特許第6331131号(P6331131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331131
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】幅可変のブレード装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/815 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   E02F3/815 H
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-113729(P2014-113729)
(22)【出願日】2014年6月2日
(65)【公開番号】特開2015-227577(P2015-227577A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 真琴
【審査官】 袴田 知弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−239318(JP,A)
【文献】 特開平10−183673(JP,A)
【文献】 特開2004−084176(JP,A)
【文献】 特開2007−092361(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0068048(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/815
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体を備えた作業機械の前面部の幅方向に延びる排土面を有する主ブレードに対して、前記主ブレードの幅方向の延長上に排土面の幅を可変とする拡張ブレードを装着したブレード装置において、
前記主ブレード背面に水平に設けた主ブレード取付板と、前記拡張ブレード背面に前記主ブレード取付板の下に重なるように設けた拡張ブレード取付板とを備え、前記主ブレード取付板に対して上下方向に貫通穴を開け、前記拡張ブレード取付板に対して前記主ブレード取付板に開けた貫通穴と重なるように貫通穴を開け、
これらの穴を通る接続ピンを設けることにより、前記接続ピンを軸として前記拡張ブレードは前記主ブレードに対して回動可能となり、前記拡張ブレードが前記主ブレードを拡張する状態と、前記主ブレードの後方に収納される状態とを可変とするとともに、前記主ブレード取付板の上部にブレード幅方向に延びる溝を形成し、前記拡張ブレード取付板に対して、
前記主ブレード取付板の前記溝底よりも高くした延設部を設け、この延設部に対し、拡張状態において前記主ブレード取付板に形成した前記溝の延長上に位置し、前記拡張ブレードを回動させ収納状態とする場合にも、前記主ブレード取付板に形成した溝の延長上に位置する溝を形成し、
拡張状態と収納状態において、前記主ブレード取付板の前記溝と前記拡張ブレード取付板の延設部の前記溝に対応するストッパをはめ込むことで、前記接続ピン回りの回動を規制することを特徴とするブレード装置。
【請求項2】
前記主ブレード取付板の上部に形成した溝は、前記貫通穴の中心を通り、前記主ブレード取付板の端までブレード幅方向に延びることを特徴とする請求項1に記載のブレード装置。
【請求項3】
前記主ブレードの背面に対して前記拡張ブレード取付板の下に重なる下板を設け、前記主ブレード取付板と前記下板で前記拡張ブレード取付板を挟み込むことを特徴とする請求項2に記載のブレード装置。
【請求項4】
前記下板に対して前記主ブレード取付板と前記拡張ブレード取付板に設けた穴と重なる穴をあけ、前記接続ピンをこれらの穴に通すことを特徴とする請求項3に記載のブレード装置。
【請求項5】
前記接続ピンの上端がブレード取付板の溝部底辺から突き出さない位置で、前記主ブレード取付板の穴部と前記下板の穴部に固定されることを特徴とする請求項4に記載のブレード装置。
【請求項6】
前記接続ピンを軸とした前記拡張ブレード取付板の延設部の前記軸側の回転直径が、前記主ブレード取付板の左右幅より大きいことを特徴とする請求項5に記載のブレード装置。
【請求項7】
前記拡張ブレード取付板は、前記拡張ブレード取付板の延設部と前記主ブレード取付板の間に拡張状態と収納状態において同一形状となる隙間部を設けることを特徴とする請求項6に記載のブレード装置。
