(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マスク移動方向と前記コア部の端部の光軸とが平行になるよう、前記光導波路形成用部材に対する前記マスクの位置を相対的に変化させる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
前記複数のコア部は、隣り合う2本の前記コア部の端部の位置が、前記コア部の延在方向において互いにずれるよう構成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、この方法の場合、加工面に対して直接、金属マスクを載置する必要があり、作業効率が低いという課題がある。また、金属マスクを載置するという作業の特性上、位置精度の向上にも限界があり、加工精度を十分に高めることができない。
【0007】
また、レーザー加工では、積算光量を部分的に異ならせることによって加工深さを変えることができる。これを利用することで加工痕の深さ方向の形状を自在に制御して、光反射用のミラーの形状を目的とする形状にすることが検討されている。
【0008】
しかしながら、光導波路のコア部の形状は多様であり、それに応じてミラーを形成する必要があるため、形成しようとするミラーの形状に応じて積算光量を制御するためには多くの技術的な課題を解決しなければならない。具体的には、積算光量を部分的に異ならせるため、透過領域を経時的に変化させられるマスクを用いる等、レーザーの照射領域を経時的に変化させる機構を用いる必要がある。このような機構は、高精度に変化させられる方向が決まっているなど、駆動条件に制限があるため、照射領域の変更には制約を伴う。このため、多様なコア部の形状に応じてミラーの形状を変更しようとしても、対応できないことも多かった。
【0009】
以下、具体例を説明する。
図8は、従来の光導波路の製造装置の構成を示す斜視図であり、
図9は、
図8に示す光導波路の製造装置において被加工物に対して照射されるレーザーの照射領域とその走査方向とを示す平面図であり、
図10は、
図8に示す光導波路の製造装置により加工されて得られる光導波路を示す斜視図であり、
図11は、
図10の平面図である。
【0010】
図8に示す光導波路の製造装置9は、
図8の+X方向に向けてレーザーL1を出射するレーザー光源91と、透過部921によってレーザーL1をレーザーL2に成形するマスク92と、レーザーL2を
図8の−Z方向に向けて反射する反射鏡93と、を有している。
【0011】
マスク92によって成形されたレーザーL2は、反射鏡93によって反射された後、反射鏡93の−Z側に設けられた光導波路形成用部材99に達し、照射領域D1に照射される。これにより、照射領域D1では、材料の気化が生じ、積算光量に応じた深さ形状を有する凹部を加工することができる。
【0012】
図8に示す光導波路形成用部材99は、X方向に延在する長尺の帯状をなす部材であり、下側からクラッド層991、コア層993およびクラッド層992がこの順で積層されてなる部材である。また、コア層993には、平面視で線状をなすコア部994と、それ以外の部位である側面クラッド部995と、が形成されている。コア部994の一端部9941は、コア層993の一端面9931からわずかに離間しており、その結果、コア部994の一端部9941は、側面のみならず端面も含めて側面クラッド部995により囲まれている。
【0013】
照射領域D1は、
図9に示すように、この光導波路形成用部材99のうち、コア部994の光軸C1の延長線上に位置するよう、側面クラッド部995に対応する位置に設定されている。この位置にレーザー加工が施され、凹部が形成されることにより、
図10に示す光導波路90が得られる。
【0014】
また、マスク92は、Z方向に沿ってシフトさせられるよう構成されており、このシフトにより照射領域D1をX方向に走査することができる。
図9では、光導波路形成用部材99において照射領域D1を走査可能な範囲S1を一点鎖線で示している。
【0015】
したがって、
図8に示す光導波路の製造装置9では、マスク92のシフト速度を制御することにより、照射領域D1の走査速度をX方向に沿って変化させることができる。その結果、光導波路形成用部材99の上面のうち、コア部994の光軸C1の延長線上に沿う領域の各部において、積算光量を自在に制御することができ、深さ方向において任意の形状を有する凹部997を加工することができる。例えば、
図8の−X方向に向かうにつれて深さが徐々に深くなる凹部を形成することにより、
図10に示すような傾斜面9971を含む凹部997を得ることができ、これにより光反射用の鏡面(傾斜面9971)を備えた光導波路90を製造することができる。
【0016】
ところで、光導波路90には、
図10、11等に示すように、複数の凹部997が形成されている。このような複数の凹部997は、加工効率や加工精度の観点から、1回の加工プロセスにおいて同時に加工されることが求められる。この点について、
