特許第6331372号(P6331372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331372
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】断裁寸法検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/04 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   G01B11/04 101H
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-257864(P2013-257864)
(22)【出願日】2013年12月13日
(65)【公開番号】特開2015-114255(P2015-114255A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石森 稔久
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 淳
【審査官】 池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−229009(JP,A)
【文献】 特開2008−100324(JP,A)
【文献】 特開2004−058550(JP,A)
【文献】 特開2002−293058(JP,A)
【文献】 特開2010−230517(JP,A)
【文献】 特開昭59−019625(JP,A)
【文献】 米国特許第05867274(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B11/00−11/30
B65H 7/00− 7/20
43/00−43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断裁された刷本の断裁寸法を検査する装置であって、
搬送手段と、検査タイミング取得センサーと、端辺位置検出センサーと、寸法算出手段と、で構成され、
搬送手段は、断裁された刷本を搬送する手段であって、
検査タイミング取得センサーは、搬送される刷本の搬送方向先頭端辺を検知し、検知した検査タイミング情報を出力する手段であって、
端辺位置検出センサーは、刷本の4辺の端辺の位置を検出するセンサーであって、それぞれ検知した端辺位置情報を出力するもので、刷本の搬送方向先頭の端辺位置を検出する第一の端辺検出センサーと、刷本の搬送方向後端辺位置を検出する第二の端辺検出センサーと、刷本の搬送方向と直交する両端辺位置を検出する第三及び第四の端辺検出センサーで構成され、
寸法算出手段は、斜め情報演算部と寸法演算部とで構成され、
前記斜め情報演算部は、検査タイミング取得センサーから得られた検査タイミング情報と、前記第一の端辺検出センサーから得られた刷本の搬送方向先頭の端辺位置情報から前記搬送される刷本の斜め度合いを算出するもので、
前記寸法演算部は、前記刷本の4辺の端辺位置を検出するセンサーから得られた刷本の搬送方向及び搬送方向と、直交する方向の寸法と前記刷本の斜め度合いと、に基づいて刷本の寸法を算出することを特徴とする断裁寸法検査装置。
【請求項2】
前記搬送手段はローラー搬送装置であることを特徴とする請求項1に記載の断裁寸法検査装置。
【請求項3】
前記搬送手段はベルト搬送装置であることを特徴とする請求項1に記載の断裁寸法検査装置。
【請求項4】
前記刷本の4辺の端辺位置を検出するセンサーは複数の受光素子を備えたセンサーであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の断裁寸法検査装置。
【請求項5】
前記寸法算出手段によって測定された値が許容値を超えた場合は断裁不良品と判定し、搬送手段の外側に排出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の断裁寸法
検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製本された刷本の寸法を検査する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷物、特に、中綴じ本は、積層された折丁を針金で綴じた後、三方断裁を行って製造される。図1は中綴じ本の製造工程を示す図である。印刷機で印刷された刷本は製本機で製本された後、断裁装置によって断裁される。断裁後の刷本は所定の寸法に仕上がっているか否かを寸法検査機で検査され、最後に結束され出荷される。