【請求項8】
前記ストッパは、前記ブレード取付板の前記溝と前記拡張ブレード取付板の延設部の前記溝に対応する長手部と、前記拡張ブレード取付板の延設部と主ブレード取付板の間の隙間部に挟まる短手部から構成されることを特徴とする請求項7に記載のブレード装置。
【請求項9】
前記ストッパの前記短手部は、前記長手部より厚いことを特徴とする請求項8に記載のブレード装置。
【請求項10】
前記ストッパは、長手部に対応する長手部材と短手部に対応する短手部材の独立した2つの部品から構成されることを特徴とする請求項9に記載のブレード装置。
【請求項11】
前記主ブレード取付板の長手方向の両端面と前記拡張ブレード取付板の接続ピン側の側面に、前記主ブレード取付板と前記拡張ブレード取付板の上部がそれぞれ細くなるように傾斜を設けることを特徴とする請求項10に記載のブレード装置。
【請求項12】
前記短手部材は、前記拡張ブレード取付板の前記延設部と前記主ブレード取付板の間に挟まれ、前記傾斜に対応した形状であることを特徴とする請求項11に記載のブレード装置。
【請求項13】
前記短手部材上部に、前記主ブレード取付板の前記溝と前記主ブレード取付板の延設部の前記溝に連続する溝を形成し、この溝底を前記主ブレード取付板の前記溝と前記拡張ブレード取付板の延設部の前記溝より低くすることを特徴とする請求項12に記載のブレード装置。
【請求項14】
前記長手部材は、下部に突出構造を有し、前記長手部材をはめ込む場合に、この突出構造が短手部材上方で、前記拡張ブレード取付板の延設部と主ブレード取付板の間の前記隙間部に挟まることを特徴とする請求項13に記載のブレード装置。
【請求項15】
前記長手部材をはめ込んだ場合に、前記長手部材の側面と接触する溝部の側面とにそれぞれ窪みを設け、その窪みに抜止棒を挿し込むことで前記長手部材を固定することを特徴とする請求項14に記載のブレード装置。
【請求項16】
前記長手部材は、溝部から水平方向に突出する長さを有することを特徴とする請求項15に記載のブレード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置に装着されるブレード装置の幅を、変更自在とする構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前記ブレードとして、ブレード装置の幅を変更可能とする構成が知られている。このような作業機械として特許文献1の構成が提案されている。
【0003】
特許文献1のブレード装置では、排土を行うブレードの左右方向の幅を、メインブレードに延長ブレードを延設することで可変とし、メインブレードに対して延長ブレードを枢支軸を介して回動可能にしている。前記延長ブレードに対する前記延長ブレードの枢支軸を中心とする回動により、メインブレードの幅を延長する拡張状態とメインブレードの後方でメインブレードの幅内に位置する収納状態とが実現できる。
【0004】
延長ブレードは、延長ブレード側支持具にある係止具挿入孔と、メインブレード側支持具にある延長係止孔または収納係止孔に対して、ピンにより構成された係止具を挿入することで固定する。拡張状態にした場合には、延長係止孔に係止具を挿入し、また収納状態にした場合には、収納係止孔に係止具を挿入する。延長ブレードとメインブレードは常に一体化されていて、幅を変化させる場合に延長ブレードを取り外す必要がないという特徴がある。
【0005】
係止具の上方には握りノブにより構成された操作部が設けられる。メインブレード側支持具の上面には逆U字型の抜止杵、逆U字型の下には操作部が左右に移動するのを阻止する握りノブ回動阻止ストッパがある。係止具を挿入した場合には、握りノブ回動阻止ストッパおよび抜止杵により係止具が抜けるのを規制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−183673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のブレード装置は、延長係止孔または収納係止孔の一方に、係止具を挿入して延長ブレードを固定する構造であるが、他方には係止具が挿入されず泥が堆積し固着しやすい。
【0008】
さらに、係止具を挿入するために、延長ブレード側支持具にある係止具挿入孔と、メインブレード側支持具にある延長係止孔または収納係止孔とを、上下に重なるように位置合わせをし、軸心を完全に一致させなければならない。
