(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0021】
<システムの構成>
図1は、本発明の無線通信装置である無線LAN装置13を使用したトイラジコンシステムの一実施形態のブロック図である。
図1において、トイラジコン10は例えばヘリコプタや自動車等の玩具であり、トイラジコン10はモータ、LEDを含む駆動部11と、ジャイロセンサや速度センサ等のセンサ部12と、無線LAN装置13を有している。
【0022】
図1において、無線LAN装置13は、無線LANネットワークのアクセスポイントとして動作し、所定の周期でネットワークの識別子であるSSID(Service Set IDentifier)を含むビーコンを送信する。スマートホン15は、無線LANの端末装置として動作し、無線LAN装置13に接続可能である。スマートホン15は、リモートコントローラとして使用され、スマートホン15からの操作指令は無線LANを介して無線LAN装置13に対し送信され、無線LAN装置13は上記操作指令に基づいた制御信号を生成して駆動部11に供給する。上記制御信号としてはPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号であったり、GPIO(General Purpose Input/Output:汎用入出力)信号であったりする。
【0023】
また、センサ部12内の各センサが出力する検出信号は、SPI(Serial Peripheral Interface)やI2C(Inter-Integrated Circuit)等のデータインタフェースを通して無線LAN装置13に供給される。さらに、検出信号は、無線LAN装置13から無線LANを介してスマートホン15に供給され、スマートホン15においてトイラジコン10の姿勢や速度等の状態が表示される。
【0024】
尚、トイラジコン10は、無線LAN装置13のアプリケーションの一例であり、本発明の範囲を限定するものではない。例えば、無線LAN装置13は、自転車、腕時計、鍵、カメラ、アクセサリー等の持ち物や貴重品等に組み込んで、データ通信、又は音や光等による存在確認をさせるような用途にも適用可能である。また、無線LAN装置13を、美術館や商店等の展示物、広告等に組み込んで、展示物や商品等の情報をスマートホンに提供することも可能である。さらに、無線LAN装置13は、電池駆動のプリンタ、スキャナ、デジタルカメラ等の各種画像形成装置や、フラッシュメモリ等の記憶媒体に組み込んで、無線でデータの送受信を行うことも可能である。
【0025】
(省電力機能)
無線LAN装置13は、アクセスポイントとして動作し、また、バッテリーの消費量を抑制するための省電力機能を有している。具体的には、無線LAN装置13は、データの送受信が可能なアウェイク状態と、電力の供給を抑えたスリープ状態とを繰り返す間欠動作を行うことが可能である。また、無線LAN装置13は、間欠動作中にブロードキャストのSSID(例えば、SSID長が0)を含む管理フレームであるプローブ要求、又は無線LAN装置13のSSIDを含むプローブ要求を受信した場合、プローブ応答を送信せずに間欠動作を継続する。例えば、無線LAN装置13は、ブロードキャストのSSIDを含むプローブ要求、及び無線LAN装置13のSSIDを含むプローブ要求を無視する。
【0026】
一方、無線LAN装置13は、無線LAN装置13のSSIDとは異なる仮想SSIDを予め記憶しており、仮想SSIDを含むプローブ要求を受信した場合に、無線LAN装置13のSSIDを含むプローブ応答を送信し、所定の時間アウェイク状態を維持する。尚、無線LAN装置13が記憶する仮想SSIDは、例えば、工場の製造工程等で記憶部等に書込まれる。また、仮想SSIDの値は、必ずしも無線LAN装置13毎にユニークな値である必要はなく、例えば、同一シリーズのトイラジコン10のいくつか、又は全てに、同じ値の仮想SSIDが書き込まれていても良い。
【0027】
一方、スマートホン15では、トイラジコン10に対応するアプリケーションが動作しており、例えば、このアプリケーションがトイラジコン10に書き込まれている仮想SSIDに関する情報を有している。
【0028】
