(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の面とは反対の面に、その一辺が、前記第2パターンの一辺と同一直線状に来る様に形成された第3パターンを更に有することを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示する光モジュールの実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する光モジュールが限定されるものではない。
【0013】
まず、本願の開示する一実施例に係る光モジュールの構成を説明する。
図1Aは、本実施例に係る光モジュール10の構成を示す上面図である。
図1Aに示す様に、光モジュール10は、パッケージ11とPBC(Polarization Beam Coupler)12とを有する。パッケージ11内では、結晶基板13上に形成された光導波路14近傍に、電極15、16が設けられている。結晶基板13は、LiNbO
3(LN)、LiTaO
2等の電気光学結晶により形成される。また、光導波路14は、Ti等の金属膜を形成して熱拡散させる、あるいは、パターニング後に安息香酸中でプロトン交換する、ことにより形成される。光導波路14は、マッハツェンダ干渉系を成し、電極15、16は、マッハツェンダの平行導波路上に設けられている。結晶基板13は、InP、GaAs等のIII〜V族半導体でもよい。
【0014】
また、電極15、16は、z軸方向の電界による屈折率変化を利用するため、光導波路14の真上に配置される。電極15、16は、光導波路14上に、信号電極と接地電極とがパターニングされることにより形成されるコプレーナ電極である。光モジュール10は、光導波路14中を伝搬する光が上記信号電極と接地電極とにより吸収されるのを防ぐため、結晶基板13と電極15、16との間にバッファ層を有する。バッファ層は、厚さ0.2〜2μm程度のSiO
2等により形成される。
【0015】
光モジュール10は、高速で駆動する場合、上記信号電極と接地電極の終端を抵抗により接続して進行波電極とし、入力側からマイクロ波信号を印加する。このとき、電界によって、マッハツェンダを構成する2本の光導波路14(例えば、光導波路14a、14b)の屈折率が、それぞれ+Δna、−Δnbの様に変化し、これに伴い、光導波路14間の位相差が変化する。その結果、マッハツェンダ干渉によって、位相変調された信号光が、光導波路14から出力される。光モジュール10は、電極15、16の断面形状を変化させることでマイクロ波の実効屈折率を制御して、光とマイクロ波との速度を整合させることにより、高速の光応答特性を得ることができる。
【0016】
TEC(Thermo Electric Cooler)17は、ペルチェ接合による小型冷却用のデバイスであり、結晶基板13と光導波路14と電極15、16とを収容するパッケージ11内の温度を調整する。パッケージ11には、中継基板18を介して、FPC19が設けられている。FPC19上の電極における高周波の伝播損失が大きいと、変調帯域が狭くなり、駆動電圧が上がってしまう。このため、高周波信号を扱う光モジュール10においては、高周波の損失を減らすために、FPC19を極力短くすることが望ましい。
【0017】
図1Aに示す様に、中継基板18は、パッケージ11の入力側側面後部に、電極15に接続された4本のRFピン18a〜18dを有する。また、FPC19は、パッケージ11の入力側側面前部に、電極16に接続された12本のDCピン19a〜19lを有する。
【0018】
図1Bは、本実施例に係る光モジュール10の構成を示す側面図である。
図1Bにおいて、FPC19内の破線は、パターンが裏面(パッケージ11側の面)にあることを示す。
図1Bに示す様に、FPC19には、12本のDCピン19a〜19lが2列に配設されている。すなわち、上の列には、DCピン19a、19c、19e、19g、19i、19kが配設され、下の列には、DCピン19b、19d、19f、19h、19j、19lが配設されている。また、下の列のDCピン19b、19d、19f、19h、19j、19lからDC電極19b−1、19d−1、19f−1、19h−1、19j−1、19l−1に延びる配線は、上の列のDCピン19a、19c、19e、19g、19i、19kの両側を迂回する様に形成されている。
【0019】
DCピン19a〜19lでは、FPC19の表面と裏面とにそれぞれ形成されたパターンが、スルーホールを介して、接続される。FPC19の表面側の配線パターンの内、上の列のDCピン19a、19c、19e、19g、19i、19kからの配線パターンである表面配線パターン20a、20c、20e、20g、20i、20kは、