【0009】
また、係止具を引き抜く場合は、操作部が抜止杵と握りノブ回動阻止ストッパを避ける必要があり、持ち上げのほか回動させる動作が必要となる。この構成では、抜止杵と握りノブ回動阻止ストッパの間に泥が堆積し固着してしまうと、係止具を引き上げにくくなる。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するもので、係止具を挿入する孔に泥対策が全く行わない部分をなくし、係止具(ストッパ)を引き抜く場合に泥が堆積し固着した場合においても、着脱および位置合わせを容易にすることができるブレード装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下部走行体を備えた作業機械の前面部の幅方向に延びる排土面を有する主ブレードに対して、前記主ブレードの幅方向の延長上に排土面の幅を可変とする排土面の幅を可変とする拡張ブレードを装着したブレード装置において、前記主ブレード背面に水平に設けた主ブレード取付板と、前記拡張ブレード背面に前記主ブレード取付板の下に重なるように設けた拡張ブレード取付板とを備え、前記主ブレード取付板に対して上下方向に貫通穴を開け主ブレード穴とし、前記拡張ブレード取付板に対して前記主ブレード取付板に開けた前記主ブレード穴と重なるように貫通穴を開け拡張ブレード穴とし、これらの穴に挿通する接続ピンを設けることにより、前記接続ピンを軸として前記拡張ブレードは前記主ブレードに対して回動可能となり、前記拡張ブレードが前記主ブレードを拡張する状態と、前記主ブレードの後方に収納される状態とに可変とするとともに、前記主ブレード取付板の上方にブレード幅方向に延びる溝を形成し主ブレード溝とし、かつ、前記拡張ブレード取付板に対して、前記主ブレード取付板の前記溝底よりも高くした延設部を設け、この延設部に対し、拡張状態において前記主ブレード溝の延長上に位置し、前記拡張ブレードを回動させ収納状態とする場合にも、前記主ブレード溝の延長上に位置する溝を形成し拡張ブレード溝とし、拡張状態と収納状態において、前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝に対応するストッパをはめ込むことで、前記接続ピン回りの回動を規制することを特徴とするブレード装置を提供する。
【0012】
上記のブレード装置は、前記拡張ブレードが前記主ブレードと横並びとなり前記主ブレードの幅を拡張する拡張状態と、前記拡張ブレードが前記主ブレードの後方に位置する収納状態において、前記主ブレード溝の延長上に前記拡張ブレード溝が位置し、前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝に前記ストッパをはめ込むことで、前記接続ピン回りの前記拡張ブレードの回動を規制することができる。
【0013】
これらの溝は前記主ブレード取付板および前記延設部の上部にあるので、前記ストッパをはめ込むために必要な溝の位置合わせを、目視にて容易に行うことができる。
【0014】
作業中は、前記ストッパが前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝に対応する形状ではめ込まれ、これらの溝全体を覆うため、前記溝の内部には泥が堆積しにくい。
【0015】
前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝は、途切れることなく前記主ブレード取付板および前記拡張ブレード取付板の端までそれぞれ延びることが望ましい。
【0016】
上記の構成によれば、1つのストッパにより前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝を覆うことができる。
【0017】
前記主ブレードの背面に対して前記拡張ブレード取付板の下に重なる下板を設け、前記主ブレード取付板と前記下板とにより前記拡張ブレード取付板を挟み込む構造とするのが望ましい。
【0018】
前記下板を設けることで、前記拡張ブレードにかかる荷重を支えることができる。
【0019】
前記下板に対して、前記主ブレード穴と前記拡張ブレード穴に重なるように貫通した下板穴をあけるのが望ましい。
【0020】
上記の構成によれば、接続ピンが前記主ブレード穴と前記拡張ブレード穴、前記下板穴を貫くことができ、前記拡張ブレードの回動を安定化させることができる。
【0021】
