(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331514
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】土の弱酸性固化処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 11/00 20060101AFI20180521BHJP
C09K 17/10 20060101ALI20180521BHJP
C09K 17/08 20060101ALI20180521BHJP
C09K 17/02 20060101ALI20180521BHJP
E02D 3/12 20060101ALI20180521BHJP
E02F 7/00 20060101ALI20180521BHJP
C04B 28/06 20060101ALI20180521BHJP
C04B 22/14 20060101ALI20180521BHJP
C09K 103/00 20060101ALN20180521BHJP
【FI】
C02F11/00 101Z
C09K17/10 PZAB
C09K17/08 P
C09K17/02 P
E02D3/12 102
E02F7/00 D
C04B28/06
C04B22/14 A
C09K103:00
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-49763(P2014-49763)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2014-210255(P2014-210255A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2017年1月19日
(31)【優先権主張番号】特願2013-78199(P2013-78199)
(32)【優先日】2013年4月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】米田 修
(72)【発明者】
【氏名】有馬 克則
(72)【発明者】
【氏名】田坂 行雄
【審査官】
片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−273665(JP,A)
【文献】
特開2011−094063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00−20
C09K 17/00−52
C04B 2/00−40/06
B01B 1/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固化処理対象土の一部を採取した試料土と、アルミナセメント及び硫酸アルミニウムとを含む固化材とを混合し、pHが5.0〜6.0で所定の強度が得られるように、前記固化処理対象土に対する前記固化材の混合割合を決定する混合割合決定工程と、
前記固化処理対象土と前記固化材とを、前記混合割合で混合する固化処理工程と、を含み、
前記固化材は、アルミナセメントを30〜80質量%及び無水硫酸アルミニウムを20〜70質量%含み、
前記固化処理対象土からのふっ素溶出量を0.8mg/L以下に不溶化することを特徴とする土の弱酸性固化処理方法。
【請求項2】
前記アルミナセメントは、アルミナ含有量が50〜70質量%である、請求項1記載の土の弱酸性固化処理方法。
【請求項3】
前記混合割合は、前記固化処理対象土1m3に対し前記固化材が50〜200kg/m3である、請求項1叉は2記載の土の弱酸性固化処理方法。
【請求項4】
前記固化処理対象土が細粒土であり、含水比が20〜100%である、請求項1〜3の何れか1項記載の土の弱酸性固化処理方法。
【請求項5】
前記細粒土は、粘土、シルト、有機質土及び火山灰質粘性土からなる群より選ばれる1種以上である、請求項4記載の土の弱酸性固化処理方法。
【請求項6】
前記所定の強度が、材齢7日のコーン指数で600〜4000kN/m2である、請求項1〜5の何れか1項記載の土の弱酸性固化処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浚渫土や建設汚泥などの軟弱泥土の固化処理による安定化技術に関する。より詳しくは、固化処理土のpHを弱酸性に調整して固化処理する、軟弱土の固化処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
土木工事等により発生する建設汚泥や建設発生土ならびに港湾等の浚渫工事で発生する浚渫土砂等はセメント系固化材を用いて固化処理し安定化される例が多い。この場合、固化処理土のpHは11〜12程度の高いアルカリ性を示し、動/植物への影響が懸念され土としての再利用が制限される場合がある。
