特許第6331145号(P6331145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331145
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】アンモニア処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/76 20060101AFI20180521BHJP
   C02F 1/46 20060101ALI20180521BHJP
   C02F 1/58 20060101ALI20180521BHJP
   C02F 1/66 20060101ALI20180521BHJP
   F01K 9/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   C02F1/76 C
   C02F1/46 Z
   C02F1/58 P
   C02F1/66 510G
   C02F1/66 530C
   C02F1/66 530Q
   C02F1/66 540E
   C02F1/66 522A
   F01K9/00 G
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-238637(P2014-238637)
(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-97387(P2016-97387A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年11月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】高波 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】那須 勇作
(72)【発明者】
【氏名】三田村 章弘
(72)【発明者】
【氏名】四條 大暉
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−000563(JP,A)
【文献】 米国特許第04137166(US,A)
【文献】 特開2007−289841(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0234224(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46、58、66、76
F01K 9/00
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ排水中のアンモニアを分解処理するアンモニア分解システムであって、
ボイラ排水を混合槽へ供給する排水ラインと、
前記排水ラインを流れる前記ボイラ排水のpHを測定するpH測定装置と、
前記排水ライン上に設けられ、前記ボイラ排水に前記ボイラ排水のpHを調整するpH調整剤を添加するpH調整装置と、
海水又は塩水を電気分解して次亜塩素酸を有する電解処理水を生成する電解装置と、
前記排水ラインと前記混合槽との接続部より上流に設けられ、前記電解装置で生成された次亜塩素酸を前記ボイラ排水に供給する供給ラインと、
前記pH測定装置の測定値に基づいて前記pH調整装置を制御して前記pH調整剤の添加量を調整する制御装置と、
前記排水ラインの上流側に設けられて前記ボイラ排水を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽に貯留された前記ボイラ排水のpHを測定する貯留槽pH測定装置と、を有し、
前記制御装置は、前記排水ライン上において、前記排水ラインと前記供給ラインとの合流部よりも上流側で前記ボイラ排水のpHを7.5〜9.5となるように前記pH測定装置を制御して前記pH調整剤の添加量を調整し、
前記貯留槽pH測定装置の測定値に基づいて前記電解装置にて生成される次亜塩素酸量の生成量を決定するアンモニア処理システム。
【請求項2】
前記pH測定装置は、前記pH調整装置の下流側であって、前記pH調整装置によって添加された前記pH調整剤によって調整された前記ボイラ排水のpHが安定する位置に配置されている請求項1に記載のアンモニア処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア処理システムに係り、特にボイラ設備からの排水であるボイラ排水に含まれるアンモニアを処理するアンモニア処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば火力発電プラントにおいて、腐食の要因となる酸素を除去するために使用されているヒドラジンは、「変位原性が認められた化学物質」と評価されていることから、近年はより安全な脱酸素剤や、脱酸素剤不使用の水処理の採用が進行している。
ヒドラジンを用いない脱酸素剤としては、水素イオン指数(pH)の値を大きくした(例えばpH7〜pH10.5)アンモニアが知られているが、脱酸素剤としてアンモニアを用いることにより今後プラントからの排水のアンモニア濃度が高くなることが想定されている(例えば非特許文献1参照)。一方、排水規制により窒素の低減も求められており、早急な対応が望まれている。
【0003】
