【実施例1】
【0006】
図1〜
図3に示すように、本実施例のスイッチ付き電池ボックスは、一端に開口部2aを有し内部に電池1を収納するボックス2と、開口部2aを閉じるキャップ6と、キャップ6の底部6aの内面に設けられたスイッチ盤としての回転電導盤7と、発光部3および2つの端子(A端子4、B端子5)を有する発光素子3aとを備えている。発光素子3aの一方のA端子4はボックス2の底部2bの内面に露呈して電池1と接触し、発光素子3aの他方のB端子5は電池1と絶縁されて、先端部5aが開口部2aから突出している。回転電導盤7は、中心部21(
図7)から他方のB端子5まで伸びる長径部7aと、長径部7aよりも短い短径部7bとを有している。長径部7aおよび短径部7bは電導性を有するため、回転電導盤7の長径部7aの回転移動により発光素子3aが点灯する。
すなわち、ボックス2は円筒状で、側壁部2cの外面にネジ谷溝12が形成されている。キャップ6は同じく円筒状で、側壁部6bの内面にネジ谷溝6cが形成されている。キャップ6のネジ谷溝6cとボックス2のネジ谷溝12を合わせてキャップ6を回転することにより、ボックス2の開口部2aを閉じることができる。
【0007】
発光素子3aは、A端子(一方の端子)4とB端子(他方の端子)5とを有するLEDチップなどの発光部3と、発光部3を覆う樹脂などの光透過部8とから構成されている。発光部3はボックス2の底部2bの外面の中央部に設けられている。
さらに、光透過部8は、
図1、
図3に示すように、底部が半球状の筒状の照明カバー10で覆われている。照明カバー10は、ボックス2の側壁部2cの下方のネジ谷溝12にネジ止め固定される固定部10aと、底部の光透過部8を覆うカバー部10bとを有する。照明カバー10は、底部頂部および底部側部に複数の透孔15が形成されている。透明カバー10とキャッブ6とをボックス2にネジ止めすることにより、ボックス2の側壁部2cは全てが覆われる。
A端子4は、ボックス2の底部2bを貫通して先端部4aが底部2bの内面に露呈し固定されている。したがって、A端子4は、ボックス2の底部2bの内面中央部に露呈する。これにより、ボックス2内にボタン電池などの電池1を収納すると、
図1に示すように、電池1の正極がA端子4の先端部4aと接触する。
【0008】
B端子5はボックス2の底部2bおよび側壁部2cの内部に埋設される。B端子5の先端部5aは、側壁部2cの開口部2aから突出し、ボックス2の開口部2aの中央部の方向に少しだけ屈曲している。
なお、B端子5は、底部2bおよび側壁部2cの内部に埋設されなくても、絶縁膜などで被覆して、ボックス2の底部2bおよび側壁部2cの内面に沿わせて設けることも可能である。すなわち、B端子5は、ボックス2に収納される電池1から絶縁されて設けられればよい。また、B端子5は、先端部5aが屈曲している必要はない。すなわち、B端子5は、先端部が、回転電導盤7の長径部7aの端部と接触可能なように、ボックス2の開口部2aから突出していればよい。
【0009】
図4に示すように、キャップ6は外表面(底部6aの外面)に片状の取手6dが形成され、取手6dには、ペンダント用のチェーンや紐などを通すための孔6e(
図1)が形成されている。
図5に示すように、キャップ6の裏面(底部6aの内面)には回転電導盤7が取り付けられる溝状の窪み14が形成されている。
図5の点線はキャップ6のネジ谷溝6cを示している。
【0010】
本実施例では、回転電導盤7は、導電体からなる。
図6、
図7に示すように、回転電導盤7は、直径がボックス2の内径とほぼ同じかそれより少し小さい円盤体で、一部に切欠部9を有する。
図7において、点線はボックス2のネジ谷溝12を示している。回転電導盤7は、キャップ6の窪み14に、はめ込みや強力接着剤で固定される突起11を有する。回転電導盤7は、回転の中心部21から円盤体の最外部まで伸びる長径部7aと、切欠部9まで伸びる短径部7bとを有する。したがって、中心部21からの距離は短径部7bの方が長径部7aより短い。本実施例では、