【0003】
例えば、固化処理土への直接の植栽や生活井、農地、湖沼、ため池など近くの施工ではアルカリ対策を求められることがある。この他、固化対象土がアンモニウム塩を含有する場合、アルカリ性になった固化処理土からアンモニアガスが発生する場合がある。また、固化対象土が酸性の強い土ではセメントのアルカリ成分が中和反応で消費され、十分な固化強度が得られない場合もある。
【0004】
これらの課題を解決するため固化処理土が中性(排水基準:pH5.8〜8.6)、もしくは中性に近い、所謂、中性固化材が求められている。これまでの中性固化材は半水石膏を主成分とするタイプが主流であり、この系の固化材は固化強度が不十分な場合が多く、また反応性が高すぎて施工中にこわばり等が生じる場合があり、施工に支障をきたすこともあった。これに加えて、最近では六価クロムなどの有害物質が溶出しないことも求められている。
既述の通り、この種の固化材で半水石膏を主成分とする石膏系固化材があり、セメント、石膏双方を成分とし、両系の長所を活かそうとする中性固化材も幾つか提案されている。例えば、特許文献1および特許文献2には、半水石膏、セメントおよび石灰、高炉スラグ等の混合材よりなる固化材が開示され、特許文献3には石膏、ポルトランドセメントおよび硫酸アルミニウムより成る固化材が開示されている。
【0005】
特許文献4には、無水または半水石膏、セメントおよび硫酸基を有する無機塩よりなる固化材が開示されている。さらに特許文献5および特許文献6には、半水石膏、アルミナセメント、またはアルミナセメントとポルトランドセメントの混合セメントと硫酸アルミニウムまたは硫酸鉄より成る固化材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−302346号公報
【特許文献2】特開平8−311446号公報
【特許文献3】特開平6−220451号公報
【特許文献4】特開平7−179854号公報
【特許文献5】特開平10−273660号公報
【特許文献6】特開平10−273663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のセメントと半水石膏を主材とする固化材による固化処理方法では固化処理土の強度が比較的低く、また、その速硬性ゆえに、土との混合処理中に硬化反応が進行し、施工性が問題となる場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、軟弱土を固化処理する工法において、強度の高い改良土が得られることは勿論のこと、適当な時期に硬化することにより優れた施工性を示し、固化処理土が中性に近く環境負荷の小さい固化処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題に関し鋭意検討した結果、硫酸アルミニウムとアルミナセメントとを、固化処理土のpHが弱酸性の条件下で、適切な割合で混合した固化処理方法が、従来の半水石膏系の中性固化材に比較して非常に高い固化強度が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、固化処理対象土の一部を採取した試料土と、アルミナセメント及び硫酸アルミニウムとを含む固化材とを混合し、pHが4.0を超え6.0以下の条件下で所定の強度が得られるように、前記固化処理対象土に対する前記固化材の混合割合を決定する混合割合決定工程と、前記固化処理対象土と前記固化材とを、前記混合割合で混合する固化処理工程と、を含む土の弱酸性固化処理方法に関する。この処理方法によれば、固化処理土のpH値が弱酸性領域であるため環境に優しく、また、利用用途の広い固化処理を行うことが可能となるとともに、ふっ素汚染土の不溶化が可能となる。
【0011】
本発明は、また、前記pHが、5.0〜6.0である、土の弱酸性固化処理方法に関する。pHをこの範囲とすることで、強度面やふっ素溶出抑制面の両者で十分な効果が得られる。
【0012】
本発明は、また、前記固化材が、アルミナセメントを30〜80質量%及び無水硫酸アルミニウムを20〜70質量%含む、土の弱酸性固化処理方法に関する。固化材にこれら材料を使用することで、より一層、環境に優しく、また、利用用途の広い固化処理を行うことが可能となるとともに、ふっ素汚染土の不溶化が可能となる。
【0013】
本発明は、また、前記アルミナセメントが、アルミナ含有量が50〜70質量%である、土の弱酸性固化処理方法に関する。アルミナセメントのアルミナ含有量を上記範囲とすることで、高い固化強度が得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、固化処理土のpH値が弱酸性領域であるため環境に優しく、また、建設発生土利用技術マニュアルに規定されている、コーン指数が200kN/m
