(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入射側位置合わせおよび前記出射側位置合せの少なくとも一方が、前記被検査物の形状、前記第1の画像、および前記第2の画像を用いた位置合せ、または、前記被検査物に設けられたアライメントマーク、前記第1の画像、および前記第2の画像を用いた位置合せである
請求項7に記載の光導波路検査装置。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット、あるいはインターネットを用いたクラウドザービス等の進展に伴い、通信ネットワークに伝送される情報量は指数関数的に増大している。これらシステムの根幹的ハードウエアである情報処理用の電子回路には、これまでとは桁違いの高機能化、高集積化、低エネルギー化、低価格化が求められている。しかしながら、現状の電子回路技術や半導体製造技術の延長では、これらの要求に応えることは困難である。たとえば、情報処理用の半導体チップでは、信号伝搬の遅延あるいは発熱等の問題により、その動作速度はすでに飽和しつつある。また、信号配線の細線化の影響によるクロストーク、電磁ノイズ等の問題もある。
【0003】
他方、通信ネットワークを構築するための一手段であり、光による情報伝送方式である光ファイバ伝送は、電気信号による情報伝送と比較して低損失、広帯域という特徴がある。光ファイバ伝送では、伝送する情報を載せた電気信号を光信号に変えて送信し、受信した光信号を電気信号に変換する光トランシーバがキーデバイスとして用いられている。
【0004】
経済的な光通信ネットワークを構築するためには、上記光トランシーバも、一層の小型化と、大幅な消費電力の低減が必要である。光トランシーバの小型化、低消費電力化を実現する技術として、近年シリコンフォトニクス技術が注目されてきた。シリコンフォトニクスとは、半導体として広く使われているシリコンを材料に、微細な光導波路を形成し種々の光デバイスと電子回路とを光集積回路として集積化することで、小型高機能の光装置を実現する技術である。
【0005】
光集積回路を構成する各光デバイスの間は高い光結合効率で接続されることが要求されるため、光集積回路の特性検査においては、該光集積回路に含まれる光導波路の光学的特性の測定を高速、高精度に行うことが必須の課題となる。光集積回路の特性検査としては、一例として、光導波路の伝搬損失を計測する導通検査が行われる。伝搬損失の値により、光導波路の励振状態を評価することができる。光導波路の導通検査は、光集積回路の特性検査の中でも最も重要なものである。
【0006】
光導波路のコア径は数10μmと非常に小径であるため、光導波路の導通検査は、光ファイバ調芯装置により行われるのが一般的である。光ファイバ調芯装置は、入射側の光ファイバを用いて光導波路の光入力部に検査光を入射し、光導波路の光出力部からの出射光を出射側の光ファイバにより受光する(非特許文献1)。光ファイバ調芯装置では、自動調芯により数μmの精度にて光ファイバの先端部の位置決めをして、光導波路の導通検査を行っている。
【0007】
図11に従来技術に係る光ファイバ調芯装置(光導波路検査装置)900の一例を示す。光ファイバ調芯装置900の光学系は、防振台の上に配置されたθxyz軸ステージ906、XYZ軸ステージ908、XYZ軸ステージ910、およびサンプル上面観察用照明912を備えている。
【0008】
光ファイバ調芯装置900では、θxyz軸ステージ906上にDUT(Device Under Test:被検査物)が載置され、固定される。
【0009】
入射用ファイバをXYZ軸ステージ908上に載置、固定し、XYZ軸ステージ908を3軸に移動させて、投光部902に配置された入射用ファイバの先端部を光導波路デバイスである被検査物DUTの光導波路(コア、光入力部)に位置合わせ(アライメント)し、検査光を入射させる。また、受光用ファイバをXYZ軸ステージ910上に載置、固定し、XYZ軸ステージ910を3軸に移動させて、受光部904に配置された受光用ファイバの先端部を被検査物DUTの光導波路(コア、光出力部)に位置合わせし、該光導波路からの出射光を受光する。
【0010】
入射用ファイバとしては、通常被検査物DUTのコア径より小さいコア径を有するファイバを選択する一方、受光用ファイバとしては、通常被検査物DUTのコア径より大きいコア径を有するファイバを選択する。投光部902および受光部904の各々には、図示しない接触センサが設けられており、被検査物DUTの光導波路と入射用ファイバの先端部との間の距離、および、被検査物DUTの光導波路と受光用ファイバの先端部との間の距離を、一定距離(たとえば、数10μm)に保って測定精度を維持する。