図8に示す光導波路の製造装置9では、レーザー光源91から出射したレーザーL1の断面形状がY方向に細長い長方形をなしているため、複数の凹部997の配列軸E1がY方向と平行になるよう光導波路形成用部材99が配置されていれば、それらの凹部997を同時に加工することができる。
【0017】
例えば、
図11に示すように、光導波路90の傾斜面9971の法線N1をコア層993と同一の平面上に投影したときの投影線を「投影法線N2」としたとき、投影法線N2と配列軸E1とが直交しているような複数の凹部997を同時に形成する場合、すなわち傾斜面9971の「あおり角」が配列軸E1と直交しているような複数の凹部997を同時に形成する場合には、
図8に示す光導波路の製造装置9を用いることで同時形成が可能である。
【0018】
一方、前述したように、コア部994の形状は多様であり、そのコア部994に対応して形成すべき傾斜面9971についても、例えば、
図12に示すように、配列軸E1が投影法線N2と直交していない形状のものが新たに検討されている。
【0019】
図12は、複数の凹部997の配列軸E1と傾斜面9971の投影法線N2とが直交していない光導波路90の例である。具体的には、
図12に示す光導波路90では、隣り合う2本のコア部994の一端部9941の位置が、互いにX方向にずれている。また、それに伴って、各コア部994に対応して側面クラッド部995に形成されている凹部997の位置も、互いにX方向にずれている。
【0020】
このような光導波路90について複数の凹部997を同時に形成する場合、同時に形成すべき凹部997同士の離間距離が小さい場合等には、
図8に示す光導波路の製造装置9により同時形成が可能になる場合もあるが、
図12に示すように、同時に形成すべき凹部997同士の離間距離が大きくなると、凹部997の位置がレーザーL2を走査(到達)可能な範囲S2からはみ出してしまうため、同時形成が困難になる。
【0021】
本発明の目的は、列状に並んだ複数の箇所に対して同時に加工を施すことができ、それにより加工精度の高い複数の加工痕を有する光導波路を効率よく製造可能な光導波路の製造方法および光導波路の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
このような目的は、下記(1)〜
(8)の本発明により達成される。
(1) レーザー光源と、並列する複数のコア部を備える光導波路形成用部材と、列状に並んだ複数の透過部を有するマスクと、を配置する配置工程と、
前記レーザー光源から前記各透過部を介して前記光導波路形成用部材にレーザーを照射しつつ、前記光導波路形成用部材に対する前記マスクの位置を相対的に変化させることにより、前記光導波路形成用部材に加工を施し、光導波路を得る加工工程と、を有し
、
前記マスク
の移動
が前記光導波路形成用部材に投影されてなる移動方向をマスク移動方向とし、前記複数の透過部
が前記光導波路形成用部材に投影されてなる複数の投影像が並ぶ方向を透過部配列方向としたとき
、前記マスク移動方向と前記透過部配列方向とが斜めに交差するように、前記マスク
において前記複数の透過部を配置するとともに前記光導波路形成用部材
に対して前記マスクの位置を相対的に変化させることを特徴とする光導波路の製造方法。
【0023】
(2) 前記光導波路形成用部材が平面視されたとき、前記コア部は、細長い形状をなしており、
前記配置工程において、前記コア部の延在方向の端部における一辺と前記
投影像の一辺とが平行になるよう、前記マスクを配置する上記(1)に記載の光導波路の製造方法。
【0024】
(3) 前記
投影像は、対向する2辺が平行な形状をなしており、
前記マスク移動方向と前記2辺のそれぞれの延在方向とが直交するよう、前記光導波路形成用部材に対する前記マスクの位置を相対的に変化させる上記(1)または(2)に記載の光導波路の製造方法。
【0025】
(4) 前記マスク移動方向と前記コア部の端部の光軸とが平行になるよう、前記光導波路形成用部材に対する前記マスクの位置を相対的に変化させる上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
【0026】
(5) 前記複数のコア部は、隣り合う2本の前記コア部の端部の位置が、前記コア部の延在方向において互いにずれるよう構成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
(6) 前記マスク移動方向と前記透過部配列方向との交差角度が0.01〜45°である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
(7) 前記透過部は、対向する2辺が平行な形状をなしており、
前記2辺のそれぞれの延在方向と前記透過部配列方向とが斜めに交差している上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
【0027】
(8) 並列する複数のコア部を備える光導波路形成用部材に向けてレーザーを照射するレーザー光源と、列状に並んだ複数の透過部を有するマスクと、前記光導波路形成用部材に対する前記マスクの位置が相対的に変化するよう前記光導波路形成用部材および前記マスクの少なくとも一方を移動させる移動機構と、を有し、