上記構成により、トイラジコン10は、トイラジコン10に対応するアプリケーションが動作するスマートホン15等以外の、無線LAN機器からのプローブ要求を受信しても、間欠動作を継続することができる。すなわち、上記構成によれば、アクセスポイントにおいて、間欠動作を行い、消費電力を低減することを容易化する無線通信装置を提供することができる。
【0029】
<無線LAN装置の構成>
図2は一実施形態に係る無線通信装置200のブロック図である。この無線通信装置200は、無線LAN装置13として用いられる。
図3において、無線通信装置200は送受信部201、判定部202、状態制御部203、記憶部204を有している。
【0030】
また、無線通信装置200は、常時、電源、及動作クロックが供給される常時動作ブロック206と、状態制御部203の制御により、電源、及び/又はクロックの供給がON/OFF制御される間欠動作ブロック205とに分かれている。送受信部201及び判定部202は、高速クロックで動作し、比較的消費電力が大きい間欠動作ブロック205に含まれる。また、状態制御部203及び記憶部204は、低速クロックで動作し、比較的消費電力が小さい常時動作ブロック206に含まれる。
【0031】
送受信部201は、無線LANフレームの送受信を行うブロックで、アンテナ207を介して、無線データの送受信を行う無線送受信部、及びアクセス制御を行うMAC処理部等を含む。送受信部201は、ネットワークの識別子であるSSIDを含むビーコンを所定のビーコン周期で送信する。
【0032】
判定部202は、無線通信装置200が間欠動作を行っているとき、間欠動作のアウェイク状態の間に受信したフレームを解析して間欠動作を継続するか、又はアウェイク状態を維持するアクティブ動作に移行するかを判定する。
【0033】
状態制御部203は、間欠動作ブロック205への電源、動作クロック等の供給等を制御する。また、状態制御部は、無線通信装置200を、データ送受信が可能なアウェイク状態と、電力の供給を抑えたスリープ状態との間を周期的に遷移させる間欠動作の制御を行う。
【0034】
スリープ状態は、例えば、間欠動作ブロック205への電源の供給を停止した状態である。これにより、データ送受信は行えなくなるが、消費電力は大幅に低減できる。
【0035】
記憶部204は、仮想識別子を記憶する。仮想識別子は、例えば、工場における製造時、又は出荷時等に、製品シリーズ、仕向け先、最終製品等毎に所定の値が書き込まれる。或いは、出荷後にユーザや事業者が書き換え可能なものであっても良い。無線通信装置200は、仮想識別子を含むプローブ要求に応じて、間欠動作を解除し、接続動作に対する準備を行なう。
【0036】
<ビーコンフレームの構成例>
ビーコンは、ネットワークの基本情報等を周辺の無線端末に報知するための管理フレームである。アクセスポイントは、ビーコンの送信タイミングを示すTBTT(Target Beacon Transmission Time)に合わせてビーコンの送信を行う。尚、管理フレームは、ネットワークの管理を行うためのフレームである。無線LAN通信の管理フレームには、例えば、ビーコン(Beacon)、認証(Authentication)、アソシエーション(Association)要求/応答、プローブ(Probe)要求/応答、アクション(Action)、リアソシエーション(Reassocitation)要求/応答等がある。
【0037】
図3はIEEE802.11規格に係るビーコンフレームの構成例を示す図である。
図3において、先頭のFrame Controlフィールドにはビーコンフレームであることを示す識別子が設定される。なお、図中下部の「2B」の記載はFrame Controlフィールドが2バイトであることを示す。他のフィールドについても同様である。次のDureation/IDフィールドには、「0000h」(hは16進数を表す)が設定される。Address1フィールドにはブロードキャストアドレス「FFFF-FFFF-FFFFh」が設定される。Address2フィールドにはアクセスポイントのMACアドレスが設定される。Address3フィールドには、BSSID(アクセスポイントのMACアドレス)が設定される。BSSIDは、IBSSネットワークのBSSIDを作成した無線装置のMACアドレスに基づいて生成され、送受信されるフレームが属するネットワークを識別するための識別子である。フレームには、例えば、データタイプフレーム、マネジメントタイプフレーム、コントロールタイプフレームがあり、BSSIDは、データタイプフレーム、マネジメントタイプフレーム、及び、一部のコントロールタイプフレームにおいて使用される。なお、ビーコンフレームは、マネジメントタイプフレームである。