前記主ブレード穴は、前記主ブレード溝の底に形成するのが望ましい。
【0022】
上記の構成によれば、前記接続ピンは前記主ブレード溝にはめ込まれる前記ストッパの下に位置することになり、前記接続ピンと前記穴との隙間に泥が入り込むのを防ぐことができ、また前記ストッパを固定することにより前記接続ピンが上方向に移動し抜けてしまうことを防止することが出きる。
【0023】
前記接続ピンは径の小さな小径部の上部に径の大きな大径部がある形状で、その形状に合わせて前記主ブレード穴の上部の径を大きくするのが望ましい。
【0024】
上記の構成によれば、前記接続ピンを上から挿し込むと前記大径部が前記主ブレード穴の上部に引っ掛かり、前記接続ピンが下方向に移動することを防止することが出来る。
【0025】
前記接続ピンは、上端の前記大径部が前記主ブレード溝の底から突き出さない位置で挿し込まれる。
【0026】
上記の構成によれば、前記主ブレード溝にはめ込む場合の前記接続ピンと前記ストッパの干渉を回避し、前記ストッパに窪みや穴などの加工が不要になる。
【0027】
前記拡張ブレード取付板は、拡張状態と収納状態において前記拡張ブレード取付板の前記延設部と前記主ブレード取付板の間に隙間部を設けることが望ましい。
【0028】
上記の構成によれば、隙間部を設けることによって、前記拡張ブレード取付板の前記延設部と前記主ブレード取付板とが干渉し、前記拡張ブレードの回動の妨げとなることを回避することができる。
【0029】
前記主ブレード穴は、前記主ブレード取付板の長手方向の両端部からの距離が等しい位置に形成され、前記接続ピンを軸とした前記拡張ブレード取付板の前記延設部の前記軸側の回転直径は、前記主ブレード取付板のブレード長手方向の幅より大きくなるような構成にすることが望ましい。
【0030】
上記の構成によれば、前記隙間部の間隔が一定となり、前記接続ピンを軸として主ブレードに対して前記拡張ブレードを回動させる場合に、前記拡張ブレード取付板の前記延設部と前記主ブレード取付板とが干渉することを避けることができる。
【0031】
前記ストッパは、前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝に対応する長手部と、前記拡張ブレード取付板の前記延設部と主ブレード取付板の前記隙間部に挟まる短手部を有することが望ましい。
【0032】
この構成では、前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝に対応する長手部に加えて、前記拡張ブレード取付板の延設部と主ブレード取付板の間の隙間部に挟まる短手部を設けることで、より強固に前記拡張ブレードの回動を規制し、隙間部への泥の堆積を防止することができる。
【0033】
前記ストッパの前記短手部は、長手部より厚くすることが望ましい。
【0034】
このストッパは、短手部を厚くすることで、前記拡張ブレード取付板の延設部と主ブレード取付板の隙間部に対応した形状となり、前記ストッパと前記拡張ブレード、前記主ブレードを一体化することで、強固に拡張ブレードの回動を規制することができる。
【0035】
前記ストッパは、前記長手部に対応する長手部材と前記短手部に対応する短手部材の独立した2つの部品から構成されることが望ましい。
【0036】
このストッパは、前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝に対応する前記長手部と、前記拡張ブレード取付板の前記延設部及び前記主ブレード取付板の間の前記隙間部に挟まる前記短手部とを、それぞれ独立した部品とすることでストッパを一体物に形成した複雑な形状になることを避けている。
【0037】
前記主ブレード取付板と拡張ブレード取付板の前記隙間部に対応する側面に、前記主ブレード取付板と前記拡張ブレード取付板の上部がそれぞれ細くなるように傾斜を設けることが望ましい。
【0038】
上記の構成によれば、前記主ブレード取付板の上部の面積を小さくすることで、泥の堆積量を低減できる。
【0039】
前記短手部材は、前記拡張ブレード取付板の延設部材と主ブレード取付板の間の隙間部に挟まり、前記傾斜に対応した側面を有する形状とすることが望ましい。
【0040】
この構成では、前記隙間部は前記傾斜により上部が広い形状で、前記短手部材を前記隙間部に装着しやすい。また、前記短手部側面と前記斜面は間に堆積した泥により固着する場合があるが、拡張ブレードを回動させることによりこの固着を解消することができる。
