特許第6331213号(P6331213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331213
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】シール製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/08 20060101AFI20180521BHJP
   F16J 15/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   F16J15/08 Q
   F16J15/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-249906(P2013-249906)
(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公開番号】特開2015-105751(P2015-105751A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107320
【弁理士】
【氏名又は名称】高塚 一郎
(72)【発明者】
【氏名】天野 琢也
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−256968(JP,A)
【文献】 特開2008−223972(JP,A)
【文献】 特開2009−074606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J15/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貼り付き防止突起(11)を設けた金属材製の板状部材(1)にゴム状弾性材製のシール部材(2)を成形金型により成形するシール製品の製造方法において、
前記板状部材(1)の周縁の一部に形成した切り欠き部(12)の周縁に前記貼り付き防止突起(11)を設けた前記板状部材(1)を準備し、ついで前記板状部材(1)にゴム状弾性材製の前記シール部材(2)を前記成形金型により成形する際に、前記貼り付き防止突起(11)が前記成形金型により押し潰されると共に、この押し潰された前記貼り付き防止突起(11)の一部が前記切り欠き部(12)に張り出すと共に、前記貼り付き防止突起(11)を前記板状部材(1)の表面より内側に凹ます事により、前記貼り付き防止突起(11)が前記板状部材(1)の表面から突出しない状態を作り出すことを特徴とするシール製品の製造方法。
【請求項2】
前記切り欠き部(12)は、前記貼り付き防止突起(11)が張り出した際に、前記貼り付き防止突起(11)が前記切り欠き部(12)の領域からはみ出さない大きさを備えていることを特徴とする請求項1記載のシール製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールプレートやガスケット等のシール製品の製造方法に関するものである。
また、本発明は、シール製品を製造する工程において使用する、複数の金属材製の板状部材相互の粘着防止を図ったシール製品の製造方法に関するものである。
【0002】
特に、複数の金属材製の板状部材を同時に接着剤液にディッピング(浸漬)して各金属部品の表面に接着剤液を塗布する作業における、板状部材相互の粘着防止を図ったシール製品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
シールプレートやガスケット等のシール製品のように金属上にゴムを成形する製品では、金属とゴムとを接着するために、金属部品である金属環の表面に接着剤を塗布している。
この塗布の方法としては、接着剤の膜性状や作業効率の関係から、ディッピング(浸漬)法(接着剤液層に金属環を浸し、その後、乾燥し、焼き付ける)が多用されているが、複数枚の金属材製の板状部材を同時に接着剤液に浸漬すると、板状部材同士が接着剤液を介して凝集してしまう。
【0004】
この結果、この状態で、乾燥・焼結を行なうと、板状部材同士が接着剤を介して強固に固着してしまう問題を惹起した。
【0005】
そこで、板状部材表面の表面粗さを大きくして板状部材相互の粘着防止を図る試みがなされたが十分ではなかった。(特許文献1)
【0006】
また、板状部材相互の粘着防止を確実に防止する為に、図8図9及び図10に示す様に、板状部材100のシール部材を取り付ける孔130から離れた位置に、貼り付き防止突起110を設ける方法が提案された。
【0007】
しかし、図11図12及び図13に示す様に、図8の板状部材100にシール部材200を成形した後においても、図13に示す様に、貼り付き防止突起110が板状部材100の表面から突出した状態が残存する。
【0008】
この為、この種シール製品を取り付ける相手面に貼り付き防止突起110を収容する為の逃がし穴を形成する必要があり、製造コストが嵩む問題を招来した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−221342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、製造工程において、板状部材相互の粘着防止を確実に防止できると共に、シール製品を取り付ける相手面に貼り付き防止突起を収容する為の逃がし穴を形成する必要が無いシール製品の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明にあっては、貼り付き防止突起を設けた金属材製の板状部材にゴム状弾性材製のシール部材を成形金型により成形するシール製品の製造方法において、前記板状部材の周縁の一部に形成した切り