前記移動機構は
、前記マスク
の移動
が前記光導波路形成用部材に投影されてなる移動方向をマスク移動方向とし、前記複数の透過部
が前記光導波路形成用部材に投影されてなる複数の投影像が並ぶ方向を透過部配列方向としたとき
、前記マスク移動方向と前記透過部配列方向とが斜めに交差するように、
前記マスクにおいて前記複数の透過部が配置されているとともに前記光導波路形成用部材に対する前記マスクの位置を相対的に変化させるよう構成されていることを特徴とする光導波路の製造装置。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、列状に並んだ複数の位置に対して同時に加工を施すことができ、それにより加工精度の高い複数の加工痕を有する光導波路を効率よく製造することができる。
【0029】
また、本発明によれば、上記光導波路を効率よく製造可能な光導波路の製造装置が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の光導波路の製造方法および光導波路の製造装置について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0032】
<光導波路>
まず、本発明の光導波路の製造方法により製造される光導波路の一例について説明する。
【0033】
図1は、本発明の光導波路の製造方法により製造される光導波路を一部透過して示す斜視図であり、
図2は、
図1に示す光導波路の平面図である。
【0034】
図1に示す光導波路1は、帯状をなしており、一端と他端との間で光信号を伝送し、光通信を行う。なお、
図1には、光導波路1の一端部のみを図示している。
【0035】
図1に示す光導波路1は、下側からクラッド層11、コア層13およびクラッド層12を積層してなる積層体10を備えている。コア層13中には、長尺状のコア部14とその側面に隣接して設けられた側面クラッド部15とが形成されている。なお、
図1、2では、クラッド層12から透けて見えるコア層13中のコア部14や側面クラッド部15についても点線等で図示している。
【0036】
コア部14の幅および高さ(コア層13の厚さ)は、特に限定されないが、1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましい。これにより、コア部14の伝送効率を高めつつコア部14の高密度化を図ることができる。すなわち、単位面積当たりに敷設可能なコア部14の数を多くすることができるので、小面積であっても大容量の光通信を行うことができる。
【0037】
なお、コア層13に形成されるコア部14の数は、特に限定されないが、例えば1〜100本とされる。
【0038】
光導波路1には、その一部を除去する加工によって形成された凹部170が形成されている。
図1に示す凹部170は、コア部14の端部の延長線上であって、側面クラッド部15に対応する位置に形成されている。そして、凹部170の内側面の一部は、コア層13と同一の平面に対して傾斜する傾斜面171で構成されている。この傾斜面171は、コア部14の光路を変換するミラー(光路変換部)として機能する。すなわち、傾斜面171からなるミラーは、例えば
図2に示すコア部14を下側から上側に向かって伝搬する光を、
図2の紙面裏側に向けて反射することにより、光の伝搬方向を変換する。また、反対に、
図2の紙面裏側から表側に向かって伝搬する光を、
図2の下方に向かって反射することにより、光の伝搬方向を変換する。
【0039】
傾斜面171は、
図1、2に示すように、クラッド層12からコア層13を経てクラッド層11に至るまでの間に連続して形成された平坦面である。また、凹部170の内側面のうち、傾斜面171に対向する位置には、別の傾斜面172が設けられている。この傾斜面172も、傾斜面171と同様、クラッド層12からコア層13を経てクラッド層11に至るまでの間に連続して形成された平坦面である。
【0040】
なお、本実施形態では、傾斜面171および傾斜面172がそれぞれ平坦面である場合を例に説明しているが、本発明では、傾斜面171および傾斜面172が必ずしも平坦面である必要はなく、必要に応じて湾曲面であったり、部分的に傾斜角度が異なる平坦面であってもよい。
【0041】
一方、凹部170の内側面のうち、コア部14の光軸とほぼ平行な2つの面は、それぞれコア層13と同一の平面に対して垂直であるという関係を有する直立面173、174である。
【0042】
このような2つの傾斜面171、172と、2つの直立面173、174とにより、凹部170の内側面が構成されている。
【0043】
なお、凹部170の最大深さは、積層体10の厚さから適宜設定されるものであり、特に限定されないが、光導波路1の機械的強度や可撓性といった観点から、好ましくは1〜500μm程度とされ、より好ましくは5〜400μm程度とされる。なお、凹部170は、部分的に積層体10を貫通していてもよい。
【0044】
また、凹部170の最大長さ、すなわち
