(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
(本開示の一態様にかかる発泡成形体1の概要)
まず、
図1、
図9を参照しながら、本開示の一態様にかかる発泡成形体1の実施形態の概要について説明する。
図1は、本開示の一態様にかかる発泡成形体1の構成例を示す図である。
図9は、本開示の一態様にかかる発泡成形体1を説明するための図である。
【0016】
本開示の一態様にかかる発泡成形体1は、ポリエチレン系樹脂を溶融混練した発泡樹脂を分割金型で型締めして成形した発泡成形体1である。本開示の一態様にかかる発泡成形体1は、
図9に示すように、成形した発泡成形体1のMFR(190℃、g/10分)が0.8未満である、ことを特徴とする。または、ポリエチレン系樹脂のMFR(190℃、g/10分)が1.0以下である、ことを特徴とする。
【0017】
成形した発泡成形体1のMFRが0.8未満、または、ポリエチレン系樹脂のMFRが1.0以下となるようにすることで、発泡成形体1を分割金型の間から取り出す際に、発泡成形体1を構成する発泡樹脂が分割金型に貼り付くことがなく、発泡成形体1を分割金型から容易に取り出すことができる。以下、添付図面を参照しながら、本開示の一態様にかかる発泡成形体1の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態においては、発泡成形体1としてインパネダクト1を例に説明する。
【0018】
<インパネダクト1の構成例>
まず、
図1〜
図3を参照しながら、本実施形態のインパネダクト1の構成例について説明する。
図1は、インパネダクト1の概略平面図であり、エアコンユニット(図示せず)に接続するための供給部105を有する側のインパネダクト1を示す。
図2は、
図1に示す嵌め合い部102d周辺の概略平面図を示し、
図3は、
図2のD−D’断面図を示す。
【0019】
本実施形態のインパネダクト1は、エアコンユニットから供給される冷暖風を所望の部位へ流通させるための軽量なインパネダクト1である。
【0020】
本実施形態のインパネダクト1は、所定のポリエチレン系樹脂を溶融混練した発泡樹脂を分割金型で型締めし、ブロー成形することで成形される。
【0021】
本実施形態のインパネダクト1は、発泡倍率が1.3倍以上で複数の気泡を有する独立気泡構造(例えば、独立気泡率が70%以上)で構成される。また、インパネダクト1の平均肉厚は、0.5mm以上である。また、インパネダクト1のダクト内面の表面粗さRmaxは200μm以下で構成する。表面粗さRmaxを200μm以下で構成することで、通風効率を向上させることができる。本実施形態のインパネダクト1は、−10℃における引張破壊伸びが40%以上で、かつ、常温時における引張弾性率が1000kg/cm
2以上であることが好ましい。更に、−10℃における引張破壊伸びが100%以上であることが好ましい。なお、本実施形態で用いる各用語について以下に定義する。
【0022】
発泡倍率:後述する本実施形態の成形方法で用いた発泡樹脂の密度を、本実施形態の成形方法により得られたインパネダクト1の管本体X1(
図3参照)における見かけ密度で割った値を発泡倍率とした。
引張破壊伸び:後述する本実施形態の成形方法により得られたインパネダクト1の管本体X1を切り出し、−10℃で保管後に、JIS K−7113に準じて2号形試験片として引張速度を50mm/分で測定を行った値を引張破壊伸びとした。
引張弾性率:後述する本実施形態の成形方法により得られたインパネダクト1の管本体X1を切り出し、常温(例えば、23℃)で、JIS K−7113に準じて2号形試験片として引張速度を50mm/分で測定を行った値を引張弾性率とした。
【0023】
本実施形態のインパネダクト1は、
図1に示すように、エアコンユニット(図示せず)に接続するための供給部105が管部101(101a〜101d)の一端に設けられている。また、嵌め合い部102(102a〜102d)が管部101(101a〜101d)の他端に設けられる。また、管部101(101a〜101d)、供給部105、嵌め合い部102(102a〜102d)から構成される管本体X1(
図3参照)にフランジ部103(103a〜103g)が連接されている。
【0024】
本実施形態において平均肉厚は、成形品の中空延伸方向に約100mmの等間隔で測定した肉厚の平均値を意味する。中空の成形品であれば、パーティングラインを介して溶着される2つの壁部の各々においてそれぞれパーティングライン90°方向の位置の肉厚を測定し、その測定した肉厚の平均値を意味する。但し、測定位置に、上述したフランジ部103などを含まないようにしている。
