特許第6331283号(P6331283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331283
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】振動搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   B65G47/14 101A
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-161517(P2013-161517)
(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公開番号】特開2015-30587(P2015-30587A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】迎 邦暁
(72)【発明者】
【氏名】清水 陽裕
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−094617(JP,A)
【文献】 特開平11−217116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
B65G 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を支持する走行面を有するトラックと、前記トラックを振動させることによって前記搬送対象物を前記走行面上の所定の搬送方向に搬送させる加振手段とを備えた振動搬送装置であり、
前記走行面の所定領域を搬送する前記搬送対象物のうち所定方向における寸法が正規の寸法でない不良搬送対象物を判別する寸法不良判別部と、
前記寸法不良判別部によって判別した前記不良搬送対象物を前記走行面の所定領域から排除する排除部とをさらに備え、
前記寸法不良判別部は、前記不良搬送対象物を排除可能な開口部を備え、且つ前記走行面の所定領域に対して所定位置から照射した光の反射光を検知するか否か又は反射光量によって、前記搬送対象物のうち所定方向における寸法が正規の寸法でない不良搬送対象物を判別するものであり、
前記排除部は、前記開口部を通じて前記不良搬送対象物を排除するものであることを特徴とする振動搬送装置。
【請求項2】
前記走行面の所定領域に対して所定位置から照射する光がレーザ光線である請求項1に記載の振動搬送装置。
【請求項3】
前記排除部が、前記不良搬送対象物にエアを吹き付けて前記不良搬送対象物を前記走行面の所定領域から排除するものである請求項1又は2に記載の振動搬送装置。
【請求項4】
前記排除部が、前記不良搬送対象物を前記走行面に復帰不能な位置に排除するものである請求項1乃至3の何れかに記載の振動搬送装置。
【請求項5】
前記開口部が、前記トラックにおいて前記走行面が存在しない方向に開放されたものである請求項1乃至4の何れかに記載の振動搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動するトラックの走行面に搬送対象物を支持した状態で搬送しながら各搬送対象物の搬送姿勢を整えることが可能な振動搬送装置において、搬送対象物のうち成型不良などにより所定方向の寸法が正規の寸法ではない不良搬送対象物を判別し、トラック上から排除可能な振動搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、螺旋状又は直線状をなすトラックに沿ってワーク等の搬送対象物を搬送させる振動搬送装置が知られている。振動搬送装置には、トラックにおける走行面に沿って搬送される搬送対象物の姿勢を揃えて次工程へ搬送すべく、搬送対象物の姿勢を選別可能な姿勢判別装置が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、トラックにおける走行面に開口部を形成し、走行面に沿って搬送される搬送対象物に対して開口部から照射し、反射光の受光量によって搬送対象物の姿勢を判別可能に構成した振動搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−51280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような振動搬送装置には、上述したような姿勢選別装置等によって姿勢を揃えながら搬送対象物をトラックの下流端に向かって搬送し、姿勢を揃えて整列させた搬送対象物を次工程に供給するという機能が要求されており、この要求を満たせば十分であると考えられている。
【0006】
ところで、搬送対象物が、例えば成型処理等に伴って寸法誤差が生じ得るものである場合には、正規の寸法であるか否かを判別する必要がある。このようなニーズに応える構成として、従来の振動搬送装置によって姿勢を整えてトラックの終点まで搬送し、振動搬送装置による搬送処理前後の適宜の時点で、寸法が正規であるか否かを判別する処理を専用の装置を用いて行う構成が考えられる。
【0007】
しかしながら、このような構成を採用した場合、振動搬送装置による搬送処理前後の適宜の時点において専用の装置で行う寸法チェック処理が必須であるため、装置数や設置面積が生じるとともに、処理時間短縮化という点においても再考の余地がある。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、トラックの走行面に沿って姿勢を整えながら搬送する搬送対象物の寸法が正規の寸法であるか否かをチェックし、正規の寸法を有する搬送対象物のみを次工程に供給することができるというこれまで着想されることの無かった斬新且つ有用な振動搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、搬送対象物を支持する走行面を有するトラックと、トラックを振動させることによって搬送対象物を走行面上の所定の搬送方向に搬送させる加振手段とを備えた振動搬送装置に関するものである。
【0010】
