(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述のアンテナによるIDタグの読み取り結果は、IDタグの所在がアンテナ直近であるか、或いは通信範囲の限界付近であるかに無関係なもので、アンテナと通信可能なIDタグから得た読み取り結果は全て同列に取り扱っている。したがって、各IDタグとアンテナとの距離を考慮することなく、各IDの読み取り結果に基づいて位置検出を行う状況となっており、位置検出精度は良好と言えなかった。
【0005】
そこで本発明は、対向する物体同士の位置関係を良好な精度で検出可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する位置検出方法は、所定物の面上における各箇所の位置情報と、前記各箇所に設置された無線ICタグのIDとを対応付けて記憶部に保持するタグリーダーが、前記面上の無線ICタグに対する読み取り動作を
、全ての無線ICタグに対して複数回実行し、当該読み取り動作によりIDを識別できた各無線ICタグの識別回数をカウントする第1処理と、前記各無線ICタグのIDに対応する位置情報を記憶部より読み出し、当該位置情報に対して、当該位置情報を示す座標値に該当IDに関してカウントした前記識別回数の値を乗ずることにより重み付けを行い、当該重み付け後の各位置情報に基づいてタグリーダーの位置を算定し、当該算定した位置情報を出力部に出力する第2処理と、を実行する
位置検出方法であって、前記所定物が、互いに対向するシールドマシンのうち一方のシールドマシンの先端部に備わっており、前記タグリーダーが他方のシールドマシンの先端部に備わっており、前記タグリーダーが、前記第1処理および前記第2処理を実行することにより得た当該タグリーダーの位置情報を、前記シールドマシン同士の対向位置の情報として出力部に出力することを特徴とする。
これによれば、無線ICタグとタグリーダーのアンテナとの距離に応じ、各無線ICタグの位置情報を重み付けした上で位置検出の処理に用いることが可能となり、位置検出精度が良好なものとなる。したがって、対向する物体同士の位置関係を良好な精度で検出可能となる。
また、対向するシールドマシン同士の位置関係、すなわち一方のシールドマシンに対する他方のシールドマシンの相対位置を良好な精度で検出可能となる。
【0007】
また、上述の位置検出方法において、前記タグリーダーが、互いに離間する複数のアンテナを備えており、前記第1処理において、前記読み取り動作を各アンテナにより複数回実行し、当該読み取り動作によりIDを識別できた各無線ICタグの識別回数をアンテナ毎にカウントし、前記第2処理において、前記アンテナ毎にカウントした識別回数の値で、前記該当IDに対応する位置情報の重み付けを行って、当該重み付け後の各位置情報に基づいてアンテナの位置情報を算定し、当該算定で得た各アンテナの位置情報に基づいてタグリーダーの位置情報を算定し、当該算定した位置情報を出力部に出力するとしてもよい。
これによれば、タグリーダーのアンテナ特性や電波環境などにより、1つのアンテナについて得た位置情報に所定誤差が含まれる状況であっても、複数のアンテナの位置情報の間で重心位置を求めることでお互いの誤差を相殺し、タグリーダーないし当該タグリーダーの設置物の位置検出精度が更に向上する。
【0009】
また、本発明の位置検出システムは、所定物の面上における各箇所の位置情報と、前記各箇所に設置された無線ICタグのIDとを対応付けて格納した記憶部と、前記面上の無線ICタグに対する読み取り動作を
、全ての無線ICタグに対して複数回実行し、当該読み取り動作によりIDを識別できた各無線ICタグの識別回数をカウントする第1処理と、前記各無線ICタグのIDに対応する位置情報を記憶部より読み出し、当該位置情報に対して、当該位置情報を示す座標値に該当IDに関してカウントした前記識別回数の値を乗ずることにより重み付けを行い、当該重み付け後の各位置情報に基づいてタグリーダーの位置を算定し、当該算定した位置情報を出力部に出力する第2処理を実行する演算部と、を備える
位置検出システムであって、前記所定物が、互いに対向するシールドマシンのうち一方のシールドマシンの先端部に備わっており、前記タグリーダーが他方のシールドマシンの先端部に備わっており、前記タグリーダーが、前記第1処理および前記第2処理を実行することにより得た当該タグリーダーの位置情報を、前記シールドマシン同士の対向位置の情報として出力する出力部を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、対向する物体同士の位置関係を良好な精度で検出可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
