(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電極体と、前記電極体の端部に接合された接続板部を有する集電体と、少なくとも前記電極体の前記端部と、前記接続板部の外側の端面である外端面とを囲むように配置された補助部材とを備え、
前記電極体は、正極及び負極がセパレータを介して積層された構造を有し、かつ、前記端部である、前記正極又は前記負極の端部が積層された積層部と、前記積層部よりも厚みが大きい本体部とを含み、
前記補助部材は、
前記接続板部の前記外端面に対向する面から前記接続板部の方向に突出状に設けられる突出部であって、前記接続板部の前記外端面に対向して配置された突出部と、
前記電極体の前記積層部と接合された第一片部であって、前記突出部の突出方向において、前記本体部と対向する位置に配置された第一片部とを有する
蓄電素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、上記特許文献1における金属材のような、振動を用いた溶接における補助的な部材(補助部材)として、電極体の積層部を挟み込むように折り曲げられた板状の金属部材(例えば挟持部材またはクリップ等と呼ばれる)が用いられる場合がある。
【0011】
しかしながら、このような金属部材を電極体の積層部に取り付けた後であって、積層部と集電体の接続板部とを接合する前に、例えば搬送時の振動等により、金属部材が取り付けた位置からずれることがある。
【0012】
また、例えば接合時の振動により、金属部材が接続板部に対してずり動くことがある。その結果、電極体の表面に近い位置に存在する、金属部材の端部が、電極体と干渉することも考えられる。
【0013】
例えば、金属部材を接続板部に仮止めし易いように、金属部材の端部が折り曲げられて、接続板部の内端面(当該積層部とは逆極側の側面)に係止されている場合、当該折り曲げられた部分の端縁は、電極体の表面に非常に近い位置に存在する。そのため、接合時の振動によって金属部材がずり動いた場合、電極体と当該端縁とが干渉する可能性が高くなるといえる。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、電極体と集電体とが補助部材を用いて接合される蓄電素子であって、当該接合を効率よく行うことができ、かつ、品質の高い蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、電極体と、前記電極体の端部に接合された接続板部を有する集電体と、少なくとも前記電極体の前記端部と、前記接続板部の外側の端面である外端面とを囲むように配置された補助部材とを備え、前記補助部材は、前記接続板部の前記外端面に対向する面から前記接続板部の方向に突出状に設けられる突出部を有する。
【0016】
この構成によれば、少なくとも電極体の端部および接続板部の外端面が補助部材に囲まれた状態で、電極体の端部(正極または負極の端部)と、集電体の接続板部とが接合されている。
【0017】
この補助部材は、接続板部の外端面に対向する面から突出状に設けられ設けられた突出部を有している。すなわち、補助部材は、突出部が接続板部の外端面を押圧することが可能な構造を有している。
【0018】
これにより、補助部材の、接続板部の幅方向の移動(ずれ)が抑制される。具体的には、補助部材の電極体の方向へのずれが抑制される。
【0019】
そのため、電極体の端部と集電体の接続板部との、超音波溶接等による接合時において、補助部材の位置の安定性が向上する。
【0020】
その結果、例えば、超音波溶接等による接合の際に、補助部材の端部が電極体の表面と干渉するような事態の発生が抑制され、これにより、例えば、微小な金属片等の異物の発生が抑制される。
【0021】
このように、本態様の蓄電素子は、電極体と集電体とが補助部材を用いて接合される蓄電素子であって、当該接合を効率よく行うことができ、かつ、品質の高い蓄電素子である。
【0022】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記補助部材は、前記電極体の前記端部と接合された第一片部と、前記接続板部と接続された第二片部と、前記第一片部および前記第二片部を接続する接続片部とを有し、前記突出部は、前記補助部材における、前記接続板部の前記外端面に対向する面である、前記接続片部の内面から前記接続板部の方向に突出状に設けられているとしてもよい。
【0023】
この構成によれば、補助部材は、第一片部および第二片部で、電極体の端部と集電体の接続板部とを挟むように配置され、かつ、第一片部および第二片部を接続する接続片部の内面に設けられた突出部で接続板部の外端面を押圧することができる。
【0024】
これにより、電極体の端部と集電体の接続板部との接合時またはその接合の前の準備の際において、補助部材の位置の安定性がさらに向上される。その結果、例えば、電極体の端部と集電体の接続板部との接合前の半完成品の状態での扱いが容易化されるとともに、接合時における異物の発生が抑制される。