特許文献1には、海水を電気分解することによって得られる次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ)を用い、塩素処理によってアンモニアを分解するアンモニア処理システムが記載されている。このアンモニア処理システムにおいては、アンモニア含有排水であるボイラ排水が混合槽に導入されるとともに混合槽に次亜塩素酸が添加され、ボイラ排水中に存在するアンモニアと次亜塩素酸とが溶液反応して、窒素ガスまで分解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−563号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“火力プラント水処理における脱ヒドラジンへの取組み”、[online]、三菱重工技報 Vol.46 No.2 (2009)、[平成24年3月30日検索]、インターネット<URL: http://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/462/462055.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のシステムにおいては、ボイラ排水と次亜塩素酸との反応時間に応じて混合槽の容量が決定される。しかしながら、ボイラ排水と次亜塩素酸との反応時間が長くなると混合槽の容量を大きくする必要があった。
【0007】
この発明は、ボイラ排水と次亜塩素酸との反応時間を短くすることができるアンモニア処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様によれば、アンモニア処理システムは、ボイラ排水中のアンモニアを分解処理するアンモニア分解システムであって、ボイラ排水を混合槽へ供給する排水ラインと、前記排水ラインを流れる前記ボイラ排水のpHを測定するpH測定装置と、前記排水ライン上に設けられ、前記ボイラ排水に前記ボイラ排水のpHを調整するpH調整剤を添加するpH調整装置と、海水又は塩水を電気分解して次亜塩素酸を有する電解処理水を生成する電解装置と、前記排水ラインと前記混合槽との接続部より上流に設けられ、前記電解装置で生成された次亜塩素酸を前記ボイラ排水に供給する供給ラインと、前記pH測定装置の測定値に基づいて前記pH調整装置を制御して前記pH調整剤の添加量を調整する制御装置と、前記排水ラインの上流側に設けられて前記ボイラ排水を貯留する貯留槽と、前記貯留槽に貯留された前記ボイラ排水のpHを測定する貯留槽pH測定装置と、を有し、前記制御装置は、前記排水ライン上において、前記排水ラインと前記供給ラインとの合流部よりも上流側で前記ボイラ排水のpHを7.5〜9.5となるように前記pH測定装置を制御して前記pH調整剤の添加量を調整し、前記貯留槽pH測定装置の測定値に基づいて前記電解装置にて生成される次亜塩素酸量の生成量を決定することを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、pH調整剤を添加してボイラ排水のpHを調整することにより、ボイラ排水と次亜塩素酸との反応時間を短くすることができる。
【0010】
上記アンモニア処理システムにおいて、前記pH測定装置は、前記pH調整装置の下流側であって、前記pH調整装置によって添加された前記pH調整剤によって調整された前記ボイラ排水のpHが安定する位置に配置されてもよい。
【0011】
このような構成によれば、pH測定装置によって、より正確なボイラ排水のpHを測定することができる。これにより、pH調整装置によるボイラ排水のpHの調整を正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、pH調整剤を添加してボイラ排水のpHを調整することにより、ボイラ排水と次亜塩素酸との反応時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一実施形態のアンモニア処理システムの概略構成図である。
図2】本発明の第一実施形態のアンモニア処理システムの混合槽におけるアンモニア分解速度とボイラ排水のpHとの関係を示すグラフである。
図3】本発明の第二実施形態のアンモニア処理システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態のアンモニア処理システム1について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第一実施形態のアンモニア処理システム1を有するプラントPの概略構成図である。図1に示すように、アンモニア処理システム1は、排熱回収ボイラBを備えたコンバインドサイクル発電プラントPから排出されるボイラ排水Wを処理するためのシステムである。
【0016】
アンモニア処理システム1は、海水電解装置2と、制御装置(図示せず)と、を主な構成要素として備えている。
コンバインドサイクル発電プラントP(以下、プラントPと呼ぶ)は、ガスタービン(図示せず)と、ガスタービンからの排気ガスが送られる排熱回収ボイラB(以下、ボイラBと呼ぶ)と、蒸気タービン(図示せず)と、ガスタービンと蒸気タービンの回転駆動力により駆動されて発電する発電機(図示せず)と、を有する構成とすることができる。
【0017】
プラントPには海水の取水口3から第一海水供給ライン4を介して取水された海水Mが導入されて、例えば冷却などの用途に使用される。第一海水供給ライン4には、海水Mを送水する海水供給ポンプ(図示せず)、及び海水Mの流量を調整する海水流量調整バルブ(図示せず)が設けられている。