欠き部の周縁に前記貼り付き防止突起を設けた前記板状部材を準備し、ついで前記板状部材にゴム状弾性材製の前記シール部材を前記成形金型により成形する際に、前記貼り付き防止突起が前記成形金型により押し潰されると共に、この押し潰された前記貼り付き防止突起の一部が前記切り欠き部に張り出すと共に、前記貼り付き防止突起(11)を前記板状部材(1)の表面より内側に凹ます事により、前記貼り付き防止突起が前記板状部材の表面から突出しない状態を作り出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明のシール製品の製造方法によれば、押し潰された貼り付き防止突起の一部が切り欠き部に張り出す構成としている為、板状部材相互の粘着防止を確実に防止できると共に、シール製品を取り付ける相手面に貼り付き防止突起を収容する為の逃がし穴を形成する必要が無いと共に、シール製品を取り付ける相手面を傷つける事を確実に回避出来る。
また、請求項2記載の発明のシール製品の製造方法によれば、貼り付き防止突起が張り出した際に、貼り付き防止突起が切り欠き部の領域からはみ出さない大きさを備える構成としている為、シール製品の本来の性能を損なう事が無く、相手ハウジングに逃がし溝を形成する必要が無い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】シール製品の平面図。
図2】本発明に係るシール部材を加硫圧縮成形する前の板状部材の平面図。
図3図2のA−A断面図。
図4図2のB−B断面図。
図5図2の板状部材にシール部材を加硫圧縮成形した後の平面図。
図6図5のC−C断面図。
図7図5のD−D断面図。
図8】従来技術に係るシール部材を加硫圧縮成形する前の板状部材の平面図。
図9図8のE−E断面図。
図10図8のF−F断面図。
図11図8の板状部材にシール部材を加硫圧縮成形した後の平面図。
図12図11のG−G断面図。
図13図11のH−H断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態につい図1乃至図7に基づき説明する。
本発明に係るシール製品の製造方法は、貼り付き防止突起11を設けた金属材製の板状部材1にゴム状弾性材製のシール部材2を成形金型により成形する基本構成を備えている。
【0016】
そして、図2乃至図4に示す様に、最初に、板状部材1の周縁の一部に形成した切り欠き部12の周縁に前記貼り付き防止突起11を設けた板状部材1を準備する。
この切り欠き部12は、図1に示すシール製品の機能に影響を与えない箇所(本実施態様においては、板状部材1の左右両端部)に、シール製品の機能に影響を与えない大きさの円弧状のものを形成してある。
この切り欠き部12の形状及び大きさは、シール製品の機能に影響を与えない範囲のものであれば、各種形状及び大きさのものが選択される。
また、切り欠き部12を設ける箇所も、板状部材1の左右両端部に限らず、シール製品の機能に影響を与えない範囲で適宜選択される。
また、貼り付き防止突起11の数は、粘着を確実に防止する意味で2個以上存在することが好ましい。
【0017】
ついで、図5乃至図7に示す様に、この板状部材1のシール部材取付孔13にゴム状弾性材製のシール部材2を成形金型により成形する。
【0018】
この際に、図5及び図6に示す様に、貼り付き防止突起11が成形金型により押し潰されると共に、この押し潰された貼り付き防止突起11の一部が切り欠き部12側に張り出す事により、貼り付き防止突起11が板状部材1の表面から突出しない状態を作り出すことが出来る。
【0019】
この結果、板状部材1相互の粘着防止を確実に防止できると共に、シール製品を取り付ける相手面に、貼り付き防止突起11を収容する為の逃がし穴を形成する必要が無い。
【0020】
このシール製品の製造方法は、貼り付き防止突起11を設けた板状部材1にシール部材2を成形する前に、板状部材1に接着剤をディッピングにより塗布する工程を備えたシール製品の製造方法において特に有効である。
板状部材1にシール部材2を成形する方法としては、圧縮成形、射出成形、トランスファー成形等が適宜選択して用いられる。
【0021】
また、本実施態様においては、図6に示す様に、貼り付き防止突起11を板状部材1の表面と同一平面と成る様に押し潰したが、貼り付き防止突起11に対応する成形金型表面に突起を設け、貼り付き防止突起11を板状部材1の表面より内側に凹ます態様とする事により、シール製品を取り付ける相手面を傷つける事を確実に回避出来る。
【0022】
ゴム状弾性材製のシール部材2の材質としては、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、EPDM、CR、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等が挙げられ、各種用途に応じて適宜選択して用いられる。
【0023】
また、板状部材1に使用される材料は、ステンレス、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム合板等の金属材料が挙げられ、各種用途に応じて適宜選択して用いられる。
【0024】
また、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係るシール製品の製造方法は、シールプレートやガスケット等のシール製品の製造方法に有効に使用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 板状部材
2 シール部材
11 貼り付き防止突起
12 切り欠き部
13 シール部材取付孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13