(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
駆動力を受けて回転しながら、静電潜像が形成され現像によりトナー像が形成される感光体と、駆動力を受けて動作し、前記感光体上の静電潜像をトナーで現像する現像器とを有する、配列された複数の像形成ユニットと、
駆動力を受けて、前記複数の像形成ユニットを構成する複数の感光体に沿う部分経路を含む循環経路上を循環移動し、該感光体上に形成されたトナー像の1次転写を受けて該トナー像を2次転写位置に搬送する中間転写体と、
駆動力を受けて動作し、前記2次転写位置を通過することにより前記中間転写体からトナー像の転写を受けた用紙上のトナー像を該用紙上に定着する定着器と、
前記感光体の回転軸方向について、前記複数の像形成ユニットのうちの一方の端に位置する第1の像形成ユニットに重なる第1の領域に広がり、該複数の像形成ユニットを構成する複数の感光体および複数の現像器、前記中間転写体、および、前記定着器の駆動を分担する複数のモータが搭載されたモータ搭載部、並びに、
前記感光体の回転軸方向について、前記複数の像形成ユニットのうちの前記第1の像形成ユニットを除く他の全ての像形成ユニットに重なる第2の領域に広がり、該他の全ての像形成ユニットを構成する感光体および現像器に駆動力を伝達する駆動力伝達機構が組み込まれた駆動力伝達部を有する駆動ユニットと、
前記駆動ユニットを動作させる電力を制御する回路部品が搭載され、前記感光体の回転軸方向について前記モータ搭載部との重なりを避けて前記駆動力伝達部に重なる位置に配置された回路基板とを備え、
前記モータ搭載部は前記駆動力伝達部よりも厚みを有し、前記モータ搭載部と前記駆動力伝達部の厚みの相違を埋めるように、前記回路基板が前記感光体の回転軸方向について前記駆動力伝達部と重なって配置されたことを特徴とする画像形成装置。
前記駆動ユニットが、前記第1の領域と前記第2の領域との全域に広がり、前記第1の領域において前記複数のモータを支持するとともに前記第2の領域において前記駆動力伝達機構を支持するユニット基板を有し、前記駆動力伝達部が、前記モータ搭載部と比べ、前記感光体の回転軸方向に薄く形成されたものであり、
前記回路基板が、前記感光体の回転軸方向について前記駆動力伝達部に重なって前記モータ搭載部との間の厚みを埋める位置に配置されて前記駆動力伝達部に固定されたものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
前記複数のモータが、前記複数の像形成ユニットを構成する複数の現像器の駆動源となる第1のモータと、前記複数の像形成ユニットを構成する複数の感光体の駆動源となる第2のモータとを含み、
前記駆動力伝達機構が、前記第1のモータの駆動力を前記他の全ての像形成ユニットの現像器に伝達する第1の伝達機構と、前記第2のモータの駆動力を前記他の全ての像形成ユニットの感光体に伝達する第2の伝達機構とを有し、
前記駆動力切替機構が、前記第1のモータの駆動力の前記第1の伝達機構への伝達と遮断、および、前記第2のモータの駆動力の前記第2の伝達機構への伝達と遮断の双方を担うものであることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態としての画像形成装置の外観斜視図である。
【0016】
この画像形成装置1は、スキャナ10とプリンタ20を備えている。
【0017】
スキャナ10は、原稿に描かれている画像を読み取って画像信号を生成する装置である。また、プリンタ20は、画像信号に基づく画像を用紙上にプリント出力する装置である。
【0018】
スキャナ10は、原稿トレイ11と原稿排紙トレイ12を有する。原稿トレイ11上に、原稿を積み重ねた状態に載せてスタートボタン32を押すと、その原稿が1枚ずつ順次に送り込まれて読み取られ、原稿排紙トレイ12上に排出される。また、このスキャナ10は、奥側に、左右に延びるヒンジ(不図示)が設けられており、矢印Mよりも上の部分を持ち上げて開くことができる。矢印Mの直ぐ下には、透明ガラス板13(
図2参照)が広がっている。その透明ガラス板13に上に原稿を1枚、下向きに載せ、矢印Mから上の部分を閉じてスタートボタン32を押すことにより、その透明ガラス板13上の原稿を読み取ることもできる。
【0019】
また、プリンタ20は、用紙トレイ21内に積み重ねられている用紙を1枚ずつ順次に取り出し、その取り出した用紙上に、画像信号に基づく画像をプリントする装置である。画像がプリントされた用紙は、排紙トレイ22上に排出される。本実施形態では、このプリンタ20は、画像を、用紙上に、いわゆる電子写真方式によりプリント出力するプリンタである。
【0020】
また、この画像形成装置1には、ユーザインタフェース(UI)30が備えられている。このUI30は、電源ボタン31やスタートボタン32、その他の複数の押しボタン33と、タッチパネル式の表示画面34が備えられている。このUI30を操作することにより、プリント枚数の指示や動作スタートの指示などの各種の指示が行われる。また、表示画面34には、この装置の状態や各種の押ボタンが表示される。この表示画面34上に表示される押しボタン34も操作の対象となる。
【0021】
図2は、
図1に外観を示す画像形成装置の内部構成を示した模式図である。
【0022】
スキャナ10の原稿トレイ11上に置かれた原稿Sは、スタートボタン32(
図1参照)が押されると1枚ずつ送り込まれて搬送ロール14により搬送路101上を搬送され、その搬送の途中で透明ガラス板13に接する読取位置Rと通過して原稿排紙トレイ12上に排出される。そして、その原稿Sは、読取位置Rを通過する際に、その読取位置Rに対面して静止している読取装置15によって、その原稿Sに記録されている画像が読み取られて画像信号に変換される。
【0023】
また、矢印Mよりも上の部分を開き、1枚の原稿を透明ガラス板13上に下向きに載せて上を閉じ、スタートボタン32を押す。すると今度は、読取装置15が矢印x方向に移動しながら、その透明ガラス板13上の原稿を読み取って画像信号に変換する。
【0024】
このプリンタ20には、ほぼ横に1列に配列された4つの像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kが備えられている。これらの像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kは、それぞれ、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の各色トナーによるトナー像を形成する像形成ユニットである。ここでは、これらの像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kに共通の説明については、トナーの色の区別を表わす、Y,M,C,Kの符号を省略し、像形成ユニット50と表記する。像形成ユニット以外の他の構成要素についても同様である。
【0025】
各像形成ユニット50には、感光体51が備えられている。この感光体51は、駆動力を受けて矢印A方向に回転しながら、その表面に静電潜像が形成され、さらに現像によりトナー像が形成される。
【0026】
各像形成ユニット50を構成する各感光体51の周りには、帯電器52、露光機53、現像器54、1次転写器62、およびクリーナ55が備えられている。ここで、1次転写器62は、感光体51との間に、後述する中間転写ベルト61を挟んだ位置に置かれている。この1次転写器62は、像形成ユニット50ではなく、後述する中間転写ユニット60に備えられている要素である。
【0027】
帯電器52は、感光体51の表面を一様に帯電する。
【0028】
露光器53は、一様に帯電された感光体51に、画像信号に基づいて変調された露光光を照射して、感光体51上に静電潜像を形成する。
【0029】
現像器は、感光体51上に形成された静電潜像を、各像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kに応じた色のトナーで現像して、感光体51上にトナー像を形成する。
【0030】
1次転写器62は、感光体51上に形成されたトナー像を、後述する中間転写ベルト61上に転写する。
【0031】