例えばボイラBのボイラ水には、腐食の要因となる酸素を除去するための脱酸素剤としてアンモニアが使用されている。よって、ボイラBから排出されるボイラ排水Wは、アンモニア(NH)、アンモニウムイオン(NH)等のアンモニア性窒素を含むアンモニア性窒素含有排水である。
【0018】
ボイラBから排出されたボイラ排水Wは、貯留槽5に貯留される。貯留槽5には、ボイラ排水Wを減温するための減温希釈水(工業用水道)を貯留槽5に投入するための希釈水導入装置6が設けられている。貯留槽5内の処理水は、処理水の温度を計測可能な温度計(図示せず)によって計測された温度に基づいて、所定の温度以下に管理されている。また、貯留槽5には、貯留槽5内の処理水のpH(水素イオン指数)を計測する貯留槽pH測定装置7が設けられている。
【0019】
貯留槽5の下流側には、混合槽9が設けられている。貯留槽5と混合槽9とは排水ライン10を介して接続されている。即ち、貯留槽5に貯留され、減温されたボイラ排水Wは、排水ライン10を介して混合槽9に導入された後放流される。排水ライン10には、貯留槽5に貯留されているボイラ排水Wを混合槽9に送水する排水供給ポンプ16が設けられている。
【0020】
海水電解装置2は、第二海水供給ライン11を介して取水口3から導入された海水Mの電気分解を行う装置である。第二海水供給ライン11には、海水Mを送水する海水供給ポンプ14、及び海水Mの流量を調整する海水流量調整バルブ15が設けられている。
海水電解装置2は、電解槽12と、直流電源装置13と、を有している。海水電解装置2は、海水Mを電気分解することによって、次亜塩素酸ナトリウム(塩素、次亜塩素酸ソーダ)を含む電解処理水Eを生成する装置である。電解槽12は、複数の電極(図示せず)を有している。
【0021】
直流電源装置13は、海水Mの電気分解に供される電流を供給する装置であって、例えば、直流電源と定電流制御回路とを備える構成を採用することができる。直流電源は、直流電力を出力する電源であって、例えば交流電源から出力される交流電力を直流に整流して出力する構成であってもよい。
【0022】
本実施形態の海水電解装置2は、海水Mを電解槽12に一回のみ通すワンスルー方式である。海水電解装置2としては、上記ワンスルー方式の他に、電解槽12の下流側(電解槽12の流出口)と電解槽12の上流側(電解槽12の流入口)とを循環流路によって接続して、海水を循環させるリサイクル方式を採用してもよい。即ち、海水電解装置2は、海水Mを用いて次亜塩素酸を生成することができれば、どのような形式のものでもよい。
【0023】
海水電解装置2にて生成された電解処理水Eは、供給ライン18を介して混合槽9に導入されて、ボイラ排水Wと混合される。
また、排水ライン10上であって、供給ライン18との合流部20よりも下流側(混合槽9側)には、ボイラ排水Wと電解処理水Eとの混合を促進するラインミキサ21が設けられている。
【0024】
混合槽9には、ボイラ排水Wと電解処理水Eが導入されて、ボイラ排水W中に存在するアンモニアと次亜塩素酸とが溶液反応して窒素ガス(N)まで分解される。即ち、混合槽9において、アンモニアが処理されて、ボイラ排水Wは放流可能な状態となる。
【0025】
本実施形態の排水ライン10上には、上流側より順に排水ライン10を流れるボイラ排水WのpH(水素イオン指数)を調整するpH調整装置23と、ボイラ排水WのpHを測定するpH測定装置24が設けられている。pH調整装置23とpH測定装置24は、排水ライン10と供給ライン18の合流部20よりも上流側に設けられている。即ち、pH測定装置24は、pH調整装置23の下流側に設けられ、pH測定装置24の下流側にて電解処理水Eが混合される。
【0026】
pH調整装置23は、排水ライン10を流れるボイラ排水WにpH調整剤を添加してボイラ排水WのpHを調整する装置である。pH調整剤は、塩酸などの酸又はアルカリ剤が用いられる。本実施形態のボイラ排水Wは、アルカリ性側である場合が多く、主として塩酸が添加される。
【0027】
pH測定装置24は、pH調整装置23よりも十分下流側に設置されている。具体的には、pH測定装置24は、pH調整装置23によって添加されたpH調整剤がボイラ排水Wと混合され、適切に反応した後のボイラ排水WのpHを測定できる位置に配置されている。換言すれば、pH測定装置24は、pH調整装置23によって添加されたpH調整剤によって調整されたボイラ排水WのpHが安定する位置に配置されている。
【0028】
ここで、混合槽9におけるアンモニア分解速度とボイラ排水WのpHとの関係について説明する。発明者らの調査によれば、混合槽9におけるアンモニア分解速度とボイラ排水WのpHとの関係は、図2に示すようになる。図2に示すように、ボイラ排水WのpHを8.5前後とした場合、混合槽9におけるアンモニアの分解速度が向上することがわかった。
この関係に基づき、制御装置は、pH測定装置24の測定値、即ち排水ライン10の合流部20よりも上流側のボイラ排水WのpHがpH=7.5〜9.5となるように、pH調整装置23を制御してpH調整剤の添加量を調整する。例えば、制御装置は、ボイラ排水WのpHが10(アルカリ側)であった場合、ボイラ排水Wに塩酸を添加するようにpH調整装置23を制御する。
【0029】
次に、本実施形態のアンモニア処理システム1の作用について説明する。