そして、本発明に係る振動搬送装置は、走行面の所定領域を搬送する搬送対象物のうち所定方向における寸法が正規の寸法でない不良搬送対象物を判別する寸法不良判別部と、寸法不良判別部によって判別した不良搬送対象物を走行面の所定領域から排除する排除部とをさらに備え、寸法不良判別部として、不良搬送対象物を排除可能な開口部を備え、且つ走行面の所定領域に対して所定位置から照射した光の反射光を検知するか否か又は反射光量によって、搬送対象物のうち所定方向における寸法が正規の寸法でない不良搬送対象物を判別するものを適用し、排除部は、開口部を通じて不良搬送対象物を排除するものであることを特徴としている。
【0011】
ここで、本発明において「搬送対象物のうち所定方向」とは、搬送対象物の厚み方向、平面視形状において相互に直交する縦方向と横方向など、搬送対象物の形状に基づき適宜設定可能な方向である。また、「不良搬送対象物」とは、サイズや形状が正規の搬送対象物とは異なったり、部分的な変形や成形不良等により、搬送対象物の所定方向の寸法が正規のものとは異なっている搬送対象物のことを意味している。
【0012】
このような振動搬送装置であれば、寸法不良判別部によって搬送対象物の所定方向における寸法が正規の寸法でない不良搬送対象物を判別し、その不良搬送対象物を排除部によって走行面の所定領域(不良搬送対象物を判別した領域と同じ領域であってもよいし、不良搬送対象物を判別した領域よりも搬送方向下流側の領域であってもよい)から排除するように構成しているため、排除部よりも搬送方向下流側を搬送する搬送対象物を、所定方向の寸法が正規のものだけに限定することができる。このように、本発明によれば、これまで着想されたり、実用化されることのなかった寸法不良判別機能及び不良搬送対象物排除機能を発揮する振動搬送装置を実現することができ、例えば振動搬送装置による搬送処理前後の適宜の時点において専用の装置を用いて搬送対象物の所定方向の寸法をチェックする処理が不要になる。その結果、装置数や設置面積の低減、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0013】
しかも、本発明の振動搬送装置では、寸法不良判別部として、走行面の所定領域に対して所定位置から照射したレーザ光線の反射光を検知するか否か又は反射光量によって、搬送対象物のうち厚み方向における寸法が正規の寸法でない不良搬送対象物を判別するように構成したものを適用することができる。このような寸法不良判別部であれば、例えば、不良搬送対象物は通過不能であって且つ良品搬送対象物は通過可能な高さに設定したトンネル形状や板状、或いは壁状等のストッパをトラックに設けて不良のチェックを行う態様と比較して、ストッパを通過しない不良搬送対象物がストッパに引っ掛かったり、詰まった場合にはその都度、搬送処理を一旦停止してストッパに引っ掛かった不良搬送対象物や詰まった不良搬送対象物をストッパから取り除く処理が不要となり、搬送処理効率が向上し、不良搬送対象物がストッパに繰り返し当たることでストッパの一部欠損や破壊が発生したり、通過が規制されるべき不良搬送対象物の通過を許容することで適切な寸法不良判別処理を行うことができないというおそれを回避することができ、振動搬送装置本来の搬送処理能力を損なうことなく、不良搬送対象物を適切に判別することができる。
【0014】
特に、本発明における寸法不良判別部が、レーザ光線を照射するものであれば、レーザ光線特有の優れた直進性を活かして、要求される高い精度での寸法不良チェックを適切に行うことができる。なお、本発明では、寸法不良判別部としてレーザ光線以外の光線を照射する構成のものを除外するものではない。しかしながら、光の拡散による検知精度の低下を防止・抑制するには、直進性に優れたレーザ光線を照射する構成が好ましい。
【0015】
また、本発明の排除部が、不良搬送対象物にエアを吹き付けて不良搬送対象物を走行面の所定領域から排除するものであれば、例えば、ワイパー等のメカニカルなパーツで不良搬送対象物を走行面の所定領域から排除する態様と比較して、不良搬送対象物を瞬時に走行面から排除することが可能であり、1つの不良搬送対象物を走行面の所定領域から排除するために要する時間の短縮化を図ることができるとともに、ワイパー等のパーツの動作を管理・制御する労力を省くことができる。
【0016】
従来から知られている搬送姿勢選別部を走行面の所定領域に設けた振動搬送装置では、搬送姿勢選別部によって所定の正姿勢ではないと選別された搬送対象物を当該選別処理を実施した位置(選別処理実施位置)よりも搬送方向上流側に戻し、再び選別処理実施位置まで搬送するように構成されている場合がある。これは、正姿勢ではない搬送対象物が2回目以降に選別処理実施位置に到達した場合には、正姿勢となっている可能性があるためであり、つまり、搬送対象物自体に構造上又は機能上に問題がないことを前提としていることに起因する。
【0017】
しかしながら、所定方向の寸法が正規の寸法でない不良搬送対象物は、そのこと自体が所期の機能を発揮しないか、所期の機能を十分に発揮し得ない不良品を意味する場合がある。また、寸法不良判別部による1回目の寸法不良チェックで不良搬送対象物であると判別された搬送対象物は、2回目の寸法不良チェックにおいてもやはり不良搬送対象物であると判別され、このような寸法不良チェックを1つの搬送対象物に対して複数回行うことに何らメリットはなく、いたずらに搬送処理効率の低下を招来し得る。このような観点に着目して、本発明における排除部として、排除部が不良搬送対象物を走行面に復帰不能な位置に排除するように構成したものを適用することが良好である。
【0018】
本発明では、開口部として、トラックにおいて走行面が存在しない方向に開放されたものを適用することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の振動搬送装置によれば、トラックの走行面に沿って搬送される搬送対象物のうち所定方向の寸法が正規の寸法であるか否かを寸法不良判別部でチェックすることができ、正規の寸法ではないと検知した不良搬送対象物を排除部によって走行面から排除して、正規の寸法を有する搬送対象物のみを次工程に供給することができることができ、例えば振動搬送装置による搬送処理前後の適宜の時点において専用の装置を用いて搬送対象物の所定方向の寸法をチェックする処理が不要になり、これまで着想されることの無かった斬新且つ有用な振動搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の振動搬送装置の一実施形態に係るパーツフィーダの平面図。
