(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
容器Aと容器Bの間に、容器Aに収納した予備発泡粒子を自由落下で排出可能であると共に、容器Bに予備発泡粒子を充填可能な容器A排出バルブ3を設置することを特徴とする、請求項1記載の嵩密度測定装置。
容器Bに充填した予備発泡粒子を排出可能な容器B排出バルブ4を設け、排出した予備発泡粒子の重量を測定できる重量計6を備えることを特徴とする、請求項1または2記載の嵩密度測定装置。
(a)工程において、容器Aに移送する収縮した予備発泡粒子の嵩容積が、容器Aの内容積の20%以上80%以下であることを特徴とする、請求項9〜13のいずれか一項記載の予備発泡粒子の嵩密度測定方法。
(d)工程において、容器Bへの予備発泡粒子の充填が自由落下で行われる工程であり、(e)工程において、容器Bからの予備発泡粒子の排出が少なくとも強制排出手段9を用いて行われる工程、であることを特徴とする、請求項9〜14のいずれか一項記載の予備発泡粒子の嵩密度測定方法。
予備発泡粒子が、嵩密度8g/L以上30g/L未満のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子であることを特徴とする、請求項17または18記載の予備発泡粒子の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記従来公知の二段発泡粒子に対する嵩密度測定装置では、30g/L以上の嵩密度を有する低発泡倍率の二段発泡粒子の場合、嵩密度を安定的に測定することができる。これに対して、30g/L未満の嵩密度を有する高発泡倍率の予備発泡粒子(例えば二段発泡粒子)を製造した場合、二段発泡直後の予備発泡粒子(二段発泡粒子)が収縮してしまい、本来の予備発泡粒子(二段発泡粒子)の嵩密度を測定できない為に、長時間乾燥させて、収縮から回復させた後に、その嵩密度を測定し、目標値との乖離に基づいて、二段発泡条件を変更しなければならないといった課題がある。
現状では、過去の目視観察の経験から、生産条件を決定し、二段発泡粒子を製造しているのが実情である。
【0010】
一方、特許文献3のように、極力、予備発泡粒子の収縮を抑制する方法も提案されているものの、うまく収縮を抑制することができず、収縮してしまった場合には、やはり上述の通り長時間乾燥させるなどの手段をとり、収縮を回復させた後に、その嵩密度を測定する必要がある。
【0011】
本発明の目的は、予備発泡粒子の嵩密度測定において、特に、30g/L未満の嵩密度を有するような高発泡倍率の予備発泡粒子(二段発泡粒子)の嵩密度を、短時間で測定できる装置、ならびに、該装置を用いた嵩密度の測定方法を提供することである。更には、本発明の目的は、得られる予備発泡粒子(二段発泡粒子)の嵩密度の測定結果を装置へフィードバックすることによって、予備発泡粒子(二段発泡粒子)の形状の目視判定等による経験者の生産条件の選定を必要としなく、嵩密度が揃った、安定的に予備発泡粒子(二段発泡粒子)を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、一旦収縮した予備発泡粒子を、減圧下で膨張させた状態で一定容積分取することにより、短時間で安定的に、本来の(収縮前の)予備発泡粒子の嵩密度を測定することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
本発明にかかる予備発泡粒子の嵩密度測定装置は、以下のとおりである。
[1] 予備発泡粒子の嵩密度を測定する装置であって、
容器内圧を大気圧未満の減圧状態として、収縮した予備発泡粒子を膨張させ収縮を回復させることが可能な容器Aと、
容器Aで膨張させた後の予備発泡粒子を、容器内圧が大気圧未満の減圧状態で充填して、一定容積分取可能な容器Bと、
容器Aと容器Bの容器内圧を大気圧未満に調整することができる減圧手段8と、
容器Bに充填された予備発泡粒子の重量を測定できる重量計6と、
を備えていることを特徴とする、嵩密度測定装置。
[2] 容器Aと容器Bの間に、容器Aに収納した予備発泡粒子を自由落下で排出可能であると共に、容器Bに予備発泡粒子を充填可能な容器A排出バルブ3を設置することを特徴とする、[1]記載の嵩密度測定装置。
[3] 容器Bに充填した予備発泡粒子を排出可能な容器B排出バルブ4を設け、排出した予備発泡粒子の重量を測定できる重量計6を備えることを特徴とする、[1]または[2]に記載の嵩密度測定装置。
[4] 容器Aと容器Bの内圧を異ならせることが可能な手段を有することを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか一項記載の嵩密度測定装置。
[5] 容器Aが円錐形状部分を有しており、円錐部分の角度αが60°以上120°以下であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれか一項記載の嵩密度測定装置。
[6] 容器Aと減圧手段8を結ぶ配管、および/または、容器Bと減圧手段8を結ぶ配管に、内圧を制御するバルブを少なくとも一つ配置されていることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか一項記載の嵩密度測定装置。
[7] 容器Bに、充填された予備発泡粒子を強制排出可能な強制排出手段9を設けることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれか一項記載の嵩密度測定装置。
[8]収納する予備発泡粒子の収納量を制御可能なレベルスイッチが、容器Aに備わっていることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれか一項記載の嵩密度測定装置。
