(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、各先行技術のおけるスリットを形成した使用面側シートでは、トップシート及びセカンドシートは、一様であることが前提となっていたため、単機能な使用面側シートであると評価せざるを得ないものである。
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、排出された尿や経血等の体液を、素早く吸収体に移行させる吸収性能とともに、端部において他の機能も有する吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
使用面側表面を形成する
不織布からなる透液性の第1シートと、この第1シートと対向し
不織布からなる第2シートとを有する使用面側シートを通る、体液を吸収性要素で吸収する吸収性物品において、
前記第2シート
における、製品の前後方向
の長さを100%としたときの両端
から20〜35%の範囲の少なくとも一方に、横方向に沿うスリットの開口が千鳥模様の分散状態で多数形成され、
このスリットの形成範囲以外にはスリットが形成されておらず、
前記スリットの開口は、前記第2シートに形成されたスリットが前記第2シートの前後方向の伸長とともに横方向中央側ほど大きく広がるようにして開口したものであり、
前記スリットの開口の千鳥模様の配列は、前後方向に連なる開口の列を横方向に多数有するとともに、各列の開口が隣接列における隣り合う開口の間の前後方向中央に位置するものであり、
最も側方に位置する前記スリットの開口は前記第2シートの両側縁に達しており、
前記スリットの開口の幅方向の長さは1〜15mmであり、
前後方向における隣り合う前記スリットの間隔は3〜15mmであり、
前記第1シートの不織布は無孔の不織布であり、
前記第1シートは、前記第2シートと、散在する接合部によって接合されて
おり、
前記第1シートにおける前記接合部をつなぐ部分は、使用面が隆起するとともに裏面が窪んだ隆起部となっていることを特徴とする吸収性物品。
【0009】
(作用効果)
本発明では、使用面側に位置する
不織布からなる第1シートと、この第1シートと対向し
不織布からなる第2シートとを有する使用面側シートを通して、体液を吸収性要素に移行させ、そこで吸収するようにしたから、第1シートに受け入れた体液を、第2シートを介して、素早く吸収体に移行させて吸収させる性能を発揮する。
前記第2シートの製品の前後方向両端の少なくとも一方の端部に、横方向に沿うスリットの開口が分散状態で多数形成されている。
その結果、第2シートの端部においては、粘性の高い体液であっても、第2シートの開口を通すことができるので、多様な体液の吸収が可能となる。たとえば、吸収性物品が使い捨ておむつであるとき、水様便及び軟便(以下「水様便等」という。)が前記開口を透過でき、水溶便等の水分を吸収要素側に移行させ、その固形分については吸収要素の表面部分に留めるようにでき、もって、水様便等があった場合においても、その端部側からの漏れを防止できる。
【0010】
【0011】
また、第1シートは、接合部をつなぐ部分が使用面側に隆起していると、着用者の肌に当接する面が柔軟で、肌に与える刺激が少ないという表面特性が得られる。また、吸収要素及び第2シート側からの逆戻りを防止でき、カブレを抑制できる。
【0012】
<請求項
2記載の発明>
周面に凸部を有する凸ロールと、この凸ロールに対向し、前記凸部に対応する凹部を有する凹ロールと、この凹ロールに対向する重合ロールとを有する設備によって、
(1)前記凸ロールと前記凹ロールとの間に第1シート素材が通され、第1シート素材に、前記凸部が前記凹部側に入り込むことにより、隆起部が形成された第1素材シートを得て、
(2)この凸部形成段階より後段階で、素材の幅方向に沿うスリットの形成領域がシート長さ方向に間隔を置いて形成された第2シート素材が、前記第1シート素材と、散在する接合部によって接合され、
前記使用面側シートが形成されるとともに、
前記第2シート素材が前記第1シート素材と接合される前に、前記第2シート素材の前後方向の伸長により前記スリットが横方向中央側ほど大きく広がるようにして開口される、
請求項
1記載の吸収性物品。
ここで、「凹部」の技術的意義は、「前記凸部が凹部側に入り込むことにより、隆起部が形成され」というものであるから、隆起部が形成される限り、凸部が入り込む大きさの、底面がない「開孔」でもよく、本請求項記載の発明における「凹部」は、かかる「開孔」も含む意味である。
【0013】
(作用効果)
上記の製造形態において、第2シート素材を第1シート素材と接合する前に、ライン方向に伸張した状態で供給すると、第2シート素材が、元の素材状態からライン方向に伸長した状態になる。その結果、スリットが開口し、開口が形成されながら又は開口が形成された状態で接合が行われる。
ここで、第2シート素材が、元の素材状態からライン方向に伸長した状態になることは、製品化状態での第1シートの必要長さに対して、第2シート素材としては伸長後の長さでよいことになるから、必要な第2シート素材の長さが短くなることを意味することになり、資材コストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、本発明によれば、排出された尿や経血等の体液を、素早く吸収体に移行させる吸収性能とともに、端部において他の機能も有するものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図1〜