【0003】
図2は製本された刷本が断裁装置によって断裁され完成品となる様子を示す図である。製本機に備えられた断裁装置は、断裁位置に向けて搬送されてくる刷本1を断裁位置に位置決めするとともに、刷本の厚さ方向に移動可能な断裁刃により刷本の3端辺1a、1b、1cの所定箇所2a、2b、2cを断裁して(3方断裁と呼ばれる)刷本を所定寸法に仕上げ完成品(完成刷本)2としている。尚、刷本1の辺1dは針金が打ち込まれる辺であって断裁は行われない。この場合の断裁は、例えば先ず2bを断裁した後に、2a、2cを同時に断裁することが一般的に行われている。
【0004】
ここで、断裁時には図3に示すような断裁不良が発生する場合がある。図3は断裁不良の一例を示す図で、図3(a)は所定(許容範囲内)の寸法A、Bに仕上がっている良品を示している。一方、図3(b)は寸法A´が所定の寸法ではなく、図3(c)は寸法B´が所定の寸法ではなく、また図3(d)は平行四辺形となった断裁不良品を示している(破線は良品の寸法を示している)。
【0005】
そこでこれらの不良品を検査するために、断裁されて結束するまでの搬送途中で寸法検査が行われる。図4(a)は寸法検査方法の一例を示す上面図であり、矢印4で示される方向に搬送されている刷本3の寸法を検査する場合を示す図である。刷本3が搬送される途中に寸法検査装置が設けられており、寸法検査装置は検査タイミングを取得するセンサー5と、刷本3の端辺の位置を取得する4つのセンサー6a、6b、6c、6dと、を配置したものである。図4(b)は4つのセンサー6a、6b、6c、6dの受光素子面7を見た図で、4つのセンサーは受光素子が複数配列された例えばCCD受光素子であって、受光した素子と遮光された素子の場所によって、刷本3の端辺の位置を取得するものである。
【0006】
上記寸法検査装置では、検査タイミングを取得するセンサー5が刷本3の搬送方向先端を検知した時点を検査タイミングとして、そのタイミングでのセンサー6a、6c間の線分8の寸法(搬送方向の寸法)と、センサー6b、6d間の線分9の寸法(搬送方向と直交する方向の寸法)を求めて刷本3の寸法を検査するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−261215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記図4に示す方法では、刷本3が搬送され検査される際に斜め搬送された場合には、良品を不良品と判定してしまう。即ち、図5の破線で示す刷本3の上記2方向の寸法は10a(搬送方向の寸法)、11a(搬送方向と直交する方向の寸法)で示す
線分の寸法あるが、実線で示すように斜め搬送された場合には、2方向の寸法は10b、11bで示される線分の寸法は、いずれの寸法も良品寸法より長く測定されてしまうので寸法不良と判定されてしまう。しかも刷本3が寸法測定される場所は刷本をロール搬送する場合が一般的であるので、斜め搬送されることが多くある。
【0009】
そこで本発明は、寸法測定される刷本が斜め搬送された場合であっても、刷本の真の寸法を検査することが可能な断裁寸法検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明は、
断裁された刷本の断裁寸法を検査する装置であって、
搬送手段と、検査タイミング取得センサーと、端辺位置検出センサーと、寸法算出手段と、で構成され、
搬送手段は、断裁された刷本を搬送する手段であって、
検査タイミング取得センサーは、搬送される刷本の搬送方向先頭端辺を検知し、検知した検査タイミング情報を出力する手段であって、
端辺位置検出センサーは、刷本の4辺の端辺の位置を検出するセンサーであって、それぞれ検知した端辺位置情報を出力するもので、刷本の搬送方向先頭の端辺位置を検出する第一の端辺検出センサーと、刷本の搬送方向後端辺位置を検出する第二の端辺検出センサーと、刷本の搬送方向と直交する両端辺位置を検出する第三及び第四の端辺検出センサーで構成され、
寸法算出手段は、斜め情報演算部と寸法演算部とで構成され、
前記斜め情報演算部は、検査タイミング取得センサーから得られた検査タイミング情報と、前記第一の端辺検出センサーから得られた刷本の搬送方向先頭の端辺位置情報から前記搬送される刷本の斜め度合いを算出するもので、