2以上の第4種改良土、コーン指数が400kN/m
2以上の第3種改良土さらにコーン指数800kN/m
2以上の第2種改良土に改良可能で、利用用途の広い固化処理を行うことが可能となるとともに、ふっ素汚染土の不溶化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】粘土を固化した固化処理土のpHとコーン指数の関係を示した図である。
【
図2】シルトを固化した固化処理土のpHとコーン指数の関係を示した図である。
【
図3】ふっ素模擬汚染土を固化した固化処理土のpHとふっ素溶出量の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態を以下に説明する。
本発明の土の弱酸性固化処理方法は、固化処理対象土の一部を採取した試料土と、アルミナセメント及び硫酸アルミニウムとを含む固化材とを混合し、pHが4.0を超え6.0以下の条件下で所定の強度が得られるように、前記固化処理対象土に対する前記固化材の混合割合を決定する混合割合決定工程を有する。
【0017】
固化処理土のpHは、4.0を超え6.0以下が好ましく、より好ましくは、4.5〜6.0、更に好ましくは5.0〜6.0である。これらの範囲であれば、所定の強度を得ることが可能である。固化処理土のpHが、5.0〜6.0であれば、固化対象土がふっ素汚染土の場合、その固化処理土からのふっ素溶出量を土壌環境基準以下(0.8mg/L以下)とすることも可能である。pHが5.2〜5.8あれば、複数種の処理土に対し強度面で十分な効果が得られ、更に、ふっ素溶出抑制面でも十分な効果が得られる。
【0018】
固化処理対象土は、細粒土として粘土、シルト、有機質土、火山灰質粘性土等が挙げられ、粗粒土として砂質土等が挙げられる。含水比は、細粒土の場合、20〜100%が好ましく、より好ましくは25〜80%、更に好ましくは30〜70%である。
粗粒土の場合、5〜40%が好ましく、より好ましくは8〜30%、更に好ましくは10〜25%である。ここで含水比とは、110±5℃の炉乾燥によって失われる土中水の質量の、土の炉乾燥質量に対する比を質量百分率で表した値を意味する。これらの範囲であれば、所定の強度を得ることが可能である。
【0019】
上述した所定の強度は、材齢7日のコーン指数で600〜4000kN/m
2であることが好ましく、より好ましくは650〜3000kN/m
2、更に好ましくは680〜2500kN/m
2である。これらの強度であれば、建設発生土利用技術マニュアルに規定され、固化処理土を再利用するための所要強度(材齢7日のコーン指数200(第4種改良土)kN/m
2〜800(第2種改良土)kN/m
2以上)を満たすことが可能である。
【0020】
アルミナセメントは、耐火用、建材用など、いくつかの種類があり、いずれも配合調整で使用可能であるが、施工性や固化強度面でアルミナ分50〜70質量%含有物を使用するのが好ましく、より好ましくは51〜60質量%、更に好ましくは52〜55質量%である。
【0021】
アルミナ分が50質量%より少ない場合、同一強度を得るための固化材所要量が多くなる。また、アルミナ分が70質量%より多いと、処理コストが大幅に高くなる可能性がある。アルミナセメントは硫酸アルミニウムの中和剤として作用するだけでなく、硫酸アルミニウムとの反応により各種の水和物を生成し、強固に固化する。
【0022】
硫酸アルミニウムは、無水品の他にアルミナ分の少ない含水結晶18水塩の粉末品、アルミナ分8%の水溶液がある。無水品は粉末状で高い強度が得られるため好ましい材料である。その他のグレードも使用出来るが、いずれも、無水塩に比較して同一強度を得るための所要量が多くなる。
【0023】
固化材は、アルミナセメントを30〜80質量%、好ましくは35〜60質量%、より好ましくは40〜50質量%、及び無水硫酸アルミニウムを20〜70質量%、好ましくは40〜65質量%、より好ましくは50〜60質量%、含む。これらの範囲であれば、上述したように適度な強度を得ることが可能で、また、処理土のpHも弱酸性のため環境に優しい。
【0024】
また、本発明の土の弱酸性固化処理方法は、固化処理対象土と固化材とを、混合割合決定工程で決定した割合で混合する固化処理工程を含む。
この混合割合は、固化処理対象土1m
3に対し固化材が50〜200kg/m
3であることが好ましく、より好ましくは70〜150kg/m
3、更に好ましくは90〜100kg/m
3である。50kg/m
3より少ないと土との混合が均一にできず、200kg/m
