(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に記載の方法では、絶縁性が十分ではない可能性が考えられる。例えば、振動等によって磁性体コアとバスバーとが接触してしまう可能性がある。また、部品の組み立て時等に発生し得る金属粉等が付着することで、金属粉を介して磁性体コアとバスバーとが接触することも考えられる。これに対して、例えば絶縁性材料からなるボビンをバスバーと一体成型することで、絶縁性材料からなるボビンによってバスバーと磁性体コアとの絶縁性を保つという方法も考えられるが、一体成型に係る工程が必要であり、作業量が増大すると共に高コスト化することが懸念される。
【0005】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、作業性が良好であると共にバスバーと他の部品との間の高い絶縁性を維持した状態でこれらを配置することが可能な絶縁部品及びこの絶縁部品を含む導電部品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る絶縁部品は、絶縁性の部材によって構成され、一対の磁性体コアのうちの一方側の磁性体コアである第1磁性体コアが備える少なくとも2つの脚部を個別に収容する2つのコア脚部収容部が離間して配置された第1コア収容部と、前記一方の磁性体コアとは異なる他方側の磁性体コアである第2磁性体コアを収容する第2コア収容部と、前記2つのコア脚部収容部の間に形成された空隙部に挿入されるバスバーに対して係止可能な係止部と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記の絶縁部品によれば、第1磁性体コア収容部に対して第1磁性体コアが収容されると共に、第2磁性体コア収容部に対して第2磁性体コアが収容され、さらに、第1コア収容部の2つのコア脚部収容部の間に形成された空隙部に対してバスバーが挿入されるため、絶縁部品によってバスバーと一対の磁性体コアとの高い絶縁性が保たれる。さらに、この絶縁部品は係止部によってバスバーに対して係止可能であるため、バスバーに対して絶縁部品を係止して一体化できるので、良好な作業性が得られる。
【0008】
また、本発明に係る導電部品は、上記の絶縁部品と、前記空隙部に挿入される導電性のバスバーと、を備える導電部品であって、前記バスバーには貫通孔が設けられ、前記絶縁部品の前記係止部は前記貫通孔に対して係止する爪部を含んで構成されることを特徴とする。
【0009】
上記の導電部品では、バスバーの貫通孔に対して係止する爪部を絶縁部品が備えていることで、バスバーと絶縁部品とを容易に一体化することができ、作業性の向上をより簡単に実現することができる。
【0010】
ここで、2つのコア脚部収容部の端部は、前記2つのコア脚部収容部の間に位置する前記バスバーの端部よりも突出している態様とすることができる。
【0011】
このように、2つのコア脚部収容部の端部が、バスバーの端部よりも突出していることで、例えば一対の磁性体コア等の電子部品が2つのコア脚部収容部の端部側に載置されたとしてもバスバーとの接触を防ぐことができるため、高い絶縁性を得ることができる。
【0012】
さらに、バスバーは、前記絶縁部品とは異なる部材をネジ止め固定するための貫通孔であるネジ孔を有し、前記絶縁部品は、前記ネジ孔の一方側の端部を囲う凹部を有する態様とすることができる。
【0013】
このように、絶縁部品は、ネジ孔の一方側の端部を囲う凹部を有することにより、ネジ止めの際にネジがバスバー等を削ることで発生する金属粉が周囲に飛散することを抑制することができるため、周囲の電子部品に金属粉が付着することを防止できると共にこの金属粉によってバスバーと他の電子部品とが短絡することを防止できる。
【0014】
なお、本発明に係る導電部品は、絶縁性の部材により構成される絶縁部品と、前記絶縁部品とは異なる部材をネジ止め固定するための貫通孔であるネジ孔を有する導電性のバスバーと、を含んで構成される導電部品であって、前記絶縁部品は、前記第ネジ孔の一方側の端部を囲う凹部と、前記バスバーに対して係止可能な係止部とを有することを特徴とする。