図2図1の要部を所定角度から見た図。
図3図1の要部を図2とは異なる角度から図。
図4図1におけるa−a線断面を一部省略して模式的に示す図。
図5図3の要部を一部省略して示す拡大図。
図6図5のQ領域拡大図。
図7】同実施形態における寸法不良検知部、排除部及び制御部の相対関係を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態に係る振動搬送装置の一例であるパーツフィーダFは、図1に示すように、搬送対象物を支持する走行面Hを有するトラックTを備え、加振手段(図示省略)によってトラックTを振動させることによって搬送対象物Wを走行面Hに沿って所定の搬送方向に搬送可能なものである。
【0023】
本実施形態では、搬送対象物として、図3に示すように、略直方体状のワークWを適用している。このワークWは、厚み方向に対面するオモテ面W1とウラ面W2のうち、オモテ面W1にのみ開口した凹部を形成した直方体状のケース(例えばセラミック製)を主体とし、凹部内に合成樹脂を充填したものである。
【0024】
このワークWの凹部内に充填した合成樹脂がオモテ面W1にのみ表出している。このような合成樹脂の露出面も含めたワークWのオモテ面W1は、全体的に平滑または略平滑な面である。しかしながら、合成樹脂の充填処理或いは硬化処理の精度如何によっては、合成樹脂全体の厚みが正規の厚みよりも分厚くなったり、部分的な凹凸が生じ得る場合がある。このような寸法不良が生じたワークW(以下では「不良ワークW」と称する)は、正規のワークWと区別する必要がある。
【0025】
また、本実施形態のワークWのうち、ウラ面W2には端子W3が取り付けられている(図3参照)。端子W3は、ケースのウラ面W2に形成した端子取付用凹部に取り付けられ、この取付状態において、ワークWのウラ面W2は略面一となるように設定している。しかしながら、端子W3の取付精度如何によっては、端子W3がウラ面W2よりも出っ張った状態のワークWも存在し得る。このようなワークWも不良ワークとして捉えることができる。
【0026】
本実施形態で用いるワークWは、厚み方向に対面するオモテ面W1及びウラ面W2は何れも平滑または略平滑な面である。また、ワークWのうちオモテ面W1及びウラ面W2以外の各面も全体的に平滑または略平滑な面である。
【0027】
本実施形態に係るパーツフィーダFは、ワークWを収容し整列させて搬送する(整送する)ボウルBと、ボウルBの下方に配置され且つトラックTを含むボウルB全体に振動を発生させる加振手段(図示省略)とを備えた捩じり振動パーツフィーダ、いわゆるボウルフィーダとして構成されている。
【0028】
ボウルBは、周壁における内向き面に設けたスパイラル状に延びるトラックTを備え、加振手段から与えられる振動によりワークWをトラックTに沿って搬送するものである。加振手段は、ボウルBの下方に配置された例えば圧電式発振タイプのものである。もちろん、加振手段として電磁式発振タイプのものを適用してもよい。本実施形態のパーツフィーダFは、図示しないステージ上に適宜の防振部を介在させた状態で加振手段を配置している。そして、ワークWをその姿勢を整えつつ搬送するために、ボウルBに対して高い振動数の捩じり振動を発生させる。これにより、ボウルB内に収納されたワークWは、トラックTの走行面Hに沿って、平面視反時計廻りに搬送されることになる。
【0029】
図1に示すように、ボウルBの底面B1には多数のワークWが収容され、底面B1の周縁部に起点TSを有するトラックTが登り傾斜のスパイラル状に形成されている。本実施形態では、トラックTの終点TEに連続する直線状のトラックTを備えたリニアフィーダ(図示省略)をボウルフィーダFに接続している。トラックTを構成する走行面Hに支持されるワークWは、ワークW自体が受ける捩じり振動による搬送力の径外方向へ向かう成分と走行面Hの傾斜とによって、起点TSから終点TEに向かう搬送方向に沿って搬送される。トラックTの途中には走行面Hの幅を狭める切欠部や溝(図示省略)が形成されており、これら切欠部や溝によって走行面Hを幅一杯に広がって搬送されるワークWのうち内周側のワークWや、走行面H上から重心が外れたワークWを底面B1へ戻し、走行面H上を幅一杯に広がって搬送されるワークWのうち外周側のワークWや、重心が走行面H上にあるワークWを下流側に搬送することができるようにしている。
【0030】
また、トラックTのうち所定部分には、ワークWを所定の姿勢に変換可能な図示しない姿勢変換部(姿勢変換トラック)を設けている。
【0031】
そして、本実施形態に係るボウルフィーダFは、図1乃至図6に示すように、姿勢変換トラックよりも搬送方向下流側に、寸法不良判別部1及び排除部2を設けている。
【0032】
寸法不良判別部1は、走行面Hのうち所定領域に設定した寸法判別領域に対して所定位置から光線L1を照射し、その光線L1の反射光L2を検知するか否か又は反射光量の差異によって、ワークWのうち所定方向(本実施形態では厚み方向)における寸法が正規の寸法でない不良ワークWを判別するものである。本実施形態では、寸法判別領域を、寸法判別トラックT3の寸法判別走行面H1に設定している。
【0033】
寸法判別トラックT3は、図2乃至図6に示すように、寸法判別走行面H1を有する例えばブロック状のものである。寸法判別走行面H1は、断面視ほぼV字状をなすように下端同士をほぼ直角に交差させた寸法判別第1走行面H11及び寸法判別第2走行面H12からなる。本実施形態では、相対的にボウルBの外周側に位置付けられる寸法判別第1走行面H11の勾配を、ボウルBの中心側に位置付けられる寸法判別第2走行面H12よりも緩やかな勾配に設定している。また、ボウルBの径方向における寸法判別第1走行面H11の寸法を、ボウルBの径方向における寸法判別第走行面H1の寸法よりも大きく設定している。これら寸法判別第1走行面H11及び寸法判別第2走行面H12からなる寸法判別走行面Hは、寸法判別トラックT3よりも搬送方向上流側のトラックTの走行面H及び寸法判別トラックT3よりも搬送方向下流側のトラックTの走行面Hに連続している(図1参照)。