【0025】
管本体X1の内側は、流体を流通させる流路を有するように構成され、エアコンユニットの冷暖風を流通させられるようになっている。
【0026】
供給部105の開口部111から管本体X1の内側に供給される流体の流路は、
図1に示すように、流路A,B−1,B−2,Cの4本に分けられる。こうした供給部105の開口部111から管本体X1の内側に供給された流体が、流路Aでは嵌め合い部102aの開口部から流出する。また、流路B−1では嵌め合い部102bの開口部から流出する。また、流路B−2では嵌め合い部102cの開口部から流出する。また、流路Cでは嵌め合い部102dの開口部から流出する。
【0027】
インパネダクト1における流路A周りの構成としては、管部101aの一端に供給部105が設けられ、他端に嵌め合い部102aが設けられている。また、管部101a、供給部105、嵌め合い部102aから構成される管本体X1にフランジ部103a、103eが連接されている。フランジ部103aには、嵌め合い部102aにより接続される他の管状部材に対して固定するための固定用孔107aが開設される。この固定用孔107aに不図示のボルトを貫通させてナットで締め付けることにより、他の管状部材に対してインパネダクト1を固定することができる。また、フランジ部103eにも固定用孔107eが開設される。
【0028】
インパネダクト1における流路B−1周りの構成としては、管部101bの一端に供給部105が設けられ、他端に嵌め合い部102bが設けられている。また、管部101b、供給部105、嵌め合い部102bから構成される管本体X1にフランジ部103bが連接されている。フランジ部103bには、嵌め合い部102bにより接続される他の管状部材に対して固定するための固定用孔107bが開設される。
【0029】
また、管部101aと101bとの間の間隔が狭い部分には、強度保持のための橋渡し部104eが、これら管部101a、101bそれぞれに連接されて設けられる。
【0030】
インパネダクト1における流路B−2周りの構成としては、上述した流路B−1周りの構成と同様に構成される。
【0031】
インパネダクト1における流路C周りの構成としては、上述した流路A周りの構成と同様に構成される。
【0032】
管部101bと101cとの間には、フランジ部103gが管部101b、101cそれぞれに連接されて設けられる。フランジ部103gにも固定用孔107gが開設される。
【0033】
本実施形態のインパネダクト1は、
図1に示すように、管本体X1(
図3参照)の外側にフランジ部103(103a〜103g)が連接されている。管本体X1は、管部101(101a〜101d)、供給部105、嵌め合い部102(102a〜102d)から構成される部分を意味する。
【0034】
本実施形態のインパネダクト1は、嵌め合い部102の開口部100の開口面積を管部101の開口面積よりも大きくしている。管部101の開口面積は、管部101の箇所においてインパネダクト1の流路進行方向と直交する方向に切断した管部101の開口部の面積を意味する。嵌め合い部102の開口部100の開口面積を管部101の開口面積よりも大きくするには、例えば、嵌め合い部102の形状をラッパ形状で構成することで実現可能である。ラッパ形状とは、開口端部に向かうほど、開口面積が大きくなる形状をいう。
【0035】
<インパネダクト1の成形方法例>
次に、
図4〜
図6を参照しながら、本実施形態のインパネダクト1の成形方法例について説明する。
図4は分割金型の開状態、
図5は分割金型の閉状態を分割金型側面から示した図である。
図6は、分割金型の閉状態を2つの分割金型の当接面から分割金型12a側について示す断面図である。
【0036】
まず、
図4に示すように、発泡パリソンを環状ダイス11より射出し、円筒形状の発泡パリソン13を分割金型12a,12b間に押し出す。
【0037】
次に、分割金型12a,12bを型締めし、
図5に示すように、発泡パリソン13を分割金型12a,12bで挟み込む。これにより、発泡パリソン13を分割金型12a,12bのキャビティ10a,10bに収納させる。
【0038】
次に、
図5、
図6に示すように、分割金型12a,12bを型締めした状態で、分割金型12a,12bに設けられた所定の孔に吹き込み針14と吹き出し針15とを貫通させ、発泡パリソン13に同時に突き刺す。吹き込み針14、吹き出し針15の先端が発泡パリソン13内に入ると、すぐに吹き込み針14から空気等の圧縮気体を発泡パリソン13の内部に吹き込み、発泡パリソン13の内部を経由して吹き出し針15から圧縮気体を吹き出し、所定のブロー圧でブロー成形を行う。