[9]収縮した予備発泡粒子の嵩密度を測定する方法であって、
(a)収縮した予備発泡粒子の一部あるいは全部を採取して容器Aに移送する工程、
(b)容器Aの内圧を大気圧未満の減圧状態として、収縮した予備発泡粒子を膨張させ収縮を回復させる工程、
(c)容器Bの内圧を大気圧未満の減圧状態とする工程、
(d)容器Aと容器Bの間のバルブ3を開け、容器Aで膨張させた後の予備発泡粒子を、容器内圧が大気圧未満の減圧状態で容器Bに充填して、一定容積分取する工程、
(e)容器Bの内圧を大気圧に戻すとともに、容器Bに充填した予備発泡粒子を排出して予備発泡粒子の重量を重量計6で測定する工程、
を含むことを特徴とする予備発泡粒子の嵩密度測定方法。
[10] (c)工程において、容器Bの内圧を容器Aの内圧よりも高く設定することを特徴とする、[9]に記載の予備発泡粒子の嵩密度測定方法。
[11](c)工程において、容器Bの内圧を容器Aの内圧よりも低く設定することを特徴とする、[9]記載の予備発泡粒子の嵩密度測定方法。
[12](c)工程において、容器Aと容器Bの内圧を均一に設定することを特徴とする、[9]記載の予備発泡粒子の嵩密度測定方法。
[13] 容器Aおよび容器Bの内圧が、10×10
3Pa以上、90×10
3Pa以下であることを特徴とする、[9]〜[12]のいずれか一項記載の予備発泡粒子の嵩密度測定方法。
[14] (a)工程において、容器Aに移送する収縮した予備発泡粒子の嵩容積が、容器Aの内容積の20%以上80%以下であることを特徴とする、[9]〜[13]のいずれか一項記載の予備発泡粒子の嵩密度測定方法。
[15] (d)工程において、容器Bへの予備発泡粒子の充填が自由落下で行われる工程であり、(e)工程において、容器Bからの予備発泡粒子の排出が少なくとも強制排出手段9を用いて行われる工程、であることを特徴とする、[9]〜[14]のいずれか一項記載の予備発泡粒子の嵩密度測定方法。
[16] 予備発泡粒子が、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子であることを特徴とする、[9]〜[15]のいずれか一項記載の予備発泡粒子の嵩密度測定方法。
[17] 予備発泡粒子の製造方法であって、
予備発泡粒子の嵩密度を、[9]〜[16]のいずれか一項に記載の測定方法により測定した後、
該測定結果を目標の嵩密度と比較して、その結果を予備発泡装置にフィードバックさせ、予備発泡装置での予備発泡粒子の発泡条件を調整することを特徴とする、予備発泡粒子の製造方法。
[18] 予備発泡装置が、二段発泡装置であることを特徴とする、[17]記載の予備発泡粒子の製造方法。
[19] 予備発泡粒子が、嵩密度8g/L以上30g/L未満のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子であることを特徴とする、[17]または[18]記載の予備発泡粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
収縮しやすい予備発泡粒子、例えば、嵩密度8g/L以上30g/L未満のような高発泡倍率の二段発泡粒子は、製造直後(二段発泡直後)に収縮してしまい、本来の嵩密度を、短時間に測定することができず、次生産への条件設定に手間取る。しかし、本発明の予備発泡粒子の嵩密度測定装置および測定方法によれば、本来の嵩密度を、短時間で安定的に、測定することが可能となる。
さらに、前記嵩密度の測定結果を予備発泡装置、例えば二段発泡機の運転条件にフィードバックすることにより、所定の本来の嵩密度を有する二段発泡粒子の製造が容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の嵩密度測定装置を、
図1または
図2に基づいて説明する。
図1および
図2は、本発明の実施形態の一例として、二段発泡機から、排出された直後の二段発泡粒子の嵩密度を測定する嵩密度測定装置全体のフローを模式的に示したものである。
【0017】
本発明の嵩密度測定装置は、
二段発泡粒子を投入する投入ホッパー1と、
容器内圧を大気圧未満の減圧状態として、収縮した二段発泡粒子を膨張させ収縮を回復させることが可能な容器Aと、
容器Aで膨張させた後の予備発泡粒子を、容器内圧が大気圧未満の減圧状態で充填して、一定容積分取可能な容器Bと、
容器Aと容器Bの容器内圧を大気圧未満に調整することができる減圧手段8と、
容器Bに充填された予備発泡粒子の重量を測定できる重量計6と、
を備える装置である。
【0018】
投入ホッパー1は、二段発泡機から排出された二段発泡粒子を容器Aに投入する為のホッパーである。
【0019】
投入ホッパー1の形状は、二段発泡粒子がホッパー内で滞留しない構造であれば特に限定しないが、特に、二段発泡粒子が滞留しない点から、コニカル型が好ましい。
【0020】
投入ホッパ−1の容量には、特に限定はないが、後述する容器Bの容量の0.5倍以上5倍以下が好ましく、1.5倍以上4倍以下がより好ましい。投入ホッパーの容量が容器Bの容量の0.5倍未満では、二段発泡粒子量が少なく、嵩密度の精度が低下する傾向があり、5倍を超えると、機器自体が大型になり高価となる傾向がある。
【0021】
容器Aは、容器内圧を大気圧未満の減圧状態として、収縮した二段発泡粒子を膨張させ収縮を回復させることが可能な容器である。
【0022】
容器Aの形状は、膨張した該サンプルが容器A内で滞留しない構造であればよく、円錐型(コニカル型)が好ましく、なおかつ、直胴部がないほうがより好ましい。
【0023】
容器Aの円錐部分の角度αは、60°以上120°以下が好ましく、80°以上100°以下がより好ましい。