【0015】
このように、導電部品が、バスバーに対してネジ止め固定するためのネジ孔の一方側の端部を囲う凹部を有する絶縁部品を有することで、ネジ止め固定する際にバスバー等から発生する金属粉が周囲に飛散することを抑制することができるため、バスバーと他の部品との間の高い絶縁性を維持した状態でこれらを組み立てすることができる。さらに、この絶縁部品は係止部によってバスバーに対して係止可能であるため、バスバーに対して絶縁部品を係止して一体化できるので、良好な作業性が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、作業性が良好であると共にバスバーと他の部品との間の高い絶縁性を維持した状態でこれらを配置することが可能な絶縁部品及びこの絶縁部品を含む導電部品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
まず、
図1〜
図3を参照して、本実施形態に係る導電部品を含む電源装置及び導電部品を含む電子部品について説明する。
図1は、電源装置の一部破断斜視図である。また、
図2は、電子部品の概略構成を示す斜視図であり、
図3は、電子部品の上面図である。なお、以降の各図では、構成の説明のため、必要に応じてXYZ軸を記載している。
【0020】
(電源装置)
図1に示すように、電源装置1は、筺体10と、電子部品100を含んで構成される。
電源装置1は、筺体10の内部に入力コンデンサ、スイッチング素子、メイントランス、チョークインダクタ、制御基板、及び、出力コンデンサ等が収容され、これらの部品がバスバー等の導電性を有する導電部材により接続されている。このうち、電子部品100には、チョークコイル30、ノイズフィルタ40、出力コンデンサ70及び貫通型端子台80が含まれる。貫通型端子台80は、YZ平面に沿って延びる筺体10の側壁11に設けられた貫通孔12を貫通するように取り付けられ、電源装置1においては筺体10の内外を電気的に接続する出力側の端子として機能する。
【0021】
筺体10は、底面と側壁11と含んで構成される本体部と本体部を覆う蓋部とを含んで構成されるが、
図1では、本体部の一部のみを示している。また、
図1では、電子部品100が載置される領域以外は図示を省略している。
【0022】
(電子部品)
次に、電子部品100に含まれる構成について説明する。電子部品100は、1枚の導電板から切り出して製造されたバスバー20に対して各部品が取り付けられることで、各部がそれぞれの機能を有している。
【0023】
具体的には、バスバー20の一方側の端部には、貫通型端子台80が取り付けられ、貫通型端子台80によって外部と電気的に接続される。また、貫通型端子台80側とは逆側の端部は、バスバー20が巻線状に巻回されると共に、一対の磁性体コア31,32及びコイル用ボビン35が取り付けられることでチョークコイル30を構成している。また、チョークコイル30に連続して、バスバー20の周囲を囲うように一対の磁性体コア61,62(第1磁性体コア及び第2磁性体コア)がボビン50(絶縁部品)を介して取り付けられることでノイズフィルタ40を構成している。さらに、ノイズフィルタ40と貫通型端子台80との間に、バスバー20に対して出力コンデンサ70が取り付けられる。
【0024】
このように、電子部品100は、複数の機能部がバスバー20によって接続された部品であり、電源装置1を構成する筺体10内の電子部品のうち最も出力側に位置する所謂下流側の部品である。
【0025】
以下の説明では、電子部品を構成するバスバー20及びボビン50について説明した後に、これらを組み立てた部品である接続部品を組み立てる方法を説明する。そして、その他の各部品を接続部品に取り付けて電子部品100を組み立てる方法について説明する。
【0026】
(バスバー)
図4及び
図5を参照しながら、バスバー20について説明する。
図4はバスバー20の斜視図であり、
図5は、バスバー20の上面図である。バスバー20は、銅板等の導電材料からなる平板を打ち抜き加工した後に、各部を折り曲げ加工して製造される。