【0039】
吹き込み針14は、
図1に示すインパネダクト1の供給部105の開口部111に相当する位置に突き刺し、圧縮気体を発泡パリソン13の内部に吹き込むための吹き込み口を形成する。また、吹き出し針15は、
図1に示すインパネダクト1の嵌め合い部102(102a〜102d)の開口部100(100a〜100d)それぞれに相当する位置に突き刺し、圧縮気体を発泡パリソン13の内部から外部に吹き出すための吹き出し口を形成する。
【0040】
これにより、吹き込み針14から圧縮気体を発泡パリソン13の内部に吹き込み、発泡パリソン13の内部を経由して吹き出し針15から圧縮気体を吹き出し、所定のブロー圧でブロー成形を行うことができる。
【0041】
本実施形態では、吹き込み針14から圧縮気体を発泡パリソン13内に吹き込むと共に、分割金型12a,12bのキャビティ10a,10bから排気を行い、発泡パリソン13とキャビティ10a,10bとの間の隙間をなくし、負圧状態にさせる。これにより、分割金型12a,12b内部のキャビティ10a,10bに収納された発泡パリソン13の内外において圧力差(発泡パリソン13の内部が外部よりも高い圧力を意味する)が設定され、発泡パリソン13は、キャビティ10a,10bの壁面に押圧される。
【0042】
なお、上述した成形工程において、発泡パリソン13の内部に圧縮気体を吹き込む工程と、発泡パリソン13の外部に負圧を発生させる工程と、は同時に行う必要はなく、互いの工程を時間的にずらして行うことも可能である。
【0043】
また、本実施形態では、
図7に示すように、発泡パリソン13を分割金型12a,12bにより押圧力Zで型締めしている。このため、上述のように発泡パリソン13における管本体X1となる部分について所定のブロー圧によりキャビティ10a,10bに押圧すると共に、フランジ部103(103a〜103g)や橋渡し部104(104e,104f)の板状部分Y1となる部分については、厚さ方向に押圧され、分割金型12a,12bのキャビティ10a,10b間の厚みまで圧縮されることになる。
【0044】
発泡パリソン13における管本体X1となる部分については、上述のように吹き込み針14から空気等の圧縮気体を発泡パリソン13の内部に吹き込み、発泡パリソン13の内部を経由して吹き出し針15から圧縮気体を吹き出す。そして、所定のブロー圧により所定の時間だけ発泡パリソン13をキャビティ10a,10bに押圧し、管本体X1の厚さ方向のキャビティ10a,10b側から5〜8割程度の発泡パリソン13を冷却固化する。その後は、圧縮気体による冷却を行わず、分割金型12a,12bで型締めした状態で残りの溶融状態の発泡パリソン13を自然固化する。
【0045】
吹き込み針14から発泡パリソン13内に冷却のために供給する圧縮気体の温度は、10℃〜30℃に設定し、室温(例えば、23℃)に設定することが好ましい。圧縮気体の温度を室温に設定することで、圧縮気体の温度を調整するための温調設備を設ける必要がないため、インパネダクト1を低コストで成形することができる。また、温調設備を設け、吹き込み針14から発泡パリソン13内に供給する圧縮気体の温度を室温よりも低くした場合は、インパネダクト1の冷却時間を短縮することができる。なお、圧縮気体の温度にもよるが、圧縮気体による冷却時間(印加時間を意味する)は、35秒以下で行うことが好ましい。これにより、管本体X1の厚さ方向のキャビティ10a,10b側から5〜8割程度の発泡パリソン13を冷却固化し、管本体X1の内面側の発泡パリソン13を溶融状態のままにすることができる。その後は、圧縮気体による冷却を行わず、分割金型12a,12bで型締めした状態で溶融状態の残りの発泡パリソン13を自然に固化することができる。
【0046】
本実施形態のインパネダクト1を成形する際に適用可能な樹脂としては、成形品であるインパネダクト1のMFRが0.8未満となるように所定のポリエチレン系樹脂を溶融混練した発泡樹脂が好ましい。これは、成形品であるインパネダクト1のMFRが0.8以上だと、表面粗さ、取出性、バリ取り性が何れも良好なインパネダクト1を得ることができないためである。MFRは、成形品から切り出したサンプル片を加熱溶融して脱泡した樹脂を、JIS K−7210に準じて試験温度190℃、試験荷重2.16kgにて測定した値である。表面粗さ、取出性、バリ取り性については実施例で後述する。