−−−全体構造について−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本実施形態の位置検出システムを適用したシールドマシンの概念図であり、
図2は本実施形態の位置検出システムを含む構造を示す側断面図、
図3は本実施形態の位置検出システムを含む構造におけるA−A’面の断面図である。
【0014】
本実施形態における2台のシールドマシン10、11は、掘削対象の地盤1をそれぞれ掘進してトンネル7、8を形成した結果、地中接合部5で対向し、当該地中接合部5にて互いの位置ずれを確認し適宜整合させた上で、各トンネル7、8の接合作業を行うものである。
【0015】
こうしたシールドマシン10、11のうち、シールドマシン11においては、そのガーダ部(不図示)に一端を固定し、カッターヘッド13より前方に掘進可能なボーリングロッド30が設置されている。ボーリングロッド30は、直径が300mm〜350mm程度の円筒状をしており、先端にはカッター32が備わっている。ボーリングロッド30は、フード部とガーダ部の境界にあたる隔壁(いずれも不図示)に設けられた所定の孔を通じて、シールドマシン11の掘進方向の前方に繰り出される。
【0016】
なお、上述のボーリングロッド30による掘進距離は30m〜50m程度である。この距離は、シールドマシン10、11の間で互いの位置ずれが確認された場合に、確認後の掘進で位置ずれを修正可能な距離として定められている。この距離を直線状に掘削するべく、ボーリングロッド30には、レーザー発信器や掘進方向の調整機構が設けられている。すなわちボーリングロッド30は、レーザー発信器から照射されたレーザー光線に沿うように掘進方向を調節しつつ地盤を掘削することで、掘進予定方向に沿って直線状に掘削を進めることができる。
【0017】
また、ボーリングロッド30の先端部分には、地中接合部5にて対向するシールドマシン10の凹状体20に備わるRFID(後述)に対する読み取り動作を行うタグリーダー100が設けられている(
図2)。このタグリーダー100は、3つのアンテナ33〜35と、このアンテナ33〜35とケーブル36を介して結ばれた制御部80を備えている。タグリーダー100においては、制御部80の制御により、所定の発振回路を介して各アンテナ33〜35を駆動し、上述のRFIDに向けた電波を発振させるとともに、RFIDから返信された電波を各アンテナ33〜35を介して受信し、これを所定の復調回路で復調してタグIDの値を得る。なお、タグリーダー100における、RFIDのリーダ装置としての基本的な機能は既存装置と同様である。
【0018】
図3にて示すように、ボーリングロッド30に備わるアンテナ33〜35は、ボーリングロッド30の外周付近に、120度間隔で離間して設けられている。このため、RFIDの識別を各アンテナ33〜35ごと、つまり3箇所について実行することができる。また、タグリーダー100で処理したデータは、ケーブル39を介して、ディスプレイやスピーカー等の外部装置に送られる。
【0019】
一方、シールドマシン10においては、そのフード部とガーダ部の境界にあたる隔壁(いずれも不図示)に、凹状体20が設けられている。この凹状体20は、隔壁の表面から後方側(掘進方向と反対側)に窪ませた有底の筒状構造によって構成されている。凹状体20は、上述のシールドマシン11から繰り出されたボーリングロッド30の先端部分(つまり、タグリーダー100のアンテナ33〜35)を、外周部22で囲まれた領域にて奥部21まで受け入れる。この凹状体20は、シールドマシン11のボーリングロッド30に対応する位置(詳しくはシールドマシン10のカッターヘッド12とシールドマシン11のカッターヘッド13とが地中接合部5にて対向した際に、ボーリングロッド30と面対称となる位置)に、隔壁と一体に設けられている。
【0020】
凹状体20は、円筒状の外周部22と、円板状の奥部21とから構成される。外周部22の開口径すなわち奥部21の直径は、ボーリングロッド30と凹状体20の相対的な位置ずれを考慮してボーリングロッド30の直径よりも十分大きく定められている。本実施形態では、ボーリングロッド30の直径よりも2倍以上大きな直径900mmに定められている。また、外周部22の奥行き長は、ボーリングロッド30の先端部分を収納できる長さ(例:1000mm〜1200mm程度)に定められている。
