(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジンからの動力が伝達される入力側回転子、及び入力側回転子に対し相対回転可能な第1出力側回転子を含み、入力側回転子と第1出力側回転子間にトルクが作用する第1回転電機と、
固定子及び第2出力側回転子を含み、固定子と第2出力側回転子間にトルクが作用する第2回転電機と、
第1出力側回転子からカウンタ軸への動力伝達、及び第2出力側回転子からカウンタ軸への動力伝達を行うための第1伝動機構と、
カウンタ軸から駆動軸への動力伝達を行うための第2伝動機構と、
を備え、
第1回転電機の径方向において入力側回転子と第1出力側回転子が対向配置され、
第2回転電機の径方向において固定子と第2出力側回転子が対向配置され、
入力側回転子の回転軸、第2出力側回転子の回転軸、及びカウンタ軸が互いに平行に配置され、
第2回転電機は、入力側回転子及び第2出力側回転子の回転軸と直交する方向において第1回転電機と重ならないように、入力側回転子及び第2出力側回転子の回転軸方向に関する位置を、第1回転電機に対してエンジンと反対側にずらして配置されており、
第1出力側回転子が入力側回転子の外周側に配置され、
第1伝動機構は、第1出力側回転子の外周に設けられた第1伝動要素と、カウンタ軸に連結され第1伝動要素と係合する第2伝動要素とを含む、動力伝達装置。
エンジンからの動力が伝達される入力側回転子、及び入力側回転子に対し相対回転可能な第1出力側回転子を含み、入力側回転子と第1出力側回転子間にトルクが作用する第1回転電機と、
固定子及び第2出力側回転子を含み、固定子と第2出力側回転子間にトルクが作用する第2回転電機と、
第1出力側回転子からカウンタ軸への動力伝達、及び第2出力側回転子からカウンタ軸への動力伝達を行うための第1伝動機構と、
カウンタ軸から駆動軸への動力伝達を行うための第2伝動機構と、
を備え、
第1回転電機の径方向において入力側回転子と第1出力側回転子が対向配置され、
第2回転電機の径方向において固定子と第2出力側回転子が対向配置され、
入力側回転子の回転軸、第2出力側回転子の回転軸、及びカウンタ軸が互いに平行に配置され、
第2回転電機は、入力側回転子及び第2出力側回転子の回転軸と直交する方向において第1回転電機と重ならないように、入力側回転子及び第2出力側回転子の回転軸方向に関する位置を、第1回転電機に対してエンジンと反対側にずらして配置されており、
第1出力側回転子をカウンタ軸または固定部材に選択的に係合させる第3クラッチ機構をさらに備え、
第3クラッチ機構が、前記回転軸方向に関して、第1回転電機に対してエンジンと反対側の位置に配置されている、動力伝達装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
【0018】
「実施形態1」
図1は、本発明の実施形態1に係る動力伝達装置を備えるハイブリッド駆動装置の構成の概略を示す図である。本実施形態に係るハイブリッド駆動装置は、動力(機械的動力)を発生可能な原動機として設けられたエンジン(内燃機関)36と、動力(機械的動力)の発生及び発電が可能な第1及び第2回転電機10,11と、を備える。なお、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置については、例えば車両を駆動するための動力出力装置として用いることができる。
【0019】
第1回転電機10は、回転可能な入力側ロータ28と、径方向において入力側ロータ28と所定の空隙を空けて対向し、入力側ロータ28に対し相対回転可能な第1出力側ロータ18と、を有する。
図1に示す例では、第1出力側ロータ18が入力側ロータ28の外周側(径方向外側)の位置で入力側ロータ28と対向配置されている。入力側ロータ28は、ロータコア52と、ロータコア52にその周方向に沿って配設された複数相(例えば3相)のロータ巻線30と、を含む。複数相のロータ巻線30に複数相(例えば3相)の交流電流が流れることで、ロータ巻線30は、ロータ周方向に回転する回転磁界を発生することができる。第1出力側ロータ18は、ロータコア53と、ロータコア53にその周方向に沿って配設され界磁束を発生する複数の永久磁石33と、を含む。複数の永久磁石33は、ロータコア53の内周部に入力側ロータ28(ロータコア52)と対向して配設されている。
【0020】
第2回転電機11は、ケーシングに固定されたステータ16と、径方向においてステータ16と所定の空隙を空けて対向し、ステータ16に対し相対回転可能な第2出力側ロータ19と、を有する。
図1に示す例では、第2出力側ロータ19がステータ16の内周側(径方向内側)の位置でステータ16と対向配置されている。ステータ16は、ステータコア51と、ステータコア51にその周方向に沿って配設された複数相(例えば3相)のステータ巻線20と、を含む。複数相のステータ巻線20に複数相(例えば3相)の交流電流が流れることで、ステータ巻線20は、ステータ周方向に回転する回転磁界を発生することができる。第2出力側ロータ19は、ロータコア54と、ロータコア54にその周方向に沿って配設され界磁束を発生する複数の永久磁石32と、を含む。複数の永久磁石32は、ロータコア54の外周部にステータ16(ステータコア51)と対向して配設されている。
【0021】
直流電源として設けられた充放電可能な蓄電装置42は、例えば二次電池により構成することができ、電気エネルギーを蓄える。蓄電装置42とステータ巻線20との間で電力変換を行う第1電力変換装置として設けられたインバータ40は、スイッチング素子と、スイッチング素子に対し逆並列接続されたダイオード(整流素子)とを備える公知の構成により実現可能であり、スイッチング素子のスイッチング動作により蓄電装置42からの直流電力を交流(例えば3相交流)に変換して、ステータ巻線20の各相に供給することが可能である。さらに、インバータ40は、ステータ巻線20の各相に流れる交流電流を直流に変換して、電気エネルギーを蓄電装置42に回収する方向の電力変換も可能である。このように、インバータ40は、蓄電装置42とステータ巻線20との間で双方向の電力変換を行うことが可能である。
【0022】
スリップリング95は、入力側ロータ28と機械的に連結されており、さらに、ロータ巻線30の各相と電気的に接続されている。回転が固定されたブラシ96は、スリップリング95に押し付けられて電気的に接触する。スリップリング95は、ブラシ96に対し摺動しながら(ブラシ96との電気的接触を維持しながら)、入力側ロータ28とともに回転する。ブラシ96は、インバータ41と電気的に接続されている。蓄電装置42及びインバータ40のいずれかとロータ巻線30との間で電力変換を行う第2電力変換装置として設けられたインバータ41は、スイッチング素子と、スイッチング素子に対し逆並列接続されたダイオード(整流素子)とを備える公知の構成により実現可能であり、スイッチング素子のスイッチング動作により蓄電装置42からの直流電力を交流(例えば3相交流)に変換して、ブラシ96及びスリップリング95を介してロータ巻線30の各相に供給することが可能である。さらに、インバータ41は、ロータ巻線30の各相に流れる交流電流を直流に変換する方向の電力変換も可能である。その際には、ロータ巻線30の交流電力がスリップリング95及びブラシ96により取り出され、この取り出された交流電力がインバータ41で直流に変換される。インバータ41で直流に変換された電力は、インバータ40で交流に変換されてからステータ巻線20の各相へ供給可能である。つまり、インバータ40は、インバータ41からの直流電力と蓄電装置42からの直流電力とのいずれか(少なくとも一方)を交流に変換してステータ巻線20の各相へ供給することが可能である。また、インバータ41で直流に変換された電力を蓄電装置42に回収することも可能である。このように、インバータ41は、蓄電装置42及びインバータ40のいずれかとロータ巻線30との間で双方向の電力変換を行うことが可能である。
【0023】
伝動機構(第1伝動機構)56は、伝動歯車56−1,56−2,56−3を伝動要素として有する歯車伝動機構であり、伝動歯車56−2が伝動歯車56−1,56−3と噛み合うことで係合している。伝動歯車56−1は第1回転電機10の第1出力側ロータ18に機械的に連結され、伝動歯車56−3は第2回転電機11の第2出力側ロータ19に機械的に連結され、伝動歯車56−2はカウンタ軸73に機械的に連結されている。伝動機構(第2伝動機構)57は、互いに噛み合う(係合する)伝動歯車57−1,57−2を伝動要素として有する歯車伝動機構であり、伝動歯車57−1がカウンタ軸73に機械的に連結され、伝動歯車57−2がディファレンシャルケース39に機械的に連結されている。
【0024】
第1回転電機10の入力側ロータ28及びスリップリング95はエンジン36と機械的に連結されていることで、入力側ロータ28にはエンジン36からの動力が伝達される。第1回転電機10の第1出力側ロータ18は伝動歯車56−1,56−2を介してカウンタ軸73に機械的に連結されていることで、カウンタ軸73には第1出力側ロータ18からの動力が伝動歯車56−1,56−2を介して伝達される。
図1に示す例では、伝動歯車56−1の径(ピッチ円径)が伝動歯車56−2の径(ピッチ円径)より大きく、第1出力側ロータ18からの動力が伝動歯車56−1,56−2で増速されてカウンタ軸73へ伝達される。第2回転電機11の第2出力側ロータ19は伝動歯車56−3,56−2を介してカウンタ軸73に機械的に連結されていることで、カウンタ軸73には第2出力側ロータ19からの動力が伝動歯車56−3,56−2を介して伝達される。