【0047】
発泡樹脂を形成するポリエチレン系樹脂は、低密度ポリエチレン系樹脂単体、高密度ポリエチレン系樹脂単体、複数の低密度ポリエチレン系樹脂を混合したブレンド樹脂、複数の高密度ポリエチレン系樹脂を混合したブレンド樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂と高密度ポリエチレン系樹脂とを混合したブレンド樹脂を溶融混練して形成する。この場合、発泡樹脂を形成するポリエチレン系樹脂のMFR(190℃、g/10分)は、1.0以下となるようにする。
【0048】
例えば、発泡樹脂を2種類のポリエチレン系樹脂で形成する場合は、その2種類のポリエチレン系樹脂のMFRをその2種類のポリエチレン系樹脂の混合割合で計算して得られるMFRが以下の式1を満足するようにする。
A×X/100+B×Y/100≦1.0・・・式1
Aは、第1のポリエチレン系樹脂のMFR
Bは、第2のポリエチレン系樹脂のMFR
Xは、発泡樹脂を形成する第1のポリエチレン系樹脂の混合割合
Yは、発泡樹脂を形成する第2のポリエチレン系樹脂の混合割合
X+Y=100とする。
【0049】
また、発泡樹脂は、チューブラー法で製造したポリエチレン系樹脂よりもオートクレーブ法で製造したポリエチレン系樹脂を用いて形成する方が好ましい。これは、チューブラー法で製造したポリエチレン系樹脂よりもオートクレーブ法で製造したポリエチレン系樹脂を用いた方が成形品であるインパネダクト1の発泡倍率を高くすることができるためである。また、低密度ポリエチレン系樹脂は、MFRが1.0〜3.0であることが好ましい。
【0050】
インパネダクト1を成形する際に使用する発泡樹脂は、インパネダクト1を成形する際に発生するバリを粉砕した粉砕材を用いて形成することも可能である。この場合、粉砕材100%で発泡樹脂を形成するよりも、粉砕材とバージン材とを溶融混練して発泡樹脂を形成することが好ましい。バージン材は、未使用の樹脂であり、本実施形態では、上述したポリエチレン系樹脂を使用する。バージン材を使用することで、インパネダクト1を構成する樹脂が劣化することを回避することができる。粉砕材とバージン材とを溶融混練して発泡樹脂を形成する場合は、粉砕材90%、バージン材10%の割合で溶融混練して形成する。
【0051】
また、本実施形態のインパネダクト1を成形する際に適用可能な発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤及びその混合物があげられる。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、及び、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、更には、それらの超臨界流体を適用することができる。超臨界流体としては、二酸化炭素、窒素などを用いて作成することが好ましく、窒素であれば臨界温度が−149.1℃、臨界圧力が3.4MPa以上、二酸化炭素であれば臨界温度が31℃、臨界圧力が7.4MPa以上とすることで作成することができる。
【0052】
次に、上記成形したインパネダクト1を分割金型12a,12bから取り出す。具体的には、インパネダクト1の上部に形成されるバリを所定の機械(クリップ等)で掴んだ状態で分割金型12a,12bを開いてインパネダクト1を分割金型12a,12bの間から取り出す。
【0053】
次に、分割金型12a,12bから取り出したインパネダクト1の周囲に形成されるバリ等の不要な部分を除去する。これにより、
図1に示す複雑な形状のインパネダクト1を得ることができる。
【0054】
本実施形態のインパネダクト1は、
図1に示すように、管本体X1を構成する嵌め合い部102(102a〜102d)や供給部105に形成された全ての開口部100(100a〜100d)、111の近傍にフランジ部103(103a〜103g)や橋渡し部104(104e、104f)を設けている。このため、本実施形態のインパネダクト1は、開口部100、111の周囲で他の管状部材に対してインパネダクト1を固定することができる。また、開口部100、111の周囲の強度を強固にすることができる。但し、本実施形態のインパネダクト1は、全体の外形形状が複雑な形状になるため、分割金型12a,12bから取り出し難くなっている。
【0055】
(他の成形方法例)
上述した実施形態としてのインパネダクト1は、例えば、
図8に示す成形方法で成形することも可能である。
【0056】
