【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下部走行体を備えた作業機械の前面部の幅方向に延びる排土面を有する主ブレードに対して、前記主ブレードの幅方向の延長上に排土面の幅を可変とする排土面の幅を可変とする拡張ブレードを装着したブレード装置において、前記主ブレード背面に水平に設けた主ブレード取付板と、前記拡張ブレード背面に前記主ブレード取付板の下に重なるように設けた拡張ブレード取付板とを備え、前記主ブレード取付板に対して上下方向に貫通穴を開け主ブレード穴とし、前記拡張ブレード取付板に対して前記主ブレード取付板に開けた前記主ブレード穴と重なるように貫通穴を開け拡張ブレード穴とし、これらの穴に挿通する接続ピンを設けることにより、前記接続ピンを軸として前記拡張ブレードは前記主ブレードに対して回動可能となり、前記拡張ブレードが前記主ブレードを拡張する状態と、前記主ブレードの後方に収納される状態とに可変とするとともに、前記主ブレード取付板の上方にブレード幅方向に延びる溝を形成し主ブレード溝とし、かつ、前記拡張ブレード取付板に対して、前記主ブレード取付板の前記溝底よりも高くした延設部を設け、この延設部に対し、拡張状態において前記主ブレード溝の延長上に位置し、前記拡張ブレードを回動させ収納状態とする場合にも、前記主ブレード溝の延長上に位置する溝を形成し拡張ブレード溝とし、拡張状態と収納状態において、前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝に対応するストッパをはめ込むことで、前記接続ピン回りの回動を規制することを特徴とするブレード装置を提供する。
【0012】
上記のブレード装置は、前記拡張ブレードが前記主ブレードと横並びとなり前記主ブレードの幅を拡張する拡張状態と、前記拡張ブレードが前記主ブレードの後方に位置する収納状態において、前記主ブレード溝の延長上に前記拡張ブレード溝が位置し、前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝に前記ストッパをはめ込むことで、前記接続ピン回りの前記拡張ブレードの回動を規制することができる。
【0013】
これらの溝は前記主ブレード取付板および前記延設部の上部にあるので、前記ストッパをはめ込むために必要な溝の位置合わせを、目視にて容易に行うことができる。
【0014】
作業中は、前記ストッパが前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝に対応する形状ではめ込まれ、これらの溝全体を覆うため、前記溝の内部には泥が堆積しにくい。
【0015】
前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝は、途切れることなく前記主ブレード取付板および前記拡張ブレード取付板の端までそれぞれ延びることが望ましい。
【0016】
上記の構成によれば、1つのストッパにより前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝を覆うことができる。
【0017】
前記主ブレードの背面に対して前記拡張ブレード取付板の下に重なる下板を設け、前記主ブレード取付板と前記下板とにより前記拡張ブレード取付板を挟み込む構造とするのが望ましい。
【0018】
前記下板を設けることで、前記拡張ブレードにかかる荷重を支えることができる。
【0019】
前記下板に対して、前記主ブレード穴と前記拡張ブレード穴に重なるように貫通した下板穴をあけるのが望ましい。
【0020】
上記の構成によれば、接続ピンが前記主ブレード穴と前記拡張ブレード穴、前記下板穴を貫くことができ、前記拡張ブレードの回動を安定化させることができる。
【0021】
前記主ブレード穴は、前記主ブレード溝の底に形成するのが望ましい。
【0022】
上記の構成によれば、前記接続ピンは前記主ブレード溝にはめ込まれる前記ストッパの下に位置することになり、前記接続ピンと前記穴との隙間に泥が入り込むのを防ぐことができ、また前記ストッパを固定することにより前記接続ピンが上方向に移動し抜けてしまうことを防止することが出きる。
【0023】
前記接続ピンは径の小さな小径部の上部に径の大きな大径部がある形状で、その形状に合わせて前記主ブレード穴の上部の径を大きくするのが望ましい。
【0024】
上記の構成によれば、前記接続ピンを上から挿し込むと前記大径部が前記主ブレード穴の上部に引っ掛かり、前記接続ピンが下方向に移動することを防止することが出来る。
【0025】
前記接続ピンは、上端の前記大径部が前記主ブレード溝の底から突き出さない位置で挿し込まれる。
【0026】
上記の構成によれば、前記主ブレード溝にはめ込む場合の前記接続ピンと前記ストッパの干渉を回避し、前記ストッパに窪みや穴などの加工が不要になる。
【0027】
前記拡張ブレード取付板は、拡張状態と収納状態において前記拡張ブレード取付板の前記延設部と前記主ブレード取付板の間に隙間部を設けることが望ましい。
【0028】
上記の構成によれば、隙間部を設けることによって、前記拡張ブレード取付板の前記延設部と前記主ブレード取付板とが干渉し、前記拡張ブレードの回動の妨げとなることを回避することができる。