【0034】
本実施形態のパーツフィーダFでは、姿勢変換トラックを通過して寸法判別トラックT3に到達したワークWのうちウラ面W2が寸法判別第1走行面H11に対面して接触するとともに、所定の側面W4が寸法判別第2走行面H12に対面して接触した姿勢となるように設定している(図6参照)。
【0035】
すなわち、本実施形態のパーツフィーダFは、搬送方向において寸法判別走行面H1よりも上流側の走行面Hの所定領域に、切欠部や溝等によって走行面Hの幅を部分的に狭くした幅狭部や、ワークWの姿勢を変換する姿勢変換部を設け、これら幅狭部や姿勢変換部を通過したワークWの搬送姿勢を揃え、寸法判別走行面H1に到達するワークWの姿勢が全て同じ姿勢となるように設定している。
【0036】
そして、寸法判別走行面H1に到達したワークWは、ワークW自体が受ける捩じり振動による搬送力の径外方向へ向かう成分と寸法判別第1走行面H11及び寸法判別第2走行面H12に付与された傾斜とによって、ワークWを寸法判別第1走行面H11及び寸法判別第2走行面H12に接した状態、具体的には、ウラ面W2が寸法判別第1走行面H11に接し、且つ所定の側面W4が寸法判別第2走行面H12に接した状態で搬送方向下流側に向かって搬送される。本実施形態の寸法不良判別部1及び排除部2は、この寸法判別トラックT3に関連付けてパーツフィーダFに設けたものである。
【0037】
本実施形態の寸法不良判別部1は、図2乃至図6に示すように、寸法判別走行面H1の上方であって且つ寸法判別走行面H1に対峙する位置から寸法判別走行面H1に設定した寸法判別領域に向かってレーザ光線L1を照射可能な照射部11と、レーザ光線L1が反射する反射部12と、反射部12で反射した光線である反射光L2を検知可能な反射光検知部13とを備えている。各図では、レーザ光線である照射光L1、及びワークWからの反射光L2をそれぞれ鎖線で模式的に示している。なお、図2及び図3では照射光L1ののみを示し、反射光L2は省略している。
【0038】
照射部11は、ボウルBの外であって且つ寸法判別走行面H1よりも高い位置から、ボウルBの中心に向かって斜め下方にレーザ光線L1を照射するものである。このレーザ光線L1は、寸法判別第1走行面H11の傾斜角度と平行な角度でボウルBの中心に向かって照射される例えば直径0.1mm以下の光線L1である。本実施形態では、レーザ光線L1が、寸法判別第1走行面H11にウラ面W2を接触させた姿勢にあるワークWが正規の厚み寸法を有する良品ワークWである場合に、良品ワークWの上向き面(本実施形態ではオモテ面W1)よりも約0.05mmだけ上方を通過するように設定している。このような設定は、振動によって良品ワークWが走行面H(具体的には寸法判別第1走行面H11)から飛び上がる可能性があることを考慮したものであり、想定されるワークWの最大飛び上がり量に相当する走行面H(具体的には寸法判別第1走行面H11)からの最大離間距離よりも上方をレーザ光線L1が通過するようにしている。照射部11からの照射光であるレーザ光線L1の照射位置は、寸法判別第1走行面H11と寸法判別第2走行面H12の下端同士の交点H13から寸法判別第2走行面H12に沿った高さ位置として捉えることができる(図6参照)。レーザ光線L1の照射位置は、ワークWを判別する際の基準となる所定方向の正規の寸法(本実施形態であればワークWの厚み方向の正規の寸法)や加振手段の加振力に起因するワークW自体の振動(最大振幅等)等を考慮して適宜設定することができる。
【0039】
反射部12は、寸法判別走行面H1よりもボウルBの中心側に寄った位置に設けたものである。本実施形態では、寸法判別トラックT3のうち寸法判別走行面H1よりもボウルBの中心側に寄った位置に、寸法判別第1走行面H11と略同じ傾斜角度で且つ照射光の照射方向に沿った寸法判別第1走行面H11の延長線上の面である平滑な反射板固定部T31を形成し、この反射板固定部T31に反射部12を固定している(図2及び図3参照)。反射部12は、反射板固定部T31に接触した状態で固定される固定板部121と、固定板部121からボウルBの中心に向かって所定角度で立ち上がった反射板本体122とを備えている。本実施形態の反射部12は、固定板部121及び反射板本体122を一体に有している。
【0040】
本実施形態の寸法不良判別部1では、照射部11からの照射光であるレーザ光線L1が、寸法判別走行面H1を横切るように通過して反射部12に直接届くように、寸法判別トラックT3のうちレーザ光線L1が通過可能な第1開口スペースS1及び第2開口スペースS2を確保している(図2及び図3参照)。具体的には、寸法判別トラックT3のうち寸法判別走行面H1をボウルBの径方向において挟む所定部分にスリットT33や開口溝T32を形成することで各開口スペース(第1開口スペースS1、第2開口スペースS2)を確保している。本実施形態では、ボウルBの径方向において寸法判別走行面H1の外周側に開口溝T32を形成して第1開口スペースS1を確保するとともに、ボウルBの径方向において寸法判別走行面H1のスリットT33を形成して第2開口スペースS2を確保している。
【0041】
本実施形態では、搬送方向に沿ったスリットT33の開口幅よりも搬送方向に沿った開口溝T32の開口幅を大きく設定している。また、開口溝T32の開口幅は、寸法判別走行面H1上におけるワークWの搬送方向に沿った寸法よりも大きく設定している。これは、後述するように、開口溝T32が排除部2の一部として機能し、開口溝T32を通じてワークWを寸法判別走行面H1から排除できるようにするためである。開口溝T32の一部は寸法判別第1走行面H11の上端部分に到達し、この到達領域が寸法判別第1走行面H11に表出している。つまり、開口溝T32は寸法判別第1走行面H11に連続している(図3参照)。
【0042】
スリットT33は、排除部2の一部として機能することがないため、レーザ光線L1が通過可能であれば開口幅を小さく設定することができる。本実施形態ではスリットT33の開口幅を例えば1mmに設定しているが、この値は適宜変更してもよい。スリットT33の一部は寸法判別第2走行面H12の上端部分に到達し、この到達領域が寸法判別第2走行面H12に表出している。つまり、スリットT33は寸法判別第2走行面H12に連続している(図3参照)。