図1に示す例では、伝動歯車56−3の径(ピッチ円径)が伝動歯車56−2の径(ピッチ円径)より小さく、第2出力側ロータ19からの動力が伝動歯車56−3,56−2で減速されてカウンタ軸73へ伝達される。カウンタ軸73は伝動機構57(伝動歯車57−1,57−2)を介して駆動軸37に機械的に連結されていることで、駆動軸37(車輪38)にはカウンタ軸73からの動力が伝動機構57を介して伝達される。したがって、第1出力側ロータ18からの動力が伝動歯車56−1,56−2及び伝動機構57を介して駆動軸37へ伝達され、第2出力側ロータ19からの動力が伝動歯車56−3,56−2及び伝動機構57を介して駆動軸37へ伝達される。
【0025】
エンジン36及び第1回転電機10の入力側ロータ28の回転軸は一致しており、この回転軸方向においてエンジン36と第1回転電機10が対向配置されている。第2回転電機11の第2出力側ロータ19の回転軸72、カウンタ軸73、及び駆動軸37は、エンジン36及び入力側ロータ28の回転軸71と平行に配置されている。
図1に示す例では、回転軸71,72と直交する方向(
図1の上下方向)においてカウンタ軸73が回転軸71と回転軸72との間の位置に配置されている。第2回転電機11は、回転軸71,72と直交する方向から見て第1回転電機10と重なり合わない(対向しない)ように、入力側ロータ28及び第2出力側ロータ19の回転軸方向(以下単に回転軸方向とする)に関する位置を、第1回転電機10に対してエンジン36と反対側(
図1の左側)にずらして配置されている。そして、スリップリング95及びブラシ96は、回転軸方向に関して、第1回転電機10に対してエンジン36と反対側の位置に配置されている。さらに、回転軸方向に関して、第1回転電機10が伝動機構56に対してエンジン36側(
図1の右側)の位置に配置され、第2回転電機11が伝動機構56に対してエンジン36と反対側の位置に配置されている。
図1に示す例では、回転軸方向に関して、伝動歯車56−1が第1回転電機10とスリップリング95との間の位置に配置され、伝動歯車56−3に対して第2回転電機11がエンジン36と反対側の位置に配置され、伝動歯車56−2に対して伝動歯車57−1がエンジン36側の位置に配置されている。
【0026】
電子制御ユニット50は、インバータ40のスイッチング素子のスイッチング動作を制御してインバータ40での電力変換を制御することで、ステータ巻線20の各相に流れる交流電流を制御する。そして、電子制御ユニット50は、インバータ41のスイッチング素子のスイッチング動作を制御してインバータ41での電力変換を制御することで、ロータ巻線30の各相に流れる交流電流を制御する。さらに、電子制御ユニット50は、エンジン36の運転状態の制御も行う。
【0027】
インバータ40のスイッチング動作により複数相のステータ巻線20に複数相(例えば3相)の交流電流が流れることで、ステータ巻線20は、ステータ周方向に回転する回転磁界を発生する。そして、ステータ巻線20で発生した回転磁界と永久磁石32で発生した界磁束との電磁気相互作用(吸引及び反発作用)により、第2出力側ロータ19にトルク(磁石トルク)を作用させることができ、第2出力側ロータ19を回転駆動することができる。つまり、蓄電装置42からインバータ40を介してステータ巻線20に供給された電力を第2出力側ロータ19の動力(機械的動力)に変換することができ、第2回転電機11(ステータ16及び第2出力側ロータ19)を同期電動機(PMモータ部)として機能させることができる。さらに、第2出力側ロータ19の動力をステータ巻線20の電力に変換してインバータ40を介して蓄電装置42に回収することも可能である。このように、ステータ16のステータ巻線20と第2出力側ロータ19の永久磁石32とが電磁気的に結合されていることで、ステータ巻線20で発生する回転磁界を第2出力側ロータ19に作用させて、ステータ16と第2出力側ロータ19との間にトルク(磁石トルク)を作用させることができる。電子制御ユニット50は、インバータ40のスイッチング動作により例えばステータ巻線20に流す交流電流の振幅や位相角を制御することで、ステータ16と第2出力側ロータ19との間に作用するトルク(PMモータトルク)を制御することができる。
【0028】
また、入力側ロータ28が第1出力側ロータ18に対し相対回転して入力側ロータ28(ロータ巻線30)と第1出力側ロータ18(永久磁石33)との間に回転差が生じるのに伴ってロータ巻線30に誘導起電力が発生し、この誘導起電力に起因してロータ巻線30に誘導電流(交流電流)が流れることで回転磁界が生じる。そして、ロータ巻線30の誘導電流により生じる回転磁界と永久磁石33の界磁束との電磁気相互作用によって、第1出力側ロータ18にトルクを作用させることができ、第1出力側ロータ18を回転駆動することができる。このように、入力側ロータ28のロータ巻線30と第1出力側ロータ18の永久磁石33とが電磁気的に結合されていることで、ロータ巻線30で発生する回転磁界が第1出力側ロータ18に作用するのに応じて、入力側ロータ28と第1出力側ロータ18との間にトルク(磁石トルク)が作用する。そのため、入力側ロータ28と第1出力側ロータ18との間で動力(機械的動力)を伝達することができ、第1回転電機10(入力側ロータ28及び第1出力側ロータ18)を誘導電磁カップリング部として機能させることができる。
【0029】
ロータ巻線30の誘導電流により入力側ロータ28と第1出力側ロータ18との間にトルク(電磁カップリングトルク)を発生させる際には、電子制御ユニット50は、ロータ巻線30に誘導電流が流れるのを許容するように、インバータ41のスイッチング動作を行う。その際には、電子制御ユニット50は、インバータ41のスイッチング動作によりロータ巻線30に流れる交流電流を制御することで、入力側ロータ28と第1出力側ロータ18との間に作用する電磁カップリングトルクを制御することができる。一方、電子制御ユニット50は、インバータ41のスイッチング素子をオフ状態に維持してスイッチング動作を停止させることで、ロータ巻線30に誘導電流が流れなくなり、入力側ロータ28と第1出力側ロータ18との間にトルクは作用しなくなる。
【0030】
エンジン36が動力を発生している場合は、エンジン36の動力が入力側ロータ28に伝達され、入力側ロータ28がエンジン回転方向に回転駆動する。入力側ロータ28の回転速度が第1出力側ロータ18の回転速度より高くなると、ロータ巻線30に誘導起電力が発生する。電子制御ユニット50は、ロータ巻線30に誘導電流が流れるのを許容するように、インバータ41のスイッチング動作を行う。これによって、ロータ巻線30の誘導電流と永久磁石33の界磁束との電磁気相互作用により入力側ロータ28から第1出力側ロータ18にエンジン回転方向の電磁カップリングトルクT_cが作用し、第1出力側ロータ18がエンジン回転方向に回転駆動する。このように、入力側ロータ28に伝達されたエンジン36からの動力は、入力側ロータ28のロータ巻線30と第1出力側ロータ18の永久磁石33との電磁気結合によって、第1出力側ロータ18へ伝達される。第1出力側ロータ18に伝達された動力は、
図2の矢印aに示すように、伝動歯車56−1,56−2及び伝動機構57を介して駆動軸37(車輪38)へ伝達されることで、車両の前進駆動等、負荷の正転駆動に用いられる。したがって、エンジン36の動力を用いて駆動軸37を正転方向に回転駆動することができ、車両を前進方向に駆動することができる。さらに、入力側ロータ28と第1出力側ロータ18との回転差を許容することができるため、車輪38の回転が停止してもエンジン36がストールすることはない。そのため、第1回転電機10を発進装置として機能させることができ、摩擦クラッチやトルクコンバータ等の発進装置を別に設ける必要がなくなる。
【0031】
さらに、ロータ巻線30に発生した交流電力は、スリップリング95及びブラシ96を介して取り出される。取り出された交流電力はインバータ41で直流に変換される。そして、インバータ40のスイッチング動作により、インバータ41からの直流電力がインバータ40で交流に変換されてからステータ巻線20に供給されることで、ステータ巻線20に交流電流が流れ、ステータ16に回転磁界が形成される。このステータ16の回転磁界と第2出力側ロータ19の永久磁石32の界磁束との電磁気相互作用によって、ステータ16から第2出力側ロータ19にエンジン運転時の回転方向と同方向のトルクT_mgを作用させることができ、
図2の矢印bに示すように、第2出力側ロータ19の動力が伝動歯車56−3,56−2及び伝動機構57を介して駆動軸37へ伝達される。これによって、駆動軸37の正転方向のトルクを増幅させるトルク増幅機能を実現することができる。さらに、蓄電装置42からステータ巻線20へ電力供給するようにインバータ40のスイッチング動作を制御することで、エンジン36の動力を用いて車輪38を正転方向に回転駆動するとともに、蓄電装置42からの供給電力を用いて発生させた第2出力側ロータ19の動力により車輪38の正転方向の回転駆動をアシストすることができる。一方、ロータ巻線30からスリップリング95及びブラシ96を介して取り出され、インバータ41で直流に変換された電力を蓄電装置42に回収することも可能である。
【0032】
また、エンジン36の運転を停止した状態で蓄電装置42の電力を用いて駆動軸37(車輪38)を駆動するEV(Electric Vehicle)走行を行う場合は、電子制御ユニット50は、蓄電装置42からの直流電力を交流に変換してステータ巻線20へ供給するようインバータ40のスイッチング動作を制御することで、ステータ巻線20の交流電流によりステータ16から第2出力側ロータ19にエンジン運転時の回転方向と同方向のトルクT_mgを作用させる。これによって、第2出力側ロータ19を回転駆動し、第2出力側ロータ19の動力を伝動歯車56−3,56−2及び伝動機構57を介して駆動軸37へ伝達することで、駆動軸37を正転方向に回転駆動する(車両を前進方向に駆動する)。また、ステータ巻線20から電力回収するようインバータ40のスイッチング動作を制御することで、ステータ16から第2出力側ロータ19に減速方向のトルクT_mgを作用させて、駆動軸37を減速させる(車両を減速させる)回生走行を行うことも可能である。
【0033】
