(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケーシングの前記対向面の各々には、前記搬送路の対応する位置に開口が設けられ、該開口は、前記環状スペーサの外形と同一形状に形成され、前記環状スペーサは、前記開口を介して外部に取出し可能とされる、請求項1に記載の破砕装置。
前記一対の破砕ドラムの各々の外周面には、それぞれ、ドラムの軸線方向に延びる複数の長溝が周方向に所定角度間隔を隔てて形成され、前記搬送路内には、前記長溝の延び方向に沿って流れる搬送エアが送り込まれ、それにより、前記搬送路内の氷粒を搬送するとともに、前記長溝に付着した氷粒を除去する、請求項1または請求項2に記載の破砕装置。
氷片が前記投入開口部より連続的に前記ケーシング内に投入され、前記破砕装置により所定粒径に破砕搬送される氷粒は、人工雪を模擬した環境試験に利用される、請求項1に記載の破砕装置。
搬送エアにより吹き出される氷粒の背後からの気流に氷粒を乗せることにより吹雪として、人工雪を利用する場合において、エア搬送速度は、毎秒15メートル以上である、請求項4に記載の破砕装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る氷片の破砕装置を用いて、人工雪を生成し、それを用いて車両を対象に雪環境試験を行う場合を例に、以下に図面を参照して氷片の破砕装置の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
まず、雪環境試験システムについて説明すれば、
図1に示すように、雪環境試験システム10は、氷粒からなる人工雪を利用し、人工雪をその背後からの気流に乗せて吹雪を模擬して、試験供試体である車両Vに向かって吹き付けるように構成され、そのために、吹雪供給システム12と、気流供給システム14とを有する。
【0014】
特に、氷粒の粒径および水分含有率が主な影響因子である所定の雪質を具備する吹雪を必要量用いて、車両Vに向かって連続的に吹き付ける際、車両Vの高さ全体に拡散し、場合により車両Vの高さ方向に所望の吹雪濃度分布を実現できるようにするために、所定の温度および湿度管理のもとで、人工雪として利用する氷粒群を試験直前に製造して迅速に供給することが要求される。
【0015】
より具体的には、雪環境試験システム10は、試験対象である車両Vを配置する風洞16と、風洞16の上部に配置された低温室18、および低温室18の上部に配置された製氷室20とを有し、製氷室20内には、製氷機22が配置され、低温室18内には、氷温安定化コンベア24、砕氷機26、ブロアー28、冷却器30、および人工雪の分配装置34が配置され、風洞16内には、湿雪装置32、人工雪の吹き出しノズル36、および吹雪捕集装置38が配置され、概略的には、製氷室20で製氷された氷片を低温室18で砕氷して、氷粒化することにより人工雪を製造し、人工雪を風洞16に向けて圧送して、風洞16内において、湿雪化した人工雪を分配して、低温気流に乗せて吹雪化して、車両Vに向けて吹き付けるように構成している。
【0016】
風洞16は、開放タイプの回流型であり、測定対象である車両を設置する(開放型)測定室300と、第1〜第4の4つの屈曲胴302、304、306、308(屈曲部)とを備えて平面視略長方形に形成されている。送風機25で発生した気流は、第2拡散胴310、第3屈曲胴306、第4屈曲胴308、整流胴312(
図1参照)、縮流胴314(
図1参照)を経て、測定室300に開口する吹出し口316(
図1参照)から測定室300に流入し、第1屈曲胴302、第2屈曲胴304の順に流れるようになっている。
送風機25によって送風された気流は、いったん気流全体としての風速(動圧)を低下させて中間胴部における圧力(静圧)を上昇させた後、縮流胴314を通過させることで、測定するのに必要十分な風量(風速)の気流を吹出し口316から測定室300に吹き出すことができるようにしている。
【0017】