図7に示すように、回転電導盤7は、部分日食で一部が欠けた太陽のような形状をしており、欠けた部分が切欠部9である。回転電導盤7を構成する円盤体の中心部21から切欠部9までの距離は、同円盤体の半径よりも短く、この部分が短径部7bである。同円盤体の短径部7b以外の部分は、円盤体の中心部21からの距離が円盤体の半径と同じであり、この部分が長径部7aである。なお、短径部7bは、本実施例のように曲線形状でなくても直線形状でも可能である。
【0011】
回転電導盤7は、キャップ6の窪み14に固定されているため、キャップ6の回転に伴って回転する。そのため、回転電導盤7は下方に押し下げられ、
図7に示す状態では、長径部7aがB端子5の先端部5aと接触する状態になる。したがって、回転電導盤7は、押し下げられた状態では、電池1の陰極と接触するので、発光部3が点灯する。さらにキャップ6を回転させると、これに伴って回転電導盤7が回転し、短径部7bに対応する切欠部9がB端子5の先端部5aaの位置に来る。
図7において、B端子5の先端部5aaは、回転電導盤7の切欠部9の位置に来たときの状態を示している。
このとき、回転電導盤7とB端子5の先端部5aaとの接触が解放される状態になり、発光部3は消灯する。すなわち、キャップ6を回転させることにより、回転電導盤7がB端子5の先端部5aに接触、非接触を繰り返すことになり、発光素子3aのオン、オフを行うことができる。なお、キャップ6の回転は、右回転、左回転のいずれの方向でも同じように発光素子3aをオン、オフすることができる。
【0012】
ところで、キャップ6の回転により回転電導盤7が回転し、回転電導盤7がB端子5の先端部5aと接触する際に、回転電導盤7のB端子5の先端部5aとの接触部分が、キャップ6の底部6aの内面側(
図1の上側)へ盛り上がることがある。そのため、本実施例では、
図2に示すように、キャップ6の底部6aの内面側の先端部5aと対向する位置に空間部13が設けられている。これにより、先端部5aにより回転電導盤7が盛り上がっても、その盛り上がりは空間部13に吸収され、回転電導盤7の盛り上がり部がキャップ6の底面と摩擦を起こすことなく、キャップ6の回転をスムーズに行うことができる。
本実施例では、回転電導盤7を、部分日食で欠けた太陽のような形状にしたが、棒状、楕円形状、矩形状などにすることも可能である。棒状、楕円形状などの場合は、オン期間よりもオフ期間の方が長くなる。
また、
図8に示すように、回転電導盤7の円盤体を三等分した星形状とすることも可能である。
図8において、点線はボックス2のネジ谷溝12を示している。この場合は、長径部7aおよび短径部7b共に、3か所ずつ均等に形成される。したがって、
図7に示す形状の場合よりも、オン、オフの期間が均等に発生するので、発光部3の点灯、消灯を容易に行いやすい。
【0013】
以上のように本実施例のスイッチ付き電池ボックスによれば、ボタン電池などの小型電池を収納するボックス2のキャップ6の底部6a内面に、キャップ6の回転と共に回転する回転電導盤7が設けられているため、ボックス2の大きさだけ(ほぼボタン電池の大きさだけ)でボックス2の底部2bに設けられた発光素子3aを点滅させることができる。
さらに、キャップ6の底部6aの外面の取手6dに形成された孔6eに、ネックレスチェーンなどを通して、本実施例の発光素子3aをペンダントトップとして用いることができる。照明カバー10には多数の透孔15が形成されているため、発光素子3aの発光の見え方が透孔15と照明カバー10の部分とで異なる。したがって、ペンダントトップやイヤリングの中央部がワンポイントに光る装身具など、装飾性に富んだ装身具が得られる。
【0014】
照明カバー10を乳白色にして柔らかな光を楽しむことができる。また、発光素子3aの周辺にホログラムを併用しデザインを施した装飾体を安価に製造することができる。
また、装身具に限らず、バランスをとり、配線なしで両端で光る振り分荷物を弥次郎兵衛人形の装飾などにも使用できる。
なお、有色の発光部3を用いたり、点滅制御の発光部3を用いたりすることにより、より多彩な装飾効果が得られる。
【実施例2】