【0043】
本実施形態では、スリットT33と反射部12の間に、レーザ光線L1を遮るパーツを一切設けていない。したがって、スリットT33を通過したレーザ光線L1は、全て反射部12で反射することになる。その結果、例えば、ボウルBの底面B1に収容されているワークWや、走行面Hのうち寸法判別走行面H1よりも上流側の走行面Hを搬送しているワークWに照射光が当たり、その反射光L2を反射光検知部13が検知することによる誤動作を回避することができる。
【0044】
以上の構成により、照射部11から放射したレーザ光線L1は開口溝T32及びスリットT33をこの順で通過して反射部12(具体的には反射板本体122)に到達して反射し、その反射光L2が反射光検知部3に入射(到達)する。本実施形態では、反射光L2が照射光L1(入射光)と同じ軌跡(ライン)を辿る反射光L2ではなく、照射光L1に対して所定角度で斜め上向きのラインに沿って反射光検知部13に到達するように設定している(図4及び図5参照、なお図1のa−a線断面を一部省略して模式的に示す図4ではワークWを省略している)。
【0045】
反射光検知部13は、照射部11よりも高い位置に配置した受光センサを用いて構成したものである。反射光検知部13は、反射光L2の有無や反射光量の差異を、受光センサによって受信する信号レベルの値として換算することができる。
【0046】
本実施形態の寸法不良判別部1は、照射部11及び反射光検知部13を共通のホルダに組み込んだユニット体Uを適用し、このユニット体Uを適宜の支持部で支持している。照射部11や反射光検知部13の位置は、ワークWの形状や種類等に応じて適宜調整することができる。
【0047】
また、本実施形態のパーツフィーダFは、照射部11と寸法判別走行面H1の間であって且つボウルBよりも外側に、照射光(レーザ光線L1)の通過を許容する孔C1を形成した遮蔽壁Cを設けている(図1及び図4参照)。この遮蔽壁Cによって、反射部12に届く光を照射部11から照射されるレーザ光線L1のみに限定し、このレーザ光線L1以外の光が反射部12に届いて反射する事態を防止している。また、遮蔽壁Cは、レーザ光線L1の反射光L2が反射光検知部13に直接到達することを妨げない形状に設定されている。
【0048】
また、本実施形態のパーツフィーダFは、図7に示すように、反射光検知部13によって検知した反射光L2(受光信号)の検知結果(受信結果)に基づいて不良ワークWが寸法判別領域を通過している否かを判定し、不良ワークWが寸法判別領域を通過していることを判定した場合に不良ワークWの排除指令を発する制御部3を備えている。本実施形態では、制御部3を、ワークWに反射して反射光検知部13で検知した反射光L2の有無や反射光量の差異に基づいて、不良ワークWが寸法判別領域を通過している否かを判定する判定部31と、判定部31によって正規の厚み寸法ではないと判定した場合にワークWの排除指令を発する排除命令出力部32とを用いて構成している。
【0049】
判定部31は、反射光検知部13を構成する受光センサで受信した受光信号のレベルに基づき、その信号レベルが予め設定した基準値以上の信号レベル(基準値以上の反射光量)を示す場合に、不良ワークWが寸法判別領域を通過していないと判定する一方で、反射光検知部13で受光信号が受信されなかったり(反射光量がゼロ)、或いは受信した受光信号が予め設定した基準値より低い信号レベル(基準値より少ない反射光量)を示す場合に、不良ワークWが寸法判別領域を通過していると判定する。また、排除命令出力部32は、判定部31によって不良ワークWが寸法判別領域を通過していると判定した場合、制御部3及び排除部2に接続された電磁弁4に対して、排除指令を出力するものである。電磁弁4は、例えば後述のエア供給経路22に接続した圧縮空気配管のエア継手等に関連付けて設けられ、励磁されていない通常時はエア供給経路22にエアを供給不能な閉状態にあり、制御部からワークWの排除指令が出力された場合に、励磁されてエア供給経路22にエアを供給可能な開状態に切り替わるように構成したものである。
【0050】
排除部2は、図3及び図6等に示すように、寸法判別走行面H1に表出しているエア噴出孔21と、エア噴出孔21に連通するエア供給経路22とを備え、エア噴出孔21から噴出したエア(圧縮空気)によって吹き飛ばしたワークWを、ボウルBの径方向において寸法判別走行面H1に連続する位置に形成した排除用溝23(本発明の「開口部」に相当)を通じて寸法判別領域外(寸法判別走行面H1外)へ排除するものである。
【0051】
エア噴出孔21は、寸法判別第2走行面H12に表出するように穿設されたものである。本実施形態では、搬送方向に延伸する長穴形状(より具体的には、部分楕円弧形状)のエア噴出孔21を適用している(図3参照)。エア噴出孔21のうち搬送方向に沿った開口幅寸法は、寸法判別走行面H1を搬送するワークWの搬送方向に沿った寸法よりも小さく、エア噴出孔21の高さ寸法は、寸法判別走行面H1を搬送するワークWの厚み寸法よりも小さい。このような形状のエア噴出孔21の開口下縁を、寸法判別第2走行面H12の下縁(寸法判別第2走行面H12と寸法判別第1走行面H11との交点H13)に一致させている。したがって、寸法判別走行面H1を搬送するワークWが一時的にエア噴出孔21全体を被覆することになる(図3参照)。本実施形態では、寸法判別トラックT3においてスリットT33を形成した部分よりも下方の部分にエア噴出孔21を形成し、エア噴出孔21の開口幅方向中央部分を上述のスリットT33の開口幅方向中央に一致または略一致するように設定している。
【0052】