図1Bに示す様に、ティアドロップ状に形成される。これにより、FPC19の表面において、折り曲げによる断線が抑制される。一方、FPC19の裏面側のパターンの内、上の列のDCピン19a、19c、19e、19g、19i、19kからのパターンである裏面補強パターン21a、21c、21e、21g、21i、21kは、
図1Bの破線に示す様に、略半円形状に形成される。これにより、FPC19の裏面においても、折り曲げによる断線が抑制される。
【0020】
なお、表面配線パターン20a、20c、20e、20g、20i、20kは、例えば、銅箔により形成されるが、裏面補強パターン21a、21c、21e、21g、21i、21kは、DC電極に直接接続されないことから、必ずしも同一の材料によって形成されなくてもよい。また、パターン形状についても、例えば、表面配線パターン20a、20c、20e、20g、20i、20kを略半円形状に形成してもよい。
【0021】
また、FPC19の表面には、DC電極19a−1〜19l−1や配線パターンが剥離することを防ぐため、カバー材191が形成される。但し、カバー材191には、DCピン19a〜19lと上記配線パターンとの半田付けを可能とするため、DCピン19a〜19l周辺部に、カバー材開口部A1、A2が形成される。一方、FPC19の裏面にも、補強パターンが剥離することを防ぐため、カバー材が形成される。
【0022】
FPC19は、
図1Bの一点鎖線に示す曲げ開始線L1により折り曲げられる。
図1Bに示す様に、曲げ開始線L1は、FPC19の裏面に形成された各裏面補強パターン21a、21c、21e、21g、21i、21kの上辺と一致する位置に、カバー材191上に形成される。これにより、FPC19は、カバー材191により覆われた部分で折り返されることとなる。このため、例えば、カバー材開口部A1において折り返される場合と比較して、折り曲げ部分の配線の強度が増大し、折り曲げによる断線が更に抑制される。
【0023】
図2は、
図1BのA−A’断面図である。
図2に示す様に、DCピン19aの両側では、FPC19の表面に表面配線パターン20aが、裏面に裏面補強パターン21aが、それぞれ形成されている。更に、表面配線パターン20aの一部は、カバー材191により保護されている。裏面補強パターン21aの一部(例えば、先端部分)は、カバー材192により保護されている。なお、DCピン19aの周辺には、半田S1が充填され、両側の表面配線パターン20aを電気的に接続している。
【0024】
光モジュール10の製造に際し、FPC19は、
図2の矢印Y1の方向に折り曲げられるが、折り曲げの際、FPC19は、カバー材191、192及び裏面補強パターン21aにより補強された部分(曲げ開始線L1に示す箇所)で折り曲げられる。従って、破線L11や破線L12に示す部分で折り曲げる場合と比較して、折り曲げ時の応力等により表面配線パターン20aが断線する可能性は低減される。
【0025】
以上説明した様に、光モジュール10は、FPC19とDCピン19aとを有する。FPC19は、表面配線パターン20aと裏面補強パターン21aと表面カバー材191と裏面カバー材192とを有する。表面配線パターン20aは、DCピン19aと電気的に接続され、FPC19の第1の面(例えば、表面)に所定形状(例えば、ティアドロップ状)に形成される。裏面補強パターン21aは、上記第1の面とは反対の面(例えば、裏面)において表面配線パターン20aと対向する位置に所定形状(例えば、半円形状に矩形を追加した形状)に形成される。表面カバー材191は、表面配線パターン20aの内、FPC19の屈曲に伴って屈曲する部分を少なくとも被覆する。裏面カバー材192は、裏面補強パターン21aの端部を少なくとも被覆する。光モジュール10において、FPC19は、例えば、裏面補強パターン21aの端部と、該端部に対向する位置の表面配線パターン20aとで、上記第1の面側に屈曲するものとしてもよい。
【0026】
これにより、FPC19への曲げ応力が、カバー材開口部A1(例えば、DCピン19a)に加わる前に、表面配線パターン20aのカバー材191により覆われた部分に加わる。このため、上記応力が、カバー材開口部A1に直接伝わることが無い。従って、上記応力によって、カバー材開口部A1の配線(例えば、DCピン19a周辺の表面配線パターン20a)が断線することが回避される。その結果、光モジュール10の信頼性(耐疲労性や接続強度)や電気特性が向上する。
【0027】
(変形例1)