容器Aの円錐部分の角度αが60°未満では、二段発泡粒子を大気圧未満の圧力で膨張させた際に、二段発泡粒子がお互いに押し合うと共に、容器Aの内壁にも押されることになり、容器A内で密に詰まりすぎて閉塞しやすくなり、容器Bに排出され難くなる傾向がある。一方、角度αが120°を超えると、容器A中で滑りにくい、あるいは転がりにくくなり、滞留しやすくなって、やはり容器Aから容器Bに排出され難くなる傾向がある。
【0024】
容器Aの容量としては、特に限定はないが、後述する容器Bの容量の1倍以上5倍以下が好ましく、2倍以上4倍以下がより好ましい。容器Aの容量が容器Bの容量の1倍未満では、二段発泡粒子量が少なく、嵩密度の精度が低下する傾向があり、5倍を超えると、機器自体が大型になり高価となる傾向がある。
【0025】
容器Aは、上端部および下端部にそれぞれ、容器A投入バルブ2および容器A排出バルブ3を設けることができる。
容器A投入バルブ2の口径は、二段発泡粒子が閉塞しない大きさがあれば特に限定しない。例えば、二段発泡粒子の直径が5mm程度であれば、その口径は20A(内径およそ20mm)以上とすれば、閉塞することなく採取できる。また、二段発泡粒子の直径が10mm程度であれば、50A(内径およそ50mm)以上とすれば、閉塞することなく採取できる。
容器A排出バルブ3は、容器Aと容器Bとの間に設けることができる。
容器A排出バルブ3の口径は、膨張させた二段発泡粒子が閉塞しない大きさがあればよく、膨張させた二段発泡粒子の直径が、例えば8mm程度であれば、20A(内径およそ20mm)以上とすればよい。また、膨張させた二段発泡粒子の直径が、例えば13mm程度であれば、50A(内径およそ50mm)以上で、閉塞することなく移送できる。
【0026】
なお、二段発泡機から排出された二段発泡粒子を容器Aに投入する為の投入ホッパー1を備え付ける例を上記したが、投入ホッパー1は必ずしも必要ではなく、例えば、容器A投入バルブ2に移送ホースを接続させておき、移送ホースを通して二段発泡粒子を空送する等して、投入ホッパー1を介さず容器Aに二段発泡粒子を投入することもできる。
【0027】
容器Aには、収納する二段発泡粒子の収納量を制御可能なレベルスイッチを備えておくことが好ましい。レベルスイッチにより制御する収納量は、投入する二段発泡粒子の収縮率、さらには容器Aの形状等にも依存し、適宜調整すればよいが、容器Aの容量の20%以上、80%以下の容量で収納されるよう設定しておくことが好ましい。収納量が容器Aの容量の20%未満では、容器Bを満たすに十分な量に達しない場合があり、80%を超えると、減圧して二段発泡粒子が膨張した際に、容器A中で閉塞しやすい傾向がある。
【0028】
容器Bは、容器Aで膨張させた後の二段発泡粒子を、容器内圧が大気圧未満の減圧状態で充填して、一定容積分取するための容器である。容器Bは、例えば容器A排出バルブ3を介して容器Aと接続することができる。
【0029】
容器Bの形状は、膨張した二段発泡粒子が可能な限り最密充填できる構造であれば特に限定しないが、直胴型が好ましい。
【0030】
容器Bの容量の限定はないが、0.1L以上、30L以下が好ましく、0.5L以上、20L以下がより好ましい。
容器Bの容量が0.1L未満の場合は、測定される嵩密度の精度が低下する傾向がある。容器Bの容量が30Lを超えると、機器自体が大型になり高価となる傾向があると共に、大きな設置スペースが必要となり、広い敷地でなければ設置できない傾向がある。
なお、容器Bの容積は、容器B内を水で封入し、その際の水の体積を測定すればよく、容器Bの容積をV(L)とする。
【0031】
容器Bは、上端部が容器A排出バルブ3を介して容器Aと接続され、下端部に容器B排出バルブ4を設けることができる。容器B排出バルブ4の口径は、二段発泡粒子が閉塞しない大きさがあればよく、二段発泡粒子の直径が、例えば8mm程度であれば、20A(内径およそ20mm)以上とすればよい。また、二段発泡粒子の直径が、例えば13mm程度であれば、50A(内径およそ50mm)以上で、閉塞することなく移送できる。
【0032】
なお、容器Aおよび容器Bの側面には、覗き窓が付帯していれば、二段発泡粒子の膨張・収縮状態、払い出し状態の状況を確認できる為、好ましい。
【0033】
減圧手段8は、容器Aおよび容器Bの内圧を大気圧(≒10
5Pa)未満に調節できるものであれば、特に限定されない。
なお、減圧手段8の到達圧力としては、1Pa以上、20×10
3Pa以下が好ましい。
減圧手段8の到達圧力が1Pa未満であれば、容器Aおよび容器B内の真空度は上がるものの、機器自体が高価となる傾向があり、20×10
3Paを超えると、容器の気密性が低下した際に、収縮した該サンプルを十分に膨張できなくなり、嵩密度の精度が低下する傾向がある。
【0034】
容器Aおよび容器Bと減圧手段8(例えば真空ポンプ)は、配管にて結ばれ、容器Aと容器Bに接続したそれぞれの配管の合流部と減圧手段8との間に、バルブ7(例えば、三方バルブ)を設置することができる。該配管の容器A側と容器B側との接続穴には、メッシュが設けられている。該メッシュは、二段発泡粒子が通過できず、真空ポンプで吸引される空気のみが通過できるものであれば、線径ならびに目開きに関しては特に限定されない。
なお、上記例では、容器Aと容器Bを一つの減圧手段8で減圧する方法を記載したが、容器Aと容器Bのそれぞれに独立した減圧手段8を設けることも可能である。
本発明の収縮した予備発泡粒子の嵩密度を測定する方法においては、容器Aと容器Bの内圧は、大気圧未満の減圧状態とする。
【0035】
本発明において、容器Aと容器Bの内圧は大気圧未満であれば特に限定されないが、絶対圧力として10×10