前記寸法演算部は、前記刷本の4辺の端辺位置を検出するセンサーから得られた刷本の搬送方向及び搬送方向と、直交する方向の寸法と前記刷本の斜め度合いと、に基づいて刷本の寸法を算出することを特徴とする断裁寸法検査装置である。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、
前記搬送手段はローラー搬送装置であることを特徴とする請求項1に記載の断裁寸法検査装置である。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、
前記搬送手段はベルト搬送装置であることを特徴とする請求項1に記載の断裁寸法検査装置である。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明は、
前記刷本の4辺の端辺位置を検出するセンサーは複数の受光素子を備えたセンサーであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の断裁寸法検査装置である。
【0014】
本発明の請求項5に記載の発明は、
前記寸法算出手段によって測定された値が許容値を超えた場合は断裁不良品と判定し、搬送手段の外側に排出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の断裁寸法検査装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載の断裁寸法検査装置によれば、搬送手段によって搬送される刷本の斜め度合いを算出し、搬送方向の寸法と搬送方向と直交する方向の2つの寸法を測定し、更に前記斜め度合いによって前記2つの方向の寸法を算出することが出来、搬送手段
によって搬送される刷本が斜めに搬送された状態であっても、真の寸法を測定することが出来る。
【0016】
本発明の請求項2に記載の断裁寸法検査装置によれば、搬送手段はローラー搬送装置であるために、検査タイミング取得センサー及び4個のセンサーは、透過型センサーを用いることが出来るため、反射型センサーを用いるよりも正確な検査が出来る。
【0017】
本発明の請求項3に記載の断裁寸法検査装置によれば、搬送手段はベルト搬送装置であるために、ローラー搬送装置と同様に検査タイミング取得センサー及び4個のセンサーは、透過型センサーを用いることが出来るため、反射型センサーを用いるよりも正確な検査が出来る。またベルト搬送装置自体が安価でしかも容易に設置することが出来る。
【0018】
本発明の請求項4に記載の断裁寸法検査装置によれば、刷本の4端辺を検知するセンサーに複数の受光素子を備えたセンサーを用いることによって刷本の4端辺位置を正確に検知することが出来る。
【0019】
本発明の請求項5に記載の断裁寸法検査装置によれば、断裁不良品を搬送手段の外側に排出することが出来るため、良品に不良品が混入することを防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】中綴じ本の製造工程を示す図。
図2】製本機で製本された刷本が断裁装置によって断裁され完成品となる様子を示す図。
図3】断裁時に発生する断裁不良の例を示す図。(a)は、所定(許容範囲内)の寸法A、Bに仕上がっている良品を示す。(b)は寸法A´が所定の寸法ではない刷本を示す。(c)は寸法B´が所定の寸法ではない刷本を示す。(d)は平行四辺形となった断裁不良品を示す。
図4】(a)は従来の断裁寸法検査方法の一例を示す上面図。(b)は受光素子面を見た図。
図5】刷本が斜め搬送された場合に良品を不良品と判定してしまうことを説明するための図。
図6】本発明の断裁寸法検査装置の概略構成を示す図。
図7】本発明に係る斜め情報演算部によって斜め度合いを算出する方法と寸法演算部によって寸法を求める方法を説明するための図。(a−1)は刷本が正常に(斜めではなく)搬送された場合を示す図。(a−2)は図(a−1)の破線40で示す部分を拡大して示す図。(b−1)は刷本が斜めに搬送された場合を示す図。(b−2)は図(b−1)の破線41で示す部分を拡大して示す図。
図8】本発明に係る位置情報を説明するための図。(a)は第一の端辺検出センサー26aと第二の端辺検出センサー26cが距離Aset隔てて設置されたことを示す図。(b)は刷本23の寸法28−1を求める方法を示す図。(c)は第三の端辺検出センサー26bと第四の端辺検出センサー26dが距離Bset隔てて設置されたことを示し、また刷本23の寸法29−1を求める方法を示す図。