図2における凹部170の開口のうち、コア部14の光軸C2に平行な成分の最大長さは、特に限定されないが、クラッド層11、12やコア層13の厚さや傾斜面171の傾斜角度との関係から、好ましくは2〜1200μm程度とされ、より好ましくは10〜1000μm程度とされる。
【0045】
さらに、凹部170の最大幅、すなわち
図2における凹部170の開口のうち、コア部14の光軸C2に直交する成分の最大長さは、特に限定されず、コア部14の幅等に応じて適宜設定されるが、好ましくは1〜600μm程度とされ、より好ましくは5〜500μm程度とされる。
【0046】
なお、凹部170は、1本のコア部14に対して1つ形成されていてもよいが、複数本のコア部14に対してこれらに跨るように1つの凹部170が設けられていてもよい。
【0047】
また、
図2に示すように2個の凹部170を形成する場合、それらの形成位置は、X方向において互いにずれている。このようにして凹部170の形成位置をX方向においてずらすことにより、凹部170同士の離間距離を確保することができる。このため、凹部170を形成したことによって、隣り合う凹部170にその影響が及ぶのを抑制することができる。また、傾斜面171を介して光学的に接続される他の光学部品(例えば光素子等)についても、光学部品同士の離間距離を十分に確保することができるので、相互の干渉が抑制され、実装容易性が高まるとともに、クロストークを抑制することができる。
【0048】
なお、
図1に示す凹部170の開口の形状は、長方形であるが、本発明で加工される凹部170の開口の形状はこれに限定されず、いかなる形状であってもよいが、例えば、五角形、六角形のような多角形、楕円形、長円形のような円形等が挙げられる。
【0049】
また、傾斜面171は、ミラーとして機能するものであるため、コア部14の光路を変換する方向に応じてその傾斜角度が適宜設定されるが、コア層13と同一の平面を基準面としたとき、基準面と傾斜面171とがなす角度(鋭角側)は、30〜60°程度であるのが好ましく、40〜50°程度であるのがより好ましい。傾斜角度を前記範囲内に設定することにより、傾斜面171においてコア部14の光路を効率よく変換し、光路変換に伴う損失を抑制することができる。
【0050】
また、基準面と傾斜面172とがなす角度(鋭角側)は、特に限定されないが、20〜90°程度であるのが好ましく、傾斜面171の傾斜角度と同じにするのがより好ましい。これにより、凹部170近傍に応力が発生したとき、応力が偏在し難くなり、やはり応力集中による不具合の発生を特に抑制することができる。
【0051】
一方、基準面と直立面173、174とがなす角度(鋭角側)は、それぞれ好ましくは60〜90°程度とされる。各図では、ほぼ90°として図示している。なお、基準面と直立面173、174とがなす角度は、このような範囲に限定されず、60°未満であってもよい。
【0052】
上述したようなコア層13およびクラッド層11、12の構成材料(主材料)は、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料等を用いることができる。なお、樹脂材料は、異なる組成のものを組み合わせた複合材料であってもよい。これらは、レーザー加工により容易に加工し得るため、コア層13やクラッド層11、12の構成材料として好適である。
【0053】
ここで、光導波路1に形成された各傾斜面171の法線がコア層13と同一の平面上に投影されたとき、投影された法線N3(以下、「投影法線N3」という。)は、
図2に示すように、X方向にもY方向にも傾いている。なお、「X方向にもY方向にも傾いている」とは、投影法線N3が、
図2に示すように、X方向に対して平行も直交もしておらず、かつ、Y方向に対しても平行も直交もしていない状態を指す。同様に、コア部14の光軸C2も、X方向およびY方向の双方に対して傾いている。
【0054】
一方、光導波路1には、複数の(各図では2つの)凹部170が形成されており、これらの凹部170の配列は、Y方向に平行な配列軸E2に沿っている。
【0055】
したがって、光導波路1では、傾斜面171の投影法線N3(コア部14の光軸C2)と複数の凹部170の配列軸E2とが直交していないこととなる。複数の凹部170がこのように配置されている場合、従来の光導波路の製造装置では、前述したように、いくつかの装置構造上の制約により、これらの凹部170を同時にレーザー加工することができないという問題を抱えていた。
【0056】
これに対し、後述する光導波路の製造装置2では、これら複数の凹部170を1回の加工プロセスで同時に加工することが可能である。
【0057】
なお、このような光導波路1は、
図2に示すように、隣り合うコア部14に対応して設けられた凹部170が、コア部14の延在方向において互いにずれて配置されているため、
図11に示す光導波路90に比べて、凹部170同士の離間距離をより大きくすることができる。これは、換言すると、凹部170同士の離間距離をそれほど縮めることなく、コア部のピッチをより狭めた光導波路1の形成を可能にするといえる。よって、凹部170を
