(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用したパチンコ機の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
【0013】
<パチンコ機の外観構成>(
図1,
図2)
本発明のパチンコ機1は、
図1に示す如く、前扉2と、前扉2を開閉可能に支持する本体3とから構成され、前扉2は、その閉状態において本体3の前面を覆っている。前扉2には、本体3に取り付けられた遊技盤30(
図2参照)を前面側から視認可能とすべく、ガラス26が嵌め込まれており、ガラス26の周囲には装飾ランプ27が設けられている。
前扉2のガラス26の下側には、貸球及び賞球が払い出される上皿21と、該上皿21が満杯となったときに内方で溢れた球が払い出される下皿22と、遊技盤に向けて遊技球を発射すべく操作する発射ハンドル23とが配設されている。上皿21の上面には、遊技者介入型の演出実行時に操作が促される演出ボタン25が配設されている。
また、前扉2の発射ハンドル23の上側には、前扉2の開閉時に鍵を挿抜するための鍵穴24が設けられている。
【0014】
図2に示す如く、遊技盤30には、発射された遊技球を導く外レール34及び内レール35によって、略円形の遊技領域が区画されている。内レール35の先端には、球戻り防止弁36が取り付けられている。
遊技領域の略中央には、液晶ディスプレイからなる演出表示装置37が配設されている。演出表示装置37の下方には、特別役物60、特別役物60の下方には、アウト口43がそれぞれ配設されている。
【0015】
演出表示装置37よりも左側の左盤面には、ゲートGT、演出表示装置37と特別役物60の間に設けられた球揺動ステージ41へ遊技球を導くワープルート入口42が配設されている。また、演出表示装置37よりも左側の左盤面と、演出表示装置37よりも右側の右盤面には、それぞれ3つずつの一般入賞口39が配設されている。
【0016】
また、演出表示装置37の上側、盤面中央には大入賞口50が配設されている。大入賞口50には、大入賞口50の入口を閉塞する閉塞姿勢と、開放する開放姿勢との間でスライド可能な特別電動役物(不図示のスライド部材)が配設されており、大当り状態において特別電動役物(スライド部材)が開放姿勢をとることで、大入賞口50の内部に遊技球が入球可能となる。なお、大入賞口50の内部には、遊技球の入球を検知する大入賞口入賞センサ51Sが設けられており、入球に応じて賞球が払い出される。
【0017】
遊技盤30の右下には、それぞれ7セグメント表示器で構成される普図表示装置ND、及び特図表示装置SDが配設されている。
普図表示装置NDは、遊技球がゲートGTを通過したときに取得した乱数値に基づく普図抽選の結果を表示する装置である。
特図表示装置SDは、遊技球が後述する始動口69に入球したときに取得した乱数値に基づく特図抽選の結果を表示する装置である。
【0018】
また、図示は省略したが、遊技盤30には、多数本の遊技釘及び風車等が打設されており、これらからなる独特のゲージ構成を備える。
本実施例のパチンコ機1においては、左盤面を落下するように遊技球を打ち出すことで、ゲートGTの遊技球の通過、及び一般入賞口39、特別役物60、及び大入賞口50の何れかへの入球が可能なゲージ構成を採用している。
【0019】
なお、大入賞口50への入球に対する賞球数は13球、一般入賞口39〜39に対する賞球数は10球、後述する始動口69に対する賞球数は3球に設定している。
【0020】
<パチンコ機の電気的構成>(
図3)
図3に示す如く、本実施例のパチンコ機1の制御部100は、遊技制御を司る主制御部110と、主制御部110からの指令に基づいて主に演出表示装置37の制御を司る副制御部120と、主制御部110からの指令に基づく賞球払出制御と台間機との通信を伴う貸球払出制御とを司る払出制御部130とからなり、主制御部110と副制御部120とは、主制御部110から副制御部120への一方向通信経路によって互いに電気的に接続されると共に、主制御部110と払出制御部130とは、主制御部110から払出制御部130への一方向通信経路によって互いに電気的に接続されている。
【0021】
主制御部110は、CPU111、ROM112、RAM113、入力ポート114、及び出力ポート115を備え、主制御部110の入力ポート114には、後述する特別役物60内に形成された特別領域における、左側入路66aを通過する遊技球を検出する左センサ67a、右側入路66bを通過する遊技球を検出する右センサ67b、及び始動口69への入球を検出する始動口入賞センサ69Sと、大入賞口50への入球を検出する大入賞口入賞センサ51Sと、遊技球がゲートGTを通過したことを検知するゲートセンサGTSと、6つの一般入賞口39への入球をそれぞれ検知する6つの一般入賞口入賞センサ39Sとが、それぞれ電気的に接続されている。
【0022】
主制御部110の出力ポート115には、特図表示装置SDと、普図表示装置NDと、後述する特別役物60における普通電動役物の可動花弁62、63を駆動する普電駆動部60Dと、該特別役物60の特別領域内における振分装置65を駆動する振分駆動部65Dと、大入賞口50に配設されたスライド部材を開閉駆動する大入賞口開閉駆動部50Dと、遊技関連情報を外部へ送信するための中継基板として機能する外部端子板SOとが、それぞれ電気的に接続されている。
主制御部110のCPU111は、ROM112に格納された遊技プログラムPgに則り、入力ポート114に接続された各種センサの検出信号に応じて、出力ポート115に接続された各表示装置及び各駆動部の制御、副制御部120及び払出制御部130へのコマンドの送信、並びに外部端子板SOへの信号出力を行う。RAM113には、遊技プログラムPgの実行に必要な情報が逐次記憶される。
【0023】
副制御部120は、CPU121、ROM122、RAM123、入力ポート124、及び出力ポート125を備え、副制御部120の入力ポート124には、演出ボタン25に対する操作の有無を検出する演出ボタンセンサ25Sが電気的に接続されている。副制御部120の出力ポート125には、演出表示装置37と、一対のスピーカLSP,RSPと、装飾ランプ27とが、それぞれ電気的に接続されている。