これにより、後に説明するように、製氷工程、砕氷工程、分離工程、湿雪工程を経て空気搬送される氷粒が、測定室300内において、その背後からの気流に乗って車両に向かって吹雪として吹き付けられ、送風機25により気流の風速を調整することにより、静止車両でありながら走行車両を模擬できるようにしている。
また、吹雪試験用の回流型風洞16の場合、試験後の雪を分離回収するために、車両Vの下流に、別途雪補修装置38を設けているが、いずれにせよ、雪の重力落下あるいは慣性効果により雪を分離させるのに、車両Vの下流に、敢えて気流を整流させない領域を設けている。
【0018】
吹雪供給システム12は、3系統設けられ、各系統において、砕氷機26と吹き出しノズル36とを接続する雪供給管40、および風洞16内の吸引口42と砕氷機26とを接続する空気ダクト44が設けられ、雪供給管40においては、砕氷機26と吹き出しノズル36との間に、人工雪の分配装置34および湿雪装置32がこの順に接続され、一方空気ダクト44においては、風洞16内の吸引口42と砕氷機26との間に、ブロワ28、冷却器30が接続される。
人工雪の分配装置34を湿雪装置32の上流側に設置するのは、人工雪の分配装置34を下流側に設置すると、湿雪化した雪が分配装置34に送られて、分配装置34内に付着して、詰まりを生じることがあり、それを防止するためである。
【0019】
製氷機22は、フレーク状の氷片を製造するいわゆるリーマ式の製氷機22であり、雪環境試験に用いる人工雪の全体必要量に応じて、クラック状氷片を製造する複数の製氷機22のうちから任意台数を選択して、環境試験に用いる人工雪の必要量の変化に応じて、選択した製氷機22により製氷することにより、製氷量を粗調整するとともに、環境試験に用いる人工雪の必要量の変化に対して、人工雪の必要量と粗調整された製氷量との差分に応じて、選択した製氷機22それぞれにおいて、蒸発温度および/または水温および/またはリーマの回転数を調整することにより、製氷量を微調整する制御装置(図示せず)を有する。
【0020】
砕氷機26は、主に、上部に配置されたロータリーフィーダー46と、下部に配置された一対の破砕ドラム106(
図2参照)とからなり、氷温安定化コンベア24により供給された氷片をロータリーフィーダーにより分量化して一対の破砕ドラム106に供給し、一対の破砕ドラムにより破砕して、所定粒径の氷粒として雪供給管40に供給するようにしている。
【0021】
人工雪の分配装置34は、雪供給管40により搬送される人工雪を複数の分岐管(図示せず)に分配するのに用いられ、より具体的には、同じレベルの吹き出しノズル36が車両Vの幅方向に複数設けられるように、各系統における雪供給管40は、車両Vの幅方向に複数の分岐管に分岐され、各分岐管ごとに湿雪装置32が設けられ、各分岐管の先端に、吹き出しノズル36が設けられる。
【0022】
人工雪の分配装置34は、上流側端面および下流側端面それぞれが雪供給管40の下流側端面および複数の分岐管それぞれの上流側端面と平行に配置された回転体(図示せず)と、回転体をその軸線方向を中心に所定回転速度で回転させる回転駆動部(図示せず)とを有し、回転体はその内部に、回転体を軸線方向に貫通する圧送流路(図示せず)を有し、圧送流路は、上流側端面に、雪供給管40の下流側端面に設けられる流出開口(図示せず)に近接対向して非接触式に配置される取り入れ口(図示せず)を備え、下流側端面に、複数の分岐管それぞれの上流側端面に設けられる流入開口(図示せず)に近接対向して非接触式に配置される排出口(図示せず)を備え、排出口は、回転体の回転による排出口の通過軌跡上に複数の分岐管それぞれの流入開口が位置するように設けられる。
【0023】
湿雪装置32は、雪供給管40に連通するホットエア供給管(図示せず)を有し、ホットエア供給管は、その下流側端部に、雪供給管40の延び方向の所定長さに亘って雪供給管40の外周面全体を覆う環状スペースを形成するホットエア流入部(図示せず)を有し、環状スペースに覆われる雪供給管40の外周面には、ホットエアの流入開口(図示せず)が均等に複数設けられ、それにより、雪供給管40のホットエア流入部が付設される部位の下流側において、雪供給管40内にエージングスペース(熱交換熟成領域)が形成され、そこにおいて湿雪化されるようにしている。