次に、変形例1について説明する。変形例1に係る光モジュールは、裏面補強パターンをFPC19に有する点を除き、上記実施例に係る光モジュール10と同様の構成を有する。従って、変形例1では、上記実施例と共通する構成要素には、同一の参照符号を用いると共に、その詳細な説明は省略する。
【0028】
図3は、変形例1に係る光モジュール10の構成を示す側面図である。
図3において、FPC19内の破線は、パターンが裏面(パッケージ11側の面)にあることを示す。
図3に示す様に、FPC19の裏面には、裏面補強パターン21a、21c、21e、21g、21i、21kの両側2箇所に、矩形状の裏面補強パターン22a、22bが更に設けられている。各裏面補強パターン22a、22bは、上辺(DC電極19a−1〜19l−1側の辺)が曲げ開始線L2と一致する様に形成される。換言すれば、変形例1に係る光モジュール10は、上記第1の面とは反対の面に、その一辺が、裏面補強パターン21aの一辺と同一直線状に来る様に形成された裏面補強パターン22aを更に有するものとしてもよい。これにより、FPC19は、より確実に、曲げ開始線L2に沿って折り曲げられることとなり、FPC19への曲げ応力が、カバー材開口部A1の配線(例えば、DCピン19a周辺の表面配線パターン20a)を断線させることが、より回避され易くなる。
【0029】
なお、裏面補強パターン22a、22bは、必ずしも、DCピン19a、19c、19e、19g、19i、19kから延びる他の裏面補強パターン21a、21c、21e、21g、21i、21kに追加的に設けられる必要はない。すなわち、FPC19の裏面補強パターンは、裏面補強パターン22a、22bのみであってもよい。また、裏面補強パターン22a、22bの形状に関しても、矩形に限らず、半円形、半楕円形、台形、ひし形、三角形、多角形、及びこれらの組合せ等、配線を補強可能な範囲内で任意である。また、2つの裏面補強パターン22a、22bは、必ずしも同一形状でなくてもよい。更に、裏面補強パターン22a、22bは、必ずしも曲げ開始線L2よりも下側に設けられなくてもよく、上側に設けられるものとしてもよい。
【0030】
(変形例2)
次に、変形例2について説明する。変形例2に係る光モジュールは、FPC19における配線を除き、上記実施例に係る光モジュール10と同様の構成を有する。従って、変形例2では、上記実施例と共通する構成要素には、同一の参照符号を用いると共に、その詳細な説明は省略する。
【0031】
図4Aは、変形例2に係る光モジュール10の構成を示す側面図である。
図4Aにおいて、FPC19内の破線は、パターンが裏面(パッケージ11側の面)にあることを示す。
図4Aに示す様に、FPC19には、12本のDCピン19a〜19lが2列に配設されている。すなわち、上の列には、DCピン19a、19c、19e、19g、19i、19kが配設され、下の列には、DCピン19b、19d、19f、19h、19j、19lが配設されている。また、下の列のDCピン19b、19d、19f、19h、19j、19lからDC電極19b−1、19d−1、19f−1、19h−1、19j−1、19l−1に延びる配線は、上の列の左端のDCピン19aの左側を迂回する様に形成されている。換言すれば、変形例2に係る光モジュール10において、表面配線パターン20a、20cは、上記第1の面に、互いに向きが異なる様に複数形成される。一方、裏面補強パターン21a、21cは、上記反対の面に、対向する表面配線パターン20a、20cと向きが一致する様に複数形成される。従って、RFピン18a〜18dからの干渉による、RF信号とDC信号間のクロストークは抑制される。
【0032】
なお、変形例2に係る光モジュール10では、各DCピン19a〜19lを出力元とする配線を迂回させた分、FPC19の左端が、パッケージ11の出力側インタフェース端よりも左側に突き出てしまう。しかしながら、FPC19左端の突出部分は、出力側の光ファイバと並列する位置(空きスペース)にあることから、FPC19は、実装時に他のインタフェースと干渉することがない。すなわち、光モジュール10は、パッケージ11内の限られたスペースを有効に活用することで、DC信号とRF信号との間のクロストークを抑制しつつ、小型化を図ることができる。
【0033】
変形例2においても、表面配線パターン20a、20c、20e、20g、20i、20kは、ティアドロップ状に形成されるが、それぞれ対応するDC電極に向かって、その先端が延びるため、向きが異なる。
【0034】
また、FPC19の表面には、表面配線パターン20a等を覆う様に、DCピン19a〜19lの周辺にカバー材開口部A1、A2を有するカバー材191が設けられている。同様に、FPC19の裏面には、裏面補強パターン21a等を覆う様に、カバー材192が設けられている。これにより、各パターンの剥離が抑制される。