副制御部120のCPU121は、ROM122に格納された演出プログラムQgに則り、主制御部110からのコマンドと、入力ポート124に接続された演出ボタンセンサ25Sの検出信号とに応じて、出力ポート125に接続された演出表示装置37、一対のスピーカLSP,RSP、及び装飾ランプ27を制御する。RAM123には、演出プログラムQgの実行に必要な情報が逐次記憶される。
【0024】
払出制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、入力ポート134、及び出力ポート135を備え、払出制御部130の入力ポート134には、遊技球払出装置WSから払い出された遊技球を検出するための払出球検出センサHSと、カード排出スイッチSW1と、貸球スイッチSW2とがそれぞれ電気的に接続されている。払出制御部130の出力ポート135には、遊技球払出装置WSと、残高表示器BDとがそれぞれ電気的に接続されている。
払出制御部130のCPU131は、ROM132に格納された払出プログラムRgに則り、主制御部110からの賞球コマンドに基づいて賞球払出処理を実行すると共に、カード排出スイッチSW1や貸球スイッチSW2が操作された場合にはその旨を台間機に送信し、台間機との双方向通信により、貸球払出処理を実行する。RAM133には、払出プログラムRgの実行に必要な情報が逐次記憶される。
【0025】
<特別役物の構成>(
図4,
図5)
本実施例のパチンコ機1における特別役物60の構成について説明する。
図4は、特別役物60の外観構成を示している。特別役物60は、本体部61と、本体部61への遊技球の入球を制限する普通電動役物とで構成される。普通電動役物は、可動花弁62、63を動作させることにより、本体部61への遊技球の入球を可能とする開放状態と、本体部61への遊技球の入球を不能とする閉塞状態との2つの状態をとりうる。
なお、特別役物60の上部、可動花弁62と可動花弁63と間には釘99が打設されており、これにより、普通電動役物が閉塞状態にある場合には、本体部61へ遊技球が入球しないようになっている。なお、本体部61は、特別役物60の内部を遊技者が視認可能なように、透明なカバー部材を含んで形成されている。特別役物60の内部構成について以下に説明する。
【0026】
図5は、特別役物60の内部構成を示している。上述したように、特別役物60は普通電動役物を備えており、それぞれ軸62c、軸63cを支点とした可動花弁62、63の動作により、普通電動役物は開放状態と閉塞状態とをとりうる。
より具体的には、可動花弁62が動作位置62a、可動花弁63が動作位置63aにある場合に、普通電動役物は閉塞状態となり、可動花弁62が動作位置62b、可動花弁63が動作位置63bにある場合に、普通電動役物は開放状態となる。
【0027】
普通電動役物が開放状態にある場合に、本体部61へ遊技球が入球すると、遊技球は、本体部61の内部において枠64で区画された特別領域へ入球する。
特別領域において遊技球が最初に到達する位置には、振分装置65が配置されている。振分装置65は、軸65cを支点として、位置65aから位置65b、また、位置65bから位置65aへと、停止することなく常時一定の速度で回動動作を繰り返す。
特別領域に入球した遊技球が振分装置65を超えて到達する位置には、分離体68を中心として左右に左側入路66aと右側入路66bとが形成されている。つまり、特別領域へ入球した遊技球は、振分装置65の回動位置に応じて、左側入路66aまたは右側入路66bのいずれかに振り分けられる。
【0028】
振分装置65が中心位置よりも位置65a寄りに位置している場合には、遊技球は右側入路66bに誘導され、振分装置65が中心位置よりも位置65b寄りに位置している場合には、遊技球は左側入路66aに誘導される。左側入路66aを通過する遊技球は、左センサ67aにより検出される。また、右側入路66bを通過する遊技球は、右センサ67bにより検出される。左側入路66aまたは右側入路66bを通過した遊技球は、特別領域の再下端に配置された始動口69に入球する。
【0029】
このように、特別役物60は、普通電動役物が開放状態にある場合に、遊技球の入球を許容する。そして、振分装置65により、左側入路66aまたは右側入路66bのいずれかを通過して、始動口69に入球する。
【0030】
<遊技の流れ>
本実施例のパチンコ機1における基本的な遊技の流れについて説明する。
まず、左盤面を落下するように遊技球を打ち出すことで、遊技球はゲートGTを通過する。遊技球がゲートGTを通過すると、普図抽選が実行される。
普図抽選に当選した場合、特別役物60における普通電動役物が開放状態となる。普通電動役物が開放状態となったことに伴い、特別役物60の特別領域内に遊技球が入球する。
特別領域内に入球した遊技球は、左側入路66aまたは右側入路66bのいずれかを通過した後、始動口69に入球する。遊技球が始動口69に入球すると、特図抽選が行われる。特図抽選に当選した場合、大当り状態となる。
なお、特図抽選における当選とは、抽選対象としての2種類の大当り及びハズレのうち、何れかの大当りが抽選されることである。
【0031】
第1の大当り(大当り種別1)とは、大当り状態の終了後に移行する遊技状態としての時短状態が、特図抽選が100回実行されるまで有効となる大当りのことであり、第2の大当り(大当り種別2)とは、大当り状態の終了後に移行する遊技状態としての時短状態が、特図抽選が50回実行されるまで有効となる大当りのことであり、大当り状態では、大入賞口50の備えるスライド部材が開放姿勢となり、大入賞口50に遊技球が入球可能となる。
【0032】
大当り状態が終了すると、当該大当りの種別が通常大当りの場合は、遊技状態は通常状態に移行し、当該大当りの種別が確変大当りの場合は、遊技状態は確変状態に移行する。
通常状態とは、特図抽選に当選する確率が低確率に設定された状態のことである。確変状態とは、特図抽選に当選する確率が高確率に設定された状態のことである。なお、大当り状態が終了したことに応じて移行する遊技状態(通常状態または確変状態)と並行して、遊技状態は時短状態に移行する。
【0033】
時短状態とは、普図抽選に当選する頻度が高頻度となるような状態のことである。普図抽選に当選する頻度を高頻度にすることは、普図抽選に当選する確率を高確率に設定することと、普図抽選の結果を導出するまでの期間を短い期間に設定することとの2種類の状態の設定により実現される。