図8に示す成形方法は、上述した成形方法で円筒形状の発泡パリソン13を分割金型12a,12b間に押し出して成形するのに替えて、シート状の発泡樹脂を分割金型12a,12b間に押し出して成形するものである。
【0057】
他の成形方法で用いる成形装置は、
図8に示すように、2台の押出装置50a,50bと、上述した成形方法例と同様の分割金型12a,12bと、を有して構成される。
【0058】
押出装置50(50a,50b)は、上述した成形方法例における発泡パリソン13と同様の材質での、溶融状態の発泡樹脂による樹脂シートP1,P2を、分割金型12a,12b間に所定の間隔で略平行に垂下させるように配置される。樹脂シートP1,P2を押し出すTダイ28a,28bの下方には調整ローラ30a,30bが配置され、この調整ローラ30a,30bにより厚さ等の調整を行う。こうして押し出された樹脂シートP1,P2を、分割金型12a,12bで挟み込んで型締めし、成形する。
【0059】
2台の押出装置50(50a,50b)の構成は同様であるため、1つの押出装置50について、
図8を参照して説明する。
【0060】
押出装置50は、ホッパ21が付設されたシリンダ22と、シリンダ22内に設けられたスクリュー(図示せず)と、スクリューに連結された油圧モーター20と、シリンダ22と内部が連通したアキュムレータ24と、アキュムレータ24内に設けられたプランジャー26と、Tダイ28と、一対の調整ローラ30と、を有して構成される。
【0061】
ホッパ21から投入された樹脂ペレットが、シリンダ22内で油圧モーター20によるスクリューの回転により溶融、混練され、溶融状態の発泡樹脂がアキュムレータ24に移送されて一定量貯留され、プランジャー26の駆動によりTダイ28に向けて発泡樹脂を送る。こうして、Tダイ28下端の押出スリットから、溶融状態の発泡樹脂による連続的な樹脂シートが押し出され、間隔を隔てて配置された一対の調整ローラ30によって挟圧されながら下方へ向かって送り出され、分割金型12a,12bの間に垂下される。
【0062】
また、Tダイ28には、押出スリットのスリット間隔を調整するためのダイボルト29が設けられる。スリット間隔の調整機構は、このダイボルト29を用いた機械式の機構に加え、公知の各種調整機構を他に備えてもよい。
【0063】
こうした構成により、2つのTダイ28a,28bの押出スリットから、内部に気泡セルを有する樹脂シートP1,P2が押し出され、上下方向(押出方向を意味する)に一様な厚みを有する状態に調整され、分割金型12a,12bの間に垂下される。
【0064】
こうして樹脂シートP1,P2が分割金型12a,12b間に配置されると、この分割金型12a,12bを水平方向に前進させ、分割金型12a,12bの外周に位置する不図示の型枠を、樹脂シートP1,P2に密着させる。こうして分割金型12a,12b外周の型枠により樹脂シートP1,P2を保持した後、分割金型12a,12bのキャビティ10a,10bに樹脂シートP1,P2を真空吸引することで、樹脂シートP1,P2それぞれをキャビティ10a,10bに沿った形状にする。
【0065】
次に、分割金型12a,12bを水平方向に前進させて型締めし、上述した成形方法と同様に、吹き込み針14と吹き出し針15とを樹脂シートP1,P2に突き刺し、吹き込み針14から空気等の圧縮気体を樹脂シートP1,P2の内部に吹き込み、樹脂シートP1,P2の内部を経由して吹き出し針15から圧縮気体を吹き出す。こうして、インパネダクト1の管本体X1となる部分の内側を冷却する。
【0066】
次に、分割金型12a,12bを水平方向に後退させ、分割金型12a,12bをインパネダクト1から離型させる。
【0067】
なお、一対の分割金型12a,12bの間に垂下された樹脂シートP1,P2は、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生するのを防止するため、樹脂シートの厚み、押出速度、押出方向の肉厚分布などを個別に調整することが必要になる。
こうした樹脂シートの厚み、押出速度、押出方向の肉厚等の調整は、公知の各種方法を用いてよい。
【0068】
以上のように、
図8に示す他の成形方法例によっても、
図4〜
図6で説明した成形方法と同様に、本実施形態におけるインパネダクト1を好適に成形することができる。また、
図8に示す他の成形方法例では、2枚の樹脂シートP1,P2の材料、発泡倍率、肉厚などを異なるものとすることで、各種の条件に対応するインパネダクト1を成形することも可能である。
【0069】
<実施例>
