(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331012
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】異物検出装置
(51)【国際特許分類】
G01V 3/10 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
G01V3/10 A
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-93787(P2014-93787)
(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公開番号】特開2015-210235(P2015-210235A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2015年1月29日
【審判番号】不服2017-7692(P2017-7692/J1)
【審判請求日】2017年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】506207602
【氏名又は名称】マイクロマグネ有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】三浦 由則
(72)【発明者】
【氏名】三浦 清子
【合議体】
【審判長】
小林 紀史
【審判官】
須原 宏光
【審判官】
中塚 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−300392(JP,A)
【文献】
特開2002−156462(JP,A)
【文献】
特開2008−39394(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3177557(JP,U)
【文献】
特開平11−72479(JP,A)
【文献】
特開2005−233722(JP,A)
【文献】
実開平3−95981(JP,U)
【文献】
特開平2−126180(JP,A)
【文献】
特開2006−133129(JP,A)
【文献】
特開2002−234030(JP,A)
【文献】
特開2010−83675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-13/00
G01N 27/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界を発生させる磁界発生手段と、
磁気シールドケースと、
前記磁気シールドケースの中に検査対象物を出入りさせるための長い穴または管と、
前記検査対象物に圧縮空気または弾性力を用いて力付与し、更に前記穴または前記管の出口側からの吸引により、前記検査対象物を、前記穴または前記管内を移動させる移動手段と、
前記磁界中の前記穴または前記管の側部に設けられ、磁力変化を検出する磁力変化検出手段と、
前記磁力変化検出手段により検出された信号に基づき磁界変動を求め、磁界変動から異物を検出する手段と
を具備し、
前記シールドケースは内部に、前記磁界発生手段、前記穴または管、前記磁力変化検出手段を、備え、
前記移動手段は、500mmの自由落下により得られる速度により前記検査対象物を移動させ、
磁界強度が30kA/mのときに、前記異物を検出する手段により、直径が0.2mmのSUS304球及び直径が0.1mmの鉄球が異物として検出される
ことを特徴とする異物検出装置。
【請求項2】
磁界を発生させる磁界発生手段は、永久磁石、または、電磁石により構成されることを特徴とする請求項1に記載の異物検出装置。
【請求項3】
磁力変化検出手段は、磁力を検出できるセンサであり、磁界の乱れを検出するセンサであるコイル、MIセンサ、MRセンサ、ホール素子のいずれかにより構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の異物検出装置。
【請求項4】
移動手段は、粉体、または流体、固体の検査対象物を前記磁力変化検出手段に遠方から近接し遠方へ移動させることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の異物検出装置。
【請求項5】
検査対象物は、粉体、または流体、あるいは固体であり、固体異物、気泡などの異物が混入することがあること特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の異物検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁性物と非磁性物とを問わず、金属物を含む粉体、または流体、あるいは固体異物、気泡などの異物を、磁界の乱れを用いて高精度に検出することができる異物検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年においては、食料品、医療品をはじめ、電気電子製品に到るまで、高品質、高純度が求められている。特に金属異物の混入はあってはならないことであり、その検査の徹底が求められる。中でも製品の加工工程などで混入する金属物については、高精度で検出できることが望まれている。
【0003】
従来の金属物検出の方法としては、磁気による検出方法や高周波による検出方法が知られている。しかしながら、いずれの検出方法も今日求められている精度には到っていないのが現状である。
【0004】
また、画像処理を用いた手法も行われているが、検査対象物が薄いシート状に延ばしたものであるか、異物以外が透明である検査対象物に限られるなど、どのような検査対象物にも適用できるというものではない。
【0005】
特許文献1には、SQUIDグラジオメータを用いた磁気センサを備えた磁性物検出装置が記載されている。この磁性物検出装置は、被検査体に混入した磁性物を所定の方向に磁化させ、上記磁気センサは検出コイルのコイル面が被検査体に移動面に対し所定角度を有するように配置したというものである。