図2に示すように配置することで、光導波路1の同一面積に形成されるコア部14の数をより多くすることができ、光導波路1の高密度化を図ることができる。そして、このような光導波路1を用いることにより、光通信の高速化および大容量化に寄与することができる。
【0058】
<光導波路の製造装置>
次に、本発明の光導波路の製造装置の実施形態について説明する。
【0059】
図3は、本発明の光導波路の製造装置の構成を示す斜視図であり、
図4は、
図3に示す光導波路の製造装置が備えるマスクの平面図、
図5は、光導波路形成用部材に対してレーザー加工を施して光導波路を製造する方法を説明するための平面図である。
【0060】
図3に示す光導波路の製造装置2は、
図3の+X方向に向けてレーザーL3を出射するレーザー光源21と、レーザーL3をレーザーL5に成形するマスク22と、レーザーL5を
図3の−Z方向に向けて反射する反射鏡23と、を有している。
【0061】
マスク22によって成形されたレーザーL5は、反射鏡23によって反射された後、反射鏡23の−Z側に設けられた光導波路形成用部材29に達し、照射領域D2に照射される。これにより、照射領域D2では、材料の気化が生じ、積算光量に応じた深さ形状を有する凹部を加工することができる。
【0062】
図3に示す光導波路形成用部材29は、X−Y平面内において延在する長尺の帯状をなす部材であり、下側からクラッド層11、コア層13およびクラッド層12がこの順で積層されてなる部材である。また、コア層13には、平面視で線状をなすコア部14と、それ以外の部分である側面クラッド部15と、が形成されている。コア部14の一端部141は、コア層13の一端面131からわずかに離間しており、その結果、コア部14の一端部141は、側面のみならず端面も含めて側面クラッド部15により囲まれている。
【0063】
照射領域D2は、
図5に示すように、この光導波路形成用部材29のうち、コア部14の光軸C2の延長線上に位置するよう設定されている。この位置にレーザー加工が施され、凹部170が形成されることにより、
図1に示す光導波路1が得られる。
【0064】
以下、光導波路の製造装置2の各部の構成について順次詳述する。
(レーザー光源)
レーザー光源21としては、特に限定されないが、比較的広い領域に対して均等な光量を照射可能なものが好ましく用いられる。具体的には、例えば、YAGレーザー、YVO
4レーザー、Ybレーザー、半導体レーザーのような各種固体レーザー、CO
2レーザー、He−Neレーザー、エキシマーレーザーのような各種気体レーザー等が挙げられる。このうち、光量の均等性や加工に適した波長であるといった観点から、エキシマーレーザーが好ましく用いられる。
【0065】
なお、本実施形態に係るレーザー光源21は、Y方向に長軸を持つ長方形をなす断面形状を有するレーザーL3を出射する。
【0066】
(反射鏡)
反射鏡23は、レーザーL5を反射させ、照射方向を変換する。このような反射鏡23を用いることにより、レーザーL3の出射方向とレーザーL5の照射方向とを異ならせることができるので、光導波路の製造装置2の設計自由度を高めることができる。その結果、より小型の装置を実現することができる。
【0067】
なお、光導波路の製造装置2は、必要に応じて、このような反射鏡23を2枚以上備えていてもよい。
【0068】
また、反射鏡23を省略し、マスク22で成形されたレーザーL5を直接、光導波路形成用部材29に照射するようにしてもよい。その場合、マスク22については、必要に応じて、光導波路形成用部材29に接するよう配置してもよい。
【0069】
(マスク)
図3に示す光導波路の製造装置2は、前述したように、マスク22を備えている。
【0070】
本実施形態に係るマスク22は、レーザー光源21に対して固定されており、したがって、レーザーL3は、常時、マスク22の同じ位置に照射されることとなる。マスク22は、透光性のない材料で構成された板状体220を備えており、その一部には、板状体220を貫通する2つの透過部221が形成されている。マスク22に照射されたレーザーL3は、この透過部221で成形され、成形後のレーザーL5は、マスク22の+X側に位置する反射鏡23に照射される。
【0071】
マスク22は、透過部221においてレーザーL3を透過し、それ以外の部位においてレーザーL3を遮蔽または減衰させるよう構成されているが、このような構成に限定されず、部分的にレーザーL3を透過する透過部221を備えたマスクであればいかなるものでもよい。
【0072】
具体的には、クロムマスク、エマルジョンマスク、フィルムマスクのような各種フォトマスク、メタルマスク、シリコンマスクのような各種ステンシルマスク等が挙げられるが、レーザーL3に対する耐性、遮光性等の観点から、ステンシルマスクが好ましく用いられ、メタルマスクがより好ましく用いられる。
【0073】
ここで、
図4は、
図3に示すマスク22を、その位置より+X側から見たときの平面図である。
図4に示すように、マスク22に形成される透過部221は、形成しようとする凹部170の数に合わせて2個形成されている。
【0074】