図9】寸法演算部31によって刷本23の真の寸法28と29を算出する方法を示す図。
図10】平行四辺形に断裁された刷本43が寸法不良と判定されることを説明するための図。(a)は辺2bが断裁され、辺2a、2cがこれから断裁される刷本43aを示す図。(b)は刷本43aが斜めに断裁機に送り込まれ断裁刃50で断裁されることを示す図。(c)は辺2a−1、2c−1が斜めに断裁されることを示す図。
図11】平行四辺形に断裁された刷本43が寸法不良と判定されることを説明するための図。(d)は刷本43が断裁寸法検査装置に斜め度合いα=0度で搬送された場合に寸法不良と判定されることを示す図。(e)は刷本43が平行四辺形に断裁された場合で断裁寸法検査装置に斜め搬送された場合に寸法不良と判定されることを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の断裁寸法検査装置の実施形態を図を用いて説明する。
【0022】
図6は本発明の断裁寸法検査装置の概略構成を示す図である。図6に示される本発明の断裁寸法検査装置は、図示しない搬送手段と、検査タイミング取得センサー25と、端辺位置検出センサー26a〜26dと、寸法算出手段100と、で構成される。
【0023】
搬送手段は、断裁された刷本23を矢印24で示す方向に搬送する手段であって、ローラー搬送装置を用いることによって、後で述べる検査タイミング取得センサー及び4個のセンサーには、透過型センサーを用いることが出来るため、反射型センサーを用いるよりも正確な検査が出来るが、これに限定されるものではなくベルト搬送装置を用いても良い。ベルト搬送装置の場合は、ローラー搬送装置と同様に検査タイミング取得センサー及び4個のセンサーは、透過型センサーを用いることが出来るため、反射型センサーを用いるよりも正確な検査が出来る。またベルト搬送装置自体が安価でしかも容易に設置することが出来る。
【0024】
検査タイミング取得センサー25は搬送される刷本23の搬送方向先頭端辺を検知する手段であって、例えば投光部と受光部からなる透過型センサーを使用することが出来る。
【0025】
端辺位置検出センサー26a〜26dは、刷本の4辺の端辺の位置を検出するセンサーであって、刷本の搬送方向先頭の端辺位置を検出する第一の端辺検出センサー26aと、刷本の搬送方向後端辺位置を検出する第二の端辺検出センサー26cと、刷本の搬送方向と直交する両端辺位置を検出する第三及び第四の端辺検出センサー26b、26dとで構成されている。
【0026】
これらの第一から第四の端辺検出センサーは、複数の受光素子を備えたセンサーであって、それぞれ刷本の端辺が複数の受光素子の中央部の受光素子によって読み取られる位置に予め設けられる。上記4個のセンサー26a、26b、26c、26dは例えば透過型CCDアレイを用いることが出来る。透過型CCDアレイを用いることによって刷本23の端辺位置を容易に検出することが出来る。
【0027】
寸法算出手段は、斜め情報演算部30と寸法演算部31とで構成されている。
【0028】
斜め情報演算部30は、検査タイミング取得センサー25から得られた検査タイミング情報と、第一の端辺検出センサー26aから得られた刷本の搬送方向先頭の端辺位置情報から搬送される刷本23の斜め度合いを算出する。
【0029】
寸法演算部31は、刷本23の4辺の端辺位置を検出するセンサーから得られた刷本23の搬送方向及び搬送方向と直交する方向の寸法28、29と、刷本23の斜め度合いと、から刷本23の寸法32、33を算出する。
【0030】
斜め情報演算部30によって斜め度合いを算出する方法と寸法演算部31によって線分28、29の寸法を求める方法を図7図8を用いて説明する。図7(a−1)は刷本23が正常に(斜めではなく)搬送された場合を示す図で、図7(a−2)は図(a−1)の破線40で示される部分を拡大して示す図である。刷本23が正常に搬送された場合は検査タイミング取得センサー25によって刷本23の搬送方向先頭の端辺23aが検出され、検査タイミング情報が出力される。検査タイミング情報が出力されたタイミングで、刷本23の搬送方向先頭の端辺位置を検出する第一の端辺検出センサー26aの透過型CCDアレイの決められた位置(例えばCCDアレイが256素子からなる受光素子であってその中央部の128番目(124〜132番目のように幅を持たせても良い)の受光素子26a−1が刷本23の搬送方向先頭の端辺位置を検出するように予め第一の端辺検出センサー26aの位置)に設定しておく。こうすることによって、受光素子の128番目の受光素子26a−1で刷本の搬送方向先頭の端辺を検出した場合は正常に搬送されたものと斜め情報演算部30は判断する。また、その場合の検査タイミング取得センサー25と第一の端辺検出センサー26aとの距離をXとしておく。