まず、ボイラBから排出されたボイラ排水Wは、貯留槽5に貯留される。本実施形態のボイラ排水WのpHは、10.5前後であり、アルカリ性を示している。ボイラ排水Wと同時に、減温希釈水が貯留槽5に投入される。これにより、貯留槽5内のボイラ排水WのpHは例えば9.9となる。貯留槽5に貯留されたボイラ排水Wは、排水供給ポンプ16を用いて所定速度で排水ライン10に送水される。
【0030】
制御装置は、pH測定装置24にて測定されたpHに基づいて、pH調整装置23を用いてボイラ排水WにpH調整剤を投入する。制御装置は、ボイラ排水WのpHが7.5〜9.5となるように、pH調整装置23の制御を行う。
【0031】
一方、制御装置は、貯留槽pH測定装置7によって測定されるボイラ排水WのpHに基づいて必要な次亜塩素酸量を算出し、直流電源装置13の出力電流値を決定する。そして、混合槽9における処理時間などから必要とされる電解処理水量Eを決定する。
【0032】
貯留槽pH測定装置7によって測定されるボイラ排水WのpHとアンモニア性窒素濃度は相関性があるので、ボイラ排水WのpHを測定することによって貯留槽5内の窒素濃度が解る。アンモニア性窒素濃度に対する次亜塩素酸量も相関性があり、次亜塩素酸量は直流電源装置13の電流値に対して比例して増減する。よって、貯留槽5内のボイラ排水WのpHを測定することで直流電源装置13を制御し、次亜塩素酸の生成量(アンモニア性窒素除去量)を決定することが可能となる。
【0033】
上記実施形態によれば、アンモニア性窒素を含む排水であるボイラ排水Wに次亜塩素酸を含む電解処理水Eが添加されることによって、ボイラ排水Wに含まれるアンモニアを分解処理することができる。
【0034】
また、pH調整剤を添加してボイラ排水WのpHを調整することにより、ボイラ排水Wと次亜塩素酸との反応時間を短くすることができる。特に、pHを7.5〜9.5の範囲に調整することにより、ボイラ排水Wと次亜塩素酸との反応時間をより短くすることができる。
【0035】
また、ボイラ排水Wに添加されるpH調整剤が電解処理水Eが供給される合流部20よりも上流側にて添加されることによって、電解処理水EによるpH変動の影響を受けることなく、ボイラ排水WのpHを調整することができる。
また、貯留槽5内のボイラ排水WのpHを測定することによって、直流電源装置13を制御し、次亜塩素酸の生成量を決定することが可能となる。
【0036】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態のアンモニア処理システム1Bを図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
【0037】
に示すように、本実施形態のアンモニア処理システム1Bは、海水電解装置2にて生成された電解処理水Eを取水口3に注入する注入ライン17を有している。電解処理水E(次亜塩素酸ナトリウム)が取水口3に注入されることによって、取水口3に対する海洋生物の付着を抑制することができる。即ち、本実施形態の海水電解装置2は、海洋生物付着防止装置としての機能を有する。
【0038】
海水電解装置2と取水口3とを接続する注入ライン17からは、電解処理水Eを混合槽9に供給する供給ライン18が分岐している。即ち、海水電解装置2にて生成された電解処理水Eは、注入ライン17から分岐する供給ライン18を介して混合槽9に導入されて、ボイラ排水Wと混合される。供給ライン18には、電解処理水Eの流量を調整する流量調整バルブ19が設けられている。
【0039】
制御装置は、流量調整バルブ19を調整することによって、注入ライン17から注入される電解処理水E(次亜塩素酸ナトリウム)の量を制御する。第一実施形態の制御装置と同様に、制御装置は、貯留槽pH測定装置7によって測定されるボイラ排水WのpHに基づいて必要な次亜塩素酸量を算出し、直流電源装置13の出力電流値を決定する。そして、混合槽9における処理時間などから必要とされる電解処理水量Eを決定する。
【0040】
また、海水電解装置2にて生成された電解処理水Eは、注入ライン17を介して海水Mの取水口3に注入される。電解処理水Eが取水口3に注入されることによって、取水口3に対する海洋生物の付着を抑制することができる。
【0041】
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態の電解処理水Eの供給ライン18は、ボイラ排水Wが流れる排水ライン10に接続されているが、供給ライン18を直接混合槽9に接続してもよい。
例えば、上記実施形態では、海水電解装置2には海水Mが導入される構成を示したが、海水電解装置2に塩水を導入する構成としてもよい。即ち、海水電解装置2に導入される液体は、海水Mと同様に塩素イオン(Cl)を含んでいればよい。
また、混合槽9又は混合槽9の下流にpH、残留塩素、水質などを測定する手段を設けて、廃水が基準に満たない場合に、廃水を貯留槽5に戻すラインを設けてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1,1B アンモニア処理システム
2 海水電解装置(電解装置)
3 取水口
4 第一海水供給ライン
5 貯留槽
6 希釈水導入装置
7 貯留槽pH測定装置
9 混合槽
10 排水ライン
11 第二海水供給ライン
12 電解槽
13 直流電源装置
14 海水供給ポンプ
15 海水流量調整バルブ
16 排水供給ポンプ
17 注入ライン
18 供給ライン
19 流量調整バルブ
20 合流部
21 ラインミキサ
23 pH調整装置
24 pH測定装置
B ボイラ
E 電解処理水
M 海水
P プラント
W ボイラ排水
図1
図2
図3