クリーナ55は、転写後の感光体51上の残留トナー等を感光体51上から取り除く。
【0032】
ここで、本実施形態の画像形成装置1では、各像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kのそれぞれにおいて、感光体51、帯電器52、およびクリーナ55が1つのモジュールを構成している。ここでは、このモジュールを感光体モジュールと称する。この感光体モジュールは、この画像形成装置1の骨組みである装置筐体(不図示)に対し着脱自在に装着される。
【0033】
また、露光器53も、各像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kごとに1つのモジュールを構成している。ここではこのモジュールを、露光モジュールと称する。
【0034】
さらに、現像器54も、各像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kごとに1つのモジュールを構成している。ここでは、このモジュールを、現像モジュールと称する。露光モジュールおよび現像モジュールも、この画像形成装置1の装置枠体に対し、それぞれ着脱自在に装着される。
【0035】
4つの像形成ユニット50の上部には、中間転写ユニット60が備えられている。そして、この中間転写ユニット60には、中間転写ベルト61が備えられている。この中間転写ベルト61は、駆動ロール63a、従動ロール63b、張架ロール63c等の複数のロールに支持されている。そして、この中間転写ベルト61は、駆動ロール63aに駆動されて、4つの像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kを構成する4つの感光体51に沿う経路を含む循環経路上を、矢印B方向に循環移動する。
【0036】
各感光体51上のトナー像は1次転写器62の作用により、中間転写ベルト61上に順次重なるように転写される。そして、中間転写ベルト61上に転写されたトナー像は、その中間転写ベルト61により、2次転写位置T2に搬送される。この2次転写位置T2には2次転写器71が備えられており、中間転写ベルト61上のトナー像は、その2次転写
器71の作用により、その2次転写位置T2に搬送されてきた用紙P上に転写される。用紙Pの搬送については後述する。用紙Pへのトナー像の転写後の中間転写ベルト61上に残存するトナー等は、クリーナ64により、その中間転写ベルト61から取り除かれる。
【0037】
ここで、このプリンタ20では、黒色(K)のトナーでトナー像を形成する、配列の1方の端(
図2の1番左側の端)に位置する像形成ユニット50Kのみを使用して用紙P上にモノクロ画像をプリントするモノクロモードと、4つの像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kを使用して用紙P上にカラー画像をプリントするカラーモードとを有する。中間転写ベルト61は、図示しないカム機構により、カラーモードのときは、4つの像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kを構成する4つの感光体51に接しながら移動し、モノクロモードのときは、配列の1方の端(
図2の1番左側の端)に位置する像形成ユニット50Kの感光体51Kのみに接して他の全ての像形成ユニット50Y,50M,50Cの感光体51Y,51M,51Cからは離間するように、その循環移動経路が変更される。モノクロモードでは、像形成ユニット50Kを除く他の全ての像形成ユニット50Y,50M,50Cの作動を停止させて、省電力化や部品の長寿命化を図っている。
【0038】
中間転写ユニット60の上部には、各色のトナーが収容されたトナーカートリッジ23が備えられている。現像器54内のトナーが現像により消費されると、対応する色のトナーを収容したトナーカートリッジ23から現像器54にトナーが補充される。トナーカートリッジ23は着脱自在に構成されており、空になると取り出されて、新たなトナーカートリッジ23が装着される。
【0039】
また、このプリンタ20の下部には、用紙トレイ21が備えられている。この用紙トレイ21には、プリント前の用紙Pが積み重ねられた状態に収容される。この用紙トレイ21は、用紙の補充や交換のために引出し自在に構成されている。
【0040】
用紙トレイ21からは、ピックアップロール22により用紙Pが1枚取り出され、搬送ロール23により、搬送路201上を矢印C方向に、タイミング調整ロール24まで搬送される。このタイミング調整ロール24まで搬送されてきた用紙Pは、そのタイミング調整ロール24により、中間転写ベルト61上のトナー像が2次転写位置T2に到達するタイミングに合わせて2次転写位置T2に到達するように、その2次転写位置に向かって送り出される。タイミング調整ロール24により送り出された用紙Pは、2次転写位置T2において、2次転写器71の作用により、中間転写ベルト61からトナー像の転写を受ける。トナー像の転写を受けた用紙Pは、さらに矢印D方向に搬送されて定着器72を通過する。用紙P上のトナー像は、この定着器72により加熱および加圧を受けて用紙P上に定着される。これにより、用紙P上には、定着されたトナー像からなる画像がプリントされる。定着器72によりトナー像の定着を受けた用紙は、搬送ロール25によりさらに搬送され、排紙ロール26により排紙トレイ22上に送り出される。
【0041】
またこのプリンタ20は、用紙Pの両面に画像をプリントする両面プリントモードを有する。この両面プリントモードにおいては、上記と同様にして用紙Pの第1面に画像がプリントされた後、その第1面に画像がプリントされた用紙Pが、排紙ロール26により、排紙トレイ22に向けて途中まで送り出される。そしてその排紙ロール26は、回転方向を反転させて、排紙トレイ22上に途中まで送り出した用紙Pを引き戻す。排紙ロール26の反転により引き戻された用紙Pは、今度は、搬送ロール27により搬送路202上を矢印Gで示す向きに搬送されて、再びタイミング調整ロール24に到達する。このとき用紙Pは、第1面に画像がプリントされたときとは表裏が反転した状態にある。タイミング調整ロール24に再び到達した後は、上記と同様にして、但し今度はその用紙Pの第2面に画像がプリントされる。こうして画像が両面にプリントされた用紙Pは、排紙ロール26により、今度は、排紙トレイ22上に送り出される。
【0042】
また、このプリンタ20には手差しトレイ28が備えられている。この手差しトレイ28に用紙を置いてスタートボタン32を押すと、この手差しトレイ28上の用紙が搬送ロール29により搬送路203上を矢印H方向に搬送されてタイミング調整ロール24に到達する。その後のプリント動作は、用紙トレイ21から引き出された用紙Pへのプリント動作と同様である。
【0043】
図3は、
図1に示す画像形成装置の背面カバーを外して背面側から内部を示した斜視図である。
【0044】
ここには、プリンタ20に搭載された状態の駆動ユニット3と回路基板8が示されている。
【0045】
駆動ユニット3には、このプリンタ20の各要素を分担して駆動する、第1のモータ4、第2のモータ5、および第3のモータ6からなる3つのモータが搭載されている。また、回路基板8には、駆動ユニット3や他の要素を動作させる電力を制御する回路部品9が搭載されている。
【0046】
図4は、駆動ユニットの斜視図である。
【0047】
この駆動ユニット3は、3つのモータ4,5,6が搭載された、
図3にもあられている
モータ搭載部3aと、
図3では回路基板8の裏に隠れていた駆動伝達部3bとを有する。
【0048】
この駆動ユニット3のうちのモータ搭載部3aは、
図2に示す4つの像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kのうちの、黒色(K)のトナーを使ってトナー像を形成する、
