(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331454
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】スクライブ装置
(51)【国際特許分類】
C03B 33/027 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
C03B33/027
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-30136(P2014-30136)
(22)【出願日】2014年2月20日
(65)【公開番号】特開2015-155355(P2015-155355A)
(43)【公開日】2015年8月27日
【審査請求日】2016年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114030
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 義雄
(72)【発明者】
【氏名】成尾 徹
【審査官】
飯濱 翔太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−170115(JP,A)
【文献】
特開平09−052726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/00−35/26
C03B 40/00−40/04
B28D 1/00− 7/04
C03B 17/06
C03B 18/02−18/22
G02F 1/13− 1/141
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をあけて配置された一対の支持機構上に脆性材料基板を載置し、当該脆性材料基板の下面を前記間隔の下方からカッターホイールを転動させてスクライブするスクライブ装置であって、
前記カッターホイールを上端部に備えたカッターホイール支持体と、
このカッターホイール支持体を昇降させる駆動部を有するスクライブヘッドとを備え、
前記カッターホイールが前記脆性材料基板の下面をスクライブする位置に上昇した状態において、前記スクライブヘッドの上端が前記一対の支持機構より低い位置となるように、前記カッターホイール支持体の長さが設定され、
前記カッターホイール支持体の前記間隔の幅方向に沿った寸法が、前記間隔の範囲内になるように形成され、前記一対の支持機構は、前記カッターホイール支持体に近接するようにして、前記スクライブヘッドの上端の前記間隔の幅方向に沿った寸法より、前記間隔が小さくなるように配置されているスクライブ装置。
【請求項2】
前記支持機構は、前記脆性材料基板を載置して搬送する上流側のコンベア並びに下流側のコンベアである請求項1に記載のスクライブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板、半導体基板等の脆性材料基板のスクライブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に大面積の脆性材料基板から単位製品を切り出す工程では、脆性材料基板の表面に対し、スクライブ予定ラインに沿ってカッターホイール(スクライビングホイールともいう)を圧接させながら相対移動させることにより、互いに直交するX方向並びにY方向のスクライブラインを形成するスクライブ工程を行う。その後、当該スクライブラインに沿って外力を印加して基板を撓ませることにより、脆性材料基板を単位表示パネルごとに完全分断するブレイク工程を行う。
【0003】
上記スクライブ工程を、脆性材料基板の下面から行うようにしたスクライブ装置が、例えば特許文献1で開示されている。
このスクライブ装置は、
図6に示すように、脆性材料基板Mを載置して搬送する一対のコンベア21a、21bが間隔Pをあけて直列に配置されており、当該コンベア21a、21b間には、脆性材料基板Mの裏面にスクライブラインを加工するためのカッターホイール22並びにこれを支持するスクライブヘッド23が配置されている。そして脆性材料基板Mの上面を受台24で支えて、カッターホイール22を脆性材料基板Mの裏面に押し付けながらX方向(
図6の前後方向)に転動させることにより、
図7(a)に示すように脆性材料基板Mの裏面にX方向のスクライブラインS1を加工する。その後、脆性材料基板Mを90度回転して上記同様にカッターホイールを転動させて、
図7(b)に示すようにY方向のスクライブラインS2を加工するようにしている。
【0004】