【0021】
また、凹状体20には地盤1の掘削で生じた土砂6が充填されている。充填された土砂6は、シールドマシン10のカッターヘッド12が回転しても流動せずに凹状体20の内部空間に留まる。このため、凹状体20内の土砂6は、シールドマシン10における地盤1の掘削時においてカッターヘッド12で流動する切羽2の土砂から基板40を保護する充填物として機能する。したがってボーリングロッド30は、その前端に設けられたカッター32により、凹状体20に充填された土砂6を掻き分けて前進することになる。凹状体20において、土砂6に代えて適宜な樹脂を充填するとしてもよい。
【0022】
なお、上述したボーリングロッド30および凹状体20に関する各構造、およびそれらのシールドマシンに対する取り付け構造などについては、本願の発明者らによる既存の出願内容(特許文献2参照)と同様である。
【0023】
また、
図2に示すように、凹状体20における奥部21の内側表面には、当該奥部21の中心位置46を基点として、円形状の基板40が取り付けられている。この基板40は、
図4に拡大して示すように、複数のRFID41が、例えばマトリクス状(行列状)に所定ピッチ(例:50〜70mmピッチ)で設置された板状部材である。
図4にて示す例では、基板40上に、「0」〜「240」のすなわち241個のRFID41が設置されている。
【0024】
なお、説明の便宜上、各RFID41を中心にした、基板40上での所定の矩形領域を単位区画42として図示している。この単位区画42はあくまで概念的なものであり、中心にあるRFID41に関し、タグリーダー100により識別可能であったか否かを領域別にわかりやすく示すためのものである。
【0025】
図4の例であれば、基板40に対して接近したボーリングロッド30に備わるアンテナ33〜35のうち、アンテナ33は、「74」、「75」、「91」〜「93」、「108」、「109」の各RFID41の単位区画を通信範囲43におさめて識別可能、アンテナ34は、「69」〜「71」、「86」〜「88」、「104」の各RFID41の単位区画を通信範囲44におさめて識別可能、アンテナ35は、「156」〜「158」、「173」〜「175」の各RFID41の単位区画を通信範囲45におさめて識別可能である。
【0026】
なお、基盤40上に取り付けられたRFID41は、既存のRFIDであり、それぞれに固有のタグIDをメモリに記憶し、タグリーダー100のアンテナ33〜35からの電波により電力を得て動作して、タグIDの値を返信する機能を備えている。
【0027】
−−−位置検出システムの構成−−−
続いて、位置検出システムたるタグリーダー100の構成例について説明する。
図5は、本実施形態のタグリーダー100を含む全体構成図である。
図1に示すタグリーダー100は、対向する物体同士の位置関係を良好な精度で検出可能とする情報処理装置である。既に述べたように、タグリーダー100には、制御部80と、アンテナ33〜35が備わっている。このうち、制御部80のハードウェア構成は以下の如くとなる。
【0028】
制御部80は、ハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶装置で構成される記憶部101、RAMなど揮発性記憶装置で構成されるメモリ103、記憶部101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行することにより装置自体の制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPU104(演算部)、ユーザの入力装置140からのキー入力や音声入力をケーブル39を経て受け付ける入力インターフェイス105、ディスプレイ等の出力装置150にケーブル39を経て処理データを出力する出力インターフェイス106、ケーブル36を介してアンテナ33〜35との通信処理を担う通信部107を備える。なお、記憶部101内には、本実施形態のタグリーダー100として必要な機能を実装する為のプログラム102と、タグテーブル125、および検知結果テーブル126が少なくとも記憶されている。
【0029】