【0029】
前記主ブレード穴は、前記主ブレード取付板の長手方向の両端部からの距離が等しい位置に形成され、前記接続ピンを軸とした前記拡張ブレード取付板の前記延設部の前記軸側の回転直径は、前記主ブレード取付板のブレード長手方向の幅より大きくなるような構成にすることが望ましい。
【0030】
上記の構成によれば、前記隙間部の間隔が一定となり、前記接続ピンを軸として主ブレードに対して前記拡張ブレードを回動させる場合に、前記拡張ブレード取付板の前記延設部と前記主ブレード取付板とが干渉することを避けることができる。
【0031】
前記ストッパは、前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝に対応する長手部と、前記拡張ブレード取付板の前記延設部と主ブレード取付板の前記隙間部に挟まる短手部を有することが望ましい。
【0032】
この構成では、前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝に対応する長手部に加えて、前記拡張ブレード取付板の延設部と主ブレード取付板の間の隙間部に挟まる短手部を設けることで、より強固に前記拡張ブレードの回動を規制し、隙間部への泥の堆積を防止することができる。
【0033】
前記ストッパの前記短手部は、長手部より厚くすることが望ましい。
【0034】
このストッパは、短手部を厚くすることで、前記拡張ブレード取付板の延設部と主ブレード取付板の隙間部に対応した形状となり、前記ストッパと前記拡張ブレード、前記主ブレードを一体化することで、強固に拡張ブレードの回動を規制することができる。
【0035】
前記ストッパは、前記長手部に対応する長手部材と前記短手部に対応する短手部材の独立した2つの部品から構成されることが望ましい。
【0036】
このストッパは、前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝に対応する前記長手部と、前記拡張ブレード取付板の前記延設部及び前記主ブレード取付板の間の前記隙間部に挟まる前記短手部とを、それぞれ独立した部品とすることでストッパを一体物に形成した複雑な形状になることを避けている。
【0037】
前記主ブレード取付板と拡張ブレード取付板の前記隙間部に対応する側面に、前記主ブレード取付板と前記拡張ブレード取付板の上部がそれぞれ細くなるように傾斜を設けることが望ましい。
【0038】
上記の構成によれば、前記主ブレード取付板の上部の面積を小さくすることで、泥の堆積量を低減できる。
【0039】
前記短手部材は、前記拡張ブレード取付板の延設部材と主ブレード取付板の間の隙間部に挟まり、前記傾斜に対応した側面を有する形状とすることが望ましい。
【0040】
この構成では、前記隙間部は前記傾斜により上部が広い形状で、前記短手部材を前記隙間部に装着しやすい。また、前記短手部側面と前記斜面は間に堆積した泥により固着する場合があるが、拡張ブレードを回動させることによりこの固着を解消することができる。
【0041】
前記短手部材上部に、前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝に対して連続する溝を形成し、この溝底を前記主ブレード溝と前記拡張ブレード溝より低くすることが望ましい。
【0042】
この構成では、前記短手部材上部に設けた溝により、前記長手部材を配置する場合に前記短手部材との干渉を避けることができる。
【0043】
前記長手部材は下部に突出部を有し、前記長手部材をはめ込む場合に、この突出部が短手部材の上方で前記隙間部に挟まることが望ましい。
【0044】
この構成では、前記長手部材をはめ込む場合に、前記突出部が短手部材上部で前記拡張ブレード取付板の延設部材と主ブレード取付板の間の前記隙間部に引っ掛かるため、前記長手部材が溝方向に移動することを防ぐことができる。
【0045】
前記長手部材を溝にはめ込んだ場合に、前記長手部材の側面と接触する溝部の側面とにそれぞれ窪みを設け、2つの窪みを合わせて一つの貫通穴を形成し、その貫通穴に合致する抜止棒を挿し込むことが望ましい。
【0046】
この構成では、前記貫通穴に抜止棒を挿し込むことで前記長手部材を固定することができ、作業時の振動や衝撃によって前記ストッパの前記短手部材とその上に位置する前記長手部材が溝から上方向に移動し、脱落するのを防止することができる。
【0047】
前記抜止棒は、前記貫通穴に挿し込む場合に一端に曲げを設けることが望ましい。
【0048】
この構成では、曲げ側を外側にして前記抜止棒を挿し込む場合に、前記抜止棒が障害物に接触した場合において内側に抜けてしまうことがない。
【0049】
さらに前記ストッパの前記長手部材は、溝部から水平方向に突出する長さを有することが望ましい。
【0050】
上記のストッパは、前記長手部材の側面と溝の間に隙間に泥が堆積して固着し、ストッパを上に持ち上げて取り外すことが容易でなくなる場合があるが、前記抜止棒を取り外して前記長手部材の溝部から突出した部分を持ち上げることで、前記長手部材を固着状態から脱することができる。