3Pa以上、90×10
3Pa以下が好ましく、10×10
3Pa以上、60×10
3Pa以下がより好ましく、10×10
3Pa以上、30×10
3Pa以下が最も好ましい。
容器Aと容器Bの内圧が10×10
3Pa未満であれば、容器Aおよび容器B内の内圧は下がるものの、減圧装置が高価となる傾向があり、90×10
3Paを超えると、内圧が上がり、収縮した該サンプルを十分に膨張できなくなり、嵩密度の精度が低下する傾向がある。
【0036】
本発明において、該容器Aと容器Bの内圧は、異なるように設定しても、同じになるよう設定しても良い。容器Aと容器Bの内圧を異なるよう設定する場合は、容器Bの内圧が容器Aの内圧より高くても、あるいは、低くても構わない。
【0037】
ここで、容器Bの内圧を容器Aの内圧より高く設定する場合、容器Aで膨張して収縮が回復した二段発泡粒子を容器Bに移す為に容器A排出バルブ3を開けた際、一旦、容器B側から容器A側に空気が噴き出し、仮に容器Aの底付近で二段発泡粒子が閉塞気味であったとしても、圧力差(空気の噴出)により閉塞が解かれ、その後、自由落下により容器Bに充填されやすくなり、容器Bでの充填状態が安定することから測定誤差が小さくなり、好ましい態様である。
【0038】
容器Aと容器Bの内圧に差を設ける場合で、容器Bの圧力を高くする場合の圧力差としては、5×10
3Pa以上、30×10
3Pa以下が好ましく、7×10
3Pa以上、15×10
3Pa以下がより好ましい。圧力差が当該範囲内であると容器Aの底付近で二段発泡粒子の閉塞が解かれやすく、また容器A排出バルブ3を開けた後の予備発泡粒子の再収縮が起こり難く、精度良く嵩密度が測定できる点で好ましい。
【0039】
逆に、容器Bの内圧を容器Aの内圧より低く設定した場合も、仮に容器Aの底付近で二段発泡粒子が閉塞気味であったとしても、圧力差(空気の噴出)により閉塞が解かれる点から好ましい態様である。但し、得られる嵩密度が本来の嵩密度に比べ重めになる傾向がある。従って、容器Bの内圧を容器Aの内圧より高く設定する場合の方がより好ましい態様である。
【0040】
容器Aと容器Bの内圧に差を設ける場合で、容器Aの圧力を高くする場合の圧力差としては、5×10
3Pa以上、30×10
3Pa以下が好ましく、5×10
3Pa以上、10×10
3Pa以下がより好ましい。圧力差が当該範囲内であると容器Aの底付近で二段発泡粒子の閉塞が解かれやすく、また容器A排出バルブ3を開けた後の予備発泡粒子の再収縮が起こり難く、精度良く嵩密度が測定できる点で好ましい。
【0041】
一方、容器Aと容器Bの内圧を同じ(均圧下)する態様は、
図1に示すように、バルブ2、3、4が閉である状態で、減圧手段8を駆動させて、三方バルブ7を介して、容器Aと容器Bの内圧を同じ(均圧下)することが可能である為、容器Aと形器Bの内圧を異ならせる手段を設ける必要がなく、設備設計が容易になる点から好ましい態様である。
ただし、容器Aと容器Bの内圧を同じ(均圧下)する場合には、容器Aの形状や容器A排出バルブ3の口径等を十分検討し、容器Aの底付近で二段発泡粒子の閉塞を十分抑制できるよう調整することが必要である。
【0042】
本発明の嵩密度測定装置において、容器Aと容器Bの内圧を調整する手段としては、特に制限は無く、例えば、
(A)
図2に示すように、予め容器Aと容器Bに圧力計および/または圧力センサー(図示せず)を取り付けておき、所望の圧力になった時点で、三方バルブ7と容器Aの間の配管に設けられたバルブ11や、三方バルブ7と容器Bの間の配管に設けられたバルブ12を閉じる方法;
(B)
図2に示すように、後述する強制排出手段9(配管)およびバルブ10を容器Bに接続させておき、容器Bをある圧力に減圧しておき、その後、バルブ10を適宜開けることで、容器Bの内圧を調整する方法、
(C)
図2に示すように、容器Aをある圧力に減圧しておき、その後、バルブ2を適宜開けることで、容器Aの内圧を調整する方法、
(D)
図2に示すように、容器Aをある圧力に減圧しておき、その後、バルブ11およびバルブ7を適宜開けることで、容器Aの内圧を調整する方法、
等が挙げられる。
方法(A)においては、容器AとBが所望の圧力に達した時点で、自動的にバルブが閉じる自動バルブを用いる方法が好ましい。
【0043】
重量計6は、容器B排出バルブ4を通して容器Bから排出された二段発泡粒子の重量を測定する機器であり、排出受け皿5を設置するなどして排出される二段発泡粒子をもれなく捕集し、その重量を測定する。
【0044】
なお、二段発泡粒子の重量測定において、容器Bから二段発泡粒子が完全に排出できるよう、強制排出手段9を設けることは好ましい態様である。
強制排出手段9としては、例えば、容器Bに配管を接続し、二段発泡粒子を容器B排出バルブ4から排出する際に、該配管からエアを噴出させ、エアを利用して二段発泡粒子を容器Bから強制的に排出させる方法を採用することができる。該方法により、二段発泡粒子が帯電し、容器Bから排出されにくい状態であっても、効率よく二段発泡粒子を排出させることができる。
【0045】
本発明の嵩密度測定装置を用いる予備発泡粒子、特に二段発泡粒子の嵩密度測定は、以下の工程を経て行うことができる。
すなわち、本発明の嵩密度測定装置を用いる予備発泡粒子の嵩密度測定方法は、
(a)収縮した予備発泡粒子の一部あるいは全部を採取して容器Aに移送する工程、
(b)容器Aの内圧を大気圧未満の減圧状態として、収縮した予備発泡粒子を膨張させ収縮を回復させる工程、
(c)容器Bの内圧を大気圧未満の減圧状態とする工程、
(d)容器Aと容器Bの間のバルブ3を開け、容器Aで膨張させた後の予備発泡粒子を、容器内圧が大気圧未満の減圧状態で容器Bに充填して、一定容積分取する工程、