次に、実施例、比較例により上述したインパネダクト1について説明する。但し、以下の実施例に限定されるものではない。
【0070】
(実施例1)
インパネダクト1の原料樹脂として、樹脂Aを50質量部、樹脂Bを50質量部で溶融混練した発泡樹脂とし、シリンダにガス供給口を有するスクリュー式押出機を備えた発泡ブロー成形機を用い、ガス供給口より窒素の超臨界流体を添加し、上述した
図4〜
図6と同様な成形方法で
図1に示したものと同様の形状のインパネダクト1のサンプルを下記の成形条件で発泡ブロー成形した。
【0071】
樹脂Aは、高密度ポリエチレン系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製B470(密度=0.949g/cm
3、MFR=0.3g/10min,190℃、重合法=チューブラー法)である。
樹脂Bは、低密度ポリエチレン系樹脂(住友化学(株)製スミカセンG201F(密度=0.919g/cm
3、MFR=1.7g/10min,190℃、重合法=オートクレーブ法)である。
樹脂Aを50質量部、樹脂Bを50質量部のブレンド比率により計算した樹脂材料のMFR(190℃、g/10分)は、1.00である。ブレンド比率により計算した樹脂材料のMFRは、樹脂AのMFR(0.3)をブレンド比率(50%)で算出した値(0.3×50/100=0.15)と、樹脂BのMFR(1.7)をブレンド比率(50%)で算出した値(1.7×50/100=0.85)と、を加算した値(0.15+085=1.00)である。
【0072】
記
成形条件
パリソンの外径:120mm
ダイの出口における樹脂温度:172℃
パリソンの肉厚:5mm
インパネダクト1の平均肉厚0.5mm
【0073】
成形されたインパネダクト1のMFR(190℃、g/10分)は、0.40であった。
また、成形されたインパネダクト1の発泡倍率は、4.3倍であった。
また、成形されたインパネダクト1のダクト内面の表面粗さRmaxは、200μm以下であり、表面粗さは良好(○)であった。
また、成形されたインパネダクト1を分割金型12a,12bから取り出す際に、インパネダクト1を構成する発泡樹脂が分割金型12a,12bに貼り付くことがなく、インパネダクト1を分割金型12a,12bから容易に取り出すことができ、取出性は良好(○)であった。
また、成形されたインパネダクト1のバリを容易に取り除くことができ、バリ取り性は良好(○)であった。
【0074】
MFRは、JIS K−7210に準じて試験温度190℃、試験荷重2.16kgにて測定した値である。
発泡倍率は、インパネダクト1を成形する際に用いた発泡樹脂の密度を、成形されたインパネダクト1の管本体X1(
図3参照)における見かけ密度で割った値を発泡倍率とした。
表面粗さRmaxは、表面粗さ測定機(株式会社東京精密製サーフコム470A)を用いて計測した最大高さを示す。表面粗さの測定部位は、インパネダクト1のダクト内面の全ての領域とした。表面粗さの評価方法は、全ての領域においてRmaxが200μm以下の場合に良好(○)とした。また、Rmaxが200μmより高い部分が存在する場合に不良(×)とした。
取出性の評価方法は、ブロー成形後に、インパネダクト1の上部に形成されるバリを所定の機械(クリップ等)で掴んだ状態で分割金型12a,12bを開いてインパネダクト1を分割金型12a,12bの間から取り出す際に、インパネダクト1を構成する発泡樹脂が分割金型12a,12bに貼り付くことがなく、インパネダクト1を分割金型12a,12bから容易に取り出すことができた場合は良好(○)とした。また、分割金型12a,12bを開いてインパネダクト1を分割金型12a,12bの間から取り出す際に、インパネダクト1を構成する発泡樹脂が分割金型12a,12bに貼り付き、分割金型12a,12bの移動に伴いインパネダクト1も所定の距離以上移動した場合は不良(×)とした。また、分割金型12a,12bに発泡樹脂が残った場合も不良(×)とした。なお、インパネダクト1の上部に形成されるバリとは、分割金型12a,12bを型締めした状態で分割金型12a,12bの上部から突出した発泡樹脂の部分である。
バリ取り性の評価方法は、分割金型12a,12bから取り出したインパネダクト1の周囲に形成されるバリの一部にカッター等で切り込みを入れて手などを使ってバリを取り除く際に、バリをインパネダクト1から容易に取り除くことができた場合は良好(○)とした。また、バリを取り除く際に、バリがちぎれてインパネダクト1に残ってしまったり、バリを取り除く際にインパネダクト1が変形してしまったりした場合は不良(×)とした。バリは、インパネダクト1のパーティングラインの周囲に形成される部分であり、インパネダクト1とバリとの間にはピンチオフにより形成した薄肉部分が存在し、その薄肉部分でバリを切除することになる。