また、エンジン36の始動を行う場合は、電子制御ユニット50は、蓄電装置42からの直流電力を交流に変換してブラシ96及びスリップリング95を介してロータ巻線30へ供給するようインバータ41のスイッチング動作を制御することで、ロータ巻線30の交流電流により第1出力側ロータ18から入力側ロータ28にエンジン回転方向のトルクT_cを作用させる。これによって、蓄電装置42からロータ巻線30への供給電力を用いて入力側ロータ28をエンジン回転方向に回転させ、入力側ロータ28の動力をエンジン36へ伝達することで、エンジン36のクランキングを行う。
【0034】
また、車両を後退させる(駆動軸37を逆転方向に回転駆動する)リバース走行を行う場合は、電子制御ユニット50は、蓄電装置42からの直流電力を交流に変換してステータ巻線20へ供給するようインバータ40のスイッチング動作を制御することで、ステータ巻線20の交流電流によりステータ16から第2出力側ロータ19にエンジン運転時の回転方向と逆方向のトルクT_mgを作用させる。これによって、第2出力側ロータ19を逆方向に回転駆動し、第2出力側ロータ19の動力を伝動歯車56−3,56−2及び伝動機構57を介して駆動軸37へ伝達することで、EV走行により駆動軸37を逆転方向に回転駆動する(車両を後進方向に駆動する)。また、ステータ巻線20から電力回収するようインバータ40のスイッチング動作を制御することで、ステータ16から第2出力側ロータ19に減速方向のトルクT_mgを作用させて、駆動軸37を減速させる(車両を減速させる)回生走行を行うことも可能である。
【0035】
エンジン36から駆動軸37へ伝達可能な最高出力を増加させるためには、第1回転電機10と第2回転電機11のトルク容量を増加させることが望ましい。これに対して本実施形態では、回転軸71,72と直交する方向から見て第1回転電機10と第2回転電機11が重なり合わないように、回転軸方向に関する第2回転電機11の位置を、第1回転電機10に対してエンジン36と反対側にずらして配置している。これによって、第1回転電機10と第2回転電機11の配置が互いに干渉するのを抑えつつ、第1回転電機10の回転軸方向長さを増加させてトルク容量を増加させることができるとともに、第2回転電機11の外径を増加させてトルク容量を増加させることができる。その結果、動力伝達装置の大型化を招くことなく、動力伝達装置の伝達容量を増加させることができ、エンジン36から駆動軸37へ伝達可能な最高出力を増加させることができる。
【0036】
そして、本実施形態では、回転軸方向に関して、第1回転電機10を伝動機構56に対してエンジン36側の位置に配置し、第2回転電機11を伝動機構56に対してエンジン36と反対側の位置に配置することで、回転軸方向長さの増加を抑えつつ、伝動機構56を配置することができる。さらに、伝動機構56においては、伝動歯車56−1,56−2のギア比により第1出力側ロータ18からカウンタ軸73にかけての変速比を調整することができ、伝動歯車56−3,56−2のギア比により第2出力側ロータ19からカウンタ軸73にかけての変速比を調整することができる。したがって、第1出力側ロータ18から駆動軸37にかけての変速比と、第2出力側ロータ19から駆動軸37にかけての変速比を独立に設定することができる。
【0037】
また、本実施形態では、回転軸方向に関するスリップリング95及びブラシ96の位置を、第1回転電機10に対してエンジン36と反対側の位置に配置し、さらに、伝動機構56(伝動歯車56−1)に対してエンジン36と反対側の位置に配置している。そのため、スリップリング95及びブラシ96の配置が第1回転電機10の回転軸方向長さ増加に影響を与えるのを抑えることができる。さらに、スリップリング95及びブラシ96の外径は第1回転電機10の外径と比べて十分小さくて済むため、スリップリング95及びブラシ96の配置が第2回転電機11の外径増加にも影響を与えない。
【0038】
「実施形態2」
図3は、本発明の実施形態2に係る動力伝達装置を備えるハイブリッド駆動装置の構成の概略を示す図である。以下の実施形態2の説明では、実施形態1と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1と同様である。
【0039】
本実施形態では、伝動歯車56−1が第1出力側ロータ18の外周に設けられている。そして、回転軸方向に関して、伝動歯車57−1が伝動歯車56−2に対してエンジン36と反対側の位置に配置され、第2回転電機11が伝動歯車57−1に対してエンジン36と反対側の位置に配置されている。
【0040】
本実施形態によれば、伝動機構56の伝動歯車56−1を第1出力側ロータ18の外周に設けることで、動力伝達装置の回転軸方向長さの増加を抑えつつ、第1回転電機10の回転軸方向長さをさらに増加させてトルク容量をさらに増加させることができる。その結果、動力伝達装置の大型化を招くことなく、エンジン36から駆動軸37へ伝達可能な最高出力をさらに増加させることができる。
【0041】
「実施形態3」
図4は、本発明の実施形態3に係る動力伝達装置を備えるハイブリッド駆動装置の構成の概略を示す図である。以下の実施形態3の説明では、実施形態1,2と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1,2と同様である。
【0042】
本実施形態では、実施形態2と比較して、入力側ロータ28(回転軸71)と第1出力側ロータ18の係合/解放を切り替えることで、入力側ロータ28とカウンタ軸73の係合/解放を切り替えることが可能なクラッチ機構81が回転軸71上に設けられている。クラッチ機構81は、回転軸方向に関して、第1回転電機10に対してエンジン36と反対側の位置に配置され、第1回転電機10とスリップリング95との間の位置に配置されている。
図4に示す例では、クラッチ機構81は、入力側ロータ28(回転軸71)に機械的に連結された入力側ギア81aと、第1出力側ロータ18に機械的に連結された出力側ギア81bと、スリーブギア81cとを含む。スリーブギア81cは、入力側ギア81aとの噛み合いを維持しながら、出力側ギア81bと噛み合う係合位置と、出力側ギア81bと噛み合わない解放位置とに移動可能である。スリーブギア81cを出力側ギア81bと噛み合わせるための機構として、シンクロメッシュ(同期噛合機構)を適用することも可能である。クラッチ機構81の係合/解放を切り替える(スリーブギア81cを係合位置と解放位置に切り替える)制御は、電子制御ユニット50により行われる。エンジン36と入力側ロータ28間の動力伝達経路にはダンパ13が設けられている。
【0043】
ロータ巻線30の交流電流により入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間にトルクT_cを作用させる場合は、スリーブギア81cを解放位置に制御してクラッチ機構81を解放状態に制御する。一方、クラッチ機構81を係合状態(スリーブギア81cを係合位置)に制御して入力側ロータ28を第1出力側ロータ18(カウンタ軸73)に機械的に係合させることで、
図5の矢印cに示すように、ロータ巻線30の交流電流により入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間にトルクT_cを作用させることなく、エンジン36の動力を伝動歯車56−1,56−2及び伝動機構57を介して駆動軸37へ伝達することができる。その際に、クラッチ機構81の外径は第1回転電機10の外径と比べて十分小さくて済むため、クラッチ機構81の配置が第2回転電機11の外径増加に影響を与えるのを抑えることができる。
【0044】
「実施形態4」
図6は、本発明の実施形態4に係る動力伝達装置を備えるハイブリッド駆動装置の構成の概略を示す図である。以下の実施形態4の説明では、実施形態1〜3と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1〜3と同様である。
【0045】
本実施形態では、実施形態3と比較して、伝動機構56は伝動歯車56−1,56−2,56−3,56−4を有し、伝動歯車56−2が伝動歯車56−1と噛み合うことで係合し、カウンタ軸73に機械的に連結された伝動歯車56−4が伝動歯車56−3と噛み合うことで係合している。さらに、第1出力側ロータ18(伝動歯車56−1)とカウンタ軸73の係合/解放を切り替えることが可能なクラッチ機構82がカウンタ軸73上に設けられ、第1出力側ロータ18をケーシング(固定部材)15に固定して回転を拘束することが可能なブレーキ機構83が第1出力側ロータ18の外周に設けられている。クラッチ機構81は、入力側ロータ28(回転軸71)と第1出力側ロータ18の係合/解放を切り替えることが可能である。回転軸方向に関して、伝動歯車57−1が伝動歯車56−4に対してエンジン36側の位置に配置され、伝動歯車56−2が伝動歯車57−1と伝動歯車56−4との間の位置に配置されている。
図6に示す例では、回転軸方向に関して、クラッチ機構82を伝動歯車57−1と伝動歯車56−2との間の位置に配置しているが、クラッチ機構82を伝動歯車56−2と伝動歯車56−4との間の位置に配置することも可能である。
図6に示す例では、クラッチ機構82は、伝動歯車56−2に機械的に連結された入力側ギア82aと、カウンタ軸73に機械的に連結された出力側ギア82bと、スリーブギア82cとを含む。スリーブギア82cは、出力側ギア82bとの噛み合いを維持しながら、入力側ギア82aと噛み合う係合位置と、入力側ギア82aと噛み合わない解放位置とに移動可能である。スリーブギア82cを入力側ギア82aと噛み合わせるための機構として、シンクロメッシュ(同期噛合機構)を適用することも可能である。クラッチ機構82の係合/解放を切り替える(スリーブギア82cを係合位置と解放位置に切り替える)制御、及びブレーキ機構83の係合/解放を切り替える制御は、電子制御ユニット50により行われる。