【0041】
前記短手部材上部に、前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝に対して連続する溝を形成し、この溝底を前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝より低くすることが望ましい。
【0042】
この構成では、前記短手部材上部に設けた溝により、前記長手部材を配置する場合に前記短手部材との干渉を避けることができる。
【0043】
前記長手部材は下部に突出部を有し、前記長手部材をはめ込む場合に、この突出部が短手部材の上方で前記隙間部に挟まることが望ましい。
【0044】
この構成では、前記長手部材をはめ込む場合に、前記突出部が短手部材上部で前記拡張ブレード取付板の延設部材と主ブレード取付板の間の前記隙間部に引っ掛かるため、前記長手部材が溝方向に移動することを防ぐことができる。
【0045】
前記長手部材を溝にはめ込んだ場合に、前記長手部材の側面と接触する溝部の側面とにそれぞれ窪みを設け、2つの窪みを合わせて一つの貫通穴を形成し、その貫通穴に合致する抜止棒を挿し込むことが望ましい。
【0046】
この構成では、前記貫通穴に抜止棒を挿し込むことで前記長手部材を固定することができ、作業時の振動や衝撃によって前記ストッパの前記短手部材とその上に位置する前記長手部材が溝から上方向に移動し、脱落するのを防止することができる。
【0047】
前記抜止棒は、前記貫通穴に挿し込む場合に一端に曲げを設けることが望ましい。
【0048】
この構成では、曲げ側を外側にして前記抜止棒を挿し込む場合に、前記抜止棒が障害物に接触した場合において内側に抜けてしまうことがない。
【0049】
さらに前記ストッパの前記長手部材は、溝部から水平方向に突出する長さを有することが望ましい。
【0050】
上記のストッパは、前記長手部材の側面と溝の間に隙間に泥が堆積して固着し、ストッパを上に持ち上げて取り外すことが容易でなくなる場合があるが、前記抜止棒を取り外して前記長手部材の溝部から突出した部分を持ち上げることで、前記長手部材を固着状態から脱することができる。
【発明の効果】
【0051】
本発明のブレード装置によれば、ストッパを装着する部位をストッパで確実に覆い泥の堆積を防止するとともに、ストッパを引き抜く場合に泥が堆積し固着した場合においても、着脱を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本実施形態に係る下部走行体を示す。
図2】本実施形態のブレード装置を示し、(a)は全体の斜視図、(b)は(a)のA部分の拡大図である。
図3】ブレード装置左側を示し、(a)は上面図、(b)はB‐B断面図、(c)は接続ピンの斜視図を示す。
図4】(a)〜(c)は、本実施形態の拡張ブレードの回動を示す図である。
図5】本実施形態のストッパを示す図で、(a)は全体図、(b)は構成される部品を示す。
図6】ストッパの固定手段を示す図で、(a)は拡張状態、(b)は収納状態である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0054】
図1に本発明の実施形態に係る作業機械の下部走行体1の斜視図を示す。
【0055】
下部走行体1は、メインフレーム34と、メインフレーム34の両側に配置された一対のクローラ33a、33bを備え、前面部には幅方向に延びる排土面を有するブレード装置2を有する。
【0056】
クローラ33aと33bの間には、メインフレーム34を突き通して油圧シリンダ35が設置され、この油圧シリンダ35の伸縮によってクローラ33aと33bの幅を拡縮可能としている。
【0057】
ブレード装置2は、メインフレーム34の前面部に上下方向に揺動可能に枢着され前方へ延びる左右一対のアーム31a、31bの先端部に、主ブレード10の背面側が支持され、アーム31a、31bの間のブラケット65にシリンダ32の一端が上下揺動自在に装着されている。
【0058】
図2はブレード装置2についてのものであり、(a)はブレード装置2の全体を示す斜視図、(b)はブレード装置2の左側の拡大図である。
【0059】
図2(a)において、ブレード装置2の左側の拡張ブレード11aは主ブレード10を拡張する状態、右側の拡張ブレード11b主ブレード10の後方に収納される状態を示しており、ストッパ25a、25bにより、拡張ブレード11a、11bは主ブレード10に対して固定されている。