【0034】
遊技状態が確変状態である場合にも、遊技球がゲートGTを通過したことに応じて普図抽選が実行され、普図抽選に当選した場合には、特別役物60における普通電動役物が開放状態となる。
遊技状態が確変状態である場合に、特別役物60に遊技球が入球すると、当該確変状態を終了させるか、当該確変状態を終了させずにそのまま継続するかが決定される。
【0035】
具体的には、特別役物60の特別領域内における、左側入路66aを遊技球が通過した場合には、確変状態は終了せずにそのまま継続させ、右側入路66bを遊技球が通過した場合には、確変状態は終了して遊技状態は通常状態に移行する。
【0036】
上述したように、確変状態は特図抽選に当選する確率が高確率に設定された状態のことである。そして、確変状態において特別役物60により確変状態を終了させることが決定されない限りは、確変状態が継続することにより大当り状態と確変状態とが繰り返し発生することになる。
【0037】
上述した遊技の流れを実現するために主制御部110のCPU111により実行される各種の処理について、以下に詳細に説明する。
【0038】
<ゲート処理>(
図6)
遊技球がゲートGTを通過したときに実行されるゲート処理の流れを
図6に示す。
ゲート処理では、遊技球がゲートGTを通過したか否かを監視し、通過した場合には普図抽選乱数の取得処理を実行する。
先ずステップS601にて、ゲートセンサGTSが遊技球の通過を検知したか否かを判断し、ノーと判断した場合には、ステップS601にて同じ判断を繰り返す。一方、ステップS601にてイエスと判断した場合には、ステップS602へ移行して、普図保留数が4か否かを判断し、ノーと判断した場合には、次のステップS603にて普図保留数に1加算すると共に、次のステップS604にて、普図抽選乱数の現在値をRAM113の普図保留記憶領域に記憶して、ステップS601へ戻る。ステップS602にてイエスと判断した場合にも、ステップS601へ戻る。
【0039】
<普図処理>(
図7)
遊技球のゲートGTの通過に応じて記憶された普図保留に対応して実行される普図処理の流れを
図7に示す。
普図処理では、遊技球がゲートGTを通過したときに取得した普図抽選乱数に基づく普図抽選処理と、該普図抽選処理の結果に応じた普図表示装置NDの表示制御とを実行する。
先ずステップS701にて、普図保留数が0か否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS701にて同じ判断を繰り返す。一方、ノーと判断した場合にはステップS702に移行して普図保留数を1減算すると共に、ステップS703にて抽選対象の普図抽選乱数を作業用の記憶エリアに退避する退避処理、並びに該退避処理によって空いた普図保留記憶領域の開放処理を行う。次のステップS704では、普図抽選処理を行う。
具体的に、普図抽選処理では、普図表示装置NDに導出すべき図柄の態様に係る普図抽選処理、並びに、普図変動時間に係る普図変動時間抽選処理を行う。各抽選処理の内容については後述する。
【0040】
次に、S705にて普図変動時間抽選処理を実行する。
普図変動時間抽選処理では、普図変動開始時の普図保留数に応じて普図変動時間を決定する。普図変動時間抽選処理の詳細については後述する。
【0041】
次のステップS706にて普図変動を開始する。
次のステップS707では、ステップS705にて決定した普図変動時間が経過したか否かを判断し、ノーと判断した場合には、ステップS707にて同じ判断を繰り返す。ステップS707にてイエスと判断されると、ステップS708へ移行して普図変動を停止し、ステップS704にて決定した態様の図柄を普図表示装置NDに表示する。そして、次のステップ709にて普図抽選処理に当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS710へ移行して、普通遊技処理を実行する一方、ノーと判断した場合にはステップS701へ戻る。
<普図抽選処理>(
図8)
【0042】
上述した普図抽選処理の詳細について説明する。
図8(a)に示す如く、本実施例のパチンコ機1において、普図当選確率は、遊技状態が非時短状態である場合には3271/32749、遊技状態が時短状態である場合には21833/32749に設定している。
【0043】
普図抽選に当選した場合、普図当り種別、即ち普図当り図柄決定処理を実行する。
図8(b)に示す如く、普図当り種別は1及び2の2通りを備え、普図当り種別1の振分確率は8356/8369、普図当り図柄は「A」、普図当り種別2の振分確率は13/8369、普図当り図柄は「B」にそれぞれ設定している。また、普図抽選に当選せずハズレとなった場合の普図ハズレ図柄は「−」(バー)に設定している。
【0044】
次に、普通電動役物の動作パターンが決定される。
図8(b)に示す如く、普通電動役物の動作パターンは、遊技状態に応じて異なる動作パターンが選択される。遊技状態が時短状態である場合には、普通電動役物は動作パターンAに従って1回だけ開放状態となる。遊技状態が非時短状態である場合には、普通電動役物は動作パターンBに従って1回だけ開放状態となる。
動作パターンは、普図当り種別によらず遊技状態により異なるよう設定されている。普通電動役物の動作パターンA、動作パターンBの詳細については後述する。
【0046】
上述した普図変動時間抽選処理の詳細について説明する。
普図抽選処理の結果、現在の遊技状態が非時短状態か時短状態の何れか、及び普図変動開始時の普図保留数とに応じて、普図変動時間を決定する。具体的には
図8(c)に示す如く、非時短状態であって、普図抽選結果が普図当り1の場合は、普図変動開始時の普図保留数に応じて、普図変動時間を決定する。具体的に普図変動時間は、普図変動開始時の普図保留数が0または1の場合は12秒、2の場合は9.4秒、3の場合は5.8秒に設定している。
また、非時短状態であって、普図抽選結果が普図当り2の場合及びハズレの場合の普図変動時間は、普図変動開始時の普図保留数にかかわらず、16.8秒に設定している。
【0047】
一方、時短状態の普図変動時間は、普図抽選結果及び普図変動開始時の普図保留数にかかわらず、一律0.5秒に設定している。
【0048】
<普通遊技処理>(