【0038】
Sequence Controlフィールドにはフレーム番号(連番)が設定される。Timestampフィールドには、ネットワークの時刻情報であるTSF(Timing Synchronization Function)タイマの値が設定される。Beacon Intervalフィールドには、ビーコン周期が設定される。Capabilityフィールドにはネットワークの形態(アドホックモード/インフラストラクチャモード等)が設定される。SSIDフィールドにはネットワークの識別子が設定される。尚、SSIDフィールドのサイズは、ネットワークの識別子の長さに応じて変化する(2バイト+IBSSネットワークの識別子の長さ)。
【0039】
Supported Rateフィールドには、サポートしている転送レートの一覧が設定される。Supported Rateのフィールドも、サポートしている転送レートの数等に応じて長さが変化する。DSSS Parameter Setフィールドには使用している無線チャネル番号が設定される。Traffic Indication Map(TIM)フィールドには、パワーマネージメントに関する各種情報が設定される。FCSフィールドにはFrame Check Sequenceが設定される。
【0040】
<プローブ要求フレームの構成例>
プローブ要求は、端末がアクティブスキャンにより、周囲のアクセスポイントを検索する際に送信する管理フレームである。
【0041】
図4は、IEEE802.11規格に係るプローブ要求フレームの構成例を示す図である。
図4において、先頭のFrame Controlフィールドには、プローブ要求フレームであることを示す識別子が設定される。Dureation/IDフィールドには、無線メディアの予約時間等が設定される。Address1フィールドには、ブロードキャストアドレス「FFFF-FFFF-FFFFh」が設定される。Address2フィールドには端末のMACアドレスが設定される。Address3フィールドには、ブロードキャストアドレス「FFFF-FFFF-FFFFh」が設定される。Sequence Controlフィールドにはフレーム番号(連番)が設定される。
【0042】
SSIDフィールド401にはネットワークの識別子であるSSIDが設定される。SSIDフィールド401は、エレメントID(Element ID)402、長さ(Length)403、情報(Information)404の各フィールドを含む。エレメントIDには、SSIDであることを示す値「0」が設定される。長さ403は、SSIDの長さを示す。プローブ要求フレームは、端末が不特定のアクセスポイントに送信する場合が多い、この場合、長さ403に「0」を設定することによって、宛先が不特定のアクセスポイントを示すブロードキャストとなる。一方、端末は、プローブ要求を特定のアクセスポイントに送信することも可能である。この場合、長さ403には、送信先のアクセスポイントのネットワークの識別子であるSSIDの長さ(本実施の形態では仮想SSIDの長さ)を設定する。
【0043】
情報404には、従来の端末では、送信先のアクセスポイントのネットワークの識別子であるSSIDが設定される。本実施の形態に係る無線通信システムの端末、例えば、
図1のスマートホン15は、情報404に、SSIDに代えて、仮想SSIDを設定する。
【0044】
仮想SSIDは、本実施の形態に係るアクセスポイント、例えば、
図1のトイラジコン10に接続するために予め定められた仮想の識別子である。通常のSSIDは、例えば、アクセスポイントが送信するビーコンや、プローブ応答フレーム等に含まれるが、本実施の形態に係るアクセスポイントは、仮想SSIDの送信を行わない。例えば、
図1の例では、スマートホン15には、トイラジコン10に対応したアプリケーションソフトウェアがインストールされており、このアプリケーションソフトウェアが仮想SSIDに係る情報を有している。従って、トイラジコン10は、プローブ要求のSSIDフィールドに仮想SSIDが設定されているか否かを判断することによって、プローブ要求を送信した端末上で、トイラジコン10に対応するアプリケーションが動作しているか否かを判断することができる。
【0045】