図2では一番左の端に配列された1つの像形成ユニット50Kと重なる領域(ここではこの領域を「第1の領域」と称する。)に配置される。この1つの像形成ユニット50Kは、モノクロモードとカラーモードとの双方で使用される像形成ユニットである。なお、この駆動ユニット3のうちの駆動力伝達部3bは、4つの像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kのうちの、その1つの像形成ユニット50Kを除く、他の全ての像形成ユニット50Y,50M,50Cに重なる第2の領域に広がっている。これらの、像形成ユニット50Kを除く他の像形成ユニット50Y,50M,50Cは、モノクロモードでは使用されず、カラーモードのみで使用される像形成ユニットである。なお、
図3,
図4では、画像形成装置1を背面側から見ているため、
図2の配置関係とは逆に、モータ搭載部3aが右側、駆動力伝達部3bが左側となっている。
【0049】
モータ搭載部3aに搭載されている3つのモータ4,5,6は、この画像形成装置1の各部の動作を分担している。ただし、この画像形成装置1には、これら3つのモータ4,5,6以外にも、
図2に示すトナーカートリッジ23から現像器54のトナーを補充する動力源となるモータが2つ備えられている。これら2つのモータは、正転と逆転とで別々なトナー補給路の駆動を担っている。これにより、4つのトナーカートリッジ2から4つの現像器54へのトナーの補充を2つのモータで担当している。これら2つのモータは小型のモータであり、本実施形態における特徴点とは無関係であるため、これら2つのモータについては、以下では言及しない。
【0050】
図3,
図4に示す駆動ユニット3の3つのモータ4,5,6は、このプリンタ20のうちの上記のトナー補給路を除く、4つの像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kを構成する4つの感光体51および4つの現像器54、中間転写ユニット60、定着器72、並びに、用紙搬送路等の駆動を分担している。
【0051】
具体的には、第1のモータ4は、4つの現像器54の駆動と給紙側の用紙搬送を担当している。また第2のモータ5は、4つの感光体51の回転駆動と中間転写ベルト61の循環移動を担当している。さらに、第3のモータ6は定着器72と排紙側の用紙搬送を担当している。また、この第3のモータ6は、モノクロモードとカラーモードとの駆動の切替えも担当している。この第3のモータ6は、詳細は後述するが、モノクロモードからカラーモードへの切替えとカラーモードからモノクロモードへの切替えを、同じ方向への回転で行っている。
【0052】
これら3つのモータ4,5,6は大きな駆動力を必要とし、外形的にも大きく、このため、この駆動ユニット3の中でモータ搭載部3aの方が駆動力伝達部3bと比べ、感光体51(
図2参照)の回転軸方向にかなり厚い寸法となっている。
【0053】
本実施形態では、プリンタ20に組み込まれている大寸法の3つのモータ4,5,6の全てを1つの駆動ユニット3に搭載し、さらに、その駆動ユニット3の中の1か所(モータ搭載部3a)に集めたことで、
図3に示すように、厚み方向(感光体51の回転軸方向)ついて、それら3つのモータ4,5,6のいずれもが回路基板8と重なることのない、配置の住み分けを可能としている。
【0054】
また駆動伝達部3bは、4つの像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kのうちの、1つの像形成ユニット50Kを除く、カラーモードでのみ使われる他の全ての像形成ユニット50Y,50M,50Cの感光体51および現像器54への駆動力伝達を担う駆動力伝達機構(後述する)を搭載している。モノクロモードとカラーモードの双方で使われる1つの像形成ユニット50Kの感光体51と現像器54への駆動力の伝達は、モータ搭載部3aが担っている。このため、このモータ搭載部3aは、その1つの像形成ユニット50Kと重なる位置に配置されている。
【0055】
また、この駆動ユニット3の、モータ搭載部3aと駆動力伝達部3bとの境界部分には、駆動力切替え部材610が備えられている。この駆動力切替え部材610は、第3のモータ6で駆動されて、駆動力伝達部3bへの駆動力の伝達と遮断とを切り替える部材である。すなわち、この駆動力切替え部材610は、カラーモードにおいては、駆動力伝達部3bに駆動力を伝達し、モノクロモードにおいては、駆動力伝達部3bへの駆動力の伝達を遮断する部材である。また、ここには、現像器用の駆動力伝達機構410もあらわれている。この駆動力伝達機構410の詳細説明は後に譲る。
【0056】
ここで、駆動力伝達部3bに搭載されている駆動力伝達機構は、大別すると、第1のモータ4の駆動力を3つの像形成ユニット50Y,50M,50Cの各現像器54Y,54M,54Cに伝達する第1の伝達機構と、第2のモータ5の駆動力を3つの像形成ユニット50Y,50M,50Cの各感光体51Y,51M,51Cに伝達する第2の伝達機構とに分かれている。駆動力切替え部材610は、第1のモータ4の駆動力の第1の伝達機構への伝達と遮断、第2のモータ5の駆動力の第2の伝達機構への伝達と遮断を同時に行っている。この駆動力切替え部材610はさらに、モノクロモードとカラーモードとにおける中間転写ベルト61(
図2参照)の循環移動経路の切替えも行っている。すなわち、この駆動力切替え部材610は、カラーモードでは中間転写ベルト61を4つの像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kを構成している4つの感光体51Y,51M,51C,51Kの全てに接する部分経路含んで循環移動し、モノクロモードでは1つの像形成ユニット50Kを構成している1つの感光体51Kにのみ接し他の3つの像形成ユニット50Y,50M,50Cを構成している3つの感光体51Y,51M,51Cからは離間した部分経路を含んで循環移動するように、図示しないカム機構の切替えを行っている。
【0057】
次に、
図3に示す回路基板8について説明する。
【0058】
この回路基板8は、駆動ユニット3に供給する電力をはじめ、このプリンタ20の各要素に供給する電力を制御する回路部品9が搭載された回路基板である。この回路基板8は、駆動ユニット3のモータ搭載部3aとの重なりを避けて駆動力伝達部3bに重なる位置に配置されている。
【0059】
図5は、駆動ユニットと回路基板の部分を画像形成装置の上方から見て示した断面図である。この
図5では、駆動ユニット3が占有する容積部分を枠3Aで示し、回路部品9を含む回路基板8が占有する容積部分を枠8Aで示している。
【0060】
回路基板8は、駆動力伝達部3bと重なって、モータ搭載部3aとの間の段差を持った厚みの相違を埋める位置に配置されて、この駆動力伝達部3bに固定されている。駆動力伝達部3bには、
図4に示すように、回路基板固定用のブラケット3dが備えられており、回路基板8は、このブラケット3dに固定される。回路基板8を含めた駆動力伝達部3bの部分の全体の厚み(感光体51の回転軸方向の寸法)は、モータ搭載部3aの厚みとほぼ同じ厚みに収まっており、プリンタ20の薄型化、省スペース化に寄与している。
【0061】
また、本実施形態の駆動ユニット3の駆動力伝達部3bは、カラーモードでのみ使用され、モノクロモードではモータ搭載部3aのみが使用される。したがって、この駆動ユニット3は、そのモータ搭載部3aを、モノクロモードしかないプリンタに適用することも可能である。
【0062】
次に、本実施形態における、駆動ユニット3の駆動力伝達および切替えの機構について説明する。
【0063】
図6は駆動ユニットの駆動力伝達および切替えの機構の概要を示した模式図である。
【0064】
ここには、モノクロモードとカラーモードとで駆動力の伝達と遮断を切り替える駆動力切替機構690が配置されている。この駆動力切替機構690には、駆動力切替部材610が備えられている。駆動力切替部材610には、矢印U−D方向に長く延びた溝618が形成されており、その溝618に、駆動ユニット3(
図4参照)の基体に固定された2本のピン3eが差し込まれている。この駆動力切替部材610は、これら2本のピン3eに案内されて矢印U−D方向に直進移動する。この駆動力切替機構690には、駆動歯車601が備えられている。この駆動歯車601には、
図4に示す第3のモータ6の駆動力が、この
図6に示す部材の中では最初に伝えられる。そしてその駆動歯車601に伝えられた駆動力は歯欠け歯車620等を介在させて駆動力切替部材610に伝えられ、その駆動力切替部材610を矢印U−D方向に移動させる。