続いて、本実施形態のタグリーダー100が備える機能部について説明する。以下に説明する機能部は、タグリーダー100がプログラム102を実行することで実装される機能部である。タグリーダー100は、以下に説明する第1処理部110および第2処理部111を備えている。そのうち第1処理部110は、基板40上のRFID41に対する読み取り動作を複数回実行し、当該読み取り動作によりタグIDを識別できた各RFID41の識別回数をカウントするものとなる。また、この第1処理部110は、上述の読み取り動作によりタグIDを識別できた各RFID41の識別回数をアンテナ33〜35毎にカウントし、このカウント値を記憶部101における検知結果テーブル126に格納する機能を備えている。
【0030】
一方、上述の第2処理部111は、各RFID41のタグIDに対応する座標値(位置情報)を、記憶部101のタグテーブル125より読み出し、当該座標値に対して、該当タグIDに関してカウントした識別回数の値を乗算して重み付けし、当該重み付け後の各座標値の間における重心位置を算定し、当該重心位置の情報を、当該タグリーダー100が設置されたボーリングロッド30の中心位置の座標値として出力インターフェイス106を介して出力装置150に出力するものとなる。また、この第2処理部111は、上述のように第1処理部110がアンテナ33〜35毎にカウントした識別回数の値を、該当タグIDに対応する座標値に乗算して上述同様の重み付けを行って、当該重み付け後の各座標値の間における重心位置を該当アンテナの位置として算定し、当該算定で得た各アンテナの位置の間の重心位置を算定して、当該算定した重心位置を、ボーリングロッド30の中心位置の座標値として出力インターフェイス106を介して出力装置150に出力する機能を備えている。
【0031】
−−−タグリーダーが利用するテーブル類−−−
次に、本実施形態のタグリーダー100が用いるテーブルにおけるデータ構造例について説明する。
図6は、本実施形態におけるタグテーブル125のデータ構造例を示す図である。タグテーブル125は、基板40上に設置された各RFID41のタグID1251と、基板40上における該当RFID41の設置箇所の座標値1252とを対応付けたレコードの集合体となっている。このタグテーブル125における各RFID41の座標値1252は、基板40上をxyの座標平面とみなし、所定箇所を原点とした場合の座標値となる。
図6に示すタグテーブル125の例では、
図2に例示した基板40におけるRFID41のうちタグID「112」のRFID41の位置を原点座標として、紙面上を右に水平なx軸が延び、紙面上を上下に垂直なy軸が延びているものとする。
【0032】
図7は本実施形態における検知結果テーブル126のデータ構造例を示す図である。また、タグリーダー100が利用するテーブルのうち、検知結果テーブル126は、RFID41に対する読み取り動作によりタグIDを識別できた各RFID41の識別回数(いずれかのアンテナ33〜35により識別した)の値を、該当RFID41からの応答を受信したアンテナ33〜35の識別情報と共に上述の第1処理部110が格納したテーブルである。この検知結果テーブル126は、タグID1261をキーとして、該当するRFID41に関する識別回数1262、および、該当タグIDを含む応答をRFID41から受信したアンテナの識別情報1263が対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0033】
−−−位置検出方法の実行手順−−−
以下、本実施形態における位置検出方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する位置検出方法に対応する各種動作は、位置検出システムたるタグリーダー100が実行するプログラム102により実装される各機能部110、111が担う。プログラム102は、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0034】
図8は本実施形態における位置検出方法の処理手順例を示すフロー図である。ここで、シールドマシン10、11が地中接合部5にて互いに接近し、互いの相対位置確認と位置ずれ調整動作のため一定距離で対向して掘進を停止しているものとする。また、シールドマシン11内の後方或いは地上施設など所定場所に所在する担当者が、入力装置140を操作して本実施形態の位置検出処理の実行をタグリーダー100に指示してきたとする。