図4はテープタイプ使い捨ておむつの一例を示しており、断面図中の点模様部分はホットメルト接着剤の塗布部分を示している。
【0017】
<用語の説明>
本発明における、用語「前後方向(縦方向)」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「使用面」は、体液を直接受けて、吸収性要素に受け渡す側をいう。
また、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。
「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:10gf/cm
2、及び加圧面積:2cm
2の条件下で自動測定する。
【0018】
本発明は、使い捨ておむつに好適に適用できるが、その使い捨ておむつとしてテープタイプ使い捨ておむつであっても、いわゆるパンツ型使い捨ておむつであってもよい。
【0019】
以下では、テープタイプ使い捨ておむつの例を挙示して本発明を説明するが、パンツ型使い捨ておむつや生理用ナプキン、パッドなどにおいても、同様の構造を採ることは以下の説明から判るであろう。
【0020】
本発明例のテープタイプ使い捨ておむつでは、使用面側に位置する透液性シート30を通る体液を吸収性要素50で吸収するものである。
すなわち、製品の幅方向中央に沿って下腹部から股間部を通り臀部までを覆うように延在する部分であって、使用面側表面を形成する透液性トップシート30と、裏面側に位置する液不透過性シート11との間に吸収要素50が介在する領域である吸収性本体部10と、この吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分である腹側エンドフラップ部EF及び背側エンドフラップ部EFとを有するものである。
【0021】
また、このテープタイプ使い捨ておむつは、吸収性本体部10の側縁よりも側方に延出する一対のサイドフラップ部SF,SFを有しており、背側におけるサイドフラップ部SF,SFにはファスニングテープ13,13がそれぞれ設けられている。
【0022】
より詳細には、吸収性本体部10ならびに各サイドフラップ部SF,SFの外面全体が、製品の外形を定める外装バックシート12により形成されている。特に、吸収性本体部10においては、外装バックシート12の内面側に液不透過性シート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこの液不透過性シート11の内面側に吸収要素50、中間シート40、および透液性トップシート30がこの順に積層されている。透液性トップシート30および液不透過性シート11は図示例では長方形であり、吸収要素50よりも前後方向および幅方向において若干大きい寸法を有しており、トップシート30における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部と、液不透過性シート11における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されている。また液不透過性シート11は透湿性のポリエチレンフィルム等からなり、トップシート30よりも若干幅広に形成されている。
【0023】
さらに、この吸収性本体部10の両側には、装着者の肌側に突出(起立)する側部立体ギャザー60,60が設けられており、この側部立体ギャザー60,60を形成するギャザーシート62,62が、トップシート30の両側部上から各サイドフラップ部SF,SFの内面までの範囲に固着されている。
【0024】
以下、各部の素材および特徴部分について順に説明する。
(外装バックシート)
外装バックシート12は吸収要素50を支持し、着用者に装着するための部分である。外装バックシート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を囲む部位となる。
【0025】
外装バックシート12としては不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m
2、特に15〜30g/m
2のものが望ましい。
【0026】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に液不透過性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この液不透過性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0027】
(トップシート)
トップシート30は液透過性を有する、無孔の不織布を用いる。この不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
【0028】
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0029】
(中間シート)
トップシート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、トップシート30と吸収要素50との間に中間シート(セカンドシートもいわれる)40を設けることができる。この中間シート40は、排泄物を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した排泄物の吸収体からの逆戻りを防止し、トップシート30表面の肌触りを良くするものである。