図4に戻って説明を続ける。Supported Ratesのフィールドには、サポートしている転送レートの一覧が設定される。DSSS Parameter Setフィールドには使用している無線チャネル番号が設定される。FCSフィールドにはFrame Check Sequenceが設定される。
【0046】
<プローブ応答フレームの構成例>
プローブ応答フレームは、プローブ要求を送信した端末にネットワーク情報を送信するためのフレームであり、ビーコンフレームとほぼ同様のフォーマットなので、ここではビーコンフレームとの相違点のみ説明する。
【0047】
図5は、IEEE802.11規格に係るプローブ応答フレームの構成例を示す図である。
図4において、先頭のFrame Controlフィールドには、プローブ応答フレームであることを示す識別子が設定される。Address1フィールドには、プローブ要求を送信した端末のMACアドレスが設定される。
【0048】
SSIDフィールドには、ネットワークの識別子であるSSIDが設定される。尚、本実施の形態に係るアクセスポイントは、受信したプローブ要求に仮想SSIDが含まれている場合であっても、仮想SSIDではなく、ビーコンと同様にSSIDを設定してプローブ応答を送信する。
【0049】
<間欠動作>
次に、本実施の形態に係るアクセスポイントである無線通信装置200の間欠動作について説明する。
【0050】
図6は、一実施形態に係る間欠動作の一例を説明するための図である。無線通信装置200は、予め定められた周期のビーコン送信タイミングであるTBTTに応じてビーコンを送信する。TBTTのタイミングは、ビーコンフレームに含まれるネットワークの時刻情報を示すTimestampフィールドの値と、Beacon Intervalフィールドの値により特定することができる。
図6の例では、TBTTの周期が128msの場合を示している。
【0051】
図6において、1回目のTBTTの1ms前の時刻T1において、無線通信装置200の状態制御部203は、間欠動作ブロック205への電力の供給を開始し、無線通信装置200を電力の消費を抑えたスリープ状態から、データの送受信が可能なアウェイク状態へ移行させる。アウェイク状態となった無線通信装置200は、受信動作を行う。尚、TBTTの前にアウェイク状態へ移行させる時間1msは、無線通信装置200に予め設定された値の一例であり、他の値であっても良い。
【0052】
次に、TBTTの時刻T2になると、無線通信装置200は、ビーコン送信を開始し、時刻T3にビーコンの送信を完了する。状態制御部203は、ビーコンの送信が完了する時刻T3に、無線通信装置200をアウェイク状態からスリープ状態へ移行させる。
【0053】
状態制御部203は、また次のTBTTの1ms前の時刻T4において、無線通信装置200をアウェイク状態とし、ビーコンの送信が完了する時刻T6に無線通信装置200をスリープ状態とする。このように状態制御部203は、TBTTに合わせて無線通信装置200をアウェイク状態と、スリープ状態とを繰り返す間欠動作により、無線通信装置200の消費電力を低減する。例えば、送受信部201および判定部202をアウェイク状態とスリープ状態とを繰り返す間欠動作により、無線通信装置200の消費電力を低減する。また、送受信部201のみを間欠動作としてもよい。
【0054】
図7は、一実施形態に係る接続動作の一例を説明するための図である。
図7は、
図1のスマートホン15から、トイラジコン10への接続動作の一例を示している。尚、トイラジコン10は、本実施の形態に係る無線通信装置の一例である。
図7において、アクセスポイントであるトイラジコン10は、間欠動作を行っている。初めに、トイラジコン10に接続を要求するスマートホン15は、トイラジコン10へ、ネットワークの識別子であるSSIDに代えて、予め設定された仮想SSIDを含むプローブ要求を送信する(ステップS701)。しかし、この時点では、トイラジコン10はスリープ状態にあるので、スマートホン15からのプローブ要求を受信することができない。
【0055】
スマートホン15は、プローブ要求を送信した後、所定の待ち時間の間にプローブ応答を受信できない場合、プローブ要求の再送を行う(ステップS702〜S704)。トイラジコン10は、