【0024】
気流供給システム14について、風洞16は、循環スペースの一部に形成され、車両Vの前方から後方に向かって一方向に車両Vの車高に亘って吹雪を吹き付けるように構成される。具体的には、循環スペース内に設置された送風機25により車両Vの前方から後方に向かって一方向に所定風速の気流を発生し、車両Vを通過して気流は冷却器30により所定温度に冷却されて、送風機25に戻され、再度気流を発生し、これを繰り返すようにしている。
【0025】
吹雪の発生装置に関し、吹き出しノズル36について、車両Vの前方所定距離の位置に、車両Vの車高に亘って高さ方向に所定間隔を隔てて、3段の吹雪の吹き出しノズル36が配置され、各吹き出しノズル36ごとに、供給する吹雪の濃度を調整可能にしている。車両Vの後方所定距離の位置には、雪捕集装置38が配置され、雪捕集装置38を通過した吹雪は、風洞16内の吸引口42を介して低温室18内に配置されたブロアー28により引かれ、冷却器30により冷却され、砕氷機26に戻され、製氷機22により製氷され氷温安定化コンベア24により砕氷機26に供給され砕氷される氷粒と混合され、再び雪供給管40を介して吹き出しノズル36から吹雪を吹き出すのに利用されるようにしている。吹き出しノズル36は、気流の進行方向に沿って配置され、送風機25から吹き出される気流の帯域内に吹き出し口(図示せず)が設置される。
【0026】
この点、吹雪は、ブロアー28による圧送空気により各吹き出しノズル36から吹き出される雪が、送風機25から吹き出される気流に乗って車両Vに向かって吹き付けられるところ、圧送空気の圧送速度は、雪供給管40内での雪の詰まりを生じない限り、なるべく低速であるのが好ましく、吹雪の速度は、送風機25から吹き出される気流により模擬するのが好ましい。
より詳細には、吹雪が拡散プレート74(後に説明)により拡散されて車両Vに向かって吹き付けられる際、圧送空気の圧送速度が高いと、吹き出しノズル36の部分の吹雪のみ吹雪の速度が高くなり、自然の吹雪から逸脱する一方、送風機25から吹き出される気流の速度を変えることにより、拡散される吹雪全体の速度を一様に変動させることが可能であり、特に静止車両Vにより、走行車両を模擬する場合に、送風機25から吹き出される気流の速度を変動させるのが有利である。
【0027】
各吹き出しノズル36の前方には、拡散プレート74が設けられ、吹き出しノズル36から送風機からの低温気流に乗って車両Vに向かって吹き出される吹雪は、拡散プレート74に当って四方外方に拡散し、3段の吹雪の吹き出しノズル36が互いに協働して、車両Vの前部において、車両Vの高さ方向に亘って、吹雪が分布するようにしている。
この点で、風洞16は、いわゆる空力風洞16でなく、簡易的な風洞16とすることから、吹き出しノズル36と車両Vの前部との距離は、約1メートルないし3メートルであるところ、この短い距離の間で、吹き出しノズル36より吹き出す吹雪が、車両Vの前部において高さ全体に亘って拡散するようにしている。
吹き出し口は、車両Vの高さ全体に亘ってカバーするように高さ方向に間隔を隔てて、複数設けられ、各々の吹き出し口102から吹き出される雪の量を互いに独立に調整可能とし、車両Vの高さに応じて、吹雪の濃度分布を調整可能とした。
【0028】
図2に示すように、氷片を破砕対象とする破砕装置26は、主に、上部に配置されたロータリーフィーダー46と、下部に配置された一対の破砕ドラム106とからなり、氷温安定化コンベア24により供給された氷片をロータリーフィーダー46により分量化して一対の破砕ドラム106に供給し、一対の破砕ドラム106により破砕して、所定粒径の氷粒として雪供給管40に供給するようにしている。
破砕装置26は、氷片を内部に投入する開口部102を有するケーシング104と、ケーシング104内に配置される一対の破砕ドラム106とを有する。
【0029】