【0065】
また、この
図6には、
図4に示す第1のモータ4からの駆動力がこの
図6に示した部材の中では最初に伝えられる伝達歯車401が示されている。この伝達歯車401は、駆動歯車402Kと中間歯車403aとの双方に噛み合っている。駆動歯車402Kは、黒色(K)のトナーを用いてトナー像を形成する像形成ユニット50K(
図2参照)を構成している現像器54Kに連結しており、その1台の現像器54Kを駆動する歯車である。すなわちこの現像器54Kには、第1のモータ4からの駆動力が、伝達歯車401および駆動歯車402Kを経由して伝達される。
【0066】
また、中間歯車403aは、現像器用の駆動力切替機構410を構成している駆動歯車411と噛み合っている。したがって、伝達歯車401に伝えられた第1のモータ4の駆動力は、現像器54Kを駆動する駆動歯車402Kに伝えられるとともに、中間歯車403aを介して駆動力切替機構410の駆動歯車411にも伝えられる。この駆動力切替機構410には、後述する
図10に示すように、駆動歯車411と伝達歯車412が同軸に備えられている。この駆動力切替機構410は、駆動力切替部材610の上下動(矢印U−D方向の動き)により、カラーモードでは駆動歯車411に伝えられた駆動力を伝達歯車412に伝達し、モノクロモードではその伝達を遮断する構造を備えている。カラーモードにおいて伝達歯車412に伝えられた駆動力は、シアン色(C)のトナーでトナー像を形成する像形成ユニット50Cの現像器54Cを駆動する駆動歯車402Cに伝えられ、さらに中間歯車403bを介してマゼンタ色(M)のトナーでトナー像を形成する像形成ユニット50Mの現像器54Mを駆動する駆動歯車402Cに伝えられる。その駆動歯車402Cに伝えられた駆動力は、さらに中間歯車403cを介してイエロー色(Y)のトナーでトナー像を形成する像形成ユニット50Yの現像器54Yを駆動する駆動歯車402Yに伝えられる。これらシアン色(C)、マゼンタ色(M)、およびイエロー色(Y)の各トナー像を形成する合計3つの像形成ユニット50C,50M,50Yの現像器54C,54M,54Yを駆動する駆動歯車402C,402M,402Yと、それらの駆動歯車402C,402M,402Yに伝達される駆動力を仲介する中間歯車403b、403cは、第1の伝達機構490を構成している。
【0067】
さらに、この
図6には、黒色(K)のトナーを用いてトナー像を形成する像形成ユニット50K(
図2参照)を構成している感光体51Kを駆動する駆動歯車511Kが示されている。この
図6に示した部材の中では、この駆動歯車511Kに、
図4に示す第2のモータ5からの駆動力が最初に伝えられる。この駆動歯車511Kは、感光体用の駆動力切替機構510に組み込まれている歯車である。この感光体用の駆動力切替機構510にはさらに、後述する
図8に示すように、その駆動歯車511Kと同軸に、伝達歯車512が備えられている。駆動力切替機構510は、駆動力切替部材610の上下動(矢印U−D方向の動き)により、第2のモータ5から駆動歯車511Kに伝えられた駆動力を、カラーモードでは伝達歯車512に伝達し、モノクロモードではその伝達を遮断する構造を備えている。
【0068】
図7は、感光体用の駆動力切替機構を構成する伝達歯車から先への駆動力伝達の機構を示した斜視図である。ここには、現像器用の駆動力切替機構410の外観も示されている。
【0069】
感光体用の駆動力切替機構510の伝達歯車512には、カラーモードのときに、駆動歯車511K(
図6,
図8参照)から駆動力が伝達される。この伝達歯車512に伝達された駆動力は、中間歯車503aを介して、シアン色(C)のトナーでトナー像を形成する像形成ユニット50Cの感光体51Cを駆動する駆動歯車511Cに伝えられて、その感光体51Cが駆動される。また、その駆動歯車511Cに伝えられた駆動力は、さらに中間歯車503bを介して、
図6に示す、マゼンタ色(M)のトナー像を形成する像形成ユニット50M(
図2参照)の感光体51Mを駆動する駆動歯車511Mに伝えられて、その感光体51Mが駆動される。さらにその駆動力は中間歯503cを介してイエロー色(Y)のトナー像を形成する像形成ユニット50Y(
図2参照)の感光体51Yを駆動する駆動歯車511Yに伝えられて、その感光体51Yが駆動される。
【0070】
これら3つの中間歯車503a,503b,503cと、3つの駆動歯車511C,511M,511Yは、第2の伝達機構590を構成している。
【0071】
図7に戻り、後述する説明において必要となる、この
図7に示されている要素について説明する。
【0072】
感光体用の駆動力切替機構510の伝達歯車512には、感光体51Kを駆動する駆動軸513が貫通している。この伝達歯車512はその駆動軸513に対し回転自在となっている。ただし、この伝達歯車512は駆動軸513に固定されている2つの環状部材514a,514b(
図8(c)を参照。この
図7には、一方の環状部材514bのみ図示。もう一方の環状部材514aについては
図8(c)を参照。)に挟まれていて、駆動軸513の軸方向には移動不能となっている。また、この伝達歯車512には、周回方向について互いに180度異なる位置に設けられた2つの凹部512a,512bが形成されている。これら2つの凹部512a,512bは、その窪みの形状が互いに少し異なっている。その理由については後述する。
【0073】
また、駆動軸513には、ピン524が貫通している。このピン524は、この
図7には不図示の駆動歯車511K(
図8参照)を駆動軸513に固定しているピンである。
【0074】
また、この駆動軸513には、軸方向に延びる長孔513aが形成され、その長孔513aにピン515が差し込まれている。このピン515は、
図9(a)に示すカップリング部材516に固定されている(
図8(b),(c)参照)。したがって、そのカップリング部材516は、駆動軸513に対し、その長孔513の長さ分だけ軸方向に移動自在となっている。感光体用の駆動力切替機構510の残りの要素についての説明は後に譲る。
【0075】
この
図7には、現像器用の駆動力切替機構410の外観も示されている。
【0076】
この
図7には、その駆動力切替機構410を構成する駆動歯車411と、その駆動歯車411から駆動力の伝達を受け、あるいは遮断される伝達歯車412とが示されている。現像器用の駆動力切替機構410の要素として、この
図7にはさらに、カバー部材413と、リンク部材414(
図10参照)のレバー414aが示されている。カバー部材413は、
図4に示す駆動ユニット3の基体に固定されている(
図4参照)。また、このカバー部材413には、レバー414aを図示の実線と破線で示す範囲で回転可能とする開口(不図示)が形成されている。この現像器用の駆動力切替機構410の残りの構成要素の説明は後に譲り、以下では説明の都合上、感光体用の駆動力切替機構510の説明に戻る。
【0077】
図8は、感光体用の駆動力切替機構の斜視図である。
【0078】
また、
図9は、感光体用の駆動力切替機構のいくつかの要素部品の斜視図である。
図9(a)〜(c)には、それぞれ、(a)カップリング部材516、(b)カバー部材517、および(c)リンク部材518が示されている。
【0079】
図8(a)には、感光体用の駆動力切替機構510の全ての構成部品を組み立てた状態の斜視図が示されている。この
図8(a)には、前述の駆動歯車511K、伝達歯車512、および駆動軸513のほか、カバー部材517、およびリンク部材518のレバー518aが示されている。カバー部材518は、
図4に示す駆動ユニット3の基体に固定されて移動不能となっている。このカバー部材517には、リンク部材518のレバー518aを突出させて、
図8に実線で示す回転位置と破線で示す回転位置との間で回転自在とする開口517aが形成されている。またこの
図8(a)には、カップリング部材519とコイルバネ520が示されている。
【0080】
カップリング519は、回転軸513が回転したときの駆動力を感光体51K(
図2参照)に伝達する役割の部材である。コイルバネ520は、そのカップリング519を駆動軸513に先端側に押す役割の部材である。
【0081】