図7の時刻T1においてアウェイク状態となりスマートホンからのプローブ要求を受信すると、SSIDを含むプローブ応答をスマートホン15へ送信する(ステップS705)。また、トイラジコン10は、時刻T2のTBTTに対応するビーコンの送信も行う(ステップS706)。
【0056】
また、トイラジコン10は、スマートホン15から、仮想SSIDを含むプローブ要求を受信すると、間欠動作を中断し、ビーコンの送信が完了する時刻T3以降もアウェイク状態を維持する。
【0057】
一方、スマートホン15は、トイラジコン10からプローブ応答を受信すると、認証(Authentication)フレームをトイラジコン10に送信する(ステップS707)。スマートホン15から認証フレームを受信したトイラジコン10は、スマートホンに認証フレームを送信する(ステップS708)。続いて、スマートホン15は、接続(Association)要求フレームをトイラジコン10に送信する(ステップS709)。スマートホン15から接続要求フレームを受信したトイラジコン10は、接続応答フレームをスマートホン15に送信し(ステップS710)、データ通信が行えるようにアウェイク状態を維持する。
【0058】
仮想SSIDはプローブ要求時に使用されるが、トイラジコン10がプローブ応答を返した後には、トイラジコン10のSSIDを用いて接続が行われる。仮想SSIDはトイラジコン10とスマートホン15の接続関係が途切れ、再接続を試みるときに再度使用される。
【0059】
尚、トイラジコン10は、ステップS705でプローブ応答フレームを送信した後、予め定められた時間(例えば、TBTT周期5回分)、スマートホン15から管理フレームを受信しなかった場合、再び間欠動作へ移行する。
【0060】
図8は、一実施形態に係る接続失敗時の動作の一例を示す図である。
図8は、例えば、
図1のトイラジコン10に、トイラジコン10に対応したアプリケーションが動作するスマートホン15以外の端末、例えば、PC(Personal Computer)等からプローブ要求があった場合の動作例を示している。
【0061】
通常の無線LAN端末であるPC等は、トイラジコン10にプローブ要求を送信する場合、プローブ要求のSSIDフィールドに、トイラジコン10のSSID、又は、ブロードキャストの宛先(例えば、SSIDの長さが0)を設定する。
図8において、PC等がプローブ要求を送信する(ステップS801〜S804)。トイラジコン10は、時刻T1にアウェイク状態に移行し、PC等からのプローブ要求4を受信する(ステップS804)。トイラジコン10は、プローブ要求4に予め定められた仮想SSIDが含まれているか否かを判断し、仮想SSIDを含まないプローブ要求を送信したPC等にはプローブ応答を送信しない。また、トイラジコン10は、TBTTに応じてビーコンを送信(ステップS805)した後、時刻T3にスリープ状態に移行し、間欠動作を継続する。
【0062】
<接続シーケンス>
次に、シーケンスチャートを用いて、本実施の形態に係る無線通信システムの処理の流れを説明する。
【0063】
図9は、一実施形態に係る無線通信システムのプローブ要求/応答動作の一例を示すシーケンスチャートである。
図9のトイラジコン及びスマートホンは、それぞれ
図1のトイラジコン10、スマートホン15に相当する。PC1及びPC2は、トイラジコン10の仮想SSIDを有していない一般のPC等の情報処理装置である。尚、トイラジコン10は、TBTTのタイミングでビーコンを送信しているが、
図9では図示を省略している。また、
図9のトイラジコンの動作に対応するハッチング部分は、アウェイク状態であることを示す。
【0064】
図9において、一般の情報処理装置であるPC1が、トイラジコン10に対して、トイラジコン10のSSIDを含むプローブ要求を送信する(ステップS901、S902)。しかし、トイラジコン10は、トイラジコン10のSSIDを含むプローブ要求を受信(ステップS902)しても、プローブ応答を送信せず、間欠動作を継続する。
【0065】
同様にして、一般の情報処理装置であるPC2が、トイラジコン10に対して、ブロードキャストのSSID(例えば、SSID長=0)が設定されたプローブ要求を送信する(ステップS903、S904)。しかし、トイラジコン10は、ブロードキャストのSSIDを含むプローブ要求を受信(ステップS904)しても、プローブ応答を送信せず、間欠動作を継続する。
【0066】