【0027】
バスバー20は、一方側(−Y側)の端部から他方側(+Y側)の端部に向けて、コイル部21、フィルタ部23、及び連結部25がこの順序で形成されている。
【0028】
コイル部21は、間を隔てて並設された有端リング状であり且つ板状の第1コイル部211及び第2コイル部212が、所定の巻き方向に連なるように連結されたものである。第1コイル部211及び第2コイル部212の間は、連絡部215によって連結されている。有端リング状の第1コイル部211及び第2コイル部212は、それぞれ所謂C字状を呈しており、中央に円形状の開口221、222を有していて、開口221,222が連通するようにZ軸方向に延びる同軸上に重なり合っている。なお、第1コイル部211及び第2コイル部212の形状は上記のC字状の有端リング状に限られず、例えば楕円形状や、四角形状等の他の形状であってもよい。
【0029】
第1コイル部211の一端部には、開口221の中心軸線に対し外方に向かって突出する第1端子部201が形成されている。第2コイル部212の他端部は、後述のフィルタ部23に接続する。バスバー20のコイル部21においては、第1端子部201に入力された電力は、第1コイル部211、連絡部215、第2コイル部212の順で流れた後に後段のフィルタ部23に流れる。
【0030】
フィルタ部23は、XY平面に沿ってY軸方向に沿って延びる第1導電部231と、第1導電部231に連結してYZ平面に沿ってY軸方向に沿って延びる第2導電部232と、を含んで構成される。第1導電部231と第2導電部232との間は、Y軸に沿って延びる折り曲げ線235によって折り曲げられている。第2導電部232には、貫通孔236が形成されている。この貫通孔236は、ノイズフィルタ40を構成するボビン50を係止するために用いられる。この点は後述する。
【0031】
フィルタ部23の第2導電部232の後段には、電気素子等が連結される連結部25が形成される。連結部25は、第2導電部232の後段側の端部において、Y軸に沿って延びる折り曲げ線238によって折り曲げられた後、XY平面に沿ってX軸方向(−X方向)に沿って延びる。連結部25には、出力コンデンサ70を取り付けるための貫通孔であるネジ孔251と、貫通型端子台80と接続するための貫通孔であるネジ孔252が設けられる。このネジ孔252が設けられる位置は、バスバー20において第1端子部201が設けられる端部とは逆側の端部となり、すなわち第2端子部202となる。
【0032】
(ボビン)
次に、
図6〜
図9を参照しながらボビン50について説明する。
図6は、ボビン50の斜視図であり、
図7は、ボビン50の上面図である。また、
図8は、+Y方向からのボビン50の側面図であり、
図9は、下面側からのボビン50の斜視図である。ボビン50は、例えば樹脂等の絶縁性の材料により一体成型されていて、電子部品100のうちノイズフィルタ40が形成される領域と、出力コンデンサ70が接続される領域と、に取り付けられる。
【0033】
ボビン50は、ノイズフィルタ40を構成する磁性体コア61,62を収容するコア収容部51と、バスバー20の貫通孔に対応して形成される凹型状の窪みが形成されたポケット部52と、を含んで構成される。コア収容部51とポケット部52との間は接続部53によって接続される。
【0034】
コア収容部51は、平板状の仕切部510の一方側(+Z側)の主面上に断面の外形が長方形でZ軸方向に沿って延び、磁性体コアの脚部をそれぞれ個別に収容するコア脚部収容部511,512(第1コア収容部)が2つ離間して設けられている。コア脚部収容部511,512の側壁の形状は挿入される磁性体コア61(第1磁性体コア)の脚部の形状に対応している。また、コア脚部収容部511,512間の距離についても磁性体コア61の2本の脚部の距離に対応している。また、コア脚部収容部511,512の−Z側の端面は、仕切部510によって閉じられている。+Z方向からコア脚部収容部511,512に挿入された磁性体コアの脚部がコア脚部収容部511,512の底面に当接することで磁性体コアのZ軸方向の移動が規制される構成となっている。