(e)容器Bの内圧を大気圧に戻すとともに、容器Bに充填した予備発泡粒子を排出して予備発泡粒子の重量を重量計6で測定する工程、
を経る、嵩密度測定方法である。
【0046】
本発明の嵩密度測定装置を用いる予備発泡粒子(二段発泡粒子)の嵩密度測定操作においては、静電気等により、二段発泡粒子が投入ホッパー・容器A・容器Bの内壁部に付着したり、粒子同士が反発して、正しい嵩密度を測定できない場合がある。
この場合、測定操作前に、以下のような静電気除去を施しておくことにより、正常に嵩密度を測定できる。静電気除去方法の具体策としては、例えば、二段発泡粒子に帯電防止剤を添加(噴霧)する方法、嵩密度測定装置をアース(接地)しておく方法、あるいは、圧縮空気の噴射等により、強制的に排除する方法(例えば、上述した強制排出手段9)、等があげられる。
なお、帯電防止剤としては、市販の帯電防止剤、界面活性剤等を使用することができる。
【0047】
以上のように、本発明の嵩密度測定装置を用いて、二段発泡機から排出された直後の二段発泡粒子を、大気圧以下で膨張させて、一定体積の容器内にサンプルを採取し、一定体積の二段発泡粒子の重量を測定することにより、本来の嵩密度を計算できる。
【0048】
本発明の嵩密度測定装置による嵩密度測定結果を、電気信号としてパソコン、シーケンサなどに入力して、嵩密度比較演算ソフトを用いて、目標とする嵩密度値と比較演算することにより、予備発泡粒子や二段発泡粒子の製造条件の制御に活用することができる。
【0049】
例えば、特開2009−161738号公報に記載の予備発泡粒子製造方法であれば、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出する時間(発泡時間)が数分以上に及ぶことがあり、ある時点の嵩密度測定結果が目標の嵩密度と異なっている場合は、密閉容器内の圧力や温度等を制御する圧力設定器あるいは温度設定器等に、目標の嵩密度になるように、新たな圧力や温度設定値の信号が送られ、低い圧力域に放出して発泡している間に、継続的に嵩密度を制御することができる。
【0050】
一方、特開2009−263639号公報記載の予備発泡粒子製造方法、あるいは二段発泡粒子の製造方法であれば、あるバッチ(ショット)の嵩密度測定結果が目標の嵩密度と異なっている場合は、予備発泡機あるいは二段発泡機における缶内加熱蒸気圧を制御する圧力設定器に、目標の嵩密度になるように、新たな圧力設定値の信号が送られ、次バッチ製造条件へフィードバックされ、継続的に嵩密度を制御することができる。
具体的には、ある時点で得られた予備発泡粒子、あるいは二段発泡粒子の嵩密度が、目標嵩密度に対して重い場合は、嵩密度を軽くするように、次バッチでは、前バッチでの加熱蒸気圧より高い設定値信号が送られ、逆に、目標嵩密度に対して軽い場合は、前バッチでの加熱蒸気圧より低い設定値信号が送られ、目標嵩密度に近似した一定範囲の嵩密度の予備発泡粒子、あるいは二段発泡粒子を得ることができる。
なお、嵩密度比較演算ソフトとしては、公知のソフトを用いることができる。
【0051】
本発明の嵩密度測定装置に供される予備発泡粒子を製造する方法としては、従来公知の製造方法を採用することができる。
例えば、特開2009−161738号公報に記載のように、密閉容器内に熱可塑性樹脂粒子を水系分散媒に分散させ、熱可塑性樹脂粒子の軟化温度以上の温度まで加熱、加圧した後、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出する、水系分散媒に含まれる水および/または炭酸ガス等を発泡剤とする熱可塑性樹脂発泡粒子(予備発泡粒子)の製造方法が挙げられ、この場合は、特にポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造する場合に好ましい。
【0052】
また、特開2009−263639号公報に記載のように、重合容器内で重合された熱可塑性樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た後、予備発泡機等を用いて水蒸気等の加熱媒体で加熱し、所定の嵩密度の予備発泡粒子を製造する方法が挙げられる。この場合は、特にポリスチレン系樹脂予備発泡粒子や、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造する場合に好ましい。
一方、このようにして得られた予備発泡粒子を、二段発泡機を用いて更に高い倍率の予備発泡粒子(二段発泡粒子)とすることも可能である。
【0053】
本発明の嵩密度測定装置に供される二段発泡粒子の製造方法としては、例えば、別途得られた予備発泡粒子に予め内圧を付与したものを、二段発泡機の缶内へ投入し、加熱水蒸気と接触させる方法、等があり、これらの方法により、予備発泡粒子よりもさらに高発泡倍率の二段発泡粒子を得ることができる。
なお、予備発泡粒子への内圧の付与は、予備発泡粒子を耐圧密閉容器内に充填し、空気等で加圧処理を行うなど、従来公知の方法で、容易に実施できる。また、二段発泡粒子を製造する方法を繰り返し、三段発泡粒子等の多段発泡粒子を得ることも可能である。
【0054】
本発明に用いられる予備発泡粒子の基材となる樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリスチレン系樹脂、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、等が挙げられ、これらの混合物であってもよい。混合物としては、例えば、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンとの混合樹脂、ポリオレフィンの一部にビニル単量体がグラフト共重合している複合樹脂(スチレン改質ポリオレフィン系樹脂)等が挙げられる。