【0011】
サンプル上面観察用照明912は、被検査物DUTの周辺を照明するとともに被検査物DUTの周辺の画像を取得する部位であり、落射照明用LED914、CCDカメラ916、手動XYZ軸ステージ918を含んで構成されている。
【0012】
また、光ファイバ調芯装置900は、PC(Personal Computer)920、LD(Laser Diode)光源922、パワーメータ924、およびステージコントローラ926を含む制御・解析部を有する。
【0013】
LD光源922は、LDにより検査光を発生する光源であり、LD光源922から出射された検査光は、入射用ファイバを介して、光入力部に導かれる。受光された被検査物DUTからの出射光は、受光用ファイバを介してパワーメータ924に入力されることにより、出射光の光パワー(光量)が測定される。また、θxyz軸ステージ906、XYZ軸ステージ908、およびXYZ軸ステージ910の各ステージは、ステージコントローラ926により駆動、制御される。この際の各ステージの駆動分解能(各軸の移動距離の最小値)は、1μm程度である。
【0014】
PC920が上記光学系および制御・解析部の各部を制御することにより、被検査物DUTと入射用ファイバとの間、および被検査物DUTと受光用ファイバとの間の自動調芯がなされ、光の励振状態の計測、たとえば、被検査物DUTの光導波路の導通検査が実行される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る光学素子としてのハーフミラーセット、照射光学系としての照射光学ユニット、集光光学系としての集光光学ユニット、および光導波路検査装置の一例について詳細に説明する。
【0034】
まず、
図1および
図2を参照して、本実施の形態に係る光導波路検査装置1の全体構成について説明する。
図1は、光導波路検査装置1の光学系の構成を、
図2は、光導波路検査装置1の制御・解析部の構成を、各々示している。
【0035】
図1に示すように、光導波路検査装置1の光学系は、防振台36上に配置された、照射光学ユニット10、集光光学ユニット20、XXθxyz軸ステージ30、XYZ軸ステージ32、およびXYZ軸ステージ34を備えている。
【0036】
詳細を後述する照射光学ユニット10は、主として、光源ヘッド502(
図2参照)からの検査光を、光導波路デバイスである被検査物DUTに入射させる機能を有するユニットである。照射光学ユニット10は、当該光源ヘッド502に接続されるとともに、照射光学ユニット10に内蔵されたCCDカメラ106が撮像した画像の電気信号を伝送するイーサネット(登録商標)のイーサネットカード54(
図2参照)、照射光学ユニット10に内蔵され、被検査物DUTに対する検査光の入射部位付近を照明するLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)光源の電源であるLED電源512(
図2参照)に接続されている。
【0037】
詳細を後述する集光光学ユニット20は、主として、被検査物DUTの光導波路(コア)から出射された検査光を受光する機能を有するユニットである。集光光学ユニット20は、受光した検査光の光パワーを測定するパワーメータ508のパワーメータヘッド506(
図2参照)に接続されるとともに、集光光学ユニット20に内蔵されたCCDカメラ206が撮像した画像の電気信号を伝送するイーサネット(登録商標)のイーサネットカード54、集光光学ユニット20に内蔵され、被検査物DUTから検査光が出力される部位付近を照明するLED光源の電源であるLED電源512(
図2参照)に接続されている。
【0038】
XXθxyz軸ステージ30は、光導波路デバイスである被検査物DUTを載置、固定し、該被検査物DUTを各軸方向に移動させるステージである。XYZ軸ステージ32は、照射光学ユニット10を載置、固定し、照射光学ユニット10を各軸方向に移動させるステージである。XYZ軸ステージ34は、集光光学ユニット20を載置、固定し、集光光学ユニット20を各軸方向に移動させるステージである。XXθxyz軸ステージ30、XYZ軸ステージ32、およびXYZ軸ステージ34の各々は、モータドライバ510(
図2参照)に接続されている。
【0039】
図2に示すように、光導波路検査装置1の制御・解析部50は、PC52、LD電源500、光源ヘッド502、アイソレータユニット504、パワーメータヘッド506、パワーメータ508、モータドライバ510、およびLED電源512を備えて構成されている。
【0040】