【0031】
刷本23が正常に搬送された上記図7(a−1)の場合は、第一の端辺検出センサー26aと第二の端辺検出センサー26cで読み取った位置情報から線分28の寸法が求められ、第三の端辺検出センサー26bと第四の端辺検出センサー26dで読み取った位置情報から線分29の寸法が求められる。
【0032】
図8はここで言う位置情報を説明するための図である。図8は第一の端辺検出センサー26aと第二の端辺検出センサー26cで読み取った位置情報から線分28の寸法を求める場合を例として上記位置情報を説明するための図である。
【0033】
図8(a)に示すように、第一の端辺検出センサー26aと第二の端辺検出センサー26cは、距離Aset(Asetは刷本23の搬送方向24の寸法と同じ)隔てて設置され、且つ、それぞれ刷本23の端辺23a、23cが第一の端辺検出センサー26aと第二の端辺検出センサー26cのそれぞれのCCDアレイの中央部(例えば上記128番目)の受光素子によって読み取られるように予め設置される。ここでいう位置情報とは刷本23の端辺23a、23cを検出した受光素子が上記中央部の受光素子とどれだけかけ離れているかを示すものである。即ち図8(b)に示すように刷本23の端辺23aを第一の端辺検出センサー26aで検出した受光素子が上記128番目であったとすると位置情報は「0」(ゼロ)となり、また刷本23の端辺23cを第二の端辺検出センサー26cで検出した受光素子が上記128番目より搬送方向24と逆方向に受光素子5個分ずれていた場合の位置情報は「プラス5」(搬送方向24と同方向に5個分ずれていた場合は「マイナス5」)となる。
【0034】
また受光素子1個分の寸法が、例えば0.5mmとすれば、刷本23の寸法28−1はAset+0.5mm×5として求められる。同様にして図8(c)に示すように第三の端辺検出センサー26bと第四の端辺検出センサー26dによって求められた位置情報と予め2つのセンサー26b、26dが隔てて設置された距離Bset(Bsetは刷本23の搬送方向24と直交知る方向の寸法と同じ)から搬送方向24と直交する方向の寸法29−1が求められる。
【0035】
刷本23が斜め搬送された場合を図7(b−1)に示す。図7(b−2)は図(b−1)の破線41で示す部分を拡大して示す図である。図7(b−1)に示すように刷本23が斜めに搬送された場合は、検査タイミング取得センサー25によって刷本23の搬送方向先頭の端辺23aを検出したタイミングでは、図7(b−2)に示す刷本23の搬送方向先頭の端辺23aの位置を検出する第一の端辺検出センサー26aの透過型CCDアレイの位置は26a−1から26a−2へずれており、この場合位置26a−1と位置26a−2との間隔の寸法Yが求められる。
【0036】
斜め情報演算部30は、このようにして求めた上記Yの寸法と、検査タイミング取得センサー25と第一の端辺検出センサー26aとの距離Xとから、斜め度合いαを、α=tan−1(Y/X)として求める。
【0037】
また、図7(b−1)に示す第一の端辺検出センサー26aと第二の端辺検出センサー26cから刷本23の搬送方向の寸法28aと、第三の端辺検出センサー26bと第四の端辺検出センサー26dから搬送方向と直交する方向の寸法29aが求められる。
【0038】
図9は寸法演算部31によって刷本23の真の寸法である線分28の寸法(A1)と線分29の寸法(B1)を算出する方法を示す図である。寸法演算部31では上記斜め度合いαと符号28aで示す線分の寸法A1´から、また線分29aで示す線分の寸法B1´から刷本23の真の寸法、即ち符号28で示す線分の寸法A1と符号29で示す線分の寸法B1を算出する。即ち、A1/A1´=cosα、またB1/B1´=cosαから刷本23の真の寸法A1と真の寸法B1が算出される。
【0039】
このようにして、刷本23が斜め搬送された場合であっても、刷本23の真の寸法(符号28で示される寸法A1と符号29で示される寸法B1)を算出することによって、寸法不良と判定することを防ぐことが出来る。
【0040】