【0030】
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材を用いることができる。中間シート40はトップシート30に接合するのが好ましく、その接合にヒートエンボスや超音波溶着を用いる場合は、中間シート40の素材はトップシート30と同程度の融点をもつものが好ましい。また、便中の固形分を透過させることを考慮するならば中間シート40に用いる繊維の繊度は5.0〜7.0dtexであるのが好ましいが、トップシート30における液残りが多くなる。これに対して、中間シート40に用いる繊維の繊度が1.0〜2.0dtexであると、トップシート30の液残りは発生し難いが、便の固形分が透過し難くなる。よって、中間シート40に用いる不織布の繊維は繊度が2.0〜5.0dtex程度とするのが好ましい。
【0031】
図示の形態の中間シート40は、吸収要素50の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の前後方向長さは、おむつの全長と同一であるのが好ましい。
【0032】
(立体ギャザー)
トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)する側部立体ギャザー60、60を設けるのは好ましい。
【0033】
この側部立体ギャザー60は、実質的に幅方向に連続するギャザーシート62と、このギャザーシート62に前後方向に沿って伸長状態で固定された弾性伸縮部材63とにより構成されている。このギャザーシート62としては撥水性でかつ通気性の不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材は、
図1及び
図2に示すように各複数本設ける他、各1本設けることでもよい。
【0034】
ギャザーシート62の内面は、トップシート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、液不透過性シート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装バックシート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されている。
【0035】
脚周りにおいては、側部立体ギャザー60の固着始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部ではトップシート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が弾性伸縮部材63の収縮力により起立するようになる。おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして弾性伸縮部材63の収縮力が作用するので、弾性伸縮部材63の収縮力により側部立体ギャザー60が起立して脚周りに密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
【0036】
(平面ギャザー)
各サイドフラップ部SF,SFには、ギャザーシート62の固着部分のうち固着始端近傍の幅方向外側において、ギャザーシート62と液不透過性シート11との間に、糸ゴム等からなる脚周り弾性伸縮部材64が前後方向に沿って伸長された状態で固定されており、これにより各サイドフラップ部SF,SFの脚周り部分が平面ギャザーとして構成されている。脚周り弾性伸縮部材64はサイドフラップ部SFにおける液不透過性シート11と外装バックシート12との間に配置することもできる。脚周り弾性伸縮部材64は、図示例のように各側で複数本設ける他、各側に1本のみ設けることもできる。
【0037】
(吸収要素)
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、フラッフパルプを主体とする吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
【0038】
(吸収体)
吸収体56は、フラッフパルプを主体とするほか、繊維の集合体により形成することもできる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m
2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m
2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
【0039】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56は、高吸収性ポリマー粒子を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
【0040】
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、繊維の集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子が繊維の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子が繊維の集合体を通り抜けて包装シート58上にある形態も排除されるものではない。