LD電源500は、検査光としてのレーザ光を発生する光源ヘッド502に電源を供給するものである。光源ヘッド502から出射された検査光は、戻り光を遮断するアイソレータユニット504を介して、照射光学ユニット10に供給される。LD電源500は、GPIB(General Purpose Interface Bus)を介して、PC52に接続されている。
【0041】
パワーメータ508は、パワーメータヘッド506に入力された集光光学ユニット20からの検査光の光パワーを測定するものであり、GPIBを介して、PC52に接続されている。
【0042】
モータドライバ510は、PC52の制御により、XXθxyz軸ステージ30、XYZ軸ステージ32、およびXYZ軸ステージ34の各々を各軸方向に移動させる。
【0043】
LED電源512は、照射光学ユニット10のLED照明108および集光光学ユニット20のLED照明208に接続され、各LED照明に電源を供給する。
【0044】
PC52は、光導波路検査装置1の全体を統括制御する部位であり、PC本体の他に、各種インタフェースカード、すなわち、CCDカメラ106およびCCDカメラ206に接続するためのイーサネットカード54、LD電源500およびパワーメータ508に接続するためのGPIBカード56、モータドライバを接続するためのモーションコントローラカード58、LED電源512に接続するためのADDA(Analog/Digital、Digital/Analog)カード、および記憶部62を含んでいる。記憶部62には、光導波路検査におけるデータ収集解析ソフトウエア等が記憶されている。
【0045】
以上のように構成された光導波路検査装置1では、LD電源500によって発光量を調整された検査光としてのレーザ光が、アイソレータユニット504を介し、光源ヘッド502から照射光学ユニット10に供給される。すなわち、本実施の形態に係るLD光源は、ファイバ出力タイプとなっている。また、アイソレータユニット504は、光源ヘッド502からレーザ光が出射された後、出射先で反射して再度光源ヘッド502に戻る反射光を防ぐためのものである。アイソレータユニット504を挿入することにより、安定な検査光の供給が可能となるが、本実施の形態において、アイソレータユニット504は必須のものではない。さらに、本実施の形態に係る光導波路検査装置1では、アイソレータユニット504と照射光学ユニット10との間が、シングルモードファイバ(Single Mode Fiber:SMF)で接続されている。
【0046】
また、被検査物DUTから出射され、集光光学ユニット20で受光された検査光は、パワーメータヘッド506で電気信号に変換され、該電気信号をパワーメータ508に入力することにより検査光の光パワーを測定する。本実施の形態に係る光導波路検査装置1では、集光光学ユニット20とパワーメータヘッド506との間が、マルチモードファイバ(Multi Mode Fiber:MMF)で接続されている。
【0047】
つぎに、
図3を参照して、本実施の形態に係る照射光学ユニット10の構成の一例について説明する。
図3に示すように、照射光学ユニット10は、対物レンズ102、ハーフミラーセット104、撮像素子としてのCCD(Charge Coupled Device)カメラ106、LED照明108、コリメートレンズ110、結像レンズ112、およびケーラー照明レンズ114を備えて構成されている。照射光学ユニット10の一端には光ファイバを接続する光コネクタであるFCコネクタ100が設けられている。
【0048】
FCコネクタ100には、他端がアイソレータユニット504に接続されたシングルモードファイバSMFが接続され、該シングルモードファイバSMFを介して光源ヘッド502からの検査光が照射光学ユニット10に供給される。この際、FCコネクタ100に接続されたシングルモードファイバSMFの端面は、コリメートレンズ110のFCコネクタ100側の焦点面に位置するように配置されている。なお、本実施の形態では、光コネクタとしてFCコネクタを用いる形態を例示するが、むろんこれに限られず、他の光コネクタ、たとえばSCコネクタを用いる形態としてもよい。
【0049】
図3に示すように、シングルモードファイバSMFを介して入力された検査光は、コリメートレンズ110によって平行光に変換され、ハーフミラーセット104に入射する。
【0050】
ハーフミラーセット104は、光源ヘッド502からの検査光を被検査物DUT側に反射させると共に、被検査物DUTで反射された検査光をCCDカメラ106の方向に透過させる機能を有する。また、ハーフミラーセット104は、LED照明108から照射された照明光を被検査物DUT側に反射する機能も有している。以上の機能を備えるために、本実施の形態に係るハーフミラーセット104は3枚のハーフミラーを用いて構成されているが、