また、各透過部221は、その形状が長方形をなしているものであって、光導波路形成用部材29に投影されたとき、形成しようとする凹部170の開口の形状である長方形と長軸同士が直交するような長方形をなしているものとされる。このような形状をなす透過部221が、その短軸と平行な方向に、光導波路形成用部材29に対して相対的に移動しつつ、レーザーL3が照射されることにより、光導波路形成用部材29に凹部170が形成されることとなる。
【0075】
図4に示す透過部221は、その短軸R1がZ方向に対して傾斜角度θ1で傾くよう構成されている。後述するように、この傾斜角度θ1を適宜設定することにより、従来の光導波路の製造装置では形成することができなかった光導波路についても、本発明によれば製造することが可能になる。
【0076】
なお、レーザーL5の光路の途中にレンズ等の光学系が設けられていてもよい。その場合、この光学系の拡大倍率または縮小倍率に応じて、形成しようとする凹部170の開口の大きさに対して透過部221の大きさを変更することができる。これにより、例えば露光領域の分解能を高めたりすることができる。
【0077】
また、マスク22に形成する透過部221の数は、同時に形成しようとする凹部170の数より多ければいくつでもよいが、光導波路の製造装置2は、複数の凹部170を同時に形成することにより、複数の傾斜面171の面精度における個体差を小さく抑えられるため、チャンネル間(コア部14同士の間)における伝送特性のバラツキが小さい光導波路1を効率よく製造することができる。
【0078】
また、透過部221の形状は、長方形に限定されず、多角形や円形等であってもよいが、好ましくは長方形、六角形、長円形といった、対向する略平行な2辺を持つ形状であるのが好ましい。透過部221の形状をこのような2辺を持つ形状とすることにより、平坦な傾斜面171の面精度をより高めることができる。なお、この場合、これらの対向する略平行な2辺は、
図4に示す透過部221の2つの長辺に対応するものとして扱うことができ、マスク22は、
図4に示すように短軸R1がZ方向に対して傾斜角度θ1で傾くように配置される。
【0079】
また、透過部221は、その形状によらず、その一辺と、コア部14を平面視したときの延在方向の端部の一辺(コア部14の端面に対応する一辺)とが、平行になるよう構成されたものであるのが好ましい。このような透過部221によりレーザーL5が成形されることで、形成される傾斜面171の後述する投影法線N3は、コア部14の端部の光軸C2と平行になる。このため、このような透過部221を備えたマスク22を用いることで、コア部14の光路を特に高い効率で変換し得る傾斜面171を効率よく形成することができる。
【0080】
(光導波路形成用部材)
図3に示す光導波路の製造装置2には、光導波路形成用部材29がセットされている。
図3に示す光導波路の製造装置2は、図示しないステージを備えており、光導波路形成用部材29はこのステージ上に載置される。また、このステージは、X軸とY軸に移動可能なX−YステージやX軸とY軸とZ軸とに移動可能なX−Y−Zステージ等であってもよい。これにより、光導波路形成用部材29を自在に移動することができるので、光導波路形成用部材29の任意の位置に、前述したレーザーL5による照射領域D2を移動させることができる。その結果、任意の位置に凹部170を形成することができる。
【0081】
図5の矢印229に示すように光導波路形成用部材29を移動させると、範囲S3の中で照射領域D2が移動し、この領域に加工を施す。この際、移動パターンを適宜設定することにより、範囲S3中で積算光量の分布に偏りを形成し、所望の傾斜角度を有する傾斜面171を形成することができる。
【0082】
図2の場合、コア部14の光軸C2は、X方向に対して傾斜角度θ2で傾斜しており、そのコア部14に対応して形成される傾斜面171の投影法線N3も、X方向に対して傾斜角度θ2で傾斜している。したがって、このような形状の傾斜面171を含む凹部170を形成するためには、投影法線N3に平行な方向に沿って部分的な積算光量が変化するように、レーザーL5を移動させる必要がある。
【0083】
よって、
図4に示すマスク22の透過部221の短軸R1がZ方向に対して傾斜角度θ1で傾斜しているとき、傾斜角度θ1が上述した傾斜角度θ2と等しくなるように設定することで、目的とするあおり角を有する傾斜面171(X方向に対して傾斜角度θ2で傾斜する投影法線N3を有する傾斜面171)を確実に形成することができる。
【0084】
このとき、傾斜角度θ1は、0°超90°未満であれば特に限定されないが、好ましくは1〜89°程度であるのが好ましく、10〜80°程度であるのがより好ましい。傾斜角度θ1を前記範囲内に設定することにより、形成される傾斜面171のあおり角(投影法線N3とX方向とがなす角度)の精度をより高めることができ、他の光学部品との光結合効率といった光学性能の高い光導波路1を得ることができる。ただし、前記傾斜角度θ1とは、透過部221の短軸R1とZ方向とがなす角度のうち、鋭角側の角度を指す。
【0085】
一方、マスク22に形成されている2つの透過部221は、Y軸に沿って配列している。このため、同様にY軸に平行な配列軸E2に沿って配列している2つの凹部170を形成するとき、このマスク22を用いることによって、2つの凹部170を同時に形成することができる。