【0035】
コア脚部収容部511,512の間はバスバー20を配置するための空隙部513が形成されていて、コア脚部収容部511,512の底面よりも高い位置に底面514が形成されている。これは、ボビン50に対してバスバー20を組み込む際に、バスバー20をZ軸方向に180度反転して取り付けられることを防止するためである。なお、バスバー20を配置した際に、その上面がコア脚部収容部511,512の上端部よりも高さ方向で下側となるようにコア脚部収容部511,512の高さは調整されている。また、コア脚部収容部512のうち空隙部513側の壁面512Aの中央付近には、壁面512Aに沿ってZ軸方向に延びる弾性部515Aと、弾性部515Aに連続して形成されて壁面512Aよりも外方(コア脚部収容部511側)に突出する爪部515Bとを有する係止部515を備える。係止部515の周囲は開口516が形成されている(
図7参照)。係止部515の爪部515Bは、上面側は傾斜面が形成されていて、弾性部515Aが撓むことでX軸方向に微動が可能であり、爪部515Bがバスバー20に対して引っかかることでバスバー20に対してボビン50を係止可能となっている。この点については後述する。
【0036】
コア脚部収容部511,512とは逆側の仕切部510の主面上(下面側)には、磁性体コア62(第2磁性体コア)を収容する第2コア収容部517(第2磁性体コア収容部)が形成されている。第2コア収容部517の側壁の形状は挿入される磁性体コア62の外形に対応している。すなわち、磁性体コア61,62は、コア収容部51の仕切部510を挟んでボビン50に対して取り付け可能とされている。
【0037】
次に、ポケット部52について説明する。ポケット部52は、コア脚部収容部512側のコア収容部51の側面に形成された接続部53に連続して設けられ、XY平面に沿って延びる平板状の平板部520と、平板部520から下方に突出する凹部521、522とを含んで構成される。平板部520は、その表面がバスバー20の連結部25の下面側と対向するため、バスバー20の下面側表面形状に対応して平坦とされている。
【0038】
凹部521,522は、それぞれ、バスバー20とボビン50とを組み立てた際にバスバー20のネジ孔251,252に対応する位置に設けられる。凹部521,522はそれぞれネジ孔251,252よりもその内径が大きくなっている。
【0039】
上記のコア収容部51とポケット部52とを接続する接続部53は、バスバー20及び他の部品とボビン50とを組み立てた際に、これらに対して干渉しない位置に設けられる。なお、接続部53(両面)及び平板部520(下面側)は補強のためのリブが形成されているが、補強のための構造等は適宜変更できる。
【0040】
(導電部品)
次に、バスバー20とボビン50とを組み立てて得られる導電部品200について、
図10〜
図12を参照しながら説明する。
図10は導電部品200の斜視図であり、
図11は、下面側からの導電部品200の斜視図である。また、
図12は、+Y方向からの導電部品200の側面図である。
【0041】
なお、電子部品100を組み立てる際には、出力コンデンサ70及び貫通型端子台80を取り付ける前にバスバー20に対してボビン50が取り付けられる。これにより、出力コンデンサ70及び貫通型端子台80を取り付ける際に発生する金属粉が周囲に散らばることを抑制する。この点は後述する。
【0042】
図10及び
図11に示すように、ボビン50はバスバー20のフィルタ部23に対して取り付けられる。具体的には、ボビン50をバスバー20の下方(−Z側)から、ボビン50の空隙部513にバスバー20の第2導電部232が入り込むように、コア脚部収容部511,512の間にバスバー20を挿入する。このとき、ボビン50の係止部515は、爪部515Bの上面側の傾斜部分にバスバー20が当接した際に、傾斜に沿ったバスバー20の移動によって弾性部515Aが撓み、爪部515Bがバスバー20の貫通孔236の下面よりも上方となった時点で、弾性部515Aが元に戻り、爪部515Bの一部が貫通孔236内に引っかかり、バスバー20とボビン50とが互いに係止される(