図3では機能の理解のために2枚のハーフミラーで示している。ハーフミラーセット104の詳細は後述する。
【0051】
ハーフミラーセット104で反射された検査光は、対物レンズ102を介して集光された後、被検査物DUTに照射される。被検査物DUTの入射側の端面T1は、対物レンズ102の焦点の近傍に配置される。そのため、対物レンズ102の焦点面、すなわち端面T1に、シングルモードファイバSMFの端面の像が結像され、その倍率は、コリメートレンズ110の焦点距離と対物レンズ102の焦点距離との比となっている。
【0052】
LED照明108は、LEDを用いて構成された光源であり、LED照明108からの照明光は、ハーフミラーセット104で反射された後、対物レンズ102を介して端面T1に照射され、端面T1を照明する。LED照明108からの照明光は、ケーラー照明レンズ114により、対物レンズ102のCCDカメラ106側主点付近にLED照明端面の像を結像する。この配置により、LED照明108による照明光が、対物レンズ102の焦点面にほぼ均一に照射される。
【0053】
対物レンズ102の焦点面近傍の像、すなわち、被検査物DUTの端面T1とシングルモードファイバSMFの端面の像は、対物レンズ102によって平行光にされた後ハーフミラーセット104を透過し、結像レンズ112に入射される。結像レンズ112を通過した光束(以下、「画像光」という場合がある)は、結像レンズ112の透過側の焦点面に配置されたCCDカメラ106の撮像面上に結像する。
【0054】
CCDカメラ106の撮像面上に結像された画像(以下、当該画像を「アライメント画像」という場合がある)には、シングルモードファイバSMFの端面の像と被検査物DUTの端面T1の像が含まれるため、被検査物DUTの端面T1上でのシングルモードファイバSMFによる照射位置を画像として確認することができる。
【0055】
また、本実施の形態に係る照射光学ユニット10では、FCコネクタ100を含む検査光の入射口に、該入射口を、
図3に示す座標のX−Z平面内で移動させる機構(図示省略)を備えているため、CCDカメラ106で撮像されたアライメント画像の中心に、シングルモードファイバSMFの端面を位置させることができる。したがって、画面の中心に光導波路を配置すれば、該光導波路に光を入射させることができる。シングルモードファイバSMFの端面とアライメント画像の中心との位置合わせは、光導波路検査装置1の使用に先立ち、予め行っておいてもよい。
【0056】
フィルタ挿入ポート116は、入射する検査光の光量を調整するために減衰フィルタを挿入する場合、あるいは検査光の波長を選択するために波長フィルタを挿入する場合等に用いるポートである。同様に、フィルタ挿入ポート118は、画像光の光量を調整するために減衰フィルタを挿入する場合、あるいは画像光の波長を選択するために波長フィルタを挿入する場合等に用いるポートである。なお、本実施の形態に係る光導波路検査装置1において、フィルタ挿入ポート116および118は、必要に応じて設ければよいものであって、必須のものではない。
【0057】
つぎに、
図4を参照して、本実施の形態に係る集光光学ユニット20の構成の一例について説明する。集光光学ユニット20は、照射光学ユニット10に対して検査光の進行方向が異なる以外は、同様の構成となっている。
【0058】
図4に示すように、集光光学ユニット20は、対物レンズ202、ハーフミラーセット204、CCDカメラ206、LED照明208、コリメートレンズ210、結像レンズ212、およびケーラー照明レンズ214を備えて構成されている。集光光学ユニット20の一端には光ファイバを接続する光コネクタであるFCコネクタ200が設けられている。FCコネクタ200には、他端がパワーメータヘッド506に接続されたマルチモードファイバMMFが接続されている。
【0059】
被検査物DUTは、該被検査物DUTの出射側の端面T2が、集光光学ユニット20の対物レンズ202の焦点面近傍に位置するように配置される。端面T2で反射された光は、対物レンズ202によって平行光線に変換され、ハーフミラーセット204に入射する。
【0060】
ハーフミラーセット204で反射して光路を変換された光は、コリメートレンズ210を介して、FCコネクタ200に接続されたマルチモードファイバMMFの端面に入射する。マルチモードファイバMMFの端面はコリメートレンズ210の出射側の焦点面に配置されており、端面T2の像が、対物レンズ202の焦点距離とコリメートレンズ210の焦点距離との比を倍率として、マルチモードファイバMMFの端面上に結像される。以上の構成により、被検査物DUTの光導波路から出射された検査光の光パワーが、パワーメータ508によって測定される。