図8(b)は、
図8(a)に示す、組立が完了した状態の駆動力切替機構510からカバー部材517とリンク部材518を取り外して示した斜視図である。
【0082】
この
図8(b)には、
図7を参照して説明した、駆動軸513に設けられた長孔513aと、その駆動軸513に差し込まれたピン515が示されている。このピン515は、カップリング部材516に固定されている。これにより、このカップリング部材516は、その長孔513の長さ分だけ軸方向に移動自在となっている。
【0083】
またここには、コイルバネ521が配置されている。このコイルバネ521は、カップリング部材516を伝達歯車512に押し当てる向きに押している。
【0084】
また、このカップリング部材526には、後方に延びた連結アーム516aが設けられている。この連結アーム516aは、駆動歯車511Kに設けられている連結穴511aに差し込まれる。ここで、この連結歯車511Kには、連結穴511aが2つ設けられている。これは、この駆動歯車511Kと伝達歯車512を同一形状とする(
図7参照)ことで、部品の共通化を図るためである。
【0085】
また、この
図8(b)には、駆動軸513に設けられたもう1つの長孔513bが示されている。この長孔513bには、もう1つのピン522が差し込まれていて、そのピン511は、カップリング519に固定されている。したがって、カップリング519は、その長孔513bの長さ分だけ、軸方向に移動自在となっている。上述の通り、このカップリング519は、コイルバネ520により、前方(
図8の左側)に押されている。
【0086】
図8(c)は、
図8(b)に示す状態から、さらに伝達歯車512を取り除いて示した斜視図である。
【0087】
伝達歯車512は、上述の通り、駆動軸513に固定された2つの環状部材514a,514bに挟まれた位置に配置され、駆動軸513に対し回転自在かつ軸方向への移動不能となっている。
【0088】
この
図8(c)には、カップリング部材516に形成された、そのカップリング部材516の前方(伝達歯車512側)に突出した2つの凸部516b,516cが示されている。これらの凸部516b,516cは、伝達歯車512に設けられている2つの凹部512a,512b(
図7参照)にそれぞれ嵌り込む形状に突出している。詳細は後述するが、これらの凸部516b,516cのうちの一方の凸部516bは、2つの凹部512a,512bのうちの一方の凹部512aには嵌り込むが、もう一方の凹部512bには嵌らない形状となっている。これと同様に、もう一方の凸部516cは、凹部512bには嵌り込むものの凹部512aには嵌らない形状となっている。
【0089】
なお、このカップリング部材516の、後方に延びる連結アーム516aは、駆動歯車511Kに設けられている2つの連結穴511aのいずれにも嵌り込む形状となっている。
【0090】
次に、
図9に示す、(a)カップリング部材516、(b)カバー部材517、および(c)リンク部材518の構造について説明する。
【0091】
図9(a)に示すカップリング部材516は、駆動軸513を貫通させる開口516fが中央に形成された、略円環状の部材である。このカップリング部材516には、上述の通り、後方に延びる連結アーム516aと、前方に突き出た2つの凸部516b,516cが形成されている。2つの凸部516b,516cには、中心に向かって突き出た突出部516d,516eが形成されている。これらの突出部516d,516eは、回転対称の位置から外れた、それぞれが一方に寄った位置にある。伝達歯車512には、
図7に示すように、このカップリング部材516に設けられている2つの凸部516b,516cが嵌り込む2つの凹部512a,512bが形成されているが、これら2つの凹部512a,512bのうちの一方の凹部512aは、2つの凸部516b,516cのうちの一方の凸部516bの突出部516dを含め、この一方の凸部516bが嵌り込む形状となっている。もう一方の凸部516cは、その突出部516eの位置が凸部516bの突出部516dの位置と異なるために、凹部512aには嵌らない。逆も同様である。一方、カップリング部材516の後方に延びる連結アーム516aは、2つの凸部516b,516cとほほ同様の断面形状ではあるが、突出部516d,516eに相当する突起は設けられていない。このため、この連結アーム516aは、伝達歯車512と部品が共通化されている駆動歯車511Kの2つの連結穴511a(
図8参照)のうちのいずれにも嵌り込むことができる。
【0092】
ここで、このカップリング部材517は、前述の通り、
図8(b),(c)に示す、駆動軸513に設けられている長孔513aの長さ分だけ軸方向に移動可能となっている。このカップリング部材の連結アーム516aは、2つの連結穴511aのいずれにも嵌り込むことができる。ただし、この連結アーム516aは、組立後は、そのカップリング部材516が軸方向に移動してもその嵌り込んでいる一方の連結穴511aから抜けることのない長さとなっている。
【0093】
これに対し、カップリング部材510の、前方に突き出た2つの凸部516b,516cは、そのカップリング部材510が軸方向前方に移動したときは伝達歯車512の2つの凹部512a,512bのそれぞれに嵌り込む。カップリング部材510がこの状態にあるときは、駆動歯車511Kの駆動力がカップリング部材516を介して伝達歯車511Kに伝達される。一方、このカップリング部材516が軸方向後方に移動したときは、伝達歯車512の2つの凹部512a,512bから抜かれて、駆動歯車511Kの駆動力の、伝達歯車512への伝達が遮断される。このカップリング部材516が駆動歯車511K側に移動することによりそのカップリング部材516の2つの凸部516b,516cが伝達歯車512の2つの凹部512a,512bから一旦外れ、その後、カップリング部材516が伝達歯車512側に再度移動したときを考える。このとき、上述の通り、2つの凸部516b,516cと2つの凹部512a,512bとの嵌め合いの組合せが唯一に定まっていることから、駆動歯車511Kと伝達歯車512の位相(回転方向の互いの位置関係)は常に元の通りとなる。ここで、駆動歯車511Kは、4つの像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kのうちの1つである、像形成ユニット50Kの感光体51Kの駆動を担っている。また伝達歯車512は、駆動歯車511Kから駆動力を受け取ってその先の3つの像形成ユニット50Y,50M,50Cを構成する3つの感光体51Y,51M,51Cに駆動力を伝える役割を担っている。このため、駆動歯車511Kと伝達歯車512との間の位相が変化すると、伝達歯車512の製造誤差や取付け誤差などに起因して、駆動歯車511Kで直接駆動される感光体51Kと伝達歯車512を介して駆動される3つの感光体51Y,51M,51Cとの間で回転に微妙な変化が生じることになる。伝達歯車512を介しての駆動力の伝達に微妙なずれがあっても、そのずれが固定している場合は、画像信号上で補正してから静電潜像を形成することで、正しい画像を形成することができる。ただしこれは駆動力の伝達の歪みが固定されている場合に限られる。ここでは、カップリング部材516の2つの凸部516b,516cと伝達歯車512の2つの凹部512a,512bとの嵌め合いの組合せを唯一に定めていることで、その駆動力の伝達の歪みの固定化を保証している。
【0094】
また、
図9(a)に示すように、このカップリング部材516の外周には、その後方側に、一周に渡って太径に形成された鍔部516gが設けられている。これに対し、
図9(c)に示すリンク部材518には、中央の開口518bを形成している内周面の前方側に、一周に渡って細径に形成されて内向きに突出した鍔部518cが設けられている。このリンク部材518の中央の開口518bには、
図9(a)のカップリング部材516が入り込む。そしてそのカップリング部材516鍔部516gがリンク部材518の開口518bの鍔部518cよりも後方の、その鍔部518cよりも太径に形成された部分518dに入り込む。またこれと同時に、リンク部材518の鍔部518cが、カップリング部材516の外周の鍔部516gの前方の、その鍔部516gよりも細径に形成された部分516hに入り込む。