図11及び
図14参照)。これにより、ボビン50がバスバー20に対して係止された導電部品200が得られる。
【0043】
ここで、導電部品200では、バスバー20の連結部25の下面側とボビン50のポケット部52の上面側とが対向する(
図12参照)と共に、連結部25に設けられたネジ孔251,252の下面側がそれぞれボビン50の凹部521,522によって囲われる。「囲う」とは、ネジ孔251,252の端面から離間した位置に凹部521,522の底面が形成され、ネジ孔251,252の端面と凹部の底面との間に空隙が形成されることをいう。なお、凹部521,522は、ネジ孔251,252の一方側の端部を完全に塞いでもよいし、バスバー20と凹部521,522との間に隙間が形成されていてもよい。ネジ孔251,252の一方側の端部がボビン50の凹部521,522によって囲われる場合、ネジ止めに用いられるネジは、凹部521,522によって囲われた側とは逆側の端部から挿入されて固定される。したがって、ネジ孔251,252を利用して他の部品をネジ止め固定する際にバスバー20から発生し得る金属粉等を凹部521,522内で受け止めることができる。
【0044】
(磁性体コアの取付け)
次に、
図13及び
図14を参照しながら、導電部品200に対して磁性体コア61,62を取り付ける工程について説明する。
図13は、磁性体コア61,62及び導電部品200の分解斜視図であり、
図14は、磁性体コア61,62を取り付けた導電部品200の断面を説明する矢視図であり、
図13のXIV−XIV線に対応する。
【0045】
図13,14に示すように、バスバー20の上方側に取り付けられる磁性体コア61は所謂U型のコアであり、2本の脚部61A,62Bを備える。このうちの一方の脚部61Aをコア脚部収容部511に挿入すると共に、他方の脚部61Bをコア脚部収容部512に挿入することで、ボビン50に対して磁性体コア61が取り付けられる。一方、I型のコアである磁性体コア62は、バスバー20の下方側から、第2コア収容部517に対して挿入される。このとき、
図14に示すように、ボビン50の仕切部510を介して磁性体コア61と磁性体コア62とが対向し、これらの磁性体コア61,62によってXZ平面で見たときに略口型の環状のコアが形成される。さらに、その中央部をバスバー20がY軸方向に沿って延びるように配置される。
【0046】
ここで、バスバー20は、その周囲のうち左右側及び下側は、ボビン50によって磁性体コア61,62と区切られているため、短絡が発生することは防止されている。さらに、バスバー20の上側は、第2導電部232の上端よりもコア脚部収容部511,512の上端が高い位置となるように、ボビン50がバスバー20に対して係止されているため、バスバー20が磁性体コア61と当接することが防がれている。このように、ボビン50は、磁性体コア61,62とバスバー20との間の絶縁性を保つと共に、磁性体コア61と磁性体コア62とが当接することも防止している。以上により磁性体コア61,62が導電部品200のボビン50に対して取り付けられて、ノイズフィルタ40が形成される。
【0047】
(出力コンデンサ及び貫通型端子台の取付け)
次に、
図15を参照しながら、出力コンデンサの取り付け方法について説明する。出力コンデンサ70は、コンデンサ本体71と、コンデンサ本体71に対して接続された端子部72と、端子部72をバスバー20に対して固定するためのネジ76とを含んで構成される。コンデンサ本体71に接続される2つの端子部72のうちの一方側の端子部に貫通孔75とバスバー20の連結部25に設けられたネジ孔251とに対してネジ76を挿通し両者を締結して固定することで、出力コンデンサ70がバスバー20に対して固定される。
【0048】
ここで、ネジ76が端子部72の貫通孔75及びバスバー20のネジ孔251に挿通される際、ネジ76によって貫通孔75及びネジ孔251の内壁の一部が削られる可能性があり、これにより金属粉が発生する可能性が考えられる。この金属粉が下方に落下した場合には、他の電子部品等に付着することで短絡等が起きることも考えられる。これに対して、ボビン50のポケット部52に形成された凹部521がバスバー20のネジ孔251を覆うようにネジ孔251の下方に設けられていることで、ネジ76によって金属粉が発生したとしても、凹部521内に落下するため、他の電子部品等に金属粉が付着することを防止できる。