排除用溝23は、ボウルBの径方向において寸法判別走行面H1に連続する位置に形成されたものである。本実施形態の排除部2は、寸法判別第1走行面H11のうちボウルBの外周側領域に連続する位置に排除用溝23を形成し、この排除用溝23を通じて不良ワークWを寸法判別走行面H1から排除可能に構成している。特に、本実施形態では、上述の開口溝T32を排除用溝23として兼用し、排除用溝23のうち搬送方向に沿った開口幅寸法を、寸法判別走行面H1を搬送するワークWの搬送方向に沿った寸法よりも十分に長く(例えば寸法判別走行面H1を搬送するワークWの搬送方向に沿った先頭部(搬送方向下流側端部)又は後端部(搬送方向上流側端部)の何れでレーザ光線L1による検知を行い、エアの噴射によって不良ワークWを排除しても、不要ワークWが排除用溝23の出口に引っかかることなく適切に排除することができる程度の開口幅寸法に)設定している。排除用溝23は、パーツフィーダFの全ての走行面H(寸法判別走行面H1も含む)が存在しない方向(本実施形態では、ボウルBの外部空間を向く方向)に開放されたものである。
【0053】
本実施形態の排除用溝23は、下方に開放されており、排除用溝23を通じて寸法判別走行面H1から排除した不良ワークWを図示しない回収部に回収される。回収部は、ボウルフィーダFの底面B1やトラックTに連続していないため、回収部に回収された不良ワークWが、自動的にボウルフィーダF内に戻されることはない。
【0054】
次に、このような寸法不良判別部1及び排除部2の作動及び作用について説明する。
【0055】
寸法判別トラックT3の寸法判別走行面H1に沿って搬送されるワークWは、上述したように、ウラ面W2が寸法判別第1走行面H11に対面して接触するとともに、側面W4が寸法判別第2走行面H12に対面して接触している姿勢である(図3及び図6参照)。本実施形態のパーツフィーダFでは、このような姿勢のワークWが寸法判別走行面H1に到達した時点またはその到達時点よりも前の時点で照射部11からレーザ光線L1を照射する照射状態に設定する。この照射状態において、ワークWが寸法判別領域を通過していない場合、照射部11から照射したレーザ光線L1は、遮蔽壁Cの孔C1を通過し、寸法判別トラックT3に形成した開口溝T32及びスリットT33を通過して反射部12(具体的には反射板本体122)に到達して反射する。その反射光L2は反射光検知部13に直接到達し、反射光検知部13が反射光L2を検知する。この際に反射光検知部13が検知する反射光量(受光センサで受信した受光信号)は、予め設定した基準値以上の反射光量(信号レベル)を示す。この反射光量に基づき、制御部の判定部31は、不良ワークWが寸法判別走行面H1の寸法判別領域を通過していないと判定する。その結果、電磁弁4は励磁されず、エア供給経路22にエアを供給不能な閉状態を維持し、エア噴出孔21からエアが吹き出されることはない。本実施形態において「寸法判別走行面H1の寸法判別領域」は、寸法判別走行面H1のうちレーザ光線L1の照射ラインが平面視において横切る領域を少なくとも含む領域であり、ワークWのサイズやレーザ光線L1の照射ラインの位置に応じて適宜設定することが可能な領域である。本実施形態における「寸法判別走行面H1の寸法判別領域」は、本発明の「走行面の所定領域」に相当する。
【0056】
そして、照射状態において、寸法判別走行面H1に沿って搬送されてレーザ光線L1の照射ラインを平面視において横切るようにして寸法判別領域を通過したワークWが良品ワークである場合、照射部11から照射したレーザ光線L1は、遮蔽壁Cの孔C1、及び寸法判別トラックT3に形成した開口溝T32を通過し、良品ワークWの上向き面の若干上方を通過する。このレーザ光線L1は、そのままスリットT33を通過して反射部12(具体的には反射板本体122)に到達して反射する。その反射光L2は反射光検知部13に直接到達し、反射光検知部13が反射光L2を検知する。照射状態であって良品ワークWが平面視においてレーザ光線L1の照射ラインを横切るように寸法判別領域を通過した場合に反射光検知部13が検知する反射光量(例えばセンサで受信した受光信号)は、予め設定した基準値以上の反射光量(信号レベル)を示す。
【0057】
一方、照射状態において、寸法判別走行面H1に沿って搬送されてレーザ光線L1の照射ラインを平面視において横切るように寸法判別領域を通過したワークWが不良ワークである場合、照射部11から照射したレーザ光線L1は、遮蔽壁Cの孔C1、及び寸法判別トラックT3に形成した開口溝T32を通過した後に、厚み寸法が良品ワークWの厚み寸法よりも大きい不良ワークWの形状に起因して、この不良ワークWに当たる。不良ワークWに当たって反射した反射光L2は、反射光検知部13に到達しないか、反射光検知部13に到達した場合であっても反射光検知部13により検知する受光量が、照射光の全てが反射部12に反射した場合に反射光検知部13が検知する受光量よりも少ない。したがって、不良ワークWが寸法判別領域を通過した場合、反射光検知部13は反射光量を検知しないか、反射検知部が検知する反射光量(例えばセンサで受信した受光信号)は、予め設定した基準値未満の反射光量(信号レベル)を示す。
【0058】
そして、本実施形態に係る寸法不良判別部1は、反射光検知部13で検知する反射光量(例えばセンサで受信した受光信号)が予め設定した基準値以上の反射光量(信号レベル)を示す場合、制御部3における判定部31により、不良ワークWが寸法判別領域を通過していない(換言すれば厚み寸法が正規の寸法である良品ワークWが寸法判別領域を通過している)と判定する。判定部31によって不良ワークWが寸法判別領域を通過していないと判定した場合、制御部の排除命令出力部32は電磁弁4に対して排除指令を出力せず、電磁弁4は閉状態を維持する。したがって、エア噴出孔21から圧縮空気が吹き出されることはない。その結果、良品ワークWは、寸法判別走行面H1を通過してさらに下流側に搬送される。
【0059】
一方、反射光検知部13は反射光量を検知しないか、反射検知部が検知する反射光量(例えばセンサで受信した受光信号)は、予め設定した基準値未満の反射光量(信号レベル)を示す場合、制御部3の判定部31により、不良ワークWが寸法判別領域を通過していると判定する。判定部31によって不良ワークWが寸法判別領域を通過していると判定した場合のみ、制御部の排除命令出力部32は、電磁弁4に対して排除指令を出力する。このワークWの排除指令は、排除部2のエア供給経路22を開放/遮断に切換可能な電磁弁4に対して一時的なバルブ開放指令として発せられる。つまり、この排除指令によって、電磁弁4が一時的に励磁されてエア供給経路22を一時的(瞬時的)に開放する開状態になり、圧縮空気をエア供給経路22及びエア噴出孔21へと供給する。その結果、エア噴出孔21から噴出する圧縮空気によって不良ワークWをボウルBの径外方向に向かって吹き飛ばし、不良ワークWを寸法判別走行面H1から離間させて、排除用溝23を通じて寸法判別走行面H1外に設けた図示しない不良ワークW回収部へ落として回収する。この不良ワークW回収部に回収されたワークWは、走行面Hに戻されることなく、例えば廃棄対象になる。