【0041】
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0042】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0043】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m
2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m
2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m
2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
【0044】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m
2、特に10〜30g/m
2のものが望ましい。
【0045】
この包装シート58は、
図3に示すように、吸収体56の全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包装するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包装シートの構成要素となる)。必要ならば、吸収体56を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
【0046】
(ファスニングテープ)
図1及び
図2に示されるように、ファスニングテープ13は、おむつの側部に固定されたテープ取付部13C、及びこのテープ取付部13Cから突出するテープ本体部13Bをなすシート基材と、このシート基材におけるテープ本体部13Bの幅方向中間部に設けられた、腹側に対する係止部13Aとを有し、この係止部13Aより先端側が摘み部とされたものである。ファスニングテープ13のテープ取付部13Cは、サイドフラップ部における内側層をなすギャザーシート62及び外側層をなす外装バックシート12間に挟まれ、かつホットメルト接着剤により両シート62,12に接着されている。また、係止部13Aはシート基材に接着剤により剥離不能に接合されている。
【0047】
乳幼児用おむつにおいては、テープ取付部13Cの寸法のうち、おむつの幅方向の長さは10〜50mm、特に20〜40mmであるのが好ましく、前後方向長さは、20〜100mm、特に40〜80mmであるのが好ましい。また、テープ本体部13Bの寸法のうち、おむつの幅方向の長さは30〜80mm、特に40〜60mmであるのが好ましく、前後方向の長さ(高さ)は20〜70mm、特に25〜50mmであるのが好ましい。なお、ファスニングテープ13の一部または全部が例えば略テーパ形状をなし、前後方向長さや幅方向長さが一定でない場合は、上記数値範囲は平均値にて定める。ファスニングテープ13の形状は、矩形形状などの左右対称形状でもよいが、幅広の取り付け部分と細長状の先端側部分からなる凸型形状であると、先端側部分の摘み部が摘みやすく、かつ左右の取付部間の張力が広範囲に作用するため、好ましい。
【0048】
係止部13Aとしては、メカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材(雄材)が好適である。フック材は、その外面側に多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。もちろん、ファスニングテープ13の係止部として粘着材層を設けることもできる。
【0049】
また、テープ取付部からテープ本体部までを形成するシート基材としては、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材を用いることができるが、繊度1.0〜3.5dtex、目付け20〜100g/m
2、厚み1mm以下のスパンボンド不織布、エアスルー不織布、又はスパンレース不織布が好ましい。
【0050】
おむつの装着に際しては、背側のサイドフラップ部SFを腹側のサイドフラップ部SFの外側に重ねた状態で、ファスニングテープを腹側F外面の適所に係止する。ファスニングテープ13の係止箇所の位置及び寸法は任意に定めることができる。乳幼児用おむつにおいては、係止箇所は、前後方向20〜80mm、幅方向150〜300mmの矩形範囲とし、その上端縁と腹側上縁との高さ方向離間距離を0〜60mm、特に20〜50mmとし、かつ製品の幅方向中央とするのが好ましい。
【0051】
ファスニングテープ13は、背側のエンドフラップ部EFと吸収要素50の境界線上にファスニングテープ13のテープ取付部13Cが重なるように取り付けられていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13の取り付け部分間に働く張力により、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。また、ファスニングテープ13の取り付け部分が、おむつの背側端部(後端部)と離れすぎていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13のテープ取付部13C間に働く張力がおむつの背側端部にまで及ばないため、おむつの背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすい。従って、背側のエンドフラップ部EFの前後方向長さは、ファスニングテープ13のテープ取付部13Cの前後方向長さと同じか又は短いことが好ましい。