図9)
上述した普通遊技処理の詳細について説明する。
普通遊技処理では、普図表示装置NDにおける普図変動後、普図表示装置NDに普図抽選に当選したことを示す図柄が停止表示された場合に実行される、普通電動役物の開放動作に関する制御を実行する。
【0049】
普通遊技処理の流れを
図9に示す。
先ずステップS901にて、各種状態に応じて設定された期間だけ以降の処理を待機させる特殊ウェイト処理を実行する。特殊ウェイト処理の内容については後述する。
そして、次のステップS902に移行し、特別役物60における普通電動役物の可動花弁62、63の作動を開始する。
【0050】
普通電動役物の可動花弁62、63の作動開始後は、ステップS903にて、特別役物60における普通電動役物の可動花弁62、63の動作期間が終了したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS904にて特別役物60における普通電動役物の可動花弁62、63の作動を終了してリターンする一方、ノーと判断した場合には、ステップS903へ戻る。なお、普通遊技処理において、可動花弁62、63が1回だけ開放動作することで普通電動役物が1回だけ開放状態となる。可動花弁62、63が1回の開放する期間については後述する。
【0051】
上記の通り、遊技状態が時短状態である場合おいては、非時短状態に比べて普図変動時間が大幅に短縮されるため、頻繁な普図当り→普通電動役物の開放により、特別役物60への入球がより容易になる。
【0052】
<始動入賞処理>(
図10)
上述したように、特別役物60に入球した遊技球は、特別役物60の内部に配置された始動口69に入球する。
遊技球が入賞口69に入球したときに実行される始動入賞処理の流れを
図10に示す。
始動入賞処理では、遊技球が始動口69に入球したか否かを監視し、通過した場合には特図抽選乱数の取得処理を実行する。
先ずステップS1001にて、始動口入賞センサ69Sが遊技球を検知したか否かを判断し、ノーと判断した場合には、ステップS1001にて同じ判断を繰り返す。一方、ステップS1001にてイエスと判断した場合には、ステップS1002へ移行して、特図保留数が4か否かを判断し、ノーと判断した場合には、次のステップS1003にて特図保留数に1加算すると共に、次のステップS1004にて、特図抽選乱数の現在値をRAM113の特図保留記憶領域に記憶する。
次に、ステップS1005にて、賞球払出処理を実行して、ステップS1001へ戻る。ステップS1002にてイエスと判断した場合にも、ステップS1001へ戻る。始動口69への入球に対する賞球数は3球に設定している。
【0053】
<特図処理>(
図11)
遊技球の始動口69への入球に応じて記憶された特図保留に対応して実行される特図処理の流れを
図11に示す。
特図処理では、遊技球が始動口69へ入球したときに取得した特図抽選乱数に基づく特図抽選処理と、該特図抽選処理の結果に応じた特図表示装置SDの表示制御とを実行する。
先ずステップS1101にて、大当り遊技中か、特図が変動中かを判断する。何れか1つでもイエスと判断した場合には、ステップS1101にて同じ判断を繰り返す。即ち、特別図柄に係る抽選開始条件は、大当り遊技中でもなく、且つ特図が変動中でない場合としている。ステップS1101にてノーと判断した場合、即ち特別図柄に係る抽選開始条件が成立したと判断した場合には、先ずステップS1102にて特図保留数が1以上か否かを判断する。
ステップS1002にてノーと判断した場合には、ステップS1002にて同じ判断を繰り返す。
【0054】
ステップS1002にてノーと判断した場合には、ステップ1103にて特図保留数を1減算するとともに、次のステップS1104にて抽選対象の保留記憶情報の退避処理、並びに空いた保留記憶領域の開放処理を実行する。
次のステップS1105では特図抽選処理を実行する。具体的に特図抽選処理では、2種類の大当り及びハズレの何れかを抽選するとともに、該抽選結果に応じて、特図表示装置SDに導出すべき特図の図柄の態様を決定する。
なお、特図の保留数が複数である場合は、取得時期の早い(先に取得した)保留記憶情報順に抽選対象とする。
【0055】
次のステップS1106では、特図変動時間抽選処理を実行する。特図抽選処理、及び特図変動時間抽選処理の内容については後述する。
そして、次のステップS1107にて各種抽選結果を含む特図変動開始コマンドを副制御部120に送信し、ステップS1108にて特図の変動を開始するとともに、変動時間の計測を開始する。
次のステップS1109では、ステップS1106の特図変動時間抽選処理にて決定した変動時間が経過したか否かを判断し、ノーと判断した場合には、ステップS1109にて同じ判断を繰り返す。一方。ステップS1109にてイエスと判断した場合には、ステップS1110に移行して、特図変動停止コマンドを副制御部120に送信するとともに、次のステップS1111にて特図表示装置SDに、ステップS1105の特図抽選処理にて決定した態様の図柄を停止表示する。
【0056】
次のステップS1112では、特図表示装置SDに大当り図柄を停止させたか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1113に移行して大当り遊技処理を実行してリターンする。
ステップS1112にてノーと判断した場合、即ちハズレの場合にはそのままリターンする。
【0057】
<特図抽選処理>(
図12)
上述した特図抽選処理の詳細について説明する。
特図抽選処理では、抽選対象の乱数値情報に基づき、大当りの当否と、大当り種別とを、抽選により決定する。
大当りの当否に係る抽選では、
図12(a)に示す特図当選確率に従って、大当り及びハズレの何れであるかを抽選する。
大当り確率は、遊技状態が非確変状態である場合には253/65536、即ち、約1/259、遊技状態が確変状態である場合には1680/65536、即ち、約1/39に設定している。
【0058】
大当りの当否に係る抽選にて大当りに当選した場合には、大当り種別、即ち、大当り図柄を決定する大当り図柄決定処理を行う。
当該処理では、
図12(b)に示す如く、大当り種別1及び大当り種別2のうち、何れにするかを決定する。大当り種別1及び大当り種別2の振分確率は、それぞれ50%である。