【0075】
(実施例2)
インパネダクト1の原料樹脂として、樹脂Aを60質量部、樹脂Bを40質量部で溶融混練した発泡樹脂とした以外は、実施例1と同様にしてインパネダクト1を成形した。
樹脂Aを60質量部、樹脂Bを40質量部のブレンド比率により計算した樹脂材料のMFR(190℃、g/10分)は、0.86である。
【0076】
成形されたインパネダクト1のMFR(190℃、g/10分)は、0.37であった。
また、成形されたインパネダクト1の発泡倍率は、3.9倍であった。
また、表面粗さ、取出性、バリ取り性は何れも良好(○)であった。
【0077】
(実施例3)
インパネダクト1の原料樹脂として、樹脂Aを70質量部、樹脂Bを30質量部で溶融混練した発泡樹脂とした以外は、実施例1と同様にしてインパネダクト1を成形した。
樹脂Aを70質量部、樹脂Bを30質量部のブレンド比率により計算した樹脂材料のMFR(190℃、g/10分)は、0.72である。
【0078】
成形されたインパネダクト1のMFR(190℃、g/10分)は、0.26であった。
また、成形されたインパネダクト1の発泡倍率は、2.8倍であった。
また、表面粗さ、取出性、バリ取り性は何れも良好(○)であった。
【0079】
(実施例4)
インパネダクト1の原料樹脂として、樹脂Aを80質量部、樹脂Bを20質量部で溶融混練した発泡樹脂とした以外は、実施例1と同様にしてインパネダクト1を成形した。
樹脂Aを80質量部、樹脂Bを20質量部のブレンド比率により計算した樹脂材料のMFR(190℃、g/10分)は、0.58である。
【0080】
成形されたインパネダクト1のMFR(190℃、g/10分)は、0.22であった。
また、成形されたインパネダクト1の発泡倍率は、2.2倍であった。
また、表面粗さ、取出性、バリ取り性は何れも良好(○)であった。
【0081】
(実施例5)
インパネダクト1の原料樹脂として、樹脂Aを90質量部、樹脂Bを10質量部で溶融混練した発泡樹脂とした以外は、実施例1と同様にしてインパネダクト1を成形した。
樹脂Aを90質量部、樹脂Bを10質量部のブレンド比率により計算した樹脂材料のMFR(190℃、g/10分)は、0.44である。
【0082】
成形されたインパネダクト1のMFR(190℃、g/10分)は、0.18であった。
また、成形されたインパネダクト1の発泡倍率は、1.6倍であった。
また、表面粗さ、取出性、バリ取り性は何れも良好(○)であった。
【0083】
(実施例6)
インパネダクト1の原料樹脂として、樹脂Aを60質量部、樹脂Cを40質量部で溶融混練した発泡樹脂とした以外は、実施例1と同様にしてインパネダクト1を成形した。
樹脂Cは、低密度ポリエチレン系樹脂(Schulman製CP763(密度=0.919g/cm
3、MFR=1.8g/10min,190℃、重合法=チューブラー法)である。
樹脂A、樹脂Cを溶融混練した発泡樹脂のMFR(190℃、g/10分)は、0.9であった。
樹脂Aを60質量部、樹脂Cを40質量部のブレンド比率により計算した樹脂材料のMFR(190℃、g/10分)は、0.90である。
【0084】
成形されたインパネダクト1のMFR(190℃、g/10分)は、0.39であった。
また、成形されたインパネダクト1の発泡倍率は、1.6倍であった。
また、表面粗さ、取出性、バリ取り性は何れも良好(○)であった。
【0085】
(実施例7)
インパネダクト1の原料樹脂として、樹脂Aを60質量部、樹脂Dを40質量部で溶融混練した発泡樹脂とした以外は、実施例1と同様にしてインパネダクト1を成形した。
樹脂Dは、低密度ポリエチレン系樹脂(住友化学(株)製スミカセンF108−1(密度=0.921g/cm
3、MFR=0.4g/10min,190℃、重合法=チューブラー法)である。
樹脂A、樹脂Dを溶融混練した発泡樹脂のMFR(190℃、g/10分)は、0.34であった。
樹脂Aを60質量部、樹脂Dを40質量部のブレンド比率により計算した樹脂材料のMFR(190℃、g/10分)は、0.34である。
【0086】
成形されたインパネダクト1のMFR(190℃、g/10分)は、0.17であった。
また、成形されたインパネダクト1の発泡倍率は、1.3倍であった。
また、表面粗さ、取出性、バリ取り性は何れも良好(○)であった。
【0087】
(実施例8)