また、図10図11は平行四辺形に断裁された刷本43が寸法不良と判定されることを説明する図である。図10(a)は先ず辺2bが断裁され、辺2a、2cがこれから断裁される刷本43aを示す図である(尚、符号1dは針金が打ち込まれる辺であって断裁は行われない辺を示す)。図10(b)は図10(a)に示す刷本43aが斜めに断裁機に送り込まれた為に、図10(c)に示すように辺2a−1、2c−1が断裁刃50(断裁刃の間隔をBとする)で斜めに断裁されることを示す図である。その結果、刷本43は平行四辺形に断裁されたものとなる。
【0041】
図11(d)はこの刷本43が断裁寸法検査装置に斜め度合いα=0度で搬送された場合に寸法不良と判定されることを示す図である。即ち、この場合に測定される寸法は線分28bで示す寸法A2´と、線分29bで示す寸法B2´であって、このうち線分28bで示す寸法A2´は良品の寸法であるが(端辺43cは正規の位置で断裁されているため)、一方線分29bで示す寸法B2´は、断裁刃の間隔を示す線分29(寸法:B)と比較してB2´>Bとなり、しかもB2´の値が予め設定された寸法許容範囲(上限と下限)を超えた場合は不良と判定される。
【0042】
また、図11(e)に刷本43が平行四辺形に断裁された場合で断裁寸法検査装置に斜め搬送された場合に寸法不良と判定されることを示す。説明の便宜上、斜め度合いをαとする。この場合、線分28cで示す寸法A3´と、線分29cで示す寸法B3´が先ず測定される。更に斜め度合いαを考慮すると、この場合の線分28で示す真の寸法A3はA3/A3´=cosαから求められるため良品と判定されが、線分29で示す寸法B3はB3/B3´=cosβの関係にある(βの角度は求める必要はない)。刷本43が平行四辺形であるためこの場合、α>βであり、斜め度合いαに基づいて求めた図示しない寸法B4はB4/B3´=cosαとなることから算出した寸法B4はB3>B4となり斜め度合いαに基づくことによって寸法不良と判定することが出来る。しかもB4の値が予め設定された寸法許容範囲(上限と下限)を超えた場合は不良と判定される。
【0043】
このようにして刷本43が平行四辺形の場合でも、斜め度合いが0度であってもα度であっても刷本23が平行四辺形の場合は、寸法不良と判定することが出来る。
【0044】
また、寸法演算部31によって求められた上記刷本23、43の真の寸法が寸法不良と判定された場合には排出手段によって搬送手段の外側に排出することによって、不良品の混入を防ぐことが出来る。
【0045】
以上のように、本発明の製本断裁寸法検査装置によれば刷本の寸法検査を行う際に、斜めに搬送された場合であっても真の寸法を算出することが出来るため、斜め搬送による良品を不良品と判定することがない。
【符号の説明】
【0046】
1・・・刷本
1a、1b、1c・・・刷本の3端辺
1d・・・刷本の針金が打ち込まれる辺
2・・・完成品(完成刷本)
2a、2b、2c・・・断裁箇所
3・・・刷本
4・・・刷本の搬送方向
5・・・検査タイミングを取得するセンサー
6a、6b、6c、6d・・・刷本の端辺の位置を取得するセンサー
7・・・受光素子面
8・・・センサー6a、6c間の線分
9・・・センサー6b、6d間の線分
10a、11a・・・正しく測定される線分
10b、11b・・・斜め搬送された場合に測定される線分
23・・・刷本
24・・・刷本23が搬送される方向
25・・・検査タイミング取得センサー
26a・・・第一の端辺検出センサー
26b・・・第三の端辺検出センサー
26c・・・第二の端辺検出センサー
26d・・・第四の端辺検出センサー
28・・・刷本23の搬送方向の線分
28−1・・・算出された刷本23の搬送方向24の寸法
29−1・・・算出された刷本23の搬送方向24と直交する方向の寸法
29・・・刷本23の搬送方向と直交する方向の線分
30・・・斜め情報演算部
31・・・寸法演算部
32、33・・・刷本23の寸法
40・・・図7(a−1)の破線で囲まれた部分
41・・・図7(b−1)の破線で囲まれた部分
43・・・平行四辺形に断裁された刷本
50・・・断裁刃
100・・・寸法算出手段
A、B・・・所定の寸法
A´・・・所定の寸法ではない寸法
B´・・・所定の寸法ではない寸法
Aset・・・刷本23の搬送方向24の寸法
Bset・・・刷本23の搬送方向24と直交する方向の寸法
X・・・検査タイミング取得センサー25と第一の端辺検出センサー26aとの距離
Y・・・位置26a−1から位置26a−2まで寸法
α・・・斜め度合い
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11