ロータリーフィーダー46は、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、ロータリーシャフト(図示せず)が水平に配置され、上方から投入される粉粒化すべき材料を分量化して回転式に下方に供給するように構成される。
より詳細には、ロータリーフィーダー46は、複数枚の回転羽根(図示せず)を放射状に配設したロータがケーシング内で回転する際、ホッパー等から落下する氷片を隣設する羽根間にためて回転し、下側の排出口から落とすようにしている。より具体的には、ロータにおいて、複数の回転羽根を、ケーシングを介して支持されたロータリーシャフトを中心に放射状に配設し、隣設する回転羽根の間に氷片を詰めるためのロータポケットを形成しており、たとえば、駆動モータ(図示せず)によりロータリーシャフトを駆動するようしている。
【0030】
図3および
図4に示すように、一対の破砕ドラム106は、ケーシング104内で、互いに平行に外周面108を対向させて所定の間隔を隔てて配置され、上方から最狭部110に向かう向きに回転可能なように、ケーシング104の内表面116に対して非接触形態で支持される。
このために、
図4に示すように、一対の破砕ドラム106の水平投影上の外輪郭とケーシング104の内表面116との間には、必然的に隙間が形成され、氷片が一対の破砕ドラム106に供給される際、氷片には最狭部110を通らずにこの隙間を介してバイパスしようとするものがある。特に、一対の破砕ドラム106の間において、最狭部110の上方にスパイラル式振り分けローラー(図示せず)が設けられる場合には、それにより、一対の破砕ドラム106の間の最狭部110より上のスペースに受けられる氷片は、一対の破砕ドラム106のドラム軸線方向に振り分けられるようにしている。このため、最狭部110より上のスペースに溜まる氷片は、ドラム軸線方向に均されるものの、一対の破砕ドラム106それぞれのドラム軸線方向の端面118とケーシング104の内表面116との間からよりバイパスしやすくなる。
図4に示すように、一対の破砕ドラム106は、一対の破砕ドラム106の間の最狭部110より上のスペースに、投入される氷片を受けることが可能なように、一対の破砕ドラム106のドラム軸がそれぞれ、ドラムの軸線方向に間隔を隔てたケーシング104の対向面182によって軸受201を介して回転可能に支持される。最狭部110の間隔は、氷片を破砕して氷粒にするのに必要な粒径がどれぐらいであるかにより決定される。
【0031】
一対の破砕ドラム106は、高速回転の破砕ドラム111と、低速回転の送りドラム112とを有する。破砕装置は、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、両ドラムで氷片を破砕して人工雪とするようにしてあり、破砕装置のケーシング104内に設けた一対の破砕ドラム106について、各破砕ドラムの外周には、三角錐状の突歯が円周方向に形成された突歯列を破砕ドラムの回転軸線方向全体に亘って複数列形成してある。各破砕ドラムは、たとえば、駆動モータ(図示せず)によって反対方向に回転させられ、破砕ドラム間に落下させられた氷片を最狭部110において破砕して人工雪を形成するようにしている。
突歯は、三角錐の底面が二等辺三角形をなし、長辺からなる二等辺がドラム円周方向に、短辺がドラムの円周方向と直角をなすように、ドラムの外周面108上に形成されている。特に、短辺と三角錐の頂点が形成する三角形状の切削面は、回転方向に対して例えば6°程度後退させてドラムの外周面108に形成されるのが好ましい。
【0032】
これらの三角錐形状の突歯が、ドラムの外周面108上で連設されて突歯列を形成し、一方の破砕ドラム106において、突歯列は、ドラムの回転軸線方向に互いに数mmの間隔を開けて複数列形成され、同様の構造をした送りドラム112とで一対をなし、互いに反対方向に同期回転することでフレーク状氷片を砕氷化し、人工雪を生成する。なお、人工雪の大きさ、すなわち砕氷して形成される氷粒の大きさは、両ドラム間のクリアランス、すなわち最狭部110の間隔を調節することにより調整する。それぞれ各ドラムの軸線方向に延び、各ドラムの外周面108で所定の角度間隔を隔てて設けられる突歯列により、隣接する突歯列の間には、長溝(図示せず)がドラムの軸方向に延びるように形成される。なお、長溝(図示せず)がドラムの軸方向に延びるように形成される限り、ドラムの軸線方向に隣合う歯が間隔を隔てる突歯列でなく、ドラムの軸線方向に連続的に延びる歯でもよい。