【0025】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記第二片部は、前記接続板部の内側の端面である内端面に沿った方向に曲げられた折返し部を有するとしてもよい。
【0026】
この構成によれば、補助部材は、接続板部を、厚み方向と交差する方向(幅方向)における両側から、付勢力を与えなら挟み込む構造を有している。これにより、補助部材の、接続板部の幅方向のずれが、より確実に抑制される。
【0027】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記突出部は、前記接続板部の前記外端面に接触しているとしてもよい。
【0028】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記突出部は、前記補助部材の一部が前記接続板部の方向に突出することで形成されているとしてもよい。
【0029】
この構成によれば、突出部が、補助部材の一体物として提供されるため、例えば、蓄電素子の生産効率の向上、および生産管理の容易化等が図られる。
【0030】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子の製造方法は、電極体と、前記電極体の端部に接合された接続板部を有する集電体と、補助部材とを備える蓄電素子の製造方法であって、前記電極体の前記端部および前記接続板部を挟むように前記補助部材を前記接続板部に取り付ける取付工程と、前記取付工程の後に、前記補助部材に挟まれた状態の前記電極体の前記端部と前記接続板部とを接合する接合工程とを含み、前記取付工程は、前記補助部材を構成する金属製の板材に対し、前記板材の端縁を折り曲げることによって形成された折返し部が、前記接続板部の内側の端面である内端面に当接するように、前記板材を前記接続板部に配置する配置工程と、前記折返し部が前記接続板部の前記内端面に当接した状態で、前記板材に突出状に設けられた突出部が前記接続板部の外側の端面である外端面に接触し、かつ、前記板材が、前記電極体の前記端部および前記接続板部を挟むように、前記板材を折り曲げる折り曲げ工程とを含む。
【0031】
この方法によれば、補助部材は、接続板部を、厚み方向と交差する幅方向における両側から、積極的に挟みこむ構造を有している。
【0032】
そのため、電極体の端部と集電体の接続板部との、超音波溶接等による接合時またはその接合の前の準備の際において、補助部材の接続板部に対するずり動きが抑制される。
【0033】
その結果、例えば、超音波溶接等による接合の際に、補助部材の折返し部が電極体の表面と干渉するような事態の発生が抑制され、これにより、例えば、微小な金属片等の異物の発生が抑制される。
【0034】
従って、本態様に係る蓄電素子の製造方法によれば、電極体と集電体とが補助部材を用いて接合される蓄電素子であって、当該接合を効率よく行うことができ、かつ、品質の高い蓄電素子を製造することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、電極体と集電体とが補助部材を用いて接合される蓄電素子であって、当該接合を効率よく行うことができ、かつ、品質の高い蓄電素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態における蓄電素子について説明する。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0038】
また、以下で説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、生産工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0039】
まず、蓄電素子として電池を例に挙げ、
図1および
図2を用いて、実施の形態における電池10の全般的な説明を行う。
【0040】
図1は、実施の形態における電池10の内部構造の概要を示す斜視図である。つまり、
図1は、電池10の内部構造を図示するために、後述する電池容器100の一部の図示が省略された図である。
【0041】
図2は、実施の形態における集電体140と電極端子300との接続態様を示す図である。
【0042】
電池10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、例えば、非水電解質二次電池である。非水電解質電池としては、例えば、正極活物質がコバルト酸リチウムなどのリチウム遷移金属酸化物であり、負極活物質が炭素材料であるリチウムイオン二次電池を挙げることができる。
【0043】