次に、スマートホン15が、予め定められた仮想SSIDを含むプローブ要求を送信する(ステップS905、S906)。トイラジコン10は、予め定められた仮想SSIDを含むプローブ要求を受信すると(ステップS906)、例えば、トイラジコン10のSSIDを含むプローブ応答をスマートホン15に送信する(ステップS907)。また、プローブ応答を送信したスマートホン15は、所定の期間(例えば、TBTTの5周期)アウェイク状態を維持し、スマートホン15からの接続に備える。スマートホン15は、上記所定の期間の間に、スマートホン15との接続が行われない場合、スリープ状態へ移行し、間欠動作を行う。
【0067】
このように、トイラジコン10は、仮想SSIDを含まないプローブ要求に対してプローブ応答を送信せず、間欠動作を継続するので、アクセスポイントとして間欠動作を行い、消費電力を低減することを容易化する無線通信装置を実現することができる。
【0068】
図10は、一実施形態にかかる無線通信システムの接続動作の一例を示すシーケンスチャートである。
図10において、ステップS1001からS1003までの動作は、
図9と同様である。ステップS1003でプローブ応答を受信したスマートホン15は、認証フレームをトイラジコン10に送信し(ステップS1004)、スマートホン15から認証フレームを受信したトイラジコン10は、スマートホン15に認証フレームを送信する(ステップS1005)。
【0069】
トイラジコン10から認証フレームを受信したスマートホン15は、トイラジコン10に接続を要求するためのアソシエーション要求を送信する(ステップS1006)。アソシエーション要求を受信したトイラジコン10は、アソシエーション応答をスマートホン15に送信し(ステップS1007)、以後、スマートホン15とトイラジコン10との間のデータ通信が可能となる。本実施の形態では、トイラジコン10は、スマートホン15との接続が完了すると、以後、アウェイク状態を維持する。
【0070】
<まとめ>
上記動作により、本実施の形態に係る無線通信装置(アクセスポイント)は、データ送受信が可能なアウェイク状態と、電力の供給を抑えたスリープ状態との間を所定の周期で遷移させる間欠動作を制御する状態制御部を有する。これにより、アクセスポイントにおいても、無線通信装置の消費電力を低減する。
【0071】
さらに、無線通信装置(アクセスポイント)は、間欠動作のアウェイク状態の間に受信した管理フレームであるプローブ要求が、予め定められた仮想SSIDを含まない場合、応答せず、間欠動作を継続する。これにより、予め定められた端末以外からの管理フレームを受信しても、低消費電力状態を維持することができる。
【0072】
また、無線通信装置(アクセスポイント)は、間欠動作のアウェイク状態の間に受信した管理フレームであるプローブ要求が、予め定められた仮想SSIDを含む場合、応答フレームを送信し、アウェイク状態を維持するので、仮想SSIDを有する端末とは、通常通りデータ通信を行うことができる。
【0073】
以上、上記特徴により、本実施の形態によれば、アクセスポイントにおいて、アクセスポイントとは無関係のステーションによりアウェイクとされることなく、間欠動作を行い、消費電力を低減することを容易化する無線通信装置を提供することが可能となる。
【0074】
[変形例1]
尚、上記実施の形態は一例であって、本発明は様々な応用が可能である。ここでは、変形例の一つについて説明する。
【0075】
上記実施の形態に係るアクセスポイントでは、仮想SSIDを含むプローブ要求に応答して間欠動作を中断し、アウェイク状態を維持するものとして説明を行った。しかし、仮想SSIDを含むプローブ要求以外のフレームにより、アクセスポイントの間欠動作を制御させることも可能である。
【0076】
アクセスポイントの間欠動作の制御に使用するフレームは、例えば、端末からアクセスポイントに送信する認証(Authentication)フレーム、アソシエーション要求フレーム、リアソシエーション要求フレーム等が適している。
【0077】
また、端末からアクセスポイントに送信するデータフレーム、RTS(Request To Send)フレーム等も適している。
【0078】
図11は、変形例1に係る無線通信システムの接続動作の一例を示すシーケンスチャートである。変形例1に係るアクセスポイントであるトイラジコン10は、スマートホン15からの認証フレーム、アソシエーション要求、及び、データフレームを受信すると、トイラジコン10は、アウェイク状態をTBTTの4周期維持するように制御を行うものとする。また、スマートホン15は、プローブ要求を行わずに、認証フレームを送信することにより、トイラジコン10に接続を要求するものとする。