このようにしてX方向並びにY方向のスクライブラインS1、S2が形成された脆性材料基板Mは、ブレイク装置に送られて各スクライブラインから分断され、単位製品M1が取り出された後に端縁部の端材領域M2は廃棄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−026267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したスクライブ装置において、脆性材料基板Mを下面側からスクライブするためには、カッターホイール22を備えたスクライブヘッド23を上流側のコンベア21bと下流側のコンベア21aとの間に配置しなければならない。しかし、スクライブヘッド23は内部に昇降駆動部等が組み込まれているため寸法(体積)を小さくすることには限界があり、そのため必然的にコンベア21a、21bの間隔Pが大きくなる。この間隔Pが大きいと、
図8(a)に示すように、上流側コンベア21bから下流側コンベア21aに脆性材料基板Mを受け渡す際に、基板Mの先端が下流側コンベア21aの先端部分に接触して損傷したり、基板Mの向きがずれたりするといった不具合が発生することがある。
特に近年において基板の薄板化、小型化が進み、基板の厚さが薄い場合は間隙P内で先端部分が下方に垂れ気味になることから、上記した不具合の発生が特に問題となる。また、基板のサイズが小さい場合は、
図8(b)に示すように、脆性材料基板Mが間隔P内で傾いたり、落下したりするといった不具合も発生する。
【0007】
そこで本発明の目的は、上記の不具合を解消し、薄板や小サイズの基板であっても下面から精度よくスクライブすることのできるスクライブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明のスクライブ装置は、間隔をあけて配置された一対の支持機構上に脆性材料基板を載置し、当該脆性材料基板の下面を前記間隔の下方からカッターホイールを転動させてスクライブするスクライブ装置であって、前記カッターホイールを上端部に備えたカッターホイール支持体と、このカッターホイール支持体を昇降させる駆動部を有するスクライブヘッドとを備え
、前記カッターホイールが前記脆性材料基板の下面をスクライブする位置に上昇した状態において、前記スクライブヘッドの上端が前記
一対の支持機構
より低い位置となるように、前記カッターホイール支持体の長さが設定され
、前記カッターホイール支持体の前記間隔の幅方向に沿った寸法が、前記間隔の範囲内になるように形成され、前記一対の支持機構は、前記カッターホイール支持体に近接するようにして、前記スクライブヘッドの上端の前記間隔の幅方向に沿った寸法より、前記間隔が小さくなるように配置されている構成とした。
前記支持機構は、前記脆性材料基板を載置して搬送する上流側のコンベアと下流側のコンベアとで形成するのが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カッターホイール支持体の幅寸法が脆性材料基板の支持機構の間隔よりも細く、しかも、カッターホイールがスクライブ位置まで上昇したときに、スクライブヘッドの上端外縁部分が、
一対の支持機構
より低い位置となるようにカッターホイール支持体が長く形成されているので、支持機構をカッターホイール支持体に近接する位置まで近づけて形成することが可能となる。これにより、小サイズの脆性材料基板であっても、間隔内で傾いたり間隔内へ落下したりすることをなくすことができると共に、薄い基板の場合には間隔内での垂れ下がり等の現象を緩和することができるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るスクライブ装置の一例を示す一部切欠き斜視図。
【
図2】カッターホイールを含むスクライブヘッド部分を示す拡大斜視図。
【
図3】スクライブヘッド部分を示す一部断面側面図。
【
図5】本発明のスクライブ装置の別実施例を示す要部の側面図。
【
図7】脆性材料基板に対するスクライブラインの加工手順を示す平面図。
【
図8】従来のスクライブ装置によって生じる不具合を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、本発明のスクライブ装置の詳細を、
図1〜4に基づいて説明する。
スクライブ装置Aは、大面積の脆性材料基板Mを載置する一対の支持機構1を備えている。本実施例ではこの支持機構1として、脆性材料基板Mを載置して
図1のY方向に搬送する上流側コンベア1b並びに下流側コンベア1aで形成されている。
上流側コンベア1b並びに下流側コンベア1aは、後述するカッターホイール2とガイドローラ6並びにこれらの支持体3、7を配置するための間隔Pをあけて同一平面上でY方向に直列に配置されている。上流側コンベア1b並びに下流側コンベア1aは、輪体間でベルトが回動するベルトコンベアとするのがよい。
【0012】
上流側コンベア1bと下流側コンベア1aとの間には、X方向並びにY方向のスクライブラインS1、S2(
図7参照)を脆性材料基板Mの裏面に加工するためのカッターホイール2が配置されている。このカッターホイール2は、垂直方向に延びるカッターホイール支持体3の上端部に取り付けられ、カッターホイール支持体3は、後述するガイドローラ支持体7と共に昇降駆動部4を内蔵するスクライブヘッド5に昇降可能に保持されている。
【0013】
