを前記被転写面に押圧して前記粘着剤塗膜を前記被転写面に転写する転写押圧部と、転写後の前記基材テープを巻き取る巻取り部が筐体に収納され、前記転写押圧部は、前記筐体又は前記筐体に保持された転写ヘッドに回転可能に設けられた転写ローラであり、前記転写ローラの外周面の一部に糊転写テープの幅よりも広い幅の凹部が設けられ、前記転写ローラの凹部が前記被転写面に対向した状態で、前記転写ローラを被転写面に押圧すると前記糊転写テープが被転写面と接触しないことを特徴とする塗膜転写具である。
【0014】
B2観点に係る塗膜転写具は、B1観点に係る塗膜転写具であって、同形状の前記凹部が、前記転写ローラの外周面上に等角度間隔で設けられていることを特徴とする。
【0015】
B3観点に係る塗膜転写具は、B1観点又はB2観点に係る塗膜転写具であって、前記凹部の幅と前記糊転写テープの幅の差が0.3mm以上1.3mm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
A1観点からA6観点の塗膜転写具によれば、簡便に接着用の粘着剤塗膜をミシン目状転写することが可能になり、粘着剤塗膜の使用量を減らすことができる。
【0017】
B1観点からB3観点の糊塗膜転写具には、転写ローラが用いられ、糊転写テープの走行に伴って、この転写ローラが回転することによって、接着用の粘着剤塗膜が糊転写テープから被貼り付け物の被転写面上に転写される。このような転写ローラの外周面の一部に凹部があって、凹部が被転写面と対向する位置で粘着剤塗膜が被転写面と接触しないと、その凹部では粘着剤塗膜が被転写面に転写されない。また、粘着剤塗膜が転写されない間は、塗膜転写具が移動し転写ローラが回転しても、糊転写テープは走行しない。
【0018】
したがって、本発明の外周面の一部に凹部がある転写ローラを糊塗膜転写具に使用すると、粘着剤塗膜は被転写面上にミシン目状に転写されるとともに、塗膜転写具が移動した長さよりも、糊転写テープが走行する長さが短くなる。その結果、転写ローラの外径に凹部がない従来の塗膜転写具に比べて、転写ローラの外周面に凹部のある塗膜転写具は、より多くの被貼り付け物を貼りつけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態の転写ローラ7を有する塗膜転写具Aを示す図である。
図2】本発明の第2実施形態の転写ローラ7Bを有する塗膜転写具Bを示す図である。
図3】L版サイズ(8.9cm×12.7cm)の写真の四辺すべてに糊付けした状態を示す図である。
図4】L版サイズ(8.9cm×12.7cm)の写真の四辺にミシン目状に糊付けした状態を示す図である。
図5】本発明の実施例に係る塗膜転写具を使用して、粘着剤塗膜を転写した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1実施形態の転写ローラ7を有する塗膜転写具Aを図1に示す。図1(a)はカバーを除去した状態の塗膜転写具Aの正面図であり、図1(b)は塗膜転写具Aのカバーをセットした状態の底面図である。図1(c)は、転写ローラ7単体を示す図であり、図1(d)は、図1(c)のM−M断面図である。
【0021】
塗膜転写具Aは、図1に示すようにケース1とカバー2からなる筐体、基材テープT1に接着用の粘着剤塗膜を塗布した糊転写テープTを巻きまわした繰出しコア3、粘着剤塗膜を紙等の被転写面に転写する転写ローラ7、転写ローラ7を回転可能に保持する転写ヘッド4、粘着剤塗膜を転写した後の基材テ−プT1を巻取る巻取りコア5、及び繰出しコア3の回転を巻取りコア5に伝えるOリング6から構成されるものである。しかしながら、本発明に係る塗膜転写具は、これに限定されるものではなく、糊転写テープTの繰出し部と、粘着剤塗膜を転写した残りの基材テープを巻取る巻取り部を有し、転写ローラで糊転写テープから粘着剤塗膜を転写する形態のものであれば、任意の形態とすることができる。
【0022】
塗膜転写具Aでは、ケース1とカバー2に保持された転写ヘッド4に、転写ローラ7が回転可能に保持されているが、転写ヘッド4を介さず、直接、ケース1とカバー2が転写ローラ7を回転可能に保持する形態としてもよい。
【0023】