【0052】
(ターゲットシート)
腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所には、係止を容易にするためのターゲット有するターゲットシート12Tを設けるのが好ましい。ターゲットシート12Tは、係止部がフック材13Aの場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなるシート基材の表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート基材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。 また、腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装バックシート12が不織布からなる場合であって、ファスニングテープ13の係止部がフック材13Aの場合には、ターゲットシート12Tを省略し、フック材13Aを外装バックシート12の不織布に絡ませて係止することもできる。この場合、ターゲットシート12Tを外装バックシート12と液不透過性シート11との間に設けてもよい。
【0053】
(エンドフラップ部)
エンドフラップ部は、吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分であり、前側の延出部分が腹側エンドフラップ部EFであり、後側の延出部分が背側エンドフラップ部EFである。
【0054】
背側エンドフラップEFの前後方向長さは、前述の理由によりファスニングテープ13の取り付け部分の前後方向長さと同じか短い寸法とすることが好ましく、また、おむつ背側端部と吸収要素50とが近接しすぎると、吸収要素50の厚みとコシによりおむつ背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすいため、10mm以上とすることが好ましい。
【0055】
腹側エンドフラップ部EF及び背側エンドフラップ部EFの前後方向長さは、おむつ全体の前後方向長さLの5〜20%程度とするのが好ましく、乳幼児用おむつにおいては、10〜60mm、特に20〜50mmとするのが適当である。
【0056】
(背側伸縮ウエストシート)
図示形態では、両ファスニングテープ13間に、幅方向に弾性伸縮する帯状の背側伸縮ウエストシート70が設けられ、おむつ背側部におけるフィット性を向上させている。背側伸縮ウエストシート70の両端部は両ファスニングテープ13の取り付け部分と重なる部位まで延在されているのが好ましいが、幅方向中央側に離間していても良い。背側伸縮ウエストシート70の前後方向寸法は、ファスニングテープ13の取り付け部分の前後方向寸法と概ね同じにするのが適当であるが、±20%程度の寸法差はあってもよい。また、図示のように背側伸縮ウエストシート70が背側エンドフラップ部EFと吸収要素50の境界線と重なるように配置されていると、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。背側伸縮ウエストシート70は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から不織布や紙を用いるのが好ましい。この場合、伸縮不織布のような通気性を有するシート状弾性部材を用いることもできるが、
図5に示すように、二枚の不織布等のシート基材71をホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせるとともに、両シート基材71間に細長状(糸状又は紐状等)等の弾性伸縮部材72を幅方向に沿って伸長した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合におけるシート基材71としては、外装バックシート12と同様のものを用いることができる。弾性伸縮部材72の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性伸縮部材72として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの間隔72dで5〜15本程度設けるのが好ましい。
【0057】
ウエストシート70に用いる少なくとも一方のシート基材71として、非高吸水性繊維に高吸水性繊維を混合した不織布を用いると、汗を吸収保持することができるため好ましい。特に、バックシート側に位置するシート基材71により多くの高吸収性繊維を混合した不織布を用いると、肌とおむつ表面にある水分を肌から遠い位置にある高吸収性繊維で強固に保持することができるため好ましい。高吸水性繊維のみを用いると、吸水した高吸収性繊維が膨張してばらけた際にトップシートを介して肌に付着し易くなるおそれや、トップシートが裏側のシートに対してズレ動き易くなり、装着感を悪化させるおそれもあるが、上述のように、高吸水性繊維集合体を高吸水性繊維及び非高吸水性繊維を混合した不織布とすると、高吸水性繊維が吸水しても非高吸水性繊維との絡まり合いによって保持されるため、そのような問題点は発生し難くなる。高吸水性繊維は、公知の高吸水性樹脂(SAP)を繊維の形態としたもの(高吸収性繊維、あるいは超吸収性繊維ともいわれ、市販のものとしては東洋紡株式会社製のランシール(登録商標)Fを例示することができる)を意味する。高吸水性繊維の繊維長は特に限定されず、短繊維であっても長繊維(連続繊維)であっても良い。高吸水性繊維を混合した不織布における繊維間の結合は、繊維の絡み合いによるものの他、繊維交差点の溶着によるものや、接着剤により接着するもの等、適宜採用することができる。非高吸水性繊維としては、通常の不織布に用いられる短繊維又は長繊維とすることができ、特に親水性繊維を用いるか親水化剤を塗布したものを用いると好ましい。繊維の具体例は外装バックシート12やトップシート30の項で述べたものを用いることができる。