【0060】
図2(b)において、主ブレード10の背面の左端に主ブレード取付板12aが水平に設置され、この主ブレード取付板12aの下に重なるように設けた拡張ブレード取付板13aが、拡張ブレード11aの背面に設置されている。
【0061】
さらに、主ブレード10の背面に対して、拡張ブレード取付板13aの下に重なる下板14aをアーム31aの左側に設け、主ブレード取付板12aと下板14aで拡張ブレード取付板13aを挟み込んだ構造とし、拡張ブレード取付板13aにかかる荷重を支える。
【0062】
図3(a)はブレード装置2の上面図であり、図3(b)はブレード装置2の左側のB−B断面図である。図3(b)の断面図において、主ブレード取付板12aと拡張ブレード取付板13a、下板14aに対して垂直方向に貫通し連続する穴29aを開け、穴29aに接続ピン15aを通す。
【0063】
図3(c)に示すように、接続ピン15aは径の小さな小径部56aの上部に径の大きな大径部55aがある。穴29aは接続ピン15aの形状に合わせて上部の径を大きくしているため、接続ピン15aが下に抜け落ちるのを規制している。
【0064】
図3(b)に示すように、接続ピン15aの上端は、ストッパ25aの下部より低い位置となり、接続ピン15aとストッパ25aとが干渉するのを避けている。
【0065】
拡張ブレード11aは、拡張ブレード取付板13aを介して接続ピン15aを軸として主ブレード10に対して回動可能としている。
【0066】
図4はブレード装置2の左側の拡大図で、拡張ブレード11aを回動させるときの状態を示しており、(a)は拡張状態、(b)は拡張状態と収納状態を変化させる状態、(c)は収納状態である。
【0067】
主ブレード取付板12aの上面に穴29aの中心を通りブレード幅方向に延びる主ブレード溝22aを形成するとともに、拡張ブレード取付板13aの上面で、拡張ブレード11aの回動時に主ブレード取付板12aと上下に重なることのない面の上に、最上部が主ブレード溝22aの底よりも高くなるように延設部24aを設け、この延設部24aの上面に拡張ブレード11aの幅方向に延びる拡張ブレード溝23aを形成している。
【0068】
主ブレード溝22aと拡張ブレード溝23aは、途切れることなく主ブレード取付板12aおよび拡張ブレード取付板13aの端までそれぞれ延びている。
【0069】
図4において、主ブレード取付板12aのブレード幅方向の両端部と、延設部24aのブレード幅方向の両端部は、主ブレード取付板12aおよび延設部24aの上部が細くなるように傾斜があり、主ブレード取付板12aと延設部24aの上部の面積を小さくすることで、泥の堆積量を低減している。
【0070】
また、(a)の拡張状態と(c)の収納状態において、拡張ブレード溝23aが、主ブレード溝22aの左右何れかの延長上に位置する構造となるほか、主ブレード取付板12aの側面と対面する拡張ブレード取付板11aの側面は、下方ほど近接するような傾斜があり、これらの面の間には同一の形状の隙間部27a、28aが構成される。
【0071】
接続ピン15aを軸として拡張ブレード取付板13aを回動させる場合、拡張ブレード取付板13a上の延設部24aは主ブレード取付板12aの外側を回動し、主ブレード取付板12aと干渉しない。
【0072】
主ブレード溝22aの主ブレード10側の側面に、窪み46aが形成されている。
【0073】
また、拡張ブレード溝23aの拡張ブレード11a側の側面と対面する面に対して、それぞれ窪み45a、窪み47aが形成されている。
【0074】
拡張状態において溝46aの延長上に溝45aが位置し、収納状態において溝46aの延長上に溝47aが位置する。
【0075】
(a)の拡張状態と(c)の収納状態において、ストッパ25aを主ブレード取付板12aおよび拡張ブレード取付板11aの上からはめ込むことにより、拡張ブレード11aの回動を規制する。
【0076】
図5は、拡張ブレード11aの姿勢を維持するために用いるストッパ25aの斜視図であり、(a)はストッパ25aの全体図、(b)はストッパを構成する部品を一つずつ示したものである。ストッパ25aは、短手部材41aと長手部材40aの独立した部品から構成され、ストッパ25aの固定用に抜止棒42aを用いる。
【0077】
図5(a)に示すように、ストッパ25aは、長手部材40aが主ブレード溝22aと拡張ブレード溝23aにはまり、短手部材41aが主ブレード取付板12aと延設部24aの間の隙間部27a、28aにはまる形状である。