3より多いと処理コストが大幅に高くなる可能性がある。これらの範囲であれば、上述したように適度な強度を得ることが可能で、また、処理土のpHも弱酸性のため環境に優しい。
【0025】
固化処理対象土と固化材とを混合する場合、一般的な粉体混合装置が問題なく使用できる。すなわち、無水硫酸アルミニウムとアルミナセメント系の弱酸性固化材を調製するには、両材料とも一般的な粉体であることから、特別な機器、手段を必要とせず、高速ミキサー、ロッキングミキサー等、通常の粉体混合用の機器を使った粉体混合方法が適用できる。混合の際は、可能な限り土に余分な水を加えないことが好ましい。このためにも、粉末状態で混合するのが望ましい。軟弱土との混合にはプラント混合法やバックホウやスタビライザー等を用いる通常の方法が適用できる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明の内容を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0027】
(1)固化材の調製
無水硫酸アルミニウム(大明化学(株)製)とアルミナセメント(旭ガラス(株)製1号)を用いた。無水硫酸アルミニウムの化学組成を表1、アルミナセメントの化学組成を表2に示す。無水硫酸アルミニウムのpHは、JIS Z 8802:2011「pH測定方法」、不溶分および鉄は、JIS K 1423−1970「硫酸アルミニウム」に示される方法で測定し、アルミナセメントの化学組成はJIS R 5202「セメントの化学分析方法」に従って測定した。これらの材料を、所定量計りとり、A4サイズのポリエチレン袋中で約3分間手混合して供試固化材を調製した。固化材の配合比は表4〜6に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
(2)試料土の調製
建設現場で採取した粘土(含水比38.0%、)およびシルト(含水比24.0%)を、粘土では含水比70%、シルトでは含水比30%になるように加水してソイルミキサーで3分間低速で混合して試料土を調製した。試料土の土質性状をJIS A 1202:2009「土粒子の密度試験方法」、JIS A 1204:2009「土の粒度試験方法」、JIS A 1205:2009「土の液性限界・塑性限界試験方法」に従って測定した。結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
(3)模擬汚染土の調製
次に、固化処理土からのふっ素の溶出抑制効果を調べるために、予めふっ素を添加した模擬汚染土を調製した。模擬汚染土には、上記(2)のシルトを用いた。まず、含水比24.0%のシルトを自然乾燥により含水比11.2%に調整した。その後、含水比30%にするための必要な水にふっ化カリウム二水和物(和光純薬工業(株)製、試薬、和光1級)をシルトの乾土分1kg当たり1.35gとなる量を溶解した。この水溶液をシルトに添加してソイルミキサーで低速2.5分間練り混ぜた後、容器やパドルに付着した土を掻き落とし、さらに低速で2.5分間練り混ぜてふっ素模擬汚染土を調製した。その後、20℃の恒温室内で密封して7日間養生後、実験に供した。
【0033】
(4)固化処理
上記(1)で調製した固化材を(2)および(3)で調製した試料土に100kg/m
3添加した後、ホバート型ミキサーで3分間混合した。混合後の土を、φ10×12.5cmのモールドにタッピング法で充填し、20℃の恒温槽内で7日間密封養生した。
【0034】
(5)コーン指数測定
上記(4)で得られた固化処理土の材齢7日のコーン指数をJIS A 1228:2009「締固めた土のコーン指数試験方法」に準拠して測定した。
【0035】
(6)pH測定
上記(4)で得られた成形前の固化処理土について、地盤工学会基準JGS−0211−2009「土懸濁液のpH試験方法」に則り、pHを測定した。
【0036】
(7)ふっ素溶出量測定
上記(3)で調製した模擬汚染土および上記(4)で得られた固化処理土を材齢7日で解砕し、バットに広げて風乾(温度20℃、24時間)した後、2mmふるいを全通させた。その後、風乾試料を純水に固液比1:10で投入し、6時間振とうした。振とう後の液を0.45μmメンブレンフィルターを用いて減圧濾過し、得られた濾液のふっ素濃度をJIS K 0102「工業排水試験方法」に準拠して測定した。
【0037】
(8)粘土の試験結果(実施例
2〜4、比較例1〜6)
粘土を固化処理した場合の試験結果を表4に、固化処理土のpHとコーン指数の関係を
図1に示す(No.1〜9)。なお、比較のために、従来の半水石膏系固化材の場合(No.10)についても併せて示す。
図1に示すように、pHを4.0を超え6.0以下の弱酸性領域に調整することで、コーン指数が急激に増加し、本発明の範囲にある実施例
2〜4(No.