【0058】
ウエストシート70は、たとえば基材不織布シート71,71間に伸縮部材72、72…を伸長状態で配置し、少なくとも一方の基材不織布シート71,71の端部への熱溶着により前記伸縮部材を切断し、その伸縮部材を収縮させたものである。
【0059】
基材不織布シート71,71間の接合や、基材不織布シート71に対する伸縮部材の固定のための手段は溶着を用いることもできるが、ホットメルト接着剤を好適に用いることができる。ホットメルト接着剤の塗布パターンとしては、一面に連続的に塗布するスロット塗布や、らせん状のスパイラル塗布、細い糸状に塗布しながら左右方向に空気で振動させるカーテン塗布などを用いることができるが、ホットメルト接着剤は通気性を低下させる要素であるため、塗布パターンはより塗布面積の少ないものが好ましく、従ってスロット塗布よりはカーテン塗布、カーテン塗布よりはスパイラル塗布が好ましい。基材不織布シート71,71間の接合は溶着により、基材不織布シート71に対する伸縮部材の固定はホットメルト接着剤により行うこともできる。
【0060】
また、図示のように弾性伸縮部材72の一部が吸収要素50を横断するように配置すると、吸収要素50のフィット性が向上するため好ましいが、この場合は、弾性伸縮部材72が吸収要素50と重なる部分の一部又は全部を、切断等の手段により収縮力が働かないようにすると、吸収要素50の背側端部が幅方向に縮まないため、フィット性がさらに向上する。
【0061】
なお、弾性伸縮部材72は、シートの長手方向(おむつの幅方向)にシート基材71の全長にわたって固定されていてもよいが、おむつ本体への取り付け時の縮みやめくれ防止のため、シートの前後方向(おむつの幅方向)端部の5〜20mm程度の範囲においては、収縮力が働かないように、または弾性伸縮部材72が存在しないようにするとよい。
【0062】
背側伸縮ウエストシート70は、図示形態では、液不透過性シート11の幅方向両側ではギャザーシート62と外装バックシート12との間に挟まれ、且つ液不透過性シート11と重なる部位では、液不透過性シート11と吸収要素50との間に挟まれるように設けられているが、液不透過性シート11と外装バックシート12との間に設けても良いし、外装バックシート12の外面に設けても良く、またトップシート30と吸収要素50との間に設けてもよい。また、背側伸縮ウエストシート70はトップシート30の上に設けても良く、この場合、液不透過性シート11の幅方向両側ではギャザーシート62の上に設けても良い。また、外装バックシート12を複数枚のシート基材を重ねて形成する場合には、背側伸縮ウエストシート70全体を、外装バックシート12のシート基材間に設けても良い。
【0063】
(本発明の具体例)
さて、本発明は、使用面側に位置する使用面側シートの構造に特徴を有する。以下、代表的な実施の形態を示してさらに説明する。
【0064】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、
図5〜
図9に示されている。
すなわち、使用面側に位置する不織布からなる第1シートと、この第1シートと対向し
不織布からなる第2シートとを有する使用面側シートを通る、体液を吸収性要素で吸収する吸収性物品に係るものである。
吸収性物品として、テープタイプ使い捨ておむつにおいては、図示のように、使用面側に位置する不織布からなる透液性トップシート30(第1シート)と、この透液性トップシート30(第1シートに相当する。)と対向し不織布からなる中間シート40(セカンドシート;第2シートに相当する。)とを有する使用面側シートの構造に特徴を有する。
【0065】
より具体的には、中間シート40の製品の前後方向両端の少なくとも一方の端部に、横方向に沿うスリット41,41…の開口42,42…が分散状態で多数形成され、中間シート40の製品の前後方向中間部はスリットが形成されておらず、トップシート30は、中間シート40と、適宜形状(
図9の例では平面円形)の散在する接合部Pによって接合されているものである。この接合部Pは、加熱を伴うエンボス加工や超音波溶着等のように素材の溶着により接合する手段を用いて形成する他、ホットメルト接着剤等の接着剤により形成することができる。
また、トップシート30は、着用者の肌に当接する面が柔軟で、肌に与える刺激が少ないという表面特性の観点から、接合部P,P…をつなぐ部分が使用面側に隆起する隆起部30Bを有する。
【0066】
かかる使用面側シートは、たとえば
図6に示す加工によって製造できる。
すなわち、周面に凸部44aを有する凸ロール44と、この凸ロール44に対向し、凸部44aに対応する凹部45aを有する凹ロール45と、この凹ロール45に対向する重合ロール46とを有する設備によって、