【0078】
短手部材41aは、隙間部27a、28aの形状に合わせて下部が細くなるような傾斜が設けられ、上部には長手部材40aを乗せるための溝52aがある。溝52aの側面には、窪み51aを形成している。
【0079】
長手部材40aは、主ブレード溝22aと拡張ブレード溝23aに対応した形状で、下部に突出構造53aがある。長手部材40aの側面には窪み50aを形成している。
【0080】
抜止棒42aは、窪み50a、51aに適合する形状で、一端に曲げがある。
【0081】
図6はストッパをはめ込んだ様子を示し、(a)は拡張状態、(b)は収納状態である。
【0082】
図6(a)は、図4(a)に示す拡張状態のブレード装置2の左側に対してストッパ25aをはめ込んでいる。溝46aと溝45aが窪み51aおよび窪み50aと重なることでブレード幅方向に延びる一つの貫通穴60aを形成する。
【0083】
図6(b)は、図4(c)に示す収納状態のブレード装置2の左側に対してストッパ25aをはめ込んでいる。溝46aと溝47aが窪み51aおよび窪み50aと重なることでブレード幅方向に延びる一つの貫通穴61aを形成する。
【0084】
抜止棒42aは、貫通穴60aおよび貫通穴61aに合致する形状であり、曲げが外側になるような向きで挿し込まれる。
【0085】
次に、本実施形態の作用効果について述べる。
【0086】
図1に示すように、クローラ33aを拡張させる場合には、それに伴ってブレード装置2の幅を左側に拡張している。
【0087】
ブレード装置2の幅を拡張するには、図4に示すようにストッパ25aを取り外した状態で、拡張ブレード11aを接続ピン15aを軸として回動させて、図4(a)に示すように主ブレード10と隣り合う位置に移動させる。
【0088】
図6(a)に示すように拡張ブレード11aを主ブレード10と隣り合う位置に移動した状態で、拡張ブレード11aの接続ピン15aを軸とした回動を規制するために、主ブレード溝22aと拡張ブレード溝23aの上からストッパ25aをはめ込む。
【0089】
まず、短手部材41aを主ブレード取付板12aと拡張ブレード取付板13aの間の隙間部27aにはめ込む。図4(a)に示す隙間部27aは、ブレード取付板12aと拡張ブレード取付板13aに接する面に傾斜があり上部が広い形状で、短手部材41aを装着しやすい。
【0090】
続いて長手部材40aを、主ブレード溝22aと拡張ブレード溝23aの上からはめ込む。図5に示すように長手部材40aの下部には突出構造53aがあり、突出構造53aが隙間部27aに位置することにより突出構造53aは主ブレード取付板12aと拡張ブレード取付板13aの間に挟まれ、主ブレード溝22a、拡張ブレード溝23aに沿って移動することを規制できる。
【0091】
また、図4(a)および図6(a)に示すように、長手部材40aの側面の一方には窪み50aがあり、この窪み50aと主ブレード溝22a、拡張ブレード溝23aの側面に設けた窪み45a、46aが一致する向きで長手部材40aがはめ込まれ、窪み50aと45a、46aが合わさって一つの貫通穴60aとなる。
【0092】
短手部材41aと長手部材40aを装着した状態で、抜止棒42aを貫通穴60aに挿し込む。抜止棒42aは貫通穴60aとの摩擦により抜けにくい構造である。また、抜止棒42aの一端には曲げがあり、この曲げを外側に向けることにより抜止棒42aが外部の障害物に接触する場合に内側に抜けるのを規制する。抜止棒42aにより長手部40aおよび短手部41aが固定され、作業時の振動や衝撃によってストッパの短手部41aとその上に位置する長手部が溝から上方向に移動し、脱落するのを防止することができる。
【0093】
このように、主ブレード10と隣り合う位置に拡張ブレード11aを移動させた拡張状態において、拡張ブレード11aにかかる上下方向、前後方向の負荷をストッパ25aで受けることができる。
【0094】
また、図1に示すように、クローラ33bの幅を縮小させる場合には、ブレード装置2の右側幅を縮小している。
【0095】
ブレード装置2の幅を縮小するには、図4に示すようにストッパ25aを取り外した状態で、拡張ブレード11aを接続ピン15aを軸として回動させて、図4(c)のように主ブレード10の後方に収納される位置に移動させる。
【0096】