【0061】
一方、被検査物DUTの端面T2から出射し、対物レンズ202で平行光とされ、ハーフミラーセット204を透過した光は、画像光として結像レンズ212に入射する。結像レンズ212を通過した画像光は、結像レンズ212の透過側の焦点面に配置されたCCDカメラ206に、端面T2の像を結像する。
【0062】
また、本実施の形態に係る集光光学ユニット20では、FCコネクタ200を含む検査光の出射口に、該出射口を、
図4に示す座標のX−Z平面内で移動させる機構(図示省略)を備えているため、CCDカメラ206で撮像されたアライメント画像の中心に、マルチモードファイバMMFの端面を位置させることができる。したがって、画面の中心に光導波路を配置すれば、該光導波路から出射された光をマルチモードファイバMMFに入射させることができる。マルチモードファイバMMFの端面とアライメント画像の中心との位置合わせは、光導波路検査装置1の使用に先立ち、予め行っておいてもよい。
【0063】
LED照明208、ケーラー照明レンズ214、フィルタ挿入ポート216および218の機能は、照射光学ユニット10のLED照明108、ケーラー照明レンズ114、フィルタ挿入ポート116および118と同様なので、説明を省略する。
【0064】
つぎに、
図5および
図6を参照して、本実施の形態に係る光導波路検査装置1における、照射光学ユニット10および集光光学ユニット20と、被検査物DUTとのアライメント(位置合せ)について、より詳細に説明する。
図5は、本実施の形態に係る光導波路検査時の、被検査物DUTと対物レンズ102および202との配置関係を示す斜視図であり、
図6は、CCDカメラ106および206におけるアライメント画像の一例を示す図である。
【0065】
図5に示すように、被検査物DUTは、被検査物DUTの載置状態を補正するためのθxyz軸ステージに加え、被検査物DUTの光導波路の位置合せをするためのX軸ステージを備えたサンプルホルダ(
図5では、「XXθxyz軸ステージ30」と表記)上に設置される。光導波路検査装置1では、XXθxyz軸ステージ30上に載置、固定された被検査物DUTを挟むようにして、照射光学ユニット10および集光光学ユニット20が配置される。
【0066】
先述したように、本実施の形態に係る被検査物DUTは、内部に光導波路(コア)WGを有する光導波路デバイスであり、該光導波路デバイスの両端面T1、T2内に光導波路WGの端面が露出している。本実施の形態に係る光導波路WGに方向性はないが、便宜上、光導波路WGの対物レンズ102と対向する側の端面を「入射面SI」、対物レンズ202と対向する光導波路WGの端面を「出射面SO」と称することとする。
【0067】
つぎに、
図6および
図7を参照して、CCDカメラ106およびCCDカメラ206で撮像されたアライメント画像を用いた、照射光学ユニット10と入射面SIとのアライメント(以下、「入射側アライメント」という場合がある)、および、集光光学ユニット20と出射面SOとのアライメント(以下、「出射側アライメント」という場合がある)について、より詳細に説明する。本実施の形態に係る入射側アライメント、および、出射側アライメントについては、被検査物DUTの外形のエッジを利用してアライメントする方法と、アライメントマークを利用してアライメントする方法と、がある。
【0068】
図6(a)、(b)および
図7(a)を参照して、本実施の形態に係る被検査物DUTのエッジを利用した入射側アライメントについて説明する。
図6(a)は、リブRを有するリブ型光導波路を備えた被検査物DUT1に、照射光学ユニット10をアライメントする場合の例であり、CCDカメラ106により撮像されたアライメント画像の一例を示している。
【0069】
図7(a)は、本実施の形態に係る被検査物DUTのエッジを利用したアライメント処理の流れを示すフローチャートである。
図7(a)に示す本実施の形態に係るアライメント処理は、たとえば、
図7(a)のフローチャートを記述したプログラムを、PC52の図示しないCPUが実行することにより実現される。この場合のアライメント処理プログラムは、たとえば、記憶部62等に予め記憶させておくことができる。しかしながら、これに限られず、本アライメント処理プログラムがコンピュータにより読み取り可能な可搬型の記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等を適用してもよい。
【0070】