【0046】
図7の矢印aに示すように、ロータ巻線30の交流電流により入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間にトルクT_cを作用させることで、エンジン36の動力を伝動歯車56−1,56−2及び伝動機構57を介して駆動軸37へ伝達する場合は、クラッチ機構81及びブレーキ機構83を解放状態に制御するとともに、クラッチ機構82を係合状態(スリーブギア82cを係合位置)に制御して第1出力側ロータ18をカウンタ軸73に機械的に係合させる。一方、ブレーキ機構83を解放状態に制御するとともに、クラッチ機構81,82を係合状態(スリーブギア81c,82cを係合位置)に制御して入力側ロータ28をカウンタ軸73に機械的に係合させることで、
図8の矢印cに示すように、ロータ巻線30の交流電流により入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間にトルクT_cを作用させることなく、エンジン36の動力を伝動歯車56−1,56−2及び伝動機構57を介して駆動軸37へ伝達することができる。
【0047】
また、エンジン36の運転を停止した状態でEV走行により駆動軸37を駆動する場合は、クラッチ機構81,82を解放状態(スリーブギア81c,82cを解放位置)に制御するとともに、ブレーキ機構83を係合状態に制御する。これによって、第1出力側ロータ18をケーシング15に固定して第2出力側ロータ19とカウンタ軸73と駆動軸37から切り離した状態で、ステータ16と第2出力側ロータ19間に作用するトルクT_mgにより第2出力側ロータ19を回転駆動し、
図9の矢印dに示すように、第2出力側ロータ19の動力を伝動歯車56−3,56−4及び伝動機構57を介して駆動軸37へ伝達する。そのため、EV走行時に、第2出力側ロータ19の回転に連動して第1出力側ロータ18が連れ回ることで第1出力側ロータ18と入力側ロータ28とに回転差が発生するのを防ぎ、入力側ロータ28の渦電流による損失を抑えることができる。その際に、クラッチ機構82及びブレーキ機構83の配置は、第1回転電機10の回転軸方向長さ増加、及び第2回転電機11の外径増加に影響を与えない。
【0048】
さらに、エンジン36の始動を行う場合も、クラッチ機構81,82を解放状態に制御するとともに、ブレーキ機構83を係合状態に制御することで、第1出力側ロータ18をケーシング15に固定して第2出力側ロータ19とカウンタ軸73と駆動軸37から切り離す。その状態で、第1出力側ロータ18と入力側ロータ28間にトルクT_cを作用させ、
図10の矢印eに示すように、入力側ロータ28の動力をエンジン36へ伝達することで、エンジン36のクランキングを行う。そのため、エンジン36のクランキング時に、入力側ロータ28から第1出力側ロータ18に作用する反作用トルク−T_cをケーシング15で受けることができ、ステータ16から第2出力側ロータ19に作用するトルクT_mgでこの反作用トルク−T_cを受ける必要がなくなる。したがって、EV走行時にエンジン36を始動する場合は、ステータ16から第2出力側ロータ19に作用するトルクT_mgをすべて駆動軸37の正転方向の回転駆動(車両の前進方向の駆動)に用いることができ、駆動軸37の駆動トルクの低下を抑えることができる。
【0049】
また、リバース走行を行う場合も、クラッチ機構81,82を解放状態に制御するとともに、ブレーキ機構83を係合状態に制御することで、第1出力側ロータ18をケーシング15に固定して第2出力側ロータ19とカウンタ軸73と駆動軸37から切り離す。その状態で、ステータ16と第2出力側ロータ19間にトルクT_mgを作用させ、
図11の矢印dに示すように、第2出力側ロータ19の動力を伝動歯車56−3,56−4及び伝動機構57を介して駆動軸37へ伝達することで、エンジン36から駆動軸37への動力伝達時の駆動軸37の回転方向と逆方向に駆動軸37を回転駆動する。そのため、蓄電装置42の蓄電量が少ない場合等、蓄電装置42からの供給電力量が不足する場合のリバース走行時に、エンジン36の動力を利用して第1回転電機10の発電運転を行っても、入力側ロータ28から第1出力側ロータ18に作用するエンジン回転方向のトルクT_cが、逆転方向に回転駆動する駆動軸37を減速させる方向に作用するのを防ぐことができ、駆動軸37の駆動トルクの低下を抑えることができる。
【0050】
「実施形態5」
図12は、本発明の実施形態5に係る動力伝達装置を備えるハイブリッド駆動装置の構成の概略を示す図である。以下の実施形態5の説明では、実施形態1〜4と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1〜4と同様である。
【0051】
本実施形態では、実施形態4と比較して、クラッチ機構81の出力側ギア81bが伝動歯車56−5に機械的に連結され、伝動歯車56−5が伝動歯車56−4と噛み合うことで係合している。クラッチ機構81は、入力側ロータ28(回転軸71)とカウンタ軸73の係合/解放を切り替えることが可能である。回転軸方向に関して、伝動歯車56−5が第1回転電機10とスリップリング95との間の位置に配置され、クラッチ機構81が伝動歯車56−5とスリップリング95との間の位置に配置されている。
図12に示す例では、回転軸方向に関して、クラッチ機構82を伝動歯車56−2と伝動歯車56−4との間の位置に配置しているが、クラッチ機構82を伝動歯車57−1と伝動歯車56−2との間の位置に配置することも可能である。
【0052】
ロータ巻線30の交流電流により入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間にトルクT_cを作用させることで、エンジン36の動力を伝動歯車56−1,56−2及び伝動機構57を介して駆動軸37へ伝達する場合は、クラッチ機構81及びブレーキ機構83を解放状態に制御するとともに、クラッチ機構82を係合状態に制御する。一方、ブレーキ機構83を解放状態に制御するとともに、クラッチ機構81を係合状態に制御して入力側ロータ28をカウンタ軸73に機械的に係合させることで、ロータ巻線30の交流電流により入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間にトルクT_cを作用させることなく、エンジン36の動力を伝動歯車56−5,56−4及び伝動機構57を介して駆動軸37へ伝達することができる。その場合には、クラッチ機構82を係合状態に制御することで、入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間のトルクT_cにより、駆動軸37の回転駆動をアシストしたり、エンジン36の動力を利用した発電運転(回生運転)を行うことも可能である。一方、クラッチ機構82を解放状態に制御することで、第1出力側ロータ18が連れ回ることによる損失を抑えることができる。なお、EV走行、エンジン36の始動、及びリバース走行を行う場合の動作は、実施形態4と同様である。
【0053】
「実施形態6」
図13は、本発明の実施形態6に係る動力伝達装置を備えるハイブリッド駆動装置の構成の概略を示す図である。以下の実施形態6の説明では、実施形態1〜5と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1〜5と同様である。
【0054】
本実施形態では、実施形態1と比較して、入力側ロータ28とカウンタ軸73の係合/解放を切り替えることが可能なクラッチ機構81と、第1出力側ロータ18をカウンタ軸73またはケーシング15に選択的に係合させることが可能なクラッチ機構84が回転軸71上に設けられている。クラッチ機構84は、回転軸方向に関して、第1回転電機10に対してエンジン36と反対側の位置に配置されている。
図13に示す例では、回転軸方向に関して、伝動歯車56−1が第1回転電機10とスリップリング95との間の位置に配置され、クラッチ機構81が伝動歯車56−1とスリップリング95との間の位置に配置され、クラッチ機構84が第1回転電機10と伝動歯車56−1との間の位置に配置されている。クラッチ機構81の出力側ギア81bは伝動歯車56−1に機械的に連結されている。
【0055】
図13に示す例では、クラッチ機構84は、第1出力側ロータ18に機械的に連結された入力側ギア84aと、伝動歯車56−1に機械的に連結された出力側ギア84bと、ケーシング15に機械的に連結された固定ギア84dと、スリーブギア84cとを含む。スリーブギア84cは、入力側ギア84aとの噛み合いを維持しながら、出力側ギア84bと噛み合い且つ固定ギア84dと噛み合わない第1係合位置と、固定ギア84dと噛み合い且つ出力側ギア84bと噛み合わない第2係合位置と、出力側ギア84b及び固定ギア84dの両方と噛み合わない解放位置とに移動可能である。スリーブギア84cが第1係合位置に位置する場合は、第1出力側ロータ18がケーシング15に係合せずカウンタ軸73に係合する状態(第1係合状態)となる。一方、スリーブギア84cが第2係合位置に位置する場合は、第1出力側ロータ18がカウンタ軸73に係合せずケーシング15に係合する状態(第2係合状態)となり、第1出力側ロータ18の回転が固定される。また、スリーブギア84cが解放位置に位置する場合は、第1出力側ロータ18がカウンタ軸73及びケーシング15の両方に係合しない状態(解放状態)となる。スリーブギア84cを出力側ギア84bまたは固定ギア84dと噛み合わせるための機構として、シンクロメッシュ(同期噛合機構)を適用することも可能である。クラッチ機構84の第1係合状態と第2係合状態と解放状態を切り替える(スリーブギア84cを第1係合位置と第2係合位置と解放位置に切り替える)制御は、電子制御ユニット50により行われる。
【0056】