図6(c)に示すように拡張ブレード11aを主ブレード10の後方に収納される位置に移動した状態で、拡張ブレード11aの接続ピン15aを軸とした回動を規制するために、主ブレード溝22a、拡張ブレード溝23aの上からストッパ25aをはめ込む。
【0097】
短手部材41aを主ブレード取付板12aと拡張ブレード取付板13aの間の隙間部28aにはめ込む。図4(c)に示す隙間部28aは、ブレード取付板12aと拡張ブレード取付板13aに接する面に傾斜があり上部が広い形状で、短手部材41aを装着しやすい。
【0098】
続いて長手部材40aを、主ブレード溝22aと拡張ブレード溝23aの上からはめ込む。図5に示すように長手部材40aの下部の中央には突出構造53aがあり、突出構造53aが隙間部28aに位置することにより突出構造53aは主ブレード取付板12aと拡張ブレード取付板13aの間に挟まれ、主ブレード溝22a、拡張ブレード溝23aに沿って移動することを規制できる。
【0099】
また、図4(c)および図6(b)に示すように、長手部材40aの側面の一方には窪み50aがあり、長手部材40aは窪み50aと主ブレード溝22a、拡張ブレード溝23aの側面に設けた窪み46a、47aが一致する向きではめ込まれ、窪み50aと46a、47aが合わさって一つの貫通穴61aとなる。
【0100】
短手部材41aと長手部材40aを装着した状態で、抜止棒42aを貫通穴61aに挿し込む。抜止棒42aは貫通穴61aとの摩擦により抜けにくい構造である。また、抜止棒42aの一端には曲げがあり、この曲げを外側に向けることにより抜止棒42aが外部の障害物に接触する場合に内側に抜けるのを規制するこれにより長手部40aおよび短手部41aが固定され、作業時の振動や衝撃によってストッパの短手部41aとその上に位置する長手部が溝から上方向に移動し、脱落するのを防止することができる。
【0101】
このように、拡張ブレード11aを主ブレード10の後方に移動させた収納状態において、ストッパ25aによって拡張ブレード11aの回動を規制することができる。
【0102】
拡張状態と収納状態において、短手部材41aの上部の溝52aが主ブレード溝22a、拡張ブレード溝23aと連続するように位置を合わせるが、これらの溝は主ブレード取付板12aおよび拡張ブレード取付板13aの上部にあるので、目視にて容易に行うことができる。
【0103】
作業時には、隙間部27a、28aには短手部材41a、主ブレード溝22aおよび拡張ブレード溝23aには長手部材40aがはめ込まれるので、隙間部27a、28aおよび主ブレード溝22a、拡張ブレード溝23aの内部には泥が堆積しにくい。
【0104】
接続ピン15aを通すための貫通穴29aは主ブレード溝22aの底に形成されているが、長手部材40aの下に位置することにより、接続ピン15aと貫通穴29aの隙間に泥が入り込むことを防ぎ、長手部材40aが固定されることにより接続ピン15aが上方向に移動することを防止する。
【0105】
ブレード装置2を拡張状態から収納状態にする場合や、収納状態から拡張状態にする場合には、ストッパ25aを引き抜いて作業すればよい。
【0106】
ストッパ25aを引き抜くには、まず抜止棒42aを取り外す。抜止棒42aは一端に曲げがあり、その反対側を叩くことにより取り外すことが出来る。
【0107】
長手部材40aは、抜止棒42aを抜き去ることにより上方向に取り外すことができる。長手部材40aと主ブレード主ブレード溝22a、拡張ブレード溝23aの間に泥が堆積し固着してしまう場合には、長手部材40aの溝から突出した部分を持ち上げ、或いは下から叩くことにより、取り外すことが出来る。
【0108】
長手部材40aと同様に、短手部材41aも上方向に取り外す。短手部材41aと接する主ブレード取付板12aと拡張ブレード取付板13aの間に泥が堆積し固着してしまう場合には、短手部材41aを乗せたまま拡張ブレード11aを回動させることで、その固着を解消することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 下部走行体
2 ブレード装置
10 主ブレード
11a 左側拡張ブレード
11b 右側拡張ブレード
12a 左側主ブレード取付板
13a 左側拡張ブレード取付板
14a 左側下板
15a 接続ピン
22a 左側主ブレード溝
23a 左側拡張ブレード溝
25a 左側ストッパ
40a 長手部材
41a 短手部材
42a 抜止棒

図1
図2
図3
図4
図5
図6