本実施例のスイッチ付き電池ボックスの構成は、実施例1とほぼ同じであるが、実施例1の回転電導盤7が絶縁体からなる回転絶縁盤19となっている点と、発光素子3aのB端子(他方の端子)5の先端部5aが、ボックス2の中央部の方向に屈曲して電池1に接触する屈曲部5bを有し、回転絶縁盤19の長径部7aの接触部19aは、発光素子3aのB端子5の屈曲部5bと電池1との間に介在可能である点が異なっている。
図9は本実施例の要部の斜視図を示しており、B端子5および回転絶縁盤19の動作を説明している。本実施例では、
図9に示すように、発光素子3aのB端子5の先端部5aが、ボックス2の中央部の方向に屈曲して電池1に接触する屈曲部5bを有している。
【0015】
図10は、実施例の回転絶縁盤19の断面を示す図であって、
図8に示す回転電導盤7の接触端部20のE−F線断面図である。
図8は実施例1の図であるが、B端子5以外は実施例2と同じ形状であるので、B端子5の形状以外は
図8を用いて実施例2を説明する。
【0016】
本実施例では、回転絶縁盤19の長径部7aの接触部19aは断面M字形状を呈している。したがって、
図10に示すように、断面M字形状の接触部19aの側部が、キャップ6の回転に伴う回転絶縁盤19の回転により、B端子5の屈曲部5bを掬い上げる。
すなわち、本実施例では、回転絶縁盤19が絶縁体であり、回転絶縁盤19の接触部19aは断面M字形状をしているので、
図9に示すように、回転絶縁盤19の接触部19aの側部がB端子5の屈曲部5bを掬い上げた際には、回転絶縁盤19の長径部7aの接触部19aは、発光素子3aのB端子5の屈曲部5bと電池1との間に介在することになり、B端子5と電池1との接触がなくなる。そのため、発光部3は消灯する。
【0017】
キャップ6をさらに回転し回転絶縁盤19もさらに回転することにより、回転絶縁盤19の長径部7aの接触部19aが発光素子3aのB端子5の屈曲部5b(
図9の点線で示す)と電池1との間に介在しなくなり、B端子5と電池1とが接触するので発光部3は点灯する。
本実施例においても、回転絶縁盤19の形状は、実施例1と同様に、棒状、楕円形状、矩形状などにすることも可能である。
以上のように、本実施例においても実施例1と同様の効果が得られる。
【実施例5】
図13は実施例1のスイッチ付き電池ボックスを用いた他の実施例を示す断面図である。本実施例においては、実施例2と同様に、光透過部8とボックス2は一体成形されて小型化されている。
A端子4は、ボックス2の底部2bを貫通して先端部4aが底部2bの内面中央部に露呈し固定されている。B端子5はボックス2の底部2bおよび側壁部2cの内部に埋設され、先端部5aが側壁部2cの開口部2aから突出している。
【0018】
キャップ6は内面に長径部7aと短径部7bを有する回転電導盤7が固定されており、キャップ6はボックス2に蝶番22で結合されている。キャップ6の蝶番22とは反対側にはフック23が形成されており、ボックス2の蝶番22とは反対側に形成された凹部24と嵌合するようになっている。すなわち、キャップ6はボックス2の開口部2aを開閉するようにボックス2の側壁部2cの上端部に回動自在に設けられている。
回転電導盤7は、キャップ6の底部内面において、回転などさせることにより、長径部7aと短径部7bの位置を可変できる。
したがって、回転電導盤7の長径部7aを蝶番22側に設定しておけば、キャップ6を回動により閉じてフック23を凹部24に嵌め合うことにより、回転電導盤7の長径部7aがB端子5の先端部5aと接触し発光部3が点灯する。キャップ6のフック23を凹部24から外してキャップ6を開くことにより、発光部3が消灯する。
また、回転電導盤7の短径部7bを蝶番22側に設定しておけば、キャップ6を閉じてもスイッチ盤7はB端子5に接触することはなく、発光部3を発光させずにキャップ6を閉じることができる。したがって、発光を装飾として使用しない場合は、装身具などの電池の消耗を防ぐことができる。
なお、本実施例では、回転電導盤7は、回転させずにキャップ6に固定することも可能である。この場合は、キャップ6を開いて発光部3を消灯することになる。