大当り種別1に振り分けられた場合の大当り図柄は「A」、大当り種別2に振り分けられた場合の大当り図柄は「B」にそれぞれ設定する。大当り遊技での最大ラウンド数は、大当り種別にかかわらず、15ラウンドである。
【0059】
また、大当り種別1に振り分けられた場合には、当該大当り遊技の終了後に、100回の回数制限付きの時短状態に遊技状態が移行する一方、大当り種別2に振り分けられた場合には、当該大当り遊技の終了後に、50回の回数制限付きの時短状態に遊技状態が移行する。
【0060】
<特図変動時間抽選処理>(
図12)
上述した特図変動時間抽選処理の詳細について説明する。
特図変動時間抽選処理では、
図12(c)に示す如く、特図抽選処理の結果に応じて、特図変動パターンを抽選により決定する。当該特図変動パターンと、当該抽選時の遊技状態と、特図変動開始時の特図保留数とに応じて特図変動時間が定まる。
【0061】
具体的には、特図抽選処理の結果が大当りの場合、1%の確率で、特図変動パターン1が抽選される。特図変動パターン1では、非時短状態においては、特図変動開始時の特図保留数が0または1の場合は6.5秒、2の場合は3.5秒、3の場合は2.8秒に、時短状態においては、特図変動開始時の特図保留数にかかわらず2.5秒に、特図変動時間を設定している。
同様に、特図抽選処理の結果が大当りの場合、6%の確率で、特図変動パターン2が抽選される。特図変動パターン2では、抽選時の遊技状態や特図変動開始時の特図保留数にかかわらず、特図変動時間は16.8秒に設定している。
【0062】
また、特図抽選処理の結果が大当りの場合、18%の確率で、特図変動パターン3が抽選される。特図変動パターン3では、抽選時の遊技状態や特図変動開始時の特図保留数にかかわらず、特図変動時間は24.5秒に設定している。また、特図抽選処理の結果が大当りの場合、75%の確率で、特図変動パターン4が抽選される。特図変動パターン4では、抽選時の遊技状態や特図変動開始時の特図保留数にかかわらず、特図変動時間は35.7秒に設定している。
【0063】
特図抽選処理の結果がハズレの場合にも、大当りの場合と同様に、特図変動パターンが抽選により決定される。特図抽選処理の結果がハズレの場合には、92%の確率で特図変動パターン1が、5%の確率で特図変動パターン2が、2%の確率で特図変動パターン3が、1%の確率で特図変動パターン4が抽選される。
各特図変動パターンに対応する特図変動時間は、大当りの場合と同様なので詳細は省略する。
【0064】
このように、特図変動時間抽選処理により、特図抽選処理の結果と、当該抽選時の遊技状態と、特図変動開始時の特図保留数とに応じて特図変動パターンが抽選され、特図変動パターンに応じて特図変動時間が定まる。
【0065】
<大当り遊技処理>(
図13)
上述した大当り遊技処理の詳細について説明する。
大当り遊技処理では、特図表示装置SDに大当り図柄が停止表示されたことに基づき、大入賞口50の開放ラウンドを複数回に亘って実行する大当り遊技に係る処理を実行する。
【0066】
大当り遊技処理の流れを
図13に示す。
先ず、ステップS1301にて大当り遊技開始コマンドを副制御部120に送信し、次のステップS1302では最大ラウンド数の設定、ステップS1303ではラウンド数に1を設定する。なお、最大ラウンド数の設定方法については、後述する。
【0067】
次のステップS1304では、ラウンド数に応じたラウンド開放パターンを設定するとともに、ステップS1305ではカウント数にゼロを設定して、ステップS1306にて大当りラウンドを開始する。なお、各大当りラウンドにおけるラウンド開放パターンは、最大ラウンド数と同様に、特図表示装置毎の大当り種別に応じて設定される。
【0068】
大当りラウンド開始後は、先ずステップS1307にて大入賞口50における大入賞口入賞センサ51Sが入球を検知したかを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1308にてカウント数に1加算し、次のステップS1309にて、カウント数が最大カウント数に至ったか否かを判断する。
ステップS1309にてイエスと判断した場合には、ステップS1311にて大入賞口50を閉塞し当該ラウンドを終了する。一方、ステップS1307にてノーと判断した場合、及びステップS1309にてノーと判断した場合には、ステップS1310にて当該ラウンドの開放パターンが終了したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1311にて大入賞口50を閉塞し当該大当りラウンドを終了する。一方、ステップS1310にてノーと判断した場合には、ステップS1307へ戻り当該大当りラウンドを継続する。
【0069】
ステップS1311の次のステップS1312では、ラウンド数が最大ラウンド数に至ったか否かを判断し、ノーと判断した場合には、ステップS1315にてラウンド数に1加算して、ステップS1304へ戻る。一方、ステップS1312にてイエスと判断した場合には、ステップS1313にて大当り遊技後の遊技状態設定処理を実行するとともに、次のステップS1314にて大当り遊技終了コマンドを副制御部120に送信して、リターンする。
なお、大当り遊技後の遊技状態設定処理は、大当りの種別に応じた遊技状態を設定する処理である。
【0070】
上述した通り、第1の大当り(大当り種別1)は、大当り遊技後に移行する遊技状態としての時短状態が、特図抽選が100回実行されるまで有効となる大当りであり、遊技状態設定処理により、大当り遊技後に特図抽選が100回実行されるまで有効な時短状態が設定される。また、第2の大当り(大当り種別2)は、大当り遊技後に移行する遊技状態としての時短状態が、特図抽選が50回実行されるまで有効となる大当りであり、遊技状態設定処理により、大当り遊技後に特図抽選が50回実行されるまで有効な時短状態が設定される。
【0071】
<大当り遊技仕様>(
図14)
大当り種別ごとの大当り遊技仕様について説明する。
大当り種別ごとの大当り遊技仕様については、
図14に示す如く、大当り図柄以外は、大当り種別1〜2の何れにおいても同等に設定している。具体的には、最大ラウンド数は15ラウンド、最大カウント数は9カウント、各ラウンドでの大入賞口50の最大開放時間は28秒に設定している。