【0079】
図11において、スマートホン15は、変形例1に係るアクセスポイントであるトイラジコン10のMACアドレスを含む認証フレームを用いて、トイラジコンに接続の要求を開始する(ステップS1101、S1102)。
【0080】
トイラジコン10は、スマートホン15から認証フレームを受信すると、スマートホン15に認証フレームを送信する(ステップS1103)。また、トイラジコン10は、認証フレームの受信に応じて、TBTT周期4回分の間アウェイク状態を維持する。尚、認証フレームには、SSIDフィールドがないので、トイラジコン10は仮想SSIDの判定を行わない。
【0081】
トイラジコン10から認証フレームを受信したスマートホン15は、トイラジコン10にアソシエーション要求を送信する(ステップS1104)。アソシエーション要求を受信したトイラジコン10は、スマートホン15にアソシエーション応答を送信する(ステップS1105)。また、トイラジコン10は、アソシエーション要求の受信に応じて、改めてTBTT周期4回分の間アウェイク状態を維持する。
【0082】
同様にして、トイラジコン10は、スマートホン15からデータ要求を受信すると(ステップS1106)、例えば、TBTT周期4回分の間アウェイク状態を維持する。このようにして、データ送受信が行われている間、トイラジコン10は、アウェイク状態を維持する。また、トイラジコン10は、一定期間(例えば、TBTT周期4回分)データの送受信が無い場合、間欠動作へ移行する。
【0083】
図12の、(a)にスマートホン15から送信される認証フレームのフォーマットを、(b)にデータ要求フレームのフォーマットを、(c)にRTSフレームのフォーマットを示す。
図12に示すように、各フレーム(a)、(b)、(c)は、SSIDフィールドを有していない。そのため、トイラジコン10は、Adress1のフィールドに自装置のMACアドレスが設定されており、FrameControlフィールドに、認証、データ、RTSを示す値が設定されている場合、アウェイクを維持すると判断する。
【0084】
尚、変形例1においても、SSIDフィールドにトイラジコン10のSSID又はブロードキャストのSSIDが設定された管理フレームを受信しても間欠動作を継続し、応答フレームの送信を行わない。
【0085】
[変形例2]
変形例2では、認証フレームの送受信を行わず、アソシエーション要求から接続要求を開始する場合の例について説明する。変形例2のアクセスポイントであるトイラジコン10は、アソシエーション要求に仮想SSIDが含まれるか否かを判断し、仮想SSIDが含まれる場合、アソシエーション応答を送信し、アウェイク状態を維持して間欠動作を中断する。一方、アソシエーション要求に仮想SSIDが含まれない場合、アソシエーション応答を送信せず、間欠動作を継続する。
【0086】
図13は、変形例2に係る無線通信システムの接続動作の一例を示すシーケンスチャートである。トイラジコン10に接続を要求するスマートホン15は、トイラジコン10に予め定められた仮想SSIDを含むアソシエーション要求を送信する(ステップS1301、S1302)。トイラジコン10は、アソシエーション要求を受信すると、アソシエーション要求に予め定められた仮想SSIDが含まれているか否かを判断する。アソシエーション要求に仮想SSIDが含まれている場合、トイラジコン10は、スマートホン15にアソシエーション応答を送信し(ステップS1303)、アウェイク状態を維持する。
【0087】
このとき、トイラジコン10は、変形例1のように、所定の期間(例えば、TBTTの4周期)アウェイク状態を維持し、その間にデータフレームを受信しない場合には、間欠動作を行っても良い。この場合、スマートホン15は、データ通信を再開する前に、改めてアソシエーション要求を送信(ステップS1304、S1305)すれば良い。
【0088】
変形例2では、アソシエーション要求に仮想SSIDが含まれているか否かの判断が、簡易的な認証の役割を果たすので、より少ないシーケンスで接続動作を行うことができる。
【0089】
尚、上記実施の形態及び各変形例は、組み合わせて実施しても良い。