図6(a)に示すように、リブRはエッジr1、r2、r3を有し、リブRのX方向の長さ(エッジr1の長さ)がA、エッジr1と入射面SIとの距離がBとなっている。この場合、入射側アライメントは以下の手順により実行する。なお、光導波路デバイスの場合、光導波路(コア)と周囲のクラッドは同種の材料(たとえば、光導波路がSi(シリコン)、クラッドがSiO2(二酸化シリコン))で一体となっているので、画像認識で光導波路を直接認識することは、一般に困難である。
【0071】
図7(a)を参照して、被検査物DUTのエッジを利用したアライメント処理の手順を説明する。
図7(a)(後述する
図7(b)でも同様)に示すアライメント処理では、被検査物DUTがすでにXXθxyz軸ステージ30上のサンプルホルダ(図示省略)にセットされ、照射光学ユニット10および集光光学ユニット20が初期位置に移動しているものとする。
【0072】
まずステップS100で、照射光学ユニット10のオートフォーカス機能により端面T1に焦点を合わせ(Z軸方向の移動)、CCDカメラ106により撮像された画像の画像認識により、エッジr1、r2、r3を検出する(X−Y平面内の移動)。
つぎのステップS102では、距離A、Bを用いて入射面SIの位置を算出する。なお、距離Aの代わりに、エッジr2と入射面SIとの距離A’を用いてもよい。また、距離A、A’、Bの値は、予め記憶部62等の記憶手段に記憶させておいてもよい。
つぎのステップS104では、算出された入射面SIの位置を用いて、光導波路が、CCD106による撮像視野の中央に位置するように照射光学ユニット10を移動させる。
【0073】
つぎのステップS106では、撮像視野の中央と入射面SIの位置とのずれ量を算出する。
つぎのステップS108では、ステップ106で算出したずれ量が、予め定められた許容範囲内であるか否か判定する。当該判定結果が否定判定となった場合にはステップS100に戻ってエッジの検出から繰り返し、肯定判定となった場合には終了する。
【0074】
先述したように、照射光学ユニット10からの検査光の出射位置は予めアライメント画像の中央に位置するように調整されているので、上記入射側アライメント処理によって、入射面SIと検査光の出射位置とがアライメントされる。
【0075】
出射側アライメントについても、上記入射側アライメント処理と同様の処理により行うことができる。この場合は、
図7(a)のステップS102で出射面SOの算出を行い、ステップS104で、集光光学ユニット20を移動すればよい。
【0076】
なお、出射側アライメントは、被検査物DUT1のエッジを使用せず、光導波路から出射する検査光を検出して行うことも可能である。すなわち、
図6(b)に示すように、被検査物DUT1の端面T2における出射面SOから出射する検査光により光点Lが形成される。CCDカメラ206によるアライメント画像の画像処理により、この光点Lを検出し、光点Lの位置がアライメント画像の中央に位置するように集光光学ユニット20を移動させて、出射側アライメントを行うことができる。
【0077】
以上の処理により入射側アライメントおよび出射側アライメントを行った後、パワーメータ508により出射面SOから出射される出射光パワーPoを測定し、照射光学ユニット10から入射面SIに入射される入射光パワーPiとの比Po/Piを算出することにより、被検査物DUT1の光導波路の損失を求めることができる。なお、入射光パワーPiは、照射光学ユニット10と集光光学ユニット20とを直接対向させて(いわゆるバック・ツー・バック接続して)パワーメータ508により光パワーを測定することにより得られる。
【0078】
つぎに、
図6(c)、(d)および
図7(b)を参照して、本実施の形態に係るアライメントマークを使用した入射側アライメントについて説明する。
図6(c)は、アライメントマークを有する光導波路デバイスである被検査物DUT2に、照射光学ユニット10をアライメントする場合の例であり、CCDカメラ106により撮像されたアライメント画像の一例を示している。
【0079】
図6(c)に示すように、被検査物DUT2は2つのアライメントマークM1およびM2を有し、アライメントマークM1とM2との距離はCとされており、アライメントマークM1とM2とは、Y方向上同じ位置に配置されている。また、アライメントマークM1(M2)と入射面SIとのY方向の距離はDとされている。
【0080】
図7(b)を参照して、被検査物DUT2のアライメントマークを利用したアライメント処理の手順を説明する。
【0081】
まずステップS200で、照射光学ユニット10のオートフォーカス機能により端面T1に焦点を合わせ(Z軸方向の移動)、CCDカメラ106により撮像された画像の画像認識により、アライメントマークM1、M2を検出する(X−Y平面の移動)。