大当り図柄は、大当り種別1の大当りが「A」、大当り種別2の大当りが「B」にそれぞれ設定している。
【0072】
従って、特図表示装置SDに大当り図柄が導出されて実行される大当り遊技では、最大で、9カウント×大入賞口50への入球に対する賞球数13球×15ラウンド=1755球の賞球が得られる。
【0073】
<特殊ウェイト処理>(
図15)
上述した普通遊技処理における特殊ウェイト処理について、以下に説明する。
特殊ウェイト処理は、普図抽選処理に当選したことに応じて実行される普通遊技処理において、特別役物60内に配置された振分装置65の動作位置に基づいてウェイト時間を設定し、当該ウェイト時間だけ処理を待機させた後に、特別役物60における普通電動役物の可動花弁62、63の作動を開始させるための処理である。
【0074】
図15(a)は、時間の進行に伴う振分装置65の動作位置の変化を示している。
横軸Tは時間、縦軸Pは振分装置65の動作位置を示している。鎖線LLmは、振分装置65の動作位置の最左端である位置65a、鎖線RLmは、振分装置65の動作位置の最右端である位置65bを示しており、曲線FPは、時間の進行に伴って位置65aと位置65bの間で往復しながら等速円運動を繰り返す振分装置65の動作位置の変化を示している。
【0075】
図15(b)は、時間の進行に伴う特別領域内の遊技球の進行方向の可能性の変化を示している。
横軸Tは時間、縦軸Pbは特別領域内の遊技球の進行方向の可能性を示している。鎖線LLmは、特別領域内の遊技球が左側入路66aを通過する確率が100%、鎖線RLmは、特別領域内の遊技球が右側入路66bを通過する確率が100%、鎖線LLmと鎖線RLmとの中間地点は左側入路66a、右側入路66bを通過する確率がそれぞれ50%となることを示しており、実線PLは、時間の進行に伴う、特別領域内の遊技球の進行方向の可能性の変化を示している。
【0076】
なお、
図15(b)の時間軸は、
図15(a)の時間軸と対応しており、振分装置65の動作位置の最左端である位置65aにある時点では、特別領域内の遊技球が右側入路66bを通過する確率が100%となり、振分装置65の動作位置の最右端である位置65bにある時点では、特別領域内の遊技球が左側入路66aを通過する確率が100%となることを示している。
【0077】
期間t1では、時間の進行に伴い、特別領域内の遊技球が右側入路66bを通過する確率が100%(つまり、左側入路66aを通過する確率は0%)から0%(つまり、左側入路66aを通過する確率は100%)へと変化することを示している。期間t2では、時間の進行にかかわらず、特別領域内の遊技球が左側入路66aを通過する確率が100%であることを示している。期間t3では、時間の進行に伴い、特別領域内の遊技球が左側入路66aを通過する確率が100%(つまり、右側入路66bを通過する確率は0%)から0%(つまり、右側入路66bを通過する確率は100%)へと変化することを示している。期間t4では、時間の進行にかかわらず、特別領域内の遊技球が右側入路66bを通過する確率が100%であることを示している。このように、振分装置65の動作位置の変化に伴い、特別領域内の遊技球の進行方向の可能性が変化する。
【0078】
図15(c)は、上述した普通電動役物の動作パターンAに対応するものであり、遊技状態が時短状態である場合における、時間の進行に伴う、普通電動役物の可動花弁62、63を駆動する普電駆動部60Dが出力する駆動信号の信号レベルの変化を示している。普電駆動部60Dは、ローレベル(L)の信号を出力することで普通電動役物は閉塞状態となり、ハイレベル(H)の信号を出力することで普通電動役物は開放状態となる。
横軸Tは時間、縦軸Lvは普電駆動部60Dが出力する信号レベルを示している。鎖線Hは、ハイレベル(H)となる信号レベル、鎖線Lは、ローレベル(H)となる信号レベルを示している。実線SLは、時間の進行に伴う、普電駆動部60Dが出力する信号レベルの変化を示している。
【0079】
上述したように、普通電動役物は、普図抽選に当選した場合に当選図柄の態様に応じて決定される動作パターンにて動作するので、普図抽選に当選しない限りは開放状態となることはないため、普電駆動部60Dはローレベル(L)の信号を出力している。従って、
図15(c)は、遊技状態が時短状態である際に普図抽選に当選した場合において、普電駆動部60Dが出力する駆動信号の信号レベルがローレベル(L)からハイレベル(H)に変化する様子を示している。
【0080】
なお、
図15(c)の時間軸は、
図15(a)及び
図15(b)の時間軸と対応しており、
図15(b)における期間t2の開始時点(つまり、特別領域内の遊技球が左側入路66aを通過する確率が100%となった時点)から、期間t5だけ、普電駆動部60Dが出力する駆動信号の信号レベルがハイレベル(H)に変化することを示している。つまり、期間t5だけ、普通電動役物の可動花弁62、63が動作することで普通電動役物が開放状態となる。
【0081】
期間t6は、普通電動役物が開放状態となり遊技球が特別役物60の内部に入球してから振分装置65の位置に到達するまでに要する期間の最大値よりも長い期間として、予め設定されている。
普通電動役物が開放状態となるのは、期間t5であり、遊技球が特別役物60の内部に入球可能な期間も、同様に期間t5となる。
そして、期間t5の後に続く期間t6が終了するまでの間に、特別役物60の内部に入球した遊技球は振分装置65の位置に到達する。
期間t6の間は、遊技球は100%の確率で左側入路66aを通過する。従って、
図15(c)に示すタイミングで普通電動役物が開放状態となる限りは、遊技球は100%の確率で左側入路66aを通過する。
【0082】
上述したように、遊技球が左側入路66aを通過した場合には、確変状態は終了せずにそのまま継続させるので、
図15(c)に示すタイミングで普通電動役物が開放状態となる限りは、遊技状態が時短状態である場合には、確変状態は終了することがない。また、上述したように、普図抽選に当選したことに応じて実行される普通遊技処理において、特別役物60における普通電動役物の可動花弁62、63の作動させるまでの間に、特殊ウェイト処理が実行される。
【0083】
この特殊ウェイト処理は、
図15(c)で示された、普電駆動部60Dが出力する駆動信号の信号レベルがハイレベル(H)に変化するタイミングまで、普通電動役物の可動花弁62、63の作動を延滞させる処理である。