転写ローラ7は、概ね円柱状の部材であり、当該円柱の側面に相当する面(外周面)で糊転写テープTを被転写面に押圧し、粘着剤塗膜を被転写面に転写する。転写ローラ7の材料には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアセタール、ABSなどのプラスチックを使用することができるが、塗膜転写時の押圧力に耐えることができるのであれば、天然ゴム、合成ゴム、又はこれらを含む混合物であるゴムなどを使用することが好ましい。転写ローラ7は、中軸部分をプラスチックとし、外周部分のみをゴムとすることが、より好ましい。転写ローラ7の中軸をプラスチック材料で製作することにより、塗膜転写時の押圧力に耐える強度を容易に付与することができる。また、転写ローラ7の外周部分をゴムで製作することにより、転写ローラ7と被転写面の摩擦係数が大きくなり、転写ローラ7を被転写面に押圧させた状態で転写ローラ7を移動すると、転写ローラ7は被転写面に対して滑ることなく被転写面上で回転する。
【0024】
転写ローラ7のゴム材料としては、天然ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、ポリウレタンゴム、及び熱可塑性のエラストマーが例示される。
【0025】
図1(c)と図1(d)に示すように、転写ローラ7の外周面の幅方向中央部分には、糊転写テープTの幅よりもわずかに広い幅の凹部71が設けられている。凹部71の幅は、糊転写テープTの幅に比べて、0.3mm以上1.3mm以下の範囲で大きいことが好ましく、0.3mm以上0.8mm以下の範囲で大きいことがより好ましい。凹部71の幅は糊転写テープTの幅よりも大きいので、転写ローラ7の外周面に凹部71がある箇所では、糊転写テープTは凹部71内を通る。その結果、糊転写テープTの幅方向への移動は、凹部71の幅寸法で規制されて、糊転写テープTが転写ローラ7上で蛇行し難くなる。凹部71の幅と糊転写テープTの幅の差が0.3mmよりも小さいと、糊転写テープTの凹部71への装着が困難になる。凹部71の幅と糊転写テープTの幅の差が1.3mmを超えると、糊転写テープTの蛇行防止の効果が小さくなる。凹部71は外周面の全周ではなく、外周面の一部分に設けられる。凹部71は1個または複数のどちらでも良いが、複数設ける場合には、同じ大きさのものを回転方向に沿って等角度間隔で設けることが好ましい。同じ大きさの凹部を等角度間隔で設けた場合には、塗膜転写具を使用して粘着剤塗膜を転写すると、同じ長さの粘着剤塗膜が等間隔でミシン目状に転写されるようになる。凹部71の形状は、凹部71が被転写面と対向する状態で転写ローラ7が被転写面に押し当てられても、凹部71内の糊転写テープT上の粘着剤塗膜が被転写面と接触しないものとなっている。塗膜転写具Aでは、図1(d)に示すように、凹部71の断面形状は外周側に突出する円弧状となっている。
【0026】
凹部71は、転写ローラ7の両側部72には至っていない。言い換えると、両側部72は、凹部71の幅方向の境界を確定しており、両側部72は、転写ローラ7の外周面のその他の面と面一である。その結果、塗膜転写具Aの転写ローラ7を被転写面に押圧した状態で塗膜転写具Aを移動すると、転写ローラ7は、常に両側部72で被転写面と接触している。このため、被転写面に転写ローラ7を押圧した状態で塗膜転写具Aが被転写面上を移動すると、転写ローラ7は全周に渡って被転写面に対して殆ど滑ることなく回転する。転写ローラ7の周方向に沿って凹部71がない箇所が被転写面と対向する位置で、転写ローラ7を被転写面に押圧すると、糊転写テープTは被転写面に接触する。この状態で被転写面上を塗膜転写具Aが移動すると、糊転写テープTから被転写面に粘着剤塗膜が転写されるともに、糊転写テープTは転写ローラ7の回転に伴って繰出しコア3から繰出される。一方、転写ローラ7の凹部71が被転写面と対向する位置では、転写ローラ7を被転写面に押圧しても、糊転写テープTは被転写面と接触しない。この状態で被転写面上を塗膜転写具Aが移動しても、糊転写テープTから被転写面に粘着剤塗膜は転写されず、糊転写テープTは転写ローラ7が回転しても、転写ローラ7に対してすべって、繰出しコア3から繰出されない。
【0027】
このように、塗膜転写具Aの転写ローラ7を被転写面に押圧した状態で、被転写面上を塗膜転写具Aが移動すると、転写ローラ7は塗膜転写具Aの移動に伴って連続回転するのに対して、糊転写テープは間欠的に繰出しコア3から繰り出されるとともに、間欠的に糊転写テープ上の粘着剤塗膜が被転写面に転写される。この結果、塗膜転写具Aの転写ローラ7を被転写面に押圧した状態で、被転写面上を塗膜転写具Aが移動すると、粘着剤塗膜が被転写面上へ不連続に(所謂、ミシン目状に)転写される。また、糊転写テープTが転写ローラ7に対して間欠的に滑って動かない時があるので、粘着剤塗膜を転写するために塗膜転写具Aが移動した距離に対して、糊転写テープTが繰出しコア3から繰り出される長さが短くなる。このため、連続的な塗膜転写を行う従来の塗膜転写具に比べて、ミシン目状に塗膜を転写する塗膜転写具Aでは、同じ長さの糊転写テープから被転写面に転写される粘着剤塗膜の長さを長くすることができる。この結果、塗膜転写具Aでは、収納する糊転写テープの長さを長くせず(したがって、塗膜転写具Aを大きくせず)、且つ使用者が特別な作業をしなくても、従来の塗膜転写具に比べて、粘着剤塗膜の使用量を減らすことができる。したがって、簡便により多くの写真や新聞の切り抜きなどの被貼付け物を、レポート用紙やノートに貼りつけることができる。