【0035】
図4Aに示す様に、上の列のDCピン19a、19c、19e、19g、19i、19kは、FPC19表面に形成された配線を介して、DC電極19a−1、19c−1、19e−1、19g−1、19i−1、19k−1にそれぞれ接続される。これに対し、下の列のDCピン19b、19d、19f、19h、19j、19lは、FPC19の両面に形成された配線を介して、DC電極19b−1、19d−1、19f−1、19h−1、19j−1、19l−1にそれぞれ接続される。また、下の列では、隣り合うチャネルが、互いにFPC19の反対面に配線される様に、DCピン19b、19d、19f、19h、19j、19lの内、DCピン19d、19h、19lの配線のみがFPC19裏面から形成されている。これにより、隣り合うDCピン間の配線間隔が広くなり、各DCピン19b、19d、19f、19h、19j、19lから配線を流れる信号間のクロストークが低減される。
【0036】
但し、下の列のDCピン19b、19d、19f、19h、19j、19lとDC電極19b−1、19d−1、19f−1、19h−1、19j−1、19l−1とを接続する配線を全てFPC19裏面に形成すると、FPC19の左端部(光出力側)において交差が発生してしまう。そこで、FPC19は、表面の配線と裏面の配線とを連結するスルーホールT1〜T5を有し、必要に応じて、配線を反対側の面に変更する。
図4Aに示す例では、例えば、DCピン19dから裏面に形成された配線は、スルーホールT4により一旦表面に移動し、スルーホールT2により再び裏面に戻る様に形成されている。これにより、DCピン19dとDC電極19d−1とを接続する配線が、DCピン19f、19hとDC電極19f−1、19h−1とを接続する配線と、FPC19の裏面において交差することが回避される。その結果、配線間のショートが未然に防止される。
【0037】
また、変形例2に係る光モジュール10によれば、下の列のDCピン19b、19d、19f、19h、19j、19lからの配線を左方向に導くためのFPC19下部のスペースが節減される。従って、FPC19を下方向に拡大する、あるいは、DCピン19a〜19lの位置を高くする等の処置は不要となり、光モジュール10の小型化が可能となる。更に、
図4Aに示す様に、DC電極19a−1〜19l−1の配列が、DCピン19a〜19lの配列と一致するため、従来のDC電極の配列との互換性が維持される。
【0038】
また、FPC19には、上述した12本のDCピン19a〜19lに並列して、TECピン19m、19nが設けられている。TECピン19m、19nは、パッケージ11内に搭載された温度調整用のTEC17に対し、外部からの電力を供給するためのピンである。
図4Aに示す様に、FPC19の表面には、TECピン19m、19nとTEC電極19m−1、19n−1とをそれぞれ接続する電力供給線P1、P2が、形成されている。なお、電力供給線P1、P2は、FPC19の裏面(パッケージ11側の面)に形成されるものとしてもよい。
【0039】
電力供給線P1、P2は、流す電流量やメッキの厚みに応じた線幅(例えば、配線W1〜W5よりも太い幅)を有する。他の配線の幅は、例えば100μm程度であるのに対し、電力供給線P1、P2の幅は、例えば300〜500μm程度である。但し、特に電流量が大きい場合には、電力供給線P1、P2は、スルーホールでの配線が困難である。このため、電力供給線P1、P2は、FPC19の片面(例えば、表面)のみに形成されることが望ましい。
【0040】
なお、変形例2に係る光モジュール10では、電力供給線P1、P2をFPC19右端部に配置したことにより、電力供給線P1、P2を流れる電流とRF信号とのクロストークが懸念される。しかしながら、RF信号から電流への干渉は、RF信号からDC信号への干渉と比較して小さい。このため、上記クロストークの発生は限定的である。
【0041】
TECピン19mから延びる配線(電力供給線P1)は、他の配線と比較して太いことから折り曲げ時の断線の恐れは少なく、必ずしもティアドロップ状に形成されなくてもよいが、裏面には、裏面補強パターン21mが設けられることが望ましい。裏面補強パターン21mは、他の裏面補強パターン21a、21c、21e、21g、21i、21kが、それぞれ対応するDC電極に向かって延びるのと同様に、対応するTEC電極19m−1に向かって延びる。しかしながら、
図4Aに示す様に、裏面補強パターン21a、21c、21e、21g、21i、21k、21mは、曲げ開始線L3を境に途切れており、曲げ開始線L3より上側には形成されない。換言すれば、複数の裏面補強パターン21a、21c、21e、21g、21i、21k、21mの先端は、曲げ開始線L3上に位置する。これにより、FPC19は、曲げ開始線L3により折り曲げ可能となる。
