【実施例】
【0025】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0026】
組成物を調製するために下記成分を準備した。
(A)成分:(メタ)アクリル基を有するイソプレン重合体
・イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物(UC−203 株式会社クラレ製)
(B)成分:水酸基を有するイソプレン重合体
・分子末端に水酸基を有するポリイソプレン(Poly ip 出光興産株式会社製)
(B’)成分):(B)成分以外の重合体
・イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物(LIR−403 株式会社クラレ製)
・分子末端に水酸基を有するポリブタジエン(Poly BD 出光興産株式会社製)
・分子量が28000のポリイソプレン(LIR−30 株式会社クラレ製)
・分子量が54000のポリイソプレン(LIR−50 株式会社クラレ製)
・分子量が1100のポリブタジエン(B−1000 日本曹達株式会社製)
・分子量が3200のポリブタジエン(B−3000 日本曹達株式会社製)
(C)成分:芳香族基を有する(メタ)アクリレートモノマーとアルキル(メタ)アクリレートモノマーから選択される少なくとも1種類の(メタ)アクリレートモノマー
・ベンジルアクリレート(FA−BZA 日立化成工業株式会社製)
・ラウリルアクリレート(ライトアクリレートL−A 共栄社化学株式会社製)
(C’)成分:(C)成分以外の(メタ)アクリレートモノマー
・イソボルニルアクリレート(ライトアクリレートIB−XA 共栄社化学株式会社製)・イソボルニルメタクリレート(ライトエステルIB−X 共栄社化学株式会社製)
・ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(FA−512M 日立化成工業株式会社製)
・2−ヒドロキシプロピルアクリレート(ライトエステルHOP−A 共栄社化学株式会社製)
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA 株式会社日本触媒製)
・4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA 日本化成株式会社製)
・アクリロイルモルホリン(ACMO 興人フィルム&ケミカルズ株式会社製)
・ジメチルアクリルアミド(DMAA 興人フィルム&ケミカルズ株式会社製)
(D)成分:水素添加されたテルペン樹脂
・融点が85℃のテルペン系水素化物(クリアロンP85 ヤスハラケミカル株式会社製)
・融点が105℃のテルペン系水素化物(クリアロンP105 ヤスハラケミカル株式会
社製)
光開始剤
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184 BASF製)。
【0027】
[参考例1〜10]
(A)成分および(C)成分(または(C’)成分)を秤量して30分撹拌した。詳細な調製量は表1に従い、数値は全て質量部で表記する。また、相溶性確認と粘度測定を行い、その結果も表1にまとめた。
【0028】
[相溶性確認]
JIS R 3503に対応する直径15φの試験管(化学分析用ガラス器具)または同等の形状のものに深さ50mm以上を注ぎ、試料を目の高さに持ち上げる。入光方向及び暗方向について目視にて確認する。透明または白濁かの確認を行い「相溶性」とする。透明であれば相溶性が良好であることを意味し、白濁であれば相溶性が悪いことを意味する。
【0029】
[粘度測定]
上記参考例1〜10で調製した組成物1ccを採取して、測定用カップに吐出する。以下の条件で、EHD型粘度計(東機産業株式会社製)にて粘度測定を行った。その結果を「初期の粘度(Pa・s)」とする。作業性の観点から、組成物としては1000〜3000mPa・sの粘度が好ましく、最も好ましくは1500〜2500mPa・sである。当該粘度範囲であれば塗布後の組成物の広がりが良く、被着体に対して塗膜厚が均等になりやすい。参考例1〜10の場合、粘度が10000mPa・s未満であれば、組成物として粘度が3000mPa・s以下になる可能性が高い。
測定条件
コーンローター:1°×R24
回転速度:10rpm
測定時間:1分
測定温度:25℃(恒温槽により温度制御する)。
【0030】
【表1】
【0031】
(C)成分または(C’)成分である(メタ)アクリルモノマーの構造により、(A)成分との相溶性に違いが発生する。さらには、相溶性が良好であると粘度が低くなることも確認された。両者を考慮すると、参考例1と2で用いた(C)成分が最も好ましい。
【0032】
[実施例1〜3、比較例1〜8]
(A)成分〜(C)成分(比較例では(B)成分に代えて(B’)成分を使用)を秤量して30分撹拌した。その後、(D)成分と光開始剤を秤量して、さらに30分撹拌した。詳細な調製量は表2に従い、数値は全て質量部で表記する。
【0033】
【表2】
【0034】
実施例1〜3および比較例1〜8に対して、下記に記載の方法に従い、外観(硬化前)確認、外観(硬化後)確認、厚膜硬化性測定、硬度測定、伸び率測定、硬化収縮率測定、耐湿性試験後の外観確認を行い、その結果を表3にまとめた。
【0035】
[外観(硬化前)確認]