【0055】
本発明における嵩密度が揃った予備発泡粒子が得られるという効果が、より発揮される点からは、予備発泡粒子の基材樹脂としてはポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂を用い、これらの二段発泡粒子を製造する際に、本発明の嵩密度測定装置を用いることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子やポリエチレン系樹脂予備発泡粒子等のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の二段発泡においては、二段発泡設定圧力よって比較的敏感に嵩密度が変化し、バッチ毎の二段発泡設定圧力を頻繁かつ適正に調整しなければならないところ、本発明によればこれらを容易に制御できることになり、嵩密度が揃った二段発泡粒子が得られる。
【0056】
このようなポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の嵩密度に特に制限はないが、二段発泡等の多段発泡により嵩密度8g/L以上30g/L未満となるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、多段発泡により収縮しやすく、嵩密度のばらつきが大きくなりやすいところ、本発明によればこのような収縮を膨張、回復させた後嵩密度を測定し、かつ、その結果を次バッチ製造条件へフィードバックさせ、継続的に嵩密度を制御することができため、嵩密度が揃った、安定した多段発泡が可能となることから、好ましい態様である。
【0057】
このようなポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子やポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を得る方法としては、具体的には特開2009−161738号公報記載の方法を採用することができる。
【0058】
例えば、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂組成物をポリオレフォン系樹脂粒子とし、該ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させることにより得ることができる。
ポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂を主原料とし、必要に応じてポリエチレングリコール、グリセリンやメラミンのような親水性物質等を配合した樹脂組成物であり、押出機等を用いて溶融し、円柱状等のような所望の粒子形状のポリオレフィン系樹脂粒子とする。
【0059】
前記ポリオレフィン系樹脂粒子を炭酸ガス等の発泡剤と共に耐圧容器内で水中に分散させた分散物をポリオレフィン系樹脂粒子の融点−20℃〜融点+20℃の範囲の温度に加熱して、ポリオレフィン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させ、発泡剤の示す蒸気圧以上の加圧下で容器内の温度、圧力を一定に保持しながら、ポリオレフィン系樹脂粒子を容器内よりも低圧の雰囲気下に放出することで、元のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子が得られる。
【0060】
ポリオレフィン系樹脂とは、ホモプロピレン樹脂、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体等のポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂等のポリエチレン系樹脂が挙げられる。
【実施例】
【0061】
以下に、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0062】
(実施例1)
<樹脂粒子の作製>
直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂[MI=2.0g/10分、融点122℃]100重量部に対して、グリセリン[ライオン(株)製、精製グリセリンD]を0.2重量部、タルク0.03重量部をドライブレンドした。該ブレンド物を50φ単軸押出機に、吐出量40kg/時間で供給し、樹脂温度220℃にて溶融混練した後、水冷後、ペレタイザーを用いて切断し、円柱状の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂粒子(4.5mg/粒)を得た。
<一段発泡粒子の作製>
得られた直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂粒子100重量部、純水200重量部、第3リン酸カルシウム0.5重量部およびn−パラフィンスルホン酸ソーダ0.05重量部を、耐圧密閉容器に仕込み、攪拌しながら、二酸化炭素7.5重量部を耐圧密閉容器内に導入し、122℃に加熱し、30分間保持した。この時の耐圧密閉容器内の圧力は3.5MPa(ゲージ圧)であった。
その後、密閉容器下部のバルブを開いて、オリフィス板を通して大気圧に放出することによって、嵩密度60g/Lのポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
<二段発泡粒子の作製>
得られたポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を乾燥した後、耐圧容器内に投入し、加圧空気を用いて、内圧を0.39MPa(絶対圧)にした後、二段発泡機の缶内に投入し、0.07MPa(ゲージ圧)の加熱蒸気に30秒間接触加熱させて、二段発泡粒子を製造した。得られた二段発泡粒子は収縮していた。
【0063】
<二段発泡粒子の嵩密度測定>
二段発泡機から排出された二段発泡粒子の嵩密度は、
図1に示す本発明の嵩密度測定装置を用いて測定した。
(a)収縮している二段発泡粒子を、容器A投入バルブ2が閉の状態で、投入ホッパー1(容量3L)がほぼ一杯になるまで投入した。
次いで、容器A投入バルブ2(内径50mm)を開として、容器A排出バルブ3を閉の状態で、容器A(容量4L、円錐部分の角度α=90°)に二段発泡粒子を仕込み、容器A投入バルブ2を閉とした。
(b)その後、容器B排出バルブ4が閉であることを確認後、減圧手段8(真空ポンプ)を駆動させて、三方バルブ7を介して、容器Aおよび容器Bの缶内圧力を均圧状態で30×10
3Paまで減圧し、容器A内の二段発泡粒子を膨張させた。
(c)三方バルブ7を操作して容器Aおよび容器Bの内圧を30×10
3Paに保ちつつ減圧手段8との接続を遮断した後、容器A排出バルブ3を開とし、容器A内の膨張させた二段粒子を、容積V=1Lである容器Bに自由落下により移送して充填し、容器A排出バルブを閉とした。
(d)その後、三方バルブ7を操作して、容器Aおよび容器Bの内圧を大気圧に戻し、容器B内の膨張させた二段発泡粒子を、元の二段発泡粒子に収縮させた。
その後、容器B排出バルブ4を開として、二段発泡粒子全量を排出受け皿5に払い出し、重量計6を用いて、払い出し粒子の重量[W(g)]を測定して、嵩密度[W/V(g/L)]を算出した。
【0064】
<二段発泡機へのフィードバック>
次いで、上記算出結果を、アナログ信号入出力端子を内蔵したパーソナルコンピューターからなる嵩密度比較演算装置を用いて、測定結果と目標値を比較した。
二段発泡1バッチ(ショット)目の嵩密度の測定値は、目標とする10〜14g/Lの中央値である12g/Lよりも重い14g/Lであった。そこで、二段発泡機の加熱水蒸気圧の設定圧力を上げる信号を圧力設定器に送り、その後偶数ショット目毎に二段発泡粒子の嵩密度を測定し、嵩密度を目標の中央値に近づけるように、80ショット目迄、修正信号を送り、調整を続けた。
80ショットの二段発泡を実施したところ、嵩密度は、1ショット〜80ショットまで、目標とする10〜14g/Lに収まっており、安定していた。しかし、容器A内において二段発泡粒子の閉塞が1回発生し、その際、嵩密度測定を中断して容器A内の二段発泡粒子の閉塞を解いて再スタートした。
このときの10ショット毎の嵩密度測定結果および二段発泡の状況を表1、表2および
図4に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
(比較例1)
実施例1で試作した二段発泡粒子を、従来から知られている、
図3で示される公知の嵩密度測定装置を用いて、嵩密度を測定した。ここで、公知の嵩密度測定装置とは、投入ホッパー21に投入バルブ22を介して容器Bが接続した構成からなるもので、大気圧下で二段発泡粒子を分取する装置である。
従来の嵩密度装置を使用した場合、二段発泡1ショット目の嵩密度は、16g/Lで、目標とする10〜14g/Lより、重い嵩密度である。そこで、二段発泡機の加熱水蒸気圧を上げる信号を圧力設定器に送り、10ショット目毎に二段発泡粒子の嵩密度を測定し、嵩密度を目標の中央値に近づけるように、80ショット目迄、修正信号を送り、調整を続けた。
その嵩密度測定結果を、表1、表2および
図4に示す。
【0067】
(参考例1)
実施例1において採取した二段発泡粒子を、収縮から回復させることを目的として、80℃で調整した乾燥機中に4時間静置した後、
図3で示される公知の嵩密度測定装置を用いて、その嵩密度を測定した。
その嵩密度測定結果を、表1に示す。
80℃で調整した乾燥機中に4時間静置して収縮から回復させた二段発泡粒子の嵩密度は、本発明の嵩密度測定装置で測定した嵩密度(実施例1)と同じ値を示し、目標内の嵩密度を得ている。すなわち、本発明の嵩密度測定装置で測定した嵩密度は、本来の二段発泡粒子の嵩密度を測定できていることが判る。
【0068】
(参考例2)
比較例1において採取した二段発泡粒子を、収縮から回復させることを目的として、80℃に調整した乾燥機中に4時間静置した後、
図3で示される公知の嵩密度測定装置を用いて、その嵩密度を測定した。
その嵩密度測定結果を、表1および
図4に示す。
【0069】
80℃で調整した乾燥機中に4時間静置して収縮から回復させた二段発泡粒子の嵩密度は、収縮したまま従来の嵩密度測定装置で測定した嵩密度(比較例1)に対して軽い嵩密度であった。即ち、従来の方法によって測定した二段発泡粒子の嵩密度(比較例1)は、本来の二段発泡粒子の嵩密度(参考例2)と乖離していることがわかる。更に、目標の嵩密度に対して外れ、バラツキが大きかった。
【0070】
表1での1ショット目の測定結果からも明らかなように、従来公知の嵩密度測定装置では収縮の為に測定値が重くなっていたのに対して、本発明の嵩密度測定装置では減圧下で膨張させて本来の発泡粒子状態に回復させている為、本来の嵩密度を、再現性よく測定することができる。
【0071】
さらに、嵩密度の測定結果に基づくフィードバック結果に関しても、表1および
図4に示すように、本発明の嵩密度測定装置を用いた場合の二段発泡粒子の嵩密度は、1ショット〜80ショットまで、目標とする10〜14g/Lに収まっており、安定していた。
これに対して、従来公知の嵩密度測定装置を用いた場合、二段発泡機から排出した二段発泡粒子が収縮し、本来の嵩密度を測定できておらず、ショット毎の変動が大きかった。また、加熱処理により収縮から回復させた二段発泡粒子の嵩密度も、バラツキの大きいものしか得られなかった。