【0086】
すなわち、
図5に矢印229で示す方向に光導波路形成用部材29を移動させることにより、配列軸E2に沿って配列している2つの凹部170を同時に形成することができる。これは、光導波路形成用部材29の移動方向が、コア部14の光軸C2と平行であり、かつ、2つの透過部221の配列軸が、2つの凹部170の配列軸E2と平行になっていることから、隣り合う2本のコア部14の一端部141の位置がコア部14の長手方向において互いにずれているような構造の光導波路形成用部材29に対しても、複数の凹部170を同時に形成することが可能になるからである。
【0087】
ここで、光導波路形成用部材29の移動方向である
図5の矢印229が指す方向と、マスク22の透過部221の配列軸を光導波路形成用部材29に投影した、2つの凹部170の配列軸E2とが、斜めに交差、すなわち、交差する角度を交差角度θ3としたとき、交差角度θ3が0°超90°未満の範囲内となるよう適宜設定されればよい。
【0088】
また、特に、形成しようとする傾斜面171の投影法線N3が、コア部14の光軸C2と平行である場合には、交差角度θ3および前述した傾斜角度θ2は、「θ3=90°−θ2」の関係を満足するのが好ましい。これにより、より反射効率の高い傾斜面171を、同時により多く形成することができるので、とりわけ光学特性に優れた光導波路1を製造することができる。
【0089】
交差角度θ3は、0°超90°未満であれば特に限定されないが、好ましくは0.01〜45°程度であるのが好ましく、0.1〜40°程度であるのがより好ましく、0.3〜30°程度であるのがさらに好ましい。交差角度θ3を前記範囲内に設定することにより、隣り合う2本のコア部14の一端部141の位置がコア部14の長手方向において互いにずれているとき、そのずれ量に応じてレーザーL5の照射領域D2を目的とする位置に適切に配置することができる。その結果、様々な形状のコア部14が形成された光導波路形成用部材29に対して、より正確に加工を施すことができ、光導波路1をより効率よく製造することができる。なお、前記交差角度θ3とは、光導波路形成用部材29の移動方向である矢印229が指す方向と、マスク22の透過部221の配列軸を光導波路形成用部材29に投影した、2つの凹部170の配列軸E2とが交差する角度のうち、鋭角側の角度を指す。
【0090】
以上のことから、光導波路の製造装置2によれば、隣り合う2本のコア部14の一端部141の位置がコア部14の長手方向において互いにずれているような光導波路形成用部材29に対しても、コア部14の位置に合わせて2つの凹部170を同時に形成することができる。このように複数の凹部170を同時に形成することで、同時に形成される凹部170間の加工精度を一定のレベルに維持することができ、凹部170の寸法バラツキを最小限に抑えることができる。その結果、他の光学部品との光結合効率のバラツキが少ない、光学特性に優れた光導波路1を効率よく製造することができる。
【0091】
なお、本実施形態では、マスク22を固定し、被加工物である光導波路形成用部材29を移動しつつ加工を施す場合について説明しているが、本発明では、この実施形態とは反対に、光導波路形成用部材29を固定した状態でマスク22を移動しつつ加工を施すようにしてもよく、マスク22と光導波路形成用部材29の双方を移動しつつ加工を施すようにしてもよい。これらいずれの場合であっても、光導波路形成用部材29を基準にした系において、マスク22が相対的に移動する方向を光導波路形成用部材29に投影した「マスク移動方向」と、マスク22の透過部221が配列する方向を光導波路形成用部材29に投影した「透過部配列方向」とが、斜めに交差するようにすれば、上述したのと同様の作用、効果が得られる。
【0092】
マスク22を移動する場合、その移動機構としては、例えば、アクチュエーター、油圧シリンダー、電動シリンダー等を用いることができる。
【0093】
また、本実施形態に係るレーザー光源21は、Y方向に長軸を持つ長方形をなす断面形状を有するレーザーL3を出射するので、このようなレーザー光源21を用いて複数の凹部170を同時に形成する場合、透過部配列方向をY方向と平行にすることで、より多くの凹部170を同時に形成することができる。
【0094】
なお、レーザーL3の照射範囲を光導波路形成用部材29に投影した範囲を、
図5に示す範囲S4としたとき、前述した照射領域D2の移動範囲である範囲S3がこの範囲S4の中に収まってさえいれば、透過部配列方向は、必ずしもY方向と平行でなくてもよい。
【0095】
また、本実施形態では、傾斜面171の投影法線N3がコア部14の光軸C2と平行である場合について説明している(
図2参照)が、これらが平行でない場合についても本発明は適用可能である。
【0096】
なお、光導波路の製造装置2は、必要に応じて、レーザーL3やレーザーL5を一時的に遮蔽するシャッター等を備えていてもよい。
【0097】
<光導波路の製造方法>
次に、本発明の光導波路の製造方法の実施形態について説明する。