【0042】
なお、裏面補強パターン21a、21c、21e、21g、21i、21kの形状、向き、位置、サイズ等は、それぞれ対向する表面配線パターン20a、20c、20e、20g、20i、20kの形状、向き、位置、サイズ等と一致させることが望ましい。これにより、隣り合うパターン(例えば、裏面補強パターン21aと表面配線パターン20c)同士が表面と裏面において近接する(例えば、重なり合う)ことが極力回避される。その結果、クロストークが低減される。
【0043】
図4Bは、
図4AのB−B’断面図である。
図4Bに示す様に、DCピン19bの両側では、FPC19の表面に表面配線パターン20aが、裏面に裏面補強パターン21aが、それぞれ形成されている。更に、表面配線パターン20aの一部は、カバー材191により保護されている。裏面補強パターン21aの一部(例えば、先端部分)は、カバー材192により保護されている。なお、DCピン19bの周辺には、半田S1が充填され、両側の表面配線パターン20aを電気的に接続している。
【0044】
光モジュール10の製造に際し、FPC19は、
図4Bの矢印Y2の方向に折り曲げられるが、折り曲げの際、FPC19は、カバー材191、192及び裏面補強パターン21aにより補強された部分(曲げ開始線L3に示す箇所)で折り曲げられる。従って、破線L31や破線L32に示す部分で折り曲げる場合と比較して、折り曲げ時の応力等により表面配線パターン20aが断線する可能性は低減される。
【0045】
(変形例3)
次に、変形例3について説明する。変形例3に係る光モジュールは、FPC19における配線を除き、上記実施例に係る光モジュール10と同様の構成を有する。従って、変形例3では、上記実施例と共通する構成要素には、同一の参照符号を用いると共に、その詳細な説明は省略する。
【0046】
図5Aは、変形例3に係る光モジュールの構成を示す側面図である。
図5Aに示す様に、下の列のDCピン19bの表面配線パターン20bは、ティアドロップ状に形成されている。この様に、下の列のDCピン19b、19d、19f、19h、19j、19lに形成されるパターンも、上の列のパターンと同様に、ティアドロップ状に形成されるものとしてもよい。但し、下の列のパターンは、パッケージ小型化のため、上の列のパターンと比較して、狭いスペースを通る。このため、下の列の全てのDCピン19b、19d、19f、19h、19j、19lのパターンをティアドロップ状に形成することは、困難である。
【0047】
そこで、パターン長を抑えつつ、断線を抑制する観点から、DCピン19d、19f、19h、19j、19lのパターン21d、20f、21h、20j、21lは、
図5Aに示す様に、矩形状に形成されるものとしてもよい。各DCピン19d、19f、19h、19j、19l近傍において矩形状に形成された表面配線パターン20f、20j及び裏面補強パターン21d、21h、21lは、
図5Aに示す様に、直角に屈曲する。表面配線パターン20f、20j及び裏面補強パターン21d、21h、21lは、上記曲がりの前よりも後の方が細く形成される。換言すれば、変形例3に係る光モジュールは、上記第1の面または上記反対の面に形成され、屈曲する部分を有する裏面補強パターン21d及び表面配線パターン20fを更に有する。これにより、断線に強く、かつ、狭いスペースでの配線が可能となる。
【0048】
なお、表面配線パターン20f、20j及び裏面補強パターン21d、21h、21lの形状は、矩形に限らず、例えば、半円形、半楕円形、台形、ひし形、三角形、多角形、及びこれらの組合せ等、配線を補強し、かつ、小型化が可能な範囲内で任意である。また、各パターン21d、20f、21h、20j、21lは、必ずしも同一形状でなくてもよい。
【0049】
変形例3に係る光モジュール10では、表面配線パターン20f、20j及び裏面補強パターン21d、21h、21lが太く形成される分、パターン間におけるクロストークの増大が懸念される。しかしながら、各パターン21d、20f、21h、20j、21lは、FPC19の裏面と表面とに交互に形成されることから、パターン間の間隔は広くなり、クロストークは抑制される。
【0050】
図5Bは、
図5AのC−C’断面図である。
図5Bに示す様に、DCピン19bの両側では、FPC19の表面に表面配線パターン20aが、裏面に裏面補強パターン21aが、それぞれ形成されている。更に、表面配線パターン20aの一部は、カバー材191により保護されている。裏面補強パターン21aの一部(例えば、先端部分)は、カバー材192により保護されている。なお、DCピン19bの周辺には、半田S1が充填され、両側の表面配線パターン20aを電気的に接続している。