【0028】
塗膜転写具Aでは、粘着剤塗膜がミシン目状に転写されるので、同じ粘着剤塗膜を使用した場合には、従来の連続状に粘着剤塗膜を転写する塗膜転写具と比べて、単位面積当たりの接着力が低下する虞がある。しかしながら、接着の用途によっては、ミシン目状の転写でも接着力は十分であり、塗膜転写具Aは、幅広い用途に使用することができる。また、接着力の強い所謂、強粘着の粘着剤塗膜を用いた糊転写テープを使用すれば、ミシン目状に転写された粘着剤塗膜でも、強力な接着力を発揮することができる。このように、塗膜転写具Aによっても、写真や新聞の切り抜きなどの被貼付け物を、レポート用紙やノートに貼りつけるための十分な接着力を得ることができる。
【0029】
本発明の糊転写テープにおいては、支持体として有機高分子フィルム支持体および紙支持体が好ましく使用される。有機高分子フィルム支持体としては、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルムなど種々のフィルム支持体が使用可能であるが、コストおよび性能面からポリエステルフィルムが特に好ましい。また、フィルム支持体の膜厚は、転写性およびコスト面から6〜50μmの範囲が好ましく、より好ましくは12〜25μmである。また、紙支持体としては、グラシン紙のような高密度紙、およびクレーコート紙、クラフト紙や上質紙などにポリエチレンなどの樹脂フィルムをラミネートしたラミネート紙などの使用が可能であるが、コストおよび性能面からグラシン紙の使用が好ましい。紙支持体の厚さは20〜50μmの範囲が好ましい。
【0030】
なお、これらの支持体は、支持体両面の表面上にシリコーン化合物、フッ素樹脂、フルオロシリコーン樹脂などの離型剤を塗布することにより、両面が剥離性を有するシート(以下、剥離シートという場合がある)として使用するのが好ましい。
【0031】
本発明の糊転写テープにおける感圧接着層の形成に使用する粘着剤組成物は、特に限定されず、一般的な粘着剤組成物が使用可能であるが、アクリル系共重合体と架橋剤を成分として含み、必要により、粘着付与樹脂を配合したものが好適に使用できる。
【0032】
前記アクリル系共重合体の例としては、アルキル基の炭素数が4〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上と他の共重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノマーの1種または2種以上との共重合体が挙げられる。
【0033】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0034】
前記共重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノマーの例としては、例えば、アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α―メチルスチレン、酢酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドン、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、フマル酸などが挙げられる。前記アクリル系共重合体の製造においては、共重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノマーとして、後記架橋剤と反応しうる官能基を有するモノマー(たとえばカルボキシル基を有するモノマー)を必須成分として使用し得る。
【0035】
粘着付与樹脂の例としては、ロジン、ロジンフェノール樹脂、およびそれらのエステル化合物、金属塩などのロジン系樹脂や、テルペン重合体、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂などのテルペン系樹脂、スチレン系樹脂、クマロン・インデン樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、脂環族水添系樹脂などが挙げられるが、アクリル系共重合体に対する相溶性に優れ、かつ、アクリル系共重合体に配合して用いると、紙や各種フィルムなどの被着体に対して良好な接着性、初期タック性を呈する天然樹脂系のロジン系樹脂やテルペン系樹脂が好ましく使用される。