【0095】
このリンク部材518の外周面には、互いに180異なる位置に2つの凸部518eが形成されていて、それら2つの凸部518eを形成している立壁の一辺は、軸方向に対し斜めを向いた斜面518fに形成されている。このリンク部材518は、
図9(b)に示すカバー部材517の開口517a内に嵌り込む。そしてこのカバー部材517の開口517aを形成している内周面には、
図9(c)のリンク部材518の外周面の凸部518eの斜面518fと形が合った斜面517bが形成されている。この
図9(b)には斜面517bは1つしかあらわれていないが、その斜面517bはリンク部材518の2つの凸部518eの斜面518fのそれぞれに対応した位置に形成されている。また、このカバー部材517には、リンク部材518のレバー518aを突出させて、そのリンク部材518の、所要の回転範囲内での回転を許す開口517cが形成されている。このカバー部材517は、駆動ユニット3(
図4参照)の基体に固定されている。
【0096】
このリンク部材518のレバー518aは、
図6に示す駆動力切替部材610の、矢印U−D方向の移動によって押されて移動し、これにより、リンク部材518が回転する。すると、このリンク部材518の外周面の斜面518fとカバー部材517の内周面の斜面517bとが干渉して、リンク部材518の回転がそのリンク部材518の軸方向の動きに変換される。ここで、
図9(a)のカップリング部材516は、
図8(b),(c)に示すように、コイルバネ521で前方に押されている。したがって、リンク部材518の内周面の鍔部518cとカップリング部材516の外周面の鍔部516gとの干渉により、リンク部材518もカップリング部材516を介して軸方向前方に押されている。このようにして、カップリング部材516およびリンク部材517がコイルバネ521に押されて軸方向前方に移動している状態にあるときは、カップリング部材516の凸部516b,516cが伝達歯車512の凹部512a,512bに嵌り込んでいて、駆動歯車511Kから伝達歯車512に対し駆動力が伝達される。
【0097】
ここで、駆動力切替部材610の動きによりリンク部材518のレバー518aが操作されて、リンク部材518の斜面518fとカップリング部材517の斜面517bとの干渉によりリンク部材518が軸方向後方に移動すると、リンク部材518の鍔部518cがカップリング部材516の鍔部516gを後方に押し、カップリング部材516もコイルバネ521の力に抗して後方に移動する。このカップリング部材516の軸方向後方への移動により、カップリング部材516の凸部516b,516cが伝達歯車512の凹部512a,512bから外れて、駆動歯車511Kから伝達歯車512への駆動力の伝達が遮断される。
【0098】
以上で、感光体用の駆動力切替機構510の説明を終了し、次に現像器用の駆動力切替機構410(
図6,
図7参照)について説明する。
【0099】
ここでは先ず、この現像器用の駆動力切替機構410についてこれまでに説明したことを再度簡単に説明する。
【0100】
図6に示すように、この駆動力切替機構410を構成している駆動歯車411には、第1のモータ4(
図4参照)からの駆動力が、伝達歯車401および中間歯車403aを介して伝達される。また、
図7に示すように、この駆動力切替機構410には、その駆動歯車411と同軸に伝達歯車412が備えられていて、リンク部材414(
図10参照)のレバー414aの操作によって駆動歯車411から伝達歯車412への駆動力の伝達、遮断が切り替えられる。駆動歯車411から伝達歯車412に駆動力が伝えられると、その伝達歯車412は、
図6に示すように、像形成ユニット50Cの現像器51C(
図2参照)を駆動する駆動歯車402Cを駆動し、その駆動力がさらに中間歯車403bを介して現像器51M(
図2参照)を駆動する駆動歯車402Mに伝えられ、さらに中間歯車403cを介して現像器51Y(
図2参照)を駆動する駆動歯車402Yに伝えられる。
【0101】
また、
図7には、この駆動力伝達機構410の内部を覆っているカバー部材413が示されている。このカバー部材413は、駆動ユニット3の基体に固定されている。
【0102】
以下では、この現像器用の駆動力切替機構410について、上記の説明に続く説明を行なう。
【0103】
図10は、現像器用の駆動力切替機構について、そのカバー部材を取り外して内部の構造を示した斜視図である。
【0104】
また、
図11は、現像器用の駆動力切替機構を構成するリンク部材(a)と、駆動歯車と伝達歯車とに共通の部品(b)を示した斜視図である。
【0105】
ここに示す現像器用の駆動力切替機構410には、駆動歯車411および伝達歯車412のほか、
図7に示すカバー部材413、
図10に示すリンク部材414、
図10,
図11に示すカップリング部材415、および、
図10に示すコイルバネ416が備えられている。この現像器用の駆動力切替機構410における、駆動歯車411から伝達歯車412への駆動力の伝達、遮断の切替えの構造は、
図8,
図9を参照して説明した感光体用の駆動力切替機構510における切替えの構造とほほ同様であり、ここでは相違点を中心に説明する。
【0106】
駆動歯車411と伝達歯車412は図示しない回転軸に支持されていて、互いに回転自在となっている。これら駆動歯車411と伝達歯車412は、カップリング部材415から見て軸方向について同じ側に配置されている。リンク部材414には、その外周面に凸部414bが形成されていて、その凸部414bの壁面に斜面414cが形成されている。一方、
図7に示すカバー部材413の内周面にはこの斜面414cと干渉する斜面(不図示)が形成されている。リンク部材414の斜面414cはカバー部材413の内周面の斜面と干渉し、レバー414aの動きにより軸方向に移動する。このレバー414aは、駆動力切替部材610の開口619に入り込んでいて駆動力切替部材610の矢印U−D方向の動き(
図6を合わせて参照)によって操作される。また、カップリング部材415はほぼ円環状に形成された部材であって、
図11(a)に示すように、その中央に、駆動歯車411および伝達歯車412を回転自在に支持している回転軸が挿通される開口415aが形成されている。この開口415aの上部は、
図10に示されているように、コイルバネ416を受け入れる径を有しているが、この開口415aの下部には回転軸のみ通過させる小径の穴が開き、コイルバネ416に突き当たる壁が形成されている。このため、このコイルバネ416は、カバー部材413(
図7参照)とカップリング部材415とに挟まれて、カップリング部材415を駆動歯車412側に押している。リンク部材414は、カップリング部材415と駆動歯車412とに挟まれた位置にあり、リンク部材414も駆動歯車412側に押されている。
【0107】
カップリング部材415には、
図11(a)に示すように、駆動歯車412側に突き出た2本の連結突起415bが設けられている。一方、駆動歯車411および伝達歯車412には、
図11(b)に示すように、それぞれ、カップリング部材415の2本の連結突起413bの断面形状に合致した形状の2つずつの連結穴411a,412aが形成されている。カップリング部材415の連結突起415bは、駆動歯車411との中間にあるリンク部材414を貫き、さらに駆動歯車411の連結穴411aと伝達歯車412の結穴412aの双方に入り込む長さを有する。したがって、カップリング部材415がコイルバネ416に押されて駆動歯車411側に移動した状態にあるときは、カップリング部材415の連結突起415bが駆動歯車411の連結穴411aと伝達歯車412の結穴412aの双方に入り込み、これにより駆動歯車411の駆動力が伝達歯車412に伝えられる。
【0108】
リンク部材414のレバー414aが操作されてリンク部材414が回転すると、そのリンク部材414の外周面の斜面414cとカバー部材413(