ロータ巻線30の交流電流により入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間にトルクT_cを作用させることで、エンジン36の動力を伝動歯車56−1,56−2及び伝動機構57を介して駆動軸37へ伝達する場合は、クラッチ機構81を解放状態に制御するとともに、クラッチ機構84を第1係合状態(スリーブギア84cを第1係合位置)に制御して第1出力側ロータ18をカウンタ軸73に機械的に係合させる。一方、クラッチ機構81を係合状態に制御して入力側ロータ28をカウンタ軸73に機械的に係合させることで、ロータ巻線30の交流電流により入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間にトルクT_cを作用させることなく、エンジン36の動力を伝動歯車56−1,56−2及び伝動機構57を介して駆動軸37へ伝達することができる。その場合には、クラッチ機構84を第1係合状態に制御することで、入力側ロータ28と第1出力側ロータ18を機械的に係合させて回転差が発生するのを防ぎ、入力側ロータ28の渦電流による損失を抑えることができる。
【0057】
また、エンジン36の運転を停止した状態でEV走行により駆動軸37を駆動する場合は、クラッチ機構81を解放状態に制御するとともに、クラッチ機構84を第2係合状態(スリーブギア84cを第2係合位置)に制御する。これによって、第1出力側ロータ18をケーシング15に固定して第2出力側ロータ19とカウンタ軸73と駆動軸37から切り離した状態で、ステータ16と第2出力側ロータ19間に作用するトルクT_mgにより駆動軸37を駆動する。そのため、EV走行時に、第2出力側ロータ19の回転に連動して第1出力側ロータ18が連れ回ることで第1出力側ロータ18と入力側ロータ28とに回転差が発生するのを防ぎ、入力側ロータ28の渦電流による損失を抑えることができる。その際には、実施形態4,5のクラッチ機構82及びブレーキ機構83の機能をクラッチ機構84に統合化して簡略化することができる。そして、クラッチ機構84の外径は第1回転電機10の外径と比べて十分小さくて済むため、クラッチ機構84の配置が第2回転電機11の外径増加に影響を与えるのを抑えることができる。
【0058】
さらに、エンジン36の始動を行う場合も、クラッチ機構81を解放状態に制御するとともに、クラッチ機構84を第2係合状態に制御することで、第1出力側ロータ18をケーシング15に固定して第2出力側ロータ19とカウンタ軸73と駆動軸37から切り離す。その状態で、第1出力側ロータ18と入力側ロータ28間に作用するトルクT_cによりエンジン36のクランキングを行う。そのため、エンジン36のクランキング時に、入力側ロータ28から第1出力側ロータ18に作用する反作用トルク−T_cをケーシング15で受けることができ、ステータ16から第2出力側ロータ19に作用するトルクT_mgでこの反作用トルク−T_cを受ける必要がなくなる。
【0059】
また、リバース走行を行う場合も、クラッチ機構81を解放状態に制御するとともに、クラッチ機構84を第2係合状態に制御することで、第1出力側ロータ18をケーシング15に固定して第2出力側ロータ19とカウンタ軸73と駆動軸37から切り離す。その状態で、ステータ16と第2出力側ロータ19間のトルクT_mgにより、エンジン36から駆動軸37への動力伝達時の駆動軸37の回転方向と逆方向に駆動軸37を回転駆動する。そのため、リバース走行時に、エンジン36の動力を利用して第1回転電機10の発電運転を行っても、第1出力側ロータ18から駆動軸37への減速トルクの伝達を防ぐことができ、駆動軸37の駆動トルクの低下を抑えることができる。
【0060】
なお、実施形態1,2において、エンジン36の動力を駆動軸37へ伝達する場合は、入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間にトルクT_cを作用させる。その際には、エンジン36のトルク変動による振動が駆動軸37に伝達されるのを抑制するようにトルクT_cを制御することで、エンジン出力軸上に制振用の機械式ダンパを設置する必要がなくなり、さらに、エンジン36の少気筒化も実現することができる。その結果、装置の回転軸方向長さをさらに短縮することができる。以下、エンジン36のトルク変動による振動が駆動軸37に伝達されるのを抑制する制御について説明する。
【0061】
エンジン36の動力を駆動軸37へ伝達する場合に、入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間の電磁カップリングトルクT_cを制御するための電子制御ユニット50の構成例を
図14に示す。フィードフォワード制御部102は、入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間の電磁カップリングトルクの目標値T_refを基にフィードフォワード制御指令値u_ffを生成して加算器105へ出力する。電磁カップリングトルクの目標値T_refは、エンジン36のトルクT_eng(トルク変動を考慮しない平均値)を基に設定され、例えばエンジン36のトルクT_engと等しくなるように設定される。フィードフォワード制御指令値u_ffにより電磁カップリングトルクT_cを制御した場合に、入力側ロータ28から第1出力側ロータ18に作用するエンジン回転方向の電磁カップリングトルクT_cが目標値T_ref(エンジントルクT_eng)に等しくなるようなフィードフォワード制御指令値u_ffがフィードフォワード制御部102で演算される。エンジントルクT_eng(トルク変動を考慮しない平均値)については、エンジン36がガソリンエンジン等の火花点火式内燃機関である場合は、例えばスロットル開度により取得可能であり、エンジン36がディーゼルエンジン等の圧縮着火式内燃機関である場合は、例えば燃料噴射量により取得可能である。
【0062】
差分器103は、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_in(回転速度センサ61により検出)との偏差(ω_in_ref−ω_in)を演算してフィードバック制御部104へ出力する。エンジン回転速度の目標値ω_in_refについては、与えられたエンジン要求出力に対してエンジン効率が所定の高効率となる(例えば最も熱効率が高くなる)ようなエンジン回転速度が設定される。フィードバック制御部104は、差分器103からの出力値である偏差(ω_in_ref−ω_in)を基にフィードバック制御指令値u_fbを生成して加算器105へ出力する。フィードバック制御指令値u_fbにより電磁カップリングトルクT_cを制御した場合に、エンジン回転速度の検出値ω_inが目標値ω_in_refに等しくなるように、偏差(ω_in_ref−ω_in)をフィードバック補償したフィードバック制御指令値u_fbがフィードバック制御部104で演算される。
【0063】
加算器105は、フィードフォワード制御指令値u_ffとフィードバック制御指令値u_fbを加算した値(u_ff+u_fb)をトルク制御指令値uとして出力する。フィードフォワード制御指令値u_ff及びフィードバック制御指令値u_fbから算出したトルク制御指令値uによりインバータ41のスイッチング動作が制御されることで、入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間の電磁カップリングトルクT_cが制御される。その際には、フィードフォワード制御指令値u_ffにより電磁カップリングトルクT_cが目標値T_ref(エンジントルクT_eng)に等しくなるように制御されるとともに、フィードバック制御指令値u_fbによりエンジン回転速度の検出値ω_inが目標値ω_in_refに等しくなるように制御される。これによって、エンジン効率が所定の高効率となる(例えば最も熱効率が高くなる)ようにエンジン回転速度ω_inを制御しつつ、エンジン36から第1出力側ロータ18へトルクT_engを伝達することができる。なお、
図14において、ブロック106は、トルク制御指令値uに対する電磁カップリングトルクT_cの関係を表し、インバータ41の特性、入力側ロータ28及び第1出力側ロータ18による誘導電磁カップリング部の特性等が含まれる。また、ブロック107は、入力側ロータ28に作用するトルク(T_eng−T_c)に対するエンジン36(入力側ロータ28)の回転速度ω_inの関係を表し、例えばゲイン1/Jin(Jinはエンジン36、入力側ロータ28、及びスリップリング95を含む入力側回転要素の慣性モーメント)のゲインブロック109、及び積分器110により表すことが可能である。そして、ブロック108は、第1出力側ロータ18に作用するトルク(T_c−T_loadに対する第1出力側ロータ18の回転速度ω_outの関係を表し(T_loadは第1出力側ロータ18に作用する負荷トルク)、ゲイン1/Jout(Joutは第1出力側ロータ18を含む出力側回転要素の慣性モーメント)のゲインブロック111、及び積分器112により表すことが可能である。
【0064】
ただし、エンジン36が発生するトルクは、クランク角に対して変動し、実際には振動成分を有するものとなる。そのため、回転速度センサで取得されるエンジン回転速度の検出値ω_inには、実際にはエンジントルク変動による振動成分が含まれ、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの偏差(ω_in_ref−ω_in)も、実際にはエンジントルク変動による振動成分が含まれたものとなる。フィードバック制御指令値u_fbによりエンジン回転速度ω_inを目標値ω_in_refとなるように制御することが可能となるが、偏差(ω_in_ref−ω_in)から演算したフィードバック制御指令値u_fbにエンジントルク変動による振動成分が含まれていると、トルク制御指令値u=(u_ff+u_fb)により制御される、入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間の電磁カップリングトルクT_cにトルク変動が発生し、このトルク変動による振動が駆動軸37に伝達されることになる。