【0036】
また、本発明における粘着剤組成物において、アクリル系共重合体を架橋させるために使用する架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、2−クロロ−1,4−フェニルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物、これらジイソシアネート化合物のビウレット型三量化物、イソシアヌレート型三量化物、トリイソシアネートなどのイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、トリメチロールプロパンなどのポリオールのアダクト体などが挙げられ、適宜選択して使用することができる。
【0037】
前記粘着剤組成物中には、接着性、タック性、膜切れ性などを阻害しない範囲で無機または有機着色剤を添加し、接着層を着色してもよい。
【0038】
前記感圧接着層の厚さは、紙面などに対する接着力、保持力や膜切れ性を考慮して、5〜35μmの範囲が好ましく、より好ましくは10〜25μmの範囲である。感圧接着層の形成は、前記粘着剤組成物を、例えばバーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ダイコーター、コンマコーター、リップコーターなどを使用して塗布することにより行なうことができる。
【0039】
本発明の第2実施形態の転写ローラ7Bを有する塗膜転写具Bを図2に示す。図2(a)はカバーを除去した状態の塗膜転写具Bの正面図であり、図2(b)は塗膜転写具Bのカバーをセットした状態の底面図である。図2(c)は、転写ローラ7B単体を示す図であり、図2(d)は、図2(c)のM−M断面図である。
【0040】
塗膜転写具Bは、転写ローラ7Bの断面形状が塗膜転写具Aの転写ローラ7の形状と異なる以外は、塗膜転写具Aと同様である。
【0041】
塗膜転写具Aの転写ローラ7の凹部71の断面形状が外周側に突出する円弧状となっていたのに対して、転写ローラ7Bの凹部71Bの断面形状は、内周方向に凹む円弧状となっている。
【0042】
塗膜転写具Bの転写ローラ7Bを使用すると、凹部71Bの断面形状が内周方向に凹む円弧状となっているので、凹部71Bでは糊転写テープTの背面は転写ローラ7Bと接触しない。このため、転写ローラ7Bにおいて凹部71Bの底面を規定する面(以下、単に凹部71Bの底面という)と糊転写テープT間の摩擦力が、転写ローラ7に比べて小さくなり、糊転写テープTが転写ローラ7Bに対して滑り易くなる。
【0043】
塗膜転写具Aの凹部71では、糊転写テープTの背面と、転写ローラ7において凹部71の底面を規定する面(以下、単に凹部71の底面という)とが接触する。そのため、凹部71の底面と糊転写テープTの背面の摩擦係数が大きいと、粘着剤塗膜を転写した後の基材テープの表面に、転写されない粘着剤塗膜が残り易くなる。具体的に説明すると、前記のように、塗膜転写具Aでは、凹部71が被転写面と対向する位置で転写ローラ7が回転しても、原則として糊転写テープTは転写ローラ7に対してすべって、糊転写テープTが繰出しコア3から繰出されることはない。しかしながら、凹部71と糊転写テープの背面の摩擦係数が大きいと、糊転写テープTが繰出しコア3から若干、繰り出されることがある。
【0044】
そして、転写ローラ7の凹部71が被転写面と対向する状態で、糊転写テープTが繰出しコア3から繰り出されてしまうと、以下の問題が生じる。すなわち、その後、さらに転写ローラ7が回転して凹部71がない箇所が被転写面と対向する位置となった時には、糊転写テープT上の粘着剤塗膜の先端は、転写位置より前に進んでおり、粘着剤塗膜の当該前に進んだ部分は、転写ローラ7で被転写面に転写することができなくなる。このため、基材テープの表面に、転写されない粘着剤塗膜が残り易くなる。(以下、この転写されずに残った粘着剤塗膜を、糊残りと言う。)
【0045】
塗膜転写具Bの転写ローラ7Bでは、前記のように、凹部71Bと糊転写テープTの背面が接触しない形状となっているので、凹部71Bが被転写面と対向する状態では、糊転写テープTが繰出しコア3から繰り出され難い。このため、塗膜転写具Bでは、基材テープの表面に、糊残りが発生し難い。
【0046】