【0049】
次に、
図16を参照しながら、貫通型端子台の取り付け方法について説明する。
図16では、貫通型端子台80のうち、バスバー20と電気的に接続される導電部材81のみを示し、周囲の絶縁部材等については表示を省略している。導電部材81は、バスバー20と接続される端部に貫通孔85が形成されて、貫通孔85とバスバー20の連結部25に設けられたネジ孔252とに対してネジ86を挿通し両者を締結して固定することで、貫通型端子台80がバスバー20に対して固定される。
【0050】
ここで、ネジ86が導電部材81の貫通孔85及びバスバー20のネジ孔252に挿通される際、ネジ86によって貫通孔85及びネジ孔252の内壁の一部が削られる可能性があり、これにより金属粉が発生する可能性が考えられる。これに対して、ボビン50のポケット部52に形成された凹部522がバスバー20のネジ孔252を覆うようにネジ孔252の下方に設けられていることで、ネジ86によって金属粉が発生したとしても、凹部522内に落下するため、凹部521と同様に、他の電子部品等に金属粉が付着することを防止できる。
【0051】
(チョークコイルの作成)
最後に、
図17を参照しながら、導電部品200を構成するバスバー20のコイル部21を用いたチョークコイル30の作成方法について説明する。まず、バスバー20のコイル部21に対して、樹脂成形されたコイル用ボビン35を取り付ける。そして、コイル部21を挟んでE型の磁性体コア31,32を対向させ、脚部同士が対向するようにしてコイル部21に対して取り付ける。すなわち、磁性体コア31の脚部31A,31B,31Cが、それぞれ磁性体コア32の脚部32A,32B,32Cと対向するように取り付ける。このとき、脚部31B,32Bがコイル部21の開口221,222に対して挿入される。このようにして、コイル用ボビン35を介して磁性体コア31,32がコイル部21に対して取り付けられて、チョークコイル30が完成する。また、以上の工程によって、電子部品100が構成される。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る電子部品100(導電部品200)を構成するボビン50(絶縁部品)によれば、第1磁性体コア収容部のコア脚部収容部511,512に対して、磁性体コア61の2つの脚部61A,61Bが挿入されると共に、第2コア収容部517に磁性体コア62が収容される。さらに、2つのコア脚部収容部511,512の間に形成された空隙部513に対してバスバー20が挿入されるため、ボビン50によってバスバー20と一対の磁性体コア61,62との高い絶縁性が保たれる。さらに、このボビン50は、係止部515によってバスバー20に対して係止可能であるため、バスバー20に対してボビン50を係止して一体化できるので、良好な作業性が得られる。
【0053】
また、バスバー20とボビン50とを備える上記実施形態の導電部品200では、バスバー20の第2導電部232に形成された貫通孔236に対して係止する爪部515Bをボビン50が備えていて、バスバー20が挿入される際に爪部515Bに連続する弾性部515Aが撓むことで、爪部515Bが貫通孔236に対して係止する。これにより、バスバー20とボビン50とを容易に一体化することができると共に、爪部515Bは貫通孔236からは容易に外れず、作業性の向上をより簡単に実現することができる。
【0054】
さらに、導電部品200では、2つのコア脚部収容部511,512の上部側の端部が、バスバー20の第2導電部232の端部よりも突出している(上側に出ている)ため、例えば一対の磁性体コア61,62等の電子部品が2つのコア脚部収容部511,512の端部側に載置されたとしてもバスバー20との接触を防ぐことができるため、高い絶縁性を得ることができる。特に上記実施形態の導電部品200では、2つのコア脚部収容部511,512の上部の磁性体コア61とバスバー20との接触を防止することができる。