なお、電池10の種類は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよく、また、一次電池であってもよい。また、電池10が、蓄電素子である、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタであってもよい。
【0044】
図1に示すように、実施の形態における電池10は、電池容器100と、電極端子200と、電極端子300とを備える。本実施の形態では、電極端子200は正極の端子であり、電極端子300は負極の端子である。
【0045】
電池容器100は、金属からなる矩形筒状で底を備える本体101と、本体101の開口を閉塞する金属製の蓋板110とで構成されている。また、電池容器100は、電極体120等を内部に収容後、蓋板110と本体101とが溶接等されることにより、内部を密封する構造を有する。
【0046】
また、電極端子200は、電池容器100の気密性を保つためのパッキン230を介して電池容器100の蓋板110に取り付けられている。電極端子300も同様にパッキン330を介して電池容器100の蓋板110に取り付けられている。
【0047】
なお、パッキン230および330のそれぞれは、例えば絶縁性の樹脂で形成されており、金属製の電極端子200および300と、金属製の電池容器100(蓋板110)との間の電気的な絶縁の役割も有している。
【0048】
また、
図1に示すように、電池容器100の内方には、電極体120が収容されており、さらに、正極側の集電体130と、負極側の集電体140とが配置されている。なお、電池10の電池容器100の内部には電解液などの液体が封入される場合があるが、当該液体の図示は省略する。
【0049】
また、
図1には表されていないが、集電体130および集電体140のそれぞれと、蓋板110との間にも、集電体130および集電体140と、蓋板110とを絶縁するパッキン(下パッキン)が配置されている。
【0050】
電極体120は、正極と負極とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる部材であり、全体が長円形状となるように形成されている。電極体120の詳細については、
図3を用いて後述する。
【0051】
集電体130は、電極端子200および電極体120に接続された金属部材である。集電体130の素材としては、例えば、電極体120の正極と同じ素材であるアルミニウム、または、アルミニウム合金が採用される。集電体130は、電極体120と接合される一対の長尺状の接続板部132を有している。
【0052】
集電体140は、電極端子300および電極体120に接続された金属部材である。集電体140の素材としては、例えば、電極体120の負極と同じ素材である銅、または、銅合金が採用される。集電体140は、電極体120と接合される一対の長尺状の接続板部142を有している。
【0053】
本実施の形態の電池10では、接続板部132および接続板部142と、電極体120とは、振動を用いた溶接の一種である超音波溶接によって接合されている。
【0054】
また、本実施の形態の電池10は、特徴的な構成として、補助部材150を備えている。
【0055】
具体的には、集電体130の一対の接続板部132および集電体140の一対の接続板部142のそれぞれに1つの補助部材150が配置されている。
【0056】
1つの接続板部142に着目して説明すると、電極体120の負極である積層部123aおよび接続板部142を挟むように、1つの補助部材150が配置されている。
【0057】
例えば、接続板部142と積層部123aとが補助部材150に挟み込まれた状態で加圧されながら超音波による振動が与えられることで、接続板部142と積層部123aとが接合される。このような作業が接続板部ごとに行われることで、一対の接続板部132それぞれと、積層部122aとが接合され、一対の接続板部142それぞれと、積層部123aとが接合される。
【0058】
ここで、補助部材150は、超音波による振動によって、金属箔の層で形成された積層部122a(123a)が損傷しないように補助的に用いられる金属部材である。また、補助部材150は、積層部122a(123a)と、接続板部132(142)との溶接の際に、これらを取りまとめる部材としての役割も有する。
【0059】
なお、正極側の集電体130に取り付けられる補助部材150の素材としては、例えば、電極体120の正極と同じ素材であるアルミニウム、または、アルミニウム合金が採用される。また、負極側の集電体140に取り付けられる補助部材150の素材としては、例えば、電極体120の負極と同じ素材である銅、または、銅合金が採用される。
【0060】
この補助部材150の詳細およびその変形例については、
図4〜
図9を用いて後述する。
【0061】
また、電極端子200(300)と集電体130(140)とは、本実施の形態では、かしめによって接続されている。
【0062】
例えば、