【0033】
一対の破砕ドラム106により破砕された氷粒は、ケーシング104内に設けられた搬送路170により分配装置34に向かって搬送されるようにしてある。
より詳細には、搬送路170は、搬送路170の各端面193に配置された環状スペーサ120(後に説明)、およびケーシング104の両対向面182を介して、雪供給管40に接続され、搬送路170は、ケーシング104内において、一対の破砕ドラム106の最狭部110の下方に、ドラム軸方向に延びる向きに形成され(
図3において、表裏方向)、ケーシング104のドラム軸を回転可能に支持する両対向面182にはそれぞれ、厚み方向に貫通する開口172が設けられる。
図5に示すように、搬送路170は、一対の破砕ドラム106それぞれの最狭部110より下方レベルの外周面108がその内壁面の一部を形成するように設けられる。より具体的には、搬送路170は、一対の破砕ドラム106の最狭部110に向かって、最狭部110より下方レベルの外周面108を覆うように下方から設けられる細長プレート150により、形成される。
【0034】
細長プレート150は、搬送エアにより一方の表面が変形可能なような柔軟性を有するシリコン製であり、断面が湾曲形状、たとえば半円状であり、搬送路170の閉断面は、細長プレート150が一対の破砕ドラム106それぞれの外周面108を覆うことにより形成されるようにしている。
このように、一対の破砕ドラム106の外周面108を利用して、搬送路170を形成することにより、搬送路170を一対の破砕ドラム106の直下方に設けることが可能であり、それにより、ケーシング104内において、破砕された氷粒の及ぶ領域を制限することが可能であり、ケーシング104内での氷粒の付着のリスクを低減することができる。
【0035】
以上のように、搬送路170は、一対の破砕ドラム106の最狭部110より下方レベルの外周面108と協働して搬送路170の内壁面を形成し、搬送路170の長手方向に延在する凹状をなす。凹部の径は、時間当たりに生じる被破砕物の量および搬送エアの流速に応じて、決定する。エア搬送速度は、破砕されて形成された氷粒の雪供給管40の内表面への付着を防止する観点から、たとえば、毎秒15メートル以上である。
細長プレート150は、一方の表面151を上向きにして、ケーシング104の対向面182の各々によって固定支持され、細長プレート150の各上縁部191と対応する破砕ドラム106の外周面108との間には、所定隙間が設けられる。所定隙間は、搬送路170の内部からの氷粒の漏れ防止の観点から、定めればよい。
さらに、一対の破砕ドラム106の最狭部110の上方から破砕ドラム106の各々の外周面108に沿って、ドラム回転方向と逆向きに、対応する隙間部に向かってエアを吹き込むエア吹き込み手段(図示せず)が設けられ、それにより、隙間部からの被破砕物の漏洩を防止するようにしている。
【0036】
図4に示すように、一対の破砕ドラム106それぞれの各端面118と対応する対向面182の外表面との間には、環状スペーサ120が設けられ、環状スペーサ120は、一対の破砕ドラム106の外周面108および細長プレート150の凹部により構成される搬送路170の内周壁面と同一形状に形成される開口部184を有し、開口部184が搬送路170の内周壁面と整合するように位置決めされる。より詳細には、開口部184は、搬送管170の断面形状と一致するように、最狭部110に向かって上方に先細に形成され、これにより、一対の破砕ドラム106の最狭部110において破砕された氷粒は、そのまま下方に落下して、搬送管170内に受け入れられ、環状スペーサ120の開口部184を介して、破砕装置26の外部に搬送されるようにしている。
【0037】
両環状スペーサ120は、その構造は同じであるので、一方について、以下説明する。