3〜5)では、固化処理土はいずれもコーン指数600kN/m
2以上の強度が得られている。その中でも、実施
例2ではさらにコーン指数1200kN/m
2以上の強度が得られることがわかる。
これに対して、No.1、6、7の配合では固化強度が低い(比較例1〜3)。また、No.8、9の配合では、コーン指数600kN/m
2以上の強度が得られるが、pHが11を超過し、強アルカリ性であるため環境への影響上好ましくないことがわかる(比較例4、5)。
【0038】
また、従来の半水石膏系の中性固化材(比較例6、No.10)と比較すると、本発明の処理方法に関わる固化材は、弱酸性とすることで高い固化強度が得られることがわかる。
【0039】
【表4】
【0040】
(9)シルトの試験結果(実施例
7〜10、比較例7〜8)
シルトを固化処理した場合の試験結果を表5に、固化処理土のpHとコーン指数の関係を
図2に示す(No.11〜18)。
図2に示すように、pHを4.0を超え6.0以下の弱酸性領域に調整することで、コーン指数が急激に増加し、本発明の範囲にある実施例
7〜10(No.
13〜16)では、固化処理土はいずれもコーン指数1200kN/m
2以上の強度が得られている。その中でも、実施例
7、8ではさらにコーン指数2500kN/m
2以上の強度が得られることがわかる。
これに対して、No.17の配合では固化強度が低い(比較例7)。また、No.18の配合では、pHが11を超過し、強アルカリ性であるため環境への影響上好ましくないことがわかる(比較例8)。
【0041】
【表5】
【0042】
以上のように試料土の種別が変わっても、固化処理土のpHが4.0を超え6.0以下の弱酸性領域に調整することで、コーン指数が急激に増加することがわかる。
【0043】
(10)模擬汚染土の試験結果(実施例11、比較例9〜10、参考例1)
ふっ素模擬汚染土を固化処理した場合の試験結果を表6に、固化処理土のpHとふっ素溶出量の関係を
図3に示す(No.19〜21)。なお、参考までに、未処理土のpHとふっ素溶出量を併記した。
図3に示すように、pHを5.0〜6.0の弱酸性領域に調整することで、固化処理土からのふっ素溶出量が未処理土に比べて急激に低下し、本発明の範囲にある実施例11(No.20)では、固化処理土からのふっ素溶出量は、土壌環境基準の0.8mg/L以下に不溶化されていることがわかる。
これに対して、No.19の配合では固化処理土からのふっ素溶出量が、未処理土に比べて低くなるものの、土壌環境基準(0.8mg/L以下)を超過している。(比較例9)。また、No.21の配合では、固化処理土からのふっ素溶出量が未処理土に比べて低くなるものの、土壌環境基準(0.8mg/L以下)を超過し、さらに、pHが11近くに達して強アルカリ性であるため、環境への影響上好ましくないことがわかる(比較例10)。
【0044】
【表6】
【0045】
以上、(8)〜(10)の結果を総合的に判断すると、pHが5.2〜5.8あれば、粘土やシルトといった複数種の処理土に対し強度面で十分な効果が得られ、更に、ふっ素溶出抑制面でも十分な効果が得られる。