図2に示すように、電極端子300はリベット部305を有している。このリベット部305が、パッキン330、蓋板110(
図1参照)、および、図示しない下パッキンを貫通し、集電体140の、電極接続部141に設けられた貫通孔141aに挿入された状態で、リベット部305の先端がかしめられる。これにより、電極端子300と集電体140とが接続される。
【0063】
電極端子200も同様に、電極端子200が有するリベット部がかしめられることで、集電体130と接続されている。
【0064】
次に、
図3を用いて、実施の形態における電極体120の構成について説明する。
【0065】
図3は、実施の形態における電極体120の構成を示す斜視図である。
【0066】
電極体120は、
図3に示すように、正極122および負極123と、2枚のセパレータ124、125とが交互に積層されるように捲回されることで形成されている。
【0067】
つまり、電極体120は、正極122と、セパレータ124と、負極123と、セパレータ125とがこの順に積層され、かつ、断面が長円形状になるように捲回されることで形成されている。
【0068】
正極122は、アルミニウムからなる長尺帯状の金属箔の表面に、正極活物質を含む合剤層が形成されたものである。
【0069】
正極122が有する合剤層に含まれる正極活物質としては、例えば、LiMPO
4、LiMSiO
4、LiMBO
3(Mは、Fe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO
2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
【0070】
負極123は、銅からなる長尺帯状の金属箔の表面に、負極活物質層を含む合剤層が形成されたものである。
【0071】
負極123が有する合剤層に含まれる負極活物質としては、例えばリチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム、リチウム−シリコン、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、およびウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li
4Ti
6O
12等)、ポリリン酸化合物などが挙げられる。
【0072】
このように構成された電極体120において、より具体的には、正極122と負極123とは、セパレータ124、125を介し、捲回軸(本実施の形態ではX軸方向に平行な仮想軸)の方向に互いにずらして捲回されている。
【0073】
そして、正極122および負極123は、それぞれのずらされた方向の端縁部に、活物質を含む合剤層が形成されていない部分(合剤層非形成部)を有する。
【0074】
具体的には、正極122は、捲回軸方向の一端に、合剤層が形成されていない合剤層非形成部が積層された積層部122aを有している。また、負極123は、捲回軸方向の他端に、合剤層が形成されていない合剤層非形成部が積層された積層部123aを有している。
【0075】
つまり、正極122の露出した金属箔の層によって積層部122aが形成され、負極123の露出した金属箔の層によって積層部123aが形成されている。
【0076】
このように、電極体120の捲回軸方向の両端部のうちの一方は積層部122aを有し、他方は積層部123aを有する。
【0077】
集電体130は、一対の接続板部132の間に積層部122aが配置された状態で、これら接続板部132と積層部122aとが超音波溶接によって接合されることで、電極体120の正極122と接続される。
【0078】
また、集電体140は、一対の接続板部142の間に積層部123aが配置された状態で、これら接続板部142と積層部122aとが超音波溶接によって接合されることで、電極体120の正極122と接続される。
【0079】
ここで、集電体130および140と電極体120との超音波溶接の工程において補助的な役目を果たす補助部材150は、補助部材150の構造的な特徴により、接続板部(132または142)に対する位置ずれが抑制される。その結果、例えば、超音波溶接の工程における補助部材150と電極体120との干渉の発生が抑制される。
【0080】
以下、
図4および
図5を用いて、実施の形態における補助部材150の特徴等について説明する。
【0081】
なお、本実施の形態では、負極側の部材(電極端子300、集電体140および補助部材150等)と、正極側の部材(電極端子200、集電体130および補助部材150等)の形状および取り付け構造等は、実質的に同一である。そのため、以下では、主として、負極側の部材に関する事項について説明し、正極側の部材に関する事項についてはその説明を適宜省略する。
【0082】
図4には、
図1におけるAの部分の、接続板部142の長手方向(本実施の形態におけるZ軸方向、以下同じ)に直交する断面が模式的に示されている。