より具体的には、例えば、タイミングTxで普図抽選の当選が決定された場合には、特殊ウェイト処理では、期間Wxだけ普通電動役物の可動花弁62、63の作動を延滞させる。
また、例えば、タイミングTyで普図抽選の当選が決定された場合には、特殊ウェイト処理では、期間Wyだけ普通電動役物の可動花弁62、63の作動を延滞させる。
このように、特殊ウェイト処理では、普図抽選に当選したタイミングに基づいて、普通電動役物の可動花弁62、63の作動を延滞させるための期間が決定される。
【0084】
以上のように、遊技状態が時短状態である場合には、
図15(c)に示すタイミングで普通電動役物が開放状態となるため、この開放状態において遊技球が特別役物60に入球した場合には、確変状態は必ず継続する。
【0085】
図15(d)は、上述した普通電動役物の動作パターンBに対応するものであり、遊技状態が非時短状態である場合における、時間の進行に伴う、普通電動役物の可動花弁62、63を駆動する普電駆動部60Dが出力する駆動信号の信号レベルの変化を示している。
【0086】
図15(d)は、普電駆動部60Dがハイレベル(H)の信号を出力するタイミングを除いては、
図15(c)と同様であるため、詳細な説明は省略するが、遊技状態が非時短状態である場合には、
図15(d)に示すタイミングで普通電動役物が開放状態となるため、この開放状態において遊技球が特別役物60に入球した場合には、確変状態は必ず終了する。
【0087】
以上のように、遊技状態が時短状態にある場合には、遊技球の特別役物60への入球により確変状態は継続し、遊技状態が非時短状態にある場合には、遊技球の特別役物60への入球により確変状態が終了するように制御される。
【0088】
上述したように、特図抽選の結果として、特図抽選が100回実行されるまで時短状態が有効となる第1の大当り(大当り種別1)と、特図抽選が50回実行されるまで時短状態が有効となる第2の大当り(大当り種別2)とが当選し得る。
【0089】
従って、第1の大当りが当選した場合には、当該大当り状態の終了後は、特図抽選が最低100回実行されるまでは確変状態が継続し、第2の大当りが当選した場合には、当該大当り状態の終了後は、特図抽選が最低50回実行されるまでは確変状態が継続する。
このように、当選した大当りの種別に応じて、大当り状態の終了後に継続する確変状態の期間を変化させることができる。
【0090】
<変形例>
前述の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
(1)変形例1
上述の形態では、遊技状態が時短状態である際に特別役物60に入球した場合には、確変状態は必ず継続するようなタイミングで普通電動役物を開放させ、また、遊技状態が非時短状態である際に特別役物60に入球した場合には、確変状態は必ず終了するようなタイミングで普通電動役物を開放させるように制御したが、他の制御方法を用いても構わない。
【0091】
具体的には、例えば、遊技状態が時短状態である際に特別役物60に入球した場合には、80%の確率で確変状態が継続する(つまり、左側入路66aを通過する確率が80%)タイミングで普通電動役物を開放させ、また、遊技状態が非時短状態である際に特別役物60に入球した場合には、確変状態が終了する(つまり、右側入路66bを通過する確率が80%)タイミングで普通電動役物を開放させるように制御してもよい。
【0092】
このように、遊技状態が時短状態である場合は非時短状態である場合と比較して、相対的に確変状態が継続する確率が高くなる(または、確変状態が終了する確率が低くなる)ようなタイミングで、普通電動役物を開放させるように制御することで、それぞれ異なる特図抽選の実行回数の時短状態に対応づけられた異なる大当り種別に応じて、確変状態の継続回数に差異を持たせることが可能となる。
【0093】
(2)変形例2
上述の形態では、普図抽選に当選する頻度が高頻度となる遊技状態としての時短状態を、普図抽選に当選する確率を高確率に設定することと、普図抽選の結果を導出するまでの期間を短い期間に設定することの両方を実施することで実現したが、少なくとも一方を実施することで、普図抽選に当選する頻度が高頻度となるようにしても構わない。
【0094】
(3)変形例3
上述の形態では、遊技状態が時短状態であるか否かに応じて、普通電動役物の動作タイミングを異ならせるとともに、特別役物60に形成された特別領域において、遊技球が左側入路66aと右側入路66bのいずれを通過するかに応じて、確変状態を継続させるか終了させるかを決定するよう制御することで、時短状態である場合は確変状態を継続し易くし、非時短状態である場合は確変状態を継続し難くしたが、確変状態の継続のし易さ(し難さ)を制御する方法はこれに限られない。
例えば、特別役物60内に遊技球が入球した場合に、遊技状態が時短状態であるか非時短状態であるかに応じて決定される確率に基づいて、確変状態の継続するか否かを決定する抽選を実行するようにしてもよい。当該確率は遊技状態に応じて予め定義されたものから選択的に利用しても構わないし、特別役物60内に遊技球が入球した際に所定の方法で決定されるようにしてもよい。
このように、特別役物60の入球に応じて確変状態を継続させるか否かを決定するものであれば、特別役物60の内部構造や制御方法は他の方法が採用されても構わない。
【0095】
(4)変形例4
上述の形態では、普図抽選処理に当選したことに応じて実行される普通遊技処理において、特別役物60内に配置された、常時一定に動作する振分装置65の動作位置に基づいてウェイト時間を設定し、当該ウェイト時間だけ処理を待機させた後に、特別役物60における普通電動役物の可動花弁62、63の作動を開始させる態様について説明した。
しかし、通常は動作が停止した状態の振分装置65に対して、普通遊技処理における普通電動役物の可動花弁62、63の作動の開始とともに、所定の動作を開始させるようにしてもよい。
【0096】
図16(a)は、
図15(a)と同様に、時間の進行に伴う振分装置65の動作位置の変化を示している。
図15(a)との違いは、普通遊技処理が実行される直前までは最左端である位置65aに位置で停止している振分装置65が、普通遊技処理の実行とともに、動作を開始するという点である。