【0065】
そこで、フィードバック制御部104は、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの偏差(ω_in_ref−ω_in)に含まれる、エンジントルク変動による振動成分がフィードバック制御指令値u_fbにおいて抑制されるように、フィードバック制御指令値u_fbを生成する。以下、そのためのフィードバック制御部104の構成例について説明する。
【0066】
図15に示す構成例では、フィードバック制御部104は、フィルタ121及びフィードバック制御器122を含んで構成される。フィルタ121には、差分器103からの偏差(ω_in_ref−ω_in)が入力される。フィルタ121は、例えば
図16に示すような周波数特性を有し、エンジントルク変動の周波数帯域Ωにおけるゲインが、周波数帯域Ωよりも低い低周波数帯域におけるゲインに比べて小さい周波数特性を有する。この周波数特性を有するフィルタ121によって、偏差(ω_in_ref−ω_in)の周波数成分のうち、エンジントルク変動による振動成分が抑制され、エンジントルク変動による振動成分よりも低い低周波数成分は通過する。フィルタ121の設計の際には、エンジン36の運転範囲におけるトルク振動の周波数帯域Ωを予め計測して把握しておき、周波数帯域Ωにおけるゲインが、周波数帯域Ωよりも低い低周波数帯域におけるゲインに比べて小さくなるように、フィルタ121の周波数特性を設計する。例えばフィルタ121をローパスフィルタにより構成する場合は、そのカットオフ周波数をエンジントルク変動の周波数帯域Ωよりも低い周波数に設計する。さらに、フィルタ121を一時遅れフィルタにより構成する場合は、その時定数をτとすると、1/(2×π×τ)をエンジントルク変動の周波数帯域Ωよりも低い周波数に設計する。
【0067】
フィードバック制御器122は、例えばPID(比例積分微分)制御器やPI(比例積分)制御器やI(積分)制御器等により構成することが可能であり、フィルタ121を通過した偏差(ω_in_ref−ω_in)をフィードバック補償したフィードバック制御指令値u_fbを演算して加算器105へ出力する。偏差(ω_in_ref−ω_in)に含まれる、エンジントルク変動による振動成分は、フィルタ121を通過することで抑制されているため、フィルタ121を通過した偏差(ω_in_ref−ω_in)から演算されるフィードバック制御指令値u_fbも、エンジントルク変動による振動成分が抑制されたものとなる。一方、エンジントルク変動よりも低い低周波数帯域については、フィルタ121で抑制されずにフィードバック制御器122に入力される。そのため、フィードバック制御器122で演算されるフィードバック制御指令値u_fbは、エンジントルク変動よりも低い低周波数帯域において、エンジン回転速度ω_inを目標値ω_in_refに追従させるためのものとなる。したがって、フィードバック制御指令値u_fbによりエンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの定常偏差の発生を抑制することができる。
【0068】
以上説明した構成例では、入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間の電磁カップリングトルクT_cを制御する場合に、フィードフォワード制御指令値u_ffにより電磁カップリングトルクT_cが目標値T_ref(エンジントルクT_eng)になるようにフィードフォワード制御されるとともに、フィードバック制御指令値u_fbによりエンジン回転速度の検出値ω_inが目標値ω_in_refになるようにフィードバック制御される。これによって、エンジン回転速度ω_inを目標値ω_in_refに制御しつつ、エンジントルクT_engを第1出力側ロータ18へ伝達して所望のトルクを駆動軸37へ伝達することができる。その際には、エンジン回転速度の目標値ω_in_refをエンジン効率が所定の高効率となる(例えば最も熱効率が高くなる)値に設定することで、エンジン36を高効率で運転しつつ、所望のトルクを駆動軸37へ伝達することができる。さらに、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの偏差(ω_in_ref−ω_in)に含まれる、エンジントルク変動による振動成分をフィルタ121により抑制することで、フィードバック制御指令値u_fbからエンジントルク変動による振動成分を抑制することができる。したがって、フィードバック制御指令値u_fbによりエンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの定常偏差の発生を抑制しつつ、入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間の電磁カップリングトルクT_cに、フィードバック制御指令値u_fbの振動成分によるトルク変動が発生するのを抑制することができ、エンジン36のトルク変動による振動が駆動軸37に伝達されるのを抑制することができる。
【0069】
なお、
図15に示す構成例では、フィルタ121による処理をフィードバック制御器122の前段で行っているが、フィルタ121による処理をフィードバック制御器122の後段で行うことも可能である。
【0070】
また、フィードバック制御部104をI(積分)制御器により構成することも可能である。つまり、フィードバック制御部104の伝達関数(偏差(ω_in_ref−ω_in)に対するフィードバック制御指令値u_fbの関係)を、KI/s(sはラプラス演算子、KIは積分ゲイン)の積分特性になるように設計することも可能である。その場合、フィードバック制御部104(積分制御器)は、
図17に示すように、エンジントルク変動の周波数帯域Ωにおけるゲインが、周波数帯域Ωよりも低い低周波数帯域におけるゲインに比べて小さい周波数特性を有する。そのため、フィードバック制御部104(積分制御器)で演算されるフィードバック制御指令値u_fbは、エンジントルク変動による振動成分が抑制されたものとなり、エンジントルク変動よりも低い低周波数帯域において、エンジン回転速度ω_inを目標値ω_in_refに追従させるためのものとなる。したがって、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの定常偏差の発生を抑制しつつ、電磁カップリングトルクT_cにフィードバック制御指令値u_fbの振動成分によるトルク変動が発生するのを抑制することができる。その際には、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの定常偏差が生じない程度に積分ゲインKIを低下させることで、フィードバック制御指令値u_fbからエンジントルク変動による振動成分をさらに低減することができる。
【0071】
また、フィードバック制御部104をPI(比例積分)制御器により構成することも可能である。つまり、フィードバック制御部104の伝達関数(偏差(ω_in_ref−ω_in)に対するフィードバック制御指令値u_fbの関係)を、KP×(1+1/(TI×s))(KPは比例ゲイン、TIは積分時間)の比例積分特性になるように設計することも可能である。その場合、フィードバック制御部104(比例積分制御器)は、例えば
図18に示すように、エンジントルク変動の周波数帯域Ωにおけるゲインが、周波数帯域Ωよりも低い低周波数帯域におけるゲインに比べて小さい周波数特性を有する。そのため、フィードバック制御部104(比例積分制御器)で演算されるフィードバック制御指令値u_fbは、エンジントルク変動による振動成分が抑制されたものとなり、エンジントルク変動よりも低い低周波数帯域において、エンジン回転速度ω_inを目標値ω_in_refに追従させるためのものとなる。したがって、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの定常偏差の発生を抑制しつつ、電磁カップリングトルクT_cにフィードバック制御指令値u_fbの振動成分によるトルク変動が発生するのを抑制することができる。その際には、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの定常偏差が生じない程度に積分時間TIを調整し、且つ比例ゲインKPを低下させることで、フィードバック制御指令値u_fbからエンジントルク変動による振動成分をさらに低減することができる。
【0072】
また、
図19に示すフィードバック制御指令値u_fbに基づいて電磁カップリングトルクT_cを制御するフィードバック制御系において、エンジントルクT_engから電磁カップリングトルクT_cまでの閉ループ伝達関数Tcl(jω)(ωは角周波数)について、エンジントルク変動の周波数帯域Ωでのゲインが、周波数帯域Ωよりも低い低周波数帯域でのゲインに比べて小さい周波数特性を有するように、フィードバック制御部104を設計することも可能である。その場合は、エンジントルク変動の周波数特性をD(jω)とすると、例えば
図20に示すように、常に|W(jω)|>|D(jω)|となるような重み関数W(jω)を設計する。その際に、エンジントルク変動の周波数特性D(jω)については、予め計測して把握しておく。次に、以下の(1)式が成立するように、閉ループ伝達関数Tcl(jω)を設計する。閉ループ伝達関数Tcl(jω)の周波数特性の一例を
図21に示す。
【0074】
ブロック107の伝達関数をP(jω)、フィードバック制御部104及びブロック106から構成されるシステムの伝達関数をK(jω)とすると、閉ループ伝達関数Tcl(jω)は、以下の(2)式で表される。
【0076】