【0083】
また、
図5では、接続板部142および積層部123aに取り付けられた状態の補助部材150を表しており、かつ、接続板部142および積層部123aの図示は省略されている。
【0084】
また、
図4および
図5では、補助部材150の特徴の明確化のために、接続板部142と積層部123aとの接合時における加振および加圧等に起因する変形は表されていない。このことは、後述する各変形例を示す
図7〜
図9においても同じである。
【0085】
図4および
図5に示すように、本実施の形態における補助部材150は、少なくとも電極体120の端部と、接続板部142の外側の端面である外端面146とを囲むように配置された部材である。また、補助部材150は、接続板部142の外端面146に対向する面から接続板部142の方向に突出状に設けられる突出部155を有する。
【0086】
具体的には、本実施の形態における補助部材150は、電極体120の積層部123aと接合された第一片部151と、接続板部142と接合された第二片部152とを有する。第二片部152は、接続板部142の内端面145に沿った方向に曲げられた折返し部153を有する。
【0087】
補助部材150はさらに、接続板部142の外端面146に沿って設けられ、第一片部151と第二片部152とを接続する接続片部154とを有する。突出部155は、補助部材150における、接続板部142の外端面146に対向する面である、接続片部154の内面から接続板部142の方向に突出状に設けられている。
【0088】
突出部155は、本実施の形態では、接続片部154の一部が接続板部142の方向に突出することで形成されており、接続板部142の外端面146に接触している。このような態様の突出部155は、例えば、接続片部154に絞り加工又はプレス加工を行うことで形成される。
【0089】
接続板部142は、厚み方向(本実施の形態におけるY軸方向、以下同じ)の両側面である第一接合面143および第二接合面144と、幅方向(本実施の形態におけるX軸方向、以下同じ)の両端面である内端面145および外端面146とを有する。
【0090】
第一接合面143は、積層部123aと接合された側面であり、第二接合面144は、補助部材150の第二片部152と接合された側面である。
【0091】
また、内端面145は、この補助部材150が接合された積層部123aとは逆極側、つまり、積層部122aの側の端面であり、補助部材150の折返し部153と当接することで、折返し部153を係止する端面である。
【0092】
外端面146は、内端面145と反対側の端面であり、補助部材150の突出部155が接触する端面である。
【0093】
本実施の形態の補助部材150は、上記構成を有することにより、電極体120の積層部123aおよび接続板部142を挟んだ状態において、接続板部142を幅方向から押圧しながら挟むことができる。
【0094】
具体的には、補助部材150の折返し部153が接続板部142の内端面145に係止され、かつ、接続板部142の外端面146に、接続片部154の内面から突出状に設けられた突出部155が接触する。
【0095】
すなわち、補助部材150は、自身が有する弾性により、接続板部142の外端面146に付勢力を与える構造、言い換えると、折返し部153と突出部155とで接続板部142を幅方向から挟み込む構造を有している。これにより、積層部123aと接続板部142との超音波溶接等による接合時またはその接合の前の準備の際において、補助部材150の位置の安定性が向上する。
【0096】
ここで、補助部材150の接続板部142への取り付けの際に、突出部155を接続板部142の外端面146に押し当てるように取り付けることで、補助部材150が有する弾性を、補助部材150の位置の安定に効果的に利用することができる。
【0097】
なお、本実施の形態の電池10の製造方法は、取付工程と接合工程とを含むが、当該製造方法における特徴的な手順を含む取付工程について、
図6を参照しながら以下に説明する。
【0098】
本実施の形態における取付工程は、配置工程と、折り曲げ工程とを含む。より具体的には、配置工程の前に加工工程が行われる。
【0099】
加工工程では、補助部材150を構成する金属製の板材159に対し、板材159の端縁を折り曲げることによる折返し部153の形成、および、板材159から突出状に設けられた突出部155の形成が行われる。
【0100】
より詳細には、さらに、折返し部153と突出部155との間の所定の位置での折り曲げ加工等がなされ、その結果、板材159は、
図6の(a)に示す形状にされる。つまり、板材159は、後の配置工程のための形状に仮成形される。
【0101】
配置工程では、
図6の(a)に示す形状に成形された板材159が、折返し部153が接続板部142の内端面145に当接するように配置される。
【0102】