【0006】
上記のように、特許文献1に記載の磁性物検出装置は、装置を構成する部品の設定が難しく、装置としても高価であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−92507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記のような従来の異物検出装置が抱えている問題点を解決せんとしてなされたもので、その目的は、構成が簡単で安価であり、磁性物であるか非磁性物であるかを問わず、小さな金属、固体異物、気泡まで高精度に検出することが可能な異物検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る異物検出手段は、磁界を発生させる磁界発生手段と、磁気シールドケースと、前記磁気シールドケースの中に検査対象物を出入りさせるための長い穴または管と、前記検査対象物に圧縮空気または弾性力を用いて力付与し、更に前記穴または前記管の出口側からの吸引により、前記検査対象物を、前記穴または前記管内を移動させる移動手段と、前記磁界中の前記穴または前記管の側部に設けられ、磁力変化を検出する磁力変化検出手段と、前記磁力変化検出手段により検出された信号に基づき磁界変動を求め、磁界変動から異物を検出する手段とを具備し、前記シールドケースは内部に、前記磁界発生手段、前記穴または管、前記磁力変化検出手段を、備え、
前記移動手段は、500mmの自由落下により得られる速度により前記検査対象物を移動させ、磁界強度が30kA/mのときに、前記異物を検出する手段により、直径が0.2mmのSUS304球及び直径が0.1mmの鉄球が異物として検出されることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る異物検出装置では、磁界を発生させる磁界発生手段は、永久磁石、または、電磁石により構成されることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る異物検出装置では、磁力変化検出手段は、磁力を検出できるセンサであり、磁界の乱れを検出するセンサであるコイル、MIセンサ、MRセンサ、ホール素子のいずれかにより構成されることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る異物検出装置では、移動手段は、粉体、または流体、固体の検査対象物を前記磁力変化検出手段に遠方から近接し遠方へ移動させることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る異物検出装置では、検査対象物は、粉体、または流体、あるいは固体であり、固体異物、気泡などの異物が混入することがあること特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、検査対象物が磁性物である場合、この検査対象物を磁界中において、磁力変化検出手段に遠方から近接し更に遠方へ移動させるので、着磁した検査対象物が磁界の乱れを生じさせ、これを磁力変化検出手段により検出し、検出信号に基づき磁界変動を求め、磁界変動から異物を検出することになり、高精度で小さな物まで検出することが可能である。また、構成が簡素であり、安価である。
【0018】
本発明によれば、検査対象物が非磁性物である場合、検査対象物が磁界に遠方から近接し更に遠方へ移動したときに、非磁性金属の検査対象物に加わる磁力が変化し、これによって非磁性金属表面に渦電流が発生する。その渦電流が磁界の乱れを生じさせ、これを磁力変化検出手段により検出し、検出信号に基づき磁界変動を求め、磁界変動から非磁性金属物の異物を検出することが可能となる。このように、本発明に係る固体異物検出装置は、磁性物、非磁性物を問わず、高精度で小さな金属、固体異物、気泡まで高精度に検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る第1の実施形態の異物検出装置を示す構成図。
【
図2】本発明に係る第2の実施形態の異物検出装置を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明に係る異物検出装置の実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図1に第1の実施形態の異物検出装置の構成を示す。異物検出装置は、例えばネオジム磁石11、12により磁界を発生させる。このネオジム磁石11、12は、磁界を発生させる磁界発生手段を構成する。なお、磁界発生手段は、永久磁石に限らず電磁石であっても良い。
【0021】
磁界中に、検査対象物を移動させる筒体13が設けられる。検査対象物には、流体、または粉体、固体であり、固体異物、気泡などの異物が混入することがある。筒体13は、金属、樹脂、ガラス、セラミック、紙などにより構成することができる。筒体13の形状は円筒、多角形筒などとすることができる。筒体13は鉛直方向に長く配置して設けられ、検査対象物を自由落下により移動させることができる。この筒体13は、検査対象物を前記磁力変化検出手段に遠方から近接し遠方へ移動させる移動手段を構成する。筒体13の出口側には、検査対象物の回収容器50を設けることができる。
【0022】
14は、磁力変化を検出する磁力変化検出手段である。磁力変化検出手段14は磁界中に、筒体13の側壁に付着させて設けるか、筒体13の側壁に近接にさせて設けることができる。磁力変化検出手段14は、磁性金属の移動による直接的な磁力変化或いは非磁性金属の移動による渦電流による磁力変化を検出できるセンサであれば特に限定はなく、コイル、MIセンサ、MRセンサ、ホール素子などを用いることができる。
【0023】