図3に示すように、環状スペーサ120は、線対称のプレート状であり、一対の破砕ドラム106の間の最狭部110より下方に及ぶように、プレート平面が一対の破砕ドラム106の対応する端面118と当接する態様で、ケーシング104の対向面182の外表面と一対の破砕ドラム106の対応する端面118との間に挟み込まれるように配置される。
図3に示すように、環状スペーサ120は、最狭部110に向かって先細の上部152と、略矩形状の下部154とを有し、その対称線X―Xが一対の破砕ドラム106の最狭部110を通る鉛直線に沿うように配置される。
【0038】
図3に示すように、先細の上部152は、互いに対向する湾曲縁156を有し、湾曲形状は、一対の破砕ドラム106の曲率と略同じであり、先細の上部の最上部158は、最狭部110より若干上方に配置され、その際、それぞれの湾曲縁156は、対応するドラムの外周と略同心状となるように、外周より内側に位置決めされる。
略矩形状の下部154は、両湾曲部156の下端より下方に延び、後に説明するように、先細の上部152と協働して、内部に開口184を形成するに十分な広さを具備するようにしている。
略矩形状の下部154の幅D、すなわち、両湾曲部156の下端同士の間隔は、投入部開口102の幅Wより大きく設定され、これにより、一対の破砕ドラム106の端面118と対応するケーシング104の内表面116との隙間から氷片が最狭部110をバイパスしないようにしている。
【0039】
環状スペーサ120は、ケーシング104の対向面182の外表面と一対の破砕ドラム106の対応する端面118との間隔、すなわちケーシング104の厚み以上の厚みを有する樹脂製、たとえばポリウレタンエラストマー製、あるいはフッ素樹脂であり、それにより、一対の破砕ドラム106の回転とともに、環状スペーサ120の厚みが間隔に適合するようにされる。より詳細には、一対の破砕ドラム106の回転を通じて、時間経過とともに、端面118に当接する環状スペーサ120の面が摩耗して、環状スペーサ120の厚みがケーシング104の内表面116と一対の破砕ドラム106の対応する端面118との間隔と同じになり、これにより、環状スペーサ120により隙間を完全に塞ぐことが可能である。
【0040】
図4に示すように、ケーシング104の対向面182の各々には、搬送路170の対応する位置に開口172が設けられ、開口172は、環状スペーサ120の外形と同一形状に形成され、環状スペーサ120は、開口172を介して外部に取出し可能とされる。加えて、開口部172は、搬送路170の断面形状と一致するように、最狭部110に向かって上方に先細に形成される。
【0041】
図6に示すように、搬送路170の変形例として、搬送路170は、一対の破砕ドラム106の最狭部110より下方レベルの外周面108と協働して搬送路170の内壁面を形成するローラー部材190を設けてもよい。ローラー部材190は、一対の破砕ドラム106のドラム軸線と平行に配置され、ケーシング104の対向面182の各々によって、軸線を中心に回転可能なように支持され、ローラー部材190の外周面195と対応する一対の破砕ドラム106それぞれの外周面108との間には、所定隙間が設けられ、さらに、一対の破砕ドラム106の最狭部110の上方から破砕ドラム106の各々の外周面108に沿って、ドラム回転方向と逆向きに、対応する隙間部に向かってエアを吹き込むエア吹き込み手段が設けられ、それにより、隙間部からの被破砕物の漏洩を防止する。
【0042】
図7に示すように、搬送路170のさらなる変形例として、細長プレート150は、袋状であり、内部にエアをパルス的に供給することにより、一方の表面151を変形可能としてもよく、これにより、一方の表面151への破砕された氷粒の付着を防止することが可能である。
図8に示すように、搬送路170のさらなる変形例として、細長プレート150は、中空状であり、内部に偏心カム180を備え、偏心カム180は、その偏心した軸線を中心に回転することにより、帯状部の内面に係合するような大きさおよび/または位置に配置され、それにより、一方の表面151を変形可能としてもよく、これにより、一方の表面151への破砕された氷粒の付着を防止することが可能である。