インパネダクト1の原料樹脂として、樹脂Dを100質量部で溶融混練した発泡樹脂とした以外は、実施例1と同様にしてインパネダクト1を成形した。
樹脂Dを100質量部のブレンド比率により計算した樹脂材料のMFR(190℃、g/10分)は、0.40である。
【0088】
成形されたインパネダクト1のMFR(190℃、g/10分)は、0.18であった。
また、成形されたインパネダクト1の発泡倍率は、1.6倍であった。
また、表面粗さ、取出性、バリ取り性は何れも良好(○)であった。
【0089】
(比較例1)
インパネダクト1の原料樹脂として、樹脂Bを100質量部で溶融混練した発泡樹脂とした以外は、実施例1と同様にしてインパネダクト1を成形した。
樹脂Bを100質量部のブレンド比率により計算した樹脂材料のMFR(190℃、g/10分)は、1.70である。
【0090】
成形されたインパネダクト1のMFR(190℃、g/10分)は、0.80であった。
また、成形されたインパネダクト1の発泡倍率は、5.0倍であった。
また、成形されたインパネダクト1のダクト内面の表面粗さRmaxは、200μm以下であり、表面粗さは良好(○)であった。
また、成形されたインパネダクト1を分割金型12a,12bから取り出す際に、インパネダクト1を構成する発泡樹脂が分割金型12a,12bに貼り付き、インパネダクト1を分割金型12a,12bから容易に取り出すことができず、取出性は不良(×)であった。
また、成形されたインパネダクト1のバリを容易に取り除くことができず、バリ取り性は不良(×)であった。
【0091】
(比較例2)
インパネダクト1の原料樹脂として、樹脂Eを60質量部、樹脂Bを40質量部で溶融混練した発泡樹脂とした以外は、実施例1と同様にしてインパネダクト1を成形した。
樹脂Eは、高密度ポリエチレン系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製J240(密度=0.966g/cm
3、MFR=5.0g/10min,190℃、重合法=チューブラー法)である。
樹脂Eを60質量部、樹脂Bを40質量部のブレンド比率により計算した樹脂材料のMFR(190℃、g/10分)は、3.68である。
【0092】
成形されたインパネダクト1のMFR(190℃、g/10分)は、3.20であった。
また、成形されたインパネダクト1の発泡倍率は、4.3倍であった。
また、成形されたインパネダクト1のダクト内面の表面粗さRmaxは一部に200μmよりも高い部分が存在し、表面粗さは不良(×)であった。
また、成形されたインパネダクト1を分割金型12a,12bから取り出す際に、インパネダクト1を構成する発泡樹脂が分割金型12a,12bに貼り付き、インパネダクト1を分割金型12a,12bから容易に取り出すことができず、取出性は不良(×)であった。
また、成形されたインパネダクト1のバリを容易に取り除くことができず、バリ取り性は不良(×)であった。
【0093】
実施例1〜8、比較例1、2の試験結果を
図9に示す。
図9は、実施例1〜8、比較例1、2のインパネダクト1を成形する際に使用した樹脂材料のブレンド比率、そのブレンド比率により計算した樹脂材料のMFR、成形されたインパネダクト1のMFR、成形されたインパネダクト1の発泡倍率、表面粗さ、取出性、バリ取り性を示している。
【0094】
図9に示すように、成形されたインパネダクト1のMFRが0.8未満、または、ブレンド比率により計算した樹脂材料のMFRが1.0以下となるようにすることで、インパネダクト1の表面粗さ、取出性、バリ取り性が全て良好なインパネダクト1を得ることが判明した。
また、高密度ポリエチレン系樹脂と低密度ポリエチレン系樹脂とを混合した発泡樹脂を用いることで、発泡倍率の高いインパネダクト1を得ることができると判明した。
また、オートクレーブ法で製造したポリエチレン系樹脂を混合した発泡樹脂を用いることで、発泡倍率の高いインパネダクト1を得ることができると判明した。
また、MFRが1.0〜3.0の低密度ポリエチレン系樹脂を用いて、成形されたインパネダクト1のMFRが0.8未満、または、ブレンド比率により計算した樹脂材料のMFRが1.0以下となるようにすることで、インパネダクト1の表面粗さ、取出性、バリ取り性が全て良好なインパネダクト1を得ることが判明した。
【0095】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
【0096】
例えば、上記実施形態では、インパネダクト1を例に説明した。しかし、リアクーラーダクト等にも適用可能である。