折り曲げ工程では、折返し部153が接続板部142の内端面145に当接した状態で、突出部155が接続板部142の外端面146に接触し、かつ、板材159が、積層部123aおよび接続板部142を挟むように、板材159が折り曲げられる。
【0103】
つまり、仮成形された板材159が、
図6の(b)に示すように、接続板部142に対して配置される。その後、突出部155を挟んで折返し部153とは反対側の部分が、折り曲げ治具500によって、電極体120の側に押し込まれるようにして折り曲げられる。
【0104】
これにより、
図6の(c)に示すように、突出部155が接続板部142の外端面146に押し当てられた状態で、補助部材150が接続板部142および積層部123aを挟むように配置される。
【0105】
この状態において、折返し部153が接続板部142の内端面145に係止されているため、突出部155からの付勢力が接続板部142の外端面146に与えられる。つまり、補助部材150は接続板部142を幅方向から挟持するように配置される。
【0106】
これにより、補助部材150の位置の安定化が図られ、補助部材150を接続板部142に取り付けた状態において、補助部材150の、接続板部142に対する幅方向の位置ずれが抑制される。
【0107】
つまり、超音波溶接等による接合が行われる場所までの移動、および、当該接合の実施に際して、例えば補助部材150を接続板部142に固定するための治具の配置が不要であり、これにより、当該接合を効率よく行うことができる。
【0108】
本実施の形態における接合工程は、上記の取付工程の後に行われる工程であり、補助部材150に挟まれた状態の積層部123aと接続板部142とを接合する工程である。
【0109】
例えば、補助部材150、第一片部151の外面に、ホーンが当てられ、補助部材150の第二片部152の外面に、アンビルが当てられる。
【0110】
この状態で、ホーンおよびアンビルによって加圧されながら、ホーンからの超音波振動が与えられ、その結果、積層部123aと接続板部142とが接合される。なお、このとき、第一片部151と積層部123aとが接合され、第二片部152と接続板部142とが接合される。
【0111】
ここで、仮に補助部材150に突出部155がない場合を想定した場合、
図6の(b)に示す状態おいて、折り曲げ治具500で板材159を強く押し込んだとしても、接続片部154と、接続板部142の外端面146との間の隙間をゼロにするのは困難である。
【0112】
そのため、突出部155がない補助部材150は、接続板部142に対する、幅方向の移動(ずれ)が生じ易いといえる。つまり、当該補助部材150が、接合工程において電極体120の方向(
図6の(c)における左方向)に移動した場合、当該補助部材150の端部(例えば
図6の(c)における折返し部153の上端、または、第一片部151における左端)が、電極体120に干渉することが考えられる。この場合、微小な金属片等の異物の発生も想定され得る。このような金属片の発生は、電極体120における内部短絡の発生の要因ともなり得る。
【0113】
しかしながら、本実施の形態の補助部材150は、突出部155が、接続板部142の電極体120とは反対側の端面(外端面146)に付勢力を与える状態で、接続板部142に取り付けられている。そのため、補助部材150の、接続板部142の幅方向の移動(ずれ)が抑制される。
【0114】
つまり、補助部材150に、超音波溶接等における圧力および振動が加えられた場合において、補助部材150が移動することによる、電極体120との干渉が抑制される。
【0115】
これにより、補助部材150と電極体120とが干渉することによる異物の発生が抑制され、その結果、品質の高い電池10の提供が可能となる。
【0116】
なお、
図5に示す形状に形成された補助部材150を、積層部123aと接続板部142とを挟むように配置してもよい。つまり、仮成形(
図6の(a)参照)を経ずに、取付時の状態とほぼ同じ形状にまで加工された板材159を、接続板部142に取り付けてもよい。
【0117】
この場合、補助部材150の、接続板部142への取り付けの前の状態において、折返し部153と突出部155との間の幅方向の距離を、接続板部142の幅(X軸方向の長さ)より短くなるように、補助部材150を作製する。これにより、突出部155と接続板部142との接触が保障され、補助部材150が有する弾性を補助部材150の位置の安定に効果的に利用することができる。
【0118】
なお、電池10は、
図4〜
図6等に示す補助部材150の形状または構造とは異なる形状または構造の補助部材150を備えてもよい。そこで、以下に、実施の形態における補助部材150に関する各種の変形例を説明する。
【0119】
(変形例1)
図7は、実施の形態の変形例1における補助部材150aを示す図である。
図7では、接続板部142および積層部123aの図示は省略されている。