本実施例では、カッターホイール2の転動方向における前後の位置に、ガイドローラ支持体7、7に保持されたガイドローラ6、6が一直線上に配置されている。このガイドローラ6、6は、ローラ面がカッターホイール2の刃先よりもわずかに下方へ後退した高さ位置となるように配置されており、スクライブ時におけるカッターホイール2の刃先の基板Mに対する過度の食い込みが抑制されるようにしてある。
【0014】
カッターホイール支持体3並びにガイドローラ支持体7は、それぞれ下端部で共通の基盤8により連結され、スクライブヘッド5に内蔵された昇降駆動部4の昇降軸11に対し、垂直な軸9及びベアリング10を介して回動可能に取り付けられている。昇降駆動部4は、流体シリンダまたはモータ等の原動機12によって駆動される。
また、スクライブヘッド5は、門型のブリッジ13の水平なビーム(横梁)14に形成されたガイド15に沿ってX方向に往復移動できるように取り付けられている。
【0015】
本発明では、カッターホイール支持体3並びにガイドローラ支持体7のコンベア1a、1b間の間隔Pの幅方向に沿った幅寸法Lが、コンベア1a、1bの間隔Pの範囲内になるように細く形成されている。そして、コンベア1a、1bがこれら支持体3、7に近接する位置まで近づくように間隔Pは可能な限り狭く形成されている。
また、カッターホイール2が脆性材料基板Mの下面をスクライブする位置まで上昇した
図4の状態では、昇降駆動部4を内蔵するスクライブヘッド5の上端外縁部分がコンベア1a、1bの下部に接触しない位置となるように、カッターホイール支持体3並びにガイドローラ支持体7が長く形成されている。
【0016】
さらに、コンベア1a、1bの間隔Pの上方には当該間隔Pに沿って延びる受台16が配置されている。この受台16は、カッターホイール2によるスクライブ時に、脆性材料基板Mの上面に接触して脆性材料基板Mの浮き上がりを防止するために使用されるものであって、ブリッジ13に設けられたビーム17下方に、流体シリンダ18によって昇降可能に取り付けられている。
【0017】
上記の構成において、脆性材料基板Mを上流側コンベア1b並びに下流側コンベア1a上に載置し、カッターホイール2を脆性材料基板Mの裏面に押し付けた状態でX方向に転動させることにより、X方向のスクライブラインS1を加工する。全てのX方向のスクライブラインS1の加工が完了すると、脆性材料基板Mを90度回転させて再びコンベア1a、1b上に載置し、上記同様にカッターホイール2を脆性材料基板Mに押し付けながら転動させることにより、Y方向のスクライブラインS2を加工する。
【0018】
以上のようにこのスクライブ装置では、カッターホイール支持体3及びガイドローラ支持体7の幅寸法Lがコンベア1a、1bの間隔Pよりも細く形成され、かつ、カッターホイール2がスクライブ位置まで上昇したときに、スクライブヘッド5の上端外縁部分がコンベア1a、1bの下部に接触しない位置となるように、両支持体3、7が長く形成されているので、コンベア1a、1bの間隔Pを、これら支持体3、7に近接する位置まで狭めて形成することが可能となる。これにより、小サイズの脆性材料基板であっても、間隔P内で傾いたり落下したりすることをなくすことができると共に、上流側コンベア1bから下流側コンベア1aに脆性材料基板Mを受け渡す際に、基板Mの先端が下流側コンベア1aの先端部分に接触して損傷したり、基板Mの向きがずれたりする不具合についても解消することができる。また、薄板の脆性材料基板Mであっても、間隔P内での垂れ下がり等の現象を緩和することができる。
【0019】
上記実施例では、脆性材料基板Mを載置する一対の支持機構1として、上流側コンベア1bと下流側コンベア1aとからなる構成を示したが、これに換えて、
図5に示すように間隔Pをあけて配置した一対の固定支持台1c、1dで形成することも可能である。この場合における脆性材料基板Mの搬送は、図示は省略するが、例えば支持台1c、1d上面に設けたエア吐出孔からエアを吹き付けて基板Mを浮上させる搬送機構、あるいは吸着搬送ロボットなどの基板搬送機構によって行うようにすればよい。
【0020】
以上、本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施例構造のみに特定されるものではない。例えば、上記実施例で示したガイドローラ6並びにガイドローラ支持体7を省略して形成することも可能である。その他本発明ではその目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、ガラス基板、半導体基板等の脆性材料基板の裏面にスクライブラインを加工するスクライブ装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0022】
A スクライブ装置
L カッターホイール支持体並びにガイドローラ支持体の幅
M 脆性材料基板
S1 X方向のスクライブライン
S2 Y方向のスクライブライン
P 支持機構の間隔
1 支持機構
1a、1b コンベア
2 カッターホイール
3 カッターホイール支持体
4 昇降駆動部(駆動部)
5 スクライブヘッド
6 ガイドローラ
7 ガイドローラ支持体