【0072】
【表2】
【0073】
(実施例2)
<二段発泡粒子の嵩密度測定>において、
図2に示す本発明の嵩密度測定装置を用いて、以下のように測定した以外は、実施例1と同様の操作により二段発泡を行い、評価した。評価結果を、表2に示す。
(1)収縮している二段発泡粒子を、容器A投入バルブ2が閉の状態で、投入ホッパー1(容量3L)がほぼ一杯になるまで投入した。
次いで、容器A投入バルブ2(内径50mm)を開として、容器A排出バルブ3を閉の状態で、容器A(容量4L、円錐部分の角度α=90°)に二段発泡粒子を仕込み、容器A投入バルブ2を閉とした。
(2)その後、容器B排出バルブ4、およびバルブ10が閉であることを確認後、三方バルブ7と容器Aをつなぐ配管に設けたバルブ11(自動バルブ)、および三方バルブ7と容器Bをつなぐ配管に設けたバルブ12(自動バルブ)を開け、減圧手段8(真空ポンプ)を駆動させて、三方バルブ7を介して、容器Aおよび容器Bの内圧を減圧した(容器Aの内圧は20×10
3Pa、容器Bの内圧は30×10
3Pa)。この際、容器Aおよび容器Bが表2記載の内圧に到達した時点で、自動バルブ11、12がそれぞれ閉じるように設定した。これにより、容器A内の二段発泡粒子を膨張させ、収縮を回復させた。
(3)容器A排出バルブ3(内径50mm)を開とし、容器A内の膨張させた二段発泡粒子を、容量V=1Lである容器Bに自由落下により移送して充填し、容器A排出バルブ3を閉とした。
(4)その後、容器B排出バルブ4(内径50mm)を開として、二段発泡粒子全量を排出受け皿5に払い出し、重量計6を用いて、払い出し粒子の重量[W(g)]を測定して、嵩密度[W/V(g/L)]を算出した。排出受け皿5に払い出す際には、バルブ10を開け、強制排出手段9(配管)を通して外部から容器B内にエアを噴きつけ、容器B内に二段発泡粒子が残らないようにした。
(5)嵩密度測定後、バルブ2、バルブ3およびバルブ4を開け、投入ホッパー1および容器Aに残る二段発泡粒子を排出した。
以上のように80ショットの二段発泡を実施したところ、嵩密度は、1ショット〜80ショットまで、目標とする10〜14g/Lに収まっており、安定していた。また、装置内で二段発泡粒子が閉塞するなどの問題は全く発生しなかった。
【0074】
(実施例3)
容器Aの円錐部分の角度αが60°の嵩密度測定装置とした以外は、実施例2と同様の操作により二段発泡を行い、評価した。評価結果を、表2に示す。
80ショットの二段発泡を実施したところ、嵩密度は、1ショット〜80ショットまで、目標とする10〜14g/Lに収まっており閉塞する問題もなかった。
【0075】
(実施例4)
容器Aの円錐部分の角度αが50°の嵩密度測定装置とした以外は、実施例2と同様の操作により二段発泡を行い、評価した。評価結果を、表2に示す。
80ショットの二段発泡を実施したところ、嵩密度は、1ショット〜80ショットまで、目標とする10〜14g/Lに収まっており、安定していた。しかし、容器A内において二段発泡粒子の閉塞が2回発生し、その都度、嵩密度測定を中断して容器A内の二段発泡粒子の閉塞を解いて再スタートした。
【0076】
(実施例5)
容器Aの円錐部分の角度αが130°の嵩密度測定装置とした以外は、実施例2と同様の操作により二段発泡を行い、評価した。評価結果を、表2に示す。
80ショットの二段発泡を実施したところ、嵩密度は、1ショット〜80ショットまで、目標とする10〜14g/Lに収まっており、安定していた。しかし、嵩密度測定後、容器A内の二段発泡粒子を排出・掃除しようとした際に、容器Aのコニカル部に二段発泡粒子が残り、掃除に時間を要した。
【0077】
(実施例6)
容器Aの円錐部分の角度αが60°の嵩密度測定装置とし、容器Aおよび容器Bを表2記載の内圧(容器Aと容器B共に30×10
3Paの均圧下とした)に設定した以外は、実施例1と同様の操作により二段発泡を行い、評価した。評価結果を、表2に示す。
80ショットの二段発泡を実施したところ、嵩密度は、1ショット〜80ショットまで、目標とする10〜14g/Lに収まっており、安定していた。しかし、容器A内において二段発泡粒子の閉塞が2回発生し、その都度、嵩密度測定を中断して容器A内の二段発泡粒子の閉塞を解いて再スタートした。
【0078】
(実施例7)
容器Aの円錐部分の角度αが50°の嵩密度測定装置とし、容器Aおよび容器Bを表2記載の内圧(容器Aと容器B共に30×10
3Paの均圧下とした)に設定した以外は、実施例1と同様の操作により二段発泡を行い、評価した。評価結果を、表2に示す。
80ショットの二段発泡を実施したところ、嵩密度は、1ショット〜80ショットまで、目標とする10〜14g/Lに収まっており、安定していた。しかし、容器A内において二段発泡粒子の閉塞が4回発生し、その都度、嵩密度測定を中断して容器A内の二段発泡粒子の閉塞を解いて再スタートした。
【0079】
(実施例8)
容器Aの円錐部分の角度αが60°の嵩密度測定装置とし、容器Aおよび容器Bを表2記載の内圧(容器Aの内圧は30×10
3Pa、容器Bの内圧は20×10
3Pa)に設定した以外は、実施例2と同様の操作により二段発泡を行い、評価した。評価結果を、表2に示す。
80ショットの二段発泡を実施したところ、嵩密度は、1ショット〜80ショットまで、目標とする10〜14g/Lに収まっていたが、実施例1よりも全体的に重めの嵩密度で推移した。容器Aから容器Bへの充填時に一部の二段発泡粒子が自由落下ではなく強制的に充填され、若干過密気味に容器Bに充填されたと考えられる。なお、装置内で二段発泡粒子が閉塞するなどの問題は全く発生しなかった。