【0051】
光モジュール10の製造に際し、FPC19は、
図5Bの矢印Y3の方向に折り曲げられるが、折り曲げの際、FPC19は、カバー材191、192及び裏面補強パターン21aにより補強された部分(曲げ開始線L4に示す箇所)で折り曲げられる。従って、破線L41や破線L42に示す部分で折り曲げる場合と比較して、折り曲げ時の応力等により表面配線パターン20aが断線する可能性は低減される。
【0052】
(適用例)
上述した光モジュール10を用いた光変調器は、高い信頼性と実装性とを両立し得ることから、例えば、送信機への適用が有効である。
図6は、上記実施例及び変形例に係る光モジュール10の実装された送信機100の構成を示す図である。
図6に示す様に、送信機100は、データ生成回路101と光変調器102と光ファイバ103とを有する。また、データ生成回路101はドライバ101aを有し、光変調器102はLD(Laser Diode)102aを有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、各種信号やデータの入出力が可能な様に接続されている。データ生成回路101により生成されたデータは、光変調器102により、電気信号から光信号に変換された後、光ファイバ103を伝送媒体として、装置外部に送信される。
【0053】
特に、光モジュール10は、FPC19を用いて多数のDC電極にDCピンを接続可能な光変調器への適用が有効である。この様な光変調器としては、例えば、I/Q(In-phase/Quadrature)光変調器、偏波多重光変調器、ITXA、ICR、光送受信一体デバイス等がある。なお、光モジュール10は、送信機に限らず受信機(レシーバ)へ適用してもよい。
【0054】
なお、上記実施例及び変形例に係る光モジュール10では、実装面積を抑えるため、RFピン18a〜18dとDCピン19a〜19lとTECピン19m、19nとが、パッケージ11の同一側面に配設されるものとした。しかしながら、RFピン18a〜18dとDCピン19a〜19lとTECピン19m、19nとが配設される面は、例えば、左側面と右側面という様に、異なる面であってもよい。また、DCピン19a〜19lとTECピン19m、19nとが配設される基板は、FPCに限らず、例えばPCBであってもよい。
【0055】
上記実施例及び変形例に係る光モジュール10では、断線を抑制する配線パターンは、DCピン(例えば、DCピン19a)に半田接続された配線パターンとした。しかしながら、上記配線パターンは、DCピンのパターンに限らず、RFピンやTECピンのパターンであってもよい。
【0056】
また、上記実施例及び変形例に係る光モジュール10では、FPC19上において、DCピン19a〜19lは、上段と下段の2列に配設されるものとした。しかしながら、列の数は、2列に限らず、3列以上であってもよい。例えば、DCピン19a〜19lが3列を成す場合には、2列目(中段)と3列目(最下段)のDCピンからの配線が、1列目(最上段)の最左端にあるDCピンの左側を迂回する様に形成される。これにより、FPC19の横幅が更に狭くなり、光モジュール10の更なる小型化が可能となる。
【0057】
更に、変形例2、3に係る光モジュール10では、DC電極19a−1〜19l−1の配列が、DCピン19a〜19lの配列と一致する様な配線とした。しかしながら、下の列の配線がFPC19の表面と裏面とで交互に形成されていれば小型化は可能であることから、上記各配列は、必ずしも一致(整序)していなくてもよい。
【0058】
また、上記説明では、個々の実施例及び変形例毎に個別の構成、及び動作を説明した。しかしながら、上記実施例及び各変形例に係る光モジュール10は、他の変形例に特有の構成要素を併せて有するものとしてもよい。また、実施例、変形例毎の組合せについても、2つに限らず、3つ以上の組合せ等、任意の形態を採ることが可能である。例えば、上記実施例に係る光モジュール10が、変形例2、3に係るTECピン19m、19nと、電力供給線P1、P2と、TEC電極19m−1、19n−1とを、FPC19の表面上に有するものとしてもよい。あるいは、変形例2、3に係る光モジュール10が、変形例1に係る裏面補強パターン22a、22bを、FPC19の裏面上に有するものとしてもよい。更に、1つの光モジュール10が、両立可能な範囲内で、上記実施例及び変形例1〜3において説明した全ての構成要素を併有するものとしてもよい。