JIS R 3503に対応する直径15mmの試験管(化学分析用ガラス器具)または同等の形状のものに深さ50mm以上を注ぎ、試料を目の高さに持ち上げる。入光方向及び暗方向について目視にて確認する。無色透明、有色透明または白濁かの確認を行い「外観(硬化前)」とする。本願発明においては、無色透明であることが好ましい。
【0036】
[外観(硬化後)確認]
一方の2.0mm×50mm×100mmの寸法の無色透明ソーダガラス上に、50mgの組成物を滴下し、もう一方のソーダガラスと貼り合わせて、積算光量3000mJ/cm
2で光硬化させて肉眼にて外観を確認する。無色透明、有色透明または白濁かの確認を行い「外観(硬化後)」とする。本願発明においては、無色透明であることが好ましい。
【0037】
[厚膜硬化性測定]
内径34mm×高さ40mmの穴を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の円柱形状の容器の底部に蓋をして、前記容器に組成物を充填する。前記容器の真上から積算光量3000mJ/cm
2の照射を行い組成物を光硬化させた。その後、硬化物を容器から取り出して、未硬化部分をガーゼで拭き取る。硬化物は、中央部付近5ヶ所をダイヤルゲージにて測定し平均値を「厚膜硬化性(mm)」とする。厚膜硬化性は2mm以上
であることが好ましく、さらに好ましくは3mm以上である。なお、下記表3における数値の単位は全てmmである。
【0038】
[硬度測定]
容器に均一に厚さ6mmになる様に組成物を滴下し、真上から積算光量3000mJ/cm
2の照射を行い組成物を光硬化させる。A型デュロメータの加圧基準面を硬化物表面に平行に保ちながら試料表面に5Nの力で押しつけ、加圧基準面と試料とを密着させた時のデュロメータの最大値を読み取る。当該最大値を「硬度」とする。硬度は10以下が好ましい。
【0039】
[伸び率測定]
積算光量3000mJ/cm
2により組成物を光硬化して、厚さ0.5mm×幅20mm×長さ150mmの矩形の試験片を作成する。引張り試験器(テンシロン、オリエンテック社)により、環境温度25℃、引張速度50mm/minで測定を行い、破断するまでの最大の長さを測定する。(最大の長さ)/(初期の長さ)×100により算出された数値を「伸び率(%)」とする。伸び率は200%以上が好ましく、さらに好ましくは250%以上である。なお、下記表3における数値の単位は全て%である。
【0040】
[硬化収縮率測定]
積算光量3000mJ/cm
2で光硬化した硬化物の「空気中での質量」を測定した後に、「水中(蒸留水)での質量」を測定して、数式1より「硬化物の比重」を求める。比重カップ法にて「組成物の比重」を測定して、「組成物の比重」と「硬化物の比重」から数式2より「硬化収縮率(%)」を算出する。本願発明においては、硬化収縮率が2.0%以下であることが好ましい。なお、下記表3における数値の単位は全て%である。
【0041】
【数1】
【0042】
[耐湿性試験後の外観確認]
外観(硬化後)確認と同様のテストピースを作成し、60℃、95%RH(相対湿度)の雰囲気下に1200時間静置後の外観を肉眼にて確認する。無色透明、有色透明または白濁かの確認を行い「耐湿性試験後の外観」とする。本願発明においては、耐湿性試験後に無色透明であることが好ましい。
【0043】
【表3】
【0044】
(B)成分を用いた実施例1〜3は、(B’)成分用いた比較例と比較して、硬度および伸び率の点で良好な結果が得られた。比較例4は実施例1〜3と比較して、硬度および伸び率の点で近い値を示したが、厚膜硬化性が低く、被着体の形状によっては硬化状態が不安定になるおそれがある。はっきりした理由は分からないが、比較例4の(B’)成分は、末端に水酸基を有していても主骨格がポリブタジエンであることで厚膜硬化性が低下したものと考えらえる。また無変性のポリブタジエンやポリイソプレンを用いた比較例5〜8では、組成物の白濁や耐湿性試験後の外観で変色が発生している。
【0045】
[実施例4〜9]
(A)成分〜(C)成分を秤量して30分撹拌した。その後、(D)成分と光開始剤を秤量して、さらに30分撹拌した。詳細な調製量は表4に従い、数値は全て質量部で表記する。さらに、(C)成分中における芳香族基を有する(メタ)アクリレートモノマーの割合(%)も合わせて記載した。
【0046】
上記の実施例1および実施例4〜9について、下記に記載の方法に従い、屈折率測定を行った。また、外観(硬化前)確認、外観(硬化後)確認、厚膜硬化性測定、硬度測定、伸び率測定を行い、その結果を表5にまとめた。屈折率測定以外は上記測定と同じ方法により行われた。
【0047】
[屈折率測定]
組成物をアッベ屈折率計を用いて、20℃雰囲気下でD線(589.6nm)により屈折率を測定する。特に、被着体の材質が液晶パネルに用いられる無アルカリガラスである場合は、無アルカリガラスの屈折率が1.51〜1.52なので、組成物の屈折率は1.510〜1.525であることが好ましい。
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
実施例1および実施例4〜9は、被着体であるガラスの屈折率に近く、当該材質には光学的に適した組成物である。特に、表示パネルに使用される無アルカリガラスに対しては、屈折率が1.510〜1.525であることが好ましく、実施例1及び実施例4〜7が好適であると考えられる。その他、厚膜硬化性、硬度、伸び率についても、所望の特性を有することが確認された。