【0043】
以上の構成を有する雪環境試験システム100の作用について、氷片の破砕装置26の作用を含め、以下に説明する。
まず、各系統において、製氷機22において製氷された氷片は、氷温安定化コンベア24により搬送されて、氷片の破砕装置26に送られる。
開口部102を通じてケーシング104内部に投入された氷片は、ロータリーフィーダー46により分量化して受け入れられて、一対の破砕ドラム106に送られ、一対の破砕ドラム106の間の最狭部110より上のスペースに受けられ、上方から最狭部110の向きに回転する一対の破砕ドラム106により、最狭部110に向かって送られ、最狭部110において、所定粒径に破砕される。その際、環状スペーサ120により、ロータリーフィーダー46からの氷片が最狭部110をバイパスするのを防止される。
【0044】
次いで、一対の破砕ドラム106によって破砕された被破砕物を搬送するための搬送路170が、ケーシング104内において、一対の破砕ドラム106の最狭部110の下方に、ドラム軸方向に延びる向きに、一対の破砕ドラム106それぞれの最狭部110より下方レベルの外周面108がその内壁面の一部を形成するように設けられることから、所望粒径に調整した氷粒を破砕後搬送するまでに氷粒が及ぶエリアを最小限に制限することが可能であるとともに、一対の破砕ドラム106の各々の側周面108に設けられる複数の長溝の延び方向に沿って流れる搬送エアを利用することにより、長溝への被破砕物の付着を防止することが可能であり、従来においては、所望粒径の氷片がケーシング104外に付設される搬送路170により搬送され、それにより、破砕後搬送までにケーシング104内で破砕された氷粒が付着し、破砕あるいは搬送工程の停止が引き起こされていたところ、本破砕装置26によれば、氷粒の付着に伴う粒径のバラツキ変動を抑制することも可能であり、所望粒径に破砕した氷粒を効率的に搬送することが可能である。
【0045】
以上のようにして、氷片は、開口部102より連続的にケーシング104内に投入され、ロータリーフィーダー46により分量化して受け入れられ、破砕ドラム106により所定粒径に破砕された氷粒は、最狭部110の直下方の搬送路170に受け入れられ、環状スペーサ120の開口部184、およびケーシング104の開口部172を経て、破砕装置26の外部に至り、圧送空気により雪供給管40を介して搬送され、分配装置34により複数の分岐管58に分配され、各分岐管58を通じてそれぞれの湿雪装置32に送られ、そこで湿雪化され、さらに、車両の幅方向に間隔を隔てて配置された吹き出しノズル36から吹雪を模擬して車両に向かって吹き付けられ、人工雪を模擬した環境試験に利用される。
なお、変形例として、
図1に示すように、吹雪供給システム12を3系統設けずに、
図9に示すように、単一系統として、それに応じて、氷片の破砕装置26を1機設けるのでもよい。
【0046】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態において、搬送路170の一部を構成する細長プレートについて、一体物として説明したが、それに限定されることなく、被搬送物である氷粒が漏洩しない限り、搬送路170の延び方向に分割されていてもよい。
たとえば、本実施形態において、一対の破砕ドラム106とケーシング104との間に介在する環状スペーサ120について、ケーシング104の側面を介して搬送路170と外側で接続される外管である雪供給管40と別体として説明したが、それに限定されることなく、被搬送物である氷粒が漏洩しない限り、雪供給管40と一体に形成されてもよい。
たとえば、本実施形態において、搬送路170の一部を構成する細長プレート両縁部と対応する破砕ドラムの外周面との間隔からの氷粒の漏洩を防止する観点から、搬送路170の内方に向かってエアを吹き込むものとして説明したが、それに限定されることなく、被搬送物である氷粒の漏洩量に応じて、エア吹き込み手段を省略してもよい。