つぎのステップS202では、距離C、Dを用いて入射面SIの位置を算出する。なお、距離Cの代わりに、アライメントマークM1と入射面SIとの距離C’を用いてもよい。また、距離C、C’、Dの値は、予め記憶部62等の記憶手段に記憶させておいてもよい。また、本実施の形態ではアライメントマークを2個設ける場合を例示して説明するが、これに限られず、該アライメントマークは、複数のアライメントマークに基づいて光導波路が特定できればよいので、3個以上設けてもよい。
【0082】
つぎのステップS104以降の処理は
図7(a)に示すフローチャートと同様なので、説明を省略する。
【0083】
出射側アライメントについても、上記入射側アライメント処理と同様の処理により行うことができる。この場合は、
図7(b)のステップS202で出射面SOの算出を行い、ステップS104で、集光光学ユニット20を移動すればよい。
【0084】
なお、出射側アライメントは、被検査物DUT2のアライメントマークを使用せず、光導波路から出射する検査光を検出して行うことも可能である。すなわち、
図6(d)に示すように、被検査物DUT2の端面T2における出射面SOから出射する検査光により光点Lが形成される。CCDカメラ206によるアライメント画像の画像処理により、この光点Lを検出し、光点Lの位置がアライメント画像の中央に位置するように集光光学ユニット20を移動させて、出射側アライメントを行うことができる。
【0085】
なお、本実施の形態に係るアライメント処理における画素分解能は使用する対物レンズ102、202の倍率によって変わるが、一例として、20倍で約0.23μm、50倍で約0.093μmである。したがって、この画素分解能でのアライメント処理が可能となっている。しかしながら、画素分解能の値はこれらに限られず、対物レンズ102、202等の光学系を調整することにより、さらに微細な画素分解能とすることができる。
【0086】
また、上記実施の形態では、アライメント画像の中心に入射面SI、出射面SOを合わせる形態を例示して説明したが、これに限られず、アライメント画像のいずれの位置に合わせてもよい。その場合には、予め当該位置に、照射光学ユニット10のシングルモードファイバSMFの端面の位置を合わせ、集光光学ユニット20のマルチモードファイバMMFの端面の位置を合わせておけばよい。
【0087】
つぎに、
図8ないし
図10を参照して、本実施の形態に係るハーフミラーセット104、204について説明する。
【0088】
図3に示すハーフミラーセット104、
図4に示すハーフミラーセット204では、光路の理解のために2枚のハーフミラーで代表して図示しているが、実際には、
図9および
図10に示すように、3枚のハーフミラーHM1、HM2、およびHM3で構成されている。これは、ハーフミラーがもつ偏光依存性を回避するためである。以下本実施の形態に係るハーフミラーセットにおける偏光依存性の回避について、より詳細に説明する。
【0089】
図8は、単体のハーフミラーの反射率Rの偏光ごとの波長依存性(
図8では、「λ」と表記)を示しており、
図8に示すようにP偏光、S偏光によって反射率Rの値、およびその波長依存性が異なる。透過率についても、同様に偏光依存性がある。つまり、単体のハーフミラーでは、偏光方向によって反射率、あるいは透過率が変化するので、たとえば、ハーフミラーを介した光の光パワーを測定する場合に、一定の光パワーであるにもかかわらず偏光方向が変化すると光パワーが変わってしまう。
【0090】
本実施の形態に係る照射光学ユニット10あるいは集光光学ユニット20でも、内部を通過する光の偏光方向が変動する場合がある。たとえば、照射光学ユニット10に接続されているシングルモードファイバSMFは、温度の変化、設置状態の変化等により、シングルモードファイバSMF内の偏光特性が変わることが知られている。
【0091】
したがって、ハーフミラーセット104を単体のハーフミラーで構成をすると、シングルモードファイバSMFからの出射光の偏光特性の変化により、ハーフミラーセット104で反射し被検査物DUTへ入射する入射光の光量が変化してしまう。また、ハーフミラーの透過光についても同じことが言えるので、ハーフミラーセット104を透過してCCDカメラ106に入射する画像光の光量も変化し、たとえば、CCDカメラ106による撮像画像を用いたアライメントの精確さが損なわれるようなことも想定される。
【0092】
そこで、本実施の形態に係るハーフミラーセット104、204では、ハーフミラーセット104、204で反射する光、ハーフミラーセット104、204を透過する光に対して、偏光方向に対する特性が異なるように配置した2個ハーフミラーによるハーフミラー対を配置するようにしている。
【0093】