(1)前記凸ロール44と前記凹ロール45との間に第1シート素材30Aが通され、第1シート素材30Aに、凸部44aが凹部45a側に入り込むことにより、隆起部30B(突部)が形成された第1素材シート30Bを得て、
(2)この隆起部30B形成段階より後段階で、素材の幅方向に沿うスリット41の形成領域がシート長さ方向に間隔を置いて形成された第2シート素材40Aが、第1シート素材30Aと、凹ロール45外表面に形成された、図示しない、熱融着小突起により熱圧着され、接合部P,P…によって接合される。
ここで、第1シート素材30Aの張力は、小さい状態で上記加工が行われる。
【0067】
ここで、
図6に示すように、スリット加工ロール47A,47Bにより素材の幅方向に沿う、
図5に例示するスリット41の形成領域がシート長さ方向に間隔を置いて形成された第2シート素材40Aは、ニップロール48,49間にドロー差が加えられ、伸長されることにより、
図7に示すように、スリット41,41…が開口し、開口42,42…が形成される。
【0068】
そして、
図8に示すように、スリット41,41…が開口し、開口42,42…が形成されることにより、第2シート素材40Aは長手方向に伸長することになる。この伸長状態で、第2シート素材40Aが、第1シート素材30Aと、凹ロール45外表面に形成された、熱融着小突起により熱圧着され、接合部P,P…によって接合される。
かくして、第2シート素材40Aが、元の素材状態から伸長した状態になることは、製品化状態での第1シート30Bの必要長さに対して、第2シート素材40Aとしては伸長後の長さでよいことになるから、必要な第2シート素材40Aの長さが、相対的に短くなることを意味することになり、資材コストの低減を図ることができる。
【0069】
ところで、スリット41及び開口42の形成条件について何ら限定されるものではないが、次の条件であると好ましい。
【0070】
1)トップシート(第1シート)30は不織布(エアスルー、スパンボンド、ポイントボンドなど)とし、目付けは、15〜60g/m
2とする。より好ましくは、20〜30g/m
2とする。
2)セカンドシート(第2シート)40は不織布(エアスルー、スパンボンド、ポイントボンドなど)とし、目付けは、15〜60g/m
2とする。より好ましくは、30〜40g/m
2とする。
3)トップシートとセカンドシートは、平坦シートでもよいが、先の実施の形態で示すように、エンボス加工で熱接着され、凸凹を形成する。
4)セカンドシート(第2シート)40のみにスリットし、操業中のMD方向の力でスリット41を開孔させる。操業中でなく、別工程でも開口42の形成は可能である。
5)
図5に示す
スリット41の形成範囲Zは、おむつの製品長さを100%とした場合に、20〜35%とする。
6)スリット1つの長さL0は、2〜15mmとし、より好ましくは、5〜10mmとする。
7)スリットが開
口した後の孔の長さLは、1〜15mmとし、より好ましくは、2〜6mmとする。
8) スリットとスリットの間隔(CD方向)dは、3〜15mmとし、より好ましくは、5〜10mmとする。
9) スリットとスリットの間隔(MD方向)Qは、3〜15mmとし、より好ましくは、5〜10mmとする。
10)スリット41、開口42、接合部Pの配置形状は、千鳥模様や、行列状などが好ましい。接合部は、
図12に示す形状及び配置でもよい。適宜、選択できる。
11)開口42は、
図10に示すように、製品の長手方向の一方側端部でもよい。
図11に示すように、製品の長手方向端部で変えることもできる。
12)接合部Pの形状及び配置は、
図12の例であってもよい。
【0071】
本発明又はその実施の形態における、使い捨ておむつでの、作用効果を
図13を参照しながら説明すると、
不織布からなる第1シート(トップシート)30と、この第1シート(トップシート)30と対向し
不織布からなる第2シート(中間シート)40とを有すると、これらの使用面側シートを通して、体液を吸収性要素50に移行させ、そこで吸収体56
が吸収するようなる。
すなわち、第1シート(トップシート)30に受け入れた体液を、第2シート(中間シート)40を介して、素早く吸収体56に移行させて吸収させる性能を発揮する。
【0072】
第2シート(中間シート)40の製品の前後方向両端の少なくとも一方の端部に、横方向に沿うスリット41の開口42が分散状態で多数形成されている。
その結果、
図13に概略を示すように、第2シート(中間シート)40においては、粘性の高い体液であっても、第2シートの開口42を通すことができるので、性状の異なる多様な体液の吸収が可能となる。たとえば、吸収性物品が使い捨ておむつであるとき、水様便及び軟便(以下「水様便等」という。)Sが開口42を透過でき、水溶便等Sの水分を吸収要素側50に移行させ、その固形分については吸収要素の表面部分に留めるようにでき、もって、水様便等Sがあった場合においても、その端部側からの漏れを防止できる。
【0073】
上記例からの推測が働くように、
図14に示す横長孔スリット41Aでもよい。したがって、本発明にいう「スリット」は、この種の横方向に沿う「横長孔」も含むものである。
【0074】
本発明の吸収性物品として、生理用ナプキンなどにおいても適用できるが、使い捨ておむつであるときに、本発明の利点が顕著に表われる。