【0055】
さらに、バスバー20は、ボビン50とは異なる部材である出力コンデンサ70及び貫通型端子台80をネジ止め固定するための貫通孔であるネジ孔251,252を有し、ボビン50は、ネジ孔251,252の一方側の端部をそれぞれ囲う凹部521,522を有することにより、ネジ止めの際にネジ76,86がバスバー20及び他の部材を削ることで発生する金属粉が周囲に飛散することを抑制することができる。したがって、周囲の電子部品に金属粉が付着することを防止できると共にこの金属粉によってバスバー20と他の電子部品とが短絡することを防止できる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明に係る導電部品は上記に限定されず種々の変更を行うことができる。例えば、上記実施形態では、ボビン50のポケット部52は、コア収容部51のうちのコア脚部収容部512側に取り付けられていている構成について説明したが、コア収容部51とポケット部52との位置関係はバスバー20の形状に応じて適宜変更することができる。また、接続部53の形状は、コア収容部51及びポケット部52の距離及び位置関係等に応じて、並びに、バスバー20及び周囲の電子部品等の配置に応じて、適宜変更することができる。
【0057】
また、上記の導電部品200では、2つのコア脚部収容部511,512の間に挿入されるバスバー20の第2導電部232の主面がYZ平面に沿って延びる状態、すなわち、垂直方向に延在する状態で空隙部513に挿入されているが、水平方向に延在する状態で空隙部513に挿入されていてもよい。その場合、磁性体コア61,62の形状、ボビン50の形状(特に、コア脚部収容部511,512の形状及び係止部515の形状)等は、適宜変更可能である。
【0058】
また、上記のボビン50は、磁性体コア61,62を収容してバスバー20との絶縁を保つためのコア収容部51と、バスバー20のネジ孔に対応して凹部が形成されたポケット部52と、を含んで構成されているが、どちらか一方の機能のみを有していてもよい。すなわち、本発明に係る絶縁部品にはバスバー20に係止するための係止部を有するコア収容部51のみの構成も含まれる。また、本発明に係る導電部品には、バスバー20に設けられるネジ孔の一方側の端部を囲う凹部を有すると共に、バスバー20に対して係止可能な係止部を有する絶縁部品と、バスバー20とを含む導電部品も含まれる。このように、導電部品が、バスバー20に対してネジ止め固定するためのネジ孔の一方側の端部を囲う凹部を有する絶縁部品を有することで、ネジ止め固定する際にバスバー等から発生する金属粉が周囲に飛散することを抑制することができるため、バスバーと他の部品との間の高い絶縁性を維持した状態でこれらを組み立てすることができる。
【0059】
上記実施形態における導電部品200を構成するボビン50では、コア収容部51に係止部515が形成されているが、絶縁部品がコア収容部51を含まない場合には、係止部の位置を変更することができる。
【0060】
なお、ボビン50の係止部515の形状は、バスバー20に形成された貫通孔236に対して爪部515Bを引っ掛ける構成に限定されず、適宜変更することができる。また、爪部515Bは、上面側に傾斜面が形成されている場合を説明したが、例えばRを備える突起状等、本発明を実施できる範囲で、適宜変更することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る磁性体コア61は所謂U型のコアであり、2本の脚部61A,62Bを備え、脚部61Aをコア脚部収容部511に挿入すると共に、他方の脚部61Bをコア脚部収容部512に挿入する場合について説明したが、本発明は、例えば磁性体コアがE型等の3本の脚部を有するコアや、それ以上の脚部を有する磁性体コアの場合にも適用できる。このような3本以上の脚部を有する場合においても、少なくとも2本の脚部を収容するコア脚部収容部を有し、コア脚部収容部が離間して配置されていれば良い。