なお、凹部の断面形状は、第1実施形態及び第2実施形態に記載したものに限られず、同様の機能を果たす限り、任意の形状とすることができ、例えば、矩形状とすることもできる。また、凹部が底面を有さないものであってもよい。すなわち、凹部が転写ローラを径方向に貫通するものであってもよい。
【実施例】
【0047】
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味し、また塗工量、部数、混合割合などは全て固形分換算で表した。
【0048】
(剥離シートの製造)
厚さ12μmのポリエチレンフィルムの片面に、シリコーン剥離剤(信越化学工業(株)製「KS−3601」)93部、架橋剤(信越化学工業(株)製「cat.PL−50T」)5部およびシリカ粉末(日本シリカ工業(株)製「ニップシールE220A」)2部の混合物を、乾燥重量が0.4g/m2となるようグラビアコーターで塗工し、熱風乾燥して重剥離面を形成した。ついで、ポリエチレンフィルムのもう一方の面に、シリコーン剥離剤(信越化学工業(株)製「KS−3650」)95部および架橋剤(信越化学工業(株)製「cat.PL−50T」)5部の混合物を、乾燥重量が0.4g/m2となるようグラビアコーターで塗工し、熱風乾燥して軽剥離面を形成して、剥離シートを得た。
【0049】
(粘着剤組成物の製造)
まずアクリル系粘着剤(綜研化学(株)製「SKダイン801B」、アクリル系共重合体と粘着付与樹脂を含有している)98部と架橋剤(綜研化学(株)製「硬化剤L−45」)2部を混合してベースとなるアクリル系粘着剤組成物を得た。
【0050】
(糊転写テープの製造)
前記粘着剤組成物を前記剥離シートの軽剥離面上に20μm(乾燥時)の厚さになるようコンマコーターにて塗布し、100℃で3分乾燥させた。その後、軽剥離面を重剥離面側と貼り合わせるようにしてロール状に巻き取り、さらに同ロールを塗膜転写具に収納するため6mm幅にカットすることで、糊転写テープを得た。
【0051】
それぞれ図1図2に示す形状で、図中の各寸法が表1の寸法となる転写ローラXと転写ローラYを製作した。転写ローラ以外はすべて同じ部品を使用し、転写ローラXを取り付けた実施例1の塗膜転写具と転写ローラYを取り付けた実施例2の塗膜転写具を準備した。それぞれの塗膜転写具に基材テープ上に6.0mに渡って粘着剤塗膜が塗布された糊転写テープを使用して、転写テストを実施した。転写ローラX,Yともに、中軸として外径3mmのポリアセタール製の軸を使用した。また、外周部は、スチレン系熱可塑性エラストマー95部に対してポリポロピレン樹脂5部を配合した硬度75度の熱可塑性エラストマーを使用して製作した。各塗膜転写具に使用した糊転写テープの幅寸法と、各ローラの凹部71、71Bの幅寸法を、株式会社ニコン製測定顕微鏡MM−800を用いて測定したところ、それぞれ次のような測定結果であった。実施例1の塗膜転写具に使用する糊転写テープの幅は、6.01mmであった。実施例2の塗膜転写具に使用する糊転写テープの幅は、5.99mmであった。実施例1の転写ローラXの凹部71,71は、6.51mmと6.42mmであった。実施例2の転写ローラYの凹部71B,71Bは6.63mmと6.48mmであった。
【0052】
被転写面としてPPC用紙を用い、転写ローラをPPC用紙に押圧する押圧力を5.0N、塗膜転写具を移動する転写スピードを5cm/秒で、粘着剤塗膜を転写した。
【0053】
繰出しコア3のパンケーキにまだ約6m粘着塗膜が残っている状態で、実施例1と実施例2の塗膜転写具を使用して、塗膜転写テストを実施し、転写されたミシン目状塗膜の各1個の長さと、ミシン目状転写された塗膜同士の間隔を測定した。具体的には、9個の連続するミシン目状転写された粘着剤塗膜の転写長さ(図5の転写長)と、前記9個のミシン目状転写された粘着剤塗膜間の間隔(図5の間隔長)8個を測定した。前記9個のミシン目状転写に使用された部分の基材テープを確認し、基材テープに転写されずに残っている粘着剤塗膜(糊残り)の有無を目視確認した。また、転写開始から、糊転写テープ上の粘着剤塗膜を転写し終わるまで連続転写し、その間に、転写ローラが粘着剤塗膜を転写するために移動した距離、すなわち転写したミシン目状塗膜の全長を測定した。この結果を表2に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【符号の説明】
【0056】
A、B :塗膜転写具
T :糊転写テープ
T1 :基材テープ
1 :ケース
2 :カバー
3 :繰出しコア
4 :転写ヘッド
5 :巻取りコア
6 :Oリング
7、7B :転写ローラ
71,71B :凹部
72,72B :両側部
図1
図2
図3
図4
図5