(2)式において、P(jω)=1/Jin×1/jωであり、また、エンジントルク変動の周波数帯域Ω以下では、トルク制御指令値uに対する電磁カップリングトルクT_cの応答性は十分高いため、ブロック106の伝達関数については一定のゲイン特性と考えることができる。したがって、(2)式から、閉ループ伝達関数Tcl(jω)とフィードバック制御部104の伝達関数との関係式が決まり、フィードバック制御部104の伝達関数の設計が可能である。
【0077】
例えばフィードバック制御部104をPI制御器とすると、伝達関数K(jω)は、以下の(3)式で表すことが可能である。
【0079】
(3)式、P(jω)=1/Jin×1/jωを(2)式に代入すると、閉ループ伝達関数Tcl(jω)は、以下の(4)式で表される。
【0081】
(4)式で表される閉ループ伝達関数Tcl(jω)の周波数特性を
図22に示す。
図22に示すように、(4)式で表される閉ループ伝達関数Tcl(jω)は、ローパスフィルタ特性を有し、そのカットオフ周波数が(2×KP/(Jin×TI))
0.5となる。フィードバック制御部104の比例ゲインKPや積分時間TIを調整することで、閉ループ伝達関数Tcl(jω)のカットオフ周波数(2×KP/(Jin×TI))
0.5を調整することができ、エンジントルク変動の周波数帯域Ωでのゲインが、周波数帯域Ωよりも低い低周波数帯域でのゲインに比べて小さい周波数特性を有するように、閉ループ伝達関数Tcl(jω)を設計することが可能である。
【0082】
エンジントルク変動の周波数帯域Ωでのゲインが、周波数帯域Ωよりも低い低周波数帯域でのゲインに比べて小さい周波数特性を有する閉ループ伝達関数Tcl(jω)についても、フィードバック制御部104で演算されるフィードバック制御指令値u_fbは、エンジントルク変動による振動成分が抑制されたものとなり、エンジントルク変動よりも低い低周波数帯域において、エンジン回転速度ω_inを目標値ω_in_refに追従させるためのものとなる。したがって、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの定常偏差の発生を抑制しつつ、電磁カップリングトルクT_cにフィードバック制御指令値u_fbの振動成分によるトルク変動が発生するのを抑制することができる。
【0083】
また、エンジン36のトルク変動の振幅や周波数は、エンジン36の回転速度ω_inやトルクT_eng等の運転状態に応じて変化する。例えばエンジン回転速度ω_inが高くなると、エンジントルク変動の周波数帯域Ωが高くなり、エンジントルクT_engが大きくなると、エンジントルク変動の振幅が大きくなる。そこで、エンジン36の回転速度ω_inやトルクT_eng等の運転状態に応じて、フィードバック制御部104の周波数特性やフィードバックゲインを変化させることも可能である。
【0084】
フィードバック制御部104がフィルタ121を含む
図15の構成例では、例えば
図23のフィルタ121の周波数特性に示すように、エンジン回転速度ω_inの低下に対してフィルタ121(ローパスフィルタ)のカットオフ周波数を低くすることで、エンジン回転速度ω_inの変化によりエンジントルク変動の周波数帯域Ωが変化しても、カットオフ周波数がエンジントルク変動の周波数帯域Ωよりも低い状態を維持することができる。したがって、エンジン回転速度ω_inが変化しても、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの定常偏差の発生を抑制しつつ、エンジントルク変動による振動の駆動軸37での抑制量の低下を防ぐことができる。あるいは、エンジン回転速度ω_inの低下に対してフィルタ121(一時遅れフィルタ)の時定数τを増加させることも可能である。また、例えば
図24のフィルタ121の周波数特性に示すように、エンジントルクT_engの増加に対してフィルタ121(ローパスフィルタ)のカットオフ周波数を低くすることで、エンジントルクT_engの増加によりエンジントルク変動の振幅が増加しても、エンジントルク変動による振動成分のフィルタ121での抑制量を増加させることができる。したがって、エンジントルクT_engが変化しても、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの定常偏差の発生を抑制しつつ、エンジントルク変動による振動の駆動軸37での抑制量の低下を防ぐことができる。あるいは、エンジントルクT_engの増加に対してフィルタ121(一時遅れフィルタ)の時定数τを増加させることも可能である。
【0085】
フィードバック制御部104を積分制御器により構成する例では、例えば
図25のフィードバック制御部104の周波数特性に示すように、エンジン回転速度ω_inの低下に対して積分ゲイン(フィードバックゲイン)KIを小さくすることで、エンジン回転速度ω_inの低下によりエンジントルク変動の周波数帯域Ωが低下しても、エンジントルク変動による振動成分の抑制量が低下するのを防ぐことができる。したがって、エンジン回転速度ω_inが変化しても、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの定常偏差の発生を抑制しつつ、エンジントルク変動による振動の駆動軸37での抑制量の低下を防ぐことができる。また、例えば
図26のフィードバック制御部104の周波数特性に示すように、エンジントルクT_engの増加に対して積分ゲイン(フィードバックゲイン)KIを小さくすることで、エンジントルクT_engの増加によりエンジントルク変動の振幅が増加しても、エンジントルク変動による振動成分の抑制量を増加させることができる。したがって、エンジントルクT_engが変化しても、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの定常偏差の発生を抑制しつつ、エンジントルク変動による振動の駆動軸37での抑制量の低下を防ぐことができる。
【0086】
フィードバック制御部104を比例積分制御器により構成する例では、例えば
図27のフィードバック制御部104の周波数特性に示すように、エンジン回転速度ω_inの低下に対して比例ゲイン(フィードバックゲイン)KPを小さくする。比例ゲインKPが小さくなると、
図22に示す閉ループ伝達関数Tcl(jω)のカットオフ周波数(2×KP/(Jin×TI))
0.5が低くなる。エンジン回転速度ω_inの低下に対して比例ゲインKPを小さくすることで、エンジン回転速度ω_inの低下によりエンジントルク変動の周波数帯域Ωが低下しても、エンジントルク変動による振動成分の抑制量が低下するのを防ぐことができる。したがって、エンジン回転速度ω_inが変化しても、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの定常偏差の発生を抑制しつつ、エンジントルク変動による振動の駆動軸37での抑制量の低下を防ぐことができる。また、例えば
図28のフィードバック制御部104の周波数特性に示すように、エンジントルクT_engの増加に対して比例ゲイン(フィードバックゲイン)KPを小さくする(閉ループ伝達関数Tcl(jω)のカットオフ周波数(2×KP/(Jin×TI))
0.5を低くする)ことで、エンジントルクT_engの増加によりエンジントルク変動の振幅が増加しても、エンジントルク変動による振動成分の抑制量を増加させることができる。したがって、エンジントルクT_engが変化しても、エンジン回転速度の目標値ω_in_refと検出値ω_inとの定常偏差の発生を抑制しつつ、エンジントルク変動による振動の駆動軸37での抑制量の低下を防ぐことができる。
【0087】
なお、以上の制御では、エンジントルク変動による振動が駆動軸37(車輪38)に伝達されるのを抑制できる一方、エンジン36、入力側ロータ28、及びスリップリング95を含む入力側回転要素には、エンジントルク変動による振動が残ることになる。エンジントルク変動による入力側回転要素の振動も低減するための電子制御ユニット50の構成例を
図20に示す。エンジントルク振動推定部132は、エンジン36のトルクの振動成分ΔTを推定する。前述のように、エンジン36が発生するトルクはクランク角に対して変動し、さらに、エンジン回転速度ω_inが高くなるとエンジントルク振動成分ΔTの周波数が高くなり、エンジントルクT_engが大きくなるとエンジントルク振動成分ΔTの振幅が大きくなる。そこで、クランク角と、エンジン回転速度ω_inと、スロットル開度(ガソリンエンジン等の火花点火式内燃機関の場合)または燃料噴射量(ディーゼルエンジン等の圧縮着火式内燃機関の場合)とに基づいて、エンジントルク振動成分ΔTを推定することが可能である。さらに、火花点火式内燃機関の場合は、エンジントルク振動成分ΔTの推定に空燃比や点火時期を加えることも好適である。補正コントローラ133は、エンジントルク振動推定部132からのエンジントルク振動成分(推定値)ΔTに対応する補正指令値Δu1を生成して出力する。補正指令値Δu1によりステータ16と第2出力側ロータ19間のPMモータトルクT_mgを制御した場合に、ステータ16から第2出力側ロータ19に作用するエンジン回転方向のPMモータトルクT_mgが推定値ΔTに等しくなるような補正指令値Δu1が補正コントローラ133で演算される。リミッタ134は、伝動歯車56−1から伝動歯車56−2にかけての変速比(ギア比)をGc、伝動歯車56−3から伝動歯車56−2にかけての変速比(ギア比)をGmgとすると、|Δu1|が電磁カップリングトルクの最大値以下で、|Gc/Gmg×Δu1|がPMモータトルクの最大値以下になるように、補正コントローラ133で演算された補正指令値Δu1を制限する。
【0088】