【0120】
図7の(a)に示すように、変形例1における補助部材150aは、接続板部142の長手方向に沿って複数配置された突出部155aを有している。
【0121】
つまり、上記実施の形態に係る補助部材150は、例えば
図5に示すように、1つの突出部155が接続板部142の長手方向に沿って延設されているのに対し、補助部材150aでは、当該長手方向に沿って離散的に複数の突出部155aが配置されている。
【0122】
具体的には、本変形例では、
図7の(b)(
図7の(a)におけるB−B断面の一部)に示されるように、接続片部154に絞り加工を行うことで複数の突出部155aが形成されている。
【0123】
なお、
図7において突出部155aのそれぞれは、当該長手方向に沿った長尺状であるが、突出部155aの形状に特に限定はない。例えば、半球状、円錐状、または、接続板部142の厚み方向(Y軸方向)に長尺状の突出部として、突出部155aが接続片部154に設けられていてもよい。
【0124】
このように、補助部材が有する突出部は、接続板部の長手方向に延設されてもよく、当該長手方向に沿って離散的に複数配置されてもよい。いずれの場合であっても、突出部と接続板部との接触の確実性が向上され、接合前および接合時における補助部材の位置の安定性が向上する。
【0125】
(変形例2)
図8は、実施の形態の変形例2における補助部材150bを示す図である。
図8の(a)では、接続板部142および積層部123aの図示は省略されている。
【0126】
図8の(a)に示すように、変形例2に係る補助部材150bは、接続板部142の長手方向に沿って複数配置された突出部155bを有している。
【0127】
ここで、変形例2に係る補助部材150bが有する突出部155bは、接続片部154の一部が突出することで形成されている点では、実施の形態に係る突出部155と同じである。
【0128】
しかし、変形例2に係る突出部155bは、
図8の(a)および(b)に示すように、絞り加工ではなく、接続片部154の一部を切り起こすことで形成されている点で、実施の形態に係る突出部155とは異なる。
【0129】
つまり、接続片部154の一部を突出させることで突出部を形成する場合、その形成の手法は絞りに限定されず、例えば突出部155bのように、切り起こしによって形成されてもよい。
【0130】
なお、切り起こしによって突出部155bを形成する場合、例えば
図8の(b)に示されるように、突出部155bの、接続板部142と接触する部分を丸めることで、例えば、当該部分を、接続板部142に対して厚み方向に滑りやすくすることができる。これにより、補助部材150が有する弾性を、より効果的に補助部材150の位置の安定に利用することができる。
【0131】
なお、突出部155bの形状に特に限定はなく、例えば、接続板部142の厚み方向(Y軸方向)に長尺状の突出部として、突出部155aが接続片部154に設けられていてもよい。
【0132】
以上、変形例1および2に示すように、突出部を、接続片部154の一部を突出させることで形成する場合において、突出部の数、形状、配置位置、および形成の手法は様々なものが存在する。また、補助部材において、接続板部142の長手方向の全長に渡って突出部が配置されている必要はなく、当該全長の少なくとも一部に突出部が配置されていればよい。
【0133】
(変形例3)
図9は、実施の形態の変形例3における補助部材150cを示す図である。
図9の(a)では、接続板部142および積層部123aの図示は省略されている。
【0134】
図9の(a)に示すように、変形例2に係る補助部材150bは、接続板部142の長手方向に沿って延設された突出部155cを有しており、この点では、実施の形態に係る突出部155と同じである。
【0135】
しかし、
図9の(a)および(b)に示すように、変形例3に係る突出部155cは、接続片部154の内面と接続板部142の外端面146との間に挟まれた、接続片部154とは別体の部材によって形成されている点で、実施の形態に係る突出部155とは異なる。
【0136】
このような態様の突出部155cは、接続片部154の内面から接続板部142の外端面146の方向に突出状に設けられ、外端面146に接触する突出部の一例である。
【0137】
このように、突出部155cを、補助部材150の本体(第一片部151、第二片部152および接続片部154の一体物)とは別体として作製することで、弾性、剛性、および、耐熱性等が考慮された適切な素材を、突出部155cとして選択することができる。例えば、補助部材150の本体よりも弾性の高い素材で突出部155cを作製することで、補助部材150の位置の安定性をより向上させることも可能となる。
【0138】
突出部155cの素材としては、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂等の樹脂が例示される。
【0139】