【0098】
図1に示す光導波路1を製造するには、まず、
図3に示す光導波路の製造装置2に光導波路形成用部材29をセットする。また、マスク22を所定の位置に配置する(配置工程)。
【0099】
このとき、マスク22の透過部221のみをレーザーL5が透過し、光導波路形成用部材29に照射された場合を想定すると、レーザーL5の照射領域D2の短軸が、光導波路形成用部材29のコア部14の端部の延在方向(
図2に示す光軸C2)と平行になるように、マスク22および光導波路形成用部材29をそれぞれ配置する。これにより、形成される傾斜面171のあおり角を目的とする角度(本実施形態では、
図2に示すように、傾斜面171の投影法線N3とコア部14の光軸C2とが平行(同軸)になるあおり角)に合わせることができる。なお、コア部14が平面視で湾曲している場合であっても、レーザーL5の照射領域D2の短軸は、コア部14の端部の延在方向(端部の光軸C2)と平行になるように、マスク22および光導波路形成用部材29をそれぞれ配置するようにすればよい。
【0100】
次いで、レーザー光源21からレーザーL3を照射しつつ、照射領域D2が経時的に移動するように、光導波路形成用部材29を移動する。この移動には、前述したようなX−Yステージ等を用いることができる。このようにして光導波路形成用部材29を移動しつつレーザーL5が照射されることにより、照射領域には自ずと積算光量の分布の偏りが形成されることとなる。その結果、積算光量の分布に応じた加工量の分布により、凹部170を形成することができる。
【0101】
そしてこの際、前述したように、光導波路形成用部材29の移動方向である矢印229が指す方向と、マスク22の透過部221の配列軸を光導波路形成用部材29に投影した配列軸E2との交差角度θ3を0°超90°未満に設定することにより、例えば隣り合う2本のコア部14の一端部141の位置がコア部14の長手方向において互いにずれているような光導波路形成用部材29に対しても、コア部14の位置に合わせて2つの凹部170を同時に形成することができる。これにより、複数の凹部170の形成効率を特に高めることができる。また、このように複数の凹部170を同時に形成することで、各凹部170を個別に形成する場合に比べて、凹部170間の加工精度を一定のレベルに維持することができ、凹部170の寸法バラツキを最小限に抑えることができる。その結果、他の光学部品との光結合効率のバラツキが少ない、光学特性に優れた光導波路1を効率よく製造することができる。
【0102】
なお、形成しようとする凹部170に関し、
図5に示す交差角度θ3が比較的大きい場合、例えば75°以上90°未満である場合には、Z方向に対するマスク22の透過部221の傾斜角度θ1を0°にするとともに、X方向に対するコア部14の光軸C2の傾斜角度θ2を0°にしてもよい。
【0103】
図6、7は、この例を示す図である。具体的には、
図6は、
図4に示すマスクの他の構成例を示す図であり、
図7は、光導波路形成用部材に対してレーザー加工を施して光導波路を製造する他の方法を説明するための平面図である。なお、
図6に示すマスク22および
図7に示す光導波路形成用部材29は、後述する事項が異なる以外、
図4に示すマスク22および
図5に示す光導波路形成用部材29と同様である。
【0104】
図6に示すマスク22では、2つの透過部221の配列方向が、Y方向に対して斜めに傾いている。この点が、
図4に示すマスク22と相違している。なお、
図4に示すマスク22では、2つの透過部221の配列方向がY方向と平行になっている。そして、
図7に示す光導波路形成用部材29は、
図2に示す傾斜角度θ2が0°になるように配置されている。
【0105】
このように、形成しようとする凹部170に関し、交差角度θ3が比較的大きい場合には、隣り合う凹部170同士でX方向におけるずれ量が比較的小さくなるため、光導波路形成用部材29を
図7に示すように配置するとともに、
図6に示すようなマスク22を用いることによって、2つの凹部170を同時に形成することができる。
【0106】
また、この場合、光導波路形成用部材29の移動方向を示す
図7の矢印229をX方向と平行な方向に固定することができるので、光導波路形成用部材29の移動精度をより高められるとともに、交差角度θ3が比較的大きい範囲内であれば、交差角度θ3によらず光導波路形成用部材29の移動方向を変える必要がないので、光導波路1の製造工程をより簡素化することができる。
【0107】
以上、本発明の光導波路の製造方法および光導波路の製造装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0108】
例えば、前記実施形態では、光導波路形成用部材に対し、ミラーとして用いるため傾斜面(凹部)を形成する場合について説明したが、加工痕の用途はこれに限定されず、例えば光導波路に任意の目的の凹部や貫通孔(例えば、ランド部を形成するための凹部や貫通配線を形成するための貫通孔)を形成する場合にも、本発明を適用することができる。
また、この傾斜面は、コア部の延長線上ではなく、コア部の途中に形成されてもよい。