15は磁気シールドケースであり、ネオジム磁石11、12、筒体13、磁力変化検出手段14を内包する。シールドケース15には、筒体13の端部を囲繞する穴16が設けられる。磁界はシールドケース15内に留まり、
図1のようにネオジム磁石11、12の極性をしたがN極、上がS極として配置した場合には、筒体13内を含めて概ね下から上へ向かう電界となる。この磁界の向きは一例に過ぎず、磁力変化検出手段14が磁力を検出できるのであれば、特に限定はない。なお、シールドケース15の形状は、立方体や直方体の形状、或いは円筒や多角形筒の形状とすることができる。
【0024】
磁力変化検出手段14には所要本数の信号線17が接続され、信号線17はシールドケース15の外部に設けられた測定回路20へ接続される。測定回路20では、磁力変化検出手段により検出された信号を増幅し、例えばコンピュータなどにより処理可能なディジタルデータに変換されて、コンピュータなどにより構成される処理装置30へ送られる。
【0025】
処理装置30は、測定回路20から送られた検出信号に基づき磁界変動を求め、磁界変動から異物を検出する。例えば、検査対象物に金属異物が混入している場合には、金属異物はシールドケース15内の筒体13において着磁され、磁力変化検出手段14へ近付きまた遠ざかる。このときに、磁力変化検出手段14の近傍の磁界が乱れ、磁界の値が変動する。係る状態の場合に、金属異物が混入されていることを検出することができる。
【0026】
或いは、金属が混入していないダミー検査対象物を筒体13に投入して磁界の値を求める。次に、実際の検査対象物を筒体13に投入して磁界の値を求める。この磁界の値の差により異物の有無を判定するようにしても良い。ここで、測定回路20と処理装置30は、磁力変化検出手段14により検出された信号に基づき磁界変動を求め、磁界変動から異物を検出する手段を構成する。
【0027】
また、検査対象物に非磁性金属が混入している場合には、非磁性金属はシールドケース15内の筒体13において、非磁性金属に加わる磁界の急な変化によって渦電流を発生し、その渦電流が磁界を発生する。このときに、磁力変化検出手段14の近傍の磁界が乱れ、磁界の値が変動する。かくして、非磁性金属が混入されていることを検出することができる。その結果、磁性体であるか非磁性体であるかに関わらず、検査対象物に異物が混入していることを検出することができる。この場合も、検査対象物の異物の混入が無い状態において検査対象物を筒体13に投入して磁界の値を得ておき、実際の検査対象物との差を求めて異物検出を行うことができる。
【0028】
検査対象物に一般的な搬送速度よりも大きな速度を与えて筒体13を移動させることにより、従来よりも大きな検出信号得ることができ、高精度な検出が可能となる。また、シールドケース15を用いるために、ノイズを従来の1/7程度に抑制できS/N比の改善が図られ、従来に比べて小さな物まで高精度に検出することが可能である。
【0029】
筒体13の入口から測定位置(磁力変化検出手段14の近傍)までの距離を500mm、磁界強度を30kA/mで検査を行った。この場合、検査対象物のSUS304球は、直径0.2mmのものまで検出が可能であり、鉄球は、直径0.1mmのものまで検出が可能であった。
【0030】
粉体や流体を検査対象物とする場合には、筒体13の入口側にホッパを設けることができる。ホッパから投入される粉体や流体の検査対象物は、筒体13内で充満した状態で落下される。粉体や流体の検査対象物に異物が混入しているときには、その異物が磁性体または非磁性体である場合には、上記に記載した固体の検査対象物と同様にして異物検出がなされる。
【0031】
粉体や流体の検査対象物に異物として気泡が混入しているときには、異物である気泡とそれ以外の物質の透磁率が異なる。筒体13内を透磁率が異なる部分を有する粉体或いは流体が移動することになる。磁束は、透磁率の大きいところへ集まろうとする。これによって、磁力変化検出手段14の近傍の磁界が乱れ、磁界の値が変動する。係る状態の場合に、粉体や流体の検査対象物に異物として気泡が混入していることを検出することができる。筒体13内を充満させずに、気泡を有する固体の場合も同様にして、気泡が入っていることを検出可能である。
【0032】
図2に第2の実施形態に係る異物検出装置の構成を示す。この構成では、筒体13を水平に設け、筒体13の入口側に移動手段として圧縮空気発生装置60を設ける。即ち、移動手段は、水平方向に長い筒体であり、力付与により検査対象物を磁力変化検出手段14に遠方から近接し遠方へ移動させる構成とする。筒体13の側壁に検査対象物の投入口18を設ける。投入口18から検査対象物を投入すると、検査対象物は空気圧により図の右側へ高速で移動させられる。
【0033】
上記の異物検出装置によっても、粉体、または流体、あるいは固体の検査対象物に一般的な搬送速度よりも大きな速度を与えて筒体13を移動させることにより、従来よりも大きな検出信号得ることができ、高精度な検出が可能となる。なお、力付与は圧縮空気やポンプなどでもよく、更にこれに限らず、筒体13の出口側から吸引などを行っても良い。また、弾性力によってはじき飛ばすなど、その他の力付与を行っても良い。この異物検出装置を使用して第1の実施形態の装置と同様に固体異物、気泡などの異物が混入していることを検出することができる。
【0034】
更に、磁界発生手段、磁力変化検出手段14を磁気シールドケース内に設け、移動手段は、磁気シールドケースの中に検査対象物を出入りさせるため穴または管を有し、金属物などが混入した粉体、流体、または固体、気泡が混入した粉体、流体、または固体の検査対象物を上記穴内または上記管内を移動させる構成を採用しても良い。
【符号の説明】
【0035】
11、12 ネオジム磁石
13 筒体
14 磁力変化検出手段
15 シールドケース
16 穴
17 信号線
18 投入口
20 測定回路
30 処理装置
50 回収容器
60 圧縮空気発生装置