加算器135は、加算器105からのトルク制御指令値u=(u_ff+u_fb)にリミッタ134からの補正指令値Δu1を加算することで、トルク制御指令値uを(u+Δu1)に補正する。そして、補正指令値Δu1で補正されたトルク制御指令値(u+Δu1)により入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間の電磁カップリングトルクが制御される。補正指令値Δu1は、エンジントルク変動に対応する振動成分による指令値であり、電磁カップリングトルクは、トルク制御指令値u(フィードフォワード制御指令値u_ff及びフィードバック制御指令値u_fb)により制御される主トルクT_cに、補正指令値Δu1により制御される振動成分ΔTが重畳されたものとなる。その際には、補正指令値Δu1によるトルク成分ΔTが電磁カップリングトルクの最大値を超えないように、補正指令値Δu1がリミッタ134により制限される。入力側ロータ28から第1出力側ロータ18に作用するエンジン回転方向の電磁カップリングトルクは(T_c+ΔT)となり、その反作用として、第1出力側ロータ18から入力側ロータ28に作用するエンジン回転方向の電磁カップリングトルクは(−T_c−ΔT)となる。この入力側ロータ28に作用する電磁カップリングトルク(−T_c−ΔT)の振動成分−ΔTが、エンジン36の発生トルクに含まれる振動成分ΔTと打ち消し合うことで、エンジン36から入力側ロータ28に伝達されるトルクの変動を低減することが可能となり、エンジン36、入力側ロータ28、及びスリップリング95を含む入力側回転要素の振動を低減することが可能となる。
【0089】
ゲインブロック136は、リミッタ134からの補正指令値Δu1にゲイン−Gc/Gmgを乗じた値−Gc/Gmg×Δu1を出力する。そして、ゲインブロック136からの補正指令値−Gc/Gmg×Δu1によりステータ16と第2出力側ロータ19間のPMモータトルクT_mgが制御される。補正指令値−Gc/Gmg×Δu1は、エンジントルク変動に対応する指令値であり、PMモータトルクT_mgは振動成分ΔTを含むものとなり、ステータ16から第2出力側ロータ19に作用するエンジン回転方向のPMモータトルクT_mgは−Gc/Gmg×ΔTとなる。その際には、|Gc/Gmg×Δu1|がPMモータトルクの最大値を超えないように、補正指令値Δu1がリミッタ134により制限される。ステータ16から第2出力側ロータ19に作用するPMモータトルクT_mgの振動成分−Gc/Gmg×ΔTが、入力側ロータ28から第1出力側ロータ18に作用する電磁カップリングトルク(T_c+ΔT)の振動成分ΔTと打ち消し合うことで、入力側ロータ28から第1出力側ロータ18に作用する電磁カップリングトルクの変動が抑制される。その結果、電磁カップリングトルクとPMモータトルクの合成トルクには振動成分ΔTは生じず、振動が駆動軸37に伝達されるのを抑制することができる。その際には、補正指令値Δu1をリミッタ134により制限することで、PMモータトルクT_mgの振動成分−Gc/Gmg×ΔTと電磁カップリングトルク(T_c+ΔT)の振動成分ΔTが確実に打ち消し合うようにすることができる。なお、
図29において、ブロック146は、補正指令値−Gc/Gmg×Δu1に対するPMモータトルク−Gc/Gmg×ΔTの関係を表し、インバータ40の特性、ステータ16及び第2出力側ロータ19によるPMモータ部の特性等が含まれる。
【0090】
以上説明した
図29に示す構成例によれば、エンジン36のトルク変動による振動が駆動軸37に伝達されるのを抑制できるだけでなく、エンジン36、入力側ロータ28、及びスリップリング95を含む入力側回転要素においても、エンジントルク変動による振動を低減することができる。その際には、補正指令値Δu1におけるエンジントルク変動に対応する振動成分のレベルは小さくても、ステータ16から第2出力側ロータ19に作用するPMモータトルクT_mgの振動成分−Gc/Gmg×ΔTが、入力側ロータ28から第1出力側ロータ18に作用する電磁カップリングトルク(T_c+ΔT)の振動成分ΔTと打ち消し合うため、エンジントルク変動による振動の駆動軸37での抑制量を増加させることができる。その結果、ステータ16及び第2出力側ロータ19によるPMモータ部のトルク容量を大きくすることなく、エンジントルク変動による振動の駆動軸37での抑制量を増加させることができる。
【0091】
エンジントルク変動による入力側回転要素の振動も低減するための電子制御ユニット50の他の構成例を
図30に示す。補正用フィードバック制御部144は、差分器103からの偏差(ω_in_ref−ω_in)を基に補正用フィードバック制御指令値u_fb0を生成する。ただし、ここでの補正用フィードバック制御部144は、フィードバック制御部104とは異なり、偏差(ω_in_ref−ω_in)に含まれる、エンジントルク変動による振動成分が補正用フィードバック制御指令値u_fb0において抑制されないように、補正用フィードバック制御指令値u_fb0を生成する。そのために、補正用フィードバック制御部144の周波数特性を、フィードバック制御部104の周波数特性と比較して、エンジントルク変動による振動成分の周波数帯域Ωでのゲインが大きくなるように設計する。例えばフィードバック制御部104がフィルタ121を含む
図15の構成例では、補正用フィードバック制御部144は、フィルタ121を含まず、フィードバック制御器122と同等の周波数特性を有するフィードバック制御器により構成する。また、フィードバック制御部104及び補正用フィードバック制御部144を積分制御器により構成する例では、補正用フィードバック制御部144の積分ゲインをフィードバック制御部104の積分ゲインよりも大きくする。また、フィードバック制御部104及び補正用フィードバック制御部144を比例積分制御器により構成する例では、補正用フィードバック制御部144の比例ゲインをフィードバック制御部104の比例ゲインよりも大きくする。
【0092】
差分器143は、補正用フィードバック制御部144で演算された補正用フィードバック制御指令値u_fb0とフィードバック制御部104で演算されたフィードバック制御指令値u_fbとの差(u_fb0−u_fb)を演算して補正指令値Δu1としてリミッタ134へ出力する。補正用フィードバック制御部144で演算された補正用フィードバック制御指令値u_fb0においては、エンジントルク変動による振動成分、及びこの振動成分よりも低い低周波数成分が抑制されずに含まれており、フィードバック制御部104で演算されたフィードバック制御指令値u_fbにおいては、低周波数成分が抑制されずに含まれている一方、エンジントルク変動による振動成分が抑制されている。そのため、差分器143からリミッタ134へ出力される補正指令値Δu1=(u_fb0−u_fb)は、低周波数成分が抑制される一方、エンジントルク変動による振動成分が残り、エンジントルク変動に対応する振動成分による指令値となる。そして、
図29に示す構成例と同様に、トルク制御指令値(u+Δu1)により入力側ロータ28と第1出力側ロータ18間の電磁カップリングトルクを制御することで、エンジン36から入力側ロータ28に伝達されるトルクの変動を低減することができ、補正指令値−Gc/Gmg×Δu1によりステータ16と第2出力側ロータ19間のPMモータトルクを制御することで、入力側ロータ28から第1出力側ロータ18に作用する電磁カップリングトルクの変動を抑制して駆動軸37に振動が伝達されるのを抑制することができる。
【0093】
図30に示す構成例では、エンジン36の回転速度ω_inやトルクT_eng等の運転状態に応じて、フィードバック制御部104及び補正用フィードバック制御部144の周波数特性やフィードバックゲインを変化させることも可能である。フィードバック制御部104及び補正用フィードバック制御部144を積分制御器により構成する例では、エンジン回転速度ω_inの低下に対して、補正用フィードバック制御部144の積分ゲイン(フィードバックゲイン)がフィードバック制御部の積分ゲイン(フィードバックゲイン)よりも大きい状態を維持しながら、フィードバック制御部104の積分ゲイン及び補正用フィードバック制御部144の積分ゲインを小さくする。これによって、エンジン回転速度ω_inの低下によりエンジントルク変動の周波数帯域Ωが低下しても、エンジントルク変動による振動の入力側回転要素(入力側ロータ28)及び駆動軸37での抑制量の低下を防ぐことができる。また、エンジントルクT_engの増加に対して、補正用フィードバック制御部144の積分ゲインがフィードバック制御部の積分ゲインよりも大きい状態を維持しながら、フィードバック制御部104の積分ゲイン及び補正用フィードバック制御部144の積分ゲインを小さくする。これによって、エンジントルクT_engの増加によりエンジントルク変動の振幅が増加しても、エンジントルク変動による振動の入力側回転要素(入力側ロータ28)及び駆動軸37での抑制量の低下を防ぐことができる。
【0094】
また、フィードバック制御部104及び補正用フィードバック制御部144を比例積分制御器により構成する例では、エンジン回転速度ω_inの低下に対して、補正用フィードバック制御部144の比例ゲイン(フィードバックゲイン)がフィードバック制御部の比例ゲイン(フィードバックゲイン)よりも大きい状態を維持しながら、フィードバック制御部104の比例ゲイン及び補正用フィードバック制御部144の比例ゲインを小さくする。これによって、エンジン回転速度ω_inの低下によりエンジントルク変動の周波数帯域Ωが低下しても、エンジントルク変動による振動の入力側回転要素(入力側ロータ28)及び駆動軸37での抑制量の低下を防ぐことができる。また、エンジントルクT_engの増加に対して、補正用フィードバック制御部144の比例ゲインがフィードバック制御部の比例ゲインよりも大きい状態を維持しながら、フィードバック制御部104の比例ゲイン及び補正用フィードバック制御部144の比例ゲインを小さくする。これによって、エンジントルクT_engの増加によりエンジントルク変動の振幅が増加しても、エンジントルク変動による振動の入力側回転要素(入力側ロータ28)及び駆動軸37での抑制量の低下を防ぐことができる。
【0095】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。