【0097】
図16(b)は、
図15(b)と同様に、時間の進行に伴う特別領域内の遊技球の進行方向の可能性の変化を示している。
図16(b)の時間軸は、
図16(a)の時間軸と対応している点で、
図15(a)と
図15(b)の関係と同様である。
図16(b)における期間t1〜t4は、
図15(b)における期間t1〜t4と同様である。
【0098】
図16(c)は、遊技状態が非時短状態である場合における、普通電動役物の動作パターン(以下「動作パターンC」という)として、時間の進行に伴う、普通電動役物の可動花弁62、63を駆動する普電駆動部60Dが出力する駆動信号の信号レベルの変化を示している。
【0099】
図16(c)の時間軸は、
図16(a)及び
図16(b)の時間軸と対応しており、振分装置65の動作の開始と、普通電動役物の動作の開始(つまり、普通電動役物の可動花弁62、63を駆動する普電駆動部60Dが出力する駆動信号の信号レベルがハイレベル(H)になる)タイミングが同一であることを示している。
【0100】
動作パターンCでは、期間t5〜t8の計4回、普電駆動部60Dが出力する駆動信号の信号レベルがローレベル(L)からハイレベル(H)に変化する。つまり、普通電動役物は4回だけ開放状態となることを示している。ここで、期間t5及びt6は、普通電動役物が開放状態となる時間が非常に短い期間であり、遊技球が特別役物60に入球することができない期間を示している。これに対し、期間t7及びt8は、遊技球が特別役物60に入球することができるだけの期間を示している。
【0101】
期間t7及びt8では、いずれも特別領域内の遊技球が右側入路66bを通過する確率が100%となる振分装置65の動作位置のタイミングに対応しており、普通電動役物が開放状態となり遊技球が特別役物60の内部に入球してから振分装置65の位置に到達するまでに要する期間を考慮しても、当該期間において入球した遊技球は、必ず特別領域内の右側入路66bを通過するようになっている。
【0102】
上述したように、遊技球が右側入路66bを通過した場合には、確変状態を終了させてるよう制御されるので、遊技状態が非時短状態である場合に普通電動役物が作動した場合には、普通電動役物は動作パターンCで動作することにより、遊技球が特別役物60に入球した場合には、確変状態が終了する。
【0103】
図16(d)は、遊技状態が時短状態である場合における、普通電動役物の動作パターン(以下「動作パターンD」という)として、時間の進行に伴う、普通電動役物の可動花弁62、63を駆動する普電駆動部60Dが出力する駆動信号の信号レベルの変化を示している。
【0104】
図16(d)の時間軸は、
図16(a)、
図16(b)及び
図16(c)の時間軸と対応しており、振分装置65の動作の開始と、普通電動役物の動作の開始(つまり、普通電動役物の可動花弁62、63を駆動する普電駆動部60Dが出力する駆動信号の信号レベルがハイレベル(H)になる)タイミングが同一であることを示している。
【0105】
動作パターンDでは、期間t9〜t12の計4回、普電駆動部60Dが出力する駆動信号の信号レベルがローレベル(L)からハイレベル(H)に変化する。つまり、普通電動役物は4回だけ開放状態となることを示している。ここで、期間t9及び11は、普通電動役物が開放状態となる時間が非常に短い期間であり、遊技球が特別役物60に入球することができない期間を示している。これに対し、期間t10及びt12は、遊技球が特別役物60に入球することができるだけの期間を示している。
【0106】
期間t10及びt12では、いずれも特別領域内の遊技球が左側入路66aを通過する確率が100%となる振分装置65の動作位置のタイミングに対応しており、普通電動役物が開放状態となり遊技球が特別役物60の内部に入球してから振分装置65の位置に到達するまでに要する期間を考慮しても、当該期間において入球した遊技球は、必ず特別領域内の左側入路66aを通過するようになっている。
【0107】
上述したように、遊技球が左側入路66aを通過した場合には、確変状態を終了させずに継続するよう制御されるので、遊技状態が時短状態である場合に普通電動役物が作動した場合には、普通電動役物は動作パターンDで動作することにより、遊技球が特別役物60に入球した場合には、確変状態は継続する。
【0108】
このように、通常は動作が停止した状態の振分装置65に対して、普通遊技処理における普通電動役物の可動花弁62、63の作動の開始とともに、所定の動作を開始させるようにして、遊技状態が時短状態か非時短状態であるかに応じて、異なる普通電動役物の動作パターンを採用することで、確変状態の継続確率を制御するようにしてもよい。
【0109】
(5)変形例5
上述の形態では、特別役物60に入球した遊技球が、特別領域内における左側入路66a、または右側入路66bを通過した場合に、遊技状態を、確変状態の継続、または確変状態から非確変状態に変化するよう制御する態様について説明した。
しかし、遊技球が左側入路66aまたは右側入路66bを通過した場合に直ちに遊技状態を維持または変化させるのではなく、いずれかの入路66を通過したという情報を保留しておき、特図抽選処理の実行とともに当該保留した情報を参照して消化していくというように制御してもよい。
【0110】
ここでの保留は、上述した普図保留や特図保留の仕組みと基本的に同様であり、最大4回分の入路66の通過に係る情報を、記憶した順番に従って、特図抽選処理とともに利用することができる。また、例えば、左側入路66aを通過する遊技球を検出する左センサ67aと、右側入路66bを通過する遊技球を検出する右センサ67bに、上述した始動口69への入球を検出する始動口入賞センサ69Sと同様の機能を持たせるように構成することも可能である。
【0111】
つまり、左センサ67aまたは右センサ67bが遊技球を検出したことに基づいて、変化後の遊技状態としての確変状態または非確変状態の遊技状態とともに、このタイミングで取得した特図抽選乱数の現在値を、RAM113の特図保留記憶領域に記憶するようにしてもよい。このように構成した場合は、始動口69への入球を検出する始動口入賞センサ69Sは不要となり、始動口69は、アウト口43同様に、遊技球を機内で循環するために取り込むための開口部としてのみ機能するようにしてもよい。