図9に示すように、本実施の形態に係るハーフミラーセット104および204(ハーフミラーセット104とハーフミラーセット204は同じ構成なので、以下、ハーフミラーセット104で代表して記載する)は、3枚のハーフミラーHM1、HM2、およびHM3を含んで構成されている。
【0094】
ハーフミラーHM1とハーフミラーHM2の組は、FCコネクタ100を介して入射された検査光を対物レンズ102に導くハーフミラー対HMP1である。すなわち、FCコネクタ100を介して入射された検査光は、ハーフミラーHM1で反射された後、再度ハーフミラーHM2で反射され、対物レンズ102に入射される。この際、ハーフミラーHM1とHM2とは、検査光の偏光方向に対する依存性が異なるような角度関係で配置されている。
【0095】
図10(a)、(b)は、上記のハーフミラー対HMP1におけるハーフミラーHM1とHM2との角度関係について、より詳細に説明するための図である。
図10(a)、(b)に示すように、ハーフミラー対HMP1におけるハーフミラーHM1とHM2との角度関係は、まずY−Z平面で見た場合に90°(本実施の形態では、略90°を含む)の角度をなすようにハーフミラーHM1とHM2とを配置した後、さらに、ハーフミラーHM1をY軸を中心に90°(本実施の形態では、略90°を含む)回転させた角度関係となっている。つまり、
図9に示すように、ハーフミラーHM1の軸A1とハーフミラーHM2の軸A2とが、互いにねじれの位置の関係にある。換言すると、
図10(a)、(b)に示すP偏光に対して、ハーフミラーHM1のミラー面は45°(本実施の形態では、略45°を含む)の角度をなし、ハーフミラーHM2のミラー面は0°(本実施の形態では、略0°を含む)の角度をなしている。
【0096】
このような角度関係で配置されたハーフミラーHM1とHM2とでは、反射させる検査光の偏光に対する依存性が逆の関係(
図8におけるP偏光とS偏光との関係)になる。つまり、仮にP偏光に対する反射率Rで反射するような角度でハーフミラーHM1に入射した検査光は、ハーフミラーHM2ではS偏光に対する反射率Rで反射するような角度となっている。そのため、ハーフミラーHM1およびHM2における反射によって、P偏光に対する依存性とS偏光に対する依存性がキャンセル(相殺)され、検査光の合計の反射率は、
図8の平均に相当する反射率を示すことになる。以上のように、本実施の形態に係るハーフミラーセット104では、1回の反射に対してハーフミラー対による反射を行うことにより、ハーフミラーの偏光に対する依存性をキャンセルさせ、偏光に対する依存性を低減させている。その結果、照射光学ユニット10と入射面SIとのアライメント、集光光学系20と出射面SOとのアライメント、出射光パワーPoの測定等が安定して行なわれ、しいては検査時間の短縮、精確な測定に寄与する。
【0097】
図10(c)に示すように、本実施の形態に係るハーフミラーセット104では、さらに、ハーフミラーHM2とHM3とが上記ハーフミラー対HMP1と同様の角度関係で配置されて別のハーフミラー対HMP2が構成されている。つまり、被検査物DUTで反射され、対物レンズ102を介してハーフミラーHM2に入射した検査光は、ハーフミラーHM2を透過した後、さらにハーフミラーHM3を透過しCCDカメラ106に入射する。その際、ハーフミラーHM2とHM3が互いの偏光依存性をキャンセルするような角度関係で配置されている、すなわち、ハーフミラーHM2の軸A2とハーフミラーHM3の軸A3が、互いに上記ねじれの位置の関係にある。このことにより、被検査物DUTで反射してCCDカメラ106に入射する画像光も、経路の途中において透過するハーフミラーの偏光依存性を低減することができる。
【0098】
以上詳述したように、本実施の形態に係る光導波路検査装置によれば、偏光依存性を低減したハーフミラーセットを備えた照射光学ユニットおよび集光光学ユニットを用い、スキャン動作を伴わない、画像認識による被検査物とのアライメント処理を行うようにしたので、光導波路の特性を高速、高精度に測定することができる光学素子、照射光学系、集光光学系および光導波路検査装置が提供される。
【0099】
なお、上記実施の形態では、パワーメータで出射光パワー(光量)を測定する形態を例示して説明したが、これに限られず、アライメント画像を利用して出射光パワーの測定を行ってもよい。すなわち、
図6(b)、(d)に示す集光光学ユニットのアライメント画像において、光点Lの結像画像を画像処理によって切り出し、切り出した部分の総光量を演算することにより、被検査物DUTから出射する検査光の出射光パワーを求めてもよい。また、同様に、端面T1と一緒に結像された、照射光学ユニット10から出射された検査光の結像画像の画像処理によって、入射光パワーを算出することも可能である。