また、例えば、金属製または樹脂製のパイプを、突出部155cとして、接続片部154と接続板部142の外端面146との間に配置してもよい。この場合、当パイプの周面が、接続板部142の長手方向に沿って切り欠かれていてもよい。このように、突出部155cは中実である必要はなく、中空であってもよい。
【0140】
また、突出部155cは、予め形状の定められた部品として実現されなくてもよい。例えば、シリコン樹脂等の樹脂を、接続片部154の内面または接続板部142の外端面146に塗布した後に固化させることで、突出部155cを形成してもよい。
【0141】
このように、補助部材が備える突出部は、接続片部154と一体である必要はなく、適宜選択した素材で構成された、接続片部154とは別体の要素として配置されてもよい。
【0142】
(その他)
以上、本発明に係る電池について、実施の形態およびその変形例に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、実施の形態およびその変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態またはその変形例に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0143】
例えば、実施の形態における補助部材150は、第一片部151、第二片部152および接続片部154それぞれの長さ(接続板部142の長手方向の長さ、以下同じ)は同一(略同一も含む)である。
【0144】
しかし、これら要素の長さは同一である必要はない。例えば、折返し部153を有する第二片部152の長さが、第一片部151および接続片部154の長さよりも短くてもよい。
【0145】
この場合、接続片部154の、当該長手方向における第二片部152に対応する位置に、突出部(155、155a、155b、または155c、以下「突出部155等」という)が配置されていればよい。これにより、突出部155等を、接続板部142に対する位置の安定化のための要素として効率よく機能させることができる。
【0146】
また、折返し部153の長さについても、第二片部152の長さと同一である必要はなく、例えば、第二片部152の長さよりも短くてもよい。この場合、接続片部154の当該長手方向における折返し部153に対応する位置に、突出部155等が配置することで、突出部155等を、接続板部142に対する位置の安定化のための要素として効率よく機能させることができる。
【0147】
また、補助部材150は、折返し部153を備えなくてもよい。例えば、第一片部151と第二片部152とによる挟持力により、補助部材150が、電極体120の端部(積層部122a)と集電体140の接続板部142とに安定的に取り付けられる場合、折返し部153がなくてもよい。
【0148】
また、補助部材150は、第二片部152を備えなくてもよい。つまり、補助部材150は、接続板部142の長手方向から見た場合において、少なくとも電極体120の端部(積層部122a)と、接続板部142の外端面146とを囲むように配置されればよい。
【0149】
すなわち、補助部材150は、積層部122aと接続板部142との超音波溶接等の接合の際の当て材として機能する部分(第一片部151)と、補助部材150の電極体120の方向への移動(ずれ)を抑制するための部分(突出部155)とを備えればよい。
【0150】
また、集電体140と電極体120との接合の手法は、超音波溶接に限定されない。例えば、補助部材150に挟まれた状態の積層部123aと接続板部142とを、抵抗溶接で接合してもよい。つまり、補助部材150を、主として、積層部123aと接続板部142とを抵抗溶接で接合する際の、積層部123aと接続板部142とを取りまとめる部材として用いてもよい。
【0151】
また、電池10が備える電極体120の構造は捲回型でなくてもよく、平板状の正極と負極とがセパレータを挟んで交互に積層された構造であってもよい。また、電極体120は、長尺帯状の正極と負極とがセパレータを挟んで蛇腹状に折り畳まれた構造であってもよい。
【0152】
つまり、電極体120の構造として、集電体130または140と接合可能な端部を有する構造であれば、どのような構造が採用されてもよい。
【0153】
また、集電体140は、一対の接続板部142を有するとしたが、集電体140は、少なくとも1つの接続板部142を有すればよい。集電体130も同様に、少なくとも1つの接続板部132を有すればよい。
【0154】
また、電池10において、正極側および負極側の双方に補助部材150が配置されるとしたが、補助部材150は正極側および負極側のいずれか一方にのみ配置されていてもよい。
【0155】
例えば、比較的に微小な金属片が発生し易い銅を素材とする、負極側の集電体140と、電極体120の積層部123aとを接合する箇所にのみ補助部材150が配置されていてもよい。