図7参照)の内周面の斜面(不図示)とが干渉して、リンク部材414が駆動歯車411から離れる向きに移動する。カップリング部材415もリンク部材414に押されて、コイルバネ416の力に抗して駆動歯車411から離れる向きに移動する。すると、カップリング部材415の連結突起415bが伝達歯車412の連結穴412aから抜け、駆動歯車411の駆動力の、伝達歯車412への伝達が遮断される。リンク部材414のレバー414aが逆向きに操作されると、リンク部材414およびカップリング部材415がコイルバネ416に押されて駆動歯車411に近づく向きに移動し、カップリング部材415の連結突起413bが駆動歯車411の連結穴411aだけでなく伝達歯車412の連結穴412aにも嵌り込んで、駆動歯車411の駆動力が伝達歯車412に伝達される。
【0109】
なお、この現像器用の駆動力切替機構410では、前述の感光体用の駆動力切替機構510とは異なり、カップリング部材415の2本の連結突起413bは、駆動歯車411および伝達歯車412それぞれの2つの連結穴411a,412aのいずれにも嵌り込むことができる。これは、現像器54の駆動は感光体51の駆動ほどは繊細ではなく、カップリング部材415の連結突起413bが伝達歯車412の連結穴412aから一旦外れてその後再び嵌り込んだとき、一旦外れる前と再び嵌り込んだときとで2本の連結突起413bと2つの連結穴412aとの嵌め合いの関係が逆になっても、さほど問題にはならないからである。
【0110】
次に、
図6に示す、駆動力切替部材610を矢印U−D方向に移動させる駆動力切替機構690について説明する。この駆動力切替機構690は、第3のモータ6(
図4参照)からの駆動力を受けて駆動される駆動歯車601を備えている。ここで、第3のモータ6は、一方向にのみ回転するモータであり、したがってこの駆動力切替機構690は、その一方向のみの回転で駆動力切替部材610を矢印U−Dの両方向に移動させる機構を備えている。
【0111】
図12は、駆動力切替部材を矢印U−D方向に移動させる駆動力切替機構の斜視図である。この
図12には、駆動力切替機構690が、
図6に示す向きとはほぼ逆向きに示されている。
【0112】
図12に示す駆動力切替機構690は、前述した、駆動歯車601、駆動力切替部材610、および歯欠け歯車620のほか、ソレノイド630、捩りバネ640、および駆動力伝達部650を備えている。この駆動力伝達部650は、歯欠け歯車620の駆動力を駆動力切替部材610に伝達する役割を担っている。
【0113】
ソレノイド630は、捩りバネ640とともに、歯欠け歯車620を間欠的に駆動させるための要素である。このソレノイド630は、フック631を備えていて、そのフック631は、歯欠け歯車620の係止爪629に引っ掛かっている。このソレノイド630を作動させると、フック631は、その係止爪629から外れる向き(矢印K方向)に移動して、その係止爪629から外れる。
【0114】
また、捩りバネ640は、円形に巻かれた基部641から2本の腕642,643が延びた形状を有する。この円形の基部641は駆動ユニット3(
図4参照)の基体に移動不能に支持されている。また2本の腕642,643のうちの一方の腕642もその基体によって位置規制されている。その2本の腕642,643のうちのもう一方の腕643は、歯欠け歯車620の、軸方向に平板状に突出した起動部628を、歯欠け歯車620を反時計回り(矢印L1で示す向き)に押している。これにより、ソレノイド630のフック631の、係止爪629への引っ掛かりを確実にしている。
【0115】
歯欠け歯車620は、詳細は後述するが、いずれもが半周に満たない長さの第1の歯列621と第2の歯列622を有する。これら第1の歯列621と第2の歯列622はこの歯欠け歯車620の軸方向について互いにずれた位置に設けられている。
【0116】
また、駆動力伝達部650には、互いに同軸であって軸方向に重なった第1の歯車651と第2の歯車652、および、それら第1の歯車651と第2の歯車652とのうちの一方である第2の歯車652と噛み合った第3の歯車653とで構成されている。ここで、第1の歯車651と第2の歯車652は同軸に配置されているものの、その軸の周りに互いに独立に回転自在である。
【0117】
また、駆動力切替部材610には、第1の歯車651と噛み合う第1のラック歯列611と、第3の歯車653と噛み合う第2のラック歯列612が設けられている。
【0118】
ソレノイド630が作動すると、ソレノイド630のフック631が歯欠け歯車620の係止爪629から外れる。すると、この歯欠け歯車620は、その起動部628が捩りバネ640で押されているため、歯欠け歯車620が矢印L1方向に回転を始める。この初期の回転により、歯欠け歯車620の第1の歯列621と第2の歯列622とのうちの一方の歯列(
図12に示す状態のときは第1の歯列621)が、矢印R1の向きに回転している駆動歯車601に噛み合う。すると、この歯欠け歯車620は、今度は駆動歯車601から駆動力を受けて、矢印L1方向に回転を続ける。すると、第1の歯列621と第2の歯列622とのうちのもう一方の歯列(
図12に示す状態のときは第2の歯列622)が、第1の歯車651と第2の歯車652とのうちの一方の歯車(
図12に示す状態のときは第2の歯車652)に噛み合う。この噛み合いにより、この
図12に示す状態のときは、第2の歯車652が矢印R2の向きに回転し、この第2の歯車652と噛み合っている第3の歯車653が矢印L2の向きに回転する。そして、この第3の歯車653の回転が第2のラック歯列612に伝達されて、駆動力切替部材610を矢印Uの向きに移動させる。このとき、第1の歯車651が第1のラック歯列611と噛み合っていても、第1の歯車651は第2の歯車652とは独立に自由回転するため、第1の歯車651と第1のラック歯列611との噛合いは駆動力切替部材610の矢印Uの向きへの移動の妨げとはならない。
【0119】
ここで、ソレノイド630は、一旦作動した後、歯欠け歯車620が180度回転するよりも前に作動が停止する。この停止により、フック631は、歯欠け歯車620の周面に押し当てられる。
【0120】
歯欠け歯車620の係止爪629は、互いに180度異なる位置に設けられた、第1の係止爪629aと第2の係止爪629bとを有する。
図12には、フック631が第1の係止爪629aに引っ掛かった、第1の初期状態が示されている。この
図12に示す第1の初期状態から上記の動作により歯欠け歯車620が180度回転すると、今度は、フック631が第2の係止爪629bに引っ掛かる。これにより、歯欠け歯車620の第1の歯列621と第2の歯列622の位置が
図12に示す位置から互いに入れ替わった第2の初期状態となる。ここで、上述の通り、第1の歯列621と第2の歯列622は軸方向について互いにずれた位置にある。このため、この第2の初期状態から上記と同様の動作が開始されると、歯欠け歯車620の第2の歯列622が駆動歯車601と噛み合い、第1の歯列621が、今度は第1の歯車651と噛み合う。このとき、駆動力切替部材610は矢印U方向に移動した状態にある。この駆動力切替部材610は、第1の歯列621の、矢印R2の向きの回転が第1のラック歯列611に伝えられることにより、今度は矢印D方向に移動する。このとき、第2の歯車652は、第1の歯車651とは独立に自由回転可能であるため、その第2の歯車652と噛み合っている第3の歯車653が第2のラック歯列612と噛み合っていても、駆動力切替部材610の矢印D方向への移動の妨げとはならない。
【0121】
この駆動力切替機構690では、上記の第1の初期状態と第2の初期状態を交互に繰り返すことにより、R1方向にのみ回転する駆動歯車601を駆動源として駆動力切替部材610の上下動が交互に繰り返される。この駆動力切替部材610の上下動により、前述したモノクロモードとカラーモードとの間での駆動の切替えが行われる。
【0122】
図13は、
図12に示す駆動力切替機構を構成する歯欠け歯車を様々な角度から見たときの形状を示した図である。
【0123】
この歯欠け歯車620は、駆動歯車601から駆動力を受けて、
図13(a)〜(d)のそれぞれに記載されている矢印L1方向に回転する。
【0124】
ここで、