【0060】
以上の処理により、本実施形態に係るパーツフィーダFは、不良ワークWをボウルBの外側へ吹き落として寸法判別走行面H1から排除し、良品ワークWのみをトラックTの終点TEに向かってさらに下流側へ搬送し、次工程に姿勢を揃えた良品ワークWのみを供給することができる。
【0061】
このように、本実施形態に係るボウルフィーダPは、走行面Hの所定領域を搬送するワークWのうち所定方向における寸法(本実施形態では厚み寸法)が正規の寸法でない不良ワークWを判別する寸法不良判別部1と、寸法不良判別部1によって判別した不良ワークWを走行面Hの所定領域(具体的には寸法判別走行面H1の寸法判別領域)から排除する排除部2とを備えているため、厚み寸法が正規の寸法である正規ワークWだけを排除部2よりも搬送方向下流側を搬送することができ、例えばパーツフィーダFによる搬送処理前後の適宜の時点において専用の装置を用いてワークWの所定方向の寸法をチェックする処理を行う必要がない。
【0062】
しかも、本実施形態に係るパーツフィーダFは、寸法不良判別部1として、寸法不良判別部1が、寸法判別走行面H1の寸法判別領域に対して所定位置から照射したレーザ光線L1の反射光L2を検知するか否か又は反射光量によって、ワークWの厚み寸法が正規の寸法でない不良ワークWを検知する構成のものを適用しているため、例えば、不良ワークは通過不能であって且つ良品ワークは通過可能な高さに設定したトンネル形状や板状、或いは壁状等のストッパをトラックに設けて、ワークの寸法不良チェックをストッパの形状を利用して物理的に行う態様と比較して、寸法判別走行面H1に沿って搬送されるワークWがストッパに引っ掛かる、或いは詰まるといった事態を回避又は抑制することができ、ワークWをスムーズに搬送しながら選別処理を的確に行うことができる。また、このようなワークWの引っ掛かり等が生じ難い構造であるため、ワークWの搬送速度を比較的速く設定することも可能であり、選別処理能力の低下を招来することなく搬送処理能力を効果的に向上させることができる。
【0063】
加えて、本実施形態における寸法不良判別部1によれば、ストッパを通過しない不良ワークがストッパに繰り返し当たることでストッパの一部欠損や破壊が発生したり、通過が規制されるべき不良ワークの通過を許容することで適切な寸法判別処理を行うことができないという問題が起こり得ず、パーツフィーダ本来の搬送処理能力を損なうことなく、不良ワークWを適切に判別することができる。
【0064】
特に、本実施形態の寸法不良判別部1が、レーザ光線L1を照射するものであるため、レーザ光線特有の優れた直線性を活かして、要求される高い精度での寸法不良チェック処理を適切に行うことができる。
【0065】
また、本実施形態の排除部2は、不良ワークWにエア(圧縮空気)で吹き付けて寸法判別走行面H1から排除する構成であるため、不良ワークWを瞬時に寸法判別走行面H1から排除することが可能であり、ワイパー等のワーク排除専用のパーツを寸法判別走行面H1に関連付けて設ける必要もなく、ワーク排除専用のパーツの動作を考慮して寸法判別走行面H1におけるワーク同士の間隔を大きく確保したり、搬送速度を下げるといった搬送処理能力の低下を招来する事態を回避することができる。
【0066】
さらに、本実施形態で用いるワークWが正規の厚み寸法では厚みのもの、つまり厚み不良ワークWであれば、そのこと自体でワーク本来の機能を発揮しないか、所期の機能を十分に発揮し得ない不良品である。この点に着目し、本実施形態のパーツフィーダFは、排除部2によって不良ワークWをトラックTに復帰不能な位置に排除するように構成している。これにより、厚み不良ワークWであると判別して寸法判別走行面H1から一旦排除したワークWが再度トラックTに復帰して走行面Hに沿って搬送され、その厚み不良ワークWに対して再び同じ寸法不良判別処理を行うという無駄な処理を省くことができ、寸法不良判別処理及び搬送処理効率の向上を図ることができる。
【0067】
特に、排除部2が、寸法判別トラックT3に形成した排除用溝23の開口方向を、寸法判別走行面H1を含む全ての走行面H1が存在しない方向(具体的にはボウルBの外部)に設定しているため、簡単な構成でありながら不良ワークWを走行面Hに復帰不能な位置に排除することができる。
【0068】
本実施形態のパーツフィーダFでは、正規の厚み寸法を有する良品ワークWが、寸法判別走行面H1上において厚み方向に対面するオモテ面W及びウラ面W2のうち何れか一方の面(ウラ面W2)を下向きにして寸法判別第1走行面H11に対面して接触させ且つ側面W4を寸法判別第2走行面H12に対面して接触させた姿勢で搬送されるように構成し、寸法不良判別部1が、寸法判別第1走行面H11に平行又は略平行な光線L1であって且つ良品ワークWの上向き面(オモテ面W1)から僅かだけ離れた空間を通過する光線L1を寸法判別走行面H1に対峙する位置から照射可能な照射部11と、良品ワークWの上向き面(オモテ面W1)の僅か上方を通過した光線L1が反射する反射部12と、少なくとも反射部12で反射した反射光L2を検知可能な反射光検知部13とを備えたものにしている。このような寸法不良判別部1によれば、ワークWが良品ワークの場合には、照射部11から照射した光線L1は良品ワークWに当たることなく、反射部12に到達し、その反射光L2を反射光検知部13で検知することになる一方で、ワークWが不良ワークの場合には、照射部11から照射した光線L1がその不良ワークWにあたることで、反射光検知部13で反射光L2を全く受光しないか、或いは受光量が良品ワークWの場合よりも低下するため、その事象をもって不良ワークWであることを判別することができる。
【0069】