【0035】
この場合、タグリーダー100における第1処理部110は、上述の入力装置140からの指示を入力インターフェイス105で受信し(s100:y)、これを受けてRFID41に対する所定回数の読み取り動作を開始する。ここでは読み取り動作を5回行うものとする。
【0036】
また、タグリーダー100の第1処理部110は、基板40上の各RFID41に対する読み取り動作が1回終了する毎に、メモリ103ないし記憶部101に読み取り動作の実施回数を記憶するものとする。そこで第1処理部110は、自身で記憶している読み取り動作の実施回数が5回に達しているか判定する(s101)。
【0037】
読み取り動作の実施回数が5回に達している、すなわち全5回の読み取り動作が全て完了している場合(s101:y)、第1処理部110は処理をステップs105に進める。一方、読み取り動作の実施回数が5回に達していない、すなわち全5回の読み取り動作がまだ完了していない場合(s101:n)、第1処理部110は、制御部80に指示を出し、各アンテナ33〜35から電波を発振して、基板40上の各RFID41に対する読み取り動作を実行する(s102)。
【0038】
このRFID41に対する読み取り動作は、タグテーブル125におけるタグID1251のリスト順に行う。例えば、タグテーブル125における最初のレコードが含むタグID「0」のRFID41に対し、各アンテナ33〜35から読み取り電波を発振して読み取り動作を実行し、次に、タグテーブル125における次のレコードが含むタグID「1」のRFID41に対し同様に読み取り動作を実行し、といった具合にタグテーブル125の全レコードに対応して読み取り動作を繰り返す。タグテーブル125の全レコード、すなわち基板40上の各RFID41の全てに対する読み取り動作を1回行った時点で、ステップs101での判定対象である読み取り動作の実施回数は「1」回となる。
【0039】
各アンテナ33〜35が発振した読み取り電波は、対向する基板40上に向かい、各アンテナ33〜35の各通信範囲43〜45にあるRFID41に到達する。読み取り電波は、RFID41毎に応答を求めて発振されるものであるため、通信範囲43〜45のいずれかの内に、該当するRFID41が無い場合、RFID41からの応答は無い。他方、該当するRFID41が通信範囲43〜45のいずれかの内に存在した場合、該当RFID41からタグIDを含む応答電波が返信されることになる。
【0040】
こうしてタグリーダー100の第1処理部110は、上述の読み取り動作の結果として、RFID41が応答したタグIDの値を、各アンテナ33〜35を介して取得し、タグIDの応答を得た各RFID41の識別回数をアンテナ33〜35毎にカウントする(s103)。第1処理部110は、このカウント値を対応アンテナの識別情報と対応付けて記憶部101の検知結果テーブル126に格納(s104)すると共に、処理を上述のステップs101に戻し、全5回の読み取り動作が完了するまでステップs102〜s104を繰り返し実行する。
【0041】
図7に示す検知結果テーブル126の例では、タグID「69」についてアンテナ34により「1」回、タグID「70」についてアンテナ34により「4」回、タグID「71」についてアンテナ34により「1」回、タグID「74」についてアンテナ33により「2」回、タグID「75」についてアンテナ33により「3」回、識別できたことが示されている。
【0042】
上述のように、第1処理部110によるステップs102〜s104が全5回分完了したならば(s101:y)、タグリーダー100の第2処理部111は、検知結果テーブル126における、アンテナ33〜35毎にカウントした各RFID41の識別回数の値を、タグテーブル125における該当タグIDに対応する座標値に乗算して重み付けを行う(s105)。
【0043】