図13(b)に第2の歯列622の形状がよくあらわれているので、ここでは、この第2の歯列622について先に説明する。この第2の歯列622は、回転方向(矢印L1方向)前端側から順に、前端部622aと、中間部622bと、後端部622cとを有する。前端部622aと後端部622cは、回転軸方向に互いにずれた位置に設けられている。そして中間部622bは、前端部622a延長と後端部622cの延長とが合体した、回転軸方向に幅広な歯列となっている。また、前端部622aのうちの最前端部分には、切欠き622d(
図13(a),(c)参照)が形成されている。この第2の歯列622は、回転方向(矢印L1方向)前端側から駆動歯車601や第2の歯車652と噛み合っていく。このため、噛み合いの初期においては、互いの歯の山と山とが接触するなど、円滑な噛み合いがなされない場合がある。切欠き622dは噛み合いが円滑になされない場合に前端部622aの最前端部分を撓ませて、その噛み合い初期の衝撃を吸収する役割を担っている。また、この第2の歯列622は、第2の歯車652との噛み合いにあたり、前端部622aと中間部622bがその第2の歯車652との噛み合いを担当している。後端部622cは、回転軸方向にずれた、第2の歯車652とは噛み合わない位置に設けられている。一方、この第2の歯列622は、駆動歯車601との噛み合いにあたっては、前端部622a、中間部622b、および後端部622cからなる全長が駆動歯車601との噛み合いを担当している。この理由については、第1の歯列621の説明の後に説明する。
【0125】
第1の歯列621は、第2の歯列622と比べ、その全体が回転軸方向に異なる位置に設けられている。この第1の歯列621は、第2の歯列622と同様に、回転方向(矢印L1方向)前端側から順に、前端部621aと、中間部621bと、後端部621cとを有する。前端部621aと後端部621cは、回転軸方向に互いにずれた位置に設けられている。ただし、回転軸方向に関し、前端部621aを基準としたときの後端部621cのずれの方向は、第2の歯列622に関する、前端部622aを基準としたときの後端部622cのずれの方向とは逆方向である。これは、第1の歯列621と第2の歯列622が第1の歯車651と第2の歯車652への噛み合いを分担していることから、第1の歯列621の後端部621cが第2の歯車652に干渉したり、第2の歯列622の後端部622cが第1の歯車651に干渉するのを避けるためである。第1の歯列621の前端部621aの最前端部分には、第2の歯列622の最前端部分と同様、切欠き621dが形成されている。第1の歯列621の中間部621bは、第2の歯列622の中間部622bと同様、前端部621aの延長と後端部621cの延長とが合体した、回転軸方向に幅広の形状を有する。この第1の歯列621は、第2の歯列622と同様に、前端部621aと中間部621bが第1の歯車651との噛み合いを担当していて、後端部621cは、第1の歯車651とは噛み合わない位置に設けられている。この第1の歯列621においても、駆動歯車601との噛み合いにあたっては、前端部621a、中間部621b、および後端部621cからなる全長が駆動歯車601との噛み合いを担当している。
【0126】
ここで、歯欠け歯車620の第1の歯列621が駆動歯車601に噛み合い、第2の歯列622が第2の歯車652に噛み合う場面を考える。第2の歯列622と第2の歯車652との噛み合いは、第2の歯列622の前端部622aから始まり、その噛み合いが中間部621bに移り、中間部621bの後端で第2の歯列622と第2の歯車652との噛み合いが終了して、第2の歯車652はその時点で回転を停止する。ただしその後も、第1の歯列621の後端部621cは駆動歯車601との噛み合いを続け、歯欠け歯車620を回転させ続けて、その歯欠け歯車620を180度回転した後の初期状態に移行させる。第1の歯列621と第2の歯列622が噛み合いの役割を交代させて、第2の歯列622が駆動歯車601に噛み合い、第1の歯列621が第1の歯車651に噛み合う場面についても同様である、歯欠け歯車620に、
図13に示した複雑な形状の第1の歯列621およびは第2の歯列622が設けられているのは、第1の歯車651、あるいは第2の歯車652および第3の歯車653を必要な回転量だけ回転させて停止させた後、その歯欠け歯車620自らが初期状態に戻るためにさらに回転する必要があるからである。
【0127】
以下、この駆動力切替機構690について、
図12に示す初期状態からの動作を、図面を参照しながら再度説明する。
【0128】
図14は、
図12に示す第1の初期状態から作動を開始した直後の状態の駆動力伝達機構を示した斜視図である。
【0129】
ここには、ソレノイド630のフック631が歯欠け歯車620の係止爪629aから外れ、歯欠け歯車620が捩りバネ640に押されて矢印L1の向きに回転を始め、第1の歯列621が駆動歯車601に噛み合い始めた状態が示されている。駆動歯車601に第1の歯列621の先端の数歯が噛み合うことによってその噛み合いが安定したタイミングで、第2の歯列622の、第2の歯車652への噛み合いが開始されて第2の歯車652が回転を始める。第2の歯車652の回転は第3の歯車653に伝えられ、その第3の歯車653の回転によって駆動力切替部材610の、矢印U方向への移動が開始される。
【0130】
図15は、
図14に示す状態よりも歯欠け歯車の回転が進んだ状態の駆動力伝達機構
を示した斜視図である。
【0131】
図14と比べると、歯欠け歯車620の回転が進んだ分、駆動力切替部材610が矢印U方向にさらに移動している。ここでは、第2の歯車652は第2の歯列622の中間部622b(
図13参照)の後端に噛み合っていて第2の歯列622との噛み合いが外れる直前にある。したがって、駆動力切替部材610は、この時点で矢印U方向への移動を停止する。ただし、第1の歯列621はまだその後端部621cと駆動歯車601との噛み合いが残っており、その噛み合いにより、歯欠け歯車620は駆動歯車601に駆動されてさらに回転を続ける。
【0132】
図16は、歯欠け歯車が180度回転して第2の初期状態に移った状態の駆動力伝達機構を示した斜視図である。
【0133】
歯欠け歯車620がこの
図16に示す第2の初期状態に移る直前に第1の歯列621の後端部621cと駆動歯車601との噛み合いが外れ、歯欠け歯車620は、その後、捩りバネ640に押されてこの
図16に示す第2の初期状態にまで回転する。この
図16に示す第2の初期状態では、
図12に示す第1の初期状態と比べ、歯欠け歯車620の第1の歯列621と第2の歯列622の位置が入れ替わっている。また、駆動力切替部材610が矢印U方向に移動した状態にある。今度は、この第2の初期状態から動作を開始すると、上記と同様な動作により、ただし今度は、歯欠け歯車620の第2の歯列622が駆動歯車601に噛み合い、第1の歯列621が第1の歯車651に噛み合って、駆動力切替部材61が今度は矢印D方向に移動する。そして歯欠け歯車620の180度の回転により、
図12に示す第1の初期状態となる。
【0134】
ここで、
図6に戻って、説明を追加する。
【0135】
この駆動力切替機構690を構成する駆動力切替部材610には、上述の第1のラック歯列611と第2のラック歯列612のほかに、第3のラック歯列613が設けられている。またこの駆動力切替機構690には、その第3のラック歯列613に噛み合う第4の歯車654が備えられている。この第4の歯車654は第3のラック歯列613に噛み合って回転することで図示しないカム機構を作動させて、
図2を参照して説明した、中間転写ベルト61の移動経路の切替えを行なう歯車である。すなわち、この第4の歯車654の回転により、カラーモードにおける、4つの感光体51Y,51M,51C,51Kの全てに接しながら循環移動する経路と、モノクロモードにおける、1つの感光体51Kのみに接して循環移動する経路との切替えが行なわれる。
【0136】
このようにして、この駆動力切替機構690による駆動力切替部材610の移動により、カラーモードとモノクロモードとで切り替える必要のある部材全ての切り替えが行なわれる。
【0137】
なお、ここでは、
図6以降の各図に基づいて、駆動力の伝達と切替えの構造の一例を説明したが、本発明は、
図3,
図4に示したような、モータと回路基板との配置の住み分けが達成できればよく、駆動力の具体的な伝達機構や切替機構はここでの例示に限られるものではない。