さらにまた、本実施形態では、寸法判別走行面H1を含む全ての走行面Hのうち照射部11から照射した光線L1が反射部12に到達するまでに横切る領域が寸法判別走行面H1だけとなるように設定しているため、照射部11から照射した光線L1が、パーツフィーダF内に存在し且つ寸法判別走行面H1以外の走行面H1上で搬送しているワークWに反射する事態を防止し、反射光検知部13がそのようなワークWからの反射光L2を検知することに起因する寸法チェック精度の低下を回避することができる。
【0070】
特に、本実施形態に係るパーツフィーダFは、寸法不良判別部1で判別した不良ワークWのみを排除部2によって寸法判別走行面H1から排除し得るように寸法不良判別部1と排除部2とを同期させているため、良品ワークWのみを次工程へ適切に搬送することができる。
【0071】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本実施形態に係る寸法不良判別部及び排除部は、ワーク等の搬送対象物の搬送時に姿勢を整えて次工程へと供給する振動搬送装置全般に関し、広く適用可能なものである。したがって、直線型の振動搬送装置(例えばリニア型パーツフィーダ)など他の形式や形状の振動搬送装置に対して適用しても上述した種々の効果を奏することができる。
【0072】
また、照射部及び反射光検知部を備えた寸法不良判別部を採用する場合、例えば照射部としての機能を担う発光素子と反射光検知部としての機能を担う受光素子とを備える光センサを用いることができる。また照射部及び反射光検知部を相互に独立した機器によって構成して寸法不良判別部を採用してもよい。
【0073】
反射部として、板状以外の形状のものを適用しても構わない。また、反射部の反射面(本実施形態であれば反射板本体に相当)の角度を調整可能に構成することもできる。
【0074】
寸法不良判別部が、照射部と、照射部からの照射される光線を直接受光可能な受光部とを用いて構成してもよい。この場合、受光部が照射光を受光するか否か、或いは受光量の差異によって寸法不良ワークを判別可能に構成すればよい。このような構成では、反射部が不要になる。
【0075】
照射部から照射する光線としては、直進性に優れたレーザ光線が好適であるが、判別処理に支障を来さなければ他の種類の光線を適用することができる。
【0076】
また、上述した実施形態では、寸法不良判別部によって搬送対象物の厚み寸法が正規の寸法であるか否かを判別する構成を例示したが、寸法不良判別部によって搬送対象物の厚み方向以外の所定方向(搬送対象物の平面視形状において相互に直交する縦方向や横方向など、搬送対象物の形状に基づき適宜設定可能な方向)の寸法が正規の寸法であるか否かを判別する構成を採用することができる。判別すべき搬送対象物の寸法がどの方向の寸法であるかに応じて、照射部による光線照射位置や反射光検知位置(受光位置)、或いは反射部の位置等を適宜調整して設定すればよい。
【0077】
さらに、光線照射位置や反射光検知位置(受光位置)を変更可能に構成すれば、ワークの形状や種類が変わった場合であっても、柔軟に対応することができ、適切な寸法不良判別処理を行うことができる。
【0078】
照射部や反射光検知部(受光部)の配置箇所は、寸法判別走行面と離間して向かい合う位置であることが望ましく、寸法判別走行面の向き(上向き、斜め上向き、横向き、斜め下向き、下向き)に応じて適宜設定(走行面の上方、斜め上方、側方、斜め下方、下方)することができる。
【0079】
また、寸法不良判別部が、位置センサ又は変位センサを備え、そのセンサが検知信号を出力することによって不良ワークであることを判別するように構成したものであっても構わない。
【0080】
さらにはまた、寸法不良判別部として、センサ等の機器を用いて不良ワークを検知する構成に代えて、または加えて、不良ワークは通過不能であって且つ良品ワークは通過可能なトンネル形状や板状、或いは壁状等のストッパを備え、ワークの寸法不良チェックをストッパの形状を利用して行う構成を採用してもよい。
【0081】
排除部が、エア以外の気体を不良ワークに対して吹き付けて不良ワークを走行面から排除するように構成したものであって構わないし、不良ワークのみを吸着又は吸い取ることによって走行面から排除する構成とすることもできる。また、ワイパー等のワーク排除専用のパーツを備えた排除部を適用し、不良ワークをその排除専用パーツによって不良ワークを走行面から排除するように構成することもできる。さらには、排除部によって走行面から排除した不良ワークを本来のトラックとは別に設けた排除用トラックに移し替え、その排除用トラック上で不良ワークを振動搬送させた後にパーツフィーダ外へ排除するように構成したパーツフィーダにすることも可能である。
【0082】
また、不良搬送対象物を排除部によって排除処理を実行する領域(エア噴出孔の位置やワイパー等の排除部材による排除処理領域)は、寸法不良判別部によって不良搬送対象物を判別した領域と同じ領域であってもよいし、不良搬送対象物を判別した領域よりも搬送方向下流側の領域であってもよい。後者の場合、照射部から照射光を逃がすための開口スペースを形成する開口溝又はスリットを、排除部の排除用溝として兼用することは困難となるが、本発明における排除部は、専用の排除用溝を有する構成も包含するものである。なお、排除用溝に代えて、適宜の形状の排除用ゲートなどを通じて不良搬送対象物を走行面から排除可能に構成してもよい。これら排除用溝や排除用ゲートが本発明の「開口部」に相当する。
【0083】
また、搬送対象物としては、ワーク以外のもの、例えばピンセットで辛うじて掴むことが可能な程度の寸法を有する微小部品等が挙げられるが、本発明の寸法不良判別部及び排除部によって選別可能な搬送対象物のサイズや形状は特に限定されるものではない。
【0084】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0085】
W…搬送対象物(ワーク)
H1…走行面(寸法判別走行面)
T3…トラック(寸法判別トラック)
F…振動搬送装置(パーツフィーダ(ボウルフィーダ))
1…寸法不良判別部
2…排除部
23…開口部(排除用溝)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7