例えば、アンテナ34で検知された、タグID「69」に関する識別回数「1」を、タグID「69」に対応する座標値(45、15)に乗算し、重み付け後の座標値を(45、15)と算定する。同様に、タグID「70」に関する識別回数「4」を、タグID「70」に対応する座標値(50、15)に乗算し、重み付け後の座標値を(200、60)と算定する。同様に、タグID「71」に関する識別回数「1」を、タグID「71」に対応する座標値(55、15)に乗算し、重み付け後の座標値を(55、15)と算定する。同様に、タグID「86」に関する識別回数「3」を、タグID「86」に対応する座標値(45、10)に乗算し、重み付け後の座標値を(135、30)と算定する。同様に、タグID「87」に関する識別回数「5」を、タグID「87」に対応する座標値(50、10)に乗算し、重み付け後の座標値を(250、50)と算定する。同様に、タグID「88」に関する識別回数「2」を、タグID「88」に対応する座標値(55、10)に乗算し、重み付け後の座標値を(110、20)と算定する。同様に、タグID「104」に関する識別回数「1」を、タグID「104」に対応する座標値(50、5)に乗算し、重み付け後の座標値を(50、5)と算定する。
【0044】
第2処理部111は、こうした重み付け後の各座標値の間における重心位置を算定し、該当アンテナの位置を特定する(s106)。上述のアンテナ34に関して得た重み付け後の座標値の例であれば、各重み付け後の座標値のx座標値の合算値を、“(45+200+55+135+250+110+50)=845”と算定し、これを、該当タグIDらの総識別回数“1+4+1+3+5+2+1=17”で除算して、“845/17=49.71”と重心位置のx座標を算定する。また、各重み付け後の座標値のy座標値の合算値を、“(15+60+15+30+50+20+5)=195”と算定し、これを上述の総識別回数“17”で除算して、“195/17=11.47”と重心位置のy座標を算定する。こうしてアンテナ34に関して重心位置の座標値(49.71、11.47)を、アンテナ位置の情報と特定する。
【0045】
第2処理部111は、こうした処理を各アンテナ33〜35について実行して、
図9に示すように、アンテナ毎に計算上のアンテナ位置33A〜35Aを特定できる。
図9には、アンテナ33〜35が基板40に対して読み取り電波を発振した際の通信範囲43〜45と、この通信範囲43〜45にあって応答を行ったRFID41と、その該当単位区画42(紙面上、グレーで着色してある)、並びに、識別回数の値(単位区画42内で“(3)”などと括弧書きしてある)の関係を示している。
図9の例であれば、各アンテナ33〜35の計算上求めた位置33A〜35Aは、実際のアンテナ位置33B〜35Bを少ない誤差で精度良く算出していることを示している。
【0046】
続いて、第2処理部111は、ステップs106で得た計算上の各アンテナ33〜35の位置、すなわち座標値から、各アンテナ33〜35の間の重心位置を算定して、ボーリングロッド30の中心位置46A(
図9)を特定する(s107)。例えばステップs106において、アンテナ33に関して得た座標値が(73.10、11.25)、アンテナ34に関して得た座標値が(49.71、11.47)、アンテナ35に関して得た座標値が(62.90、−12.51)、であったならば、x座標に関しては、“(73.10+49.71+62.90)/3=61.90”、y座標に関しては、“(11.25+11.47+(−12.51))/3=3.40”と算定し、この(61.90、3.40)を、ボーリングロッド30の中心位置46Aの座標値と特定する。
【0047】
また、第2処理部111は、それまでの測量等で認識していたシールドマシン10における凹状体奥部21の中心位置46と、ステップs107で求めた計算上のボーリングロッド30の中心位置46Aとの差異を、シールドマシン10、11間の相対的な位置ずれ量として算定し、これを出力インターフェイス106を介して出力装置150に出力し(s108)、処理を終了する。
図9の例であれば、シールドマシン10における凹状体奥部21の中心位置46と、ステップs107で算定したボーリングロッド30の中心位置46Aとの間で相対的な位置のずれがあることがわかる。シールドマシン10、11間での相対的な位置ずれの量については、第2処理部111が、
図10に示す表示画面1000のように、基準位置すなわち設計上の位置からのずれ量を、鉛直方向(y軸方向)と水平方向(x軸方向)とについてそれぞれ表示する。
【0048】
担当者は、この画面1000を閲覧して位置ずれについて認識したならば、ボタン1012を押下して当該画面1000を閉じ、上述の位置ずれを解消すべくシールドマシン10、11の掘進方向を設定し掘削工程を再開することとなる。
【0049】
本実施形態によれば、対向する物体同士の位置関係を良好な精度で検出可能となる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。